シート搬送装置及び画像形成装置
【課題】搬送シートの厚みに拘わらず、下流の転写部等で紙シワ等を発生させることなく、シートの斜行補正を行い得るシート搬送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート搬送装置は、搬送されるシートSの先端がシートの斜行補正のために当接し、シートに押されて移動するシャッタ部材19aを有する。シート搬送装置は、搬送ローラ対13により搬送されるシートが、搬送ローラ対の下流の転写ニップ部に先端を挟持されるまで、シャッタ部材を、搬送経路から退避する退避位置に位置させる作動カム34を有する。更にシート搬送装置は、シートに押されることでシャッタ部材の移動に連動して、作動カムがシャッタ部材を退避位置に位置させるように駆動モータから作動カムに駆動力を伝達する第1欠歯ギヤ31、第2欠歯ギヤ32等の伝達機構を有する。
【解決手段】シート搬送装置は、搬送されるシートSの先端がシートの斜行補正のために当接し、シートに押されて移動するシャッタ部材19aを有する。シート搬送装置は、搬送ローラ対13により搬送されるシートが、搬送ローラ対の下流の転写ニップ部に先端を挟持されるまで、シャッタ部材を、搬送経路から退避する退避位置に位置させる作動カム34を有する。更にシート搬送装置は、シートに押されることでシャッタ部材の移動に連動して、作動カムがシャッタ部材を退避位置に位置させるように駆動モータから作動カムに駆動力を伝達する第1欠歯ギヤ31、第2欠歯ギヤ32等の伝達機構を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの斜行を補正する機構を有するシート搬送装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では、シート位置に対する画像の記録位置が重要な画像品質要素となっている。そのため、従来の画像形成装置では、記録精度向上のために搭載する種々のシート斜行補正機構が提案されている。
【0003】
例えば、画像形成部に最も近いシート搬送方向上流側(以下、「上流側」という)において、シート搬送方向と直交する幅方向に延在するレジストレーションローラ対と、シャッタ部材とを配置したシート搬送装置が知られている。このシート搬送装置では、シートの先端をシャッタ部材に当接させてシートの斜行を補正するレジシャッタ方式を採用している。上記シャッタ部材は、レジストレーションローラ対の回転軸を中心としてシートの先端に当接してこのシートの先端を係止可能な姿勢と、シートを通過可能な姿勢とに揺動可能に構成されている。そして、シートがシャッタ部材を通過した後に、シートを通過可能な姿勢からシートの先端を係止可能な姿勢に戻る方向にバネ等の弾性部材で付勢されている。
【0004】
即ち、このシート搬送装置では、レジストレーションローラ対における搬送コロの回転軸に、軸方向に沿って所定間隔でシャッタ部材が回動可能に配置され、上流側の搬送ローラ対により搬送されるシートの先端をシャッタ部材の突き当て面に当接させる。そして、シートに徐々にループが形成され、シートの先端がシャッタ部材を押圧する力が大きくなってシャッタ部材が押されて回動して退避し、シートがシャッタ部材を通過する。シートの先端がシャッタ部材を押圧して回動させるときにシートの先端がシャッタ部材の当接面に倣い、シートの先端がシート搬送方向と直交する方向に整合される。この状態でレジストレーションローラ対によりシートを搬送することによってシートの斜行が補正されて搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−183539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の上記シート搬送装置では、シートがレジストレーションローラ対を搬送される際、バネ等の弾性部材によりシートの先端を係止可能な姿勢に戻るようにシャッタ部材が付勢されている。これにより、シャッタ部材がレジストレーションローラ対で搬送途中のシートの面を押圧している。このため、例えば坪量60g/m2を下回るような極薄シートや剛度の弱いシートでは、軸方向に所定間隔で配置されているシャッタ部材の押圧力によりシートが波打つ。そして、シートが波打ち状態で下流の画像形成部の転写ローラ部分(転写部)で挟持されると、紙シワ等が発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は、搬送されるシートの厚みに拘わらず、下流の転写部等で紙シワ等を発生させることなく、シートの斜行補正を行い得るシート搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート搬送装置において、シートを搬送する第1搬送回転体と、前記第1搬送回転体のシート搬送方向下流に順次配置された第2搬送回転体及び第3搬送回転体と、前記第1搬送回転体の下流かつ前記第2搬送回転体のニップ部の上流で搬送されるシートの先端がシートの斜行補正のために当接し、搬送されるシートに押されて移動するシャッタ部材と、搬送されるシートに押されて移動した前記シャッタ部材を、シートの搬送経路から退避する退避位置に移動させ、前記第2搬送回転体により搬送される前記シートが前記第3搬送回転体に先端を挟持されるまで、前記退避位置に前記シャッタ部材を保持する作動部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明は、画像形成装置において、シートを搬送する第1搬送回転体と、前記第1搬送回転体のシート搬送方向下流に配置された第2搬送回転体と、前記第2搬送回転体のシート搬送方向下流に配置された転写ニップ部にてシートにトナー像を転写する画像転写部と、前記画像転写部によって転写されたトナー像をシートに定着する定着部と、前記第1搬送回転体の下流かつ前記第2搬送回転体のニップ部の上流で搬送されるシートの先端がシートの斜行補正のために当接され、搬送されるシートに押されて移動するシャッタ部材と、搬送されるシートに押されて移動した前記シャッタ部材を、シートの搬送経路から退避する退避位置に移動させ、前記第2搬送回転体により搬送される前記シートが、前記転写ニップに先端を挟持されるまで、前記退避位置に前記シャッタ部材を保持する作動部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、斜行補正を行うシャッタ部材をシートが押して移動した後、下流側でシートが挟持されるまで、シャッタ部材を退避位置に保持させておくので、紙シワ等を発生させずに斜行補正ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1の実施形態における画像形成装置を示す断面図。
【図2】シャッタ退避機構を示す平面図。
【図3】シャッタ退避機構を示す概略斜視図。
【図4】(a),(b)は、シャッタ退避機構を示す図3の拡大図。
【図5】(a)〜(e)は、シャッタ退避機構を示す斜視図。
【図6】シャッタ退避機構を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た状態を示す断面図。
【図7】シャッタ退避機構を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た別の状態を示す断面図。
【図8】シャッタ退避機構を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た更に別の状態を示す断面図。
【図9】(a),(b)は、シャッタ退避機構を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た更に更に別の状態を示す断面図。
【図10】(a),(b),(c),(d)は第1欠歯ギヤの一連の動きを示す側面図。
【図11】(a),(b),(c),(d)は第2欠歯ギヤと作動カムの一連の動きを示す側面図。
【図12】(a),(b),(c),(d)は第2欠歯ギヤと付勢レバーの一連の動きを示す側面図。
【図13】(a),(b),(c),(d),(e)は作動カム、係止カム、作動レバー等の一連の動きを示す斜視図。
【図14】本発明に係る第2の実施形態におけるシャッタ退避機構を示す断面図。
【図15】第2の実施形態におけるシャッタ退避機構を示す断面図。
【図16】第2の実施形態におけるシャッタ退避機構を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図1は、本発明に係る第1の実施形態の、シート搬送装置55を備えた画像形成装置であるレーザビームプリンタ53の全体を示す概略断面図である。図2は、本実施形態のシャッタ退避機構56を示す平面図、図3は本実施形態のシャッタ退避機構56を示す概略斜視図である。
【0013】
まず、図1を参照して、本実施形態のレーザビームプリンタ53に関して全体的構成及び機能について説明する。レーザビームプリンタ53は、各部を統括的に制御する制御部54を有している。レーザビームプリンタ53のプリンタ本体53Aの下部に装着された給送トレイ10に収容されたシートSは、図中の反時計方向に回転する給送ローラ(第1搬送回転体)11により送り出され、分離パッド12により一枚ずつ分離されて給送される。給送ローラ11により給送されたシートSは、搬送コロ14及び搬送ローラ15からなる搬送ローラ対(第2搬送回転体)13により搬送されて、転写対向ローラ16及び転写ローラ17からなる転写部(第3搬送回転体)57の転写ニップ部57aへ搬送される。これら搬送ローラ対13及び転写部57は、給送ローラ11のシート搬送方向下流に順次配置されている。転写部57は、画像転写部とともに、シートSに画像を形成する画像形成部も構成している。なお、給送ローラ11、搬送ローラ対13、転写対向ローラ16及び転写ローラ17等により、シート搬送装置55が構成されている。
【0014】
感光ドラム1,2,3,4は、それぞれ図中の時計回り方向に回転しており、各外周面には、レーザスキャナ9からのレーザ光により静電潜像が順次形成され、続いて、その静電潜像が現像ローラ5,6,7,8でそれぞれ現像され、トナー像が形成される。
【0015】
感光ドラム1〜4に形成された各トナー像は、図中の反時計回り方向に回転している中間転写ベルト18に転写される。カラー画像を形成する場合は、感光ドラム1〜4にイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色が現像される。そして、それぞれに形成されたトナー像が、中間転写ベルト18に転写される。次に、中間転写ベルト18に形成されたトナー像は、転写対向ローラ16と転写ローラ17とのニップ部に送られたシートSに転写される。
【0016】
さらに、トナー像が転写されたシートSは、定着フィルム20及び加圧ローラ21からなる定着部のニップ部へ送られ、ここで加熱加圧されて、トナー像がシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ22と排出コロ42とにより、シート排出トレイ43に排出される。なお、符号46,47はテンションローラを、48は駆動ローラを、49は一次転写ローラを、それぞれ示している。
【0017】
図2に示すように、搬送ローラ対13における搬送ローラ15は、給送フレーム23L,23Rにそれぞれ設けられた軸受け24L,24Rによって回転可能に支持されている。これら給送フレーム23L,23Rは、シート搬送方向と直交する幅方向(図2の左右方向)の両側においてプリンタ本体53Aに支持されている。搬送ローラ対13における搬送コロ14は、給送フレーム23L,23Rにそれぞれ設けられた軸受け25L,25Rによって回転可能に支持されている。これら軸受け25L,25Rは、シート搬送方向と直交する幅方向の両側においてプリンタ本体53Aに支持されている。
【0018】
搬送ローラ15及び搬送コロ14は、それぞれ、シート搬送方向と直交する幅方向にて互いに対向する位置関係で複数に分割されたローラ本体15bとローラ本体14bとを有して構成されている。搬送ローラ15は、回転軸15aと、回転軸15aに固着されてこの回転軸15aと一体的に回転するローラ本体15bとを有している。搬送コロ14は、回転軸14aと、回転軸14aに個々に回転自在に支持されたローラ本体14bとを有している。
【0019】
搬送ローラ対13の位置には、シャッタ連結部材19が配設されている。シャッタ連結部材19は、シャッタ部材19a,19b,19c,19dと、連結部材26とから構成されている。シャッタ部材19a〜19dは、分割された搬送ローラ対13の隙間に配置された突き当て面を有する。連結部材26は、両端に配置された軸受け部19L,19Rと、シャッタ部材19a〜19dを長手方向に連結して軸受け部19L,19Rとに支持されている。シャッタ部材19a〜19dは、給送ローラ11の下流で且つ搬送ローラ対13のニップ部の上流で、搬送されるシートSを初期位置で当接させて斜行補正を行ってから搬送ローラ対13のニップ部に送り込む動作をする。この初期位置に位置したシャッタ部材19a〜19dは、搬送されてくるシートの先端を係止可能な姿勢である。シャッタ部材19a〜19dは、給送ローラ11により搬送されるシートSの先端で押された際に斜行補正を行ってから、シャッタの突き当て面が搬送路から退く退避位置の方へ回動可能となるように支持されている。
【0020】
即ち、シャッタ連結部材19は、両端に設けた軸受け19L,19Rと、搬送ローラ15を支持する軸受け24L,24Rとが各々嵌合することで、搬送ローラ15回りに回動可能に配置されている。これら軸受け24L,24Rは、シート搬送方向と直交する幅方向の両側において給送フレーム23L,23Rにそれぞれ支持されている。
【0021】
また、シャッタ部材19a,19b,19c,19dを初期位置に付勢する付勢部材としての捩りコイルばね27が、軸受け19Rに対して摺動可能に嵌合されている。捩りコイルばね27は、その一端が連結部材26の図中右端部に設けられた穴部(不図示)に係止され、他端が給送フレーム23Rに係止された状態で、シャッタ連結部材19全体をシート搬送方向と逆方向に付勢している。また、軸受け部19Rには、シートSの有無を検知するためのセンサフラグ28がシャッタ連結部材19の長手方向と直交する方向に突出する形で固定されている。センサフラグ28の対向位置には、このセンサフラグ28を検知するフォトインタラプタ29が配設されている。
【0022】
図3に示すように、搬送ローラ15の両端には、搬送ローラ15と一体となって回転するギヤ30L,30Rがそれぞれ設けられている。ギヤ30Lは、駆動源である駆動モータ301からの駆動力(回転駆動力)を搬送ローラ15に伝達するものであり、ギヤ30Rは、次に説明するシャッタ連結部材19を動作させる機構に駆動力を伝達する駆動ギヤを構成している。
【0023】
図4(a),(b)は、図3に示した本実施形態のシャッタ退避機構56の拡大斜視図であり、図4(b)は、図4(a)から給送フレーム23Rを図示省略したものである。図6は、本実施形態におけるシャッタ退避機構56を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た状態を示す断面図である。また、図10(a)〜(d)は、第1欠歯ギヤ31の一連の動きを示す側面図であり、図11(a)〜(d)は、第2欠歯ギヤ32と、作動部材としての作動カム34の一連の動きを示す側面図である。図12(a)〜(d)は、第2欠歯ギヤ32と付勢レバー38の一連の動きを示す側面図である。なお、図12(a)〜(d)は、図10(a)〜(d)及び図11(a)〜(d)の反対側から見た状態で示している。本実施形態では、第1欠歯ギヤ31や第2欠歯ギヤ32が、ギヤ30Rからの駆動力を作動カム34に伝達する伝達ギヤを構成する。また本実施形態では、ギヤ30R、第1欠歯ギヤ31、第2欠歯ギヤ32、後述の係止アーム36等により、伝達機構が構成される。
【0024】
図4(a),(b)に示すように、ギヤ30Rの連結位置には、互いに同径で同軸上に連結された第1欠歯ギヤ31と第2欠歯ギヤ32とで構成されるダブル欠歯ギヤ33が配置されている。第1欠歯ギヤ31及び第2欠歯ギヤ32は共にギヤ30Rに噛み合うように構成されている。
【0025】
第1欠歯ギヤ31は、円周に形成された歯部31d(図10)の一部を欠歯状にされた欠歯部31c(図10)を有している。第2欠歯ギヤ32は、この第1欠歯ギヤ31と軸方向で重なるように同径に形成され、円周に形成された歯部32cの一部を欠歯状にされた欠歯部32b(図11)を有している。これら欠歯部(欠け歯部)31c,32bは、円周方向の長さが等しく形成されている。
【0026】
第1欠歯ギヤ31は、第2欠歯ギヤ32の回転軸51を中心として回転可能に設けられ、第2欠歯ギヤ32に対して決められた角度だけ回転した後、内部に設けられた突き当て部(不図示)により第2欠歯ギヤ32と一体になって回転する。第1欠歯ギヤ31は、第2欠歯ギヤ32との間に設けられたバネ(不図示)により、図6〜図9の反時計方向に回転するように付勢されている。
【0027】
図4(a),(b)及び図10(a)〜(d)に示すように、第1欠歯ギヤ31は、回転軸51で同軸に支持された作動カム34との間に位置する係止カム311を側面に一体にした形で有している。この係止カム311は、外周カム面31b及び爪部31aを外周に有して第1欠歯ギヤ31に同軸上に連結されている。つまり、係止カム311は、全体的に略円形状を呈し、円周の多くを占める外周カム面31bと円周の一部に形成された爪部31aとを外周に有するカム形状に構成されて第1欠歯ギヤ31に同軸上に連結されている。
【0028】
また、作動カム34は、図6に示す円周カム面(保持カム面)34a及び凹部(許容カム面)34bを外周に有して第2欠歯ギヤ32に同軸上に連結された、一方向回転可能なカム部材を構成している。凹部(許容カム面)34bは、シャッタ部材19a〜19dが初期位置から退避位置に向けて回動する際の作動カム(作動部材)34の回動を許容する。円周カム面(保持カム面)34aは、シャッタ部材19a〜19dが退避位置にあるときの作動レバー37の背面に当接して保持する。作動カム34は、第1欠歯ギヤ31、係止カム311及び第2欠歯ギヤ32と同軸に配置され、かつ略円形状に形成され、上記円周カム面34aと、円周カム面34aより小径となるように切り欠かれた上記凹部34bとを有している。
【0029】
第2欠歯ギヤ32は、シャッタ連結部材19の位置を作動する作動カム34(図11も併せて参照)と、第1欠歯ギヤ31及び係止カム311を挟む形でキー溝(不図示)で連結されている。図5(a)の符号31eは、キーを貫通させる穴部である。さらに、第2欠歯ギヤ32は、図12に示すように、外面(側面)の外縁部に略円弧状のリブ32aを一体に有している。また、リブ32aとダブル欠歯ギヤ33の初期停止位置で対向する対向面38bを有する付勢レバー38が、プリンタ本体53Aに支持された軸50を回動として可能に設けられている。
【0030】
図4(a),(b)及び図12(a)〜(d)に示すように、付勢レバー38は、捩りコイルばね39により、ダブル欠歯ギヤ33方向に付勢されている。捩りコイルばね39は、一端部がプリンタ本体53A側に係合し、他端部が付勢レバー38の上部係合部38aに係合することで、付勢レバー38に付勢力を付与している。図4における符号35は引張りコイルバネ、符号37は、シャッタ部材19a〜19dと概ね一体的に回動する作動部材(作動カム34との当接部)としての作動レバーを示している。シャッタ連結部材19と作動レバー37によってシャッタ部が構成される。
【0031】
図5(a)乃至図5(e)および図13(a)乃至図13(e)は、本実施形態におけるシャッタ退避機構56を示す斜視図である。シャッタ退避機構56は、斜行補正を施されて搬送ローラ対13により搬送されるシートSが転写部57のニップ部に先端を挟持されるまで、シャッタ部材19a〜19dを、シートSの搬送経路から退避する退避位置に保持する。また、シャッタ退避機構56は、転写部57のニップ部にシートSの先端が挟持されると、シャッタ部材19a〜19dが初期位置に向けて復帰可能となるように退避位置での保持を解除(保持解除)する。
【0032】
即ち、図5(a)乃至図5(e)及び図13(a)乃至図13(e)に示すように、第1欠歯ギヤ31の外周カム面31bの対向位置には、引張りコイルバネ35で外周カム面31bに付勢された回転可能なL字形状の係止アーム(係止部材)36が配設されている。係止アーム36は、係止カム311の爪部31aに係脱する鉤部36aを先端に有し、その長尺部分の後端が軸52により回転軸15a側に回転可能に支持され、鉤部36aを係止カム311の外周カム面31bに摺動(摺接)できるように配置されている。更に、図13(a)乃至図13(e)に示されるように、係止アーム36には、中央部に穴部361が形成されている。
【0033】
また、図4(a),(b)に示すように、作動カム34の円周カム面34aとの対向位置には、作動レバー37が配設されている。作動レバー37は、搬送ローラ15を支持する軸受け24Rと嵌合し且つ搬送ローラ15を中心として回転可能に構成されている。この作動レバー37は、図4(a),(b)及び図5(a)乃至図5(e)に示すように、レバー部37aと、搬送ローラ15と平行なボス部37bと、突き当て部37cとを有している。
【0034】
図4(a),(b)及び図6に示すように、レバー部37aは、作動カム34の円周カム面34aと摺動(摺接)する。図13(a)乃至図13(e)及び図5(a)乃至図5(e)に示すように、ボス部37b(図4(a),(b)参照)は、シャッタ連結部材19の軸受け部19Rと係合することで、シャッタ連結部材19と作動レバー37とを一体で回動させるように連結している。突き当て部37cは、図13(a)乃至図13(e)及び図5(a)乃至図5(e)に示すように、以下のようになる。つまり、シャッタ連結部材19が図5(b)の矢印A方向に回動したとき、L字形状の係止アーム36の下面に当接して係止アーム36を、引張りコイルバネ35の付勢力に抗して図5(b)の矢印B方向に押し上げる。
【0035】
その後作動レバー37は、作動カム34のカム面34aと当接し回転すると、作動レバー37の突き当て部37cは係止アーム36の穴部361を通り上方に移動することで、係止アーム36と作動レバー37の押し上げが解除される。その後、作動レバー37と作動カム34のカム面34aの当接が解除されると、作動レバー37が矢印Aの逆方向に回転し、シャッタ連結部材19との係合ガタ分係止アーム36の下方に移動する。
【0036】
以下、シャッタ連結部材19の退避機構について図6〜図12を参照して説明する。なお、図6〜図8、図9(a)、図9(b)は、図4(b)におけるA−A線の矢視方向に見た状態で示す断面図であり、図示の関係上、シャッタ連結部材19の長手方向に配置されたシャッタ部材19a〜19dのうちのシャッタ部材19aのみが図に現れている。
【0037】
図6、図10(a)、図11(a)及び図12(a)は初期位置を示している。L字形状の係止アーム36の鉤部36aで、第1欠歯ギヤ31と一体の係止カム311の爪部31aが係止される。そして、付勢レバー38が対向面38bで第2欠歯ギヤ32のリブ32aを付勢することで(図12(a)参照)、ダブル欠歯ギヤ33と作動カム34とが同図の初期位置に停止する。この際、第1欠歯ギヤ31の欠歯部31cと第2欠歯ギヤ32の欠歯部32bとは、円周方向の同じ位置で軸方向に重なっている。
【0038】
略一体的に回転するシャッタ連結部材19と作動レバー37は(図4、図5参照)、捩りコイルばね27で付勢されることにより、シャッタ部材19a〜19dがシートSの先端に当接してこのシート先端を係止し得る初期位置に係止される。その時、作動レバー37のレバー部37aは、作動カム34と当接しない凹部34bの位置にある。合わせて、シャッタ連結部材19と一体に回動可能なセンサフラグ28は、フォトインタラプタ29の光路を透過させる位置関係に設定されている。
【0039】
次に、給送ローラ11によって搬送されてきたシートSの先端が、シャッタ部材19a〜19dに突き当たる。すると、シート先端が搬送ローラ対13の軸方向と平行になった時にシートSのコシがシャッタ連結部材19を捩りコイルばね27の付勢圧(力)に打ち勝って押し開ける。これにより、このシートSは、図7に示すように、姿勢を補正されて搬送ローラ対13のニップを通過する。即ち、シートSの先端がシャッタ部材19a〜19dを押して回動させている途中で、シートSの先端は搬送ローラ対13にニップされる。
【0040】
作動レバー37が、図7の時計方向に回動して突き当て部37cで係止アーム36を押し上げるため(図5(b)参照)、第1欠歯ギヤ31と一体の爪部31aと鉤部36aとの係止が解除(係止解除)される(図10(b)参照)。第1欠歯ギヤ31は、第2欠歯ギヤ32との間に設けられたバネ(不図示)の付勢力で図7及び図10(b)の反時計方向に回転して欠歯部31cがギヤ30Rを通過することで、歯部31dがギヤ30Rと噛み合い駆動源(不図示)からの駆動力を伝達される。この時、センサフラグ28はシャッタ連結部材19と同じ角度だけ回動するため、フォトインタラプタ29の発光・受光部間の光路を遮断し、制御部54がこの情報をもとに一連の画像形成動作を開始させる。
【0041】
次に、図8に示すように、第2欠歯ギヤ32は、内部に設けられた突き当て部(不図示)により第1欠歯ギヤ31と一体的に(共に)同方向に回転して欠歯部32bがギヤ30Rを通過する。このため、第2欠歯ギヤ32は、歯部32cがギヤ30Rと噛み合って駆動力を伝達されて回転し始め(図11(b)参照)、リブ32aが付勢レバー38の対向面38bから離間する(図12(b)参照)。この際、上述のように、作動カム34は、第2欠歯ギヤ32とキー溝(不図示)で連結されているため、第2欠歯ギヤ32と同時に回転を開始する。
【0042】
その後、作動レバー37のレバー部37aが作動カム34の円周カム面34aと当接して、図8の時計方向にさらに回転することで、シャッタ連結部材19のシャッタ部材19a〜19dを、シートSの搬送経路から退避させる。作動カム34は、シートによって押されて移動したシャッタ連結部材19を更に退避位置へ移動させる。そして、作動カム34は退避位置でシャッタ連結部材19を保持する。つまり、シャッタ部材19a〜19dは、斜行補正された後に給送ローラ11や搬送ローラ対13で搬送されるシートSが転写ニップ部57a(16,17)に挟持されるまでの間、シートSの搬送経路から退避した退避位置に保持される。シートSの搬送経路から退避した退避位置にシャッタ部材19a〜19dが位置していた状態で、シートSが転写ニップ部57a(16,17)に挟持される。
【0043】
作動カム34が回転して作動レバー37のレバー部37aと作動カム34の円周カム面34aとの当接が解除されると、作動レバー37は反時計まわりの回転する(図9(a)参照)。このとき、作動レバー37の突き当て部37cは係止アーム36の穴部361を通り、係止アーム36が作動レバー37の突き当て部37cよりも上方に位置することで、作動レバー37のレバー部37aによる係止アーム36への押し上げが解除される。したがって、係止アーム36は、引張りコイルバネ35の付勢力で第1欠歯ギヤ31側の外周カム面31bに付勢される。また、捩りコイルばね27のバネ力よって、略一体的に回転するシャッタ連結部材19及び作動レバー37は、シャッタ部材19a〜19dが搬送されるシートの表面へ押す向きに付勢される。
【0044】
なお、本実施形態では、通過するシートSに接触しない状態を退避位置としているが、これに限定されるものではない。即ち、下流の転写部(第3搬送回転体)57にてシートSに波打ち等のダメージを生じさせない程度にシャッタ部材19a〜19dを退避させて、シートSに軽く接触しながらもシートSへの負荷を低減できる状態を退避位置としても良い。
【0045】
図9(a)で、円周カム面34aの長さL2と回転速度V2とは搬送ローラ対13のニップ部と、転写対向ローラ16及び転写ローラ17の転写ニップ部57aとの間の距離をL1、シートの搬送速度をV1とすると、次式(1)が成立する関係に設定される。
L1/V1≒L2/V2 ……(1)
【0046】
従って、シートSが転写部57のニップ部に挟持されて搬送され始めると、上記数式(1)が成り立つ関係としたことに基づき、作動レバー37のレバー部37aが作動カム34の凹部34bに位置する。これにより、作動レバー37と作動カム34との当接(摺接)が解除される。このため、作動レバー37及びシャッタ部材19a〜19dは、捩りコイルばね27の付勢圧により、シートSに当接する位置に戻されるが、この時点ではシートSは既に転写部57のニップ部に適正な状態で挟持されている。これにより、シートSは、シャッタ部材19a〜19dが軽く摺接する状態であっても、波打ち等を発生することなく、転写部57により円滑に転写されながら搬送される。
【0047】
作動レバー37が、そのボス部37bとシャッタ連結部材19との係合ガタ分係止アーム36の下方に移動する(図9(a)、図5(d)参照)ことで、その後、鉤部36aが係止カム311の爪部31aに再び係合し、鉤部36aが係止カム311を係止する。(図9(b)、図10(a),図11(d)、図12(d)参照)。この際、第1欠歯ギヤ31は、ギヤ30Rとの噛み合い位置に欠歯部31cが到達し、駆動源からの駆動力を断たれて停止する(図10(a)参照)。
【0048】
その後、第2欠歯ギヤ32は、図12(d)、図12(a)に示すように、付勢レバー38の対向面38bでリブ32aを付勢されることで、ギヤ30Rとの噛み合い位置に欠歯部32bが到達し、駆動源からの駆動力を断たれて停止する(図11(a)参照)。これにより、第1欠歯ギヤ31及び第2欠歯ギヤ32からなるダブル欠歯ギヤ33は、初期位置となる。
【0049】
そして、シートSの後端が搬送ローラ対13のニップ部を通過すると、シートSに摺接して支えられていたシャッタ部材19a〜19d(シャッタ連結部材19)が、捩りコイルばね27の付勢力で図9(b)の反時計方向に回動し、図6に示す初期位置に復帰する。
【0050】
以上のように、本実施形態では、シャッタ退避機構56にダブル欠歯ギヤ33を採用したことにより、以下の効果を得ることができる。即ち、本実施形態では、第1欠歯ギヤ31は、第2欠歯ギヤ32に対して決められた角度だけ回転した後、内部に設けられた突き当て部により第2欠歯ギヤ32と一体になって回転するように構成されている。このため、付勢レバー38で初期位置に保持された第2欠歯ギヤ32の負荷が作用しない軽い負荷状態において第1欠歯ギヤ31の爪部31aから鉤部36aを外すだけの軽い力を発揮できれば良い。従って、搬送されるシートSの先端でシャッタ部材19a〜19dを軽く押すだけの力で、作動レバー37を解除方向に回動させ、突き当て部37cで係止アーム36を解除方向に軽く回動させて、第1欠歯ギヤ31を解放して回転開始させることができる。そして、この回転開始に追従する形で第2欠歯ギヤ32を回転開始させ、リブ32aを付勢レバー38から離間させ、作動カム34を回転させて、その後の一連の動作を進行させることができる。
【0051】
また前述のように、シャッタ退避機構56は、作動レバー37に連動して回動し作動カム34の係止とこの係止の解除とを行う係止アーム(係止部材)36と、ギヤ(駆動ギヤ)30Rとを備えている。このギヤ30Rは、搬送ローラ対(第2搬送回転体)13を駆動する駆動源(不図示)からの駆動力を作動カム(カム部材)34に伝達可能に構成される。シャッタ退避機構56は、このような係止アーム36及びギヤ30Rの作動を用いて、シャッタ部材19a〜19dの退避位置での保持とこの保持の解除とを行うので、比較的簡単なメカニズムを提供することができ、コストダウンも期待できる。
【0052】
本実施形態では、従来の画像形成動作を変更することなく、シャッタ部材19a〜19dを、シートSが搬送ローラ対13を通過後に転写部57の転写ニップ部57aに挟持されるまで、シートSの搬送経路外に退避させることができる。これにより、搬送ローラ対13部分での坪量60g/m2を下回るような極薄シートやコシ弱いシートであっても、転写部57で挟持された際にシートSに生じる波打ち等のダメージを確実に防止することができる。このように、搬送されるシートSの厚みに拘わらず、下流の転写部57等で紙シワ等を発生させることなく、シートの斜行補正を行うことができ、シートSを良好に搬送する搬送能力を確保することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、本発明をカラーのレーザビームプリンタ53に適用した一例を挙げたが、これに限らず、モノクロプリンタに適用する構成であっても同様の効果を得ることができることは勿論である。
【0054】
<第2の実施形態>
次に、シート搬送装置55及びレーザビームプリンタ53の第2の実施形態について、図14〜図16を参照して説明する。図14〜図16は、本第2の実施形態におけるシャッタ退避機構56について説明する断面図であり、前述の実施形態と異なる構成についてのみを述べることにして、その他の構成は省略する。図中、前述の実施形態と共通の部分には同じ符号を付している。
【0055】
本第2の実施形態のシャッタ退避機構56は、ソレノイド41の動作でシャッタ部材19a〜19dを退避位置に保持する。
【0056】
具体的には、本シャッタ退避機構56は、シャッタ部材19a〜19dと一体的に回動する作動レバー(作動部材)37を有している。さらに、シャッタ退避機構56は、シャッタ部材19a〜19dが退避位置にあるときの作動レバー37の背面に当接して保持する回動レバー部材40と、回動レバー部材40を回動させるソレノイド(駆動部)41とを有している。
【0057】
即ち、本第2の実施形態ではダブル欠歯ギヤ33、作動カム34及び係止アーム36等は使用しないため、作動レバー37は、第1の実施形態におけるレバー部37a等を有する作動レバー37とは構成が異なっている。本実施形態の作動レバー37は、シャッタ連結部材19と一体に回動可能となるようにシャッタ連結部材19の軸受け部19R(図2参照)に上端部を連結され、レバー部37aが下方に延びた形状に構成されている。
【0058】
図14は、シャッタ部材19a〜19dをシート先端に対向させる初期位置の状態を示している。同図を含め図15及び図16では、図示の関係上、シャッタ連結部材19の長手方向に配置されたシャッタ部材19a〜19dのうちのシャッタ部材19aのみが図に現れている。
【0059】
図14に示すように、給送フレーム23R(図2参照)の所定位置に回動レバー部材40が軸44で回動可能に支持されている。そして、ソレノイド本体から進退自在なプランジャ41aの先端を回動レバー部材40の下端部40bにピン45で回動自在に連結されたソレノイド41が給送フレーム23Rに支持されている。回動レバー部材40は、上端部40aが作動レバー37のレバー部37aと対向する位置となるように位置が設定されている。このレバー部37aは、図14の時計方向に回動する際の前側が円弧状に形成され、後側(背面側)が、斜め形状の上端部40aと適切に当接可能に直線状に形成され、円弧状部分と直線状部分との間の部分はやや切り欠かれている。
【0060】
図15は、シャッタ部材19a〜19dにシート先端が突き当たった状態を示している。給送ローラ11(図1参照)よって搬送されてきたシートSの先端がシャッタ部材19a〜19dに突き当たると、このシートSの先端が搬送ローラ対13と平行になったときにシートSのコシがシャッタ連結部材19を付勢圧に打ち勝って押し開ける。これにより、このシートSは、斜行を補正されて、搬送ローラ対13のニップ部を通過する。
【0061】
同時に、作動レバー37が回動レバー部材40の上端部40aと当接可能な位置に回動し、センサフラグ28もシャッタ連結部材19と同じ角度だけ回動する。これにより、センサフラグ28がフォトインタラプタ29の光路を遮断するため、レーザビームプリンタ53に内蔵された制御部54(図1参照)が、フォトインタラプタ29の情報をもとに一連の画像形成動作を開始させる。
【0062】
引き続き、図16に示すように、シート先端が転写対向ローラ16及び転写ローラ17からなる転写部57のニップ部に到達するタイミングで、制御部54がソレノイド41のプランジャ41aをソレノイド本体に退入させる。これにより、回動レバー部材40が図15の反時計方向に回動し、その上端部40aを作動レバー37のレバー部37aに後方から当接させてその位置に保持する。このため、作動レバー37を伴って同方向に回動したシャッタ連結部材19が、シャッタ部材19a〜19dをシートSの搬送経路から退避させた退避位置に保持される。
【0063】
回動レバー部材40の上記回動タイミングは、センサフラグ28がフォトインタラプタ29の光路を遮断してから、搬送ローラ対13のニップ部と転写部57のニップ部との間の距離L1と、シートSの搬送速度V1との情報に基づいて適切に算出される。
【符号の説明】
【0064】
11…第1搬送回転体(給送ローラ)、13…第2搬送回転体(搬送ローラ対)、19a〜19d…シャッタ部材、20,21…定着部(定着フィルム,加圧ローラ)、30R…伝達機構,駆動ギヤ(ギヤ)、31,32…伝達機構,伝達ギヤ(第1欠歯ギヤ,第2欠歯ギヤ)、31c,32b…欠歯部、34…作動部材,カム部材(作動カム)、34a…保持カム面(円周カム面)、34b…許容カム面(凹部)、36…伝達機構,係止部材(係止アーム)、37…作動部材(作動レバー)、53…画像形成装置(レーザビームプリンタ)、55…シート搬送装置、57…第3搬送回転体,画像転写部,画像形成部(転写部)、57a…第3搬送回転体のニップ部,転写ニップ部、301…駆動源(駆動モータ)、S…シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの斜行を補正する機構を有するシート搬送装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では、シート位置に対する画像の記録位置が重要な画像品質要素となっている。そのため、従来の画像形成装置では、記録精度向上のために搭載する種々のシート斜行補正機構が提案されている。
【0003】
例えば、画像形成部に最も近いシート搬送方向上流側(以下、「上流側」という)において、シート搬送方向と直交する幅方向に延在するレジストレーションローラ対と、シャッタ部材とを配置したシート搬送装置が知られている。このシート搬送装置では、シートの先端をシャッタ部材に当接させてシートの斜行を補正するレジシャッタ方式を採用している。上記シャッタ部材は、レジストレーションローラ対の回転軸を中心としてシートの先端に当接してこのシートの先端を係止可能な姿勢と、シートを通過可能な姿勢とに揺動可能に構成されている。そして、シートがシャッタ部材を通過した後に、シートを通過可能な姿勢からシートの先端を係止可能な姿勢に戻る方向にバネ等の弾性部材で付勢されている。
【0004】
即ち、このシート搬送装置では、レジストレーションローラ対における搬送コロの回転軸に、軸方向に沿って所定間隔でシャッタ部材が回動可能に配置され、上流側の搬送ローラ対により搬送されるシートの先端をシャッタ部材の突き当て面に当接させる。そして、シートに徐々にループが形成され、シートの先端がシャッタ部材を押圧する力が大きくなってシャッタ部材が押されて回動して退避し、シートがシャッタ部材を通過する。シートの先端がシャッタ部材を押圧して回動させるときにシートの先端がシャッタ部材の当接面に倣い、シートの先端がシート搬送方向と直交する方向に整合される。この状態でレジストレーションローラ対によりシートを搬送することによってシートの斜行が補正されて搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−183539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の上記シート搬送装置では、シートがレジストレーションローラ対を搬送される際、バネ等の弾性部材によりシートの先端を係止可能な姿勢に戻るようにシャッタ部材が付勢されている。これにより、シャッタ部材がレジストレーションローラ対で搬送途中のシートの面を押圧している。このため、例えば坪量60g/m2を下回るような極薄シートや剛度の弱いシートでは、軸方向に所定間隔で配置されているシャッタ部材の押圧力によりシートが波打つ。そして、シートが波打ち状態で下流の画像形成部の転写ローラ部分(転写部)で挟持されると、紙シワ等が発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は、搬送されるシートの厚みに拘わらず、下流の転写部等で紙シワ等を発生させることなく、シートの斜行補正を行い得るシート搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート搬送装置において、シートを搬送する第1搬送回転体と、前記第1搬送回転体のシート搬送方向下流に順次配置された第2搬送回転体及び第3搬送回転体と、前記第1搬送回転体の下流かつ前記第2搬送回転体のニップ部の上流で搬送されるシートの先端がシートの斜行補正のために当接し、搬送されるシートに押されて移動するシャッタ部材と、搬送されるシートに押されて移動した前記シャッタ部材を、シートの搬送経路から退避する退避位置に移動させ、前記第2搬送回転体により搬送される前記シートが前記第3搬送回転体に先端を挟持されるまで、前記退避位置に前記シャッタ部材を保持する作動部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明は、画像形成装置において、シートを搬送する第1搬送回転体と、前記第1搬送回転体のシート搬送方向下流に配置された第2搬送回転体と、前記第2搬送回転体のシート搬送方向下流に配置された転写ニップ部にてシートにトナー像を転写する画像転写部と、前記画像転写部によって転写されたトナー像をシートに定着する定着部と、前記第1搬送回転体の下流かつ前記第2搬送回転体のニップ部の上流で搬送されるシートの先端がシートの斜行補正のために当接され、搬送されるシートに押されて移動するシャッタ部材と、搬送されるシートに押されて移動した前記シャッタ部材を、シートの搬送経路から退避する退避位置に移動させ、前記第2搬送回転体により搬送される前記シートが、前記転写ニップに先端を挟持されるまで、前記退避位置に前記シャッタ部材を保持する作動部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、斜行補正を行うシャッタ部材をシートが押して移動した後、下流側でシートが挟持されるまで、シャッタ部材を退避位置に保持させておくので、紙シワ等を発生させずに斜行補正ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1の実施形態における画像形成装置を示す断面図。
【図2】シャッタ退避機構を示す平面図。
【図3】シャッタ退避機構を示す概略斜視図。
【図4】(a),(b)は、シャッタ退避機構を示す図3の拡大図。
【図5】(a)〜(e)は、シャッタ退避機構を示す斜視図。
【図6】シャッタ退避機構を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た状態を示す断面図。
【図7】シャッタ退避機構を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た別の状態を示す断面図。
【図8】シャッタ退避機構を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た更に別の状態を示す断面図。
【図9】(a),(b)は、シャッタ退避機構を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た更に更に別の状態を示す断面図。
【図10】(a),(b),(c),(d)は第1欠歯ギヤの一連の動きを示す側面図。
【図11】(a),(b),(c),(d)は第2欠歯ギヤと作動カムの一連の動きを示す側面図。
【図12】(a),(b),(c),(d)は第2欠歯ギヤと付勢レバーの一連の動きを示す側面図。
【図13】(a),(b),(c),(d),(e)は作動カム、係止カム、作動レバー等の一連の動きを示す斜視図。
【図14】本発明に係る第2の実施形態におけるシャッタ退避機構を示す断面図。
【図15】第2の実施形態におけるシャッタ退避機構を示す断面図。
【図16】第2の実施形態におけるシャッタ退避機構を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図1は、本発明に係る第1の実施形態の、シート搬送装置55を備えた画像形成装置であるレーザビームプリンタ53の全体を示す概略断面図である。図2は、本実施形態のシャッタ退避機構56を示す平面図、図3は本実施形態のシャッタ退避機構56を示す概略斜視図である。
【0013】
まず、図1を参照して、本実施形態のレーザビームプリンタ53に関して全体的構成及び機能について説明する。レーザビームプリンタ53は、各部を統括的に制御する制御部54を有している。レーザビームプリンタ53のプリンタ本体53Aの下部に装着された給送トレイ10に収容されたシートSは、図中の反時計方向に回転する給送ローラ(第1搬送回転体)11により送り出され、分離パッド12により一枚ずつ分離されて給送される。給送ローラ11により給送されたシートSは、搬送コロ14及び搬送ローラ15からなる搬送ローラ対(第2搬送回転体)13により搬送されて、転写対向ローラ16及び転写ローラ17からなる転写部(第3搬送回転体)57の転写ニップ部57aへ搬送される。これら搬送ローラ対13及び転写部57は、給送ローラ11のシート搬送方向下流に順次配置されている。転写部57は、画像転写部とともに、シートSに画像を形成する画像形成部も構成している。なお、給送ローラ11、搬送ローラ対13、転写対向ローラ16及び転写ローラ17等により、シート搬送装置55が構成されている。
【0014】
感光ドラム1,2,3,4は、それぞれ図中の時計回り方向に回転しており、各外周面には、レーザスキャナ9からのレーザ光により静電潜像が順次形成され、続いて、その静電潜像が現像ローラ5,6,7,8でそれぞれ現像され、トナー像が形成される。
【0015】
感光ドラム1〜4に形成された各トナー像は、図中の反時計回り方向に回転している中間転写ベルト18に転写される。カラー画像を形成する場合は、感光ドラム1〜4にイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色が現像される。そして、それぞれに形成されたトナー像が、中間転写ベルト18に転写される。次に、中間転写ベルト18に形成されたトナー像は、転写対向ローラ16と転写ローラ17とのニップ部に送られたシートSに転写される。
【0016】
さらに、トナー像が転写されたシートSは、定着フィルム20及び加圧ローラ21からなる定着部のニップ部へ送られ、ここで加熱加圧されて、トナー像がシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ22と排出コロ42とにより、シート排出トレイ43に排出される。なお、符号46,47はテンションローラを、48は駆動ローラを、49は一次転写ローラを、それぞれ示している。
【0017】
図2に示すように、搬送ローラ対13における搬送ローラ15は、給送フレーム23L,23Rにそれぞれ設けられた軸受け24L,24Rによって回転可能に支持されている。これら給送フレーム23L,23Rは、シート搬送方向と直交する幅方向(図2の左右方向)の両側においてプリンタ本体53Aに支持されている。搬送ローラ対13における搬送コロ14は、給送フレーム23L,23Rにそれぞれ設けられた軸受け25L,25Rによって回転可能に支持されている。これら軸受け25L,25Rは、シート搬送方向と直交する幅方向の両側においてプリンタ本体53Aに支持されている。
【0018】
搬送ローラ15及び搬送コロ14は、それぞれ、シート搬送方向と直交する幅方向にて互いに対向する位置関係で複数に分割されたローラ本体15bとローラ本体14bとを有して構成されている。搬送ローラ15は、回転軸15aと、回転軸15aに固着されてこの回転軸15aと一体的に回転するローラ本体15bとを有している。搬送コロ14は、回転軸14aと、回転軸14aに個々に回転自在に支持されたローラ本体14bとを有している。
【0019】
搬送ローラ対13の位置には、シャッタ連結部材19が配設されている。シャッタ連結部材19は、シャッタ部材19a,19b,19c,19dと、連結部材26とから構成されている。シャッタ部材19a〜19dは、分割された搬送ローラ対13の隙間に配置された突き当て面を有する。連結部材26は、両端に配置された軸受け部19L,19Rと、シャッタ部材19a〜19dを長手方向に連結して軸受け部19L,19Rとに支持されている。シャッタ部材19a〜19dは、給送ローラ11の下流で且つ搬送ローラ対13のニップ部の上流で、搬送されるシートSを初期位置で当接させて斜行補正を行ってから搬送ローラ対13のニップ部に送り込む動作をする。この初期位置に位置したシャッタ部材19a〜19dは、搬送されてくるシートの先端を係止可能な姿勢である。シャッタ部材19a〜19dは、給送ローラ11により搬送されるシートSの先端で押された際に斜行補正を行ってから、シャッタの突き当て面が搬送路から退く退避位置の方へ回動可能となるように支持されている。
【0020】
即ち、シャッタ連結部材19は、両端に設けた軸受け19L,19Rと、搬送ローラ15を支持する軸受け24L,24Rとが各々嵌合することで、搬送ローラ15回りに回動可能に配置されている。これら軸受け24L,24Rは、シート搬送方向と直交する幅方向の両側において給送フレーム23L,23Rにそれぞれ支持されている。
【0021】
また、シャッタ部材19a,19b,19c,19dを初期位置に付勢する付勢部材としての捩りコイルばね27が、軸受け19Rに対して摺動可能に嵌合されている。捩りコイルばね27は、その一端が連結部材26の図中右端部に設けられた穴部(不図示)に係止され、他端が給送フレーム23Rに係止された状態で、シャッタ連結部材19全体をシート搬送方向と逆方向に付勢している。また、軸受け部19Rには、シートSの有無を検知するためのセンサフラグ28がシャッタ連結部材19の長手方向と直交する方向に突出する形で固定されている。センサフラグ28の対向位置には、このセンサフラグ28を検知するフォトインタラプタ29が配設されている。
【0022】
図3に示すように、搬送ローラ15の両端には、搬送ローラ15と一体となって回転するギヤ30L,30Rがそれぞれ設けられている。ギヤ30Lは、駆動源である駆動モータ301からの駆動力(回転駆動力)を搬送ローラ15に伝達するものであり、ギヤ30Rは、次に説明するシャッタ連結部材19を動作させる機構に駆動力を伝達する駆動ギヤを構成している。
【0023】
図4(a),(b)は、図3に示した本実施形態のシャッタ退避機構56の拡大斜視図であり、図4(b)は、図4(a)から給送フレーム23Rを図示省略したものである。図6は、本実施形態におけるシャッタ退避機構56を図4(b)のA−A線で切断して矢視方向に見た状態を示す断面図である。また、図10(a)〜(d)は、第1欠歯ギヤ31の一連の動きを示す側面図であり、図11(a)〜(d)は、第2欠歯ギヤ32と、作動部材としての作動カム34の一連の動きを示す側面図である。図12(a)〜(d)は、第2欠歯ギヤ32と付勢レバー38の一連の動きを示す側面図である。なお、図12(a)〜(d)は、図10(a)〜(d)及び図11(a)〜(d)の反対側から見た状態で示している。本実施形態では、第1欠歯ギヤ31や第2欠歯ギヤ32が、ギヤ30Rからの駆動力を作動カム34に伝達する伝達ギヤを構成する。また本実施形態では、ギヤ30R、第1欠歯ギヤ31、第2欠歯ギヤ32、後述の係止アーム36等により、伝達機構が構成される。
【0024】
図4(a),(b)に示すように、ギヤ30Rの連結位置には、互いに同径で同軸上に連結された第1欠歯ギヤ31と第2欠歯ギヤ32とで構成されるダブル欠歯ギヤ33が配置されている。第1欠歯ギヤ31及び第2欠歯ギヤ32は共にギヤ30Rに噛み合うように構成されている。
【0025】
第1欠歯ギヤ31は、円周に形成された歯部31d(図10)の一部を欠歯状にされた欠歯部31c(図10)を有している。第2欠歯ギヤ32は、この第1欠歯ギヤ31と軸方向で重なるように同径に形成され、円周に形成された歯部32cの一部を欠歯状にされた欠歯部32b(図11)を有している。これら欠歯部(欠け歯部)31c,32bは、円周方向の長さが等しく形成されている。
【0026】
第1欠歯ギヤ31は、第2欠歯ギヤ32の回転軸51を中心として回転可能に設けられ、第2欠歯ギヤ32に対して決められた角度だけ回転した後、内部に設けられた突き当て部(不図示)により第2欠歯ギヤ32と一体になって回転する。第1欠歯ギヤ31は、第2欠歯ギヤ32との間に設けられたバネ(不図示)により、図6〜図9の反時計方向に回転するように付勢されている。
【0027】
図4(a),(b)及び図10(a)〜(d)に示すように、第1欠歯ギヤ31は、回転軸51で同軸に支持された作動カム34との間に位置する係止カム311を側面に一体にした形で有している。この係止カム311は、外周カム面31b及び爪部31aを外周に有して第1欠歯ギヤ31に同軸上に連結されている。つまり、係止カム311は、全体的に略円形状を呈し、円周の多くを占める外周カム面31bと円周の一部に形成された爪部31aとを外周に有するカム形状に構成されて第1欠歯ギヤ31に同軸上に連結されている。
【0028】
また、作動カム34は、図6に示す円周カム面(保持カム面)34a及び凹部(許容カム面)34bを外周に有して第2欠歯ギヤ32に同軸上に連結された、一方向回転可能なカム部材を構成している。凹部(許容カム面)34bは、シャッタ部材19a〜19dが初期位置から退避位置に向けて回動する際の作動カム(作動部材)34の回動を許容する。円周カム面(保持カム面)34aは、シャッタ部材19a〜19dが退避位置にあるときの作動レバー37の背面に当接して保持する。作動カム34は、第1欠歯ギヤ31、係止カム311及び第2欠歯ギヤ32と同軸に配置され、かつ略円形状に形成され、上記円周カム面34aと、円周カム面34aより小径となるように切り欠かれた上記凹部34bとを有している。
【0029】
第2欠歯ギヤ32は、シャッタ連結部材19の位置を作動する作動カム34(図11も併せて参照)と、第1欠歯ギヤ31及び係止カム311を挟む形でキー溝(不図示)で連結されている。図5(a)の符号31eは、キーを貫通させる穴部である。さらに、第2欠歯ギヤ32は、図12に示すように、外面(側面)の外縁部に略円弧状のリブ32aを一体に有している。また、リブ32aとダブル欠歯ギヤ33の初期停止位置で対向する対向面38bを有する付勢レバー38が、プリンタ本体53Aに支持された軸50を回動として可能に設けられている。
【0030】
図4(a),(b)及び図12(a)〜(d)に示すように、付勢レバー38は、捩りコイルばね39により、ダブル欠歯ギヤ33方向に付勢されている。捩りコイルばね39は、一端部がプリンタ本体53A側に係合し、他端部が付勢レバー38の上部係合部38aに係合することで、付勢レバー38に付勢力を付与している。図4における符号35は引張りコイルバネ、符号37は、シャッタ部材19a〜19dと概ね一体的に回動する作動部材(作動カム34との当接部)としての作動レバーを示している。シャッタ連結部材19と作動レバー37によってシャッタ部が構成される。
【0031】
図5(a)乃至図5(e)および図13(a)乃至図13(e)は、本実施形態におけるシャッタ退避機構56を示す斜視図である。シャッタ退避機構56は、斜行補正を施されて搬送ローラ対13により搬送されるシートSが転写部57のニップ部に先端を挟持されるまで、シャッタ部材19a〜19dを、シートSの搬送経路から退避する退避位置に保持する。また、シャッタ退避機構56は、転写部57のニップ部にシートSの先端が挟持されると、シャッタ部材19a〜19dが初期位置に向けて復帰可能となるように退避位置での保持を解除(保持解除)する。
【0032】
即ち、図5(a)乃至図5(e)及び図13(a)乃至図13(e)に示すように、第1欠歯ギヤ31の外周カム面31bの対向位置には、引張りコイルバネ35で外周カム面31bに付勢された回転可能なL字形状の係止アーム(係止部材)36が配設されている。係止アーム36は、係止カム311の爪部31aに係脱する鉤部36aを先端に有し、その長尺部分の後端が軸52により回転軸15a側に回転可能に支持され、鉤部36aを係止カム311の外周カム面31bに摺動(摺接)できるように配置されている。更に、図13(a)乃至図13(e)に示されるように、係止アーム36には、中央部に穴部361が形成されている。
【0033】
また、図4(a),(b)に示すように、作動カム34の円周カム面34aとの対向位置には、作動レバー37が配設されている。作動レバー37は、搬送ローラ15を支持する軸受け24Rと嵌合し且つ搬送ローラ15を中心として回転可能に構成されている。この作動レバー37は、図4(a),(b)及び図5(a)乃至図5(e)に示すように、レバー部37aと、搬送ローラ15と平行なボス部37bと、突き当て部37cとを有している。
【0034】
図4(a),(b)及び図6に示すように、レバー部37aは、作動カム34の円周カム面34aと摺動(摺接)する。図13(a)乃至図13(e)及び図5(a)乃至図5(e)に示すように、ボス部37b(図4(a),(b)参照)は、シャッタ連結部材19の軸受け部19Rと係合することで、シャッタ連結部材19と作動レバー37とを一体で回動させるように連結している。突き当て部37cは、図13(a)乃至図13(e)及び図5(a)乃至図5(e)に示すように、以下のようになる。つまり、シャッタ連結部材19が図5(b)の矢印A方向に回動したとき、L字形状の係止アーム36の下面に当接して係止アーム36を、引張りコイルバネ35の付勢力に抗して図5(b)の矢印B方向に押し上げる。
【0035】
その後作動レバー37は、作動カム34のカム面34aと当接し回転すると、作動レバー37の突き当て部37cは係止アーム36の穴部361を通り上方に移動することで、係止アーム36と作動レバー37の押し上げが解除される。その後、作動レバー37と作動カム34のカム面34aの当接が解除されると、作動レバー37が矢印Aの逆方向に回転し、シャッタ連結部材19との係合ガタ分係止アーム36の下方に移動する。
【0036】
以下、シャッタ連結部材19の退避機構について図6〜図12を参照して説明する。なお、図6〜図8、図9(a)、図9(b)は、図4(b)におけるA−A線の矢視方向に見た状態で示す断面図であり、図示の関係上、シャッタ連結部材19の長手方向に配置されたシャッタ部材19a〜19dのうちのシャッタ部材19aのみが図に現れている。
【0037】
図6、図10(a)、図11(a)及び図12(a)は初期位置を示している。L字形状の係止アーム36の鉤部36aで、第1欠歯ギヤ31と一体の係止カム311の爪部31aが係止される。そして、付勢レバー38が対向面38bで第2欠歯ギヤ32のリブ32aを付勢することで(図12(a)参照)、ダブル欠歯ギヤ33と作動カム34とが同図の初期位置に停止する。この際、第1欠歯ギヤ31の欠歯部31cと第2欠歯ギヤ32の欠歯部32bとは、円周方向の同じ位置で軸方向に重なっている。
【0038】
略一体的に回転するシャッタ連結部材19と作動レバー37は(図4、図5参照)、捩りコイルばね27で付勢されることにより、シャッタ部材19a〜19dがシートSの先端に当接してこのシート先端を係止し得る初期位置に係止される。その時、作動レバー37のレバー部37aは、作動カム34と当接しない凹部34bの位置にある。合わせて、シャッタ連結部材19と一体に回動可能なセンサフラグ28は、フォトインタラプタ29の光路を透過させる位置関係に設定されている。
【0039】
次に、給送ローラ11によって搬送されてきたシートSの先端が、シャッタ部材19a〜19dに突き当たる。すると、シート先端が搬送ローラ対13の軸方向と平行になった時にシートSのコシがシャッタ連結部材19を捩りコイルばね27の付勢圧(力)に打ち勝って押し開ける。これにより、このシートSは、図7に示すように、姿勢を補正されて搬送ローラ対13のニップを通過する。即ち、シートSの先端がシャッタ部材19a〜19dを押して回動させている途中で、シートSの先端は搬送ローラ対13にニップされる。
【0040】
作動レバー37が、図7の時計方向に回動して突き当て部37cで係止アーム36を押し上げるため(図5(b)参照)、第1欠歯ギヤ31と一体の爪部31aと鉤部36aとの係止が解除(係止解除)される(図10(b)参照)。第1欠歯ギヤ31は、第2欠歯ギヤ32との間に設けられたバネ(不図示)の付勢力で図7及び図10(b)の反時計方向に回転して欠歯部31cがギヤ30Rを通過することで、歯部31dがギヤ30Rと噛み合い駆動源(不図示)からの駆動力を伝達される。この時、センサフラグ28はシャッタ連結部材19と同じ角度だけ回動するため、フォトインタラプタ29の発光・受光部間の光路を遮断し、制御部54がこの情報をもとに一連の画像形成動作を開始させる。
【0041】
次に、図8に示すように、第2欠歯ギヤ32は、内部に設けられた突き当て部(不図示)により第1欠歯ギヤ31と一体的に(共に)同方向に回転して欠歯部32bがギヤ30Rを通過する。このため、第2欠歯ギヤ32は、歯部32cがギヤ30Rと噛み合って駆動力を伝達されて回転し始め(図11(b)参照)、リブ32aが付勢レバー38の対向面38bから離間する(図12(b)参照)。この際、上述のように、作動カム34は、第2欠歯ギヤ32とキー溝(不図示)で連結されているため、第2欠歯ギヤ32と同時に回転を開始する。
【0042】
その後、作動レバー37のレバー部37aが作動カム34の円周カム面34aと当接して、図8の時計方向にさらに回転することで、シャッタ連結部材19のシャッタ部材19a〜19dを、シートSの搬送経路から退避させる。作動カム34は、シートによって押されて移動したシャッタ連結部材19を更に退避位置へ移動させる。そして、作動カム34は退避位置でシャッタ連結部材19を保持する。つまり、シャッタ部材19a〜19dは、斜行補正された後に給送ローラ11や搬送ローラ対13で搬送されるシートSが転写ニップ部57a(16,17)に挟持されるまでの間、シートSの搬送経路から退避した退避位置に保持される。シートSの搬送経路から退避した退避位置にシャッタ部材19a〜19dが位置していた状態で、シートSが転写ニップ部57a(16,17)に挟持される。
【0043】
作動カム34が回転して作動レバー37のレバー部37aと作動カム34の円周カム面34aとの当接が解除されると、作動レバー37は反時計まわりの回転する(図9(a)参照)。このとき、作動レバー37の突き当て部37cは係止アーム36の穴部361を通り、係止アーム36が作動レバー37の突き当て部37cよりも上方に位置することで、作動レバー37のレバー部37aによる係止アーム36への押し上げが解除される。したがって、係止アーム36は、引張りコイルバネ35の付勢力で第1欠歯ギヤ31側の外周カム面31bに付勢される。また、捩りコイルばね27のバネ力よって、略一体的に回転するシャッタ連結部材19及び作動レバー37は、シャッタ部材19a〜19dが搬送されるシートの表面へ押す向きに付勢される。
【0044】
なお、本実施形態では、通過するシートSに接触しない状態を退避位置としているが、これに限定されるものではない。即ち、下流の転写部(第3搬送回転体)57にてシートSに波打ち等のダメージを生じさせない程度にシャッタ部材19a〜19dを退避させて、シートSに軽く接触しながらもシートSへの負荷を低減できる状態を退避位置としても良い。
【0045】
図9(a)で、円周カム面34aの長さL2と回転速度V2とは搬送ローラ対13のニップ部と、転写対向ローラ16及び転写ローラ17の転写ニップ部57aとの間の距離をL1、シートの搬送速度をV1とすると、次式(1)が成立する関係に設定される。
L1/V1≒L2/V2 ……(1)
【0046】
従って、シートSが転写部57のニップ部に挟持されて搬送され始めると、上記数式(1)が成り立つ関係としたことに基づき、作動レバー37のレバー部37aが作動カム34の凹部34bに位置する。これにより、作動レバー37と作動カム34との当接(摺接)が解除される。このため、作動レバー37及びシャッタ部材19a〜19dは、捩りコイルばね27の付勢圧により、シートSに当接する位置に戻されるが、この時点ではシートSは既に転写部57のニップ部に適正な状態で挟持されている。これにより、シートSは、シャッタ部材19a〜19dが軽く摺接する状態であっても、波打ち等を発生することなく、転写部57により円滑に転写されながら搬送される。
【0047】
作動レバー37が、そのボス部37bとシャッタ連結部材19との係合ガタ分係止アーム36の下方に移動する(図9(a)、図5(d)参照)ことで、その後、鉤部36aが係止カム311の爪部31aに再び係合し、鉤部36aが係止カム311を係止する。(図9(b)、図10(a),図11(d)、図12(d)参照)。この際、第1欠歯ギヤ31は、ギヤ30Rとの噛み合い位置に欠歯部31cが到達し、駆動源からの駆動力を断たれて停止する(図10(a)参照)。
【0048】
その後、第2欠歯ギヤ32は、図12(d)、図12(a)に示すように、付勢レバー38の対向面38bでリブ32aを付勢されることで、ギヤ30Rとの噛み合い位置に欠歯部32bが到達し、駆動源からの駆動力を断たれて停止する(図11(a)参照)。これにより、第1欠歯ギヤ31及び第2欠歯ギヤ32からなるダブル欠歯ギヤ33は、初期位置となる。
【0049】
そして、シートSの後端が搬送ローラ対13のニップ部を通過すると、シートSに摺接して支えられていたシャッタ部材19a〜19d(シャッタ連結部材19)が、捩りコイルばね27の付勢力で図9(b)の反時計方向に回動し、図6に示す初期位置に復帰する。
【0050】
以上のように、本実施形態では、シャッタ退避機構56にダブル欠歯ギヤ33を採用したことにより、以下の効果を得ることができる。即ち、本実施形態では、第1欠歯ギヤ31は、第2欠歯ギヤ32に対して決められた角度だけ回転した後、内部に設けられた突き当て部により第2欠歯ギヤ32と一体になって回転するように構成されている。このため、付勢レバー38で初期位置に保持された第2欠歯ギヤ32の負荷が作用しない軽い負荷状態において第1欠歯ギヤ31の爪部31aから鉤部36aを外すだけの軽い力を発揮できれば良い。従って、搬送されるシートSの先端でシャッタ部材19a〜19dを軽く押すだけの力で、作動レバー37を解除方向に回動させ、突き当て部37cで係止アーム36を解除方向に軽く回動させて、第1欠歯ギヤ31を解放して回転開始させることができる。そして、この回転開始に追従する形で第2欠歯ギヤ32を回転開始させ、リブ32aを付勢レバー38から離間させ、作動カム34を回転させて、その後の一連の動作を進行させることができる。
【0051】
また前述のように、シャッタ退避機構56は、作動レバー37に連動して回動し作動カム34の係止とこの係止の解除とを行う係止アーム(係止部材)36と、ギヤ(駆動ギヤ)30Rとを備えている。このギヤ30Rは、搬送ローラ対(第2搬送回転体)13を駆動する駆動源(不図示)からの駆動力を作動カム(カム部材)34に伝達可能に構成される。シャッタ退避機構56は、このような係止アーム36及びギヤ30Rの作動を用いて、シャッタ部材19a〜19dの退避位置での保持とこの保持の解除とを行うので、比較的簡単なメカニズムを提供することができ、コストダウンも期待できる。
【0052】
本実施形態では、従来の画像形成動作を変更することなく、シャッタ部材19a〜19dを、シートSが搬送ローラ対13を通過後に転写部57の転写ニップ部57aに挟持されるまで、シートSの搬送経路外に退避させることができる。これにより、搬送ローラ対13部分での坪量60g/m2を下回るような極薄シートやコシ弱いシートであっても、転写部57で挟持された際にシートSに生じる波打ち等のダメージを確実に防止することができる。このように、搬送されるシートSの厚みに拘わらず、下流の転写部57等で紙シワ等を発生させることなく、シートの斜行補正を行うことができ、シートSを良好に搬送する搬送能力を確保することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、本発明をカラーのレーザビームプリンタ53に適用した一例を挙げたが、これに限らず、モノクロプリンタに適用する構成であっても同様の効果を得ることができることは勿論である。
【0054】
<第2の実施形態>
次に、シート搬送装置55及びレーザビームプリンタ53の第2の実施形態について、図14〜図16を参照して説明する。図14〜図16は、本第2の実施形態におけるシャッタ退避機構56について説明する断面図であり、前述の実施形態と異なる構成についてのみを述べることにして、その他の構成は省略する。図中、前述の実施形態と共通の部分には同じ符号を付している。
【0055】
本第2の実施形態のシャッタ退避機構56は、ソレノイド41の動作でシャッタ部材19a〜19dを退避位置に保持する。
【0056】
具体的には、本シャッタ退避機構56は、シャッタ部材19a〜19dと一体的に回動する作動レバー(作動部材)37を有している。さらに、シャッタ退避機構56は、シャッタ部材19a〜19dが退避位置にあるときの作動レバー37の背面に当接して保持する回動レバー部材40と、回動レバー部材40を回動させるソレノイド(駆動部)41とを有している。
【0057】
即ち、本第2の実施形態ではダブル欠歯ギヤ33、作動カム34及び係止アーム36等は使用しないため、作動レバー37は、第1の実施形態におけるレバー部37a等を有する作動レバー37とは構成が異なっている。本実施形態の作動レバー37は、シャッタ連結部材19と一体に回動可能となるようにシャッタ連結部材19の軸受け部19R(図2参照)に上端部を連結され、レバー部37aが下方に延びた形状に構成されている。
【0058】
図14は、シャッタ部材19a〜19dをシート先端に対向させる初期位置の状態を示している。同図を含め図15及び図16では、図示の関係上、シャッタ連結部材19の長手方向に配置されたシャッタ部材19a〜19dのうちのシャッタ部材19aのみが図に現れている。
【0059】
図14に示すように、給送フレーム23R(図2参照)の所定位置に回動レバー部材40が軸44で回動可能に支持されている。そして、ソレノイド本体から進退自在なプランジャ41aの先端を回動レバー部材40の下端部40bにピン45で回動自在に連結されたソレノイド41が給送フレーム23Rに支持されている。回動レバー部材40は、上端部40aが作動レバー37のレバー部37aと対向する位置となるように位置が設定されている。このレバー部37aは、図14の時計方向に回動する際の前側が円弧状に形成され、後側(背面側)が、斜め形状の上端部40aと適切に当接可能に直線状に形成され、円弧状部分と直線状部分との間の部分はやや切り欠かれている。
【0060】
図15は、シャッタ部材19a〜19dにシート先端が突き当たった状態を示している。給送ローラ11(図1参照)よって搬送されてきたシートSの先端がシャッタ部材19a〜19dに突き当たると、このシートSの先端が搬送ローラ対13と平行になったときにシートSのコシがシャッタ連結部材19を付勢圧に打ち勝って押し開ける。これにより、このシートSは、斜行を補正されて、搬送ローラ対13のニップ部を通過する。
【0061】
同時に、作動レバー37が回動レバー部材40の上端部40aと当接可能な位置に回動し、センサフラグ28もシャッタ連結部材19と同じ角度だけ回動する。これにより、センサフラグ28がフォトインタラプタ29の光路を遮断するため、レーザビームプリンタ53に内蔵された制御部54(図1参照)が、フォトインタラプタ29の情報をもとに一連の画像形成動作を開始させる。
【0062】
引き続き、図16に示すように、シート先端が転写対向ローラ16及び転写ローラ17からなる転写部57のニップ部に到達するタイミングで、制御部54がソレノイド41のプランジャ41aをソレノイド本体に退入させる。これにより、回動レバー部材40が図15の反時計方向に回動し、その上端部40aを作動レバー37のレバー部37aに後方から当接させてその位置に保持する。このため、作動レバー37を伴って同方向に回動したシャッタ連結部材19が、シャッタ部材19a〜19dをシートSの搬送経路から退避させた退避位置に保持される。
【0063】
回動レバー部材40の上記回動タイミングは、センサフラグ28がフォトインタラプタ29の光路を遮断してから、搬送ローラ対13のニップ部と転写部57のニップ部との間の距離L1と、シートSの搬送速度V1との情報に基づいて適切に算出される。
【符号の説明】
【0064】
11…第1搬送回転体(給送ローラ)、13…第2搬送回転体(搬送ローラ対)、19a〜19d…シャッタ部材、20,21…定着部(定着フィルム,加圧ローラ)、30R…伝達機構,駆動ギヤ(ギヤ)、31,32…伝達機構,伝達ギヤ(第1欠歯ギヤ,第2欠歯ギヤ)、31c,32b…欠歯部、34…作動部材,カム部材(作動カム)、34a…保持カム面(円周カム面)、34b…許容カム面(凹部)、36…伝達機構,係止部材(係止アーム)、37…作動部材(作動レバー)、53…画像形成装置(レーザビームプリンタ)、55…シート搬送装置、57…第3搬送回転体,画像転写部,画像形成部(転写部)、57a…第3搬送回転体のニップ部,転写ニップ部、301…駆動源(駆動モータ)、S…シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1搬送回転体と、
前記第1搬送回転体のシート搬送方向下流に順次配置された第2搬送回転体及び第3搬送回転体と、
前記第1搬送回転体の下流かつ前記第2搬送回転体のニップ部の上流で搬送されるシートの先端がシートの斜行補正のために当接し、搬送されるシートに押されて移動するシャッタ部材と、
搬送されるシートに押されて移動した前記シャッタ部材を、シートの搬送経路から退避する退避位置に移動させ、前記第2搬送回転体により搬送される前記シートが前記第3搬送回転体に先端を挟持されるまで、前記退避位置に前記シャッタ部材を保持する作動部材と、を有する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第2搬送回転体と前記作動部材を駆動する駆動源と、
搬送されるシートに押されることによる前記シャッタ部材の移動に連動して、前記作動部材が前記シャッタ部材を前記退避位置に位置させるように前記駆動源から前記作動部材に駆動力を伝達する伝達機構と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記作動部材は、前記第3搬送回転体にシートの先端が挟持されると、搬送されるシートの先端が当接される初期位置に向けて前記シャッタ部材が復帰可能となるように前記退避位置での前記シャッタ部材の保持を解除する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記作動部材は、搬送されるシートの先端が当接される初期位置から前記退避位置へと向かう前記シャッタ部の移動を許容する許容カム面と、前記シャッタ部を前記退避位置に保持するように前記シャッタ部の当接部に当接する保持カム面と、を有する、回転可能なカム部材であり、
前記伝達機構は、前記駆動源からの回転駆動力を前記カム部材が回転するように伝達する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記伝達機構は、前記カム部材の回転を止める係止と前記係止の解除とを行う前記シャッタ部に連動する係止部材と、前記駆動源からの駆動力を前記カム部材に伝達可能な駆動ギヤと、を備え、
前記係止部材及び前記駆動ギヤの作動を用いて、前記シャッタ部の前記退避位置での保持と保持解除とを行う、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記伝達機構は、前記駆動ギヤと噛み合い 前記駆動源から前記駆動ギヤに伝達された駆動力を前記カム部材に伝達可能な、欠け歯部を備えた伝達ギヤを備え、
前記係止部材は、前記欠け歯部が前記駆動ギヤと向き合う位置で前記伝達ギヤを係止し、係止解除するようにシートに押されて移動する前記シャッタ部に前記係止部材が連動することで前記駆動源から前記駆動ギヤに伝達された駆動力を前記伝達ギヤが前記カム部材に伝達し、そして前記カム部材が前記シャッタ部を保持するように前記シャッタ部に当接する、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートを搬送する第1搬送回転体と、
前記第1搬送回転体のシート搬送方向下流に配置された第2搬送回転体と、
前記第2搬送回転体のシート搬送方向下流に配置された転写ニップ部にてシートにトナー像を転写する画像転写部と、
前記画像転写部によって転写されたトナー像をシートに定着する定着部と、
前記第1搬送回転体の下流かつ前記第2搬送回転体のニップ部の上流で搬送されるシートの先端がシートの斜行補正のために当接され、搬送されるシートに押されて移動するシャッタ部材と、
搬送されるシートに押されて移動した前記シャッタ部材を、シートの搬送経路から退避する退避位置に移動させ、前記第2搬送回転体により搬送される前記シートが、前記転写ニップに先端を挟持されるまで、前記退避位置に前記シャッタ部材を保持する作動部材と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記第2搬送回転体及び前記作動部材を駆動する駆動源と、
搬送されるシートに押されることによる前記シャッタ部材の移動に連動して、前記作動部材が前記シャッタ部材を前記退避位置に位置させるように前記駆動源から前記作動部材に駆動力を伝達する伝達機構と、を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記作動部材は、前記転写ニップ部にシートの先端が挟持されると、搬送されるシートの先端が当接される初期位置に向けて前記シャッタ部材が復帰可能となるように前記退避位置での前記シャッタ部材の保持を解除する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記作動部材は、搬送されるシートの先端が当接される初期位置から前記退避位置へと向かう前記シャッタ部の移動を許容する許容カム面と、前記シャッタ部を前記退避位置に保持するように前記シャッタ部の当接部に当接する保持カム面と、を有する、回転可能なカム部材であり、
前記伝達機構は、前記駆動源からの回転駆動力を前記カム部材が回転するように伝達する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記伝達機構は、前記カム部材の回転を止める係止と前記係止の解除とを行う前記シャッタ部に連動する係止部材と、前記駆動源からの駆動力を前記カム部材に伝達可能な駆動ギヤと、を備え、
前記係止部材及び前記駆動ギヤの作動を用いて、前記シャッタ部の前記退避位置での保持と保持解除とを行う、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記伝達機構は、前記駆動ギヤと噛み合い前記駆動源から前記駆動ギヤに伝達された駆動力を前記カム部材に伝達可能な、欠け歯部を備えた伝達ギヤを備え、
前記係止部材は、前記欠け歯部が前記駆動ギヤと向き合う位置で前記伝達ギヤを係止し、係止解除するようにシートに押されて移動する前記シャッタ部に前記係止部材が連動することで前記駆動源から前記駆動ギヤに伝達された駆動力を前記伝達ギヤが前記カム部材に伝達し、そして前記カム部材が前記シャッタ部を保持するように前記シャッタ部に当接する、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項1】
シートを搬送する第1搬送回転体と、
前記第1搬送回転体のシート搬送方向下流に順次配置された第2搬送回転体及び第3搬送回転体と、
前記第1搬送回転体の下流かつ前記第2搬送回転体のニップ部の上流で搬送されるシートの先端がシートの斜行補正のために当接し、搬送されるシートに押されて移動するシャッタ部材と、
搬送されるシートに押されて移動した前記シャッタ部材を、シートの搬送経路から退避する退避位置に移動させ、前記第2搬送回転体により搬送される前記シートが前記第3搬送回転体に先端を挟持されるまで、前記退避位置に前記シャッタ部材を保持する作動部材と、を有する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第2搬送回転体と前記作動部材を駆動する駆動源と、
搬送されるシートに押されることによる前記シャッタ部材の移動に連動して、前記作動部材が前記シャッタ部材を前記退避位置に位置させるように前記駆動源から前記作動部材に駆動力を伝達する伝達機構と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記作動部材は、前記第3搬送回転体にシートの先端が挟持されると、搬送されるシートの先端が当接される初期位置に向けて前記シャッタ部材が復帰可能となるように前記退避位置での前記シャッタ部材の保持を解除する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記作動部材は、搬送されるシートの先端が当接される初期位置から前記退避位置へと向かう前記シャッタ部の移動を許容する許容カム面と、前記シャッタ部を前記退避位置に保持するように前記シャッタ部の当接部に当接する保持カム面と、を有する、回転可能なカム部材であり、
前記伝達機構は、前記駆動源からの回転駆動力を前記カム部材が回転するように伝達する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記伝達機構は、前記カム部材の回転を止める係止と前記係止の解除とを行う前記シャッタ部に連動する係止部材と、前記駆動源からの駆動力を前記カム部材に伝達可能な駆動ギヤと、を備え、
前記係止部材及び前記駆動ギヤの作動を用いて、前記シャッタ部の前記退避位置での保持と保持解除とを行う、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記伝達機構は、前記駆動ギヤと噛み合い 前記駆動源から前記駆動ギヤに伝達された駆動力を前記カム部材に伝達可能な、欠け歯部を備えた伝達ギヤを備え、
前記係止部材は、前記欠け歯部が前記駆動ギヤと向き合う位置で前記伝達ギヤを係止し、係止解除するようにシートに押されて移動する前記シャッタ部に前記係止部材が連動することで前記駆動源から前記駆動ギヤに伝達された駆動力を前記伝達ギヤが前記カム部材に伝達し、そして前記カム部材が前記シャッタ部を保持するように前記シャッタ部に当接する、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートを搬送する第1搬送回転体と、
前記第1搬送回転体のシート搬送方向下流に配置された第2搬送回転体と、
前記第2搬送回転体のシート搬送方向下流に配置された転写ニップ部にてシートにトナー像を転写する画像転写部と、
前記画像転写部によって転写されたトナー像をシートに定着する定着部と、
前記第1搬送回転体の下流かつ前記第2搬送回転体のニップ部の上流で搬送されるシートの先端がシートの斜行補正のために当接され、搬送されるシートに押されて移動するシャッタ部材と、
搬送されるシートに押されて移動した前記シャッタ部材を、シートの搬送経路から退避する退避位置に移動させ、前記第2搬送回転体により搬送される前記シートが、前記転写ニップに先端を挟持されるまで、前記退避位置に前記シャッタ部材を保持する作動部材と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記第2搬送回転体及び前記作動部材を駆動する駆動源と、
搬送されるシートに押されることによる前記シャッタ部材の移動に連動して、前記作動部材が前記シャッタ部材を前記退避位置に位置させるように前記駆動源から前記作動部材に駆動力を伝達する伝達機構と、を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記作動部材は、前記転写ニップ部にシートの先端が挟持されると、搬送されるシートの先端が当接される初期位置に向けて前記シャッタ部材が復帰可能となるように前記退避位置での前記シャッタ部材の保持を解除する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記作動部材は、搬送されるシートの先端が当接される初期位置から前記退避位置へと向かう前記シャッタ部の移動を許容する許容カム面と、前記シャッタ部を前記退避位置に保持するように前記シャッタ部の当接部に当接する保持カム面と、を有する、回転可能なカム部材であり、
前記伝達機構は、前記駆動源からの回転駆動力を前記カム部材が回転するように伝達する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記伝達機構は、前記カム部材の回転を止める係止と前記係止の解除とを行う前記シャッタ部に連動する係止部材と、前記駆動源からの駆動力を前記カム部材に伝達可能な駆動ギヤと、を備え、
前記係止部材及び前記駆動ギヤの作動を用いて、前記シャッタ部の前記退避位置での保持と保持解除とを行う、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記伝達機構は、前記駆動ギヤと噛み合い前記駆動源から前記駆動ギヤに伝達された駆動力を前記カム部材に伝達可能な、欠け歯部を備えた伝達ギヤを備え、
前記係止部材は、前記欠け歯部が前記駆動ギヤと向き合う位置で前記伝達ギヤを係止し、係止解除するようにシートに押されて移動する前記シャッタ部に前記係止部材が連動することで前記駆動源から前記駆動ギヤに伝達された駆動力を前記伝達ギヤが前記カム部材に伝達し、そして前記カム部材が前記シャッタ部を保持するように前記シャッタ部に当接する、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−232845(P2012−232845A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85825(P2012−85825)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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