説明

シート搬送装置

【課題】 排出経路を重ねて送られた2枚のシートの一方を排出し、他方をスイッチバックさせる際に排出される一方のシートがスイッチバックされるシートに追従して戻されて生じるシートの搬送不良やシートの損傷を未然に防ぐことのできるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 重ねて送られた2枚のシートの一方を排紙トレイ22に排出し、他方のシートをスイッチバックさせる際に、排出ローラ対43の下流で一方のシートに対して他方のシートの搬送方向を偏向して2枚のシートを剥離するための第1の位置とこの第1の位置から退避した第2の位置とに移動自在に設けられた剥離フラッパ70を設け、重ねて送られる一方のシートの先端が剥離フラッパ70を通過した後で、かつ他方のシートの先端が剥離フラッパ70を通過する前に剥離フラッパ70を第2の位置から第1の位置に移動するように制御した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の読取位置に原稿を搬送する原稿搬送装置に関し、詳しくは原稿の両面を読み取るために片面を読み取られた原稿をスイッチバック反転させて、再び読取位置に搬送する搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やスキャナ等の画像形成装置においては、原稿を画像読取部のプラテンガラス上に搬送するADF(オート・ドキュメント・フィーダ)と称される原稿搬送装置が用いられている。
【0003】
従来、この種の原稿搬送装置としては、読取位置で表面を読み取られた原稿を排紙ローラ対に搬送し、この排紙ローラ対にてスイッチバックした後に反転させて再び読取位置に搬送して原稿の裏面を読み取るものがある。そして、このように構成された原稿搬送装置では、裏面を読み取られた原稿を排紙トレイ上でページ順序が揃うように再び反転して排紙する必要があり、この反転排紙する手段として、例えば、特許文献1のように原稿の裏面を読み取る際と同様に排紙ローラ対で原稿をスイッチバックした後に読取位置を介して原稿を搬送することで原稿の表裏を反転して排紙トレイに排紙する構成や、特許文献2のように読取位置の下流に設けられたスイッチバック部にて原稿をスイッチバックさせ、反転経路を介して排紙トレイに排紙する構成が知られている。
【0004】
上述した特許文献1、引用文献2のいずれのものにおいても、表面を読み取られた原稿のスイッチバックと両面を読み取られた原稿の排紙を1つの排紙ローラ対で行っているので、両面が読み取られた原稿が排紙される間は次原稿を排紙ローラ対に搬送することができない。このため、次原稿は給紙トレイから排紙ローラ対に至る経路において、先原稿が排紙されるまで待機する必要があり、両面原稿の読取処理に時間が掛かるといった問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献3では、先原稿と次原稿を重ねて搬送することで、両面原稿の読取処理を短縮するようにしている。この構成では、両面を読み取られ先原稿の後端に対して次原稿の後端を上流側に所定距離ずらした状態で重ねて搬送する。そして、先原稿が排紙ローラ対を通過し、次原稿が排紙ローラ対にニップされた状態である位置まで2枚の原稿を搬送する。これによって、重なった状態で搬送であっても先原稿を排紙し、次原稿をスイッチバック搬送することが可能となる。
【0006】
また、特許文献3には、次原稿がスイッチバック搬送する際に排紙された先原稿が次原稿に追従して再び排紙ローラ対に向かって逆戻りしないように逆戻り防止レバーが設けられており、この逆戻り防止レバーは通常において原稿の排紙口の上方の退避位置にあり、先原稿を排紙し、次原稿をスイッチバックさせる際に排紙口まで下降するように構成されている。この構成によって、次原稿に追従してスイッチバックされる先原稿のスイッチバック方向の先端が逆戻り防止レバーに当接して移動を阻止され、再び排紙ローラ対に向かって逆戻りしないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−354339号公報
【特許文献2】特開2006−327728号公報
【特許文献3】特開2004−175460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような逆戻り防止レバーを用いた構成は、排紙口に下降した逆戻り防止レバーは次原稿の上面に接触する位置まで下降させ、先原稿が次原稿に追従する逆戻りを防止しているが、次原稿の下面側は空間となっており、逆戻りする先原稿が容易に逆戻り防止レバーを通過し、先原稿が再び経路内に搬入する恐れや、排紙口で原稿ジャムや原稿の損傷が発生するとの問題がある。特に静電気などで先原稿と次原稿が吸着状態で搬送された場合には、逆戻り防止レバーの構成では先原稿の逆戻りを阻止できず、先原稿は再び経路内に引き込まれ重大な問題となっている。
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、排出経路を重ねて送られた2枚のシートの一方を排出し、他方をスイッチバックさせる際に排出される一方のシートがスイッチバックされるシートに追従して戻されて生じるシートの搬送不良やシートの損傷を未然に防ぐことのできるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の目的を達成するために、排出ローラ対の下流で一方のシートに対して他方のシートの搬送方向を偏向して2枚のシートを剥離する第1の位置とこの第1の位置から退避した第2の位置とに移動自在に設けられた偏向手段を設け、重ねて送られる一方のシートの先端が偏向手段を通過した後で、かつ他方のシートの先端が偏向手段を通過する前に偏向手段を第2の位置から第1の位置に移動するように制御したものである。
【発明の効果】
【0011】
この構成によって、一方のシートが排出ローラ対と偏向手段とを通過した後に偏向手段が第1の位置に移動し、その後に他方のシートが排出ローラ対に到達して偏向手段によって一方のシートとは異なる方向に他方のシートを案内することで2枚のシートを剥離するので、確実に2枚のシートを分離して排出方向に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る原稿搬送装置および原稿搬送装置が搭載された画像読取装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る原稿搬送装置の主要部分を示す拡大断面図である。
【図3】本発明に係る偏向手段の構成を示す断面図である。
【図4】本発明に係る偏向手段が剥離位置と退避位置に移動した状態を示す状態図である。
【図5】本発明に係る原稿搬送装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る原稿搬送装置の両面モード時における原稿の流れを示す説明図である。
【図7】本発明に係る偏向手段の移動制御を示す制御フローチャート図である。
【図8】本発明に係る偏向手段による剥離動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明のシート搬送装置としての原稿搬送装置および原稿搬送装置が搭載された画像読取装置の構成を示す断面図であり、図2は原稿搬送装置の主要部分を示す拡大断面図である。以下、図面を参照しつつ本発明に係る原稿搬送装置の実施形態を詳細に説明する。図1に示すように本発明の原稿搬送装置3は、画像読取手段を有する画像読取装置本体2の上方に開閉可能に取り付けられている。
【0014】
画像読取装置本体2の画像読取手段は、光学キャリッジ5を固定した状態で第1のコンタクトガラス6の上面を通過する原稿を読み取る。また、本体2の上面には、原稿を載置するための第2のコンタクトガラス7が設けられ、このコンタクトガラス7上にセットされた原稿に対して光学キャリッジ5が移動することによって読み取ることができる。
【0015】
光学キャリッジ5は、原稿に光を照射するランプと原稿からの反射光の向きを偏向する第1ミラーを有する第1キャリッジ10と、第1ミラーからの光の向きを偏向して導く第2、第3ミラーを有する第2キャリッジ11とから構成されている。そして、第1のコンタクトガラス6上を搬送される原稿や第2のコンタクトガラス7上に載置された原稿にランプによって光を照射し、原稿の反射光を複数のミラーを介してレンズ16で集光する。レンズ16で集光された光はCCDなどの光電変換素子17で光電変換されて原稿画像が読み取られる。
【0016】
次に、原稿搬送装置3の構成について説明する。この原稿搬送装置3は、図1及び図2に示すように、複数枚の原稿を載置可能な給紙トレイ20と、読取処理の終了した原稿を収納する排紙トレイ22とを備えている。
【0017】
さらに、原稿搬送装置3には、給紙トレイ20から第1のコンタクトガラス6に向けて原稿を給紙する給紙経路23が設けられた給紙部と、給紙経路23から原稿を受けて第1のコンタクトガラス6に給送して通過させる搬送経路24が設けられた搬送部と、搬送経路24からの原稿を排紙口41から排紙トレイ22に案内する排出経路25が設けられた排紙部と、排出経路25と給紙径路23を連通する循環経路45が設けられた循環部と、第1のコンタクトガラス6の下流で排出経路25と分岐し、排紙トレイ22と白色板21との間に形成されたスイッチバック経路46とスイッチバック経路46からの原稿を反転して排出経路25の排紙口41側に案内する反転排出経路49とが設けられた反転排出部と、を備えている。なお、白色板21は第2のコンタクトガラス7を覆うように設けられており、第2のコンタクトガラス7上にセットされた原稿を読み取る際に外乱光の装置2内への侵入を防いでいる。
【0018】
給紙部には、給紙トレイ20上の原稿を繰り出す繰出ローラ27と、繰り出された原稿を給送する給紙ローラ28と、この給紙ローラ28に圧接して原稿を1枚ずつ分離する分離パッド29と、1枚ずつ分離されて給紙される原稿の先端を突き当てて整合した後に送り出すレジストローラ対30と、が設けられ、給紙経路23に沿って原稿を給紙する。
【0019】
搬送部は、レジストローラ対30からの原稿を第1のコンタクトガラス6上に供給する第1のリードローラ対32と、第1のコンタクトガラス6上を通過した原稿を下流に向けて搬送する第2のリードローラ対33と、が設けられ、第1のコンタクトガラス6の上面を介して搬送経路24に沿って原稿を搬送する。
【0020】
排紙部には、排紙トレイ22上に原稿を排紙する排紙ローラ対43が設けられている。なお、排紙ローラ対43は、原稿の排紙方向の後端部をニップした状態で正転から反転し、原稿をスイッチバックさせて排出経路25の下流側から循環経路45に搬送する機能を兼用している。また、循環部には排紙ローラ対43でスイッチバックされた原稿を給紙経路23に送る待機ローラ対48が設けられている。
【0021】
ここで、排出部の排出口41の下流には重ねて送られる2枚の原稿を異なる方向に偏向することで剥離する剥離フラッパ70とその剥離フラッパ70の先端に設けられたフィルム部材71からなる剥離離手段が設けられている。図3は偏向手段の構成を示す要部拡大図であり、図4は偏向手段が2枚の原稿を剥離する剥離位置に移動した状態を示すための図1におけるA矢視図である。
【0022】
この剥離フラッパ70の構成について図3、図4に基づき説明すると、剥離フラッパ70の排紙方向上流側先端の上面には弾性フィルム部材71が上流に向って取り付けられている。そして、剥離フラッパ70はその下流側に設けられた回動軸70aに固定して取り付けられており、回動軸70aは装置のフロント側とリア側の両側板(図示せず)に掛け渡されて設けられている。回動軸70aはリア側の側板の背面側で回転軸72を支点に回動する回動アーム74の一端側に連結固定されている。回動アーム74の他端側には作動ピン75が設けられており、この作動ピン75には引っ張りバネ77が取り付けられている。この引っ張りバネ77は回動アーム74の作動ピン75とリア側の側板に設けられた取付ピン78との間に掛け渡され、回動アーム74の他端部を上方に付勢している。また、作動ピン75は剥離ソレノイドSOL3のプランジャに取り付けられた作動アーム76の長孔に係合している。
【0023】
このような構成によって、剥離ソレノイドSOL3がOFF(非通電)の場合には、図3(a)に示すように引っ張りバネ77の引っ張り力にて回動アーム74の他端部が上方に付勢されており、回動アーム74と回転軸72を介して一体的に設けられた剥離フラッパ70の先端は下方の剥離位置にある。
【0024】
剥離フラッパ70の先端は下方の剥離位置にある状態から剥離ソレノイドSOL3をON(通電)すると、プランジャが吸引されて作動アーム76が下方に移動する。作動アーム76はその移動によって回動アーム74の他端を引っ張りバネ77の引っ張り力に抗して下方に付勢する。回動アーム74の他端が下方に移動すると回動アーム74に固定連結された回転軸72が図中時計回り方向に回転し、剥離フラッパ70が回転軸72を支点として上方に回動する。これによって、図3(b)に示すように剥離フラッパ70は2枚の原稿を剥離する剥離位置から退避した退避位置に移動する。
【0025】
なお、本実施の形態においては、図4に示すように剥離フラッパ77を原稿の排紙方向と直交する原稿幅方向に複数配置し、複数の剥離フラッパ77は原稿幅方向に複数配置された排紙ローラ対43の間にそれぞれ配置されている。また、剥離位置において剥離フラッパ77の先端側に取り付けられた弾性フィルム部材71の先端は排紙駆動ローラ43aの外周よりも内側に若干進入するように設けられており、原稿Dが剥離ソレノイドの下面に沿って搬送される際に原稿Dを排紙駆動ローラ43a側に付勢するようになっている。
【0026】
反転排出部には、スイッチバック経路46に搬入された原稿をスイッチバックして反転排出経路49に送るスイッチバックローラ対44が設けられている。なお、排紙ローラ対43及びスイッチバックローラ対44は、一方のローラから他方のローラが離間するように構成されており、原稿の搬送状態によって圧接・離間制御される。
【0027】
また、搬送経路24と排出経路25の連接部には、読み取りの過程に応じて第2のリードローラ対33からの原稿を排出経路25とスイッチバックパス46のいずれかに一方に案内するための第1のフラッパ34が設けられており、排出経路25と循環経路45の連結部には、排紙ローラ43でスイッチバックされた原稿を排出経路25から循環経路45に案内するための第2のフラッパ52が設けられている。さらに、スイッチバック経路46には、スイッチバックローラ対44でスイッチバックされた原稿を反転排出経路49に案内するための第3のフラッパ53が設けられている。なお、第2、第3のフラッパ52、53は、自重で下方に移動するように支持されている。これによって、第2のフラッパ52は、第2のリードローラ33からの原稿によって上方に押し上げられて原稿が通過し、原稿が通過すると下方に移動して排出経路25と循環経路45を連通させる。同様に第3のフラッパ53は、第2のリードローラ33からの原稿によって上方に押し上げられて原稿が通過し、原稿が通過すると下方に移動して第2のスイッチバック経路46と反転排出経路49とを連通させる。
【0028】
また、図5の制御系のブロック図に示すように、原稿が通過する各所には各種のセンサが設けられている。繰出ローラ27の近傍には給紙トレイ21上の原稿を検出するエンプティセンサS1、給送経路23にはレジストセンサS2、リードセンサS3が設けられ、排出経路25には排出センサS4が設けられている。また反転排出経路49には反転排出センサS5が配置される。そして、これらの各センサの原稿検出は制御基板100のCPUに入力され、この入力結果に基づき給紙モータM1、排出モータM2、待機モータM3の駆動を制御して原稿を搬送する。
【0029】
給紙モータM1は、給紙ローラ28とレジストローラ対30に電磁クラッチCL1、CL2を介して駆動連結されており、排出モータM2は排紙ローラ対43とスイッチバックローラ対44に駆動連結されている。また、待機モータM3は待機ローラ対48に駆動連結されている。
【0030】
また、第1離間ソレノイドSOL1は排紙ローラ対43の駆動ローラ43aから従動ローラ43bを離間する方向に移動させ、第2離間ソレノイドSOL1はスイッチバックローラ対44の従動ローラから駆動ローラを離間させる方向に移動させる。これによって、各ローラ対43、44の圧接、離間が制御される。
【0031】
剥離ソレノイドSOL3は剥離フラッパ70を剥離位置と退避位置とに移動させ、片面原稿を読み取る片面モードのときには剥離フラッパは退避位置に移動され、両面原稿を読み取る読取モードのときには退避位置と剥離位置に移動するように制御される。
【0032】
次に、原稿搬送装置の動作について説明すると、本実施の形態における原稿搬送装置では、原稿の片面のみを読み取る片面読取モードと原稿の両面を読み取る両面読取モードを備えている。片面モードでは、給紙トレイ20上の原稿を給紙経路23、搬送経路24に沿って第1のコンタクトガラス6の読取位置Xに給送し、原稿の片面を画像読取手段で読み取る。その後、読み取られた原稿は搬送経路24、排出経路25を介して排紙トレイ22に排紙する。
【0033】
両面モードについては、図6の原稿の流れを示す説明図に基づき説明する。給紙トレイ20上の原稿は図6の実線で示すように給紙経路23から搬送経路24に案内されて読取位置Xで表面が読み取られる。読取位置で表面を読み取られた原稿は図6の破線で示すように排出経路25に搬送され、この排出経路25の排紙ローラ対43にてスイッチバックした後に循環経路45を介して搬送経路24に戻され、表裏を反転しつつ再び読取位置Xに案内されて原稿の裏面を読み取る。読取位置Xで表裏両面を読み取られた原稿は図6の2点鎖線で示すようにスイッチバック経路46に案内され、スイッチバックされる。スイッチバックされた原稿は反転排出経路49を介して排出経路25の下流側に表裏反転しつつ案内され、排出経路25から排紙トレイ22に排紙される。
【0034】
この両面読取モードについて、具体的に複数の原稿を連続してする動作について説明すると、最初に給紙トレイ20上に原稿が載置されたことをエンプティセンサS1が検知すると、給紙モータM1が駆動し、電磁クラッチCL1をONすると繰出ローラ27及び給紙ローラ28が回転駆動する。これによって、給紙トレイ20上に載置された最上位の原稿が順次繰り出され、分離パッド29によって原稿が1枚に分離されて送られる。なお、原稿の給紙開始時におけるイニシャル動作で排紙ローラ対43及びスイッチバックローラ対44は離間する位置に移動され、また第1のフラッパ34は、排出経路25に沿って案内されるような向きに移動される。
【0035】
1枚に分離された原稿の先端をレジストセンサS2が検知すると、その検知した時点から原稿を所定量搬送することによって、レジストローラ対30のニップ部分に1枚目の原稿の先端が突き当たり、これによって原稿の先端が整合されて原稿スキューが取り除かれる。
【0036】
その後、電磁クラッチCL2がONされ、レジストローラ対30が回転駆動する。そして、原稿はレジストローラ対30と第1、第2のリードローラ対32、33によって第1のコンタクトガラス6上を搬送される。この第1のプラテンガラス6上を通過する際に原稿の表面が読み取られる。
【0037】
第1のプラテンガラス6を通過した原稿は、第1のフラッパ34を介して排出経路25に沿って案内される。この1枚目の原稿の先端部が排出経路25に案内されていく間に、1枚目の原稿の後端がレジストセンサS2で検知されると、電磁クラッチCL2がOFFされてレジストローラ対30は停止され、2枚目の原稿の給送が繰出ローラ27及び給紙ローラ28によって開始される。給紙された2枚目の原稿の先端はレジストローラ対30のニップ部分に突き当たって整合される。
【0038】
そして、電磁クラッチCL1をOFFした時点から所定の時間が経過した後に電磁クラッチCL2をONする。これによって、レジストローラ対30が駆動して2枚目の原稿が第1のプラテンガラス6に向けて送り出される。なお、前述の所定時間は先に給紙された1枚目の原稿と2枚目の原稿との間隔を一定に保つために予め定められた時間である。
【0039】
一方、1枚目の原稿の先端部が排出センサS4で検知されると排出モータM2が正転駆動し、第1ソレノイドSOL1をON(吸引)する。これによって、排紙ローラ対43の従動ローラ43bが駆動ローラ43aに圧接し、1枚目の原稿が排紙トレイ22側に向けてさらに搬送される。
【0040】
2枚目の原稿が第1のプラテンガラス6に向けて搬送される間に、第1のプラテンガラス6を通過した1枚目の原稿は、その後端が排出センサS4で検知されてから一定時間が経過した時点で排出モータM2を停止することによって排紙ローラ対43でニップされた状態で停止する。その後に排出モータM2を逆転駆動することで排紙ローラ対43は逆回転駆動され、1枚目の原稿がスイッチバックされる。
【0041】
そして、排紙ローラ対43でスイッチバックされた1枚目の原稿は第1のスイッチバック経路45に沿って搬送される。そして、1枚目の原稿の先端部が回転駆動する待機ローラ対48でニップされた後に待機モータM3を停止することによって1枚目の原稿は一旦停止状態となる。1枚目の原稿が待機ローラ対48でニップ保持されて停止されると、第1ソレノイドSOL1をOFF(吸引解除)して排紙ローラ対43を離間させ、排出モータM2を正転駆動に切り換える。
【0042】
この状態で、第1のコンタクトガラス6を通過した2枚目の原稿を排出ローラ対43に排出経路25に沿って搬送する。このとき、2枚目の原稿は排出経路25の下流部分で1枚目の原稿の下方を搬送される。なお、このとき排紙ローラ対43を離間させているので2枚目の原稿の先端部は支障なく排紙トレイ側に向かって搬送される。また離間した排紙ローラ対43の駆動ローラ43aを正回転駆動しているので、2枚目の原稿には駆動ローラ43aの接触した際の搬送力が付与されスムーズに送られる。
【0043】
2枚目の原稿がレジストセンサS2を通過する電磁クラッチCL2をOFFする。また2枚目の原稿の後端部がレジストセンサS2で検知された時点から所定時間経過後に待機モータM3を駆動する。これによって、経路45、49で停止している1枚目の原稿の先端がレジストローラ対30に当接してその先端が整合され。その後に電磁クラッチCL2をONしてレジストローラ対を回転駆動して1枚目の原稿を第1のコンタクトガラス6に向けて反転して搬送させる。この間、第1のリードローラ対32、第2のリードローラ対33、排紙ローラ対43の正回転駆動によって、2枚目の原稿が排出パスの下流側で1枚目の原稿とすれ違うようにして搬送される。このとき、排紙ローラ対43は離間した状態で、1枚目の原稿と2枚目の原稿のそれぞれ異なる方向に搬送される。そして、リードセンサS3が2枚目の原稿の後端を検出してから2枚目の原稿の後端が第1コンタクトガラス6の読取位置Xに到達する時間が経過した後に第1ソレノイドSOL1がONされ、排紙ローラ対43が圧接される。これによって、排紙ローラ対43が1枚目の原稿と2枚目の原稿を重ねて圧接し、その状態で1枚目の原稿と2枚目の原稿は排出経路25内の一部でそれぞれ異なる方向に搬送されることとなる。このとき、駆動ローラ43aはその摩擦係数が原稿と従動ローラ43bの摩擦係数より高く設定されている。これによって、従動ローラ43bと2枚目の原稿との間の1枚目の原稿は待機ローラ48、レジストローラ対30、第1のリードローラ対43によって読取位置Xに向って送られ、駆動ローラ43aと1枚目の原稿との間の2枚目の原稿は駆動ローラ43bの搬送力によって1枚目の原稿に抗して排紙トレイ22側に送られる。
【0044】
そして、2枚目の原稿の後端が排出センサS4に検知されてから一定時間後に排出モータM2を正転駆動から逆転駆動に切り
換えることで排紙ローラ対43は正転駆動から逆回転駆動されて2枚目の原稿がスイッチバックされる。このとき、1枚目の原稿の後端は排紙ローラ対43のニップ位置を通過しており、2枚目の原稿のスイッチバック動作に影響しない。スイッチバックされた2枚目の原稿は第1のスイッチバック経路45に沿って搬送され、待機ローラ対48にニップされると待機モータM3を停止する。そして、これと同時に第1のソレノイドSOL1をOFFして2枚目の原稿を停止して待機させる。
【0045】
一方、1枚目の原稿は、裏面が読み取られた後、先端部が第1のフラッパ34によって切り替えられた経路を通ってスイッチバック経路46へ案内される。なお、第1のフラッパ34は、2枚目の原稿の後端部が排出センサS4で検知されると時計回りに回動してスイッチバック経路46へ連絡する経路を形成する。また、1枚目の原稿の後端がリードセンサS3に検知されると第2のソレノイドSOL2がON(吸着)され、スイッチバックローラ44が圧接状態とされる。
【0046】
待機ローラ対48にニップして待機された2枚目の原稿は、1枚目の原稿の後端がレジストセンサS2で検知した後に待機モータM3を駆動して停止した状態のレジストローラ対30に当接する。これによって、原稿の先端が整合される。そして、電磁クラッチCL2をONすることでレジストローラ対30を回転駆動させて原稿を第1のコンタクトガラス6の読取位置Xに向けて再給送される。
【0047】
スイッチバック経路46に搬送された1枚目の原稿は、その後端が排出センサS4で検知されるとその所定時間後に排出モータM2を逆転駆動から正転駆動に切り換える。これによって、スイッチバックローラ対44が正回転駆動から逆回転駆動に切り換わり、1枚目の原稿をスイッチバックさせる。スイッチバックされた1枚目の原稿は反転排出経路49に沿って排紙ローラ対43に送られ、排紙ローラ対43によって排紙トレイ22に排出される。
【0048】
一方、2枚目の原稿は1枚目の原稿に続いて第1のコンタクトガラス6の読取位置Xに搬送されて裏面が読み取られ、スイッチバック経路46に搬送される。このとき、2枚目の原稿の先端を排出センサS4が検出すると第2のソレノイドSOL2がOFF(吸着解除)されて第2のスイッチバックローラ44が離間する。そして、1枚目の原稿と2枚目の原稿がスイッチバック経路46内ですれ違うようにして搬送される。この2枚目の原稿の搬送過程で2枚目の原稿がレジストセンサS2を通過したことが検出されると電磁クラッチCL1をONする。これによって、繰出ローラ27、給紙ローラ28が回転駆動して3枚目の原稿の給紙動作が開始される。
【0049】
そして、2枚目の原稿の後端部がリードセンサS3で検出された時点から2枚目の原稿の後端が読取位置Xに到達する時間が経過すると第2のソレノイドSOL2がONされてスイッチバックローラ対44が圧接する。これと同時に排出モータM2が正回転駆動から逆回転駆動に切り換えられる。このとき、1枚目の原稿の後端はスイッチバックローラ対44を通過している。これによって、2枚目の原稿がスイッチバックされ、反転排出経路49に沿って排紙ローラ対43に送られる。そして、排紙ローラ対43によって排紙トレイ22に向かって搬送される。
【0050】
3枚目の原稿は、先の1枚目の原稿と同様にレジストローラ対30で先端が整合され、レジストローラ対30、第1のリードローラ対32によって第1のコンタクトガラス6に搬送され、第1のコンタクトガラス6の読取位置Xで表面を読み取られた後に第2のリードローラ33によって搬送経路24、排出経路25に沿って送られる。
【0051】
そして、3枚目の原稿は、2枚目の原稿を排出中の排紙ローラ対43に送られ、2枚目の原稿と重なった状態で排紙トレイ22側に向かって搬送される。このとき、3枚目の原稿の後端は、2枚目の原稿の後端に対して排紙トレイ22の方向と異なる方向に所定距離Lだけ離れた位置となった状態で搬送され、2枚目の原稿と3枚目の原稿は排紙口41の下流で剥離フラッパ70によって剥離される。
【0052】
そして、3枚目の原稿の後端部が排出センサS4で検知した時点から所定時間後に排出モータM2を停止する。これによって、排紙ローラ対43は一旦停止される。このとき、剥離フラッパ70で剥離された2枚目の原稿は排紙トレイ22に排出され、3枚目の原稿は排紙トレイ22と異なる側の端部が排紙ローラ対43にニップされた状態で停止する。そして、この状態から排出モータM2を逆転駆動することで、排紙ローラ対43が逆回転駆動して3枚目の原稿がスイッチバックされる。
【0053】
なお、排紙ローラ対43は、2枚目の原稿がスイッチバックローラ対44によってスイッチバックされると同時に離間し、3枚目の原稿の後端が読取位置Xを到達した時点で圧接される。つまり、排紙ローラ対43は、少なくとも2枚目の原稿先端と3枚目の原稿先端を離間した状態で通過させ、2枚の原稿の先端が排紙ローラ対43の間を通過してから圧接するようにしている。
【0054】
その後、後続の4枚目の原稿は読取位置Xを通過し、排出経路25の下流部分で待機ローラ対48によってニップされた状態で待機される3枚目の原稿の下方を搬送される。以降において、3枚目の原稿は先の1枚目の原稿と同様に搬送され、また4枚目の原稿は2枚目の原稿と同様に搬送される。
【0055】
ここで、前述した2枚目の原稿と3枚目の原稿の剥離動作について、図7の剥離フラッパ70の移動フローチャート図及び図8の剥離動作を示す模試図に基づき詳細に説明する。なお、便宜上、以降において2枚目の原稿を先原稿D1、3枚目の原稿を次原稿D2という。
【0056】
初期状態では剥離ソレノイドSOL3はOFFとなっており、剥離フラッパ70は下方に回動した剥離位置に位置付けられている。この状態からスイッチバック経路46でスイッチバックされて反転排出経路49に沿って案内される原稿の先端が反転排出センサS5で検出されると剥離ソレノイドSOL3をONして剥離フラッパ70を上方に回動し、退避位置に移動させる(ST1〜ST2)。そして、図8(a)に示すように先原稿D2は排紙ローラ対43に搬送される。このとき、次原稿D2は、その先端が先原稿D1の先端から距離Lだけ遅れて搬送経路24から排出経路25の下流部に案内され、2枚の原稿は重なって排出経路25を搬送される。
【0057】
そして、先原稿D1の先端が反転排出センサS5に検出された時点より原稿の先端が剥離フラッパ70の先端を通過した位置まで搬送した時点で剥離ソレノイドSOL3はOFFされ、剥離フラッパ70が下方に回動して剥離位置に移動する。(ST3〜ST4)。このとき、図8(b)に示すように次原稿D2の先端は剥離フラッパ70の先端位置に到達していない。すなわち、剥離ソレノイドSOL3はOFFし、剥離フラッパ70を剥離位置に移動させるタイミングは、先原稿の先端が剥離フラッパ70の先端位置を通過して次原稿D2の先端が剥離フラッパ70の先端位置に到達するまでの間に設定している。
【0058】
剥離位置に移動した剥離フラッパ70は、その先端に取り付けられた弾性フィルム部材71によって先原稿D1を排紙駆動ローラ43a側に付勢する。そして、この状態で次原稿D2の先端が剥離フラッパ70の先端位置に到達すると図8(c)に示すように次原稿D2の先端が弾性フィルム部材71の上面を介して剥離フラッパ70の上面側に案内され、先原稿D1と異なる方向に偏向されて搬送される。このとき、剥離フラッパ70の弾性フィルム部材71の先端は排紙駆動ローラ43aの外周の内側に若干進入する位置まで延設されているため、図4に示すように先原稿D1は原稿幅方向に緩やかな波状の湾曲が形成される。そして、次原稿D2の先端は緩やかな波状に形成された先原稿D2の排紙従動ローラ43b側の頂部に沿って案内されるので、剥離フラッパ70の弾性フィルム部材71の先端は先原稿D1と次原稿D2との間に進入し、次原稿D2は確実に剥離フラッパ70の上面側に案内される。
【0059】
以降は、上述した通り、次原稿の後端が排出センサS4で検知した時点から所定時間後に排紙ローラ対43を停止する。このとき、図8(d)に示すように先原稿D1はその後端が排紙ローラ対43を通過し、さらに剥離フラッパ70の先端位置を通過した位置まで搬送され、剥離フラッパ70によって次原稿D2と確実に分離した状態となっている。一方、次原稿D2はその後端が先原稿D1の後端と距離Lだけ離れて搬送されるため、排紙ローラ対43にニップした状態で停止される。つまり、排紙ローラ対43の停止のタイミングは先原稿D1の後端が剥離フラッパ70の先端位置を通過してから次原稿D2の後端が排紙ローラ対43に到達する前に設定される。
【0060】
そして、先原稿D1の後端が剥離フラッパ70の先端位置を通過し、次原稿D2の後端側が排紙ローラ対43にニップされた状態から排紙ローラ対43が逆転され、図8(e)に示すように次原稿D2は排紙方向と逆方向に搬送される。一方、次原稿D2と分離された先原稿D1は排紙トレイ22上に落下して収納される。
【0061】
なお、上述の実施の形態では、厚紙などの変形がし難い原稿であってもスムーズに搬送するために、剥離フラッパ70の先端側に弾性フィルム部材71を取り付けたが、弾性フィルム部材71を設けることなく剥離フラッパ70の先端が排紙駆動ローラ43aの外周の内側に若干進入する位置まで延設させるようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態では、1枚目の表面、2枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の裏面、3枚目の表面、4枚目の表面、3枚目の裏面、4枚目の裏面の順に原稿を読み取るように原稿の搬送動作を実行させたが、1枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の表面、2枚目の裏面、3枚目の表面、3枚目の裏面、4枚目の表面、4枚目の裏面の順に原稿を読み取るように搬送してもよい。この場合には、1枚目の原稿の表面を読取位置で読み取った後に原稿を排紙部でスイッチバックさせ、循環部を介して読み取り位置に再搬送し、原稿の裏面を読み取った後に反転排出部に原稿を搬送する。この際に原稿がレジストセンサS2を通過した次点で次原稿を給紙し、先原稿に続いて読取位置に搬送する。反転排出部に搬送された先原稿は反転排出部にスイッチバックされて反転排出経路49を介して、排紙部の排紙ローラ対に送られる。同時に読み取り位置でその表面を読み取られた次原稿も排紙経路25に沿って排紙ローラ対に送られる。そして、先原稿と次原稿は排紙経路25の下流側を重なった状態で搬送され、先原稿は排紙トレイ22に排紙され、次原稿はスイッチバック搬送される。つまり、上述した実施例の読み取り手順によれば、排紙ローラ対34で搬送される2枚目の原稿の後端と3枚目の原稿の後端を設定距離L離して搬送するようにしたが、この読み取り手順では1枚目の原稿の後端と2枚目の原稿の後端を設定距離L離して搬送する。
【0063】
本実施の形態によれば、剥離フラッパ70と剥離フラッパ70の先端に設けられた弾性フィルム部材71からなる偏向手段を排紙ローラ対43の下流に設け、排紙ローラ対43にて重ねて排紙方向に送られる先原稿D1と次原稿D2を排紙ローラ対43の下流で剥離するようにしたので、排紙される先原稿D1がスイッチバックされる次原稿D2に追従して再び排紙ローラ対43に戻されることがなくなる。
【0064】
また、偏向手段を剥離位置と退避位置に移動するように構成し、所定距離ずれた状態で送られる先原稿D1と次原稿D2における先原稿D1の先端が偏向手段に位置を通過してから次原稿D2の先端が偏向手段の位置に到達するまでの間に偏向手段を退避位置から剥離位置に移動するように制御したので、静電気などで吸着された2枚の原稿であっても簡単な構成で確実に剥離することができ、先原稿D1を排紙トレイ22に排紙し、次原稿D2のみをスイッチバック搬送することができる。
【0065】
さらに、剥離フラッパ70の弾性フ
ィルム部材71の先端を排紙駆動ローラ43aの外周の内側に若干進入する位置まで延設し、フィルム部材71の先端で先原稿を排紙ローラ側に付勢するようにしたので、先原稿D1が原稿幅方向に緩やかに湾曲され、弾性フィルム部材71の先端が次原稿D2の先端の通過位置よりも下方となり、次原稿D2の先端を確実に剥離フラッパ70の上面側に案内することができる。また、剥離フラッパ70の弾性フィルム部材71が先原稿D1を排紙駆動ローラ43a側に付勢することによって、先原稿D1は排紙駆動ローラ43aの外周面に押圧されるので、排紙従動ローラ43bを排紙駆動ローラ43aから離間した状態であっても先原稿D2がスムーズに搬送することができる。
【符号の説明】
【0066】
2 画像読取装置 3 原稿搬送装置 6 第1のコンタクトガラス 20 給紙トレイ 22 排紙トレイ 23 給紙経路 24 搬送経路 25 排紙経路 33 第2のリードローラ対 43 排紙ローラ対 43a 排紙駆動ローラ 43b 排紙従動ローラ 45 循環経路 44 スイッチバックローラ対 46 スイッチバック経路 49 反転排出経路 70 剥離フラッパ 71 弾性フィルム部材 100 制御基板 S4 排出センサ S5 反転排出センサ SOL3 剥離ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収納する収納手段と、その先端がシート搬送方向に相対的にずれた2枚のシートを前記収納手段に案内する排出経路と、前記排出経路に設けられ、重ねて送られる2枚のシートの一方を収納手段に搬送するとともに他方のシートをスイッチバックさせる排出ローラ対と、を備えたシート搬送装置において、
前記排出ローラ対の下流に配置され、一方のシートに対して他方のシートの搬送方向を偏向して2枚のシートを剥離する偏向手段と、
前記偏向手段を他方のシートを偏向する第1の位置とこの第1の位置から退避した第2の位置とに移動させるための駆動手段と、
重ねて送られる一方のシートの先端が前記偏向手段を通過した後で、かつ他方のシートの先端が前記偏向手段を通過する前に前記偏向手段を前記第2の位置から前記第1の位置に移動するように前記駆動手段を制御する制御手段と、
を設けたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記一方のシートの後端が前記排出ローラ対と前記偏向手段を通過した後に前記排出ローラ対の回転方向を逆転し、前記他方のシートをスイッチバックさせるように前記排出ローラ対を制御することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
シートを載置する載置手段と、シートの画像を読み取るための読取位置に向けて前記載置手段に載置されたシートを案内する給紙経路と、前記読取位置で読み取られたシートを収納する収納手段と、前記読取位置を通過したシートを前記収納手段に案内する排出経路と、一方のシートの先端に対して他方のシートの先端がシート排出方向上流側に所定距離離れて重なった2枚のシートを搬送し、一方のシートを収納手段に排出するとともに他方をスイッチバックする排出ローラ対と、前記排出ローラ対にてスイッチバックされた他方のシートを再び前記読取位置に案内するための循環経路と、を備えたシート搬送装置において、
前記排出ローラ対の下流に配置され、重ねて送られた2枚のシートの間に進入して一方のシートに対して他方のシートの搬送方向を偏向して2枚のシートを剥離する第1の位置とこの第1の位置から退避した第2の位置とに移動自在に設けられた偏向手段と、
重ねて送られる一方のシートの先端が前記偏向手段を通過した後で、かつ他方のシートの先端が前記偏向手段を通過する前に前記偏向手段を前記第2の位置から前記第1の位置に移動するように制御する制御手段と、
を設けたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
前記読取位置を通過したシートを反転して前記排出ローラ対に案内する反転排出経路を設け、
前記排出ローラ対は、前記反転排出経路を介して前記排出ローラ対に案内される一方のシートと前記排出経路に沿って前記排出ローラ対に案内される他方のシートとを重ねて搬送することを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記剥離手段は、前記第1の位置で一方のシートにおける他方のシートの対向面側に接触して一方のシートを前記排出ローラ対の一方のローラ側に付勢する請求項1または請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記剥離手段は、そのシート排出方向下流側に回動軸を有する剥離フラッパと、この剥離フラッパのシート排出方向上流側に設けられ、上流側に向って延設されたフリー端部を有するフィルム部材と、からなり、
前記フィルム部材のフリー端部は前記第1の位置において前記排出ローラ対の一方のローラの外周よりも内側に延設される請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記読取位置を通過したシートの端部を検出する検出手段を設け、前記制御手段は前記検出手段がシートの先端を検出したことに基づき前記偏向手段の移動を制御する請求項1または請求項3に記載のシート搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−219211(P2011−219211A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88940(P2010−88940)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】