説明

シート材料特に紙又は厚紙を製造する機械のための製織布

本発明は、シート材料特に紙又は厚紙を製造するための製織布において、経糸と緯糸とを織り合わせて形成された、シート材料接触側を提供する第1の織り層と、該第1の織り層の下に位置する、経糸と緯糸とを織り合わせて形成された第2の織り層とを有しており、第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の比が1よりも大きいことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材料特に紙又は厚紙を製造する機械のための帯状の製織布に関する。このような形式の製織布は、例えば編成セクションにおいて抄紙網として使用される。
【0002】
シート材料例えば紙に製造において、一般的にシート材料接触側、つまり製造しようとするシート材料に直に接触する側に、マーキング効果を避けるために、非常に細かい微細加工(パターン形成)が施されている。走行側、つまり製織布を変向させ、かつ前進させるローラと接触する側には、できるだけ大きい摩耗体積若しくは損耗体積を設ける必要があるか、若しくは摩耗をできるだけ少なく維持するために非常に頑丈な構造を提供する必要がある。
【0003】
ヨーロッパ特許公開第0432413号明細書によれば、それぞれ直接上下に配置された緯糸の2つの層を有する互いに上下の2つの織り層が設けられている、抄紙網のための複合織布が公知である。紙側の位置の緯糸の数は、機械側若しくは走行側の位置の緯糸の数に相当する。織布の長手方向に延在する糸は、2つの織り層に織り込まれ、2つの織り層間で構造的な結合を形成するために、2つの織り層間の交差箇所で入れ替わるようになっている。
【0004】
国際公開第2006/020414号公報によれば、経糸及び緯糸を有する、互いに上下に位置する2つの織り層を備えた、抄紙機のための織布が開示されている。この場合、紙側の織り層の緯糸の数は、走行側若しくは機械側の織り層の緯糸の数の2倍である。
【0005】
国際公開第2004/085740号明細書によれば、2つの層間の結合が構造的に織り込まれ、かつ織り層間の交差箇所で入れ替わる経糸によって行われるようになっている、抄紙機のための製織布について開示されている。織り層はさらに、緯糸の各層を有しており、この場合、紙側の織り層の緯糸の数は、やはり走行側の織り層の緯糸の数の2倍である。
【0006】
ヨーロッパ特許公開第1605095号明細書によれば、2つの織り層がシート材料長手方向に延在する糸を備えている抄紙機のための製織布について開示されており、この場合、走行側の織り層における糸の数は、紙側の織り層における糸の数の2倍である。2つの織り層の結合は、これらの長手方向に延在する糸と構造的に結合された緯糸によって行われる。
【0007】
本発明の課題は、耐摩耗性が高く、しかもマーキング特性が非常に低い、シート材料を製造するための機械のための製織布を提供することでる。
【0008】
この課題を解決した本発明によれば、シート材料特に紙又は厚紙を製造するための製織布において、シート材料接触側を提供する、経糸と緯糸とを織り合わせることによって形成された第1の織り層と、該第1の織り層の下に位置する、経糸と緯糸とを織り合わせることによって形成された第2の織り層とを有しており、第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の比が1よりも大きいことを特徴としている。
【0009】
本発明に従って、経糸比を1よりも大きくしたことによって、製織布のシート材料接触側に、より高い密度で経糸を設けることができ、それによって面単位毎に、より多数の緯糸の屈曲点を有する、密度の高い(目の詰んだ)織り構造を設けることができる。これによって、マーキング傾向は著しく低下される。この織り構造の下に位置する第2の織り層における経糸密度は低いので、特にこの第2の織り層が機械接触側を提供する場合は、相応の糸を選択することによって、この第2の織り層における要求を考慮することができる。
【0010】
特に有利な変化実施例によれば、第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の前記比は、非整数である。また、この比が1.5よりも大きければ、非常に有利である。
【0011】
本発明の有利な実施態様によれば、第2の織り層の緯糸の数に対する第1の織り層の緯糸の数の前記比が1よりも大きく、特に1.5又は2である。
【0012】
局所的に著しく異なる排水効率によって発生する、巻紙(紙匹)の液圧的なマーキングを避けるために、本発明の有利な実施態様によれば、緯糸の延在方向で見て、第1の織り層の経糸が第2の織り層の経糸に対してずらして配置されている。このように配置したことによって、排水効率は製織布の幅に亘って著しく均一化される。
【0013】
有利な形式で、第1の織り層と第2の織り層とが、結合糸によって互いに結合されており、この場合、特に、前記結合糸が1対で配置されていて、該1対の結合糸が、第1の織り層の糸と第2の織り層の糸とを織り込む際に、互いに入れ替わり、かつ、第1の織り層の糸との織り合わせから第2の織り層の糸との織り合わせに切り替わる際に、及びそれとは逆の切り替わりの際に交差箇所を形成しながら交差するようにした。
【0014】
このことはつまり、結合糸対の一方の結合糸が第1の織り層の糸と織り合わせられる間、結合糸対の他方の結合糸が第2の織り層の少なくとも1つの糸と織り合わせられ、結合糸対の一方の結合糸が第2の糸層の少なくとも1つの糸と織り合わせられる間、結合糸対の他方の結合糸が第1の糸層の糸と織り合わせられ、この際に、1対の結合糸が、第1の織り層の糸との織り合わせから第2の糸層の糸との織り合わせに切り替わる際に、交差し合い、これらの交差箇所が、有利な形式で第1の織り層と第2の織り層との間に配置されている。この場合、一般的に、1対の結合糸は、第1の織り層の糸と織り合わせる際に、この1対の結合糸と第1の織り層の糸とが一緒に1つの共通の織畝を形成するように、第1の織り層の糸と入れ替わる。
【0015】
本発明の実施態様によれば、製織布の織り模様が全パターンリピートにおいて繰り返され、この際に全パターンリピート内で各結合糸対の結合糸が2つの交差箇所を形成するようになっている。
【0016】
マーキング傾向を減少させるために、本発明の有利な実施態様によれば、幾つかの交差箇所が、パターンリピート内で平行な繊維束上に配置されていない。
【0017】
本発明の別の有利な実施態様によれば、製織布の緯糸の少なくとも一部が、第1の織り層と第2の織り層との間の結合を形成する結合緯糸である。
【0018】
以下では一般的に、第1の経糸は、第1の織り層だけに織り込まれた経糸であるとする。また、第1の緯糸は、第1の織り層だけに織り込まれた緯糸である。また第2の経糸は、第2の織り層だけに織り込まれた経糸であり、第2の緯糸は、第2の織り層だけの折込まれた緯糸である。
【0019】
有利な形式で、結合緯糸は、第1の織り層の、構造化された一体的な構成部分である。つまり、第1の織り層の緯糸の一方の部分が第1の緯糸であり、第1の織り層の緯糸の他方の部分が結合緯糸であって、第1の織り層のすべての経糸が第1の経糸である。また、第1の織り層は、第1の経糸と第1の緯糸及び前記結合緯糸とを織り込むことによって形成されており、この場合、第1の織り層と第2の織り層とは、結合緯糸と第1の経糸及び第2の経糸とが織り合わされていることによって、第2の織り層と結合されている。
【0020】
また、結合緯糸と第1の経糸とを互いに交互の織り合わせることによって、第1の経糸と第1の緯糸とを織り合わせることによって形成された織り模様の連続が形成される。
【0021】
高い繊維支持作用及び低いマーキング傾向を有する紙側若しくはシート材料接触側を提供するためには、第1の織り層が麻織りを形成していれば有利である。
【0022】
有利な形式で、第2の織り層のすべての緯糸が第2の緯糸、つまり第2の織り層の織り込まれた緯糸であって、第2の織り層のすべての経糸が第2の織り層だけに織り込まれた第2の経糸である。この場合、第2の織り層が第2の経糸と第2の緯糸とを織り合わせることによって形成され、第1の織り層は、結合緯糸と第1及び第2の経糸とが織り合わせられることによって、第2の織り層と結合されている。このような実施態様において、結語緯糸と第2の経糸とを交互に織り合わせることによって形成された織り模様は連続しない。つまり、結合緯糸は第2の織り層の一体的な構成部分ではない。
【0023】
この場合特に、それぞれ第2の経糸が織り込まれた1対の結合糸は、互いに連続する2つの交差箇所間で、第2の織り層の外側に沿って走行しながら、第2の経糸又は互いに連続する2つの第2の経糸と交差する。結合緯糸が2つの第2の経糸と交差する場合、第1の織り層を第2の織り層に結合するための力は、結合糸毎に2つの第2の経糸に分配される。これによって、それぞれ結合しようとする第2の経糸は、第1の織り層に向かってわずかに引き寄せられる。
【0024】
このような関係において、第2の織り層の外側とは、製織布の走行側又は機械接触側を提供する、つまり露出された第2の織り層の側のことである。
【0025】
本発明の具体的な実施態様によれば、第2の織り層の織り模様は4つ又は8つの経糸を有している。
【0026】
第2の織り層の織り模様が4つの経糸を有している場合、有利な形式で第2の織り層の織り模様が、それぞれ4つの第2の緯糸及び4つの第2の経糸によって形成されたパターンリピートで繰り返される。この場合、各第2の緯糸が第1の織り層と第2の織り層との間を走行しながら第2の経糸と交差する前に、それぞれ第2の緯糸が第2の織り層の外側に沿って走行しながら、互いに連続する3つの第2の経糸と交差する。
【0027】
第2の織り層の織り模様が8つの経糸を有している場合、第2の織り層の織り模様が、それぞれ8つの第2の緯糸と8つの第2の経糸とによって形成されたパターンリピートで繰り返され、この場合、前記パターンリピートが各第2の緯糸は、この第2の緯糸が第1の織り層と第2の織り層との間を走行しながら第2の経糸と交差する前に、第2の織り層の外側に沿って走行しながら互いに連続する7つの第2の経糸と交差する。
【0028】
本発明のさらに別の具体的な実施態様によれば、それぞれ第1の経糸が織り込まれた1対の結合緯糸が、互いに連続する2つの交差箇所間で、第1の織り層の外側に沿って走行しながら少なくとも2つの第1の経糸と交差するようになっている。この場合、1対の2つの結合緯糸のうちの第1の結合緯糸が(この第1の結合緯糸によって第1の織り層が織られている場合)、互いに連続する交差箇所間で第1の織り層の外側に沿って走行しながら、1対の第2の結合緯糸と同じ数の第1の経糸と交差する。
【0029】
この場合、第1の織り層の外側とは、第1の織り層の露出した側、つまり製織布の紙側又はシート材料接触側を形成する、第1の織り層の側のことである。
【0030】
1対の2つの結合緯糸の第1の結合緯糸が(この第1の結合緯糸によって第1の織り層が織られている場合)、互いに連続する交差箇所間で、第1の織り層の外側に沿って走行しながら、1対の第2の結合緯糸の数とは異なる数の、第1の経糸と交差するようにしてもよい。
【0031】
特に平らで規則的な紙側を形成するために、それぞれ第1の経糸が織り込まれた1対の結合緯糸が、互いに連続する2つの交差箇所間で第1の織り層の外側に沿って走行しながら非整数の第1の経糸と交差し、非整数の第1の経糸の中央が、結合緯糸の直接隣接し合う対の交差箇所を形成するようにすれば、有利である。
【0032】
本発明による製織布の具体的な要求に応じて、結合緯糸の隣接し合う対間に、1つ又は2つの第1の緯糸、及び/又は1つ又は2つの第2の緯糸が配置されていれば、有利である。
【0033】
選択的な実施例によれば、第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の比が、特に1.5よりも大きいか又は1.5であり、第2の緯糸の横断面が、0.018mmの範囲、有利には0.023mm〜0.197mmの範囲内にあり、特に有利には0.1256mmである。このような数値の経糸比においては、比較的太い第2の緯糸を使用することも可能である。太い第2の緯糸によって、本発明による製織布の耐摩耗性は、著しく高められる。
【0034】
本発明の別の実施態様によれば、第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の比が、特に1.5よりも大きいか、又は1.5であり、第1の経糸の横断面が0.018mmより小さいか又は0.018mmであり、有利には0.011mmより小さいか又は0.011mmであり、特に有利には0.008mmより小さいか又は0.008mmである。
【0035】
具体的には、第1の経糸が、第2の経糸よりも小さい横断面寸法を有している。また、第1の緯糸が、第2の緯糸よりも小さい横断面寸法を有していることも考えられる。特に麻織りに関連して、均一な紙側を提供するために、第1の緯糸が、第1の経糸とほぼ同じ横断面寸法を有していれば、有利である。
【0036】
また、第2の緯糸が、第2の経糸よりも大きい横断面寸法を有していてもよい。
【0037】
本発明の具体的な実施態様によれば、第1の織り層の第1の経糸の密度が、1cm毎に25本又はそれ以上、有利には1cm毎に30本又はそれ以上、特に有利には1cm毎に40本又はそれ以上、及び/又は第1の織り層25の第1の緯糸の密度が、1cm毎に25本、有利には1cm毎に30本、特に有利には1cm毎に40本又はそれ以上である。
【0038】
本発明の別の有利な実施態様によれば、緯糸結合されたシステムの代わりに経糸結合されたシステムを使用してもよい。この場合、経糸の少なくとも一部が、第1の織り層と第2の織り層との間の結合を形成する結合経糸である。
【0039】
具体的には、第1の織り層の経糸の一方の部分が第1の経糸であって、第1の織り層の経糸の他方の部分が結合経糸であって、第1の織り層の全緯糸が第1の緯糸であって、この場合、第1の織り層が、第1の緯糸と第1の経糸と前記結合経糸とを織り合わせることによって形成されており、第1の織り層と該2の織り層とは、前記結合経糸と第1及び第2の緯糸とが織り合わせられていることによって、結合されている。
【0040】
構造を形成するシステムが用いられる場合、結合経糸と第1の緯糸とを互いに交互に織り合わせることによって、第1の経糸と第1の緯糸とを織り合わせて形成された織り模様が連続する。
【0041】
この場合、第1の織り層は有利には麻織りであってもよい。
【0042】
結合緯糸が第2の織り層の一体的な構成部分でなければ、第2の織り層の全経糸が第2の経糸であって、第2の織り層の全緯糸が第2の緯糸であって、この場合、第2の織り層が、第2の緯糸と第2の経糸とを織り合わせることによって形成され、第1の織り層は、結合経糸と第1及び第2の緯糸とを織り合わせることによって、第2の織り層に結合されている。
【0043】
別の実施態様によれば、機械接触側を提供する第3の織り層が設けられている。この場合も、第1の織り層の経糸の数が、第3の織り層の経糸の数よりも多い。
【0044】
経糸は、製織布の長手方向に延在するように、方向付けされる。この場合、緯糸は、製織布の横方向に延在する、第1の織り層と第2の織り層との間の結合部を形成する。
【0045】
本発明による製織布は有利には、印刷可能な紙、特にSC,LWC又は新聞用紙を製造する抄紙機のフォーマの抄紙網として用いられる。この場合、有利には、前記抄紙網は、フォーマ、殊にギャップフォーマ又は長網抄紙機又はハイブリッドフォーマの下網位置に設けられる。
【0046】
本発明による抄紙網の高い耐摩耗性に基づいて、この抄紙網を、毎分1800m又はそれ以上、殊に毎分2000m又はそれ以上で作業する抄紙機に使用すれば、有利である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】経糸比3:2を有する製織布を示す原理図である。
【図2】経糸比5:2における、図1に対応する製織布の原理図である。
【図3】図1に示した経糸比3:2を有する、第1実施例による製織布の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す概略図である。
【図4】図1に示した経糸比3:2を有する、第2実施例による製織布の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す概略図である。
【図5】図1に示した経糸比3:2を有する、第3実施例による製織布の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す概略図である。
【図6】図1に示した経糸比3:2を有する、第4実施例による製織布の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す概略図である。
【図7】図1に示した経糸比3:2を有する、第5実施例による製織布の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す概略図である。
【図8】図1に示した経糸比3:2を有する、第6実施例による製織布の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す概略図である。
【図9】経糸比3:2を有する、経糸結合された製織布を示す原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明を以下に図面を用いて説明する。
【0049】
図1には、帯材例えば紙又はこれと類似のものを製造するための、一般的に符号100で示した製織布の原理図が示されており、この場合、製織布100は、例として若しくは有利な形式で抄紙網として使用される。
【0050】
製織布100は2つの織り層101,102を有しており、第1の織り層101は、図1で上側(第1の織り層101の外側)において帯材接触側103を提供している。この帯材接触側103に、完成された帯材つまり紙が直に接触する。下側若しくは第2の織り層102は、機械接触側104を提供している。この機械接触側104において、帯材を製造するために、製織布100をガイドし、駆動し、かつ変向する、機械のローラが製織布100に接触する。
【0051】
図1に示されているように、帯材接触側103を提供する第1の織り層101は、経糸OKによって構成されており、これに対して第2の織り層102は経糸UKによって構成されている。第1の織り層101の経糸OKと、第2の織り層102の経糸UKとの間において、図1に示した実施例では、経糸比3:2が形成される。このことはつまり、製織布100において、例えばパターンリピート又は製織布全体に関連して、第1の織り層101の経糸OKの数が、第2の織り層102の経糸UKの数の1.5倍だけ多いということである。このような、1よりも大きく、かつ1.5を越えない、しかも非整数の(整数ではない)経糸比によって、様々な利点が得られる。まず第1に、図1にも示されているように、第1の織り層101のために、第2の織り層102の経糸UKよりも薄い経糸OKを使用することができる。それによって、帯材接触側103の織物構造をより細かくすることができ、ひいてはマーキング傾向を低下させることができる。機械接触側104において、この機械接触側104に発生する高い摩耗要求に対するサイズ及び材料選択に関連して、より太い経糸UKを方向付けることができ、それによって最適な摩耗体積を得ることができる。
【0052】
図1に示した2つの織り層101,102若しくは織り層101,102の経糸OK,UKは、緯糸と織り合わせることができる。経糸は一方では、例えばここで麻織りを形成するために、それぞれの織り層特に織り層101に組み込んで織物構造を形成し、他方では、織り層101,102間で交差し、それによって2つの織り層の堅固な結合が得られる。このために、図3には、経糸方向及び緯糸方向のパターンリピートのための、それぞれ織り層101の経糸及び織り層102の経糸に織り込まれる緯糸の延在形状が示されている。
【0053】
図3に示した製織布100は、緯糸結合された織物、つまり第1の織り層101が結合緯糸によって第2の織り層と結合された織物である。
【0054】
すべての図3〜図8において、第1の織り層101の経糸OKは、第1の織り層にのみ組み込まれた経糸である。さらに、すべての図3〜図8において、第2の織り層102の経糸UKは、第2の織り層にのみ組み込まれた経糸である。
【0055】
従って、経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20,21,23,25,26,28,30,31,33,35,36,40,41,43,46,48,50は、第1の製織布101の経糸OKに相当し、これに対して、経糸2,4,7,9,12,14,17,19,22,24,27,29,32,34,37,39,42,44,47,49は、第2の織り層102の経糸UKに相当する。
【0056】
パターンリピート内に存在する緯糸は、それぞれ互いに上下に1対形式で配置されており、この場合、それぞれ、もっぱら上側の織り層101内に組み込まれているか又は下側の織り層102内に組み込まれている1対の緯糸と、2つの織り層101,102内に織り込まれている1対の緯糸とが交互に、交差箇所でしかもこれらの交差箇所の間で入れ替わっており、これによって構造を形成するのではなく、2つの織り層101,102が互いに効果的に結合されるようになっている。図3の最上位列に2つの緯糸OS1及びUS1が示されており、これら2つの緯糸OS1及びUS1のうちの緯糸OS1は織り層101内にのみ織り込まれていて、織り層101の経糸OKと、麻織りに従って結合されている。緯糸US1は織り層102内にだけ織り込まれている。つまり緯糸US1は、外側つまり走行側に比較的長い浮き織りを有し、それによってこの外側できるだけ大きい摩耗体積が得られるように、結合されている。
【0057】
経方向に、1対の緯糸B1及びB2が続いており、これらの緯糸B1及びB2は、第1の織り層101と第2の織り層102との間で入れ替わっている。このような形式で、織り層101内において2つの緯糸B1,B2が事実上1つの唯一の緯糸を形成し、この緯糸がここに存在する経糸OKと麻織りに従って結合される。次いで再び、1対の緯糸OS2,US2(このうちの緯糸OS2が最初の緯糸OS1と同様に結合される)が続き、これに対して緯糸OS2は織り層102の別の経糸UKを介して結合される。
【0058】
このようなパターン(柄)は、結合緯糸の各対の緯糸間の交差点の交互の層及び、下側の織り層102内にのみ織り込まれた緯糸USの結合点の交互の層と共に、すべてのパターンリピートに亘って連続する。勿論、図3に示した織り柄は、3:2の経糸比を有する製織布100の構造のための1例にすぎない。この場合、糸道、編み構造、交差点の層その他の様々なバリエーションが考えられる。また勿論、別の経糸比、例えば4:3,5:3,5:4その他を選択することもできる。これらすべての経糸比は、1よりも大きいが、1.5を越えることはなく、しかも非整数であることを特徴としている。このような経糸比の利点は、これによって厚さが非常に織物を得ることができ、それと同時に非常に良好な脱水能力及び、小さい中空室容積における小さい水吸収効果が保証される。
【0059】
それぞれ5つの第2の緯糸例えばUS1−US5及び5つの第2の経糸例えば2,4,7,9,12及び14によって形成される、第2の織り層102の織り模様が繰り返される。この場合、それぞれ第2の緯糸US1−US5が、第1の織り層101と第2の織り層102との間で第2の経糸と交差する前に、第2の織り層102の外側に沿って移動して、互いに連続する4つの第2の経糸と交差する。
【0060】
この製織布100の織り模様は、全層において繰り返され、この場合、層全体内に各結合糸対の結合糸B1−B20が、2つ以上、具体的な実施例では6つの交差箇所Xを形成する。例えば、結合糸対B1,B2は、製織布100の層内で交差箇所X1−X6を形成する。
【0061】
緯糸方向で見て、第1の織り層101の経糸は、第2の織り層102の経糸に対して相対的にずらして配置されている。
【0062】
さらにまた、第2の織り層102つまり第2の緯糸US1−US10の緯糸の数に対する、第1の織り層101の緯糸つまり第1の緯糸OS1−OS10の数及び結合糸対の数の比は、1よりも大きい。これは、1対の結合緯糸がそれぞれ、第1の経糸と協働して、第1の織り層の織畝に相当する織畝を織ることによって、つまり結合緯糸が第1の織り層101の組み込まれた構成部分であって、これに対して結合緯糸が第2の織り層102の構成部分ではないことによって得られる。
【0063】
具体的には、第2の織り層102の緯糸の数に対する第1の織り層101の緯糸の数の比は、2.0である。
【0064】
さらに、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20,21,23,25,26,28,30,31,33,35,36,38,40,41,43,45,46,48,50が織り込まれた、各対の結合緯糸B1−B20は、互いに連続する2つの交差箇所X間において第1の織り層101の外側に沿って走行しながら少なくとも2つの第2の経糸と交差する。具体的には、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20,21,23,25,26,28,30,31,33,35,36,38,40,41,43,45,46,48,50が織り込まれた、各対の結合緯糸B1−B20は、互いに連続する2つの交差箇所X間において第1の織り層102の外側に沿って走行しながら2つ又は3つの第1の経糸と交差する。
【0065】
さらに、それぞれ第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19,22,24,27,29,32,34,37,39,42,44,47,49が織り込まれた、アック対の結合糸は、互いに連続する2つの交差箇所Xにおいて第2の織り層102の外側に沿って走行しながら1つだけの第2の経糸と交差する。
【0066】
例えば、それぞれ第2の経糸が織り込まれた、対B1,B2の結合糸B1は、互いに連続する2つの交差箇所X1,X2の間において第2の織り層102の外側に沿って走行しながら第1の経糸12と交差する。
【0067】
図示の実施例では、結合糸B1−B20の互いに隣接し合う対の間に、第1の緯糸OS1−OS10と第2の緯糸US1−US10とが配置されている。例えば、互いに隣接し合う対B1,B2とB3,B4との間に、第1の緯糸OS2及び第2の緯糸US2が配置されている。
【0068】
選択的な実施例は図2に示されている。図2には、図1の実施例と同様に、2つの織り層101及び102から成る製織布100が形成されているが、この場合、第2の織り層102の経糸UKに対する第1の織り層101の経糸OKの比は5:2に相当する。これによって、走行側の織り層102のために、より太い、ひいては耐摩耗性がより強い経糸UKを使用することができる。またこれによって、織り層102の経糸UKの質量は、第1の織り層101の経糸UKの質量と比較して著しく大きく、ひいては著しく静粛な走行特性が得られる。さらにまた、このような形式の1.5よりも大きい経糸比においては、0.1256mmよりも大きい横断面を有する緯糸を使用することができる。これは特に機械接触側において必要な強度も考慮した、主に第1の織り層101の経糸OKが織り込まれた緯糸のために適している。
【0069】
勿論、本発明の原理は、2つ以上の織り層を有する織りテープにおいて使用することもできる。例えば、図面に示されていない第3の織り層を設け、この第3の織り層が機械接触側を提供することができるようになっているので、図示の第2の織り層102が中間の織り層である。第3の織り層に対する比において、帯材側の織り層101の経糸の数は多くてもよいので、この場合も、帯材側の織り層と走行側の織り層との間の経糸比は、1よりも大きい。
【0070】
さらにまた、有利な形式で経糸は帯材長手方向に走行し、これに対して緯糸羽帯材横方向に走行する。このような形式で、帯材長手方向及びひいては帯材の走行方向に延在する経糸によって、長さの要求に合わせて織られたほぼ任意の寸法を有する製織布を制作することができる。
【0071】
図4には、図1に示した経糸比3:2を有する製織布100の第2実施例の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状が示されている。
【0072】
織りテープ100は、第1の織り層101と第2の織り層102とを有している。第1の織り層101と第2の織り層102とは、結合糸B1−B8によって互いに結合されている。
【0073】
有利な形式で、結合糸は結合緯糸であって、一対形式で配置されている。この場合、1対の結合糸B1−B8、例えばB1,b2又はB3,B4又はB5,B6は、織り込まれる際に、第1の織り層101及び第2の織り層102の糸と互いに入れ替わる。さらに、1対の結合糸は、第1の織り層101の糸の織り込みから第2の糸層102の糸の織り込みに切り替わる際に交差し、それとは逆の切り替わりの際に、交差箇所Xを形成しながら交差する。
【0074】
第1の織り層101は、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18及び20に、第1の緯糸OS1−OS9及び結合緯糸B1−B8を織り込むことによって形成される。言い換えれば、第1の織り層101の緯糸の一部は第1の緯糸OS1−OS8であって、第1の織り層101の緯糸の他方の部分が結合緯糸B1−B8であって、第1の織り層101の全経糸が第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18及び20である。
【0075】
この場合、第1の経糸及び第1の緯糸は、第1の織り層101を織り込むためにのみ用いられ、従って第1の織り層101内にのみ織り込まれている。つまり、第1の経糸及び第1の緯糸は、第2の織り層102の形成には寄与しない。
【0076】
図4に示されているように、1対の結合糸は、織り込む際に第1の織り層101の糸と互いに入れ替わって、この第1の層101の糸と共に1つの共通の織畝を形成する。例えば、1対の2つの結合糸B1,B2は、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18及び20と協働して1つの織畝を形成する。つまり、1対を成す2つの結合糸B1,B2は、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18及び20を織り込む際に、互いに補い合う。
【0077】
結合緯糸B1−B8と、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18及び20とを、互いに交互に織り込むことによって、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18及び20と第1の緯糸OS1−OS8を織り込むことによって形成された織り模様が連続する。このことはつまり、結合糸が第1の織り層101内で織物構造を形成する、ということである。図4に示されているように、第1の織り層101は麻織りを形成している。
【0078】
第2の織り層102は、第2の経糸2,4,7,9,12,14,17及び19を織り込むことによって形成される。言い換えれば、第2の織り層102の全緯糸は第2の緯糸US1−US9であって、第2の織り層102の全経糸は第2の経糸2,4,7,9,12,14,17及び19である。この場合、結合緯糸B1−B8に、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20、及び第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19が織り込まれることによって、第1の織り層101が第2の織り層102と結合される。
【0079】
この場合、第2の経糸と第2の緯糸とは、第2の織り層101を織り込むためにのみ寄与する。つまり、第2の経糸と第2の緯糸とは、第1の織り層102の形成には寄与しない。
【0080】
第2の織り層102の織り模様は、それぞれ第2の緯糸US1−US8及び8つの第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19によって形成されるパターンリピートの反復繰り返しである。この場合、それぞれ第2の緯糸US1−US8は、これが第1の織り層101と第2の織り層102との間を走行しながら第2の経糸と交差する前に、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、互いに連続する7つの第2の経糸と交差する。
【0081】
製織布100の織り模様は、パターンリピートの繰り返しであって、この場合、全パターンリピート内で、各結合糸対の結合糸B1−B8が2つの交差箇所Xを形成している。例えば結合糸対B1,B2は、製織布100の反復繰り返し内で交差箇所X1及びX2を形成している。
【0082】
本発明によれば、第2の織り層102の経糸の数、つまり第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19の経糸の数に対する、第1の織り層101の経糸の数、つまり第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20の数の比は、1よりも大きい。この比は、具体的には1.5である。
【0083】
緯糸の延在方向で見て、第1の織り層101の経糸、つまり第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20は、第2の織り層102の経糸、つまり第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19に対してずらして配置されている。
【0084】
また、第2の織り層102の緯糸の数、つまり第2の緯糸US1−US8の数に対する、第1の織り層101の緯糸の数、つまり第1の緯糸OS1−OS8及び結合緯糸の数は、1よりも大きい。これは、各結合緯糸対が第1の経糸と共に、第1の緯糸の織畝に相当する1つの織畝を形成し、つまり結合緯糸が第1の織り層101の一体的な構成部分であって、これに対して結合緯糸は第2の織り層102の構成部分ではないことによって、得られる。
【0085】
具体的には、第2の織り層102の緯糸の数に対する第1の織り層101の緯糸の数の比は、1.5である。
【0086】
また、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれた、各対の結合緯糸B1−B8は、互いに連続する2つの交差箇所Xの間で、第1の織り層101の外側に沿って走行しながら、少なくとも2つの第1の経糸と交差する。具体的には、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれた、各対の結合緯糸B1−B8は、互いに連続する2つの交差箇所Xの間で、第1の織り層101の外側に沿って走行しながら、3つ、つまり奇数の第1の経糸と交差する。この場合、3つの第1の経糸の中央の経糸は、結合緯糸の、直接的に隣接する対の交差箇所を形成する。
【0087】
例えばそれぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれた、対B1,B2の結合緯糸B1は、互いに連続する2つの交差箇所X1,X2の間でADI1の織り層101の外側に沿って走行しながら、3つの第1の経糸6,8,10と交差し、この場合、3つの第1の経糸の中央の経糸、つまり第1の経糸10が、結合緯糸B3,B4及びB7,B8の直接隣接し合う2つの対の交差箇所X4及びX7を形成する。
【0088】
図4に示されているように、各結合糸対の各結合糸は、互いに連続する交差箇所間で第1の織り層の外側に沿って走行しながら、同数の第1の経糸、具体的には3つの第1の経糸と交差する。
【0089】
また、それぞれ第2の経糸2,4,7,9,12,14,17及び19が織り込まれた、各対の結合糸は、互いに連続する2つの交差箇所X間で、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、互いに連続する2つの第2の経糸2,4,7,9,12,14,17及び19と交差する。
【0090】
例えば、それぞれ第2の経糸が織り込まれた、対B1,B2の結合糸B2は、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、互いに連続する2つの経糸9及び12と交差する。
【0091】
図示の実施例では、結合緯糸B1−B8の隣接する対間に、2つの第1の緯糸OS1−OS8及び2つの第2の緯糸US1−US8が配置されている。例えば、隣接し合う対B1,B2とB3,B4との間に、2つの第1の緯糸OS3,OS4及び2つの第2の緯糸US3,US4が配置されている。
【0092】
図5は、図1に示した経糸比3:2を有する、製織布100の第3実施例の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す。
【0093】
製織布100は、第1の織り層101と第2の織り層102とを有している。第1の織り層101と第2の織り層102とは、結合糸B1−B16によって互いに結合されている。
【0094】
結合糸は結合緯糸であって、1対形式で配置されている。この場合、1対例えばB1,B2又はB3,B4又はB5,B6の結合糸B1−B16は、第1の織り層101及び第2の織り層102の糸を織り込む際に互いに入れ替わる。さらに、1対の結合糸は、織り込みの切換時に、第2の織り層102の糸を織り込むために第1の織り層101の糸と交差し、かつ反対に交差箇所X1−X16を形成しながら交差する。
【0095】
第1の織り層101は、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20と、第1の緯糸OS1−OS8と、結合緯糸B1−B16とを織り合わせることによって形成される。言い換えれば、第1の織り層101の緯糸の一方の部分が第1の緯糸OS1−OS8であって、第1の織り層101の緯糸の他方の部分が結合緯糸B1−B16であって、第1の織り層101のすべての経糸が、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20である。
【0096】
この場合、第1の経糸と第1の緯糸は、第1の織り層101を織るためにのみ寄与している。つまり第1の経糸と第1の緯糸は、第2の織り層102を形成には寄与しない。
【0097】
図5に示されているように、1対の結合糸は、第1の織り層101の糸を織り込む際に、1つの共通の織畝を形成するように、互いに交差する。1対の2つの結合糸B1,B2が第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20と協働して1つの織畝を形成する。つまり、1対の2つの結合糸B1,B2は、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20を織り込む際に互いに補い合う。
【0098】
結合緯糸B1−B16と第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20とを互いに交互に織り込むことによって、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20に第1の緯糸OS1−OS8を織り込むことによって形成された織り模様が連続する。
【0099】
このことはつまり、第1の織り層101内に結合糸が構成されている、ということである。図5に示されているように、第1の織り層101は麻織りを形成している。
【0100】
第2の織り層102は、第2の経糸2,4,7,9,12,14,17及び19に第2の緯糸US1−US8を織り込むことによって形成される。言い換えれば、第2の織り層102の全緯糸は第2の緯糸であって、第2の織り層102の全経糸は、第2の経糸2,4,7,9,12,14,17及び19である。この場合、結合緯糸B1−B16に、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20及び第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19が織り込まれていることによって、第1の織り層101は第2の織り層102と結合される。
【0101】
第2の織り層102の織り模様は反復繰り返しされる。この反復繰り返しは、それぞれ8つの第2の緯糸US1−US8と8つの第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19とによって形成される。この場合、第2の緯糸はそれぞれ、これが第1の織り層101と第2の織り層102との間で走行しながら第2の経糸と交差する前に、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、互いに連続する7つの第2の経糸と交差する。
【0102】
製織布100の織り模様は、全パターンリピートで繰り返され、この場合、全パターンリピート内において、各結合糸対の結合糸B1−B16は2つの交差箇所Xを形成する。例えば、結合糸対B1,B2は、製織布100の反復繰り返し内で交差箇所X1及びX2を形成する。
【0103】
本発明によれば、第2の織り層102の経糸、つまり第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19の数に対する、第1の織り層101の経糸の数、つまり第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20の数の比は、1より大きく、具体的には比1.5である。
【0104】
緯糸の延在方向で見て、第1の織り層101の経糸、つまり第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20は、第2の織り層102の経糸、つまり第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19に対してずらして配置されている。
【0105】
第2の織り層102の緯糸つまり第2の緯糸US1−US8の数に対する、第1の織り層101の緯糸つまり第1の緯糸OS1−OS8及び結合緯糸対の数の比は、1より大きい。これは、各結合緯糸対が第1の経糸と協働して、第1の緯糸の織畝に相当する織畝を形成することによって、つまり結合緯糸が第1の織り層101の一体的な構成部分であって、これに対して結合緯糸は第2の織り層102の構成部分ではないことによって、得られる。
【0106】
具体的には、第2の織り層102の緯糸の数に対する第1の織り層101の緯糸の数の比は、2.0である。
【0107】
さらにまた、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれた、各対の結合緯糸B1−B6は、互いに連続する2つの交差箇所Xの間で第1の織り層101の外側に沿って走行しながら、少なくとも2つの第1の経糸と交差する。具体的には、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれている、1対の結合緯糸B1−B16は、互いに連続する2つの交差箇所X間で、第1の織り層101の外側に沿って走行しながら3つの第1の経糸と交差する。
【0108】
例えば、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれた、対B1,B2の結合緯糸B1は、互いに連続する2つの交差箇所X1,X2の間で、第1の織り層101の外側に沿って走行しながら3つの第1の経糸11,15,18と交差する。
【0109】
すべての交差箇所X1−X16が、製織布100のパターンリピート内で平行な繊維束(Geradenschar)上に配置され得るわけではない。
【0110】
図5に示されているように、各結合糸対の各結合糸は、互いに連続する2つの交差箇所Xの間で第1の織り層101の外側に沿って走行しながら、同数の第1の経糸、具体的には3つの第1の経糸と交差する。
【0111】
各対のそれぞれ第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19は、互いに連続する2つの交差箇所Xの間で第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、互いに連続する2つの第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19と交差する。
【0112】
例えば、それぞれ第2の経糸が織り込まれた、各内B1,B2の結合糸B2は、互いに連続する2つの交差箇所X1,X2の間で、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、互いに連続する2つの経糸4,7と交差する。
【0113】
図示の実施例では、結合緯糸B1−B16の隣接し合う対の間に、第1の緯糸OS1−OS8及び第2の緯糸US1−US8が配置されている。例えば隣接し合う対B1,B2とB3,B4との間に、第1の緯糸OS2及び第2の緯糸US2が配置されている。
【0114】
図6は、図1に示した経糸比3:2を有する、製織布100の第3実施例による完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す。
【0115】
製織布100は、第1の織り層101と第2の織り層102とを有している。第1の織り層101と第2の織り層102とは、結合糸B1−B16によって互いに結合されている。
【0116】
主に、結合糸及び結合緯糸が、1対で配置されている。この場合、1対の例えばB1,B2又はB3,B4又はB5,B6の結合糸B1−B16は、第1の織り層101及び第2の織り層102の糸と織り合わせる際に、互いに入れ替わる。さらにまた、1対の結合糸は、第1の織り層101の糸との織り合わせから、第2の織り層102の糸の織り合わせに切り替わる際に交差し、その逆の切り替わりの際に交差箇所X1−X16を形成しながら交差する。
【0117】
第1の織り層101は、第1経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20と、第1の緯糸OS1−OS8及び結合緯糸B1−B16との織り合わせによって形成される。言い換えれば、第1の織り層101の緯糸の一方の部分が第1の緯糸OS1−OS8であって、第1の織り層101の緯糸の他方の部分が結合緯糸B1−B16であって、第1の織り層101のすべての経糸が第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20である。
【0118】
この場合、第1の経糸と第1の緯糸とは、第1の織り層101を織るためにだけ寄与している。つまり第1の経糸と第1の緯糸とは、第2の織り層102の形成には寄与しない。
【0119】
図6に示されているように、1対の結合糸は、第1の織り層101の糸を織り込む際に、これらが協働して1つの共通の織畝を織るように、互いに入れ替わる。例えば、1対の2つの結合糸B1,B2は、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20と一緒に1つの織畝を織る。つまり、1対の2つの結合糸B1,B2は、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20を織り込む際に互いに補い合う。
【0120】
結合緯糸B1−B16に第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が互いに交互に織り込まれることによって、第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20に第1の緯糸OS1−OS8を織り込むことによって形成された織り模様が連続する。つまり、第1の織り層101内の結合糸が構造を形成する糸である。図6から分かるように、第1の織り層101は麻織りを形成している。
【0121】
第2の織り層102は、第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19に第2の緯糸US1−US8を織り込むことによって形成される。言い換えれば、第2の織り層102のすべての緯糸は第2の緯糸US1−US8であって、第2の織り層102のすべての経糸は第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19である。この場合、結合緯糸B1−B16と第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20及び第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19とが織り合わせられることによって、第1の織り層101は第2の織り層102に結合される。
【0122】
主に、第2の織り層102の織り模様は、それぞれ4つの第2の緯糸US1−US8及び4つの第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19によって形成されるパターンリピートで繰り返される。この場合、それぞれ第2の緯糸US1−US8は、これが第1の織り層101と第2の織り層102との間を走行しながら第2の経糸と交差する前に、第2の庵層102の外側に沿って走行しながら互いに連続する第2の経糸と交差する。
【0123】
製織布100の織り模様は、全パターンリピートで繰り返され、この場合、全パターンリピート内で、各結合糸対の結合糸B1−B16が2つの交差箇所Xを形成する。例えば、結合糸対B1,B2は、製織布100のパターンリピート内で交差箇所X1及びX2を形成している。
【0124】
本発明によれば、第2の織り層102の経糸の数、つまり第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19の数に対する、第1の織り層101の経糸の数つ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20の数の比は、1よりも大きい。具体的にはこの比は1.5である。
【0125】
緯糸の延在方向で見て、第1の織り層101の経糸つまり第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20は、第2の織り層102の経糸つまり第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19に対してずらして配置されている。
【0126】
さらに、第2の織り層102の緯糸の数つまり第2の緯糸US1−US8の数に対する、第1の織り層101の緯糸の数つまり第1の緯糸OS1−OS8及び結合緯糸対の数の比は、1より大きい。これは、各結合緯糸対が第1の経糸と協働して、第1の緯糸の織畝に相当する織畝を形成することによって、つまり結合緯糸が第1の織り層101の一体的な構成部分であって、これに対して結合緯糸は第2の織り層102の構成部分ではないことによって、得られる。
【0127】
具体的には、第2の織り層102の緯糸の数に対する第1の織り層101の緯糸の数の比は、2.0である。
【0128】
さらにまた、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれた、各対の結合緯糸B1−B6は、互いに連続する2つの交差箇所Xの間で第1の織り層101の外側に沿って走行しながら、少なくとも2つの第1の経糸と交差する。具体的には、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれている、1対の結合緯糸B1−B16は、互いに連続する2つの交差箇所X間で、第1の織り層101の外側に沿って走行しながら3つの第1の経糸と交差する。
【0129】
例えば、それぞれ第1の経糸1,3,5,6,8,10,11,13,15,16,18,20が織り込まれた、対B1,B2の結合緯糸B1は、互いに連続する2つの交差箇所X1,X2の間で、第1の織り層101の外側に沿って走行しながら3つの第1の経糸5,8,11と交差する。
【0130】
すべての交差箇所X1−X16が、製織布100のパターンリピート内で平行な繊維束(Geradenschar)上に配置され得るわけではない。
【0131】
図6に示されているように、各結合糸対の各結合糸は、互いに連続する2つの交差箇所Xの間で第1の織り層101の外側に沿って走行しながら、同数の第1の経糸、具体的には3つの第1の経糸と交差する。
【0132】
例えば、対B1,B2の第1の結合糸B1は、互いに連続する2つの交差箇所X1,X2の間で、第1の織り層101の外側に沿って走行しながら、3つの第1の経糸5,8,11と交差し、対B1,B2の及び第2の結合糸B2は、互いに連続する2つの交差箇所X1,X2の間で、第1の織り層101の外側に沿って走行しながら3つの第1の経糸1,15,18と交差する。
【0133】
さらに、それぞれ第2の結合糸対の結合糸は、これが第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19によって織られる場合、互いに連続する2つの交差箇所Xの間で第2の織り層102の外泡に沿って走行しながら、互いに連続する2つの第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19と交差し、これに対して、それぞれ第1の結合糸対の結合糸は、これが第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19によって織られる場合、互いに連続する2つの交差箇所の間で第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19だけと交差する。図6によれば、それぞれ第2の結合糸対が2つの第1の結合糸対の間に配置されているように、各結合糸対が2つの第2の結合糸対の間に配置されていることが分かる。
【0134】
例えば、それぞれ第2の経糸が織り込まれた、対B1,B2の結合糸は、互いに連続する2つの交差箇所の間で、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、互いに連続する2つの経糸4及び7と交差し、これに対して、それぞれ第2の経糸が織り込まれた、対B3,B4のけ都合糸は、互いに連続する2つの交差箇所の間で、第2の織り層102の外側に沿って走行しながらそれぞれ1つの第2の経糸だけと交差する。
【0135】
第1及び第2の結合糸対の前記のような配置は、図6の実施例だけに限定されるものではなく、本発明による製織布の複数の構成に用いることができる。
【0136】
図示の実施例では、結合緯糸B1−B16の隣接し合う対の間に、第1の緯糸OS1−OS8と第2の緯糸US1−US8とが配置されている。例えば隣接し合う対B1,B2とB3,B4との間に、第1の緯糸OS2と第2の緯糸US2とが配置されている。
【0137】
図7には、図1に示した経糸比3:2を有する製織布100の第2実施例の完全なパターンリピートのための緯糸の延在形状が示されている。
【0138】
製織布100は、第1の織り層101と第2の織り層102とを有している。第1の織り層101及び第2の織り層102は、結合糸B1−B8によって互いに結合されている。
【0139】
図7に示した製織布は、図4に示した製織布に対して、主に、第12の織り層102の織り模様が、それぞれ4つの第2の緯糸US1−US8と4つの第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19とによって形成されるパターンリピートを繰り返している点で異なっている。この場合、それぞれ第2の緯糸US1−US8は、互いに連続する第2の経糸が第1の織り層101と第2の織り層102との間で走行しながら第2の経糸と交差する前に、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、互いに連続する第2の経糸と交差する。
【0140】
さらに、2つの製織布は、図7に示した製織布では、それぞれ第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19が織り込まれた、各対の結合糸が、互いに連続する交差箇所Xの間で各対が、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら、第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19とのみ交差する点で異なっている。
【0141】
例えばそれぞれ第2の経糸が織り込まれた、対B1,B2の結合糸B2は、互いに連続する2つの交差箇所X1,X2の間で、第2の織り層102の外側に沿って走行しながら第2の経糸12と交差する。
【0142】
図8は、図1に示した経糸比3:2を有する製織布100の第2実施例の完全なパターンリピートのための緯糸延在形状を示す。
【0143】
製織布100は、第1の織り層101と第2の織り層102とを有している。第1の織り層101と第2の織り層102とは、結合糸B1−B8によって互いに結合されている。
【0144】
図8に示した製織布は、図7に示した製織布に対して、主に、隣接し合う、結合緯糸B1−B16の対の間に、それぞれ1つの第1の緯糸OS1−OS8と1つの第2の緯糸US1−US8が配置されている点で異なっている。例えば、隣接し合う対B1,B2の間に、第1の緯糸OS2と第2の緯糸US2とが配置されている。これによって、第2の織り層102の緯糸の数に対する第1の織り層101の緯糸の数の比は、2.0である。
【0145】
結合糸が、第2の織り層の外側に1つ又は2つの互いに連続する第2の経糸2,4,7,9,12,14,17,19と交差すると、1つ又は2つの第2の経糸を有する結合箇所が形成される。図4、図5、図7及び図8に示した製織布で、結合糸のすべての対において、2つの結合箇所の間の間隔は、互いに連続する2つの第2の経糸(図4及び図5参照)であるか、又は互いに連続する下側の3つの経糸(図7及び図8参照)である。
【0146】
図6に示した製織布において、第2の結合糸対の2つの結合箇所の間の間隔は、互いに連続する2つの第2の経糸であり、第1の結合糸対においては、互いに連続する下側の3つの経糸である。この場合、第1及び第2の結合糸対は互いに交互に配置されている。
【0147】
図示のすべての製織布において、第1の経糸は、第2の経糸の横断面寸法よりも小さくてよい。また、第1の緯糸は、第2の緯糸よりも小さい横断面寸法を有していていよい。また、第1の緯糸は、第1の経糸とほぼ同じ横断面寸法を有していてよい。第2の緯糸は、第2の経糸よりも大きい横断面寸法を有している。
【0148】
図示の製織布においては、第1の織り層の第1の経糸の密度は、25/cm(1cm毎に25本)又はそれ以上、有利には30/cm又はそれ以上、特に有利には40/cm又はそれ以上である。また第1の織り層の緯糸の密度は、25/cm又はそれ以上、有利には30/cm又はそれ以上、特に有利には40/cm又はそれ以上である。
【0149】
経糸が製織布の長手方向に延在していてい、緯糸が製織布の横方向に延在していれば、有利である。
【0150】
図9には、図1−図8に示した製織布とは異なり、第1の織り層201が、結合経糸BKの対によって第2の織り層202と結合されている製織布200が示されている。
【0151】
この場合、1対の結合経糸BKは、第1及び第2の織り層の糸と織り合わせる際に互いに互いに入れ替わり、第1の織り層201の糸の織り込みから第2の織り層202の糸の織り込みに切り替わり、反転して交差箇所を形成する。
【0152】
この場合、1対の結合経糸BKは、第1の織り層201の糸と織り合わせる際に、この結合経糸BKと第1の織り層201の糸とが協働して、第1の織り層201を織る際に1つの共通の織畝を形成するように、互いに入れ替わる。従って、1対の2つの結合経糸BKは、第1の織り層201を第1の経糸と同様に織る。
【0153】
結合経糸BKと第1の緯糸とを互いに交互に折り合わせることによって、第1の経糸OKと第1の緯糸とを織り合わせることによって形成される織り模様が連続する。
【0154】
従って、第1の織り層201の経糸の一方の部分は第1の経糸であり、第1の織り層201の経糸の他方の部分は、一対形式で配置された結合経糸BKであって、第1の織り層201のすべての緯糸は第1の緯糸である。1対形式で配置された結合経糸が構造を形成するようになっているので、第1の織り層201は、第1の緯糸に第1の経糸OK及び結合経糸BKを織り込むことによって形成される。
【0155】
それとは異なり、第2の織り層202のすべての経糸は第2の経糸UKであり、第2の織り層のすべての緯糸は第2の緯糸であるので、第2の織り層202は、第2の緯糸と第2の経糸UKとを織り合わせることによって形成される。この場合、結合経糸は、第2の織り層202の織り構造を形成するために寄与しない。
【0156】
本発明によれば、第2の織り層の経糸UKの数に対する第1の織り層201の経糸OK,BKの数の比は、1より大きく、具体的には1.5である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料特に紙又は厚紙を製造するための製織布において、経糸と緯糸とを織り合わせて形成された、シート材料接触側を提供する第1の織り層と、該第1の織り層の下に位置する、経糸と緯糸とを織り合わせて形成された第2の織り層とを有しており、第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の比が1よりも大きいことを特徴とする、シート材料を製造する機械のための製織布。
【請求項2】
第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の前記比が、非整数である、請求項1記載の製織布。
【請求項3】
前記比が1.5よりも大きい、請求項1又は2記載の製織布。
【請求項4】
第2の織り層の緯糸の数に対する第1の織り層の緯糸の数の比が1よりも大きい、請求項1から3までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項5】
第2の織り層の緯糸の数に対する第1の織り層の緯糸の数の前記比が1.5又は2である、請求項1から4までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項6】
緯糸の延在方向で見て、第1の織り層の経糸が第2の織り層の経糸に対してずらして配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項7】
第1の織り層と第2の織り層とが、結合糸によって互いに結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項8】
前記結合糸が1対で配置されていて、該1対の結合糸が、第1の織り層の糸と第2の織り層の糸とを織り込む際に、互いに入れ替わり、かつ、第1の織り層の糸との織り合わせから第2の織り層の糸との織り合わせに切り替わる際に、及びそれとは逆の切り替わりの際に交差して交差箇所を形成する、請求項1から7までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項9】
製織布の織り模様が全パターンリピートにおいて繰り返され、この際に全パターンリピート内で各結合糸対の結合糸が2つの交差箇所を形成する、請求項1から8までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項10】
幾つかの交差箇所が、パターンリピート内で平行な繊維束上に配置されていない、請求項1から9までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項11】
1対の結合糸が、第1の織り層の糸と織り合わせる際に、この結合糸と第1の織り層の糸とが一緒に1つの共通の織畝を形成するように、第1の織り層の糸と入れ替わる、請求項1から10までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項12】
製織布の緯糸の少なくとも一部が、第1の織り層と第2の織り層との間の結合を形成する結合緯糸である、請求項1から11までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項13】
第1の織り層の緯糸の一方の部分が第1の緯糸であって、第1の織り層の緯糸の他方の部分が結合緯糸であって、第1の織り層のすべての経糸が第1の経糸であり、前記第1の織り層が、第1の経糸と第1の緯糸及び前記結合緯糸とを織り込むことによって形成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項14】
第1の経糸と互いに交互に織り込まれた結合緯糸によって、第1の経糸と第1の緯糸とを織り合わせることによって形成された織り模様の連続が形成される、請求項1から13までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項15】
第1の織り層が麻織りを形成している、請求項1から14までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項16】
第2の織り層のすべての緯糸が第2の緯糸であって、第2の織り層のすべての経糸が第2の経糸であり、第2の織り層が第2の経糸と第2の緯糸とを織り合わせることによって形成され、第1の織り層は、結合緯糸と第1及び第2の経糸とが織り合わせられることによって、第2の織り層と結合されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項17】
第2の織り層の織り模様が4つ又は8つの第2の経糸を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項18】
第2の織り層の織り模様がパターンリピートで繰り返されており、この場合、前記パターンリピートが4つの第2の緯糸と4つの第2の経糸とによって形成され、各第2の緯糸は、この第2の緯糸が第1の織り層と第2の織り層との間を走行しながら第2の経糸と交差する前に、第2の織り層の外側に沿って走行しながら、互いに連続する3つの第2の経糸と交差する、請求項1から17までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項19】
第2の織り層の織り模様がパターンリピートで繰り返され、この場合、前記パターンリピートが8つの第2の緯糸と8つの第2の経糸とによって形成され、各第2の緯糸は、この第2の緯糸が第1の織り層と第2の織り層との間を走行しながら第2の経糸と交差する前に、第2の織り層の外側に沿って走行しながら互いに連続する7つの第2の経糸と交差する、請求項1から18までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項20】
それぞれ第1の経糸が織り込まれた1対の結合緯糸が、互いに連続する2つの交差箇所間で、第1の織り層の外側に沿って走行しながら少なくとも2つの第1の経糸と交差する、請求項1から19までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項21】
それぞれ第1の経糸が織り込まれた1対の結合緯糸が、互いに連続する2つの交差箇所間で第1の織り層の外側に沿って走行しながら非整数の第1の経糸と交差し、非整数の第1の経糸の中央が、結合緯糸の直接隣接し合う対の交差箇所を形成している、請求項1から20までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項22】
それぞれ第2の経糸が織り込まれた1対の結合位置が、互いに連続する2つの交差箇所間で、第2の織り層の外側に沿って走行しながら、1つの第2の経糸と、又は互いに連続する2つの第2の経糸と交差する、請求項1から21までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項23】
結合緯糸の隣接し合う対間に、1つ又は2つの第1の緯糸、及び/又は1つ又は2つの第2の緯糸が配置されている、請求項1から22までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項24】
第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の比が、特に1.5よりも大きいか又は1.5であり、第2の緯糸の横断面が、0.018mmの範囲、有利には0.023mm〜0.197mmの範囲内にあり、特に有利には0.1256mmである、請求項1から23までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項25】
第2の織り層の経糸の数に対する第1の織り層の経糸の数の比が、特に1.5よりも大きいか、又は1.5であり、第1の経糸の横断面が0.018mmより小さいか又は0.018mmであり、有利には0.011mmより小さいか又は0.011mmであり、特に有利には0.008mmより小さいか又は0.008mmである、請求項1から24までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項26】
第1の経糸が、第2の経糸よりも小さい横断面寸法を有している、請求項1から25までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項27】
第1の緯糸が、第2の緯糸よりも小さい横断面寸法を有している、請求項1から26までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項28】
第1の緯糸が、第1の経糸とほぼ同じ横断面寸法を有している、請求項1から27までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項29】
第2の緯糸が、第2の経糸よりも大きい横断面寸法を有している、請求項1から28までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項30】
第1の織り層の第1の経糸の密度が、1cm毎に25本又はそれ以上、有利には1cm毎に30本又はそれ以上、特に有利には1cm毎に40本又はそれ以上である、請求項1から29までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項31】
第1の織り層の第1の緯糸の密度が、1cm毎に25本、有利には1cm毎に30本、特に有利には1cm毎に40本又はそれ以上である、請求項1から30までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項32】
第2の織り層(14;14a)が機械接触側(18;18a)を形成する、請求項1から31までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項33】
機械接触側を形成する第3の織り層が設けられている、請求項1から32までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項34】
第1の織り層の経糸の数が、第3の織り層の経糸の数よりも大きい、請求項1から33までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項35】
経糸の少なくとも一部が、第1の織り層と第2の織り層との間の結合を形成する結合経糸である、請求項1から11までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項36】
第1の織り層の経糸の一方の部分が第1の経糸であって、第1の織り層の経糸の他方の部分が結合経糸であって、第1の織り層の全緯糸が第1の緯糸であって、第1の織り層が、第1の緯糸と第1の経糸と前記結合経糸とを織り合わせることによって形成されており、第1の織り層と該2の織り層とは、前記結合経糸と第1及び第2の緯糸とが織り合わせられていることによって、結合されている、請求項35記載の製織布。
【請求項37】
結合経糸と第1の緯糸とを互いに交互に織り合わせることによって、第1の経糸と第1の緯糸とを織り合わせることによって形成された織り模様が連続する、請求項35又は36までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項38】
第1の織り層が麻織りを形成している、請求項35から37までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項39】
第2の織り層の全経糸が第2の経糸であって、第2の織り層の全緯糸が第2の緯糸であって、第2の織り層が、第2の緯糸と第2の経糸とを織り合わせることによって形成され、第1の織り層は、結合経糸と第1及び第2の緯糸とを織り合わせることによって、第2の織り層に結合されている、請求項35から39までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項40】
経糸が製織布の長手方向に延在し、緯糸が製織布の横方向に延在する、請求項1から39までのいずれか1項記載の製織布。
【請求項41】
請求項1から40までのいずれか1項記載の製織布の使用法において、
印刷可能な紙、特にSC,LWC又は新聞用紙を製造する抄紙機のフォーマの抄紙網として使用することを特徴とする、製織布の使用法。
【請求項42】
前記抄紙網を、フォーマ、殊にギャップフォーマ又は長網抄紙機又はハイブリッドフォーマの下網位置に設ける、請求項41記載の使用法。
【請求項43】
抄紙機を、毎分1800m又はそれ以上、殊に毎分2000m又はそれ以上で作業させる、請求項41又は42記載の使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−511805(P2010−511805A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539760(P2009−539760)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063471
【国際公開番号】WO2008/068317
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】