説明

シート状材料を打ち抜く機械のためのカウンターダイシリンダおよびカバーを取り付ける/取り外す方法

シート状材料を打ち抜く機械のためのカウンターダイシリンダは、円筒状本体(1)と、円筒状本体の周りに配設された管状部材(2)と、前記環状部材(2)の周りに配設された少なくとも一つのカバー(3)と、少なくとも一つの取り外し自在なカバーを位置付ける/取り外す固定手段と、を備えている。前記固定手段は、少なくとも一つのカバーの2つの端部に固定式で関連付けられた管状部材(2)に配置された軸方向ハウジング(14)の内部に収容されサポートを有し、カバー(3)の2つの端部は、その取り外し/位置付けのために開方向および閉方向に移動可能となっている。このようにして、カバーの取り外しの作業が容易かつ迅速になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、著しい改変と利点とを包含する打ち抜き(stamp)機械のためのカウンターダイシリンダ(counter-die cylinder)、および、打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダにおいてカバーを取り付ける/取り外す方法に関する。
【0002】
とりわけ、本発明は、円筒状本体と、円筒状本体の周りに配設された管状部材と、前記管状部材の周りに配設された少なくとも一つのカバーと、少なくとも一つのカバーを位置付ける/取り外す固定手段と、を備え、簡便にかつ迅速に前記作動を実行することができる、シート状材料を打ち抜く機械のためのカウンターダイシリンダに関する。
【背景技術】
【0003】
段ボール紙のシートから箱を製造するために使用され、2つのシリンダの間に段ボール紙のシートを通過させるという作動原理に基づいた、回転打ち抜き機械のタイプが良く知られている。当該打ち抜き機械は、ダイ保持シリンダを有し、当該ダイ保持シリンダにおいては、ダイおよびカウンターダイシリンダが取り付けられ、一般に樹脂(例えば、ポリウレタン)のシート状材料からなるカバーが設けられ、段ボール紙を切断するブレードが沈下される。
【0004】
カバーは、一般に、ダイブレードが入り込むことによって、時間とともに摩耗し、打ち抜き作動の間、切断を妨げるまでの問題を引き起こし得る。
【0005】
この欠点を減らすための知られた解決法は、カウンターダイシリンダのゆっくりとした軸方向移動を適用することを含んでおり、この場合、当該カウンターダイシリンダの摩耗領域は、より均一に分配され、ある特定の領域に集中されなくなる。また、このような摩耗がカウンターダイシリンダの全長にわたってより均一に分配されるようなカバー回転システムが知られている。
【0006】
実際、カバーの固定システムの知られた半自動タイプにおいては、ポリウレタンの管状部材の下方にシリンダ全体に沿って配設されたクランプの移動により空間が設けられ、ブレードが、段ボール紙を切断することなく、かつ、カバーの遅い回転を包含することなく、当該管状部材に入り込み得る、ということが見られた。
【0007】
さらに、知られた手動システムにおいては、2つ以上の工具を使用することが必要であり、カバーガスケットに摩耗が生じ、カバーの回転が遅くなり、カバーの取り換えのための作業時間が増大する。
【発明の概要】
【0008】
このようなことを考慮し、本発明は、前述した欠点を解決するカウンターダイシリンダであって、以下の詳細な記述から明らかになる他の付加的な利点を有するカウンターダイシリンダを提供することを目標に開発された。
【0009】
このため、本発明は、シート状材料を打ち抜く機械のためのカウンターダイシリンダであって、円筒状本体と、円筒状本体の周りに配設された管状部材と、前記管状部材の周りに配設された少なくとも一つのカバーと、少なくとも一つの取り外し自在なカバーを位置付ける/取り外す固定手段と、を備え、前記固定手段は、少なくとも一つのカバーの2つの端部に固定された管状部材に配置された軸方向ハウジングの内部に収容されたサポートを有し、カバーの2つの端部は、その取り外し/位置付けのために開方向および閉方向に移動可能になっているカウンターダイシリンダを提供することを目的としている。前記サポートには、カバーの一方の端部に結合された緩衝ブロックと、カバーの他方の端部に結合された円筒状本体の長手方向軸に対して垂直に移動可能なフック部材と、が設けられ、カバーの2つの端部のうち少なくとも一方が、カバーの他方の端部に対して開方向および閉方向に移動可能になっている。
【0010】
これらの特徴により、容易に実行される改変された解決法が得られ、管状部材上のカバーを固定された位置に維持することができ、同時に、カウンターダイシリンダに対して自由に回転し、軸方向に移動することができ、このことにより、取り換え作業時間および/またはカバーの移動において顕著な低減がもたらされる。
【0011】
好ましい実施の形態において、緩衝ブロックは、サポートから外方に突出する部分からなっていてもよい。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、フック部材は、管状部材に配置されたハウジングの内壁から突出する突出部分に接続された少なくとも一つのくさび部材が設けられたシャフトに取り付けられ、シャフトがその軸上で回転する際、少なくとも一つのくさび部材は、突出部分に当接し、フック部材は、前記部材上で横方向に移動する。このようにして、比較的簡便な構造の解決法により、カバーを取り外すこと/位置付けることが効率良く実行され得る。
【0013】
好ましくは、シャフトは、一方の端部において幾何学的に形成され、回転工具に連結可能になり、シャフトの回転およびカバーの取り外しを迅速かつ簡便にすることができる。
【0014】
とりわけ好ましい実施の形態においては、シャフトは、ハウジングの内壁から突出する突出部分に取り付けられた2つのくさび部材を有している。
【0015】
固定手段は、外側部が、管状部材の湾曲した輪郭に対応するように形成されている。このようにして、カウンターダイシリンダにその作動中に影響を与え得る障害または逸脱がなく、カバーの調整および位置付けが容易に行われる。
【0016】
ここで述べられた固定手段から現れる他の利点は、機構が閉ざされる場合に、使用されるテンプレートを切断しない状況を生じ得る、カバーに接する表面に空きスペースがないことである。
【0017】
加えて、カウンターダイシリンダは、円筒状本体に対して管状部材を保持する保持機構を有し、前記機構は、弾性手段によって軸方向に調整可能に配設されたコッタ−ピンによって形成され、待機状態において、管状部材が円筒状本体に対して回転可能なように、コッタ−ピンは隠れている。
【0018】
前記弾性部材は、コッタ−ピンに結合された移動自在なピストンに取り付けられた少なくとも一つのコイルばねからなっている。
【0019】
本発明の他の態様によれば、対応する管状部材に連続して結合されて配設された複数のカバーを含む、シート状材料を打ち抜く機械のためのカウンターダイシリンダのカバーを取り付ける/取り外す方法は、
カバーの2つの端部がある距離を置いて十分に離れた状態となって前記カバーの端部のうちの一方を取り外せるように、サポート緩衝ブロックに対して反対方向にフック部材を移動させる工程と、
管状部材を分解する工程と、
取り外されるカバーによって占められていたスペースの方向に、他の管状部材を対応するカバーと共にスライドさせて移動させる工程と、
前に取り外された管状部材を取り付ける工程と、
前記管状部材上で、前に取り外されたカバーを位置付ける工程と、
カバーの2つの端部が互いに当接するまで緩衝ブロックに向かってフック部材を移動させる工程と、
を備えている。
【0020】
本発明のカウンターダイシリンダの他の特徴および利点は、添付された図面において非限定的な例として示され、排他的ではないが、好ましい実施の形態の記述から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明によるカウンターダイシリンダにおいて、カバーの取り外し状態における固定手段の詳細を示す断面図。
【図2】図2は、カウンターダイシリンダにおいて、カウンターダイシリンダの作動または待機の状態における固定手段の詳細を示す断面図。
【図3】図3は、本発明のカウンターダイシリンダに配設された固定手段の詳細を拡大して示す斜視図。
【図4】図4は、本発明によるプロセスを示すシーケンス図。
【図5】図5は、保持機構が示された断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態に示されているように、例えば、段ボール箱のためのテンプレートの形成のためのような、シート状材料(図示せず)を打ち抜く機械のためのカウンターダイシリンダは、内部が空洞で鋼からなる円筒状本体(1)と、円筒状本体(1)の周りに配設され、2つの半体によって形成された管状部材(2)と、前記管状部材(2)の周りに巻き付けられた複数のカバー(3)と、以下に詳述するカバーを位置付ける/取り外す固定手段と、を備えている。
【0023】
概して(4)で示された固定手段に関して、当該固定手段は、管状部材(2)内に配置された軸方向ハウジング(14)の内部に収容されたサポート(5)を有している。当該サポート(5)には、カバー(3)の一方の端部に結合された緩衝ブロック(6)と、カバー(3)の他方の端部に結合され、円筒状本体(1)の長手方向軸に対して垂直に移動可能なフック部材(7)と、が設けられている。このようにして、カバー(3)の2つの端部は、摩耗した場合に、その取り外しおよび取り換えまたは移動のために開方向および閉方向に移動可能になっている。
【0024】
図3において明瞭に示されているように、フック部材(7)は、管状部材(2)に配置されたハウジング(14)の内壁から突出する突出部分(11)に接続された一対のくさび(9)、(10)が設けられたシャフト(8)に取り付けられている。このようにして、シャフト(8)がその軸上で回転する際、突出部分(11)に当接する当該くさび部材(9)、(10)上で、フック部材(7)は横方向に移動する。シャフト(8)の端部は、キーを挿入するための六角形状の穴を有し、作業者は、フック部材(7)の移動を目的として、シャフト(8)を手動で回転させることができるようになっている。図3においては、フック部材(7)の部分が、隠れた状態の構成部材、とりわけくさび部材(9)、(10)を示すために破線を用いて示されている。
【0025】
上述したカウンターダイシリンダのためのカバー(3)を取り付ける/取り外す方法は、以下に示す方法において、手動で実行される。
【0026】
まず、固定手段のサポート(5)の緩衝ブロック(6)に対して反対方向にフック部材(7)を移動させ、カバーの2つの端部が所定距離を置いて十分に離れた状態となり、当該カバー(3)の一方の端部を取り外し、管状部材(2)を手動で分解し、取り外されるカバーによって占められていたスペースの方向に、他の管状部材(2)を対応するカバー(3)と共にスライドさせることによって移動させ、前に取り外された管状部材(2)を再組立し、管状部材上に、前に取り外されたカバー(3)を位置付け、最後に、カバーの2つの端部が互いに当接するまで緩衝部材(6)の方向にフック部材を移動させる。
【0027】
図4は、カバーの取り外しおよび取り付けのプロセスの間、カウンターダイシリンダにおいてさまざまなカバーの移動を観察するために、カバーの一つをストライプ線で示している。
【0028】
図5は、概して(15)で参照される保持機構を示している。当該保持機構(15)は、円筒状本体(1)に対して管状部材(2)(この図5には示されていない)を保持することができ、一方を、自由ではあるが、または、互いに対してではなく、回転することができるようになっている。この保持機構(15)は、カウンターダイシリンダに沿って軸方向に配設され、弾性手段によって横方向に調整可能なコッタ−ピン(16)によって形成され、待機状態において、管状部材が円筒状本体(1)に対して回転することができるように、コッタ−ピンは隠れている。
【0029】
弾性手段は、移動自在なピストン(18)に取り付けられたコイルばね(17)からなっており、当該ピストン(18)は、ねじ(19)によって、コッタ−ピン(16)に結合されている。メンテナンスと清掃のために、着脱自在な上蓋(20)が設けられている。
【0030】
本発明によるカウンターダイシリンダの製造に用いられた、細部、形状、寸法および他の付属部材、並びに、材料は、技術的に同等であり、本発明の本質的な特質、または、ここに添付された特許請求の範囲によって定義された範囲から逸脱することがない他のものによって好都合に置き換えられてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状本体(1)と、
円筒状本体(1)の周りに配設された管状部材(2)と、
前記管状部材の周りに配設された少なくとも一つのカバー(3)と、
少なくとも一つの取り外し自在なカバーを位置付ける/取り外す固定手段と、を備え、
前記固定手段は、少なくとも一つのカバーの2つの端部に固定式で関連付けられた管状部材(2)に配置された軸方向ハウジング(14)の内部に収容されたサポートを有し、カバー(3)の2つの端部は、その取り外し/位置付けのために開方向および閉方向に移動可能になっていることを特徴とする、シート状材料を打ち抜く機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項2】
前記サポートには、カバー(3)の一方の端部に結合された緩衝ブロック(6)と、カバー(3)の他方の端部に結合された円筒状本体の長手方向軸に対して垂直に移動可能なフック部材(7)と、が設けられ、
カバー(3)の2つの端部のうち少なくとも一方が、カバーの他方の端部に対して開方向および閉方向に移動可能になっていることを特徴とする請求項3に記載のシート状材料を打ち抜く機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項3】
緩衝ブロック(6)は、サポートから外方に突出する部分から構成されることを特徴とする請求項2に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項4】
フック部材(7)は、管状部材(2)に配置されたハウジング(14)の内壁から突出する突出部分に接続された少なくとも一つのくさび部材が設けられたシャフト(8)に関連付けられ、
シャフト(8)がその軸上で回転する際、前記少なくとも一つのくさび部材は突出部分に当接し、フック部材は前記部材上で横方向に移動することを特徴とする請求項2に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項5】
シャフト(8)は、一方の端部において幾何学的に形成され、回転工具に連結可能になっていることを特徴とする請求項4に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項6】
シャフト(8)は、ハウジング(14)の内壁から突出する突出部分に関連付けられた2つのくさび部材を有していることを特徴とする請求項4に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項7】
固定手段は、外側部が管状部材の湾曲した輪郭に対応するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項8】
管状部材(2)は、とりわけ半円断面を有する2つの半体から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項9】
管状部材(2)は、着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項10】
円筒状本体(1)に対して管状部材を保持する保持機構(15)を有していることを特徴とする請求項1に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項11】
前記保持機構(15)は、弾性手段によって軸方向に調整可能に配設されたコッタ−ピンから形成され、
待機状態において、管状部材(2)が円筒状本体(1)に対して回転可能なように、コッタ−ピン(16)は隠れていることを特徴とする請求項1に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項12】
弾性部材は、コッタ−ピンに結合された移動自在なピストン(18)に取り付けられた少なくとも一つのコイルばね(17)からなっていることを特徴とする請求項11に記載の打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダ。
【請求項13】
ダイと、請求項1に記載のカウンターダイシリンダとが設けられたダイホルダーシリンダを備えたことを特徴とするシート状材料の打ち抜き機械。
【請求項14】
対応する管状部材に連続して結合されて配設された複数のカバー(3)を含む請求項1乃至9のいずれかに記載のタイプからなる、打ち抜き機械のためのカウンターダイシリンダにおけるカバーを取り付ける/取り外す方法において、
カバーの2つの端部がある距離を置いて十分に離れた状態となって前記カバーの端部のうちの一方を取り外せるように、サポート緩衝ブロックに対して反対方向にカバーの固定手段のフック部材を移動させる工程と、
管状部材を分解する工程と、
取り外されるカバーによって占められていたスペースの方向に、他の管状部材を対応するカバーと共にスライドさせるように移動させる工程と、
前に取り外された管状部材を取り付ける工程と、
前記管状部材上に、前に取り外されたカバーを位置付ける工程と、
カバーの2つの端部が互いに当接するまで緩衝ブロックに向かってフック部材を移動させる工程と、を備えたことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−522710(P2011−522710A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513009(P2011−513009)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070211
【国際公開番号】WO2009/150277
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510328582)
【氏名又は名称原語表記】COMERCIAL INDUSTRIAL MAQUINARIA CARTON ONDULADO
【Fターム(参考)】