説明

シート状貼付剤

【課題】貼ったときに剥がれにくく、剥がしたいときには無理なく剥がれ、優れた冷却効果を有する、指、手首又は足首に好適なシート状貼付剤を提供する。
【解決手段】支持体に含水量50〜90質量%の膏体層が積層されたシート状貼付剤であって、支持体面と膏体面とを重ねて接着した際の引張せん断接着強さが0.05〜2N/mm2であることを特徴とする、指、手首又は足首用シート状貼付剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼ったときに剥がれにくく、剥がしたいときには無理なく剥がれ、冷却効果を有する指、手首又は足首用シート状貼付剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
含水膏体は水の気化熱により患部を冷却し、また、薬剤を経皮吸収させるために好適な膏体として用いられており、消炎鎮痛を目的とした貼付剤の他、腕や脚等の疲れやむくみの回復、発熱時の身体の冷却等、冷却を主目的とした貼付剤の基材としても使用されている。
【0003】
身体冷却目的としては、指、手首又は足首等に貼付剤を用いることが有効であるが、含水膏体を有する貼付剤を、指、手首又は足首に足首等に巻きつけて使う場合は、周囲に完全に巻きつけるため、支持体面と膏体面を重ねて接着することになり、従来のシート状貼付剤では、動きが激しい指、手首又は足首に巻きつけて貼ったときに剥がれやすいという問題があった。このことから、貼ったときに剥がれにくく、剥がしたいときには無理なく剥がれ、優れた冷却効果を有する、指、手首又は足首に好適なシート状貼付剤が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開2001−31563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、貼ったときに剥がれにくく、剥がしたいときには無理なく剥がれ、優れた冷却効果を有する、指、手首又は足首に好適なシート状貼付剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、支持体に含水量50〜90質量%の膏体層が積層されたシート状貼付剤において、支持体面と膏体面とを重ねて接着した際の引張せん断接着強さを0.05〜2N/mm2とすることで、貼ったときに剥がれにくく、剥がしたいときには無理なく剥がれ、優れた冷却効果を有する、指、手首又は足首に好適なシート状貼付剤が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は、下記指、手首又は足首用シート状貼付剤を提供する。
[1].支持体に含水量50〜90質量%の膏体層が積層されたシート状貼付剤であって、支持体面と膏体面とを重ねて接着した際の引張せん断接着強さが0.05〜2N/mm2であることを特徴とする、指、手首又は足首用シート状貼付剤。
[2].支持体が、ポリエステル、レーヨン、ポリプロピレン又はこれらの混紡からなり、シート状の編布又は不織布である[1]記載の指、手首又は足首用シート状貼付剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、貼ったときに剥がれにくく、剥がしたいときには無理なく剥がれ、優れた冷却効果を有する、指、手首又は足首に好適なシート状貼付剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の貼付剤は、支持体に含水量50〜90質量%の膏体層が積層されたシート状貼付剤であって、支持体面と膏体面とを重ねて接着した際の引張せん断接着強さが0.05〜2N/mm2であることを特徴とする、指、手首又は足首用シート状貼付剤である。
【0010】
[支持体]
支持体は、通常の貼付剤の支持体に用いられているシート状のものを使用することができ、特に限定されない。支持体としては、編布、不織布、ニット、プラスチックフィルム等が挙げられ、編布、不織布が好ましい。編布、不織布の素材としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、レーヨン、麻、ポリエチレン、ポリプロピレン等の材料を用いることができる。この中でも、ポリエステル、レーヨン、ポリプロピレン又はこれらの混紡が好ましい。支持体の厚さは、特に制限されるものではなく、通常10〜2000μm程度である。
【0011】
[膏体層]
本発明の膏体層は含水量50〜90質量%、好適には50〜85質量%の膏体からなる。膏体層中の含水量が50質量%より低いと十分な冷却感が得られず、塗工性が悪くなり、90質量%を超えると粘着ゲルとしての物性が得られず、粘着性を持たせることができない。
【0012】
本発明の膏体層は、例えば、(A)粘着基剤に(B)硬化剤を添加してゲル化することにより得ることができる。
【0013】
(A)粘着基剤としては、(A−1)ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩と、(A−2)カルボキシメチルセルロース及び/又はその塩とを用いることが好ましく、さらにその他水溶性高分子化合物を混合してもよい。
【0014】
(A−1)ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩
ポリアクリル酸としては、直鎖状、分岐鎖状等のいずれも使用可能である。分子量は1万〜1000万のものを用いることが好ましい。なお、通常のアクリル酸を重合して得られた重合体の他、カーボポール(商品名:米国グッドリッチ社製)等のアクリル酸重合体を一部架橋したものも好適に使用し得る。ポリアクリル酸塩としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリル酸の一価金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0015】
ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩との配合比(質量比)は1:10〜10:1が好ましく、1:9〜9:1がより好ましい。この場合、ポリアクリル酸又は塩を一部中和してポリアクリル酸塩が上記比率になるようにしたものを用いてもよい。
【0016】
ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩の膏体全体に対する配合量は、通常0.1〜20質量%であり、0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましい。この範囲とすることで、支持体面と膏体面を重ねて接着した時に剥れにくくなり、配合量が0.1質量%に満たないと粘着力が不足する場合があり、一方、配合量が20質量%を超えると、粘度が高くなり、製造時の作業性に問題が生じたり、シート剤を剥がす時に剥がれにくく痛みを感じる場合がある。
【0017】
(A−2)カルボキシメチルセルロース及び/又はその塩
カルボキシメチルセルロース塩としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0018】
カルボキシメチルセルロース及び/又はその塩の膏体全体に対する配合量は、通常0.5〜15質量%であり、1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。この範囲とすることで、支持体面と膏体面を重ねて接着したときに剥れにくくなり、配合量が0.5質量%に満たないと、製造時の粘度が低くなって支持体に塗布した際にはみ出す場合が生じ、凝集力低下のため、剥離時に粘着剤が皮膚に残る場合がある。一方、配合量が15質量%を超えると、粘度が高くなり、製造時の作業性に問題が生じたり、粘着力低下のため、使用時の剥れ・めくれの原因になるおそれがある。
【0019】
(A−1)又は(A−2)以外の水溶性高分子化合物としては、例えば、ゼラチン、カンテン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等のポリオキシアルキレンオキサイド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、これら他の水溶性高分子化合物の配合量は、本発明の膏体の粘着性を損なわない範囲で適宜選定することができる。
【0020】
(B)硬化剤
硬化剤としては、上記(A−1)、(A−2)及び水溶性高分子化合物を金属架橋する多価金属イオンを放出する多価金属塩を挙げることができる。例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、カドミウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、錫化合物、鉄化合物、クロム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等が使用し得るが、本発明の貼付剤は皮膚に適用するものであり、皮膚に対する安全性を考慮するならば、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を用いることが好ましい。
【0021】
この場合、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物はいずれのものも好適に使用し得る。具体的には、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、含ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、これら金属を含む複塩等の水可溶性化合物、水難溶性化合物が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0022】
硬化剤の膏体全体に対する配合量は、通常0.001〜10質量%であり、0.01〜5質量%が好ましく、0.02〜2質量%がより好ましい。この範囲とすることで、支持体面と膏体面を重ねて接着した時に剥れにくくなり、配合量が0.001質量%に満たないと、製造時の粘度が低くなって支持体に塗布した際にはみ出す場合が生じ、凝集力低下のため、剥離時に粘着剤が皮膚に残る場合がある。一方、配合量が10質量%を超えると、粘度が高くなり、製造時の作業性に問題が生じたり、粘着力低下のため、使用時の剥れ・めくれの原因になるおそれがある。
【0023】
本発明の膏体には、必要に応じて他の成分を配合することができる。例えば、無機粉体、界面活性剤、多価アルコール、防腐剤、安定剤等を配合することができる。
【0024】
無機粉体としては、スメクタイト、カオリン、酸化亜鉛、酸化チタン、無水ケイ酸等が挙げられる。スメクタイトとしては、(株)豊順洋行からベントナイトW、クニミネ工業(株)からクニピアG及びクニピアF等が市販されている。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。上記無機粉体の膏体全体に対する配合量は、0.01〜30質量%の範囲が好ましい。
【0025】
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能であり、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。この中でもノニオン界面活性剤が好ましい。
【0026】
ノニオン界面活性剤として、具体的には、(脂肪酸残基のアルキル基の炭素数8〜22、好ましくは10〜18)のポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ジグリセリンモノステアレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレングリセリル(POE10)モノオレート等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等)、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル(例えば、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等)、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、エタノールアミン脂肪酸部分エステル、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0027】
これらのノニオン界面活性剤の中でも、POE(25)ラウリルエーテル、蔗糖脂肪酸エステル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、グリセリルモノオレート、ラウリン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ミリスチン酸グリセリル、デカグリセリルモノオレート、ジグリセリルジオレート、ヘキサグリセリルモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、POE(20)ソルビタンモノオレート、POE(60)ソルビットテトラオレート、POE(40)モノステアレート、POE(10)オレイルエーテル、POE(10)ノニルフェニルエーテル、POE(50)硬化ヒマシ油、POE(5)オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等がより好ましい。なお、上記表記において、例えば、「POE(25)」は25モルのエチレンオキシドを付加した構造であることを示す。最も好ましいノニオン界面活性剤は、アルキル基の炭素数12〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。
【0028】
界面活性剤の膏体全体に対する配合量は、通常0.05〜30質量%であり、0.1〜15質量%が好ましい。
【0029】
多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等の炭素数2〜10のグリコール類、ポリエチレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。多価アルコールの膏体全体に対する配合量は、0〜50質量%の範囲が好ましい。
【0030】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラベン類、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩、チモール、ソルビン酸(塩)等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。配合量は、各防腐剤の有効量であればよい。
【0031】
安定剤としては、例えば、EDTA−Na、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、エデト酸二ナトリウム等のポリカルボン酸(塩)等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0032】
さらに、膏体には、薬物、保湿成分、植物精油、温感又は冷感付与剤の有効成分、香料等を配合して種々の機能を付与したり、着色料を配合して外観をよくすることもできる。
【0033】
本発明のシート状貼付剤は、上記支持体に上記膏体を展延し、支持体に膏体層が積層されたものであり、展延する膏体量は、特に制限されるものではないが、通常、0.05〜3(g/cm2)であり、0.05〜2(g/cm2)が好ましい。
【0034】
[製造方法]
(A−1)ポリアクリル酸及びポリアクリル酸塩、(A−2)カルボキシメチルセルロース及び/又はその塩、その他水溶性高分子化合物、ならびに水をヘンシェルミキサーで1〜20分間混合し膨潤させる。その後、(B)硬化剤を除く成分を混合し、ヘンシェルミキサーで約5〜30分間混練して、均一にする。次に、(B)硬化剤を加えて、さらに1〜20分間混練して均一にして膏体(含水ゲル組成物)を得る。得られたこの膏体(含水ゲル組成物)を、支持体上に展延して、支持体に膏体層が積層されたシート状貼付剤を得る。必要に応じて、膏体層に塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、薬添規ポリエチレンテレフタレートセパレータ、剥離紙(離型紙)等のライナーを設けてもよい。貼付剤の大きさは特に限定されず、通常、10〜100×50〜300mmであり、貼る場所により適宜選定される。
【0035】
本発明の貼付剤は、支持体面と膏体面とを重ねて接着した際の引張せん断接着強さが0.05〜2N/mm2である。この範囲とすることにより、支持体面と膏体面とを重ねて接着した際に剥がれにくく、剥がしたいときには無理なく剥がすことができる。
【0036】
上記引張せん断接着強さの測定方法は、JISK6850(引っ張り剪断強度試験)に準じた方法で行う。支持体に膏体層が積層された(0.1g(膏体)/cm2(支持体))シート状貼付剤(25mm×100mm)を、支持体面と膏体面とで貼り合せ(張り合わせ面積25mm×80mm)、ステンレス板圧着ローラー(2kg、幅44mm)で1往復圧着してサンプルとする。両端をそれぞれ固定し、引張速度10mm/minで引張り、引張せん断接着強さを各試料につき5回測定し、その平均値を算出する。
【0037】
本発明の貼付剤は、支持体面と膏体面とを重ねて接着した際の引張せん断接着強さが0.05〜2N/mm2であるため、指、手首又は足首用として好適であり、指、手首又は足首に巻き付けて使用する、熱冷却シート、指のむくみや足の疲れを緩和するシート等に使用される。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0039】
[実施例1〜12、比較例1〜6]
ポリアクリル酸及びポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、その他水溶性高分子化合物、ならびに水をヘンシェルミキサーで約5分間混合し膨潤させた。その後、硬化剤を除く成分を混合し、ヘンシェルミキサーで約10分間混練して、均一にした。次に、硬化剤を加えて、さらに約5分間混練して均一にし、表1〜3に示す組成の膏体(含水ゲル組成物)を得た。得られたこの膏体(含水ゲル組成物)を、表1〜3に示す厚さ1000μm、350mm幅の支持体上に0.1g/cm2となるように展延した後、25mm×250mmに裁断してシート状貼付剤を得た。得られた貼付剤について、下記方法で「引張せん断接着強さ」を測定し、下記評価を行った。結果を表1〜3に併記する。
【0040】
<引張せん断接着強さ>
JISK6850(引っ張り剪断強度試験)に準じた方法で行った。上記シート状貼付剤(25mm×250mm)を、支持体面と膏体面とで貼り合せ(張り合わせ面積25mm×80mm)、ステンレス板圧着ローラー(2kg、幅44mm)で1往復圧着した。この両端をそれぞれ固定し、引張速度10mm/minで引張り、引張せん断接着強さを各試料につき5回測定し、その平均値を算出した。
【0041】
<剥がれにくさ・剥がしやすさ・ひんやり感>
被験者15名の手首にシート状貼付剤を巻きつけ、重なった部分を張り合わせて使用した。2時間後、「貼付剤の剥がれにくさ(2時間、自由にしてもらったときに、貼付剤が自然に剥がれてくることのなさ)」、「剥がしやすさ(2時間後、貼付剤を積極的にはがそうとしたときの剥がれやすさ)」、「ひんやり感」について下記基準で評価を行った。結果を5点又は4点と答えた被験者の数により下記で示した。
[基準]
5点:良い
4点:やや良い
3点:どちらともいえない
2点:やや良くない
1点:良くない
[評価]
◎:「4点又は5点」と答えたパネラーが12〜15名
○:「4点又は5点」と答えたパネラーが8〜11名
△:「4点又は5点」と答えたパネラーが4〜7名
×:「4点又は5点」と答えたパネラーが3名以下
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に含水量50〜90質量%の膏体層が積層されたシート状貼付剤であって、支持体面と膏体面とを重ねて接着した際の引張せん断接着強さが0.05〜2N/mm2であることを特徴とする、指、手首又は足首用シート状貼付剤。
【請求項2】
支持体が、ポリエステル、レーヨン、ポリプロピレン又はこれらの混紡からなり、シート状の編布又は不織布である請求項1記載の指、手首又は足首用シート状貼付剤。

【公開番号】特開2010−30953(P2010−30953A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194704(P2008−194704)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】