説明

シート積載トレイ、スタック装置及び画像形成装置

【課題】グロスコーティング等の特殊な加工がされたシートの貼り付きを防止し、且つシートの画像形成面に汚れや傷が付くのを防止することができるシート積載トレイ、スタック装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】排出口13から排出された画像形成後のシートSを積載するシート積載トレイ1であって、シート積載面17はシート排出方向に沿って設けた傾斜面19、曲面21及び略水平面23を備え、傾斜面19と曲面21と略水平面23とは連続した一連の面を成しており、傾斜面19はシート排出口側を下に向けて傾斜しており、略水平面23は傾斜面19よりもシート排出方向の長さMが長く、傾斜面19のみに複数のリブ25a、25bが設けてあり、リブ25a、25bはシート搬送方向に沿って延出し且つ互いに間隔をあけて設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成されたシートを積載する積載するシート積載トレイ、スタック装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排出口から排出された画像形成後のシートを積載するシート積載トレイが開示されている。
【0003】
この特許文献1のシート積載トレイはその詳細な説明がないが、図から明らかなように、積載面は排出口を低くするようにしてシート積載面全体を傾斜させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シート積載面全体を傾斜させた場合、排出口から排出されたシートは、図7に示すように、シートSはその先端から全体が積載面101を擦るように移動して積載される為、特にグロスコーティング等の特殊な加工がされたシートを積載すると、シート積載面や先に積載されたシートに貼り付きやすく、搬送不良や積載不良を起こすことがあった。また、排出されるシート全体がシート積載面や先に積載されたシートを擦るから画像形成面に汚れや傷が付き易いという問題がある。
【0005】
更に、積載されたシート束を取り出すときに、最下位置にあるシートの画像形成面がシート積載面と擦れて画像形成面に汚れや傷が付き易いという問題があった。
【0006】
尚、グロスコーィングは、光沢を付与する為にアクリル樹脂等のコーティング剤層を形成したものである。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、グロスコーティング等の特殊な加工がされたシートの貼り付きを防止し、且つシートの画像形成面に汚れや傷が付くのを防止することができるシート積載トレイ、スタック装置及び画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、排出口から排出された画像形成後のシートを積載するシート積載トレイであって、シート積載面はシート排出方向に沿って設けた傾斜面及び略水平面と、傾斜面と略水平面との間に設けた曲面とを備え、傾斜面と曲面と略水平面とは連続した一連の面を成しており、傾斜面はシート排出口側を下に向けて傾斜しており、略水平面は傾斜面よりもシート排出方向の長さが長く、傾斜面のみに複数のリブが設けてあり、リブはシート搬送方向に沿って延出し且つ互いに間隔をあけて設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート積載面はシート排出方向に沿って順次、傾斜面、曲面及び略水平面を備え且つ水平面が傾斜面よりもシート排出方向の長さを長くしているので、図6に示すように、傾斜面を通過したシートSの先端は略水平面から離れた位置で移動し、略水平面上では上方から空気を挟むように重なるので、シートの排出時の貼り付きを防止できる。
【0010】
排出口側に傾斜面を有することで、定位置から排出するシートを斜面に沿って落下させてシート束の後端を揃え、且つシートがトレイから飛び出すのを防止することができる。 傾斜面に複数のリブを形成することで、1枚目のシートを排出するときにシート積載面に1枚目のシートが貼り付くのを更に防止することができる。
【0011】
リブは傾斜面にのみ設けており、積載したシート束をトレイから取り出す際にシート束とリブが最もきつく擦れる曲面及びシート束とリブが長時間擦れる略水平面にはリブを形成していないので、積載したシート束をトレイから取り出す際に最下部のシートがリブで擦れることを防止でき、略水平面や曲面でリブと接触させないことにより印刷面に汚れや傷等が付くのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施の形態に係るシート積載トレイの斜視図である。
【図2】図1に示すシート積載トレイの傾斜面をシート搬送方向に沿って切断して示す断面図である。
【図3】図1に示すシート積載トレイを排出口側から見た側面図である。
【図4】シート積載トレイにシートを積載した状態を示す斜視図である。
【図5】スタック装置の概略的構成を示す断面図である。
【図6】本発明の作用を説明するシート積載トレイの概略断面図である。
【図7】従来のシート積載トレイの作用を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付図面の図1〜図6を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。
【0014】
本実施の形態に係るシート積載トレイ1は、図5に示すように、スタック装置3に配置されており、スタック装置3は複写機等の画像形成装置本体5と後処理装置7とに連結されており、画像形成装置本体5で画像形成されたシートを矢印A方向から導入する。このスタック装置(スタッカー)3は、プルーフ排紙モード、ストレート排紙モード、及びシフト排紙モードの動作モードを選択することができる。
【0015】
プルーフ排紙モードは、シート搬送路L1及びL2を通して、矢印B方向からシート積載トレイ(プルーフトレイ)1上にシートを導いてスタックする動作モードである。ストレート排紙モードは、シート搬送路L1及びL3を通して、矢印C方向からスタック装置3の後段に備えられた後処理装置7に導く動作モードである。シフト排紙モードは、シート搬送路L4を通して、矢印D方向からシフトトレイ9上にシートを排出してスタックする動作モードである。シフト排紙モードにおいては、シフトローラ11によりシフトトレイ9上の異なるシフト位置にシートをスタックする。
【0016】
シート積載トレイ(プルーフトレイ)1に積載されるシートは、排出口13に設けてある排出ローラ15から排出される。
【0017】
図1に示すように、シート積載トレイ1のシート積載面17には、排出口13側からシート排出方向Eに沿って順次、傾斜面19、曲面21、略水平面23が設けられている。これらの傾斜面19と曲面21と略水平面23とは連続して一連の面を成しており、傾斜面19はシート排出口13側を下に向けて傾斜している。
【0018】
また、略水平面23のシート排出方向の長さMは傾斜面19のシート排出方向の長さNよりも長くしてある。
【0019】
傾斜面19には、シート搬送方向に沿って延出し互いに間隔をあけて平行に設けた2つのリブ25a、25bが形成されている。これらのリブ25a、25bは傾斜面19にのみ設けてあり、曲面21及び略水平面23には設けていない。
【0020】
リブ25a、25bは、シートの巾方向におけるシート排出口13の中心を対象軸として対象に配置されている。
【0021】
図3に一点鎖線で抜き出して断面を示すように、各リブ25a、25bは、その稜線部分25が曲面となっており、図3に示すように、シート排出口側端部29は、シート排出口側ほどリブ25a、25bの巾を狭くした平面視尖形状としてある。尚、図2及び図3において符号Gはシート排出方向を示している。
【0022】
図2に示すように、リブ25a、25bのシート排出口側端部29は、シート排出口側端からシート排出方向Gに向けて傾斜面19から徐々に上方に立ち上げて高さHで突設している。更に、本実施の形態では、リブ25a、25bのシート排出方向端31は同様にシート排出方向に向けて徐々に高さを低くしてある。
【0023】
図1及び図2に示すように、シート積載面17のシート巾方向両側には、シート積載面17よりも上方に突設する壁面33a、33bが設けてある。
【0024】
図1に示すように、シート積載面17には、リブ25a、25b間に溝35が形成されている。この溝35は、傾斜面19のシート排出方向途中からシート排出方向に沿って設けてあり且つ傾斜面19、曲面21及び略水平面23に跨って形成されており、略水平面23ではシート排出方向における先端を突き抜け形成されている。
【0025】
次に、本実施の形態における作用効果を説明する。シート排出口13からシート積載トレイ1のシート積載面にシートSが排出されると、図1に示すように、シートは矢印E方に向けて排出される。
【0026】
本実施の形態では、シート積載面17はシート排出方向に沿って順次、傾斜面19、曲面21及び略水平面23を備え且つ水平面23が傾斜面19よりもシート排出方向の長さを長くしているので、図6に示すように、傾斜面19を通過したシートSの先端はシートのしなりにより、略水平面23を擦ることなく略水平面23から離れた位置で移動し、先端側を曲げるようにして略水平面に積載されるので、略水平面23上ではシートSは空気を挟むように重なるので、シートの排出時の貼り付きを防止できる。
【0027】
排出口側に傾斜面19を有することで、図1に示すように、排出後のシートは傾斜面19に沿って矢印F方向に落下させてシート束の後端を排出口13の下の壁面に当てて揃え、且つシートがE方向に沿って排出されるときにシートがトレイから飛び出すのを防止することができる。
【0028】
傾斜面19に2つのリブ25a、25bを形成することで、1枚目のシートを排出するときにシート積載面17にシートが貼り付くのを防止することができる。
【0029】
また、リブ25a、25bを設けることにより、特に、グロスコーティング等の特殊な加工がされたシートを排出する際に発生する張り付きを防止することができる。
【0030】
即ち、リブ25a、25bは、シート排出口側端からシート排出方向に向けて傾斜面19から徐々に上方に立ち上げて突設し、傾斜面19から高さHだけ突き出ており、シートS1を高さH分浮き上がらせることでシート積載面17に貼り付くのを防止する。
【0031】
また、図3に示すように、リブ25a、25bは、シートSに接触する各々稜線部分27が曲面となっているので、シートに形成した画像の損傷を防止することができる。
【0032】
リブ25a、25bは、シート排出口側部29はシート排出口側ほどリブの巾を狭くした平面視尖形状としてあるので、シートを徐々にリブ25a、25bで案内することができ、リブ25a、25bとの引っ掛りによる印刷面の汚れや傷等を防止できる。
【0033】
リブ25a、25bは傾斜面19にのみ設けており、図4に示すように、積載したシート束S2をシート積載トレイ1から取り出す際に、シート束S2とリブが最もきつく擦れる曲面21及びシート束S2とリブが長時間擦れる略水平面23にはリブを形成していないので、最下部のシートがリブで擦れることを防止でき、略水平面23や曲面21でリブと接触させないことにより印刷面に汚れや傷等が付くのを防止することができる。
【0034】
図4に示すように、シート積載トレイ1に壁面33a、33bを設けることにより、積載されたシートが、シート積載面からシート巾方向に落下するのを防止することができる。
【0035】
シート積載面の中央に設けた溝35により、第1枚目のシートとシート積載面17との接触面積を小さくできるから、グロスコーティング等の特殊な加工がされたシートを排出する際にシート積載面への貼り付きを防止すると共に、溝35はシート排出方向端を突き抜けて形成しているので、図4に示すように、溝35の空間Zに矢印I方向から手を挿入することで、あらゆるサイズのシート束S2であっても取り出し易い。
【0036】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形可能である。
【0037】
例えば、リブ25a、25bは、2つに限らず左右に2個ずつ合計4個形成するものであっても良く数は制限されないが、シートSとの接触面積を小さくする為、できるだけ少ない方が好ましい。
【0038】
リブ25a、25bは、シート排出方向に連続して設けることに限らず、シート排出方向に間隔をあけて断続的に設けるものであっても良い。
【0039】
シート積載トレイ1は画像形成本体5の排出口に設けても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 シート積載トレイ
3 スタック装置
5 画像形成本体
13 排出口
17 シート積載面
19 傾斜面
21 曲面
23 略水平面
25a、25b リブ
27 稜線
29 シート排出口側端
33a、33b 壁面
35 溝
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2008−50170号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出口から排出された画像形成後のシートを積載するシート積載トレイであって、シート積載面はシート排出方向に沿って設けた傾斜面及び略水平面と、傾斜面と略水平面との間に設けた曲面とを備え、傾斜面と曲面と略水平面とは連続した一連の面を成しており、傾斜面はシート排出口側を下に向けて傾斜しており、略水平面は傾斜面よりもシート排出方向の長さが長く、傾斜面のみに複数のリブが設けてあり、リブはシート搬送方向に沿って延出し且つ互いに間隔をあけて設けてあることを特徴とするシート積載トレイ。
【請求項2】
前記複数のリブは、互い平行に設けてあると共にシートの巾方向においてシート排出口の中心を対象軸として対象に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシート積載トレイ。
【請求項3】
前記複数のリブは、各々稜線部分が曲面となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート積載トレイ。
【請求項4】
前記複数のリブは、各々シート排出口側端ほどリブの巾を狭くした平面視尖形状としてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート積載トレイ。
【請求項5】
前記複数のリブは、各々シート排出口側端からシート排出方向に向けて傾斜面から徐々に上方に立ち上げて突設していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート積載トレイ。
【請求項6】
前記シート積載面のシート巾方向両側には、シート積載面よりも上方に突設する壁面が設けてあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシート積載トレイ。
【請求項7】
シート積載面には、複数のリブの間であってシート排出方向に沿って設け且つ前記傾斜面、曲面及び略水平面に跨って形成された溝を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のシート積載トレイ。
【請求項8】
前記溝は、略水平面のシート排出方向における先端を突き抜けていることを特徴とする請求項7に記載のシート積載トレイ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のシート積載トレイと、画像形成本体で画像形成したシートを積載して保持するシフトトレイとを備え、画像形成後のシートをシート積載トレイ又はシートシフトトレイと保持することを特徴とするスタック装置。
【請求項10】
請求項9のスタック装置と、シートに画像を形成する画像形成装置本体とを備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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