説明

シート結束体および包装構造体

【課題】粘着テープの糊がシート状物の側縁に付着することを防止できるシート結束体および包装構造体の提供。
【解決手段】平版印刷原版Wを厚さ方向に積層した平版印s夏原版束11と、平版印刷原版束11の両面に配置された保護用厚紙13と、一の保護用厚紙13と他の保護用厚紙13とを連結するように貼着されて平版印刷原版束11を結束する粘着テープ12とを有する平版印刷原版結束体であり、粘着テープ12を平版印刷原版束11の端面から離間するように貼着し、前記平版印刷原版結束体を積載台2に載置して端板14とベルト6とで固定して包装構造体とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート結束体および包装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
平版印刷原版を荷扱いする場合、荷扱いの回数を減らして運搬や保管を低コストで行なうとともに、運搬や保管中の平版印刷原版の変形や損傷を防止すべく、多数枚の平版印刷原版を厚さ方向に積層して平版印刷原版束を構成し、前記平版印刷原版束を必要に応じてアルミクラフト紙などの遮光梱包材で梱包してパレットやスキッドなどの積載部材に積載し、梱包することが一般的に行なわれてきた。
【0003】
このような梱包構造の一例としては、底板と、前記底板に対して傾斜して立設された背板とを有する椅子状の積載部材を用いた特許文献1に記載された梱包構造がある(特許文献1)。
【0004】
前記梱包構造においては、自動製版機のセッタに平版印刷原版を装填する際に品質故障が生じないようにするため、必要枚数だけ束単位で取り出して束の状態でセッタに装填できるように、平版印刷原版を所定枚数だけ厚さ方向に積層して4箇所を粘着テープで結束して平版印刷原版束とし、これを厚さ方向に積層して積載部材上に積載している。
【特許文献1】特許第2873463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記梱包構造においては、粘着テープの粘着面が平版印刷原版束の端面に貼り付いていると、粘着テープの糊が平版印刷版の側縁に付着して印刷時に汚れが発生することがあった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、粘着テープの糊が平版印刷版のようなシート状物の側縁に付着することを防止できるシート結束体および包装構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、シート状物を厚さ方向に積層したシート束と、前記シート束の両面に配置された保護部材と、一の保護部材と他の保護部材とを連結するように貼着されてシート束を結束する粘着テープとを有するシート結束体において、前記粘着テープをシート束の端面から離間するように貼着したことを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、前述のようにシート束の端面から離間するように粘着テープを貼着しているから、シート束の端面に粘着テープの糊が付着することがない。したがって、シート束を構成するシート状物の側縁に粘着テープの糊が付着することが効果的に防止される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1のシート結束体において、前記厚さ方向に積層したシート状物の端面と粘着テープとの間に当て部材が挿入されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、シート束の端面と粘着テープとの間に当て部材が挿入されていることにより、シート束の端面と粘着テープの粘着面との直接的な接触が避けられる。したがって、シート結束体の端面に向かって外力が加わっても粘着テープの粘着面がシート束の端面に接触して粘着テープの糊がシート束に付着することがない。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のシート結束体において、前記シート状物が平版印刷原版であることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によれば、テープで結束した平版印刷原版束の端面に粘着テープの糊が付着することが防止されるから、前記平版印刷原版に粘着テープの糊が付着して印刷物に汚れを生じさせることが効果的に防止される。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のシート結束体と、前記シート結束体が厚さ方向に積層された状態で積載される積載台と、前記シート結束体を前記積載台上に拘束する拘束手段とを備えてなることを特徴とする包装構造体に関する。
【0014】
請求項4の発明に係る包装構造体を構成するシート結束体においては、請求項1のところで述べたように、シート束を結束する粘着テープが前記シート束の端面から離間するように保護部材に貼着されているから、前記包装構造体を荷役、搬送、保管する際に前記粘着テープの糊が前記シート束の端面に付着することが防止される。
【0015】
したがって、請求項4の発明によれば、糊がシート束の端面に付着することによるシート状物の汚れや前記シート状物が平版印刷原版のときの印刷物の汚れの発生等の品質故障が効果的に防止される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の包装構造体において前記シート結束体が前記積載台に水平に積載されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明によれば、シート結束体が積載台に水平に積載されているから、シート結束体の端面が積載台に押圧されることがない。したがって、シート結束体の端面が積載台に押圧されて粘着テープがシート結束体の端面に密着し、粘着テープの糊がシート結束体に付着することがない。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の包装構造体において、前記シート結束体が、立てた状態で、しかも前記粘着テープが側方に位置するように前記積載台に積載されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明によれば、シート結束体は立てた状態で積載台上に積載されているから、積載台からのシート結束体の取り出しが極めて容易である。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6の何れか1項に記載の包装構造体において、前記拘束手段が、シート結束体に積層される端板と、前記積載台と前記端板とで前記シート結束体を挟み込むように前記積載台と前記端板と前記シート結束体とを締結する締結手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明によれば、前記シート結束体は、積載台と端板とに挟まれた状態で結束手段で積載台上に固定されるから、前記シート結束体が自重によって積載台上で変形することが効果的に防止される。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の包装構造体において前記締結手段がベルトであることを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明によれば、前記締結手段としてベルトを用いている故に、積載台にシート結束体を載置して端板を積層し、これに前記ベルトを巻きかけて緊縛することにより、積載台とシート結束体と端板とを一体化できる。そして、緊縛したベルトを弛緩させることにより、シート結束体を積載台から容易に取り出すことができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の包装構造体において前記締結手段が収縮性フィルムであることを特徴とする。
【0025】
請求項8の発明によれば、前記締結手段として収縮性フィルムを用いている故に、積載台にシート結束体を載置して端板を積層し、前記積載台と前記シート結束体と前記端板とを包み込むように前記収縮性フィルムを巻きかけることにより、積載台とシート結束体と端板とを一体化できる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜9の何れか1項に記載の包装構造体において前記端板が板状の部材であることを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の発明においては、端板として板状の部材を用いているから、積載台にシート結束体を載置して端板を積層したものを結束手段で結束することにより、シート結束体は積載台と端板との間に保持される。したがって、荷役時、搬送時、および保管時におけるシート結束体の変形を効果的に防止できる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、請求項7〜9の何れか1項に記載の包装構造体において、前記端板が発泡体ブロックから形成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項11に記載の発明においては、端板として発泡体ブロックを用いている。したがって、前方から包装構造体に加わった衝撃は端板を形成する発泡体ブロックで吸収されるから、シート結束体を構成するシート状物が前記衝撃によって破損することがない。
【0030】
請求項12に記載の発明は、請求項4〜6の何れか1項に記載の包装構造体において、前記拘束手段が、前記シート結束体と前記積載台とを包み込むように巻回されてなる収縮性フィルムであることを特徴とする。
【0031】
請求項12の発明によれば、積載台に積載されたシート結束体を積載台ごと収縮性フィルムで巻回して積載台上に固定しているから、容易に包装構造体を形成できる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように本発明によれば、粘着テープの糊が平版印刷版のようなシート状物の側縁に付着することを防止できるシート結束体および包装構造体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
1.実施形態1
本発明の包装構造体の一例である平版印刷原版の包装構造体について以下に説明する。
【0034】
実施形態1に係る包装構造体100は、図1に示すように、本発明のシート結束体に相当する平版印刷原版結束体10が厚さ方向に所定束数、たとえば5束積層された状態で積載台2に載置されている。
【0035】
平版印刷原版結束体10には端板4が積層されている。平版印刷原版結束体10と端板4とは、ベルト6によって積載台2の後述する背板22Aに固定されている。端板4とベルト6とは、本発明における拘束手段に相当し、更にベルト6は本発明における締結手段にも相当する。なお、平版印刷原版結束体10の束数は5束に限定されるものではなく、20〜50束でもよい。これは、以下の実施形態においても同様である。
【0036】
積載台2は、図1に示すように、全体として椅子状に形成され、平版印刷原版結束体10を載置する載置部22と、載置部22を下方から支持する台座部24とからなっている。
【0037】
載置部22は、全体として略L字状に形成され、台座部24に対して傾斜している背板22Aと、椅子の座面に相当する載置板22Bとからなる。背板22Aは鉛直方向に対し傾斜するように台座部24に固定されている。背板22Aの傾斜角度は鉛直方向に対して5〜30度であればよいが、好ましくは7〜20度であり、更に好ましくは9〜15度である。そして、載置板22Bは、背板22Aに向って下向きに傾斜している。そして、背板22Aと載置板22Bとにおける平版印刷原版結束体10が接触する側の面が載置面20とされている。
【0038】
台座部24は、載置部22の載置板22Bが固定される略長方形状の上板26と、同じく略長方形状の底板28と、上板26と底板28とを連結するブロック状の脚部27とを備えている。脚部27の間には、フォークリフトやハンドリフトのフォークを挿入するための空間29が形成されている。
【0039】
包装構造体100の作製手順について以下に説明する。
【0040】
先ず、図2において(A)に示すように、平版印刷原版Wと合紙とを交互に所定枚数、たとえば20〜30枚ずつ厚さ方向に積層して平版印刷原版束11とする。平版印刷原版束11は本発明におけるシート束に相当する。そして、両面に保護用厚紙13を重ねる。保護用厚紙13は本発明の保護部材に相当し、平版印刷原版Wと同一かそれよりも一回り小さなサイズであることが、自動集積装置において平版印刷原版Wを自動的に端揃えしつつ集積する点から好ましい。但し、保護用厚紙13のサイズが平版印刷版Wよりも小さな場合は、保護用厚紙13と平版印刷原版Wとの縦横のサイズの差は2mm以内であることが平版印刷原版Wの保護の観点から好ましい。なお、縦横のサイズの差が0.5mm以内であれば、保護用厚紙13のサイズは平版印刷版Wよりも大きくても、自動集積装置を用いた平版印刷原版Wの集積に支障がでることは殆ど無い。
【0041】
保護用厚紙13を重ねたら、図2において(B)に示すように四隅を粘着テープ12で止めて平版印刷原版結束体10を作製する。ここで、粘着テープ12は、図3に示すように平版印刷原版束11の端縁から離間した状態、言い換えれば浮いた状態になるように保護用厚紙13の外側の面に貼着する。粘着テープ12を平版印刷原版束11の端縁から浮かす高さdは2〜5mmの範囲が好ましい。
【0042】
図1に示す包装構造体100においては、図4において(A)に示すように粘着テープ12を貼りつけた位置が同一になるように平版印刷原版結束体10を積載しているが、粘着テープ12が厚く、平版印刷原版結束体10を厚さ方向に積層したときに、平版印刷原版結束体10における粘着テープ12を貼りつけた部分の厚みが大きくなり、平版印刷原版Wの平面性に影響を及ぼすことがある。
【0043】
このような場合には、図4において(B)または(C)に示すように、隣り合う2つの平版印刷原版束11の粘着テープ12の位置が重ならないようにすればよい。具体的には図4の(B)に示すように端面から見て粘着テープ12がジグザグ状に配設されるように貼着してもよく、図4の(C)に示すように、粘着テープ12の位置が、後方の平版印刷原版結束体10から前方の平版印刷原版結束体10に向かって下方に移動するように粘着テープを貼着する位置を選択してもよい。
【0044】
平版印刷原版Wは、本発明におけるシート状物の一例であり、感光型であっても、感熱型であっても、レーザ露光型であってもよい。
【0045】
なお、端板4とベルト6を用いて拘束する代りに、ベルト6のみで拘束したり、後述するストレッチフィルムのような伸縮性フィルムで巻回して拘束したりしてもよい。
【0046】
2.実施形態2
平版印刷原版の包装構造体であって端板を使用しないものの例について以下に説明する。
【0047】
図5〜図7に示すように、実施形態2に係る包装構造体102は、積載台2と、積載台2上に実質的に縦向きの状態で載置される平版印刷原版結束体10と、平版印刷原版結束体10の積載台2に接する側とは反対側の正面を覆う発泡体ブロック7とを備えている。なお、図5〜図7において図1〜図4と同一の符号は、前記符号が前記図面において示すのと同一の要素を示す。
【0048】
平版印刷原版結束体10と発泡体ブロック7とは、ストレッチフィルム8によって積載台2の後述する背板22Aに拘束されている。
【0049】
積載台2は、実施形態1に係る包装構造体100の積載台2と同一の構成を有する。
【0050】
平版印刷原版結束体10は、実施形態1で述べた平版印刷原版結束体と同一の構成を有する。
【0051】
発泡体ブロック7は、図5〜図7に示すように、平版印刷原版結束体10の正面10Aに接する側の面、即ち底面42が平面状に形成され、底面42の反対側が円柱状に突出した円柱状面44であり、全体として蒲鉾状に形成されている。
【0052】
発泡体ブロック7の底面42の幅は、平版印刷原版結束体10の幅と同一であることが好ましいが、平版印刷原版結束体10の幅の80〜120%の範囲であってもよい。
【0053】
発泡体ブロック7を形成するのに使用できる発泡材としては、発泡ポリエチレン材や発泡スチロール材、発泡ウレタン材などがある。発泡倍率は5〜30倍の範囲が好ましく、特に発泡ポリエチレン材では5倍、発泡スチロールでは30倍程度が好ましい。
【0054】
ストレッチフィルム8は、本発明における締結手段に相当し、伸縮性のある材料から形成されたフィルムであり、降伏点を超えない範囲で引張られると、一定値以上の収縮力で収縮する。ストレッチフィルム8としては、ポリエチレン樹脂やエチレン・プロピレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などから形成された1軸または2軸延伸フィルムが使用される。ストレッチフィルム8としてLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)などの自己接着性フィルムを用いれば、粘着テープや接着剤、留め具などの固定手段を使用することなく端部を固定できる。
【0055】
ストレッチフィルム8の上下方向の幅は、平版印刷原版結束体10の上下方向の寸法と同一がそれよりも若干大きくてもよく、また、それよりも小さくてもよい。平版印刷原版結束体10の上下方向の寸法よりも幅の狭いストレッチフィルム8を用いる場合には、ストレッチフィルム8を、載置部22の背板22Aと平版印刷原版結束体10と発泡体ブロック7との回りに螺旋状に複数回巻回して背板22Aおよび平版印刷原版結束体10などを覆うようにすればよい。
【0056】
包装構造体102を構成する手順は以下の通りである。
【0057】
先ず、平版印刷原版束11を所定束数、たとえば4束厚さ方向に積層して平版印刷原版結束体10を形成し、これを積載台2に載置し、必要に応じて内装紙で梱包する。
【0058】
次に、平版印刷原版結束体10の正面10Aに、発泡体ブロック7を載置する。
【0059】
発泡体ブロック7を載置したら、平版印刷原版結束体10と発泡体ブロック7とを積載台2ごとストレッチフィルム8で巻回する。ストレッチフィルム8で巻回する回数は1回のみでもよく、2回またはそれ以上であってもよい。これにより、平版印刷原版結束体10は発泡体ブロック7とともに積載台2に拘束される。
【0060】
なお、平版印刷原版結束体10を積載台2に拘束するのに、ストレッチフィルム8に代えて熱収縮性フィルムを用いてもよい。この場合は、熱収縮性フィルムで平版印刷原版結束体10を積載台2ごと巻回し、熱収縮性フィルムの末端をテープ等の適宜の手段で固定したのち、前記熱収縮性フィルムに熱風を吹き付けて加熱して熱収縮させればよい。
【0061】
3.実施形態3
実施形態3に係る包装構造体104は、図8および図9に示すように積載台2と、積載台2上に実質的に縦向きの状態で載置される平版印刷原版結束体10と、平版印刷原版結束体10の積載台2に接する側とは反対側の正面を覆う端板14と、端板14に重ねられるように載置された空気袋30とを備えている。なお、図8および9において図1〜図4と同一の符号は、前記符号が前記図面において示すのと同一の要素を示す。
【0062】
平版印刷原版結束体10と端板14と空気袋30とは、ストレッチフィルム8によって積載台2の後述する背板22Aに拘束されている。
【0063】
積載台2については、実施形態1で述べたとおりである。
【0064】
平版印刷原版結束体10は、実施形態1で述べたのと同様の構成を有する。
【0065】
空気袋30としては、低密度ポリエチレンやポリプロピレン、エチレン・プロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂のフィルムとエチレン・ポリビニルアルコール共重合体や塩化ビニリデン・酢酸ビニル共重合体、各種ポリアミド樹脂のような低気体透過性樹脂とを積層した積層フィルムから形成された袋状体の表面をクラフト紙などで覆って外部の衝撃から保護したものなどが挙げられる。
【0066】
ストレッチフィルム8については、実施形態3のところで述べたとおりである。
【0067】
ストレッチフィルム8の上下方向の幅は、平版印刷原版結束体10の上下方向の寸法と同一がそれよりも若干大きくてもよく、また、それよりも小さくてもよい。平版印刷原版結束体10の上下方向の寸法よりも幅の狭いストレッチフィルム8を用いる場合には、ストレッチフィルム8を、載置部22の背板22Aと平版印刷原版結束体10と端板14と空気袋30との回りに螺旋状に複数回巻回して背板22Aおよび平版印刷原版結束体10などを覆うようにすればよい。
【0068】
包装構造体106を構成する手順は以下の通りである。
【0069】
先ず、平版印刷原版結束体10を立てた状態で積載台2に所定個数、たとえば5個載置する。
【0070】
次に、平版印刷原版結束体10の正面に端板14を被せる。端板14を被せたら、その上から空気を充填していない状態の空気袋30を載置する。
【0071】
空気袋30を載置したら、平版印刷原版結束体10と端板14と空気袋30とを積載台2ごとストレッチフィルム8で巻回する。ストレッチフィルム8で巻回する回数は1回のみでもよく、2回またはそれ以上であってもよい。これにより、平版印刷原版結束体10は、端板14および空気袋30とともに積載台2に拘束される。
【0072】
なお、平版印刷原版結束体10を積載台2に拘束するのに、ストレッチフィルム8に代えて熱収縮性フィルムを用いてもよい。この場合は、熱収縮性フィルムで平版印刷原版結束体10を積載台2ごと巻回し、熱収縮性フィルムの末端をテープ等の適宜の手段で固定したのち、前記熱収縮性フィルムに熱風を吹き付けて加熱して熱収縮させればよい。
【0073】
積載台2に平版印刷原版結束体10を拘束したら、空気袋30に空気を注入して所定圧力まで膨張させる。
【0074】
4.実施形態4
平版印刷原版結束体を積載台に水平に積載した包装構造体の例について以下に説明する。
【0075】
実施形態4に係る包装構造体106は、図10に示すように台状の積載台3と、その上に厚さ方向に積載された5個の平版印刷原版結束体10と、平版印刷原版結束体10の上に重ねられた端板14と、積載台3と平版印刷原版結束体10と端板14とを結束する2本のベルト6とを備える。
【0076】
積載台3は、平版印刷原版結束体10が載置される板状の部材である載置部32と、載置部32の下面に固定された1対の脚部34とを備える。
【0077】
平版印刷原版結束体10は、実施形態1のところで述べたのと同様の構成を有する。
【0078】
ベルト6は、積載台3の載置部32と端板14との間に巻き掛けられる。ベルト6を緊縛することにより、5個の平版印刷原版結束体10は載置部32と端板14との間に保持される。
【0079】
5.実施形態5
平版印刷原版束11の両面に保護用厚紙13を積層したものの四隅部に粘着テープ12を貼着して平版印刷原版結束体10を形成するためのテープ貼り装置の一例について以下に説明する。
【0080】
図11および図12に示すように、テープ張り装置200は、水平に延在する本体部202と、本体部202を昇降させる昇降部204と、本体部202の一端部に設けられ、両面に保護用厚紙13を積層した平版印刷原版束11に向かって粘着テープ12を案内するとともに案内した粘着テープ12を貼着するテープ貼着部206と、本体部202の他端部に装着され、テープ貼着部206に向かって粘着テープ12を供給するテープ供給リール208と、本体部202の上方に設けられ、テープ供給リール208からテープ貼着部206に向かって供給された粘着テープ12を所定の長さに切断するテープカッタ210とを備える。
【0081】
本体部202は、一端部にテープ貼着部206が、他端部にテープ供給リール208が装着される腕状部材212と、腕状部材212を平版印刷原版束11に向かって前進、後退させる空気アクチュエータであるアクチュエータ214とを備える。
【0082】
テープ貼着部206は、テープ供給リール208から供給された粘着テープ12を平版印刷原版束11に向かって案内するとともに貼着するテープ貼着ローラ220と、テープ貼着ローラ220を回転可能に、しかも片持ちで支持するローラ保持腕222と、本体部202の腕状部材212の一端部に固定され、ローラ保持腕222を介してテープ貼着ローラ220を平版印刷原版束11に向かって前進・後退させる空気アクチュエータであるアクチュエータ224と、同じく本体部202の腕状部材212の一端部に固定され、テープ供給リール208から供給された粘着テープ12を吸引保持するテープ保持テーブル226とを備える。テープ保持テーブル226は、支持プレート228によって腕状部材212に固定されている。支持プレート228の上端部には、供給された粘着テープ12をテープ保持テーブル226およびテープ貼着ローラ220に向かって案内するテープ案内ローラ230が設けられている。
【0083】
テープカッタ210は、図11〜図13に示すように、テープ供給リール208から供給された粘着テープ12を切断する切断刃232と、切断刃232を昇降させる垂直アクチュエータ234と、切断刃232および垂直アクチュエータ234を前進・後退させる水平アクチュエータ236と、水平アクチュエータ236を本体部202の腕状部材212に固定する支持台238とを備える。なお、切断刃232と垂直アクチュエータ234とは切断部233を構成する。
【0084】
以下、テープ張り装置200の作用について説明する。
【0085】
図14の(A)に示すように、両面に保護用厚紙13が積層された平版印刷原版束11が所定位置に搬送されると、テープ供給リール208からテープ貼着部206に向かって粘着面が上側を向くように粘着テープ12が供給される。そして、供給された粘着テープ12の先端部をテープ貼着ローラ220が受ける。
【0086】
テープ貼着部206に向かって粘着テープ12が供給されたら、図14の(B)に示すようにテープ貼着ローラ220がアクチュエータ224によって平版印刷原版束11に向かって前進するとともに、昇降部204によってテープ貼着部206全体が上昇する。これにより、粘着テープ12の先端部が下側の保護用厚紙13に貼着される。
【0087】
粘着テープ12の先端部が保護用厚紙13に貼着されたら、図15の(A)に示すようにテープ貼着ローラ220が後退する。これにより、粘着テープ12が下側の保護用厚紙13の端縁まで貼着される。粘着テープ12が下側の保護用厚紙13の端縁まで貼着されたら、図15の(B)に示すように、本体部202のアクチュエータ214によってテープ貼着部206全体が後退する。これにより、テープ貼着ローラ220も平版印刷原版束11から所定距離だけ後退した位置をとる。
【0088】
テープ貼着部206が後退したら、図16の(A)に示すように昇降アクチュエータ214によって本体部202とともにテープ貼着部206全体が上昇する。これにより、粘着テープ12は、平版印刷原版束11から離間した経路を通って上方に巻上げられる。そして、テープ貼着部206が所定の高さまで上昇したら、図16の(B)に示すようにテープ保持テーブル226において粘着テープ12の粘着剤の塗布されていない側の面が吸引保持されるとともに、テープカッタ210においては切断刃232が降下して粘着テープ12を所定の長さに切断する。
【0089】
粘着テープ12が所定の長さに切断されたら、図17の(A)に示すようにテープカッタ210において切断刃232が上昇する。そして、テープ貼着ローラ220はアクチュエータ224によって平版印刷原版束11に向かって再び前進する。これによって図17の(B)に示すように粘着テープ12は上側の保護用厚紙13にも貼着され、平版印刷原版結束体10が形成される。
【0090】
テープ貼り装置200においては、テープ貼着ローラ220は平版印刷原版束11の端面から離間した経路に沿って上昇するから、粘着テープ12も前記経路に沿って搬送される。したがって、粘着テープ12は平版印刷原版束11の端面から離間するように上側および下側の保護用厚紙13に貼着される。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のシート結束体および包装構造体は、平版印刷原版の他、塗装鋼鈑やアルミニウム板、亜鉛鍍金鋼鈑、ステンレス鋼鈑などの各種金属シート、枚葉紙、およびプラスチックシートなども対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、実施形態1に係る包装構造体の全体的な構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す包装構造体における平版印刷版束結束体を形成する手順を示す説明図である。
【図3】図3は、図2に示す平版印刷原版束結束体における平版印刷版束の端面とテープとの位置関係を示す説明図である。
【図4】図4は、図2に示す平版印刷原版束結束体を厚さ方向に結束する形態を示す斜視図である。
【図5】図5は、実施形態2に係る包装構造体の全体的な構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、実施形態2に係る包装構造体を、前記包装構造体を構成する平版印刷原版結束体に直交する方向の鉛直面で切断した断面を示す断面図である。
【図7】図7は、実施形態2に係る包装構造体を積載台の載置面に対して平行な平面で切断した断面を示す断面図である。
【図8】図8は、実施形態3に係る包装構造体の全体的な構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、実施形態3に係る包装構造体を、前記包装構造体を構成する平版印刷原版結束体に直交する方向の鉛直面で切断した断面を示す断面図である。
【図10】図10は、実施形態4に係る包装構造体の全体的な構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、実施形態1〜4における平版印刷原版結束体を形成するのに使用されるテープ貼り装置の一例を示す側面図である。
【図12】図12は、図11に示すテープ貼り装置の平面図である。
【図13】図13は、図11に示すテープ貼り装置の備えるテープカッタおとびその近傍の構成の詳細を示す拡大図である。
【図14】図14は、図11に示すテープ貼り装置によって平版印刷版束に粘着テープを貼着する手順を示す流れ図である。
【図15】図15は、図11に示すテープ貼り装置によって平版印刷版束に粘着テープを貼着する手順を示す流れ図である。
【図16】図16は、図11に示すテープ貼り装置によって平版印刷版束に粘着テープを貼着する手順を示す流れ図である。
【図17】図17は、図11に示すテープ貼り装置によって平版印刷版束に粘着テープを貼着する手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0093】
2 積載台
3 積載台
4 端板
6 ベルト
7 発泡体ブロック
8 ストレッチフィルム
10 平版印刷原版結束体
11 平版印刷原版束
12 粘着テープ
13 保護用厚紙
14 端板
20 載置面
22B 載置板
22 載置部
22A 背板
24 台座部
26 上板
27 脚部
28 底板
29 空間
30 空気袋
32 載置部
34 脚部
100 包装構造体
102 包装構造体
104 包装構造体
106 包装構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物を厚さ方向に積層したシート束と、
前記シート束の両面に配置された保護部材と、
一の保護部材と他の保護部材とを連結するように貼着されてシート束を結束する粘着テープと
を有し、前記粘着テープはシート束の端面から離間するように貼着されてなることを特徴とするシート結束体。
【請求項2】
前記厚さ方向に積層したシート状物の端面と粘着テープとの間に当て部材が挿入されてなる請求項1に記載のシート結束体。
【請求項3】
前記シート状物は平版印刷原版である請求項1または2に記載のシート結束体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のシート結束体と、
前記シート結束体が厚さ方向に積層された状態で積載される積載台と、
前記シート結束体を前記積載台上に拘束する拘束手段と
を備えてなることを特徴とする包装構造体。
【請求項5】
前記シート結束体は前記積載台に水平に積載されてなる請求項4に記載の包装構造体。
【請求項6】
前記シート結束体は、立てた状態で、しかも前記粘着テープが側方に位置するように前記積載台に積載されてなる請求項4に記載の包装構造体。
【請求項7】
前記拘束手段は、シート結束体に積層される端板と、前記積載台と前記端板とで前記シート結束体を挟み込むように前記積載台と前記端板と前記シート結束体とを締結する締結手段とを備える請求項4〜6の何れか1項に記載の包装構造体。
【請求項8】
前記締結手段はベルトである請求項7に記載の包装構造体。
【請求項9】
前記締結手段は収縮性フィルムである請求項7に記載の包装構造体。
【請求項10】
前記端板は板状の部材である請求項7〜9の何れか1項に記載の包装構造体。
【請求項11】
前記端板は発泡体ブロックから形成されてなる請求項7〜9の何れか1項に記載の包装構造体。
【請求項12】
前記拘束手段は、前記シート結束体と前記積載台とを包み込むように巻回されてなる収縮性フィルムである請求項4〜6の何れか1項に記載の包装構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−179374(P2008−179374A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12674(P2007−12674)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】