シート給送装置及び画像形成装置
【課題】シートと規制部との間に隙間が生じた場合でも、確実にシートを給送することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】後端規制板13によりシートを支持する昇降可能なトレイに支持されたシートの移動を規制すると共に、後端規制板13及びトレイに支持されたシートの間に隙間が生じている場合には、この隙間に突出するように設けられた後端規制爪18H,18Iにより、シートの後端規制板13の方向への移動を規制する。
【解決手段】後端規制板13によりシートを支持する昇降可能なトレイに支持されたシートの移動を規制すると共に、後端規制板13及びトレイに支持されたシートの間に隙間が生じている場合には、この隙間に突出するように設けられた後端規制爪18H,18Iにより、シートの後端規制板13の方向への移動を規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にシートの移動を規制する規制部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エア給紙技術やリタードローラ給紙技術等、さまざまな給紙技術を採用したシート給送装置が数多く提案されている。近年、これらのシート給送装置において、大容量の収納デッキを備え、連続的に大量のシートを画像形成部に供給することが可能なシート給送装置が要望されてきている。
【0003】
このようなシート給送装置として、大容量の収納デッキを有すると共に、収納デッキに収納されたシートをエアにより給紙するエア給紙技術を採用したシート給送装置がある(特許文献1参照)。そして、このシート給送装置では、例えば図14に示すように、シートを収納する不図示の収納デッキの上方にエア給紙方式のシート給送部400が配置されている。そして、シート給送部400は、吸着搬送ベルト21と、吸着搬送ベルト21内に配置された吸着ダクト51と、吸着ダクト51内を負圧にするための不図示の吸着ファンを備えている。
【0004】
収納デッキには、複数枚のシートSを載置して昇降可能に設けられた昇降台12と、載置された複数枚のシートSの後端の位置を規制するための後端規制板13が設けられている。また、収納デッキのシート給送方向下流には、シートSを浮上させて捌いて分離するため、シートSの先端側からエアを吹き付ける捌きノズル33及び分離ノズル34が設けられている。そして、この捌きノズル33及び分離ノズル34には、不図示の捌き・分離ファンを有するエア供給ユニット401が接続されており、このエア供給ユニット401により、捌きノズル33及び分離ノズル34にエアが供給される。
【0005】
次に、このような従来のシート給送部400のシート給送動作について説明する。シート給送動作が開始されると、シートSが載置された昇降台12が上昇を始め、やがて載置された複数枚のシートSの最上位のシートSaが、図14の(a)に示す、捌きノズル33の開口近傍の所定の位置に達するまで上昇する。この後、給紙命令を受けると、エア供給ユニット401の分離ファンが回転を始める。
【0006】
これにより、捌きノズル33及び分離ノズル34から、矢印a及びbで示すように捌きエア及び分離エアが、積載された複数枚のシートSの上部部分の側端に向けて吹き出される。ここで、シートSは後端規制板13によって後方への移動が規制されているため、エアが吹き付けられた際、吹き付けられたエアはシートSの間に入り込み、これにより積載されたシートSの上部部分が浮上してシートSが捌かれる。
【0007】
一方、給紙命令を受けた時点で吸着ファンが回転を開始するようになっており、これにより吸着ダクト51の内部が負圧状態になっている。このため、吸着ダクト51内に設けられた不図示の吸着シャッタを開くと、吸着搬送ベルト21に最上位のシートSaが吸着される。なお、このとき分離ノズル34によって吸着搬送ベルト21の下方に形成された分離エア流の効果により、最上位のシートSaと、それよりも下位のシートを確実に分離することができる。
【0008】
この後、不図示の画像形成部の画像形成タイミングに合わせて吸着搬送ベルト21を回転させ、吸着搬送ベルト21のシート給送方向下流に配置された不図示の引抜きローラ対に受け渡すことで最上位のシートSaの給送が完了する。なお、引抜きローラ対にシートSaが受け渡された時点で、吸着シャッタを閉じ、再び吸着ダクト51の内部を負圧状態にして次の給紙に備える。以下、この動作を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−195588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、このような大容量の収納デッキを備えたシート給送装置において、一般的に、シートの移動を規制する規制部である後端規制板は、シートのサイズに応じた後端規制位置に移動可能に設けられている。そして、シートを昇降台に載置する際、後端規制板を載置されたシートの後端に合わせるように移動させてセットする。また、収納デッキには、シートのシート給送方向と直交する幅方向の位置を規制する規制部である側端規制板が設けられており、シートを昇降台に載置する際、この側端規制板も載置されたシートの側端に合わせるように移動させてセットする。
【0011】
しかし、例えば、後端規制板を移動させる際、後端規制板の移動が十分でなかったり、昇降台上に真っ直ぐにシートが載置されない状態で後端規制板をセットしたりした場合、後端規制板とシートとの間に隙間が生じてしまう。そして、このようにシートと後端規制板との間に隙間が生じた状態でシートにエアを吹き付けた場合、エアにより浮上したシートSが、図14の(b)に示すように後端規制板13との隙間分、シート給送方向と逆方向に後退してしまう。
【0012】
この結果、分離エア及び捌きエア、吸着ダクトからの各エア流のバランスが崩れてシートSの浮上が不安定となり、シートの吸着搬送ベルト21への吸着不良が生じたり、複数枚のシートが吸着搬送ベルト21に吸着されたりすることがある。この場合には、シートSの給送不良やシートSが重送する等の問題が発生してしまう。
【0013】
なお、この問題は、エア給紙技術を採用したシート給送装置だけでなく、重送されたシートをリタードローラにより後端規制板側に戻すようにするリタードローラ方式を採用したシート給送装置でも発生する。即ち、リタードローラ方式のシート給送装置の場合でも、シートと後端規制板との間に隙間が生じた場合、リタードローラにより戻されたシートが後端規制板とシートとの隙間分後退する場合がある。そして、このような場合、シートの給送不良が発生する場合がある。
【0014】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シートと規制部との間に隙間が生じた場合でも、確実にシートを給送することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、シートを支持する昇降可能なトレイと、前記トレイの上方に設けられたシート給送部とを備え、前記トレイの上昇により給送可能位置に達したシートを前記シート給送部により給送するシート給送装置において、前記トレイに支持されたシートの移動を規制する規制部と、前記規制部及び前記トレイに支持されたシートの間に隙間が生じている場合、前記隙間に位置してシートの前記規制部の方向への移動を規制するストッパ部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のように、シートと規制部との間に生じた隙間に突出するストッパ部によってシートの規制部の方向への移動を規制することにより、シートと規制部との間に隙間が生じた場合でも、確実にシートを給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記シート給送装置の構成を説明する図。
【図3】上記シート給送装置の制御ブロック図。
【図4】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する図。
【図5】上記シート給送装置のエア給紙部の構成を説明する図。
【図6】上記シート給送装置の後端規制板の構成を説明する図。
【図7】上記シート給送装置の昇降台の昇降制御を説明するフローチャート。
【図8】上記後端規制板に設けられた後端上面規制部の構成を説明する図。
【図9】上記後端上面規制部に設けられた後端規制爪の動作を説明する図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図。
【図11】上記シート給送装置の制御ブロック図。
【図12】上記シート給送装置の動作を説明するフローチャート。
【図13】上記シート給送装置の後端規制部の他の構成を説明する図。
【図14】従来のシート給送装置の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。
【0019】
図1において、100はプリンタ、101はプリンタ本体である。このプリンタ本体101の上部には自動原稿給送装置120により原稿載置台としてのプラテンガラス120aに載置された原稿Dを読み取る画像読取部130が設けられている。また、画像読取部130の下方には画像形成部102と、画像形成部102にシートSを給送するシート給送装置103が設けられている。
【0020】
ここで、画像形成部102には、感光ドラム112、現像器113、レーザスキャナユニット111等が設けられている。また、シート給送装置103は、OHT等のシートSを収容してプリンタ本体101に着脱自在な複数のシート収納部11及びシート収納部11に収納されたシートSを送り出す吸着搬送ベルト21等を備えている。
【0021】
次に、このような構成のプリンタ100の画像形成動作について説明する。プリンタ本体101に設けられている後述する図3に示す制御部Cから画像読取部130に画像読取信号が出力されると、画像読取部130により原稿Dの画像が読み取られる。この後、レーザスキャナユニット111から、この電気信号に対応したレーザ光が感光ドラム112上に照射される。このとき感光ドラム112は、予め帯電されおり、光が照射されることによって静電潜像が形成され、次いで静電潜像を現像器113によって現像することにより、感光ドラム上にトナー像が形成される。
【0022】
一方、制御部から給紙信号がシート給送装置103に出力されると、シート収納部11からシートSが給送される。この後、給送されたシートSはレジストローラ117により感光ドラム上のトナー画像と同期を取って感光ドラム112と転写帯電器118とにより構成される転写部に送られる。次に、このように転写部に送られたシートは、トナー像が転写され、この後、定着部114に搬送される。さらにこの後、定着部114により加熱及び加圧されることにより、シートSに未定着転写画像が永久定着される。そして、このように画像が定着されたシートは排出ローラ116によりプリンタ本体101から排紙トレイ119に排出される。
【0023】
図2は、シート給送装置103の構成を示す図である。シート収納部11は、昇降可能なトレイである昇降台12と、シートSのシート給送方向上流端である後端の位置を規制する後端規制板13と、先端規制板17と、シートSのシート給送方向と直交する幅方向の位置を規制する側端規制板14を備えている。なお、昇降台12に積載支持されたシートの移動を規制する規制部である後端規制板13及び側端規制板14は、収納されるシートのサイズによって位置を任意に変えられるように構成されている。また、後端規制板13には最上位シートSaのシート給送方向上流側端部である後端部の高さ位置を規制する後端上面規制部18が上下方向に移動可能に設けられている。
【0024】
このシート収納部11は、スライドレール15によりプリンタ本体101から引き出し可能となっており、シート収納部11がプリンタ本体から引き出されたときに昇降台12が所定の位置まで下降してシートの補充や交換等を行うことができる。なお、昇降台12は、ステッピングモータ又はDCサーボモータ等のリフタ駆動モータを備えた不図示のリフタ機構により昇降される。
【0025】
さらに、このシート収納部11の上部にはシートを1枚ずつ分離して給送するためのエア給紙方式のシート給送部(以下、エア給紙部150という)が配置されている。このエア給紙部150は、昇降台12に積載されたシートSを吸着搬送する吸着搬送部20と、昇降台上の複数枚のシートSの上部部分を浮上させて捌くと共に、シートSを1枚ずつ分離するためのエア吹き付け部30とを備えている。
【0026】
ここで、吸着搬送部20は、ベルト駆動ローラ41に掛け渡されると共にシートSを吸着して図中右方向に給送する吸着搬送ベルト21と、シートSを吸着搬送ベルト21に吸着させるための負圧を発生する吸着ファン36を備えている。また、吸着搬送ベルト21の内側に配置され、吸着搬送ベルト21に形成されている不図示の吸引穴を介してエアを吸引するための吸着ダクト51を備えている。さらに、吸着ファン36と吸着ダクト51との間に配置され、吸着搬送ベルト21の吸着動作をON/OFFする吸着シャッタ37を備えている。なお、本実施の形態において、吸着搬送ベルト21は、幅方向に所定の間隔を持って複数配置されている。
【0027】
また、エア吹き付け部30は、収納されているシートSの上部前側にエアを吹き付けるための捌きノズル33及び分離ノズル34と、捌き・分離ファン31と、各ノズル33,34に捌き・分離ファン31からエアを送る分離ダクト32を備えている。そして、捌き・分離ファン31により矢印c方向に吸い込まれたエアの一部は分離ダクト32を通過して捌きノズル33により矢印a方向に吹き付けられ、昇降台12上に積載されているシートSの上部のうち数枚を浮上させる。また、他のエアは分離ノズル34により矢印b方向に吹き付けられ、捌きノズル33により浮上したシートを1枚ずつ分離して吸着搬送ベルト21に吸着させる。
【0028】
なお、図3は、シート給送装置103の制御ブロック図である。制御部Cには、後述する図5に示す紙面検知機構に設けられた第1シート面センサ54及び第2シート面センサ55、シートの後端面を検知する後端シート面センサ56が接続される。また、吸着搬送ベルト21を駆動する吸着搬送ベルト駆動モータ21M、昇降台12を昇降させるリフタ駆動モータ12M、吸着シャッタ37を回転させる吸着シャッタソレノイド37SLが接続されている。また、制御部Cには、シートを吸着搬送ベルト21に吸着させるための負圧を発生する吸着ファン36、シートにエアを吹き付ける捌き・分離ファン31及びモニタ300が接続されている。
【0029】
次に、このように構成されたシート給送装置103(エア給紙部150)のシート給送動作について説明する。まず、ユーザーがシート収納部11を引き出してシートSをセットし、この後、所定の位置にシート収納部11を格納すると、まずリフタ駆動モータ12Mが駆動される。これにより、昇降台12が上昇し、積載支持したシートと吸着搬送ベルト21との距離が給送可能な距離となる位置に達すると、制御部Cは、この位置で昇降台12を停止させる。この後、給送を開始するためのシート給送信号に備える。
【0030】
次に、シート給送信号を検知すると、制御部Cは捌き・分離ファン31を作動させ、図4の(a)に示すように矢印c方向へエアを吸い込む。このエアは分離ダクト32を介して捌きノズル33、分離ノズル34からそれぞれ矢印a及びb方向からシートに吹き付けられる。これにより、複数枚のシートSのうちの上位の数枚のシートが浮上する。また、制御部Cは吸着ファン36を作動させ、図中F方向にエアを吐き出す。この際、吸着シャッタ37はまだ閉じられている。
【0031】
次に、シート給送信号を検知してから所定時間が経過し、上位のシートの浮上が安定したところで、制御部Cは吸着シャッタソレノイド37SLを駆動し、図4の(b)に示すように吸着シャッタ37を矢印G方向に回転させる。これにより、吸着搬送ベルト21に設けられた吸引穴から矢印H方向へエアが吸引され、吸引力が発生する。そして、この吸着力と、分離ノズル34からの分離エアにより最上位のシートSaのみが吸着搬送ベルト21に吸着される。
【0032】
続いて、制御部Cは、図3に示す吸着搬送ベルト駆動モータ21Mを駆動し、ベルト駆動ローラ41を矢印J方向に回転させる。これにより、吸着搬送ベルト21に吸着された状態で最上位のシートSaが矢印K方向に給送され、この後、矢印L,M方向に回転する引き抜きローラ対42により画像形成部に向けてシートSaが送られる。
【0033】
なお、シート給送装置103には、図5に示すように昇降台12に載置されているシートSの上面を検知するために、シートSの上面に当接する紙面検知機構49と、紙面検知機構49の高さを検知する2つのシート面センサ54,55とが設けられている。また、後端規制板13には、昇降台12に載置されたシートSの後端部上面に当接してシート後端の浮上を規制するための後端上面規制部18と、後端上面規制部18の位置を検知してシートの高さ位置を検知する後端シート面センサ56が配置されている。
【0034】
ここで、この後端上面規制部18は、図6に示すように、後端規制板13の支持部13Eと係合する係合部18Aを備えている。これにより、後端上面規制部18は、後端規制板13に沿って、昇降台12に積載されたシートに上方から当接し、シートと一体的に昇降することができる。なお、支持部13Eに、ボールベアリングや表面の摩擦抵抗の低いローラ等を設けることにより、昇降がスムーズに行われるように構成することが望ましい。また、後端上面規制部18の最上部には、後端規制板13の後端規制面13Cから先端規制板側(昇降台側)に突出する突出部18Dが、支持軸18Bにより上方に回動可能に支持されている。そして、この突出部18Dは、通常はセットされた最上位のシートに、シートがないときは昇降台12の表面に当接する。また、この突出部18Dのシート当接面である底面には後端規制パッド18Eが貼り付けられている。
【0035】
さらに、後端上面規制部18は突出部18D及び後端規制パッド18Eを保持すると共に、上下方向にスライド移動可能なスライダ18Fを備えている。ここで、このスライダ18Fには、既述した図5に示すように後端シート面センサ56をON・OFFする後端シート面検知センサフラグ18Gが設けられている。これにより、後端上面規制部18は最上位のシートの動きに確実に追従することができ、後端シート面センサ56は後端上面規制部18の位置に基づいてシートの高さを検出することが可能となる。
【0036】
次に、本実施の形態に係るシート給送時の昇降台12の昇降制御について図7に示すフローチャートを用いて説明する。制御部Cは、シート給送信号を受けると、給送準備を開始し、まず捌き・分離ファン31の回転を開始し、エアの吹き付けを開始してシートを浮上させる。この後、第1及び第2シート面センサ54,55がONとならない場合は(S1のN)、昇降台12を上昇させ(S2)、第1及び第2シート面センサ54,55がONとなると(S1のY)、後端シート面センサ56による紙面確認を開始する(S3)。
【0037】
そして、後端シート面センサ56がONとならない場合は(S4のN)、昇降台12を上昇させる(S5)。この後、後端シート面センサ56がONとなると(S4のY)、次に第2シート面センサ55の信号により、最上位シートの位置が適正範囲にあるかを判断する。そして、第2シート面センサ55がONでない場合には(S6のN)、第2シート面センサ55がONとなるまで(S6のY)、昇降台12を上昇させる(S7)。
【0038】
次に、第2シート面センサ55がONとなると(S6のY)、すなわち昇降台12が給送可能位置に上昇すると、昇降台12を停止させ(S8)、この後、シートの給送を開始する(S9)。なお、このような制御を昇降台12にシートがN枚積載(支持)された場合には、N枚目のシートが給送されるまで繰り返し、N枚目のシートが給送されると(S10のY)、給送動作を終了する。
【0039】
ところで、本実施の形態においては、図8に示すように、後端上面規制部18の突出部18Dにはシート給送方向と反対方向へのシートの移動を規制するためのストッパ部である2つの後端規制爪18H,18Iが昇降台12の上方に突出して設けられている。なお、本実施の形態においては、後端規制爪を2つ設けているが、1つあるいは3つ以上設けても良い。
【0040】
この後端規制爪18H,18Iは、支持軸18Bに、後端上面規制部18の突出部18Dの底面よりも下方に、シート側に突出して、かつ回動可能に取り付けられている。また、この後端規制爪18H,18Iは、昇降台12の上昇に伴ってシートが下方より圧接するまでは、図8の(a)に示すように自重により下方回動し、それぞれ後端規制面13Cから距離L1,L2だけ離れた位置に移動している。なお、後端規制パッド18Eは、後端規制面13Cから距離L3だけ突出して設けられている。
【0041】
図8の(b)は、昇降台12が異常上昇した時の状態を示しており、昇降台12が異常上昇すると、昇降台12により後端規制パッド18Eがつぶれる。また、後端規制爪18H,18Iも、昇降台12により押圧され、後端規制爪18H,18Iの中央部に形成された突き当て部c,dが支持軸18Bに突き当たるまで上方回動する。
【0042】
ところで、既述した、図5は、シートSが昇降台12に正常にセットされたときの状態を示しており、このとき後端規制面13Cと昇降台12にセットされたシートSとの隙間ΔLは、ΔL<L1となっている。なお、このように隙間ΔLが<L1となっている場合は、シートが後端規制板13に沿って滑らかに昇降できるので、シートの給送に影響を及ぼすことはない。
【0043】
この場合、昇降台12の上昇に伴ってシートSが上昇を始めると、2つの後端規制爪18H,18Iは昇降台上(トレイ上)の最上位のシートSaにより押圧されて上方に回転退避する。さらに、最上位のシートSaが後端規制パッド18Eに接触すると、この後、シートSにより後端上面規制部18全体が上方に押し上げられる。
【0044】
そして、このように後端上面規制部18が上方に押し上げられ、この後、既述したように後端シート面センサ56がONとなると、昇降台12の上昇動作が停止する。次に、給紙動作が開始され、シートに捌きエア、分離エアが吹き付けられ、上位のシートが浮上する。ここで、このように捌きエア、分離エアが吹き付けられた際、シートは後端が規制面18Cに突き当たるまで後退するが、隙間ΔLが<L1となっているので、ほとんど後退することはない。このため、分離エア及び捌きエア、吸着ダクトからの各エア流のバランスが保たれるようになり、この結果、シートSの浮上が安定し、給送不良や重送を発生することなくシートを給送することができる。
【0045】
一方、図9の(a)は、シートSがセットされたとき後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLが、L1<ΔL<L2となる場合を示している。この場合、昇降台12の上昇に伴ってシートSが上昇を始めると、後端規制面13Cに近い後端規制爪18Hは後端規制面13CとシートSとの隙間にあるため、後端規制面13Cから遠い後端規制爪18Iだけが最上位のシートSaにより押圧されて上方回動する。さらに、昇降台12が上昇して最上位のシートSaが後端規制パッド18Eに接触すると、後端上面規制部18全体が上方に押し上げられ、この後、後端シート面センサ56がONとなると、昇降台12の上昇動作が停止する。
【0046】
次に、給紙動作が開始され、シートに捌きエア、分離エアが吹き付けられ、上位のシートが浮上する。ここで、このように捌きエア、分離エアが吹き付けられた際、シートは後退するが、このとき後端規制面13Cに近い後端規制爪18Hは上方回動していないので、後退したシートの後端は、この後端規制爪18Hに突き当たる。この結果、シートは、L2−L1だけ移動するが、この移動距離はわずかであることから、シートはほとんど後退することはない。このため、分離エア及び捌きエア、吸着ダクトからの各エア流のバランスが保たれるようになってシートSの浮上が安定し、給送不良や重送を発生することなくシートが給送される。
【0047】
図9の(b)は、シートSがセットされたとき後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLが、さらに大きく、L2<ΔL<L3となる場合を示している。この場合、昇降台12の上昇に伴ってシートSが上昇を始めると、後端規制爪18H,18Iは共に後端規制面13CとシートSとの隙間にあるため上方回動しない。さらに、昇降台12が上昇して最上位のシートSaが後端規制パッド18Eに接触すると、後端上面規制部18全体が上方に押し上げられ、この後、後端シート面センサ56がONとなると、昇降台12の上昇動作が停止する。
【0048】
次に、給紙動作が開始され、シートに捌きエア、分離エアが吹き付けられ、上位のシートが浮上する。ここで、このように捌きエア、分離エアが吹き付けられた際、シートは後退するが、このとき後端規制爪18I,18Iは上方回動していないので、後退したシートの後端は、後端規制面13Cから遠い後端規制爪18Iに突き当たる。この結果、シートは、L3−L2だけ移動するが、この移動距離はわずかであることから、シートはほとんど後退することはない。このため、シートSの浮上が安定し、給送不良や重送を発生することなくシートが給送される。
【0049】
なお、後端規制面13Cと昇降台12にセットされたシートSとの隙間ΔLがL3<ΔLの場合がある。この場合は、昇降台12が上昇しても最上位のシートSaが後端規制パッド18Eに接触できず後端上面規制部18を上方に押し上げることができないため、後端シート面センサ56はONすることがない。しかし、この場合、紙面検知機構49の第1及び第2シート面センサ54,55によって最上位のシートSaが検知される。そして、この場合にはモニタ300により、後端規制板13のセット位置が適正位置にないため、セットをやり直すようにユーザーへ通知を行う。つまり、後端規制面13CとシートSとの間の隙間が所定距離以上の場合は、通知手段であるモニタ300により、セットをやり直すようにユーザーへ通知を行う。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態においては、シートと後端規制板13の規制面18Cとの間に隙間ΔLが生じた場合でも、後端規制爪18H,18Iにより、捌きエア及び分離エアにより浮上したシートが後退するのを防止することができる。これにより、分離エア及び捌きエア、吸着ダクトからの各エア流の位置バランスが保たれるため、吸着不良や重送の発生を防止することができる。
【0051】
つまり、本実施の形態においては、隙間ΔLに突出するように設けた後端規制爪18H,18Iにより、シートSの後端規制板13の方向への移動を規制するようにしている。これにより、シートと規制部との間に隙間が生じた場合でも、確実にシートを給送することができる。
【0052】
ところで、これまではエア給送方式のシート給送装置について説明したが、本発明は、これに限らず、リタード給紙方式を採用したシート給送装置についても適用することができる。
【0053】
次に、このようにリタード給紙方式を採用した本発明の第2の実施の形態について説明する。図10は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図10において、既述した図5と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0054】
図10において、200はシート給送装置に設けられたシート給送部であり、このシート給送部200は、昇降台12上のシートSの最上位のシートSaを給送するピックアップローラ207を備えている。また、このシート給送部200は、ピックアップローラ207によって複数枚のシートが送り出された場合、最上位のシートSaと、他のシートとを分離する分離ローラ対208を備えている。
【0055】
この分離ローラ対208は、シートを給送する方向に回転するフィードローラ208Aと、フィードローラ208Aとの間でシートを1枚ずつ分離する分離ニップ部を形成するリタードローラ208Bとを備えている。ここで、このリタードローラ208Bは、シート給送方向と逆方向に回転可能に設けられ、フィードローラ208Aに圧接して分離ニップ部を形成する。なお、これらピックアップローラ207、フィードローラ208A及びリタードローラ208Bは、図11に示す制御部Cにより駆動制御される給紙駆動モータ207Mにより駆動される。
【0056】
次に、本実施の形態に係るシート給送装置のシート給送動作制御について図12に示すフローチャートを用いて説明する。制御部Cは、シート給送信号を受けると、給送準備を開始し、昇降台12を昇降させて後端シート面センサ56による紙面確認を開始する(S11)。そして、後端シート面センサ56がONとならない場合には(S12のN)、昇降台12を上昇させ(S13)、後端シート面センサ56がONとなると(S12のY)、昇降台12を停止させる(S14)。この後、シートの給送を開始する(S15)。なお、このような制御を昇降台12にシートがN枚積載(支持)された場合には、N枚目のシートが給送されるまで繰り返し、N枚目のシートが給送されると(S16のY)、給送動作を終了する。
【0057】
ところで、本実施の形態において、昇降台12に積載されたシートがピックアップローラ207によって最上位のシートから順に送り出されると、分離ローラ対208により、最上位のシートのみ搬送される。しかし、環境条件やシートの種類等によっては、ピックアップローラ207により、複数のシートが、シート給送方向にズレを生じさせながら送り出される場合がある。この場合、最上位のシート以外の、複数のシートは分離ローラ対208によりシート給送方向と逆方向に搬送されるが、このとき、シート間でズレが生じている場合には、例えばは下方のシートの後端が後端規制板13に突き当たるまで搬送される場合がある。
【0058】
そこで、本実施の形態においても、既述した図10に示すように、後端上面規制部18の突出部18Dにシート給送方向と反対方向へシートが後退するのを防ぐための後端規制爪18H,18Iを設けている。なお、本実施の形態において、突出部18Dには後端規制パッド18Eの代わりに、ピックアップローラ207によるシートの送り出しの抵抗とならないように後端規制コロ18Jが取り付けられている。
【0059】
ここで、図10は、シートSがセットされたとき後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLが、L1<ΔL<L2となる場合を示している。この場合、昇降台12の上昇に伴ってシートSが上昇を始めると、後端規制面13Cに近い後端規制爪18Hは後端規制面13CとシートSとの隙間にあるため、後端規制面13Cから遠い後端規制爪18Iだけが最上位のシートSaにより押圧されて上方回動する。さらに、最上位のシートSaが後端規制コロ18Jに接触すると、後端上面規制部18全体が上方に押し上げられ、この後、後端シート面センサ56がONとなると、昇降台12の上昇動作が停止する。
【0060】
この後、給紙動作が開始され、昇降台12に積載されたシートがピックアップローラ207によって最上位のシートから順に送り出される。ここで、ピックアップローラ207により、複数のシートが送り出された場合、最上位のシート以外の、複数のシートは分離ローラ対208によりシート給送方向と逆方向に搬送される。このとき、後端規制面13Cに近い後端規制爪18Hは上方回動していないので、後退したシートの後端は、この後端規制爪18Hに突き当たる。この結果、シートは、L2−L1だけ移動するが、この移動距離はわずかであることから、シートはほとんど後退することはない。このため、給送不良発生することなくシートを給送することができる。
【0061】
なお、後端規制面13Cと昇降台12におかれたシートSとの隙間ΔLがL2<ΔL<L3の場合は、昇降台12上のシートが上昇を始めても、シートは2つの後端規制爪18H,18Iには当接しない。このため、最上位のシート以外の、分離ローラ対208によりシート給送方向と逆方向に搬送される複数のシートの後端は、後端規制面13Cから遠い後端規制爪18Iに突き当たる。この結果、シートは、L3−L2だけ移動するが、この移動距離はわずかであることから、シートはほとんど後退することはない。このため、給送不良を発生することなくシートが給送される。
【0062】
さらに、後端規制面13Cと昇降台12にセットされたシートSとの隙間ΔLがL3<ΔLの場合がある。この場合は、昇降台12が上昇しても最上位のシートSaが後端規制コロ18Jに接触できず後端上面規制部18を上方に押し上げることができないため、後端シート面センサ56はONすることはない。しかし、昇降台12が上昇を開始してから所定時間が経過しても後端シート面センサ56がONとならない場合には、モニタ300により、後端規制板13のセットをやり直すようにユーザーへ通知を行う。
【0063】
また、後端規制面13Cと昇降台12におかれたシートSとの隙間ΔLがΔL<L1となるように正常にシートが載置された場合、昇降台12の上昇に伴って2つの後端規制爪18H,18Iが最上位のシートSaにより押圧されて上方に回動する。このため、最上位のシート以外の、分離ローラ対208によりシート給送方向と逆方向に搬送される複数のシートは、後端が規制面18Cに突き当たるまで後退するが、隙間ΔLがΔL<L1となっているので、ほとんど後退することはない。このため、給送不良を発生することなくシートを給送するこができる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態においては、シートと後端規制板13の規制面18Cとの間に隙間ΔLが生じた場合でも、後端規制爪18H,18Iにより、リタードローラにより戻されたシートの後端規制板13の方向への移動を規制するようにしている。これにより、シートを安定して給送することができる。
【0065】
つまり、本実施の形態のように、リタード給紙方式を採用したシート給送装置においても、隙間ΔLに突出するように設けた後端規制爪18H,18Iにより、シートSの後端規制板13の方向への移動を規制することができる。これにより、シートと規制部との間に隙間ΔLが生じた場合でも、確実にシートを給送することができる。
【0066】
なお、これまで説明した第1及び第2の実施の形態では、後端上面規制部18を上方に押し上げることができない場合には、後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLがL3以上であるということを検出するようにしている。しかし、後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLがL3以上であるということを検出する構成は、これに限らない。
【0067】
例えば、図13の(a)に示すように、後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLがL3以上であるということを検出するためのセンサフラグ60を、後端規制板13に回動自在に設けるようにしても良い。そして、このセンサフラグ60を、隙間ΔLがL3以下の場合には、シートにより押圧されて後端シート面センサ56に検知されない位置に移動し、隙間ΔLがL3以上の場合には、回動して後端シート面センサ56をONする位置に移動するように構成する。これにより、隙間ΔLがL3以上のときは、センサフラグ60が回動して後端シート面センサ56がONとなるので、隙間ΔLがL3以上であるということを検出することができる。
【0068】
また、図13の(b)に示すように、隙間ΔLがL3以上であるということを検出するためのマーキング71が施された後端指標支持棒70を、後端規制板13に突出自在に設けるようにしても良い。そして、この後端指標支持棒70を、隙間ΔLがL3以下の場合には、シートにより押圧されて退避位置に移動し、隙間ΔLがL3以上の場合には、後端指標バネ72によりマーキング71が視認可能な位置まで突出するように構成する。これにより、隙間ΔLがL3以上のときは、マーキング71が視認できるので、隙間ΔLがL3以上であるということを直接ユーザーへ通知することができる。
【0069】
また、これまではエア給紙及びリタード給紙技術を採用したシート給送装置について説明したが、同様の効果が得られるもので有ればどのような給紙技術でも適用可能である。また、これまでは昇降台12の上下動により、後端規制爪18H,18Iが退避する構成について説明したが、後端上面規制部18の上下動に連動して後端規制爪18H,18Iが退避するように構成しても良い。さらに、後端規制爪18H,18Iの退避方向を昇降台12の移動方向としたが、シートの移動が規制可能であれば退避方向はどの方向でもかまわない。
【0070】
また、これまでの説明においては、後端規制板13に取り付けられた後端規制爪18H,18Iによりシートのズレを防止する構成を説明したが、本発明は、これに限らず、同様の効果が得られれば側端規制板にも適用することができる。例えば、サイドファンによりシートの側端にエアを吹き付ける場合、本発明を適用することにより、吹き付けられたエアにより、シートが対向する側の側端規制板にずれるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0071】
11…シート収納部、12…昇降台、13…後端規制板、14…側端規制板、18…後端上面規制部、18H,18I…後端規制爪、20…吸着搬送部、30…エア吹き付け部、56…後端シート面センサ、100…プリンタ、101…プリンタ本体、102…画像形成部、103…シート給送装置、150…エア給紙部、200…シート給送部、207…ピックアップローラ、208…分離ローラ対、208A…フィードローラ、208B…リタードローラ、300…モニタ、C…制御部、S…シート、Sa…最上位のシート、ΔL…隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にシートの移動を規制する規制部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エア給紙技術やリタードローラ給紙技術等、さまざまな給紙技術を採用したシート給送装置が数多く提案されている。近年、これらのシート給送装置において、大容量の収納デッキを備え、連続的に大量のシートを画像形成部に供給することが可能なシート給送装置が要望されてきている。
【0003】
このようなシート給送装置として、大容量の収納デッキを有すると共に、収納デッキに収納されたシートをエアにより給紙するエア給紙技術を採用したシート給送装置がある(特許文献1参照)。そして、このシート給送装置では、例えば図14に示すように、シートを収納する不図示の収納デッキの上方にエア給紙方式のシート給送部400が配置されている。そして、シート給送部400は、吸着搬送ベルト21と、吸着搬送ベルト21内に配置された吸着ダクト51と、吸着ダクト51内を負圧にするための不図示の吸着ファンを備えている。
【0004】
収納デッキには、複数枚のシートSを載置して昇降可能に設けられた昇降台12と、載置された複数枚のシートSの後端の位置を規制するための後端規制板13が設けられている。また、収納デッキのシート給送方向下流には、シートSを浮上させて捌いて分離するため、シートSの先端側からエアを吹き付ける捌きノズル33及び分離ノズル34が設けられている。そして、この捌きノズル33及び分離ノズル34には、不図示の捌き・分離ファンを有するエア供給ユニット401が接続されており、このエア供給ユニット401により、捌きノズル33及び分離ノズル34にエアが供給される。
【0005】
次に、このような従来のシート給送部400のシート給送動作について説明する。シート給送動作が開始されると、シートSが載置された昇降台12が上昇を始め、やがて載置された複数枚のシートSの最上位のシートSaが、図14の(a)に示す、捌きノズル33の開口近傍の所定の位置に達するまで上昇する。この後、給紙命令を受けると、エア供給ユニット401の分離ファンが回転を始める。
【0006】
これにより、捌きノズル33及び分離ノズル34から、矢印a及びbで示すように捌きエア及び分離エアが、積載された複数枚のシートSの上部部分の側端に向けて吹き出される。ここで、シートSは後端規制板13によって後方への移動が規制されているため、エアが吹き付けられた際、吹き付けられたエアはシートSの間に入り込み、これにより積載されたシートSの上部部分が浮上してシートSが捌かれる。
【0007】
一方、給紙命令を受けた時点で吸着ファンが回転を開始するようになっており、これにより吸着ダクト51の内部が負圧状態になっている。このため、吸着ダクト51内に設けられた不図示の吸着シャッタを開くと、吸着搬送ベルト21に最上位のシートSaが吸着される。なお、このとき分離ノズル34によって吸着搬送ベルト21の下方に形成された分離エア流の効果により、最上位のシートSaと、それよりも下位のシートを確実に分離することができる。
【0008】
この後、不図示の画像形成部の画像形成タイミングに合わせて吸着搬送ベルト21を回転させ、吸着搬送ベルト21のシート給送方向下流に配置された不図示の引抜きローラ対に受け渡すことで最上位のシートSaの給送が完了する。なお、引抜きローラ対にシートSaが受け渡された時点で、吸着シャッタを閉じ、再び吸着ダクト51の内部を負圧状態にして次の給紙に備える。以下、この動作を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−195588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、このような大容量の収納デッキを備えたシート給送装置において、一般的に、シートの移動を規制する規制部である後端規制板は、シートのサイズに応じた後端規制位置に移動可能に設けられている。そして、シートを昇降台に載置する際、後端規制板を載置されたシートの後端に合わせるように移動させてセットする。また、収納デッキには、シートのシート給送方向と直交する幅方向の位置を規制する規制部である側端規制板が設けられており、シートを昇降台に載置する際、この側端規制板も載置されたシートの側端に合わせるように移動させてセットする。
【0011】
しかし、例えば、後端規制板を移動させる際、後端規制板の移動が十分でなかったり、昇降台上に真っ直ぐにシートが載置されない状態で後端規制板をセットしたりした場合、後端規制板とシートとの間に隙間が生じてしまう。そして、このようにシートと後端規制板との間に隙間が生じた状態でシートにエアを吹き付けた場合、エアにより浮上したシートSが、図14の(b)に示すように後端規制板13との隙間分、シート給送方向と逆方向に後退してしまう。
【0012】
この結果、分離エア及び捌きエア、吸着ダクトからの各エア流のバランスが崩れてシートSの浮上が不安定となり、シートの吸着搬送ベルト21への吸着不良が生じたり、複数枚のシートが吸着搬送ベルト21に吸着されたりすることがある。この場合には、シートSの給送不良やシートSが重送する等の問題が発生してしまう。
【0013】
なお、この問題は、エア給紙技術を採用したシート給送装置だけでなく、重送されたシートをリタードローラにより後端規制板側に戻すようにするリタードローラ方式を採用したシート給送装置でも発生する。即ち、リタードローラ方式のシート給送装置の場合でも、シートと後端規制板との間に隙間が生じた場合、リタードローラにより戻されたシートが後端規制板とシートとの隙間分後退する場合がある。そして、このような場合、シートの給送不良が発生する場合がある。
【0014】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シートと規制部との間に隙間が生じた場合でも、確実にシートを給送することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、シートを支持する昇降可能なトレイと、前記トレイの上方に設けられたシート給送部とを備え、前記トレイの上昇により給送可能位置に達したシートを前記シート給送部により給送するシート給送装置において、前記トレイに支持されたシートの移動を規制する規制部と、前記規制部及び前記トレイに支持されたシートの間に隙間が生じている場合、前記隙間に位置してシートの前記規制部の方向への移動を規制するストッパ部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のように、シートと規制部との間に生じた隙間に突出するストッパ部によってシートの規制部の方向への移動を規制することにより、シートと規制部との間に隙間が生じた場合でも、確実にシートを給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記シート給送装置の構成を説明する図。
【図3】上記シート給送装置の制御ブロック図。
【図4】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する図。
【図5】上記シート給送装置のエア給紙部の構成を説明する図。
【図6】上記シート給送装置の後端規制板の構成を説明する図。
【図7】上記シート給送装置の昇降台の昇降制御を説明するフローチャート。
【図8】上記後端規制板に設けられた後端上面規制部の構成を説明する図。
【図9】上記後端上面規制部に設けられた後端規制爪の動作を説明する図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図。
【図11】上記シート給送装置の制御ブロック図。
【図12】上記シート給送装置の動作を説明するフローチャート。
【図13】上記シート給送装置の後端規制部の他の構成を説明する図。
【図14】従来のシート給送装置の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。
【0019】
図1において、100はプリンタ、101はプリンタ本体である。このプリンタ本体101の上部には自動原稿給送装置120により原稿載置台としてのプラテンガラス120aに載置された原稿Dを読み取る画像読取部130が設けられている。また、画像読取部130の下方には画像形成部102と、画像形成部102にシートSを給送するシート給送装置103が設けられている。
【0020】
ここで、画像形成部102には、感光ドラム112、現像器113、レーザスキャナユニット111等が設けられている。また、シート給送装置103は、OHT等のシートSを収容してプリンタ本体101に着脱自在な複数のシート収納部11及びシート収納部11に収納されたシートSを送り出す吸着搬送ベルト21等を備えている。
【0021】
次に、このような構成のプリンタ100の画像形成動作について説明する。プリンタ本体101に設けられている後述する図3に示す制御部Cから画像読取部130に画像読取信号が出力されると、画像読取部130により原稿Dの画像が読み取られる。この後、レーザスキャナユニット111から、この電気信号に対応したレーザ光が感光ドラム112上に照射される。このとき感光ドラム112は、予め帯電されおり、光が照射されることによって静電潜像が形成され、次いで静電潜像を現像器113によって現像することにより、感光ドラム上にトナー像が形成される。
【0022】
一方、制御部から給紙信号がシート給送装置103に出力されると、シート収納部11からシートSが給送される。この後、給送されたシートSはレジストローラ117により感光ドラム上のトナー画像と同期を取って感光ドラム112と転写帯電器118とにより構成される転写部に送られる。次に、このように転写部に送られたシートは、トナー像が転写され、この後、定着部114に搬送される。さらにこの後、定着部114により加熱及び加圧されることにより、シートSに未定着転写画像が永久定着される。そして、このように画像が定着されたシートは排出ローラ116によりプリンタ本体101から排紙トレイ119に排出される。
【0023】
図2は、シート給送装置103の構成を示す図である。シート収納部11は、昇降可能なトレイである昇降台12と、シートSのシート給送方向上流端である後端の位置を規制する後端規制板13と、先端規制板17と、シートSのシート給送方向と直交する幅方向の位置を規制する側端規制板14を備えている。なお、昇降台12に積載支持されたシートの移動を規制する規制部である後端規制板13及び側端規制板14は、収納されるシートのサイズによって位置を任意に変えられるように構成されている。また、後端規制板13には最上位シートSaのシート給送方向上流側端部である後端部の高さ位置を規制する後端上面規制部18が上下方向に移動可能に設けられている。
【0024】
このシート収納部11は、スライドレール15によりプリンタ本体101から引き出し可能となっており、シート収納部11がプリンタ本体から引き出されたときに昇降台12が所定の位置まで下降してシートの補充や交換等を行うことができる。なお、昇降台12は、ステッピングモータ又はDCサーボモータ等のリフタ駆動モータを備えた不図示のリフタ機構により昇降される。
【0025】
さらに、このシート収納部11の上部にはシートを1枚ずつ分離して給送するためのエア給紙方式のシート給送部(以下、エア給紙部150という)が配置されている。このエア給紙部150は、昇降台12に積載されたシートSを吸着搬送する吸着搬送部20と、昇降台上の複数枚のシートSの上部部分を浮上させて捌くと共に、シートSを1枚ずつ分離するためのエア吹き付け部30とを備えている。
【0026】
ここで、吸着搬送部20は、ベルト駆動ローラ41に掛け渡されると共にシートSを吸着して図中右方向に給送する吸着搬送ベルト21と、シートSを吸着搬送ベルト21に吸着させるための負圧を発生する吸着ファン36を備えている。また、吸着搬送ベルト21の内側に配置され、吸着搬送ベルト21に形成されている不図示の吸引穴を介してエアを吸引するための吸着ダクト51を備えている。さらに、吸着ファン36と吸着ダクト51との間に配置され、吸着搬送ベルト21の吸着動作をON/OFFする吸着シャッタ37を備えている。なお、本実施の形態において、吸着搬送ベルト21は、幅方向に所定の間隔を持って複数配置されている。
【0027】
また、エア吹き付け部30は、収納されているシートSの上部前側にエアを吹き付けるための捌きノズル33及び分離ノズル34と、捌き・分離ファン31と、各ノズル33,34に捌き・分離ファン31からエアを送る分離ダクト32を備えている。そして、捌き・分離ファン31により矢印c方向に吸い込まれたエアの一部は分離ダクト32を通過して捌きノズル33により矢印a方向に吹き付けられ、昇降台12上に積載されているシートSの上部のうち数枚を浮上させる。また、他のエアは分離ノズル34により矢印b方向に吹き付けられ、捌きノズル33により浮上したシートを1枚ずつ分離して吸着搬送ベルト21に吸着させる。
【0028】
なお、図3は、シート給送装置103の制御ブロック図である。制御部Cには、後述する図5に示す紙面検知機構に設けられた第1シート面センサ54及び第2シート面センサ55、シートの後端面を検知する後端シート面センサ56が接続される。また、吸着搬送ベルト21を駆動する吸着搬送ベルト駆動モータ21M、昇降台12を昇降させるリフタ駆動モータ12M、吸着シャッタ37を回転させる吸着シャッタソレノイド37SLが接続されている。また、制御部Cには、シートを吸着搬送ベルト21に吸着させるための負圧を発生する吸着ファン36、シートにエアを吹き付ける捌き・分離ファン31及びモニタ300が接続されている。
【0029】
次に、このように構成されたシート給送装置103(エア給紙部150)のシート給送動作について説明する。まず、ユーザーがシート収納部11を引き出してシートSをセットし、この後、所定の位置にシート収納部11を格納すると、まずリフタ駆動モータ12Mが駆動される。これにより、昇降台12が上昇し、積載支持したシートと吸着搬送ベルト21との距離が給送可能な距離となる位置に達すると、制御部Cは、この位置で昇降台12を停止させる。この後、給送を開始するためのシート給送信号に備える。
【0030】
次に、シート給送信号を検知すると、制御部Cは捌き・分離ファン31を作動させ、図4の(a)に示すように矢印c方向へエアを吸い込む。このエアは分離ダクト32を介して捌きノズル33、分離ノズル34からそれぞれ矢印a及びb方向からシートに吹き付けられる。これにより、複数枚のシートSのうちの上位の数枚のシートが浮上する。また、制御部Cは吸着ファン36を作動させ、図中F方向にエアを吐き出す。この際、吸着シャッタ37はまだ閉じられている。
【0031】
次に、シート給送信号を検知してから所定時間が経過し、上位のシートの浮上が安定したところで、制御部Cは吸着シャッタソレノイド37SLを駆動し、図4の(b)に示すように吸着シャッタ37を矢印G方向に回転させる。これにより、吸着搬送ベルト21に設けられた吸引穴から矢印H方向へエアが吸引され、吸引力が発生する。そして、この吸着力と、分離ノズル34からの分離エアにより最上位のシートSaのみが吸着搬送ベルト21に吸着される。
【0032】
続いて、制御部Cは、図3に示す吸着搬送ベルト駆動モータ21Mを駆動し、ベルト駆動ローラ41を矢印J方向に回転させる。これにより、吸着搬送ベルト21に吸着された状態で最上位のシートSaが矢印K方向に給送され、この後、矢印L,M方向に回転する引き抜きローラ対42により画像形成部に向けてシートSaが送られる。
【0033】
なお、シート給送装置103には、図5に示すように昇降台12に載置されているシートSの上面を検知するために、シートSの上面に当接する紙面検知機構49と、紙面検知機構49の高さを検知する2つのシート面センサ54,55とが設けられている。また、後端規制板13には、昇降台12に載置されたシートSの後端部上面に当接してシート後端の浮上を規制するための後端上面規制部18と、後端上面規制部18の位置を検知してシートの高さ位置を検知する後端シート面センサ56が配置されている。
【0034】
ここで、この後端上面規制部18は、図6に示すように、後端規制板13の支持部13Eと係合する係合部18Aを備えている。これにより、後端上面規制部18は、後端規制板13に沿って、昇降台12に積載されたシートに上方から当接し、シートと一体的に昇降することができる。なお、支持部13Eに、ボールベアリングや表面の摩擦抵抗の低いローラ等を設けることにより、昇降がスムーズに行われるように構成することが望ましい。また、後端上面規制部18の最上部には、後端規制板13の後端規制面13Cから先端規制板側(昇降台側)に突出する突出部18Dが、支持軸18Bにより上方に回動可能に支持されている。そして、この突出部18Dは、通常はセットされた最上位のシートに、シートがないときは昇降台12の表面に当接する。また、この突出部18Dのシート当接面である底面には後端規制パッド18Eが貼り付けられている。
【0035】
さらに、後端上面規制部18は突出部18D及び後端規制パッド18Eを保持すると共に、上下方向にスライド移動可能なスライダ18Fを備えている。ここで、このスライダ18Fには、既述した図5に示すように後端シート面センサ56をON・OFFする後端シート面検知センサフラグ18Gが設けられている。これにより、後端上面規制部18は最上位のシートの動きに確実に追従することができ、後端シート面センサ56は後端上面規制部18の位置に基づいてシートの高さを検出することが可能となる。
【0036】
次に、本実施の形態に係るシート給送時の昇降台12の昇降制御について図7に示すフローチャートを用いて説明する。制御部Cは、シート給送信号を受けると、給送準備を開始し、まず捌き・分離ファン31の回転を開始し、エアの吹き付けを開始してシートを浮上させる。この後、第1及び第2シート面センサ54,55がONとならない場合は(S1のN)、昇降台12を上昇させ(S2)、第1及び第2シート面センサ54,55がONとなると(S1のY)、後端シート面センサ56による紙面確認を開始する(S3)。
【0037】
そして、後端シート面センサ56がONとならない場合は(S4のN)、昇降台12を上昇させる(S5)。この後、後端シート面センサ56がONとなると(S4のY)、次に第2シート面センサ55の信号により、最上位シートの位置が適正範囲にあるかを判断する。そして、第2シート面センサ55がONでない場合には(S6のN)、第2シート面センサ55がONとなるまで(S6のY)、昇降台12を上昇させる(S7)。
【0038】
次に、第2シート面センサ55がONとなると(S6のY)、すなわち昇降台12が給送可能位置に上昇すると、昇降台12を停止させ(S8)、この後、シートの給送を開始する(S9)。なお、このような制御を昇降台12にシートがN枚積載(支持)された場合には、N枚目のシートが給送されるまで繰り返し、N枚目のシートが給送されると(S10のY)、給送動作を終了する。
【0039】
ところで、本実施の形態においては、図8に示すように、後端上面規制部18の突出部18Dにはシート給送方向と反対方向へのシートの移動を規制するためのストッパ部である2つの後端規制爪18H,18Iが昇降台12の上方に突出して設けられている。なお、本実施の形態においては、後端規制爪を2つ設けているが、1つあるいは3つ以上設けても良い。
【0040】
この後端規制爪18H,18Iは、支持軸18Bに、後端上面規制部18の突出部18Dの底面よりも下方に、シート側に突出して、かつ回動可能に取り付けられている。また、この後端規制爪18H,18Iは、昇降台12の上昇に伴ってシートが下方より圧接するまでは、図8の(a)に示すように自重により下方回動し、それぞれ後端規制面13Cから距離L1,L2だけ離れた位置に移動している。なお、後端規制パッド18Eは、後端規制面13Cから距離L3だけ突出して設けられている。
【0041】
図8の(b)は、昇降台12が異常上昇した時の状態を示しており、昇降台12が異常上昇すると、昇降台12により後端規制パッド18Eがつぶれる。また、後端規制爪18H,18Iも、昇降台12により押圧され、後端規制爪18H,18Iの中央部に形成された突き当て部c,dが支持軸18Bに突き当たるまで上方回動する。
【0042】
ところで、既述した、図5は、シートSが昇降台12に正常にセットされたときの状態を示しており、このとき後端規制面13Cと昇降台12にセットされたシートSとの隙間ΔLは、ΔL<L1となっている。なお、このように隙間ΔLが<L1となっている場合は、シートが後端規制板13に沿って滑らかに昇降できるので、シートの給送に影響を及ぼすことはない。
【0043】
この場合、昇降台12の上昇に伴ってシートSが上昇を始めると、2つの後端規制爪18H,18Iは昇降台上(トレイ上)の最上位のシートSaにより押圧されて上方に回転退避する。さらに、最上位のシートSaが後端規制パッド18Eに接触すると、この後、シートSにより後端上面規制部18全体が上方に押し上げられる。
【0044】
そして、このように後端上面規制部18が上方に押し上げられ、この後、既述したように後端シート面センサ56がONとなると、昇降台12の上昇動作が停止する。次に、給紙動作が開始され、シートに捌きエア、分離エアが吹き付けられ、上位のシートが浮上する。ここで、このように捌きエア、分離エアが吹き付けられた際、シートは後端が規制面18Cに突き当たるまで後退するが、隙間ΔLが<L1となっているので、ほとんど後退することはない。このため、分離エア及び捌きエア、吸着ダクトからの各エア流のバランスが保たれるようになり、この結果、シートSの浮上が安定し、給送不良や重送を発生することなくシートを給送することができる。
【0045】
一方、図9の(a)は、シートSがセットされたとき後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLが、L1<ΔL<L2となる場合を示している。この場合、昇降台12の上昇に伴ってシートSが上昇を始めると、後端規制面13Cに近い後端規制爪18Hは後端規制面13CとシートSとの隙間にあるため、後端規制面13Cから遠い後端規制爪18Iだけが最上位のシートSaにより押圧されて上方回動する。さらに、昇降台12が上昇して最上位のシートSaが後端規制パッド18Eに接触すると、後端上面規制部18全体が上方に押し上げられ、この後、後端シート面センサ56がONとなると、昇降台12の上昇動作が停止する。
【0046】
次に、給紙動作が開始され、シートに捌きエア、分離エアが吹き付けられ、上位のシートが浮上する。ここで、このように捌きエア、分離エアが吹き付けられた際、シートは後退するが、このとき後端規制面13Cに近い後端規制爪18Hは上方回動していないので、後退したシートの後端は、この後端規制爪18Hに突き当たる。この結果、シートは、L2−L1だけ移動するが、この移動距離はわずかであることから、シートはほとんど後退することはない。このため、分離エア及び捌きエア、吸着ダクトからの各エア流のバランスが保たれるようになってシートSの浮上が安定し、給送不良や重送を発生することなくシートが給送される。
【0047】
図9の(b)は、シートSがセットされたとき後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLが、さらに大きく、L2<ΔL<L3となる場合を示している。この場合、昇降台12の上昇に伴ってシートSが上昇を始めると、後端規制爪18H,18Iは共に後端規制面13CとシートSとの隙間にあるため上方回動しない。さらに、昇降台12が上昇して最上位のシートSaが後端規制パッド18Eに接触すると、後端上面規制部18全体が上方に押し上げられ、この後、後端シート面センサ56がONとなると、昇降台12の上昇動作が停止する。
【0048】
次に、給紙動作が開始され、シートに捌きエア、分離エアが吹き付けられ、上位のシートが浮上する。ここで、このように捌きエア、分離エアが吹き付けられた際、シートは後退するが、このとき後端規制爪18I,18Iは上方回動していないので、後退したシートの後端は、後端規制面13Cから遠い後端規制爪18Iに突き当たる。この結果、シートは、L3−L2だけ移動するが、この移動距離はわずかであることから、シートはほとんど後退することはない。このため、シートSの浮上が安定し、給送不良や重送を発生することなくシートが給送される。
【0049】
なお、後端規制面13Cと昇降台12にセットされたシートSとの隙間ΔLがL3<ΔLの場合がある。この場合は、昇降台12が上昇しても最上位のシートSaが後端規制パッド18Eに接触できず後端上面規制部18を上方に押し上げることができないため、後端シート面センサ56はONすることがない。しかし、この場合、紙面検知機構49の第1及び第2シート面センサ54,55によって最上位のシートSaが検知される。そして、この場合にはモニタ300により、後端規制板13のセット位置が適正位置にないため、セットをやり直すようにユーザーへ通知を行う。つまり、後端規制面13CとシートSとの間の隙間が所定距離以上の場合は、通知手段であるモニタ300により、セットをやり直すようにユーザーへ通知を行う。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態においては、シートと後端規制板13の規制面18Cとの間に隙間ΔLが生じた場合でも、後端規制爪18H,18Iにより、捌きエア及び分離エアにより浮上したシートが後退するのを防止することができる。これにより、分離エア及び捌きエア、吸着ダクトからの各エア流の位置バランスが保たれるため、吸着不良や重送の発生を防止することができる。
【0051】
つまり、本実施の形態においては、隙間ΔLに突出するように設けた後端規制爪18H,18Iにより、シートSの後端規制板13の方向への移動を規制するようにしている。これにより、シートと規制部との間に隙間が生じた場合でも、確実にシートを給送することができる。
【0052】
ところで、これまではエア給送方式のシート給送装置について説明したが、本発明は、これに限らず、リタード給紙方式を採用したシート給送装置についても適用することができる。
【0053】
次に、このようにリタード給紙方式を採用した本発明の第2の実施の形態について説明する。図10は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図10において、既述した図5と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0054】
図10において、200はシート給送装置に設けられたシート給送部であり、このシート給送部200は、昇降台12上のシートSの最上位のシートSaを給送するピックアップローラ207を備えている。また、このシート給送部200は、ピックアップローラ207によって複数枚のシートが送り出された場合、最上位のシートSaと、他のシートとを分離する分離ローラ対208を備えている。
【0055】
この分離ローラ対208は、シートを給送する方向に回転するフィードローラ208Aと、フィードローラ208Aとの間でシートを1枚ずつ分離する分離ニップ部を形成するリタードローラ208Bとを備えている。ここで、このリタードローラ208Bは、シート給送方向と逆方向に回転可能に設けられ、フィードローラ208Aに圧接して分離ニップ部を形成する。なお、これらピックアップローラ207、フィードローラ208A及びリタードローラ208Bは、図11に示す制御部Cにより駆動制御される給紙駆動モータ207Mにより駆動される。
【0056】
次に、本実施の形態に係るシート給送装置のシート給送動作制御について図12に示すフローチャートを用いて説明する。制御部Cは、シート給送信号を受けると、給送準備を開始し、昇降台12を昇降させて後端シート面センサ56による紙面確認を開始する(S11)。そして、後端シート面センサ56がONとならない場合には(S12のN)、昇降台12を上昇させ(S13)、後端シート面センサ56がONとなると(S12のY)、昇降台12を停止させる(S14)。この後、シートの給送を開始する(S15)。なお、このような制御を昇降台12にシートがN枚積載(支持)された場合には、N枚目のシートが給送されるまで繰り返し、N枚目のシートが給送されると(S16のY)、給送動作を終了する。
【0057】
ところで、本実施の形態において、昇降台12に積載されたシートがピックアップローラ207によって最上位のシートから順に送り出されると、分離ローラ対208により、最上位のシートのみ搬送される。しかし、環境条件やシートの種類等によっては、ピックアップローラ207により、複数のシートが、シート給送方向にズレを生じさせながら送り出される場合がある。この場合、最上位のシート以外の、複数のシートは分離ローラ対208によりシート給送方向と逆方向に搬送されるが、このとき、シート間でズレが生じている場合には、例えばは下方のシートの後端が後端規制板13に突き当たるまで搬送される場合がある。
【0058】
そこで、本実施の形態においても、既述した図10に示すように、後端上面規制部18の突出部18Dにシート給送方向と反対方向へシートが後退するのを防ぐための後端規制爪18H,18Iを設けている。なお、本実施の形態において、突出部18Dには後端規制パッド18Eの代わりに、ピックアップローラ207によるシートの送り出しの抵抗とならないように後端規制コロ18Jが取り付けられている。
【0059】
ここで、図10は、シートSがセットされたとき後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLが、L1<ΔL<L2となる場合を示している。この場合、昇降台12の上昇に伴ってシートSが上昇を始めると、後端規制面13Cに近い後端規制爪18Hは後端規制面13CとシートSとの隙間にあるため、後端規制面13Cから遠い後端規制爪18Iだけが最上位のシートSaにより押圧されて上方回動する。さらに、最上位のシートSaが後端規制コロ18Jに接触すると、後端上面規制部18全体が上方に押し上げられ、この後、後端シート面センサ56がONとなると、昇降台12の上昇動作が停止する。
【0060】
この後、給紙動作が開始され、昇降台12に積載されたシートがピックアップローラ207によって最上位のシートから順に送り出される。ここで、ピックアップローラ207により、複数のシートが送り出された場合、最上位のシート以外の、複数のシートは分離ローラ対208によりシート給送方向と逆方向に搬送される。このとき、後端規制面13Cに近い後端規制爪18Hは上方回動していないので、後退したシートの後端は、この後端規制爪18Hに突き当たる。この結果、シートは、L2−L1だけ移動するが、この移動距離はわずかであることから、シートはほとんど後退することはない。このため、給送不良発生することなくシートを給送することができる。
【0061】
なお、後端規制面13Cと昇降台12におかれたシートSとの隙間ΔLがL2<ΔL<L3の場合は、昇降台12上のシートが上昇を始めても、シートは2つの後端規制爪18H,18Iには当接しない。このため、最上位のシート以外の、分離ローラ対208によりシート給送方向と逆方向に搬送される複数のシートの後端は、後端規制面13Cから遠い後端規制爪18Iに突き当たる。この結果、シートは、L3−L2だけ移動するが、この移動距離はわずかであることから、シートはほとんど後退することはない。このため、給送不良を発生することなくシートが給送される。
【0062】
さらに、後端規制面13Cと昇降台12にセットされたシートSとの隙間ΔLがL3<ΔLの場合がある。この場合は、昇降台12が上昇しても最上位のシートSaが後端規制コロ18Jに接触できず後端上面規制部18を上方に押し上げることができないため、後端シート面センサ56はONすることはない。しかし、昇降台12が上昇を開始してから所定時間が経過しても後端シート面センサ56がONとならない場合には、モニタ300により、後端規制板13のセットをやり直すようにユーザーへ通知を行う。
【0063】
また、後端規制面13Cと昇降台12におかれたシートSとの隙間ΔLがΔL<L1となるように正常にシートが載置された場合、昇降台12の上昇に伴って2つの後端規制爪18H,18Iが最上位のシートSaにより押圧されて上方に回動する。このため、最上位のシート以外の、分離ローラ対208によりシート給送方向と逆方向に搬送される複数のシートは、後端が規制面18Cに突き当たるまで後退するが、隙間ΔLがΔL<L1となっているので、ほとんど後退することはない。このため、給送不良を発生することなくシートを給送するこができる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態においては、シートと後端規制板13の規制面18Cとの間に隙間ΔLが生じた場合でも、後端規制爪18H,18Iにより、リタードローラにより戻されたシートの後端規制板13の方向への移動を規制するようにしている。これにより、シートを安定して給送することができる。
【0065】
つまり、本実施の形態のように、リタード給紙方式を採用したシート給送装置においても、隙間ΔLに突出するように設けた後端規制爪18H,18Iにより、シートSの後端規制板13の方向への移動を規制することができる。これにより、シートと規制部との間に隙間ΔLが生じた場合でも、確実にシートを給送することができる。
【0066】
なお、これまで説明した第1及び第2の実施の形態では、後端上面規制部18を上方に押し上げることができない場合には、後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLがL3以上であるということを検出するようにしている。しかし、後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLがL3以上であるということを検出する構成は、これに限らない。
【0067】
例えば、図13の(a)に示すように、後端規制面13CとシートSとの隙間ΔLがL3以上であるということを検出するためのセンサフラグ60を、後端規制板13に回動自在に設けるようにしても良い。そして、このセンサフラグ60を、隙間ΔLがL3以下の場合には、シートにより押圧されて後端シート面センサ56に検知されない位置に移動し、隙間ΔLがL3以上の場合には、回動して後端シート面センサ56をONする位置に移動するように構成する。これにより、隙間ΔLがL3以上のときは、センサフラグ60が回動して後端シート面センサ56がONとなるので、隙間ΔLがL3以上であるということを検出することができる。
【0068】
また、図13の(b)に示すように、隙間ΔLがL3以上であるということを検出するためのマーキング71が施された後端指標支持棒70を、後端規制板13に突出自在に設けるようにしても良い。そして、この後端指標支持棒70を、隙間ΔLがL3以下の場合には、シートにより押圧されて退避位置に移動し、隙間ΔLがL3以上の場合には、後端指標バネ72によりマーキング71が視認可能な位置まで突出するように構成する。これにより、隙間ΔLがL3以上のときは、マーキング71が視認できるので、隙間ΔLがL3以上であるということを直接ユーザーへ通知することができる。
【0069】
また、これまではエア給紙及びリタード給紙技術を採用したシート給送装置について説明したが、同様の効果が得られるもので有ればどのような給紙技術でも適用可能である。また、これまでは昇降台12の上下動により、後端規制爪18H,18Iが退避する構成について説明したが、後端上面規制部18の上下動に連動して後端規制爪18H,18Iが退避するように構成しても良い。さらに、後端規制爪18H,18Iの退避方向を昇降台12の移動方向としたが、シートの移動が規制可能であれば退避方向はどの方向でもかまわない。
【0070】
また、これまでの説明においては、後端規制板13に取り付けられた後端規制爪18H,18Iによりシートのズレを防止する構成を説明したが、本発明は、これに限らず、同様の効果が得られれば側端規制板にも適用することができる。例えば、サイドファンによりシートの側端にエアを吹き付ける場合、本発明を適用することにより、吹き付けられたエアにより、シートが対向する側の側端規制板にずれるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0071】
11…シート収納部、12…昇降台、13…後端規制板、14…側端規制板、18…後端上面規制部、18H,18I…後端規制爪、20…吸着搬送部、30…エア吹き付け部、56…後端シート面センサ、100…プリンタ、101…プリンタ本体、102…画像形成部、103…シート給送装置、150…エア給紙部、200…シート給送部、207…ピックアップローラ、208…分離ローラ対、208A…フィードローラ、208B…リタードローラ、300…モニタ、C…制御部、S…シート、Sa…最上位のシート、ΔL…隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持する昇降可能なトレイと、前記トレイの上方に設けられたシート給送部とを備え、前記トレイの上昇により給送可能位置に達したシートを前記シート給送部により給送するシート給送装置において、
前記トレイに支持されたシートの移動を規制する規制部と、
前記規制部及び前記トレイに支持されたシートの間に隙間が生じている場合、前記隙間に位置してシートの前記規制部の方向への移動を規制するストッパ部と、
を備えたことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記ストッパ部は、前記トレイが上昇する際、前記トレイに支持されたシートの上面と当接すると、シートに押圧されて上方に移動することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記規制部は、前記トレイが上昇する際、前記トレイに支持されたシートに当接して上昇する上面規制部を備え、
前記上面規制部に前記ストッパ部を、前記上面規制部の底面よりも下方で、支持されているシート側に突出させて設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記規制部とシートとの間の隙間が所定距離以上の場合には、前記規制部のセットをやり直させる通知を行う手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記シート給送部は、前記給送可能位置に達した前記トレイに支持されたシートの側端にエアを吹き付けてシートを浮上させるエア吹き付け部と、浮上させたシートを吸着して給送する吸着搬送部とを備え、エアの吹き付けで浮上した最上位のシートを前記吸着搬送部により吸着して搬送を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記シート給送部は、前記トレイに支持されたシートを送り出すピックアップローラと、シート給送方向に回転するフィードローラと、シート給送方向と逆方向に回転可能に設けられ、前記フィードローラに圧接して前記フィードローラとの間でシートを1枚ずつ分離する分離ニップ部を形成するリタードローラとを備え、前記分離ニップ部に給送されたシートを前記フィードローラと前記リタードローラとにより1枚ずつ分離して給送することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置から給送されるシートに画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
シートを支持する昇降可能なトレイと、前記トレイの上方に設けられたシート給送部とを備え、前記トレイの上昇により給送可能位置に達したシートを前記シート給送部により給送するシート給送装置において、
前記トレイに支持されたシートの移動を規制する規制部と、
前記規制部及び前記トレイに支持されたシートの間に隙間が生じている場合、前記隙間に位置してシートの前記規制部の方向への移動を規制するストッパ部と、
を備えたことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記ストッパ部は、前記トレイが上昇する際、前記トレイに支持されたシートの上面と当接すると、シートに押圧されて上方に移動することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記規制部は、前記トレイが上昇する際、前記トレイに支持されたシートに当接して上昇する上面規制部を備え、
前記上面規制部に前記ストッパ部を、前記上面規制部の底面よりも下方で、支持されているシート側に突出させて設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記規制部とシートとの間の隙間が所定距離以上の場合には、前記規制部のセットをやり直させる通知を行う手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記シート給送部は、前記給送可能位置に達した前記トレイに支持されたシートの側端にエアを吹き付けてシートを浮上させるエア吹き付け部と、浮上させたシートを吸着して給送する吸着搬送部とを備え、エアの吹き付けで浮上した最上位のシートを前記吸着搬送部により吸着して搬送を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記シート給送部は、前記トレイに支持されたシートを送り出すピックアップローラと、シート給送方向に回転するフィードローラと、シート給送方向と逆方向に回転可能に設けられ、前記フィードローラに圧接して前記フィードローラとの間でシートを1枚ずつ分離する分離ニップ部を形成するリタードローラとを備え、前記分離ニップ部に給送されたシートを前記フィードローラと前記リタードローラとにより1枚ずつ分離して給送することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置から給送されるシートに画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−95559(P2013−95559A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240474(P2011−240474)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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