説明

シーリングプレート

【課題】 スプリンクラヘッドに使用される半田の腐食状況を外部から確認できるようにして、不慮の事故を未然に防止する。
【解決手段】 スプリンクラヘッド10に取り付けられるシーリングプレート20であって、シーリングプレートの一部に開口24を設けて感熱体収容部25を形成し、その感熱体収容部に、スプリンクラヘッドに使用される半田13と同じ半田13Cを収容した。
シーリングプレートの表面には、環境状態によって変化するラベル40が貼られている。感熱体収容部25は、シーリングプレートの表面から天井側へ凹んだ凹部26から形成され、その凹部の開口側に爪部27を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラヘッドに取り付けられるシーリングプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラヘッドは、火災が発生したときに火災の熱を感知し、自動的に水を散布して消火を行うものである。スプリンクラヘッドで火災の熱により分解してスプリンクラヘッドの弁体を開放する部分を感熱分解部分といい、一般に熱を感知する部分には低融点合金である半田が使用されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−206907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スプリンクラヘッドは、動作の信頼性が非常に高い製品である。また、長い年月にわたって、ビルや工場に設置され、製品寿命も長い。しかし、スプリンクラヘッドの設置後は、その機構上、動作点検などが行えず、心臓部である半田はシリンダ内に収容されていることから、主に外観検査しか行うことができない。
【0004】
このため、不慮の事故で、ヘッドから水漏れなどが生じた場合に、その時点ではじめてスプリンクラヘッドを回収して、半田の状態などを確認するということになる。特に、スプリンクラヘッドは一般のビル以外にも、メッキ工場や樹脂成型工場、又はアンモニアガスが発生するような特定の温泉などの腐食性のガスが発生する環境雰囲気下に設置されることがあり、このような場合は、これらのガスによって感熱体が悪影響を受ける場合がある。
【0005】
そこで、本発明はスプリンクラヘッドに使用される半田の腐食状況を外部から確認できるようにして、不慮の事故を未然に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スプリンクラヘッドに取り付けられ、該スプリンクラヘッドと天井板との隙間を隠すシーリングプレートであって、シーリングプレートの一部に開口を設けて感熱体収容部を形成し、該感熱体収容部に、前記スプリンクラヘッドに使用される感熱体と同じ感熱体を収容したことを特徴とするものである。
【0007】
また、シーリングプレートの表面に、環境状態によって変化するラベルを貼ったことを特徴とするものである。また、感熱体収容部は、シーリングプレートの表面から天井側へ凹んだ凹部から形成され、該凹部の前記開口側に爪部を設けたことを特徴とするものであ
【発明の効果】
【0008】
本発明は以上のように構成され、シーリングプレートの感熱体収容部に感熱体を収容した、特に、開口を介して半田は露出しているので、この感熱体を外観から観察して、腐食しているかどうかの確認をすることができる。こうして、スプリンクラヘッドと同じ環境下に設置される感熱体の腐食状況を確認することで、スプリンクラヘッド自体に使用されている感熱体の腐食状況を予測することができ、これによりスプリンクラヘッドの事故を未然に防止できる。
【0009】
また、シーリングプレートの表面に、環境状態によって変化するラベルを貼ったので、このラベルの変化を観察することで、スプリンクラヘッドが設置されている環境が腐食性の環境下であるかどうかが簡単にわかり、環境の履歴もわかる。このため小さな感熱体を確認するよりは、問題となるスプリンクラヘッドを探しやすい。
【0010】
また、感熱体収容部を形成する凹部の開口側に爪部を設けたので、感熱体がシーリングプレートから外れて落下するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施形態1
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、スプリンクラヘッドにシーリングプレートを取り付けた状態を示す断面図、図2はシーリングプレートの一部拡大図、図3はシーリングプレートの平面図である。
【0012】
図1において、10はスプリンクラヘッド、20はスプリンクラヘッド10に取り付けられるシーリングプレートである。シーリングプレート20は、スプリンクラヘッド10と天井板30との隙間を隠すためのものである。
【0013】
スプリンクラヘッド10はフランジ部11を有し、フランジ部11には雄ねじ部12が形成されている。スプリンクラヘッド10の下端には、感熱体としての半田13を収容するシリンダ14が設けられ、このシリンダの外周には、2枚の感熱板15が設けられる。半田13は、シリンダ14内に設けられ、外部から視認できないので、破線によって示してある。
【0014】
樹脂製のシーリングプレート20は、筒状部21と筒状部21の下端から外周方向に広がる円板状のプレート部22から構成されている。プレート部22は、筒状部21の下端から天井板30方向へ向かって上方へ傾斜しており、プレート部22の外周先端が天井板30の下面に接して、天井板30の下面とプレート部22の間には、空間部が形成されるようになっている。
【0015】
筒状部21の内周の上部には、雌ねじ部23が形成され、スプリンクラヘッド10のフランジ部11の雄ねじ部12がねじ込まれて、スプリンクラヘッド10にシーリングプレート20が着脱自在に取り付けられるようになっている。なお、スプリンクラヘッド10とシーリングプレート20の取付けは、シーリングプレート20にスプリンクラヘッド10を圧入させて取り付けたり、また、シーリングプレート20の上部に縦溝を複数設けてバネ片を形成して、そのバネ片を利用してスプリンクラヘッド10に取り付けるようにしてもよい。
【0016】
プレート部22の一部には開口24を設けて感熱体収容部25が形成される。感熱体収容部25は、前述の空間部内に設けられ、プレート部22の表面から天井板30側へ凹んだ凹部26から形成される。
感熱体収容部25には、スプリンクラヘッド10に使用される感熱体(半田)13と同じ感熱体13Cが収容される。このため、凹部26の内部の大きさは、半田13Cの外径とほぼ等しいか、それよりも小さく形成され、半田13Cを凹部26内に圧入して保持するようになっている。図2の拡大図に示すように、凹部26の開口24側には、爪部27が設けられるので、半田13Cがシーリングプレート20から外れて落下するのを防止できる。なお、半田13Cの凹部26への入れ方は、縦方向でも横方向でもどちらでも構わない。
【0017】
40は環境状態によって変化するラベルで、シーリングプレート20のプレート部22の表面に貼られている。このラベルは、例えば、温度や湿度が所定値以上になったときに、変色したり、又は腐食性の雰囲気に晒されて変色するものを使用する。
【0018】
次にスプリンクラヘッド10の検査方法について説明する。半年、又は1年毎に、検査員は、スプリンクラヘッド10に取り付けられたシーリングプレート20のラベル40の色を確認する。ラベル40の色が変色していなければ、このスプリンクラヘッド10を取り付けた現場は、腐食性ガスの発生する環境でもなく、温度や湿度も適切であったと判断できる。
【0019】
ここで、ラベル40の色が僅かにでも変色していれば、スプリンクラヘッド10が設置されている環境で腐食性のガスが発生したり、温度などがある上限値まだ達したと、容易に判断することができる。このような場合は、それだけスプリンクラヘッド10の半田13にも影響がでている可能性があるので、シーリングプレート20をスプリンクラヘッド10から取り外し、感熱体収容部25の半田13Cの状態を観察する。そして、この半田13Cを外観から観察して、腐食していると確認できれば、同じ環境下に設置されたスプリンクラヘッド10に使用されている半田13も腐食が進行しているものと考えられるので、このスプリンクラヘッド10は新しいものと交換する。このようにして、半田13の腐食状況を予測することができ、これによりスプリンクラヘッド10の水漏れなどの事故を未然に防止することができる。
【0020】
本実施形態においては、ラベルの変化を確認してから、感熱体の確認を行うようにしたが、これはラベルの変色を確認する方が、感熱体を確認するよりも検査が容易であるためであるが、ラベルの貼設を省略して、直接、感熱体を外観から確認するようにしてもよい。なお、ラベルの代わりに温度によって色が変化する塗料をシーリングプレートの表面に塗るようにしてもよく、この場合は、異常温度に達すると、シーリングプレート全体の色が変化するので、非常に異変に気が付きやすい。また、感熱体として半田を一例にあげたが、樹脂からなる感熱体を使用してもよい。
【0021】
また、感熱体収容部は、凹部から形成したが、プレート部に小さな開口を設けて、そこに感熱体を圧入保持させるようにしてもよい。また、感熱体収容部は、プレート部に設けたが、美観を考慮して、人目につかない筒状部の方に設けるようにしてもよい。
【0022】
実施形態2
シーリングプレートの感熱体収容部に半田を収容する代わりに、ICチップ(ICタグ)を埋め込むようにしてもよい。このICチップは、外部のデータ装置により、データをアウトプットとインプットを行うことができる。アウトプットするデータの内容としては、
基本的には、いままでスプリンクラヘッド自体のカバーに刻印されている内容で、型式名、呼称温度、製造年月日、散水半径、流量係数などがある。このような内容をICチップに製造時又は出荷の段階で入力しておくことで、スプリンクラヘッドのカバーが油などで汚れていても、簡単にその内容を読み込めることができるようになる。
【0023】
また、インプットするデータの内容としては、施工会社、施工者、サブコン会社、点検者名等であり、このように点検を行なったものをICチップで管理することで、点検レベルを見極めることができる。なお、これらのデータ内容は、点検時にはアウトプットされるものである。
【0024】
また、これ以外のインプット内容としては、過去の不具合履歴、雰囲気温度と湿度を入力しておくことで、簡易的な温度又は湿度計の機能を持たせて管理することが可能となる。例えば、そのスプリンクラヘッドが設置される現場での最大温度又は最小温度がわかるようにする。
【0025】
なお、次のようにして、スプリンクラヘッドの半田を外観から検査できるようにしてもよい。例えば、半田を収容するシリンダを透明であって、かつ耐熱性に優れた樹脂で形成し、シリンダ自体をスケルトン構造にする。この場合、金属の感熱板を直接半田に接触するようにして、受熱効率が低下しないようにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のシーリングプレートをスプリンクラヘッドに取り付けた状態を示す図面である。
【図2】シーリングプレートの一部拡大図である。
【図3】シーリングプレートの平面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 スプリンクラヘッド、 11 フランジ部、 12 雄ねじ部、
20 シーリングプレート、 21 筒状部、 22 プレート部、
23 雌ねじ部、 24 開口、 25 感熱体収容部、 26 凹部、
27 爪部、 30 天井板、 40 ラベル、 tt

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラヘッドに取り付けられ、該スプリンクラヘッドと天井板との隙間を隠すシーリングプレートであって、
前記シーリングプレートの一部に開口を設けて感熱体収容部を形成し、
該感熱体収容部に、前記スプリンクラヘッドに使用される感熱体と同じ感熱体を収容したことを特徴とするシーリングプレート。
【請求項2】
前記シーリングプレートの表面に、環境状態によって変化するラベルを貼ったことを特徴とする請求項1記載のシーリングプレート。
【請求項3】
前記感熱体収容部は、シーリングプレートの表面から天井側へ凹んだ凹部から形成され、該凹部の前記開口側に爪部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のシーリングプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−268166(P2007−268166A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100355(P2006−100355)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】