説明

シーリングポンプアップ装置

【課題】補修液ボトルのシール開封時に補修液ボトルのぐらつきを抑制するシーリングポンプアップ装置を得る。
【解決手段】液剤ユニット70へ開封装置60の挿入部62が挿入されるとき、少なくとも液剤ユニット70の注入ユニット20の外面に当たって液剤ユニット70をガイドするガイドリブ102〜105を設けており、該ガイドリブ102〜105に沿って、液剤ユニット70が案内され、挿入部62によって、補修液ボトル18の開口19を塞ぐアルミシール26が開封される。これによると、アルミシールが開封される時に、液剤ユニット70の外面には、ガイドリブ102〜105が接触しているため、液剤ユニット70のぐらつきを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンクした空気入りタイヤをシールするためのシーリング剤を空気入りタイヤ内へ注入した後、空気入りタイヤ内に圧縮空気を供給して空気入りタイヤの内圧を昇圧させるシーリングポンプアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気入りタイヤがパンクした際に、タイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修して指定圧までタイヤ内圧をポンプアップするシーリングポンプアップ装置が記載されている。
【0003】
この装置では、タイヤに送り込まれるシーリング剤を収容する補修液ボトルの開口側に設けられた口部をシーリングポンプアップ装置の筐体に設けられた装着部にねじ込むことで、該装着部を介して補修液ボトルを筐体に固定すると共に、補修液ボトルの口部に設けられた開口を塞ぐシールを開封して、補修液ボトル内のシーリング剤を流出可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−145076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなねじ込み式の場合、補修液ボトルの口部を装着部に完全にねじ込んだ状態で、開口のシールが開封されるようにする必要があるため、口部のねじ込み位置と開口のシールの開封位置との関係で、口部のねじ込み途中でシールが開封されてしまうおそれがある。
【0006】
このため、シールを開封する開封部材を突状に設け、該開封部材を補修液ボトルの口部へ嵌め込むタイプが考えられる。この場合、開封部材の外側にOリングなどのシール部材を装着し、補修液ボトルの口部の開口に設けられたシールが開封する前に、Oリングなどのシール部材によって、補修液ボトルの口部と開封部材の間をシールして、補修液ボトル内のシーリング剤が外部へ流出しないようにする。
【0007】
一般的に、補修液ボトルの口部は本体よりも小径とされており、開封部材はこの口部へ嵌め込まれるため口部よりも小径とされる。このため、補修液ボトルの口部へ開封部材を嵌め込む際、力点(補修液ボトルが把持された位置)と支点(シール部材の位置)とで径方向の位置がねじ込み式の場合よりも離れることとなり、口部へ開封部材を嵌め込む際の安定性があまりよくない。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮し、補修液ボトルのシール開封時に補修液ボトルのぐらつきを抑制するシーリングポンプアップ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、シーリングポンプアップ装置において、補修液を収容する補修液ボトルと、前記補修液ボトルの口部に設けられた開口を塞ぐシール部材と、前記補修液ボトルの口部に設けられ、前記シール部材が開封されると前記補修液ボトル内の補修液が流出する流出口が形成された注入ユニットと、前記注入ユニットへ挿入され、前記シール部材を開封すると共に、注入ユニットとの間をシールする開封部材と、前記注入ユニットへ前記開封部材が挿入されるとき、少なくとも注入ユニットの外面に当たって前記補修液ボトルをガイドするガイド部材と、前記開封部材に接続され、前記開封部材に形成された空気通路を通じて前記シール部材が開封された前記補修液ボトルに圧縮空気を供給する圧縮空気供給部材と、前記流出口に接続され、前記開口から前記注入ユニットへ流出した補修液、及び前記圧縮空気を該流出口を通じてタイヤへ導く流体供給配管と、を有している。
【0010】
請求項1に記載の発明では、補修液を収容する補修液ボトルの口部に設けられた開口を、シール部材で塞いでいる。また、補修液ボトルの口部には、注入ユニットを設けている。この注入ユニットには流出口が形成されており、シール部材が開封されると補修液ボトル内の補修液が流出する。また、開封部材は注入ユニットへ挿入されるが、このとき開封部材によってシール部材が開封されると共に、開封部材と注入ユニットとの間がシールされ、注入ユニットと開封部材の間で、補修液が漏れないようにする。
【0011】
一方、開封部材には圧縮空気供給部材が接続されており、開封部材に形成された空気通路を通じて、シール部材が開封された補修液ボトルに圧縮空気が供給される。このように、補修液ボトルに圧縮空気が供給されると、補修液ボトル内の補修液が、補修液ボトルの開口を通じて注入ユニットへ流出する。この注入ユニットの流出口には流体供給配管が接続されており、注入ユニットへ流出した補修液、及び圧縮空気が流出口を通じてタイヤへ導かれる。
【0012】
ここで、開封部材が注入ユニットへ挿入されるとき、少なくとも注入ユニットの外面に当たって補修液ボトルをガイドするガイド部材を設けており、開封部材が補修液ボトルの開口を塞ぐシール部材を開封する時に、少なくとも注入ユニット又は補修液ボトルの外面にガイド部材が接触して、補修液ボトルのぐらつきを抑制することができる。これによると、注入ユニットを介して開封部材へ無理な負荷が作用することを防止し、開封部材又は注入ユニットの変形や破断を抑制する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置において、前記開封部材が前記シール部材を開封する前に、該開封部材と注入ユニットの間がシールされる。
【0014】
例えば、開封部材と注入ユニットとの間がシールされる前に、開封部材がシール部材を開封してしまうと、注入ユニットと開封部材の間の隙間から補修液ボトル内の補修液が漏れてしまう。このため、請求項2に記載の発明では、開封部材がシール部材を開封する前に、該開封部材と注入ユニットの間をシールするようにして、補修液の漏れを確実に防止するようにしている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシーリングポンプアップ装置において、前記ガイド部材が、前記補修液ボトルの挿入方向に対して、前記開封部材よりも突出している。
【0016】
注入ユニットへ開封部材を挿入し、注入ユニットと開封部材の間がシールされる際に、注入ユニットと開封部材との間で摺動抵抗が作用し、補修液ボトルのぐらつき等が生じる場合がある。このため、少なくとも注入ユニットと開封部材との間がシールされるときに、補修液ボトルをガイドするガイド部材を設けることで、補修液ボトルのぐらつきを防止することができる。
【0017】
しかし、請求項3に記載の発明では、このガイド部材を補修液ボトルの挿入方向に対して、開封部材よりも突出させており、これにより、開封部材を注入ユニットへ挿入するときから、ガイド部材によって補修液ボトルがガイドされるようにしている。このため、開封部材を注入ユニットへ挿入するときから、開封部材に対する注入ユニットのぐらつきを抑え、注入ユニット又は開封部材へ必要以上の外力が作用しないようにすることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置において、前記ガイド部材が、前記開封部材よりも外側に設けられたリブである。
【0019】
請求項4に記載の発明では、開封部材よりも外側にリブを設け、該リブによって補修液ボトルをガイドする。これにより、力点(補修液ボトルが把持された位置)に対する支点は開封部材よりも外側に位置するリブとなる。つまり、支点が開封部材である場合と比較して力点との距離が近くなる分、安定感が増し、補修液ボトルのぐらつきが小さくなる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載のシーリングポンプアップ装置において、前記リブの内側にはテーパが形成されている。
請求項5に記載の発明では、リブの内側にテーパを形成することで、リブによってガイドされる注入ユニットとリブとの遊びを徐々に小さくしている。これにより、注入ユニットをガイドし易くしている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、補修液ボトルのシール開封時に補修液ボトルのぐらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係るシーリング装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るシーリング装置の使用状態を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るシーリング装置の要部を示す拡大斜視図である。
【図4】本実施の形態に係るシーリング装置の要部を示す拡大平面図であり、図5の4−4線矢視図である。
【図5】本実施の形態に係るシーリング装置の補修液ボトル、注入ユニットを開封装置へ挿入する前の状態を示す図3のA−A線断面図である。
【図6】本実施の形態に係るシーリング装置の補修液ボトル、注入ユニットを開封装置へ挿入した状態を示す図3のA−A線断面図である。
【図7】本実施の形態に係るシーリング装置の補修液ボトル、注入ユニットを開封装置へ挿入する前(実線)の状態から開封装置へ挿入される(仮想線)までの状態を示す図3のB−B線断面図であり、る。
【図8】本実施の形態に係るシーリング装置の補修液ボトル、注入ユニットを開封装置へ挿入している状態を示す図3のB−B線断面図である。
【図9】本実施の形態に係るシーリング装置の補修液ボトル、注入ユニットを開封装置へ挿入した状態を示す図3のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1実施形態に係るシーリングポンプアップ装置の一例について図1から図9に基づいて説明する。
【0024】
(全体構成)
図1及び図2に示されるように、シーリングポンプアップ装置10(以下、単に「シーリング装置」という。)は、自動車等の車両に装着される空気入りタイヤ100(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際、タイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤ100のパンク穴をシーリング剤(補修液)32により補修し、タイヤ100の内圧を指定圧まで再加圧(ポンプアップ)するための装置である。
【0025】
また、シーリング装置10は、箱状の筐体16と、該筐体16に収納され圧縮空気を生成するコンプレッサユニット(圧縮空気供給部材)12と、タイヤ100のパンク穴補修用のシーリング剤32を収容した補修液ボトル18と、補修液ボトル18を開封する開封装置60と、を備えている。
【0026】
(筐体)
図1に示されるように、筐体16の内部には、コンプレッサユニット12が収納されるコンプレッサ室74が設けられており、コンプレッサ室74の上方に配置される天井板80には、コンプレッサユニット12の電源スイッチ82が設けられている。
【0027】
また、筐体16内のコンプレッサ室74以外の領域は収納室76とされており、蓋78によって開閉可能とされている。収納室76には、コンプレッサユニット12に接続された空気ホース86が連結された開封装置60、コンプレッサユニット12に接続された電源ケーブル14、及びコンプレッサユニット12で生成された圧縮空気の圧力を測定する圧力ゲージ84等が収納されている。
【0028】
ここで、開封装置60は、収納室74と収納室76を区画する区画壁75、筐体16の底面から立設するガイドリブ(ガイド部材)102〜105(後述する)で形成された収納部106内に収容されている。
【0029】
なお、蓋78の裏面には、シーリング装置10の操作手順、及び使用時の注意事項が記載されたマニュアル(図示省略)が貼り付けられている。シーリング装置10を使用する際には蓋78を開くため、ユーザーがマニュアルを目視しやすいようになっている。
【0030】
(コンプレッサユニット)
図1に示されるように、コンプレッサユニット12は、図示はしないが、エアコンプレッサ、エアコンプレッサ用の駆動モータ、及び駆動モータの駆動回路等によって構成されている。また、コンプレッサユニット12は、収納室76に収納される電源ケーブル14と接続されており、この電源ケーブル14の先端部には、車両に設置されたシガレットライターのソケットに差し込み可能なプラグ15が設けられている。
【0031】
このプラグ15をシガレットライターのソケットに差込むことで、車両に搭載されたバッテリから駆動回路に電力が供給可能になり、前述した電源スイッチ82をオンにすると駆動回路に電力が供給されるようになっている。そして、エアコンプレッサで生成された圧縮空気は、コンプレッサユニット12の外部へ延出した空気ホース86を介して、開封装置60へ供給される。
【0032】
(補修液ボトル)
図1及び図5に示されるように、補修液ボトル18は、略直方体状を成しており、内部にはシーリング剤32が収容されている。このシーリング剤32は、シーリング装置10で修理すべきタイヤ100(図6参照)の種類、サイズ等に応じた規定量よりも多めに収容されている。
【0033】
補修液ボトル18の幅方向の両端側には、補修液ボトル18の長手方向(高さ方向)に沿って、後述するジョイントホース(流体供給配管)54が巻付けられている。また、補修液ボトル18の下端部には、ボトル本体18A部分よりも小径の円筒状の口部18Bが形成されており、口部18Bの内周面が開口19となって、補修液ボトル18からシーリング剤32が流出可能とされている。
【0034】
開口19には、膜状のアルミシール(シール部材)26が設けられており、これによって開口19が塞がれ、補修液ボトル18内が密閉状態となっている。また、口部18Bの外周面の中間部には、外側へ張出す環状の段差部24が形成されており、後述する注入ユニット20が当接可能とされている。
【0035】
(注入ユニット)
図5に示されるように、注入ユニット20は、上端側が開口した略有底円筒状に形成されたユニット本体部34と、このユニット本体部34の下端部から外側へ張り出す角板状の台座36(後述する)と、を備えている。
【0036】
補修液ボトル18の口部18Bは、注入ユニット20のユニット本体部34へ挿入可能とされており、口部18Bの段差部24にユニット本体部34の上端部を当接させた状態で、補修液ボトル18の口部18Bに注入ユニット20が固定される。このように、注入ユニット20が固定された補修液ボトル18を、以下、液剤ユニット70という。
【0037】
ユニット本体部34の軸芯側には、略円筒状の内周筒部42がユニット本体部34の同心円上に形成されている。この内周筒部42の内部は、軸芯に沿って注入ユニット20の下端面と内周筒部42の上端面との間を貫通する断面円形の突破具挿入穴44となっている。
【0038】
内周筒部42の上端側の外周面とユニット本体部34の内周面の間には、環状の区画板35が設けられており、口部18Bにユニット本体部34が固定されると、ユニット本体部34の内周面と区画板35とアルミシール26との間で加圧給液室40が形成される。 この加圧給液室40は、開封装置60によりアルミシール26が破られる(開封される)と、補修液ボトル18の内部と連通する。つまり、アルミシール26が破られて開口19が開放されると、この開口19から流れ出したシーリング剤32が加圧給液室40に流れ込むようになっている。
【0039】
また、ユニット本体部34の外周面からは、加圧給液室40と連通する円筒状の気液供給管(流出口)50が突出している。この気液供給管50の先端部にはニップル52が接続され、該ニップル52を介してジョイントホース54の一端部が接続されている。
【0040】
ジョイントホース54の他端部には、図2に示されるように、タイヤ100のタイヤバルブ(図示省略)に接続可能なバルブアダプタ56が設けられている。前述したように、ジョイントホース54は、使用されていない状態では、補修液ボトル18の表面に巻付けられているが、使用時には、補修液ボトル18の表面から取り外す。
【0041】
(開封装置)
図5及び図6に示されるように、開封装置60は、突破具挿入穴44に挿入される棒状の挿入部62と、挿入部62の基端部に形成された略直方体状(図3参照)のベース部66を備えており、例えば、スクリュー88等によって、ベース部66が筐体16の底面に固定されるようになっている。ベース部66の側面には、前述した空気ホース86の他端部を接続可能な接続管90が設けられており、この接続管90に空気ホース86が接続されている。
【0042】
また、開封装置60には、接続管90からベース部66を通り、挿入部62を貫通する空気通路92が形成されている。挿入部62の先端部64は、アルミシール26を突き破りやすいような形状となっており(本実施形態では、略円錐形状)、挿入部62の外周面には、嵌挿溝67が形成され、この嵌挿溝67にはOリング68が嵌挿されている。
【0043】
一方、ベース部66の両端付近には、ベース部66の上面から垂直に立ち上がる弾性変形可能な第1支柱94が設けられている。この第1支柱94の先端側で挿入部62側の側面には、三角形の第1爪94Aが一体的に形成されている。
【0044】
また、第1支柱94よりも挿入部62側には、ベース部66の上面から垂直に立ち上がり、且つ第1支柱94よりも高さが低い弾性変形可能な第2支柱96が設けられている。この第2支柱96の先端側で第1支柱94側の側面には、三角形の第2爪96Aが一体的に形成されている。
【0045】
第1支柱94の配置間隔は、液剤ユニット70の下端部(補修液ボトル18の反対側)に設けられた台座36の幅方向の長さよりも広く、且つ第1爪94A間は、台座36の幅方向の長さよりも狭くなっている。このため、第1爪94Aが台座36の縁部に引っ掛かるようになっている。
【0046】
具体的には、突破具挿入穴44に開封装置60の挿入部62を挿入すると、第1爪94Aが台座36の幅方向の縁部を越える際に外側に弾性変形して第1爪94A間の間隔だけ広くなり、第1爪94Aが台座36の幅方向の縁部を通り抜けると両端の第1支柱94が弾性復帰して元にもどる。
【0047】
これにより、第1爪96Aが台座36の幅方向の縁部に引っ掛かるようになる。なお、第1爪96Aが台座36の幅方向の縁部を通り抜けた位置では、挿入部62の先端はアルミシール26に到達していない。つまり、アルミシール26は突き破られない。
【0048】
一方、注入ユニット20の突破具挿入穴44の外側には、台座36から区画板35に渡って凹設された環状凹部38が設けられており、台座36の幅方向の上方には、この環状凹部38からユニット本体部34の外周面へ向かって貫通する貫通孔39が形成されている。
【0049】
ベース部66の第2支柱96は、注入ユニット20に設けられた環状凹部38に挿入可能とされ、環状凹部38に第2支柱96を挿入すると、第2爪96Aが貫通孔39の縁部に係止される。このように、第2爪96Aが環状凹部38を通り抜けた位置では、挿入部62の先端部64によってアルミシール26が突き破られて先端部64が補修液ボトル18内に侵入する。
【0050】
(シーリングポンプアップ装置の作用)
次に、本実施形態のシーリング装置10を用いてパンクしたタイヤ100を修理する作業手順を説明する。
図2に示されるように、まず、タイヤ100にパンクが発生した際には、ユーザーは、筐体16を車両の保管スペースから取り出し、電源スイッチ82や圧力ゲージ(図示省略)が上を向くように路面等に筐体16を置いて蓋78を開けて収納室76を開放する。
【0051】
このとき開いた蓋78の裏面にはマニュアルが貼り付けられているため、ユーザーはこのマニュアルを逐次確認しながら作業を行うことができる。
【0052】
次に、ユーザーは筐体16と別に保管された液剤ユニット70を車両の保管スペースから取り出す。液剤ユニット70の注入ユニット20の気液供給管50には、予めジョイントホース54が接続されており、補修液ボトル18の表面に巻付けられている。このジョイントホース54を補修液ボトル18の表面から取り外し、ジョイントホース54のバルブアダプタ56をタイヤ100のタイヤバルブ(図示省略)に接続する。
【0053】
さらに、ユーザーは収納室76に収納されている電源ケーブル14を収納室76から取り出し、プラグ15を車両に設置されたシガレットライターのソケット(図示省略)に差し込み、車両のエンジンをかける。これにより、車両のバッテリ(DC12V)からコンプレッサユニット12の駆動回路へ電力が供給可能となる。
【0054】
次に、図5に示されるように、注入ユニット20を下に向かせて、注入ユニット20を開封装置60に装着する(詳細については後述する)。これにより、図6に示されるように、挿入部62全体が突破具挿入穴44に挿入され、アルミシール26が先端部64によって突き破られる(開封される)。
【0055】
図5に示されるように、注入ユニット20を開封装置60へ装着しようとすると、第1爪94Aが台座36の幅方向の縁部を越える際に、外側に弾性変形して第1爪94A間の間隔だけ広くなり、第1爪94Aが台座36の幅方向の縁部を通り抜けると両第1支柱が元に戻る。これにより、第1爪96Aが台座36の幅方向の縁部に引っ掛かる。
【0056】
さらに、第2爪96Aは、注入ユニット20の環状凹部38に挿入されて環状凹部38の縁部に引っ掛かり、挿入部62の先端部64によってアルミシール26が突き破られ、先端部64が補修液ボトル18内に侵入した状態が保持される。
【0057】
このとき、挿入部62に設けられたOリング68は、突破具挿入穴44の内面に接触して突破具挿入穴44をシールする。これにより、突破具挿入穴44から外部に流体が漏れ出すのが抑制される。
【0058】
アルミシール26が突き破られると、アルミシール26に開けられた孔28を通して補修液ボトル18内のシーリング剤32が加圧給液室40へ流れ出す。そして、図1に示される電源スイッチ82をオンにし、コンプレッサユニット12を作動させると、コンプレッサユニット12により発生した圧縮空気は、空気通路92を通して補修液ボトル18内に供給される。圧縮空気が補修液ボトル18内に供給されると、図6に示されるように、この圧縮空気が補修液ボトル18内で上方へ浮上し、補修液ボトル18内のシーリング剤32の上に空間(空気層G)を形成する。
【0059】
この空気層Gからの空気圧により加圧されたシーリング剤32が、アルミシール26に開けられた孔28を通して加圧給液室40へ押し出される。そして、加圧給液室40のシーリング剤32が、図2に示されるジョイントホース54を通って空気入りタイヤ100内へ供給される。
【0060】
その後、加圧給液室40及びジョイントホース54から全てのシーリング剤32がタイヤ100へ供給されると、圧縮空気が補修液ボトル18、加圧給液室40、そしてジョイントホース54を介してタイヤ100内へ供給される。
【0061】
次に、ユーザーは、圧力ゲージ84によりタイヤ100の内圧が指定圧になったことを確認すると、コンプレッサユニット12を停止し、バルブアダプタ56をタイヤバルブ(図示省略)から取り外す。
【0062】
そして、ユーザーは、タイヤ100の膨張完了後一定時間内に、シーリング剤32が注入されたタイヤ100を用いて一定距離(例えば、10km)に亘って予備走行する。これにより、タイヤ100内部にシーリング剤32が均一に拡散し、シーリング剤32がパンク穴に充填されてパンク穴が閉塞される。
【0063】
予備走行完了後に、ユーザーは、タイヤ100の内圧を再測定し、必要に応じて再びジョイントホース54のバルブアダプタ56をタイヤバルブに接続し、コンプレッサユニット12を再作動させてタイヤ100を規定の内圧まで加圧する。これにより、タイヤ100のパンク修理が完了し、このタイヤ100を用いて一定の距離範囲内で一定速度以下(例えば、80Km/h以下)での走行が可能になる。
【0064】
(要部構成)
次に、本実施形態に係るシーリングポンプアップ装置の要部構成について説明する。
図3に示されるように、開封装置60は、筐体16の底壁から立設するガイドリブ102〜105で囲まれた収納部106内に収容されている。
【0065】
ここで、ガイドリブ102〜105は、図4に示されるように、注入ユニット20の台座36の外周面が当接可能となっており、補修液ボトル18の挿入方向に対して開封装置60の挿入部62よりも突出している。ガイドリブ102、103は、注入ユニット20の形状に合わせて、収納部106内に配置される開封装置60の挿入部62を中心とする同心円上に配置されるように、円弧状を成している。一方、ガイドリブ104、105は、筐体16の側壁16Aに対して直交した状態で側壁16Aから突出している。
【0066】
また、ガイドリブ102、103の両側部からは、ガイドリブ102、103の円弧面102A、103Aの外側へ向かって張出す補強片108、110が筐体16の底面と一体に設けられており、ガイドリブ102、104を補強している。補強片108は、それぞれ筐体16の区画壁75や区画壁75と対面する側壁16Bと繋がっており、ガイドリブ102、103をさらに補強している。
【0067】
一方、ガイドリブ104には、筐体16の側壁16Bに対して直交した状態で側壁16Bから突出した二つの補強リブ107がそれぞれ繋がっており、ガイドリブ105には、筐体16の側壁16Aに対して直交した状態で側壁16Aから突出した補強リブ109に設けられ側壁16Aと平行に延出する二つの枝片109Aがそれぞれ繋がっている。
これらの補強片108、110や補強リブ107、109がガイドリブ102〜105と繋がることで、ガイドリブ102〜105がさらに補強されている。
【0068】
開封装置60の挿入部62を補修液ボトル18の注入ユニット20へ挿入させる際、注入ユニット20はガイドリブ102〜105によってガイドされるが、ガイドリブ102〜105を補強することで、ガイドリブ102〜105の倒れ込み等を防止する。
【0069】
また、図5に示されるように、ガイドリブ102〜105の先端面の内側(収納部106側)には、ガイドリブ102〜105の高さ方向(立設方向)の上方から下方へ向かって傾斜するテーパ118がそれぞれ設けられている。ガイドリブ102〜105の先端面の内側に、このようなテーパ118を設けることで、注入ユニット20を案内しやすくしている。
【0070】
一方、挿入部62の長さは、突破具挿入穴44の下端からアルミシール26までの寸法に対して長くなっている。これにより、開封装置60の挿入部62の全体が突破具挿入穴44内へ挿入されると、挿入部62の先端部64がアルミシール26を突き破り、アルミシール26よりも上側に配置されることとなる。
【0071】
また、挿入部62の先端部の位置からOリング68までの距離(H)は、液剤ユニット70の下端部に設けられた台座36の下面からアルミシール26までの距離(H)よりも短くなるようにしている。つまり、挿入部62の先端部64がアルミシール26を突き破る前に、挿入部62と突破具挿入穴44の間をOリング68でシールするようにして、シーリング剤32の漏れを確実に防止するようにしている。
【0072】
ところで、図1に示されるように、液剤ユニット70の下端部に設けられた台座36は、前述したように、角板状を成しているが、注入ユニット20へ開封装置60の挿入部62を挿入させる際に、台座36のガイドリブ102、103側に相当する箇所では、注入ユニット20の外周面と面一と成っており、注入ユニット20の外周面に沿って円弧部36A、36Bがそれぞれ形成されている(図4参照)。
【0073】
また、台座36の円弧部36A、36Bの反対側には、矩形状の切欠き112、114が形成されており、筐体16の側壁16Aから突出して設けられた補強リブ115、116が該切欠き112、114内に挿入可能とされている。
【0074】
(作用並びに効果)
次に、上記の構成による作用並びに効果について説明する。
図7及び図8に示されるように、開封装置60の挿入部62が液剤ユニット70へ挿入されるとき、少なくとも液剤ユニット70の注入ユニット20の外面に当たって液剤ユニット70をガイドするガイドリブ102〜105を設けており、該ガイドリブ102〜105に沿って、液剤ユニット70が案内され(図7で示される実線から仮想線)、挿入部62によって、補修液ボトル18の開口19を塞ぐアルミシール26が開封される。
【0075】
これによると、図9に示されるように、アルミシール26が開封される時に、液剤ユニット70の外面には、ガイドリブ102〜105が接触しているため、液剤ユニット70のぐらつきを抑制することができる。このため、注入ユニット20を介して挿入部62へ無理な負荷が作用することを防止し、挿入部62の変形や破断が抑制される。
【0076】
また、図5に示されるように、挿入部62の先端部の位置からOリング68までの距離(H)を、液剤ユニット70の下端部に設けられた台座36の下面からアルミシール26までの距離(H)よりも短くなるようにすることで、挿入部62の先端部64がアルミシール26を突き破る前に、挿入部62と突破具挿入穴44の間をOリング68でシールするようにしている。
【0077】
例えば、挿入部62の外周面と注入ユニット20の突破具挿入穴44の内周面との間がOリング68でシールされる前に、挿入部62の先端部64がアルミシール26を突き破ってしまうと、挿入部62と突破具挿入穴44の間の隙間から補修液ボトル18内のシーリング剤32が漏れてしまう。このため、挿入部62の先端部64がアルミシール26を突き破る前に、挿入部62と突破具挿入穴44の間をOリング68でシールすることで、シーリング剤32の漏れを防止することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態では、ガイドリブ102〜105によって液剤ユニット70がガイドされ、注入ユニット20と挿入部62の間がOリング68によってシールされた後、アルミシール26が開封されるという順番を経る。これによると、注入ユニット20へ挿入部62を挿入させるときから、ガイドリブ102〜105によって液剤ユニット70がガイドされるため、注入ユニット20へ挿入部62が挿入されるときに、注入ユニット20又は挿入部62へ必要以上の外力が作用しない。
【0079】
また、補修液ボトル18の挿入方向に対して、ガイドリブ102〜105を挿入部62よりも突出させることで、液剤ユニット70へ挿入部62が挿入されるとき、液剤ユニット70の外面にガイドリブ102〜105が接触することとなり、力点(補修液ボトル18のボトル本体18Aが把持された位置)に対する支点は挿入部62よりも外側に位置するガイドリブ102〜105となる。つまり、支点が挿入部62である場合と比較して力点との距離が近くなる分、安定感が増し、液剤ユニット70のぐらつきが小さくなる。
【0080】
液剤ユニット70へ挿入部62が挿入されるときのぐらつきを考慮すると、挿入部62の外周面に嵌着するOリング68を二つ設けた方が良いが、本実施形態では、挿入部62の液剤ユニット70への挿入時において、挿入部62に対する液剤ユニット70のぐらつきが少なくなるため、Oリング68を一つにすることができる。これにより、Oリング68を二つ設けた場合と比較して、部品点数を削減できると共に、液剤ユニット70の挿入力を低下させ、部品点数の削減などが得られる。
【0081】
また、上記のように、ガイドリブ102〜105を設け、挿入部62の液剤ユニット70への挿入時に、液剤ユニット70をガイドリブ102〜105にガイドさせることで、液剤ユニット70のぐらつきを抑制するものであるが、筐体16内にガイドリブ102〜105を形成することで筐体16を補強して変形等の防止を図ることができる。
【0082】
一方、注入ユニット20の下端部に設けられた台座36に切欠き112、114を設け、補強リブ115、116が該切欠き112、114内に挿入可能となるようにすることで、補強リブ115、116との干渉を回避すると共に、補強リブ115、116の端面に係合させて、補強リブ115、116及び切欠き112、114を介して、注入ユニット20の収納部106内への挿入向き及び収納部106内での注入ユニット20の位置決め(回り止めも含む)を行うことができる。
【0083】
これにより、開封装置60の挿入部62がアルミシール26を破ったときに、ガイドリブ102、103及び台座36を介して補修液ボトル18の回転が規制される。このため、補修液ボトル18が回転することでOリング68が摺動してシーリング剤32が突破具挿入穴44から漏れてしまうのを防止することができる。
【0084】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態では、4つのガイドリブ102〜105を設けたが、液剤ユニット70をガイドすることができれば良いため、必ずしもリブである必要はなく、また、開封装置60の挿入部62も液剤ユニット70をガイドするという機能を有するため、ガイドリブは、少なくとも2箇所あれば良い。
【0085】
またさらに、ガイドリブは環状であっても良く、但し、この場合は、接続管90や気液供給管50が接続される箇所では、接続管90や気液供給管50との干渉を回避するため、切欠きなどを形成して他の箇所よりも高さを低くする必要がある。
【0086】
また、ガイドリブ102、103を円弧状に形成し、注入ユニット20の外周面が面接触可能となるようにしたが、注入ユニット20の外周面が接触可能となれば良いため必ずしも面接触である必要はなく、線接触であっても良い。
【0087】
さらに、ここでは、補修液ボトル18の挿入方向に対して、ガイドリブ102〜105を挿入部62よりも突出させるようにしたが、少なくとも注入ユニット20の突破具挿入穴44と挿入部62との間をOリング68によってシールする際に、該Oリング68の摺動抵抗による液剤ユニット70のぐらつきを抑制することができれば良い。
【0088】
このため、突破具挿入穴44と挿入部62との間をOリング68でシールする際に、注入ユニット20の外周面がガイドリブ102〜105に接触していれば良い。したがって、必ずしもガイドリブ102〜105を補修液ボトル18の挿入方向に対して挿入部62よりも突出させる必要はない。
【0089】
また、ガイドリブ102〜105の先端面の内側にテーパ118を設け、注入ユニット20を案内しやすくしているが、収納部106側に位置する、ガイドリブ102、103の側端面やガイドリブ104、105の内面に、ガイドリブ102〜105の高さ方向の上方から下方へ向かって傾斜するテーパ(図示省略)を形成しても良い。これにより、ガイドリブ102〜105によってガイドされる注入ユニット20とガイドリブ102、103の側端面やガイドリブ104、105の内面との遊びを徐々に小さくするようにして注入ユニット20を案内しやすくしても良い。
【0090】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0091】
10 シーリング装置(シーリングポンプアップ装置)
12 コンプレッサユニット(圧縮空気供給部材)
16 筐体
18 補修液ボトル
18B 口部
19 開口
20 注入ユニット
26 アルミシール(シール部材)
32 シーリング剤(補修液)
54 ジョイントホース(流体供給配管)
60 開封装置(開封部材)
70 液剤ユニット(補修液ボトル)
92 空気通路
100 タイヤ
102 ガイドリブ(ガイド部材)
103 ガイドリブ(ガイド部材)
104 ガイドリブ(ガイド部材)
105 ガイドリブ(ガイド部材)
118 テーパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補修液を収容する補修液ボトルと、
前記補修液ボトルの口部に設けられた開口を塞ぐシール部材と、
前記補修液ボトルの口部に設けられ、前記シール部材が開封されると前記補修液ボトル内の補修液が流出する流出口が形成された注入ユニットと、
前記注入ユニットへ挿入され、前記シール部材を開封すると共に、注入ユニットとの間をシールする開封部材と、
前記注入ユニットへ前記開封部材が挿入されるとき、少なくとも注入ユニットの外面に当たって前記補修液ボトルをガイドするガイド部材と、
前記開封部材に接続され、前記開封部材に形成された空気通路を通じて前記シール部材が開封された前記補修液ボトルに圧縮空気を供給する圧縮空気供給部材と、
前記流出口に接続され、前記開口から前記注入ユニットへ流出した補修液、及び前記圧縮空気を該流出口を通じてタイヤへ導く流体供給配管と、
を有するシーリングポンプアップ装置。
【請求項2】
前記開封部材が前記シール部材を開封する前に、該開封部材と前記注入ユニットの間がシールされる請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置。
【請求項3】
前記ガイド部材が、前記補修液ボトルの挿入方向に対して、前記開封部材よりも突出している請求項1又は2に記載のシーリングポンプアップ装置。
【請求項4】
前記ガイド部材が、前記開封部材よりも外側に設けられたリブである請求項1〜3の何れか1項に記載のシーリングポンプアップ装置。
【請求項5】
前記リブの内側にはテーパが形成されている請求項4に記載のシーリングポンプアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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