シーリング組成物、シーリングシート、その製造方法、複層ガラスおよび太陽電池パネル
【課題】封止性に優れるシーリング組成物、それを所望の厚みに形成することのできるシーリングシートの製造方法、それにより得られるシーリングシート、それによって、各種産業製品、とりわけ、端部を封止した複層ガラスおよび太陽電池パネルを提供すること。
【解決手段】ゴム成分と、炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンとを含有するシーリング組成物であり、シーリング組成物から形成されるシーリングシート1を60℃でステンレス板32に貼着した後、ステンレス板32に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力が、2N/10mm以上、10N/10mm以下であるシーリング組成物からなるシーリングシート1を、複層ガラス3および/または太陽電池パネル4の周端部5の封止に用いる。
【解決手段】ゴム成分と、炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンとを含有するシーリング組成物であり、シーリング組成物から形成されるシーリングシート1を60℃でステンレス板32に貼着した後、ステンレス板32に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力が、2N/10mm以上、10N/10mm以下であるシーリング組成物からなるシーリングシート1を、複層ガラス3および/または太陽電池パネル4の周端部5の封止に用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング組成物、シーリングシート、その製造方法、複層ガラスおよび太陽電池パネル、詳しくは、各種産業製品の封止に用いられるシーリングシート、それを形成するためのシーリング組成物、シーリングシートの製造方法、端部がシーリングシートにより封止される複層ガラスおよび太陽電池パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業製品には、その内部に、水または湿気などの流体が浸入することを防止すべく、シール材を端部に設けることが広く知られている。
【0003】
そのようなシール材として、例えば、粘度平均分子量が5万〜9万のポリイソブチレン100質量部と、粘着付与剤と3〜20質量部と、無機充填剤45〜70質量部とを含有するシーリング材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、シーリング材を押出機や複数のロール(カレンダーロール)によってシートに形成し、その後、ソーラーパネルに適用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−117758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、ソーラーパネルのシール材には、より高い封止性が求められるところ、特許文献1のシーリング材からなるシートには、ソーラーパネルにおける密着性が不十分であるため、上記した封止性を満足することができないという不具合がある。
【0006】
一方、生産性を向上させる観点から、シール材をカレンダー(カレンダー成形装置)によってシートに形成したい要望がある。
【0007】
例えば、図4に示すように、カレンダー20は、ニップ部分21が形成されるように隣接する複数のニップ形成ロール22と、最下流側のニップ形成ロール22の下流側に間隔を隔てて配置される巻取ロール23とを備えている。カレンダー20では、シール材15が、複数のニップ形成ロール22によって圧延されながら各ニップ部分21を通過し、その後、巻取ロール23によって巻き取られる。詳しくは、シール材1は、最下流側のニップ形成ロール22における下端部28を通過した後には、最下流側のニップ形成ロール22の表面(周面)から剥離されながら、巻取ロール23に巻き取られる(仮想線参照)。
【0008】
しかしながら、従来のシール材15は、最下流側のニップ形成ロール22から容易に剥離されず、図4の実線で示すように、最下流側のニップ形成ロール22の下端部28から回転方向下流側部分(つまり、巻取ロール23に対する対向面)29においても付着する場合、つまり、最下流側のニップ形成ロール22に部分的に巻き取られる場合がある。
【0009】
そのような場合には、複数のニップ形成ロール22によって圧延されたシーリングシート1には、最下流側のニップ形成ロール22の対向面29において余剰の応力が作用するので、シーリングシート1を所望の厚みに精度よく設定することができないという不具合がある。
【0010】
本発明の目的は、封止性に優れるシーリング組成物、それを所望の厚みに形成することのできるシーリングシートの製造方法、それにより得られるシーリングシート、それによって、各種産業製品、とりわけ、端部を封止した複層ガラスおよび太陽電池パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のシーリング組成物は、ゴム成分と、炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンとを含有するシーリング組成物であり、前記シーリング組成物から形成されるシーリングシートを60℃でステンレス板に貼着した後、前記ステンレス板に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力が、2N/10mm以上、10N/10mm以下であることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のシーリング組成物は、粘着付与剤をさらに含有し、前記粘着付与剤が、軟化点が90〜140℃のクマロン系樹脂を含有し、前記粘着付与剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好適である。
【0013】
また、本発明のシーリング組成物では、前記ゴム成分が、ブチルゴムを含有することが好適である。
【0014】
また、本発明のシーリング組成物では、前記ゴム成分が、ブチルゴムおよび粘度平均分子量30万以上の高分子量ポリイソブチレンを含有することが好適である。
【0015】
また、本発明のシーリング組成物は、軟化剤をさらに含有し、前記軟化剤が、粘度平均分子量1万以上30万未満の低分子量ポリイソブチレンを含有し、前記軟化剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1〜30質量部であることが好適である。
【0016】
また、本発明のシーリングシートは、上記したシーリング組成物からカレンダーにより形成されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明のシーリングシートは、複層ガラスの端部の封止に用いられることが好適である。
【0018】
また、本発明のシーリングシートは、太陽電池パネルの端部の封止に用いられることが好適である。
【0019】
また、本発明のシーリングシートの製造方法は、上記したシーリング組成物をカレンダーにより形成する工程を備えることを特徴としている。
【0020】
また、本発明のシーリングシートの製造方法では、前記カレンダーは、ニップ部分が形成されるように隣接する複数のニップ形成ロールと、前記ニップ形成ロールの前記シーリングシートの搬送方向下流側に間隔を隔てて配置される巻取ロールとを備えることが好適である。
【0021】
また、本発明の複層ガラスは、厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層と、2枚の前記ガラス層の間に設けられ、前記ガラス層の端部の内側に配置される中間層と、2枚の前記ガラス層の端部の間に、前記中間層を封止するように充填される上記したシーリングシートとを備えることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の太陽電池パネルは、ガラス層と、前記ガラス層と厚み方向に間隔を隔てて配置される支持層と、前記ガラス層および前記支持層の間に設けられ、前記ガラス層および前記支持層の端部の内側に配置される太陽電池素子およびそれを封止する封止樹脂層と、前記ガラス層および前記支持層の端部の間に、前記封止樹脂層を封止するように充填される上記したシーリングシートとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシーリング組成物から形成されるシーリングシートを60℃でステンレス板に貼着した後、ステンレス板に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力は、2N/10mm以上であるので、本発明のシーリング組成物は、封止対象に対する密着性に優れている。そのため、本発明のシーリングシートは、封止対象に良好に密着して、封止対象に優れた封止性を付与することができる。
【0024】
一方、シーリングシートのステンレス板に対する90度剥離接着力は、10N/10mm以下である。そのため、本発明のシーリング組成物からシーリングシートをカレンダーにより形成するシーリングシートの製造方法では、シーリングシートが、ニップ形成ロールに巻き取られることを有効に防止して、ニップ形成ロールから巻取ロールに円滑に搬送させることができる。その結果、本発明のシーリングシートを、所望の厚みで、優れた生産性で製造することができる。
【0025】
従って、本発明のシーリングシートを複層ガラスおよび太陽電池パネルに設けることにより、本発明の複層ガラスおよび太陽電池パネルの性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【0026】
その結果、複層ガラスおよび太陽電池パネルの性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明のシーリング組成物からなる本発明のシーリングシートの一実施形態の断面図を示す。
【図2】図2は、90度剥離接着力試験において、試験片をステンレス板に貼着する方法を説明する工程図であって、(a)は、シーリングシートを裏打ち材で裏打ちする工程、(b)は、ステンレス板に試験片を貼着する工程を示す。
【図3】図3は、本発明のシーリングシートを製造するためのカレンダーの一実施形態の概略構成図を示す。
【図4】図4は、カレンダーの概略構成図であって、シーリングシートが第4カレンダーロールに部分的に巻き取られる態様(比較例)を示す。
【図5】図5は、本発明の複層ガラスの一実施形態(シーリングシートが4枚からなる態様)であって、(a)は、断面図、(b)は、平面図、(c)は、一部切欠断面斜視図を示す。
【図6】図6は、図5(a)に示す複層ガラスの製造方法を説明する工程図であって、(a)は、上側ガラス層を用意する工程、(b)は、封止樹脂層を配置する工程、(c)は、シーリングシートを配置する工程、(d)は、下側ガラス層を配置する工程を示す。
【図7】図7は、太陽電池モジュール(シーリングシートが1枚からなる態様)の平面図を示す。
【図8】図8は、本発明の太陽電池パネルの一実施形態であって、(a)は、断面図、(b)は、平面図、(c)は、一部切欠断面斜視図を示す。
【図9】図9は、図8(a)に示す太陽電池パネルの製造方法を説明する工程図であって、(a)は、上側ガラス層を用意する工程、(b)は、太陽電池素子を配置する工程、(c)は、封止樹脂層を配置する工程、(d)は、シーリングシートを配置する工程、(e)は、下側ガラス層を配置する工程を示す。
【図10】図10は、図8(a)に示す太陽電池パネルを備えるフレームレス太陽電池モジュール(第2シーリングシートが設けられたフレームレス太陽電池モジュール)の一部拡大断面図を示す。
【図11】図11は、図8(a)に示す太陽電池パネルを備える太陽電池モジュール(フレームが設けられた太陽電池モジュール)の説明図であって、(a)は、一部拡大断面図、(b)は、一部断面斜視図を示す。
【図12】図12は、ラミネート性(封止性)の評価に用いられる評価用複層ガラスであり、(a)は、断面図、(b)は、平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のシーリング組成物は、各種産業製品の封止に用いられ、ゴム成分と、特定のポリオレフィン(後述するポリイソブチレンを除く)とを含有している。
【0029】
ゴム成分は、シーリング組成物から形成されるシーリングシート1(後述、図1参照)に弾性を付与するために含有される。ゴム成分としては、例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ビニルアルキルエーテルゴム、ポリビニルアルコールゴム、ポリビニルピロリドンゴム、ポリアクリルアミドゴム、セルロースゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、ブチルゴム、高分子量ポリイソブチレンなどが挙げられる。ゴム成分として、好ましくは、ブチルゴム、高分子量ポリイソブチレンが挙げられる。
【0030】
これらのゴム成分は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、ブチルゴムと高分子量ポリイソブチレンとの併用、または、ブチルゴムの単独使用が挙げられる。
【0031】
ブチルゴムは、イソブテン(イソブチレン)および少量のイソプレンの共重合体(イソブチレン・イソプレンゴム)であり、封止性が高いゴム弾性体である。
【0032】
ブチルゴムの不飽和度は、例えば、0.6〜2.5モル%、好ましくは、0.7〜2.0モル%である。ブチルゴムの不飽和度は、ヨウ素吸着法により測定される。
【0033】
また、ブチルゴムのムーニー粘度は、例えば、20〜70(ML1+8、125℃)、好ましくは、30〜60(ML1+8、125℃)である。
【0034】
ブチルゴムは、その粘度平均分子量が、例えば、30万〜70万、好ましくは、30万〜50万である。
【0035】
粘度平均分子量は、JIS K 7252 01(2008年)に準拠して、標準ポリスチレンを用いて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される。なお、後述の粘度平均分子量についても同様である。
【0036】
高分子量ポリイソブチレンは、イソブチレンの高分子量重合体であり、例えば、粘度平均分子量が30万以上のポリイソブチレンである。高分子量ポリイソブチレンをブチルゴムと併用することにより、ブチルゴムの高温における流れ性を向上(改善)することができ、優れた封止性を確保して、温度特性を向上させることができる。
【0037】
高分子量ポリイソブチレンは、その粘度平均分子量が、好ましくは、50万〜300万、さらに好ましくは、70〜200万、とりわけ好ましくは、90万〜150万である。
【0038】
高分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量が上記した範囲に満たないと、後述する複層ガラス3(図5参照)または太陽電池パネル4(図8参照)の組付時に、液だれを生じる場合がある。一方、高分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量が上記した範囲を超えると、形状追従性が低下する場合がある。
【0039】
ブチルゴムおよび高分子量ポリイソブチレンの配合割合は、それらの質量基準で、例えば、9/1〜1/6、好ましくは、4/1〜1/3である。
【0040】
ゴム成分の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、40〜90質量部、好ましくは、50〜80質量部である。ゴム成分の配合割合が上記した範囲内にあれば、広い温度領域におけるゴム弾性を維持することにより、封止性が向上する利点がある。
【0041】
特定のポリオレフィンは、炭素数2〜3(2および/または3)のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンであり、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはエチレン・プロピレン共重合体が挙げられる。特定のポリオレフィンをシーリング組成物に配合することにより、特定のポリオレフィンの軟化点の温度領域までは補強性を付与することができる。
【0042】
ポリエチレンとしては、例えば、線状低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン、例えば、中密度ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレンなどが挙げられる。
【0043】
ポリプロピレンとしては、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンなどが挙げられる。
【0044】
エチレン・プロピレン共重合体としては、例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0045】
また、特定のポリオレフィンは、例えば、結晶性ポリオレフィン(具体的には、結晶性ポリエチレンなど)を含んでいる。
【0046】
また、特定のポリオレフィンの軟化点(環球法)は、例えば、100〜150℃、好ましくは、110〜140℃である。
【0047】
特定のポリオレフィンとして、好ましくは、ポリエチレン、さらに好ましくは、結晶性ポリエチレンが挙げられる。
【0048】
これらの特定のポリオレフィンは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0049】
特定のポリオレフィンの配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、10〜60質量部、好ましくは、20〜50質量部である。特定のポリオレフィンの配合割合が上記した範囲内にあれば、常温におけるシーリングシート1(図1参照)の補強性を十分に確保することができる。
【0050】
また、シーリング組成物には、例えば、粘着付与剤、軟化剤をさらに配合することができる。
【0051】
粘着付与剤は、シーリングシート1(図1参照)の封止性を向上させるために、シーリング組成物に含有される。粘着付与剤としては、例えば、石油系樹脂、例えば、C5−炭化水素系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂などの炭化水素系樹脂が挙げられる。粘着付与剤としては、好ましくは、炭化水素系樹脂、さらに好ましくは、クマロン系樹脂が挙げられる。
【0052】
クマロン系樹脂としては、例えば、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂(クマロン−インデン−スチレン共重合体を含む。)などが挙げられる。好ましくは、クマロン−インデン樹脂が挙げられる。
【0053】
クマロン系樹脂の軟化点は、例えば、90〜140℃、好ましくは、100〜130℃である。
【0054】
なお、クマロン系樹脂の軟化点は、JIS K6911(1995年)に準拠して測定される荷重たわみ温度として算出される。
【0055】
これらの粘着付与剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0056】
粘着付与剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、さらに好ましくは、10質量部以上、とりわけ好ましくは、15質量部以上、最も好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、50質量部未満、好ましくは、45質量部以下、さらに好ましくは、40質量部以下、とりわけ好ましくは、35質量部以下、最も好ましくは、30質量部以下でもある。
【0057】
粘着付与剤の配合割合が上記した上限を超える場合には、シーリングシート1(図1参照)の粘着性が過度に高くなり、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が上記上限を超える場合があり、その場合には、カレンダー成形(後述するカレンダー20(図3参照)を用いる成形方法)における第4カレンダーロール27(後述する図3参照)に巻き取られ、得られるシーリングシート1の厚みが所望の範囲に設定されない場合がある。
【0058】
一方、粘着付与剤の配合割合が上記した下限に満たない場合には、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が上記下限に満たない場合があり、その場合には、封止対象に対する密着性が低下して、封止性が不十分となる場合がある。
【0059】
軟化剤は、シーリングシート1(図1参照)の取扱性を向上させるために、シーリング組成物に含有され、例えば、低分子量ポリイソブチレン、オイル類(例えば、ナフテン系オイルなど)、パラフィン類、ワックス類、アロマ類、アスファルト類、乾性油類、動植物油類などなどが挙げられる。好ましくは、低分子量ポリイソブチレンが挙げられる。
【0060】
低分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量は、例えば、30万未満、好ましくは、25万以下、さらに好ましくは、6万以下であり、また、例えば、1万以上、好ましくは、2万以上、さらに好ましくは、3万以上でもある。
【0061】
また、軟化剤の流動点は、例えば、60〜130℃、好ましくは、70〜120℃である。流動点は、流動状態を維持することができる最低温度であり、具体的には、JIS K 2269(1987年)に準拠して測定される。
【0062】
これらの軟化剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0063】
軟化剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、1〜30質量部、好ましくは、2〜25質量部である。また、軟化剤の配合割合は、粘着付与剤100質量部に対して、例えば、10〜200質量部、好ましくは、25〜100質量部である。
【0064】
軟化剤の配合割合が上記した範囲内であれば、シーリングシート1(図1参照)の取扱性を向上させることができる。
【0065】
さらに、シーリング組成物には、必要により、例えば、充填剤、さらには、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系)、滑剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、熱安定剤、シランカップリング剤(例えば、加水分解性シリル基含有化合物など)、発泡剤などの添加剤を適宜の割合で添加することができる。
【0066】
充填剤は、シーリングシート1(図1参照)の補強性を向上させるための補強剤としてシーリング組成物に含有される。充填剤としては、例えば、顔料(例えば、無機顔料)などの無機充填剤が挙げられ、具体的には、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムなど)、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、酸化マグネシウムなどが挙げられる。充填剤としては、好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、さらに好ましくは、カーボンブラックが挙げられる。
【0067】
充填剤は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、カーボンブラックの単独使用が挙げられる。
【0068】
充填剤の平均粒子径は、例えば、1nm〜1000μm、好ましくは、10nm〜100μmである。
【0069】
充填剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、0.1〜100質量部、好ましくは、0.5〜10質量部である。充填剤の配合割合が上記した範囲内にあれば、補強性を向上させることができる。
【0070】
そして、シーリング組成物は、上記した各成分を上記した割合で配合して、加熱して混練して混練物として得ることができる。
【0071】
混練は、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機や、2軸混練機などの連続混練機などが用いられる。混練における加熱温度は、例えば、70〜130℃、好ましくは、90〜120℃である。
【0072】
図1は、本発明のシーリング組成物から形成される本発明のシーリングシートの一実施形態の断面図、図2は、90度剥離接着力試験において、試験片をステンレス板に貼着する方法を説明する工程図を示す。
【0073】
上記のようにして得られたシーリング組成物を、例えば、シート形状に成形することにより、図1に示すシーリングシート1を得ることができる。なお、シート形状は、テープ形状および/またはフィルム形状を含む。
【0074】
また、図1に示すように、シーリングシート1の表面(下面)に離型シート2を積層することもできる。
【0075】
離型シート2としては、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートなどの合成樹脂シートなど、公知の離型シートが挙げられる。離型シート2の厚みは、例えば、1〜1000μmである。離型シート2の表面には、例えば、離型処理を施すこともできる。
【0076】
好ましくは、生産性の観点から、シーリング組成物をカレンダーによって、シーリングシート1に形成する。
【0077】
そして、シーリングシート1を60℃でステンレス板(図2(b)参照)32に貼着した後、ステンレス板32に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力は、2N/10mm以上、10N/10mm以下である。
【0078】
上記したステンレス板32に対する90度剥離接着力が上記上限を超えると、後述する第4カレンダーロール27から巻取ロール23(図3および図4参照)に円滑に搬送させることができない。
【0079】
一方、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が下限に満たないと、シーリングシート1が複層ガラス3(図5参照)および太陽電池パネル4(図8参照)における封止性が不十分となる。
【0080】
ステンレス板32に対する90度剥離接着力は、次のようにして測定する。
【0081】
まず、図2(a)に示すように、例えば、裏打ち材31を、離型シート2が積層されたシーリングシート1の裏面(離型シート2が積層される表面34に対する逆側面、図2(a)における上面。)33に積層して、裏打ち材31によりシーリングシート1を裏打ちする。
【0082】
裏打ち材31としては、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、PETシートなどの樹脂シート、例えば、銅箔などの金属箔などが挙げられる。裏打ち材31の厚みは、例えば、1〜1000μmである。
【0083】
次いで、シーリングシート1を、10mm幅に切り出して短冊状の試験片30を作製する。
【0084】
次いで、図2(a)の仮想線で示すように、離型シート2を試験片30から引き剥がし、その後、図2(b)に示すように、60℃において、離型シート2が引き剥がされた表面(裏打ち材31が積層される裏面33に対する逆側面、図2(b)における下面。)34が、ステンレス板32の表面35に接触するように、試験片30とステンレス板32とを重ね合わせる。その後、60℃で、例えば、所定の重さを負荷することにより、試験片30をステンレス板32に貼着させる。
【0085】
なお、ステンレス板32は、SUS430BAからなり、その表面35の表面粗さRz(JIS B0601−1994に準拠する十点平均粗さ)は、例えば、0.01〜10μmである。
【0086】
ステンレス板32に対する90度剥離接着力は、好ましくは、9.5N/10mm以下、さらに好ましくは、9N/10mm以下、とりわけ好ましくは、8N/10mm以下、最も好ましくは、7N/10mm以下であり、また、好ましくは、3N/10mm以上、さらに好ましくは、4N/10mm以上、とりわけ好ましくは、5N/10mm以上でもある。
【0087】
図3は、本発明のシーリングシートを製造するためのカレンダーの一実施形態の概略構成図、図4は、カレンダーの概略構成図であって、シーリングシートが第4カレンダーロールに部分的に巻き取られる態様(比較例)を示す。
【0088】
なお、図3および図4において、紙面上側を「上側」、紙面下側を「下側」、紙面右側(一方側)を「右側」、紙面左側(他方側)を「左側」とする。
【0089】
次に、本発明の一実施形態であるシーリング組成物15から、カレンダー20を用いて、シーリングシート1を形成する方法について、図3および図4を参照して説明する。
【0090】
図3において、カレンダー20は、ニップ形成ロール22と、ニップ形成ロール22と間隔を隔てて配置される巻取ロール23とを備えるカレンダー成形装置である。
【0091】
ニップ形成ロール22は、ニップ部分21が形成されるように隣接する複数のカレンダーロールからなり、具体的には、第1カレンダーロール24と、第1カレンダーロール24の水平方向左側において第1カレンダーロール24と対向するように隣接配置される第2カレンダーロール25と、第2カレンダーロール25の垂直方向下側において第2カレンダーロール25と対向するように隣接配置される第3カレンダーロール26と、第3カレンダーロール26の垂直方向下側において第3カレンダーロール26と対向するように隣接配置される第4カレンダーロール27とを備えている。
【0092】
ニップ形成ロール22は、第1カレンダーロール24、第2カレンダーロール25、第3カレンダーロール26および第4カレンダーロール27が逆L字形に配置されている。
【0093】
第1カレンダーロール24は、例えば、ステンレス、鉄、銅などの金属製のロールからなる。第1カレンダーロール24は、好ましくは、ステンレス、具体的には、SUS301、SUS304、SUS305、SUS309、SUS310、SUS316、SUS317、SUS321、SUS430(BA)のロールからなる。
【0094】
第1カレンダーロール24は、反時計方向に回転可能に配設されている。第1カレンダーロール24は、その回転速度が、1〜10m/分、好ましくは、5〜9m/分の範囲に設定されている。また、第1カレンダーロール24は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、例えば、軟化剤の流動点以上に設定され、具体的には、例えば、80〜130℃、好ましくは、90〜120℃の範囲に設定されている。
【0095】
また、第1カレンダーロール24は、その直径が、例えば、100〜1000mmφ、好ましくは、150〜700mmφ、その幅(軸方向長さ)が、例えば、100〜3000mm、好ましくは、200〜2000mmとして形成されている。
【0096】
第2カレンダーロール25は、第1カレンダーロール24と同様の金属製のロールからなる。第2カレンダーロール25は、第1カレンダーロール24と同一直径および同一幅に形成されており、時計方向に回転可能に配設されている。第2カレンダーロール25は、その回転速度が、第1カレンダーロール24の回転速度と同様に設定されている。また、第2カレンダーロール25は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、第1カレンダーロール24の表面温度と同様に設定されている。
【0097】
また、第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25は、互いに水平方向において対向し、それらが対向するニップ部分(すなわち、各カレンダーロールにおけるそれらの間を通過する材料との接触部分、つまり、隣接するカレンダーロール最接近部分。)21が形成されており、ニップ部分21のギャップが、例えば、0.5mm以上、好ましくは、0.5〜10mm、さらに好ましくは、1.0〜5mmとなり、そのニップ部分21において、ともに垂直方向下側、つまり、ともに上から下に向かって回転するように配置されている。また、第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25とは、シーリング組成物15の投入量や粘度によって適宜選択されるが、シーリング組成物15に対して、例えば、102〜107N/m2、好ましくは、103〜106N/m2で圧延するように設定されている。
【0098】
第3カレンダーロール26は、第1カレンダーロール24と同様の金属製のロールからなる。第3カレンダーロール26は、第1カレンダーロール24と同一直径および同一幅に形成されており、反時計方向に回転可能に配設されている。第3カレンダーロール26は、その回転速度が、第2カレンダーロール25の回転速度と同様に設定されている。また、第3カレンダーロール26は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、第2カレンダーロール25に対して、同一またはそれよりやや低い温度に設定されている。第3カレンダーロール26の表面温度は、第2カレンダーロール25の表面温度を100%としたときに、それに対して、例えば、80〜100%、好ましくは、85〜95%に設定されている。より具体的には、第3カレンダーロール26の表面温度は、75〜125℃、好ましくは、80〜115℃の範囲に設定されている。
【0099】
また、第2カレンダーロール25および第3カレンダーロール26は、互いに垂直方向(鉛直方向)においてニップ部分21が形成されるように対向し、それらのニップ部分21のギャップが、例えば、0.3〜10mm、好ましくは、0.4〜5mmの範囲において、第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25のニップ部分21のギャップを100%としたときに、それに対して、10〜100%、好ましくは、30〜80%となるように、かつ、そのニップ部分21において、ともに水平方向左側、つまり、ともに右から左に向かって回転するように配置されている。また、第2カレンダーロール25と第3カレンダーロール26とは、シーリング組成物15に対して、例えば、102〜107N/m2、好ましくは、103〜106N/m2で圧延するように設定されている。
【0100】
第4カレンダーロール27は、ニップ形成ロール22において、シーリングシート1の搬送方向最下流側のカレンダーロールとして設けられている。
【0101】
第4カレンダーロール27は、第1カレンダーロール24と同様の金属製のロールからなる。第4カレンダーロール27は、第1カレンダーロール24と同一直径および同一幅に形成されており、時計方向に回転可能に配設されている。第4カレンダーロール27は、その回転速度が、第3カレンダーロール26の回転速度と同様に設定されている。また、第4カレンダーロール27は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、第2カレンダーロール25に対して、同一またはそれよりやや低い温度に設定されている。第4カレンダーロール27の表面温度は、第3カレンダーロール26の表面温度を100%としたときに、それに対して、例えば、80〜100%、好ましくは、85〜95%に設定されている。より具体的には、第4カレンダーロール27の表面温度は、70〜120℃、好ましくは、75〜110℃の範囲に設定されている。
【0102】
また、第3カレンダーロール26および第4カレンダーロール27は、互いに垂直方向(鉛直方向)においてニップ部分21が形成されるように対向し、それらのニップ部分21のギャップが、例えば、0.3〜10mm、好ましくは、0.4〜5mmの範囲において、第2カレンダーロール25および第3カレンダーロール26のニップ部分21のギャップを100%としたときに、それに対して、10〜1000%、好ましくは、50〜500%となるように、かつ、そのニップ部分21において、ともに水平方向右側に回転して、つまり、ともに左から右に向かって回転するように配置されている。
【0103】
これらニップ形成ロール22は、シーリング組成物15を圧延してシート状に成形することにより、シーリングシート1を形成する。
【0104】
巻取ロール23は、ニップ形成ロール22によって形成されたシーリングシート1を、巻き取るためのロールである。
【0105】
巻取ロール23は、第4カレンダーロール27の水平方向左側(搬送方向下流側)において第4カレンダーロール27と間隔を隔てて配置されている。巻取ロール23は、第1カレンダーロール24と同様の金属製のロールからなる。巻取ロール23は、第4カレンダーロール27と同一直径および同一幅に形成されており、第4カレンダーロール27と同一方向に回転可能、具体的には、時計方向に回転可能に配設されている。
【0106】
また、巻取ロール23は、その回転速度が、第4カレンダーロール27の回転速度と同様に設定されている。また、巻取ロール23は、その表面温度が、例えば、第4カレンダーロール27より低温であって、特に温度設定されず、雰囲気温度(25℃)とほぼ同じ温度で管理されている。
【0107】
そして、カレンダー20によってシーリング組成物15を圧延して、シーリングシート1を成形するには、まず、第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25のニップ部分21の上方から、第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25との間にシーリング組成物15を投入する。
【0108】
シーリング組成物15の投入量は、例えば、0.1〜50kg/分、好ましくは、0.5〜5kg/分である。
【0109】
次いで、第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25との間に投入されたシーリング組成物15は、第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25とのニップ部分21において、それらの回転によって、垂直方向下側に搬送されながら圧延され、それら第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25とのニップ部分21から送り出される。
【0110】
この第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25の圧延において、シーリング組成物15は、その厚みが、例えば、0.5mm以上、好ましくは、0.5〜10mm、さらに好ましくは、1.0〜5.0mmとなるように圧延される。
【0111】
次いで、第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25のニップ部分21から送り出されたシーリング組成物15は、第2カレンダーロール25の表面に転写される。
【0112】
次いで、第2カレンダーロール25の表面に転写されたシーリング組成物15は、第2カレンダーロール25の回転によって、第2カレンダーロール25と第3カレンダーロール26とのニップ部分21に進入し、それらの回転によって、水平方向左側に搬送されながら圧延され、それら第2カレンダーロール25と第3カレンダーロール26とのニップ部分21から送り出される。
【0113】
この第2カレンダーロール25および第3カレンダーロール26の圧延において、シーリング組成物15は、その厚みが、例えば、0.25〜10mm、好ましくは、0.4〜5mmとなるように圧延される。
【0114】
第2カレンダーロール25および第3カレンダーロール26のニップ部分21から送り出されたシーリング組成物15は、第2カレンダーロール25の表面から剥離されて、第3カレンダーロール26の表面に転写される。
【0115】
次いで、第3カレンダーロール26の表面に転写されたシーリング組成物15は、第3カレンダーロール26の回転によって、第3カレンダーロール26と第4カレンダーロール27とのニップ部分21に進入し、それらの回転によって、水平方向右側に搬送されながら圧延され、それら第3カレンダーロール26と第4カレンダーロール27とのニップ部分21から送り出される。
【0116】
この第3カレンダーロール26および第4カレンダーロール27の圧延において、シーリング組成物15は、その厚みが、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.25〜10mm、さらに好ましくは、0.25〜5mmとなるように圧延される。
【0117】
次いで、第3カレンダーロール26と第4カレンダーロール27とのニップ部分21から送り出されたシーリング組成物15は、第3カレンダーロール26の表面から剥離されて、第4カレンダーロール27の表面に転写される。
【0118】
次いで、第4カレンダーロール27の表面に転写されたシーリング組成物15は、第4カレンダーロール27の回転によって、第4カレンダーロール27の下端部28に至り、次いで、巻取ロール23の回転によって、シーリングシート1として巻取ロール23に巻き取られる。
【0119】
具体的には、第3カレンダーロール26と第4カレンダーロール27とのニップ部分21から送り出されたシーリング組成物15は、第4カレンダーロール27の表面(周面)において、時計方向に180度回転し、第4カレンダーロール27の下端部28に至り、第4カレンダーロール27の下端部28から左側部分(巻取ロール23に対する対向面)29に実質的に残存(付着)することなく、第4カレンダーロール27の下端部28から剥離される。つまり、シーリング組成物15は、第4カレンダーロール27において、下端部28を起点として、第4カレンダーロール27の表面から引き剥がされる。
【0120】
その後、第4カレンダーロール27から剥離されたシーリング組成物15は、シーリングシート1として巻取ロール23に巻き取られる。
【0121】
具体的には、シーリングシート1は、第4カレンダーロール27の下端部28を通過する接線方向(水平方向)に沿うようにして、第4カレンダーロール27と巻取ロール23との間を架設するように搬送され、続いて、巻取ロール23の下端部に至り、巻取ロール23に巻き取られる。
【0122】
巻取ロール23に巻き取られたシーリングシート1の最終的な厚みは、例えば、0.3〜2.0mm、好ましくは、0.4〜1.0mmである。
【0123】
なお、シーリングシート1の表面には、例えば、図3において図示しないが、巻取ロール23に巻き取られる時、あるいは、ニップ形成ロール22における圧延時に、図1が参照されるように、離型シート2を積層して、シーリングシート1を積層シートとして得ることもできる。
【0124】
そして、このシーリングシート1のステンレス板32に対する90度剥離接着力は、2N/10mm以上であるので、シーリングシート1は、封止対象に対する密着性に優れている。そのため、シーリングシート1を封止対象に良好に密着して、封止対象に優れた封止性を付与することができる。
【0125】
一方、例えば、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が上記した上限を超える場合には、図4に示すように、上記したカレンダー20を用いる方法では、第4カレンダーロール27における対向面29から容易に剥離されることがなく、第4カレンダーロール27における巻取ロール23に対する対向面29の下側部分において付着し、その後、その対向面29の周方向途中部分(下端部28および上端部より左側部分)から、屈曲しながら、剥離される。
【0126】
その場合には、対向面29に付着するシーリングシート1は、対向面29に対して屈曲しながら、剥離され、その後、水平方向に対する交差方向、つまり、左側に向かう従って下側に傾斜する傾斜方向に沿うように、巻取ロール23に巻き取られる。そのため、シーリングシート1には屈曲に起因する応力がかかる。そうすると、シーリングシート1には、ニップ形成ロール22のニップ部分21の所定の圧延力以外の余剰の応力がかかるため、巻取ロール23により巻き取られるシーリングシート1の最終的な厚みを所望の厚みに精度よく設定できない。
【0127】
これに対して、上記したシーリングシート1は、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が、10N/10mm以下であるので、上記したカレンダー20を用いる方法では、シーリングシート1が、第4カレンダーロール27に巻き取られることを有効に防止して、第4カレンダーロール27から巻取ロール23に円滑に搬送させることができる。
【0128】
その結果、シーリングシート1を、所望の厚みで、優れた生産性で製造することができる。
【0129】
なお、図3の実施形態では、ニップ形成ロール22を、4つのカレンダーロール24〜27から逆L字形に配置するように設けているが、図示しないが、例えば、2つないし6つのロール、好ましくは、3つ以上のロールを、直立形、水平形、逆L字形、L字形、Z字形、S字形に配置することもできる。
【0130】
そして、このようにして得られるシーリングシート1は、各種産業製品の封止に用いられる。
【0131】
好ましくは、複層ガラスおよび太陽電池パネルの封止に用いられる。
【0132】
図5は、本発明の複層ガラスの一実施形態(シーリングシートが4枚からなる態様)、図6は、図5(a)に示す複層ガラスの製造方法を説明する工程図を示す。
【0133】
なお、図5(b)において、上側ガラス層10は、シーリングシート1の相対配置を明確に示すため、省略されている。
【0134】
次に、上記したシーリングシートによって周端部が封止される複層ガラスについて、図5を参照して説明する。
【0135】
図5において、この複層ガラス3は、厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層としての、上側ガラス層10および下側ガラス層11と、それらの間に設けられ、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の内側に配置される中間層6と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の間に充填されるシーリングシート1とを備えている。
【0136】
上側ガラス層10は、複層ガラス3の最表面(上面)側に設けられ、平面視略矩形状に形成されている。上側ガラス層10の厚みは、例えば、0.5〜3.2mmである。
【0137】
下側ガラス層11は、複層ガラス3の最裏面(下面)側に設けられ、平面視において、上側ガラス層10と同じ大きさの略矩形状に形成されている。下側ガラス層11の厚みは、例えば、0.5〜3.2mmである。
【0138】
中間層6は、平面視において、上側ガラス層10および下側ガラス層11より小さい略矩形状に形成されている。
【0139】
中間層6を形成する材料は、封止樹脂層9(後述)を形成する材料であり、例えば、特に限定されず、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリフッ化ビニリデンなどの樹脂が挙げられる。中間層6の厚みは、例えば、0.3〜1.0mmである。
【0140】
シーリングシート1は、中間層6を封止している。また、シーリングシート1は、図5(b)に示すように、縦方向に長く延びる平面視略矩形状の2枚の縦シーリングシート13と、各縦シーリングシート13の縦方向両端部に接触し、横方向に長く延びる平面視略矩形状の2枚の横シーリングシート14とを備えている。
【0141】
縦シーリングシート13は、上側ガラス層10および下側ガラス層11の横方向両端部の厚み方向間に充填されている。また、横シーリングシート14は、上側ガラス層10および下側ガラス層11の縦方向両端部の厚み方向間に充填されている。
【0142】
次に、上記した複層ガラス3を製造する方法について、図6を参照して説明する。
【0143】
この方法では、図6(a)に示すように、まず、上側ガラス層10を用意する。
【0144】
次いで、図6(b)に示すように、中間層6としての封止樹脂層9を上側ガラス層10の下面に配置する。
【0145】
封止樹脂層9は、上側ガラス層10の周端部が露出するように、配置する。
【0146】
封止樹脂層9の厚みT1は、例えば、0.3〜2.0mm、好ましくは、0.4〜1.0mmに設定されている。
【0147】
次いで、図6(c)に示すように、上記した図5(b)に示す縦シーリングシート13および横シーリングシート14を備えるシーリングシート1を、上記した配置で貼着(仮固定)する。シーリングシート1は、必要により、溶融させながら配置(熱融着)する。
【0148】
シーリングシート1の厚みT2は、上記した封止樹脂層9(圧着前の封止樹脂層9)の厚みT1に対して、例えば、厚く、または、同一の厚みに設定され、具体的には、100〜200%、好ましくは、105〜120%である。より具体的には、シーリングシート1の厚みT2は、例えば、0.3〜2.0mm、好ましくは、0.4〜1.0mmである。
【0149】
シーリングシート1の厚みT2が上記した範囲を超えると、下側ガラス層11との貼り合わせ時の加工性が低下したり、封止樹脂層9から発生するガス(例えば、EVAから発生する酢酸ガス)および/または空気が抜けずに、気泡が封止樹脂層9に残存する場合がある。
【0150】
一方、シーリングシート1の厚みが上記した範囲に満たないと、複層ガラス3の周端部5のシール性を十分に確保することができない場合がある。
【0151】
その後、この方法では、図6(d)に示すように、下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシーリングシート1に貼着する。
【0152】
下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシーリングシート1に貼着するには、下側ガラス層11をシーリングシート1の下面に接触させて、上方に向けて、下側ガラス層11を圧着する。圧着としては、例えば、必要により、熱圧着などが挙げられる。
【0153】
圧着の条件は、常温または加熱雰囲気下で、圧力が、例えば、0.05〜0.5MPa、好ましくは、0.05〜0.2MPaであり、圧着時間が、例えば、1〜60分間、好ましくは、10〜30分間である。
【0154】
熱圧着の場合は、温度が、例えば、100〜180℃、好ましくは、110〜160℃である。
【0155】
圧着により、シーリングシート1が圧縮され、シーリングシート1の厚みT2が封止樹脂層9の厚みT1より厚い場合には、圧着後のシーリングシート1の厚みT3と封止樹脂層9の厚みT1とが略同一となる。
【0156】
これにより、周端部5に、シーリングシート1が充填された複層ガラス3を得ることができる。
【0157】
そして、上記したシーリングシート1は、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が、2N/10mm以上であるので、上側ガラス層10および下側ガラス層11に対する密着性に優れている。
【0158】
そのため、上側ガラス層10および下側ガラス層11に良好に密着して、複層ガラス3の周端部5に優れた封止性を付与することができる。
【0159】
さらに、このシーリングシート1は、熱圧着することにより、複層ガラス3に均一に密着させることができるため、複層ガラス3に貼着(仮固定)した後、加熱することにより、複層ガラス3に、優れた水蒸気バリア性を付与することができる。そのため、複層ガラス3の性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【0160】
その結果、複層ガラス3の性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【0161】
なお、図5の実施形態では、中間層6を樹脂からなる樹脂層(封止樹脂層9)として形成しているが、例えば、空気または不活性気体(例えば、窒素など)からなる空気層として形成することができ、さらには、真空状態(あるいは減圧状態)とした真空層として形成することもできる。
【0162】
図7は、太陽電池モジュール(シーリングシートが1枚からなる態様)の平面図を示す。なお、以降の各図面において、上記した各部に対応する部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0163】
図5(b)の実施形態では、シーリングシート1を、4枚の平面視略矩形状のシーリングシート(2枚の縦シーリングシート13および2枚の横シーリングシート14)から形成しているが、例えば、図7に示すように、1枚のシーリングシートから形成することもできる。
【0164】
シーリングシート1は、例えば、図示しないが、上記した成形装置(具体的には、図3のカレンダー20)により、平面視略矩形状に形成し、その後、中央(縦方向中央および横方向中央)を打ち抜き加工することにより得ることができる。
【0165】
図8は、本発明の太陽電池パネルの一実施形態、図9は、図8(a)に示す太陽電池パネルの製造方法を説明する工程図、図10は、図8(a)に示す太陽電池パネルを備えるフレームレス太陽電池モジュール(第2シーリングシートが設けられたフレームレス太陽電池モジュール)の一部拡大断面図、図11は、図8(a)に示す太陽電池パネルを備える太陽電池モジュール(フレームが設けられた太陽電池モジュール)の説明図を示す。
【0166】
次に、図3に示すシーリングシートによって周端部が封止される太陽電池パネルについて、図8および図9を参照して説明する。
【0167】
図8において、この太陽電池パネル4は、ガラス層としての上側ガラス層10と、上側ガラス層10と下方に間隔を隔てて配置される支持層としての下側ガラス層11と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の間に設けられ、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の内側に配置される太陽電池素子8およびそれを封止する封止樹脂層9と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の間に充填されるシーリングシート1とを備えている。
【0168】
太陽電池素子8としては、例えば、結晶シリコン系やアモルファスシリコン系などの公知の太陽電池素子が挙げられる。太陽電池素子8は、略矩形平板形状をなし、平面視において、上側ガラス層10および下側ガラス層11の中央部に配置されている。
【0169】
また、太陽電池素子8は、上側ガラス層10の下面に積層されている。太陽電池素子8の厚みは、封止樹脂層9の厚みより薄く、具体的には、例えば、0.01〜500μmである。
【0170】
封止樹脂層9は、太陽電池素子8を封止している。
【0171】
シーリングシート1は、封止樹脂層9を封止している。
【0172】
次に、上記した太陽電池パネル4を製造する方法について、図9を参照して説明する。
【0173】
この方法では、まず、図9(a)および図9(b)に示すように、太陽電池素子8を上側ガラス層10の下面に配置する。
【0174】
次いで、図9(c)に示すように、封止樹脂層9を配置する。
【0175】
封止樹脂層9は、太陽電池素子8を被覆し、かつ、上側ガラス層10の周端部が露出するように、配置する。
【0176】
次いで、図9(d)に示すように、シーリングシート1を貼着(仮固定)する。
【0177】
その後、この方法では、図9(e)に示すように、下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシーリングシート1に貼着する。
【0178】
下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシーリングシート1に貼着するには、下側ガラス層11をシーリングシート1の下面に接触させて、上方に向けて、下側ガラス層11を圧着する。圧着では、例えば、真空(減圧)下で、圧着する。
【0179】
これにより、周端部5に、シーリングシート1が充填された太陽電池パネル4を得ることができる。
【0180】
この太陽電池パネル4では、上記した複層ガラス3の作用効果に加えて、太陽電池素子8の劣化に起因する発電効率の低下を有効に防止することができる。
【0181】
なお、図8および図9の実施形態では、本発明の支持層を、下側ガラス層11として説明しているが、例えば、透湿性樹脂などの樹脂からなる下側樹脂層(バックシート)11として形成することもできる。
【0182】
また、上記した図8の太陽電池パネル4は、フレームを用いないフレームレス太陽電池モジュール12として用いることができ、あるいは、図11に示すように、フレーム16を用いる太陽電池モジュール7として用いることもできる。
【0183】
また、図10に示すように、フレームレス太陽電池モジュール12は、太陽電池パネル4の周端部5に公知のシーリングシート(第2シーリングシート)15が設けられたフレームレス太陽電池モジュール12として用いることもできる。
【0184】
図10において、第2シーリングシート18は、太陽電池パネル4の周端部5において、太陽電池パネル4の内側に向かって開く断面略コ字形状に形成されており、上側ガラス層10の周側面および上面と、第1シーリングシート1の周側面と、下側ガラス層11の周側面および下面とに、連続して形成されている。
【0185】
図11において、この太陽電池モジュール7は、太陽電池パネル4と、太陽電池パネル4の周端部5に設けられるフレーム16と、それらの間に介在される第2シーリングシート18とを備えている。
【0186】
フレーム16は、太陽電池パネル4の各辺に沿って、それぞれ設けられる。フレーム16は、太陽電池パネル4に向かって内側に開く断面略コ字形状に形成されている。フレーム16は、例えば、金属材料(アルミニウムなど)や樹脂材料(アクリル樹脂など)から形成され、好ましくは、金属材料から形成されている。
【0187】
フレーム16は、図11(b)に示すように、各辺に沿う長手方向端部が互いに接合されて4つの角を形成し、平面視において略矩形枠状となるように組み付けられる。
【実施例】
【0188】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0189】
実施例1、2および比較例1〜3
表1に記載される各成分を、表1の配合処方に従って、ニーダー(DS1−5GHB−E型、1Lニーダー、6インチオープンロール付き、モリヤマ社製)に一括投入して、120℃で混練し、シーリング組成物を調製した。
【0190】
次いで、調製したシーリング組成物を、図3に示すカレンダー(カレンダーロール装置「4L−8a」、日立製作所社製)を用いて、下記の表2に示す圧延条件で圧延することにより、厚み0.5mm、幅300mmのシーリングシート(A)と、厚み1.0mm、幅300mmのシーリングシート(B)とをそれぞれ形成した。
【0191】
また、各シーリングシートの表面には、離型シートを積層した(図1参照)。
【0192】
【表1】
【0193】
なお、表1の各成分の詳細を以下に記載する。
JSR BUTYL ♯065:ブチルゴム、不飽和度0.8モル%、ムーニー粘度32(ML1+8、125℃)、JSR社製
Oppanol B−100EP:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量110万、BASF社製
DFD−2005:結晶性ポリエチレン、日本ユニカー社製
REXtac2585:非晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体、軟化点(A
STM E 28、環球法):129℃、Huntsman社製
エスクロンV−120:クマロン系樹脂、軟化点(荷重たわみ温度)120℃、日塗化学社製
エスコレッツ1401:脂肪族炭化水素樹脂、軟化点119℃(ASTM D6090−97に準拠)、エクソンモービル社製
テトラックス4T:低分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量4万、流動点77.5℃、JX日鉱日石エネルギー社製
テトラックス5T:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量5万、流動点97.5℃、JX日鉱日石エネルギー社製
テトラックス6T:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量6万、流動点112.5℃、JX日鉱日石エネルギー社製
シースト3H:カーボンブラック、平均粒子径27nm、東海カーボン社製
【0194】
【表2】
【0195】
(評価)
各実施例および各比較例で得られたシーリングシートについて、(1)ステンレス板に対する90度剥離接着力、(2)ロール剥離性、および、(3)ラミネート性を評価した。
【0196】
各評価の詳細を以下に記載する。
(1)ステンレス板に対する90度剥離接着力試験
まず、図2(a)に示すように、厚み38μmのPETシートからなる裏打ち材(表面が剥離処理されていない)31を、厚み0.5mmのシーリングシート1(A)の裏面33に積層して、裏打ち材31によりシーリングシート1を裏打ちした。
【0197】
次いで、シーリングシート1を10mm幅に切り出し、短冊状の試験片30を作製した。
【0198】
次いで、図2(a)の仮想線で示すように、離型シート2を試験片30から引き剥がし、その後、図2(b)に示すように、60℃において、シーリングシート1の表面34が、トルエン(溶剤)で予め洗浄したSUS430BAからなるステンレス板32の表面35(表面粗さRz:0.06μm)に接触するように、試験片30とステンレス板32とを重ね合わせた。
【0199】
その後、60℃で、その上を2Kgのローラーで1往復することにより、試験片30をステンレス板32に貼着させた。
【0200】
次いで、試験片30およびステンレス板32を、引張試験機に配置した。次いで、試験片30を、ステンレス板32に対して90度の角度で、速度300mm/分で、剥離したときの剥離接着力を測定した。
【0201】
併せて、剥離時の剥離(破壊)モードを、目視にて観察した。
【0202】
それらの結果を、表1に示す。
(2)ロール剥離性(生産性)
シーリング組成物を図3で示すカレンダー20によってシーリングシートに圧延成形したときに、シーリングシート1が、第4カレンダーロール27の対向面29に付着するか否かを、下記の評価基準に従って評価した。これにより、ロール剥離性(生産性)を評価した。
【0203】
○:図3に示すように、シーリングシート1が、第4カレンダーの対向面29に付着することなく、下端部28から剥離された。
【0204】
×:図4に示すように、シーリングシート1が、第4カレンダーの対向面29に部分的に付着し、対向面29から屈曲するように剥離された。
(3)ラミネート性(封止性)
図12は、ラミネート性(封止性)の評価に用いられる評価用複層ガラスを示す。なお、図12(b)において、上側ガラス層10は、シーリングシート1の相対配置を明確に示すため、省略されている。
【0205】
図12(a)および図12(b)が参照されるように、まず、サイズ100mm×100mm、厚み3.2mmの白板未強化ガラスからなる上側ガラス層10を用意した。
【0206】
別途、厚み1.0mmのシーリングシート1(B)を100mm×10mmに切断加工して、2枚の縦シーリングシート13を作製した。また、厚み1.0mmのシーリングシート1を80mm×10mmに切断加工して、2枚の横シーリングシート14を作製した。
【0207】
次いで、縦シーリングシート13および横シーリングシート14を、上側ガラス層の周端部5の表面(下面)に上記した配置で貼着し、続いて、各離型シート2(図1参照)を縦シーリングシート13および横シーリングシート14から剥離した。
【0208】
その後、上側ガラス層10と同一の材料、形状および大きさの下側ガラス層11を用意し、それを、縦シーリングシート13および横シーリングシート14に貼着した。
【0209】
その後、上側ガラス層10および下側ガラス層11と、縦シーリングシート13および横シーリングシート14とを圧着した。
【0210】
圧着は、下記の圧着装置を用いて、下記の圧着条件(A)および(B)を順次実施した。
【0211】
圧着装置:真空プレス装置(型式「MS−VPF−50」、名庄プレス社製)
圧着条件(A):真空下で、0.1MPa、150℃、5分間
圧着条件(B):圧着条件(A)後、常圧下で、0.1MPa、150℃、5分間
これにより、評価用複層ガラス3を作製した。なお、縦シーリングシート13および横シーリングシート14で仕切られる空間は、空気が充填された空気層6とされた。
【0212】
その後、評価用複層ガラス3を下記の評価基準に従って、ラミネート性(封止性)を評価した。
【0213】
その結果を表1に示す。
【0214】
(評価基準)
○:縦シーリングシート13および横シーリングシート14に気泡や浮きがなく、空気層6が均一に封止されていることを目視による観察によって確認した。
【0215】
×:縦シーリングシート13および横シーリングシート14に気泡や浮きが発生し、空気層6の封止が不十分であることを目視による観察によって確認した。
【符号の説明】
【0216】
1 シーリングシート
3 複層ガラス(評価用複層ガラス)
4 太陽電池パネル
5 周端部
6 中間層
8 太陽電池素子
9 封止樹脂層(第2シーリングシート)
10 上側ガラス層
11 下側ガラス層(支持層)
15 シーリング組成物
20 カレンダー
21 ニップ部分
22 ニップ形成ロール
23 巻取ロール
32 ステンレス板
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング組成物、シーリングシート、その製造方法、複層ガラスおよび太陽電池パネル、詳しくは、各種産業製品の封止に用いられるシーリングシート、それを形成するためのシーリング組成物、シーリングシートの製造方法、端部がシーリングシートにより封止される複層ガラスおよび太陽電池パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業製品には、その内部に、水または湿気などの流体が浸入することを防止すべく、シール材を端部に設けることが広く知られている。
【0003】
そのようなシール材として、例えば、粘度平均分子量が5万〜9万のポリイソブチレン100質量部と、粘着付与剤と3〜20質量部と、無機充填剤45〜70質量部とを含有するシーリング材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、シーリング材を押出機や複数のロール(カレンダーロール)によってシートに形成し、その後、ソーラーパネルに適用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−117758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、ソーラーパネルのシール材には、より高い封止性が求められるところ、特許文献1のシーリング材からなるシートには、ソーラーパネルにおける密着性が不十分であるため、上記した封止性を満足することができないという不具合がある。
【0006】
一方、生産性を向上させる観点から、シール材をカレンダー(カレンダー成形装置)によってシートに形成したい要望がある。
【0007】
例えば、図4に示すように、カレンダー20は、ニップ部分21が形成されるように隣接する複数のニップ形成ロール22と、最下流側のニップ形成ロール22の下流側に間隔を隔てて配置される巻取ロール23とを備えている。カレンダー20では、シール材15が、複数のニップ形成ロール22によって圧延されながら各ニップ部分21を通過し、その後、巻取ロール23によって巻き取られる。詳しくは、シール材1は、最下流側のニップ形成ロール22における下端部28を通過した後には、最下流側のニップ形成ロール22の表面(周面)から剥離されながら、巻取ロール23に巻き取られる(仮想線参照)。
【0008】
しかしながら、従来のシール材15は、最下流側のニップ形成ロール22から容易に剥離されず、図4の実線で示すように、最下流側のニップ形成ロール22の下端部28から回転方向下流側部分(つまり、巻取ロール23に対する対向面)29においても付着する場合、つまり、最下流側のニップ形成ロール22に部分的に巻き取られる場合がある。
【0009】
そのような場合には、複数のニップ形成ロール22によって圧延されたシーリングシート1には、最下流側のニップ形成ロール22の対向面29において余剰の応力が作用するので、シーリングシート1を所望の厚みに精度よく設定することができないという不具合がある。
【0010】
本発明の目的は、封止性に優れるシーリング組成物、それを所望の厚みに形成することのできるシーリングシートの製造方法、それにより得られるシーリングシート、それによって、各種産業製品、とりわけ、端部を封止した複層ガラスおよび太陽電池パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のシーリング組成物は、ゴム成分と、炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンとを含有するシーリング組成物であり、前記シーリング組成物から形成されるシーリングシートを60℃でステンレス板に貼着した後、前記ステンレス板に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力が、2N/10mm以上、10N/10mm以下であることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のシーリング組成物は、粘着付与剤をさらに含有し、前記粘着付与剤が、軟化点が90〜140℃のクマロン系樹脂を含有し、前記粘着付与剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好適である。
【0013】
また、本発明のシーリング組成物では、前記ゴム成分が、ブチルゴムを含有することが好適である。
【0014】
また、本発明のシーリング組成物では、前記ゴム成分が、ブチルゴムおよび粘度平均分子量30万以上の高分子量ポリイソブチレンを含有することが好適である。
【0015】
また、本発明のシーリング組成物は、軟化剤をさらに含有し、前記軟化剤が、粘度平均分子量1万以上30万未満の低分子量ポリイソブチレンを含有し、前記軟化剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1〜30質量部であることが好適である。
【0016】
また、本発明のシーリングシートは、上記したシーリング組成物からカレンダーにより形成されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明のシーリングシートは、複層ガラスの端部の封止に用いられることが好適である。
【0018】
また、本発明のシーリングシートは、太陽電池パネルの端部の封止に用いられることが好適である。
【0019】
また、本発明のシーリングシートの製造方法は、上記したシーリング組成物をカレンダーにより形成する工程を備えることを特徴としている。
【0020】
また、本発明のシーリングシートの製造方法では、前記カレンダーは、ニップ部分が形成されるように隣接する複数のニップ形成ロールと、前記ニップ形成ロールの前記シーリングシートの搬送方向下流側に間隔を隔てて配置される巻取ロールとを備えることが好適である。
【0021】
また、本発明の複層ガラスは、厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層と、2枚の前記ガラス層の間に設けられ、前記ガラス層の端部の内側に配置される中間層と、2枚の前記ガラス層の端部の間に、前記中間層を封止するように充填される上記したシーリングシートとを備えることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の太陽電池パネルは、ガラス層と、前記ガラス層と厚み方向に間隔を隔てて配置される支持層と、前記ガラス層および前記支持層の間に設けられ、前記ガラス層および前記支持層の端部の内側に配置される太陽電池素子およびそれを封止する封止樹脂層と、前記ガラス層および前記支持層の端部の間に、前記封止樹脂層を封止するように充填される上記したシーリングシートとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシーリング組成物から形成されるシーリングシートを60℃でステンレス板に貼着した後、ステンレス板に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力は、2N/10mm以上であるので、本発明のシーリング組成物は、封止対象に対する密着性に優れている。そのため、本発明のシーリングシートは、封止対象に良好に密着して、封止対象に優れた封止性を付与することができる。
【0024】
一方、シーリングシートのステンレス板に対する90度剥離接着力は、10N/10mm以下である。そのため、本発明のシーリング組成物からシーリングシートをカレンダーにより形成するシーリングシートの製造方法では、シーリングシートが、ニップ形成ロールに巻き取られることを有効に防止して、ニップ形成ロールから巻取ロールに円滑に搬送させることができる。その結果、本発明のシーリングシートを、所望の厚みで、優れた生産性で製造することができる。
【0025】
従って、本発明のシーリングシートを複層ガラスおよび太陽電池パネルに設けることにより、本発明の複層ガラスおよび太陽電池パネルの性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【0026】
その結果、複層ガラスおよび太陽電池パネルの性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明のシーリング組成物からなる本発明のシーリングシートの一実施形態の断面図を示す。
【図2】図2は、90度剥離接着力試験において、試験片をステンレス板に貼着する方法を説明する工程図であって、(a)は、シーリングシートを裏打ち材で裏打ちする工程、(b)は、ステンレス板に試験片を貼着する工程を示す。
【図3】図3は、本発明のシーリングシートを製造するためのカレンダーの一実施形態の概略構成図を示す。
【図4】図4は、カレンダーの概略構成図であって、シーリングシートが第4カレンダーロールに部分的に巻き取られる態様(比較例)を示す。
【図5】図5は、本発明の複層ガラスの一実施形態(シーリングシートが4枚からなる態様)であって、(a)は、断面図、(b)は、平面図、(c)は、一部切欠断面斜視図を示す。
【図6】図6は、図5(a)に示す複層ガラスの製造方法を説明する工程図であって、(a)は、上側ガラス層を用意する工程、(b)は、封止樹脂層を配置する工程、(c)は、シーリングシートを配置する工程、(d)は、下側ガラス層を配置する工程を示す。
【図7】図7は、太陽電池モジュール(シーリングシートが1枚からなる態様)の平面図を示す。
【図8】図8は、本発明の太陽電池パネルの一実施形態であって、(a)は、断面図、(b)は、平面図、(c)は、一部切欠断面斜視図を示す。
【図9】図9は、図8(a)に示す太陽電池パネルの製造方法を説明する工程図であって、(a)は、上側ガラス層を用意する工程、(b)は、太陽電池素子を配置する工程、(c)は、封止樹脂層を配置する工程、(d)は、シーリングシートを配置する工程、(e)は、下側ガラス層を配置する工程を示す。
【図10】図10は、図8(a)に示す太陽電池パネルを備えるフレームレス太陽電池モジュール(第2シーリングシートが設けられたフレームレス太陽電池モジュール)の一部拡大断面図を示す。
【図11】図11は、図8(a)に示す太陽電池パネルを備える太陽電池モジュール(フレームが設けられた太陽電池モジュール)の説明図であって、(a)は、一部拡大断面図、(b)は、一部断面斜視図を示す。
【図12】図12は、ラミネート性(封止性)の評価に用いられる評価用複層ガラスであり、(a)は、断面図、(b)は、平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のシーリング組成物は、各種産業製品の封止に用いられ、ゴム成分と、特定のポリオレフィン(後述するポリイソブチレンを除く)とを含有している。
【0029】
ゴム成分は、シーリング組成物から形成されるシーリングシート1(後述、図1参照)に弾性を付与するために含有される。ゴム成分としては、例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ビニルアルキルエーテルゴム、ポリビニルアルコールゴム、ポリビニルピロリドンゴム、ポリアクリルアミドゴム、セルロースゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、ブチルゴム、高分子量ポリイソブチレンなどが挙げられる。ゴム成分として、好ましくは、ブチルゴム、高分子量ポリイソブチレンが挙げられる。
【0030】
これらのゴム成分は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、ブチルゴムと高分子量ポリイソブチレンとの併用、または、ブチルゴムの単独使用が挙げられる。
【0031】
ブチルゴムは、イソブテン(イソブチレン)および少量のイソプレンの共重合体(イソブチレン・イソプレンゴム)であり、封止性が高いゴム弾性体である。
【0032】
ブチルゴムの不飽和度は、例えば、0.6〜2.5モル%、好ましくは、0.7〜2.0モル%である。ブチルゴムの不飽和度は、ヨウ素吸着法により測定される。
【0033】
また、ブチルゴムのムーニー粘度は、例えば、20〜70(ML1+8、125℃)、好ましくは、30〜60(ML1+8、125℃)である。
【0034】
ブチルゴムは、その粘度平均分子量が、例えば、30万〜70万、好ましくは、30万〜50万である。
【0035】
粘度平均分子量は、JIS K 7252 01(2008年)に準拠して、標準ポリスチレンを用いて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される。なお、後述の粘度平均分子量についても同様である。
【0036】
高分子量ポリイソブチレンは、イソブチレンの高分子量重合体であり、例えば、粘度平均分子量が30万以上のポリイソブチレンである。高分子量ポリイソブチレンをブチルゴムと併用することにより、ブチルゴムの高温における流れ性を向上(改善)することができ、優れた封止性を確保して、温度特性を向上させることができる。
【0037】
高分子量ポリイソブチレンは、その粘度平均分子量が、好ましくは、50万〜300万、さらに好ましくは、70〜200万、とりわけ好ましくは、90万〜150万である。
【0038】
高分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量が上記した範囲に満たないと、後述する複層ガラス3(図5参照)または太陽電池パネル4(図8参照)の組付時に、液だれを生じる場合がある。一方、高分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量が上記した範囲を超えると、形状追従性が低下する場合がある。
【0039】
ブチルゴムおよび高分子量ポリイソブチレンの配合割合は、それらの質量基準で、例えば、9/1〜1/6、好ましくは、4/1〜1/3である。
【0040】
ゴム成分の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、40〜90質量部、好ましくは、50〜80質量部である。ゴム成分の配合割合が上記した範囲内にあれば、広い温度領域におけるゴム弾性を維持することにより、封止性が向上する利点がある。
【0041】
特定のポリオレフィンは、炭素数2〜3(2および/または3)のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンであり、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはエチレン・プロピレン共重合体が挙げられる。特定のポリオレフィンをシーリング組成物に配合することにより、特定のポリオレフィンの軟化点の温度領域までは補強性を付与することができる。
【0042】
ポリエチレンとしては、例えば、線状低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン、例えば、中密度ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレンなどが挙げられる。
【0043】
ポリプロピレンとしては、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンなどが挙げられる。
【0044】
エチレン・プロピレン共重合体としては、例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0045】
また、特定のポリオレフィンは、例えば、結晶性ポリオレフィン(具体的には、結晶性ポリエチレンなど)を含んでいる。
【0046】
また、特定のポリオレフィンの軟化点(環球法)は、例えば、100〜150℃、好ましくは、110〜140℃である。
【0047】
特定のポリオレフィンとして、好ましくは、ポリエチレン、さらに好ましくは、結晶性ポリエチレンが挙げられる。
【0048】
これらの特定のポリオレフィンは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0049】
特定のポリオレフィンの配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、10〜60質量部、好ましくは、20〜50質量部である。特定のポリオレフィンの配合割合が上記した範囲内にあれば、常温におけるシーリングシート1(図1参照)の補強性を十分に確保することができる。
【0050】
また、シーリング組成物には、例えば、粘着付与剤、軟化剤をさらに配合することができる。
【0051】
粘着付与剤は、シーリングシート1(図1参照)の封止性を向上させるために、シーリング組成物に含有される。粘着付与剤としては、例えば、石油系樹脂、例えば、C5−炭化水素系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂などの炭化水素系樹脂が挙げられる。粘着付与剤としては、好ましくは、炭化水素系樹脂、さらに好ましくは、クマロン系樹脂が挙げられる。
【0052】
クマロン系樹脂としては、例えば、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂(クマロン−インデン−スチレン共重合体を含む。)などが挙げられる。好ましくは、クマロン−インデン樹脂が挙げられる。
【0053】
クマロン系樹脂の軟化点は、例えば、90〜140℃、好ましくは、100〜130℃である。
【0054】
なお、クマロン系樹脂の軟化点は、JIS K6911(1995年)に準拠して測定される荷重たわみ温度として算出される。
【0055】
これらの粘着付与剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0056】
粘着付与剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、さらに好ましくは、10質量部以上、とりわけ好ましくは、15質量部以上、最も好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、50質量部未満、好ましくは、45質量部以下、さらに好ましくは、40質量部以下、とりわけ好ましくは、35質量部以下、最も好ましくは、30質量部以下でもある。
【0057】
粘着付与剤の配合割合が上記した上限を超える場合には、シーリングシート1(図1参照)の粘着性が過度に高くなり、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が上記上限を超える場合があり、その場合には、カレンダー成形(後述するカレンダー20(図3参照)を用いる成形方法)における第4カレンダーロール27(後述する図3参照)に巻き取られ、得られるシーリングシート1の厚みが所望の範囲に設定されない場合がある。
【0058】
一方、粘着付与剤の配合割合が上記した下限に満たない場合には、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が上記下限に満たない場合があり、その場合には、封止対象に対する密着性が低下して、封止性が不十分となる場合がある。
【0059】
軟化剤は、シーリングシート1(図1参照)の取扱性を向上させるために、シーリング組成物に含有され、例えば、低分子量ポリイソブチレン、オイル類(例えば、ナフテン系オイルなど)、パラフィン類、ワックス類、アロマ類、アスファルト類、乾性油類、動植物油類などなどが挙げられる。好ましくは、低分子量ポリイソブチレンが挙げられる。
【0060】
低分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量は、例えば、30万未満、好ましくは、25万以下、さらに好ましくは、6万以下であり、また、例えば、1万以上、好ましくは、2万以上、さらに好ましくは、3万以上でもある。
【0061】
また、軟化剤の流動点は、例えば、60〜130℃、好ましくは、70〜120℃である。流動点は、流動状態を維持することができる最低温度であり、具体的には、JIS K 2269(1987年)に準拠して測定される。
【0062】
これらの軟化剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0063】
軟化剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、1〜30質量部、好ましくは、2〜25質量部である。また、軟化剤の配合割合は、粘着付与剤100質量部に対して、例えば、10〜200質量部、好ましくは、25〜100質量部である。
【0064】
軟化剤の配合割合が上記した範囲内であれば、シーリングシート1(図1参照)の取扱性を向上させることができる。
【0065】
さらに、シーリング組成物には、必要により、例えば、充填剤、さらには、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系)、滑剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、熱安定剤、シランカップリング剤(例えば、加水分解性シリル基含有化合物など)、発泡剤などの添加剤を適宜の割合で添加することができる。
【0066】
充填剤は、シーリングシート1(図1参照)の補強性を向上させるための補強剤としてシーリング組成物に含有される。充填剤としては、例えば、顔料(例えば、無機顔料)などの無機充填剤が挙げられ、具体的には、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムなど)、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、酸化マグネシウムなどが挙げられる。充填剤としては、好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、さらに好ましくは、カーボンブラックが挙げられる。
【0067】
充填剤は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、カーボンブラックの単独使用が挙げられる。
【0068】
充填剤の平均粒子径は、例えば、1nm〜1000μm、好ましくは、10nm〜100μmである。
【0069】
充填剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、0.1〜100質量部、好ましくは、0.5〜10質量部である。充填剤の配合割合が上記した範囲内にあれば、補強性を向上させることができる。
【0070】
そして、シーリング組成物は、上記した各成分を上記した割合で配合して、加熱して混練して混練物として得ることができる。
【0071】
混練は、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機や、2軸混練機などの連続混練機などが用いられる。混練における加熱温度は、例えば、70〜130℃、好ましくは、90〜120℃である。
【0072】
図1は、本発明のシーリング組成物から形成される本発明のシーリングシートの一実施形態の断面図、図2は、90度剥離接着力試験において、試験片をステンレス板に貼着する方法を説明する工程図を示す。
【0073】
上記のようにして得られたシーリング組成物を、例えば、シート形状に成形することにより、図1に示すシーリングシート1を得ることができる。なお、シート形状は、テープ形状および/またはフィルム形状を含む。
【0074】
また、図1に示すように、シーリングシート1の表面(下面)に離型シート2を積層することもできる。
【0075】
離型シート2としては、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートなどの合成樹脂シートなど、公知の離型シートが挙げられる。離型シート2の厚みは、例えば、1〜1000μmである。離型シート2の表面には、例えば、離型処理を施すこともできる。
【0076】
好ましくは、生産性の観点から、シーリング組成物をカレンダーによって、シーリングシート1に形成する。
【0077】
そして、シーリングシート1を60℃でステンレス板(図2(b)参照)32に貼着した後、ステンレス板32に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力は、2N/10mm以上、10N/10mm以下である。
【0078】
上記したステンレス板32に対する90度剥離接着力が上記上限を超えると、後述する第4カレンダーロール27から巻取ロール23(図3および図4参照)に円滑に搬送させることができない。
【0079】
一方、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が下限に満たないと、シーリングシート1が複層ガラス3(図5参照)および太陽電池パネル4(図8参照)における封止性が不十分となる。
【0080】
ステンレス板32に対する90度剥離接着力は、次のようにして測定する。
【0081】
まず、図2(a)に示すように、例えば、裏打ち材31を、離型シート2が積層されたシーリングシート1の裏面(離型シート2が積層される表面34に対する逆側面、図2(a)における上面。)33に積層して、裏打ち材31によりシーリングシート1を裏打ちする。
【0082】
裏打ち材31としては、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、PETシートなどの樹脂シート、例えば、銅箔などの金属箔などが挙げられる。裏打ち材31の厚みは、例えば、1〜1000μmである。
【0083】
次いで、シーリングシート1を、10mm幅に切り出して短冊状の試験片30を作製する。
【0084】
次いで、図2(a)の仮想線で示すように、離型シート2を試験片30から引き剥がし、その後、図2(b)に示すように、60℃において、離型シート2が引き剥がされた表面(裏打ち材31が積層される裏面33に対する逆側面、図2(b)における下面。)34が、ステンレス板32の表面35に接触するように、試験片30とステンレス板32とを重ね合わせる。その後、60℃で、例えば、所定の重さを負荷することにより、試験片30をステンレス板32に貼着させる。
【0085】
なお、ステンレス板32は、SUS430BAからなり、その表面35の表面粗さRz(JIS B0601−1994に準拠する十点平均粗さ)は、例えば、0.01〜10μmである。
【0086】
ステンレス板32に対する90度剥離接着力は、好ましくは、9.5N/10mm以下、さらに好ましくは、9N/10mm以下、とりわけ好ましくは、8N/10mm以下、最も好ましくは、7N/10mm以下であり、また、好ましくは、3N/10mm以上、さらに好ましくは、4N/10mm以上、とりわけ好ましくは、5N/10mm以上でもある。
【0087】
図3は、本発明のシーリングシートを製造するためのカレンダーの一実施形態の概略構成図、図4は、カレンダーの概略構成図であって、シーリングシートが第4カレンダーロールに部分的に巻き取られる態様(比較例)を示す。
【0088】
なお、図3および図4において、紙面上側を「上側」、紙面下側を「下側」、紙面右側(一方側)を「右側」、紙面左側(他方側)を「左側」とする。
【0089】
次に、本発明の一実施形態であるシーリング組成物15から、カレンダー20を用いて、シーリングシート1を形成する方法について、図3および図4を参照して説明する。
【0090】
図3において、カレンダー20は、ニップ形成ロール22と、ニップ形成ロール22と間隔を隔てて配置される巻取ロール23とを備えるカレンダー成形装置である。
【0091】
ニップ形成ロール22は、ニップ部分21が形成されるように隣接する複数のカレンダーロールからなり、具体的には、第1カレンダーロール24と、第1カレンダーロール24の水平方向左側において第1カレンダーロール24と対向するように隣接配置される第2カレンダーロール25と、第2カレンダーロール25の垂直方向下側において第2カレンダーロール25と対向するように隣接配置される第3カレンダーロール26と、第3カレンダーロール26の垂直方向下側において第3カレンダーロール26と対向するように隣接配置される第4カレンダーロール27とを備えている。
【0092】
ニップ形成ロール22は、第1カレンダーロール24、第2カレンダーロール25、第3カレンダーロール26および第4カレンダーロール27が逆L字形に配置されている。
【0093】
第1カレンダーロール24は、例えば、ステンレス、鉄、銅などの金属製のロールからなる。第1カレンダーロール24は、好ましくは、ステンレス、具体的には、SUS301、SUS304、SUS305、SUS309、SUS310、SUS316、SUS317、SUS321、SUS430(BA)のロールからなる。
【0094】
第1カレンダーロール24は、反時計方向に回転可能に配設されている。第1カレンダーロール24は、その回転速度が、1〜10m/分、好ましくは、5〜9m/分の範囲に設定されている。また、第1カレンダーロール24は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、例えば、軟化剤の流動点以上に設定され、具体的には、例えば、80〜130℃、好ましくは、90〜120℃の範囲に設定されている。
【0095】
また、第1カレンダーロール24は、その直径が、例えば、100〜1000mmφ、好ましくは、150〜700mmφ、その幅(軸方向長さ)が、例えば、100〜3000mm、好ましくは、200〜2000mmとして形成されている。
【0096】
第2カレンダーロール25は、第1カレンダーロール24と同様の金属製のロールからなる。第2カレンダーロール25は、第1カレンダーロール24と同一直径および同一幅に形成されており、時計方向に回転可能に配設されている。第2カレンダーロール25は、その回転速度が、第1カレンダーロール24の回転速度と同様に設定されている。また、第2カレンダーロール25は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、第1カレンダーロール24の表面温度と同様に設定されている。
【0097】
また、第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25は、互いに水平方向において対向し、それらが対向するニップ部分(すなわち、各カレンダーロールにおけるそれらの間を通過する材料との接触部分、つまり、隣接するカレンダーロール最接近部分。)21が形成されており、ニップ部分21のギャップが、例えば、0.5mm以上、好ましくは、0.5〜10mm、さらに好ましくは、1.0〜5mmとなり、そのニップ部分21において、ともに垂直方向下側、つまり、ともに上から下に向かって回転するように配置されている。また、第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25とは、シーリング組成物15の投入量や粘度によって適宜選択されるが、シーリング組成物15に対して、例えば、102〜107N/m2、好ましくは、103〜106N/m2で圧延するように設定されている。
【0098】
第3カレンダーロール26は、第1カレンダーロール24と同様の金属製のロールからなる。第3カレンダーロール26は、第1カレンダーロール24と同一直径および同一幅に形成されており、反時計方向に回転可能に配設されている。第3カレンダーロール26は、その回転速度が、第2カレンダーロール25の回転速度と同様に設定されている。また、第3カレンダーロール26は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、第2カレンダーロール25に対して、同一またはそれよりやや低い温度に設定されている。第3カレンダーロール26の表面温度は、第2カレンダーロール25の表面温度を100%としたときに、それに対して、例えば、80〜100%、好ましくは、85〜95%に設定されている。より具体的には、第3カレンダーロール26の表面温度は、75〜125℃、好ましくは、80〜115℃の範囲に設定されている。
【0099】
また、第2カレンダーロール25および第3カレンダーロール26は、互いに垂直方向(鉛直方向)においてニップ部分21が形成されるように対向し、それらのニップ部分21のギャップが、例えば、0.3〜10mm、好ましくは、0.4〜5mmの範囲において、第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25のニップ部分21のギャップを100%としたときに、それに対して、10〜100%、好ましくは、30〜80%となるように、かつ、そのニップ部分21において、ともに水平方向左側、つまり、ともに右から左に向かって回転するように配置されている。また、第2カレンダーロール25と第3カレンダーロール26とは、シーリング組成物15に対して、例えば、102〜107N/m2、好ましくは、103〜106N/m2で圧延するように設定されている。
【0100】
第4カレンダーロール27は、ニップ形成ロール22において、シーリングシート1の搬送方向最下流側のカレンダーロールとして設けられている。
【0101】
第4カレンダーロール27は、第1カレンダーロール24と同様の金属製のロールからなる。第4カレンダーロール27は、第1カレンダーロール24と同一直径および同一幅に形成されており、時計方向に回転可能に配設されている。第4カレンダーロール27は、その回転速度が、第3カレンダーロール26の回転速度と同様に設定されている。また、第4カレンダーロール27は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、第2カレンダーロール25に対して、同一またはそれよりやや低い温度に設定されている。第4カレンダーロール27の表面温度は、第3カレンダーロール26の表面温度を100%としたときに、それに対して、例えば、80〜100%、好ましくは、85〜95%に設定されている。より具体的には、第4カレンダーロール27の表面温度は、70〜120℃、好ましくは、75〜110℃の範囲に設定されている。
【0102】
また、第3カレンダーロール26および第4カレンダーロール27は、互いに垂直方向(鉛直方向)においてニップ部分21が形成されるように対向し、それらのニップ部分21のギャップが、例えば、0.3〜10mm、好ましくは、0.4〜5mmの範囲において、第2カレンダーロール25および第3カレンダーロール26のニップ部分21のギャップを100%としたときに、それに対して、10〜1000%、好ましくは、50〜500%となるように、かつ、そのニップ部分21において、ともに水平方向右側に回転して、つまり、ともに左から右に向かって回転するように配置されている。
【0103】
これらニップ形成ロール22は、シーリング組成物15を圧延してシート状に成形することにより、シーリングシート1を形成する。
【0104】
巻取ロール23は、ニップ形成ロール22によって形成されたシーリングシート1を、巻き取るためのロールである。
【0105】
巻取ロール23は、第4カレンダーロール27の水平方向左側(搬送方向下流側)において第4カレンダーロール27と間隔を隔てて配置されている。巻取ロール23は、第1カレンダーロール24と同様の金属製のロールからなる。巻取ロール23は、第4カレンダーロール27と同一直径および同一幅に形成されており、第4カレンダーロール27と同一方向に回転可能、具体的には、時計方向に回転可能に配設されている。
【0106】
また、巻取ロール23は、その回転速度が、第4カレンダーロール27の回転速度と同様に設定されている。また、巻取ロール23は、その表面温度が、例えば、第4カレンダーロール27より低温であって、特に温度設定されず、雰囲気温度(25℃)とほぼ同じ温度で管理されている。
【0107】
そして、カレンダー20によってシーリング組成物15を圧延して、シーリングシート1を成形するには、まず、第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25のニップ部分21の上方から、第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25との間にシーリング組成物15を投入する。
【0108】
シーリング組成物15の投入量は、例えば、0.1〜50kg/分、好ましくは、0.5〜5kg/分である。
【0109】
次いで、第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25との間に投入されたシーリング組成物15は、第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25とのニップ部分21において、それらの回転によって、垂直方向下側に搬送されながら圧延され、それら第1カレンダーロール24と第2カレンダーロール25とのニップ部分21から送り出される。
【0110】
この第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25の圧延において、シーリング組成物15は、その厚みが、例えば、0.5mm以上、好ましくは、0.5〜10mm、さらに好ましくは、1.0〜5.0mmとなるように圧延される。
【0111】
次いで、第1カレンダーロール24および第2カレンダーロール25のニップ部分21から送り出されたシーリング組成物15は、第2カレンダーロール25の表面に転写される。
【0112】
次いで、第2カレンダーロール25の表面に転写されたシーリング組成物15は、第2カレンダーロール25の回転によって、第2カレンダーロール25と第3カレンダーロール26とのニップ部分21に進入し、それらの回転によって、水平方向左側に搬送されながら圧延され、それら第2カレンダーロール25と第3カレンダーロール26とのニップ部分21から送り出される。
【0113】
この第2カレンダーロール25および第3カレンダーロール26の圧延において、シーリング組成物15は、その厚みが、例えば、0.25〜10mm、好ましくは、0.4〜5mmとなるように圧延される。
【0114】
第2カレンダーロール25および第3カレンダーロール26のニップ部分21から送り出されたシーリング組成物15は、第2カレンダーロール25の表面から剥離されて、第3カレンダーロール26の表面に転写される。
【0115】
次いで、第3カレンダーロール26の表面に転写されたシーリング組成物15は、第3カレンダーロール26の回転によって、第3カレンダーロール26と第4カレンダーロール27とのニップ部分21に進入し、それらの回転によって、水平方向右側に搬送されながら圧延され、それら第3カレンダーロール26と第4カレンダーロール27とのニップ部分21から送り出される。
【0116】
この第3カレンダーロール26および第4カレンダーロール27の圧延において、シーリング組成物15は、その厚みが、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.25〜10mm、さらに好ましくは、0.25〜5mmとなるように圧延される。
【0117】
次いで、第3カレンダーロール26と第4カレンダーロール27とのニップ部分21から送り出されたシーリング組成物15は、第3カレンダーロール26の表面から剥離されて、第4カレンダーロール27の表面に転写される。
【0118】
次いで、第4カレンダーロール27の表面に転写されたシーリング組成物15は、第4カレンダーロール27の回転によって、第4カレンダーロール27の下端部28に至り、次いで、巻取ロール23の回転によって、シーリングシート1として巻取ロール23に巻き取られる。
【0119】
具体的には、第3カレンダーロール26と第4カレンダーロール27とのニップ部分21から送り出されたシーリング組成物15は、第4カレンダーロール27の表面(周面)において、時計方向に180度回転し、第4カレンダーロール27の下端部28に至り、第4カレンダーロール27の下端部28から左側部分(巻取ロール23に対する対向面)29に実質的に残存(付着)することなく、第4カレンダーロール27の下端部28から剥離される。つまり、シーリング組成物15は、第4カレンダーロール27において、下端部28を起点として、第4カレンダーロール27の表面から引き剥がされる。
【0120】
その後、第4カレンダーロール27から剥離されたシーリング組成物15は、シーリングシート1として巻取ロール23に巻き取られる。
【0121】
具体的には、シーリングシート1は、第4カレンダーロール27の下端部28を通過する接線方向(水平方向)に沿うようにして、第4カレンダーロール27と巻取ロール23との間を架設するように搬送され、続いて、巻取ロール23の下端部に至り、巻取ロール23に巻き取られる。
【0122】
巻取ロール23に巻き取られたシーリングシート1の最終的な厚みは、例えば、0.3〜2.0mm、好ましくは、0.4〜1.0mmである。
【0123】
なお、シーリングシート1の表面には、例えば、図3において図示しないが、巻取ロール23に巻き取られる時、あるいは、ニップ形成ロール22における圧延時に、図1が参照されるように、離型シート2を積層して、シーリングシート1を積層シートとして得ることもできる。
【0124】
そして、このシーリングシート1のステンレス板32に対する90度剥離接着力は、2N/10mm以上であるので、シーリングシート1は、封止対象に対する密着性に優れている。そのため、シーリングシート1を封止対象に良好に密着して、封止対象に優れた封止性を付与することができる。
【0125】
一方、例えば、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が上記した上限を超える場合には、図4に示すように、上記したカレンダー20を用いる方法では、第4カレンダーロール27における対向面29から容易に剥離されることがなく、第4カレンダーロール27における巻取ロール23に対する対向面29の下側部分において付着し、その後、その対向面29の周方向途中部分(下端部28および上端部より左側部分)から、屈曲しながら、剥離される。
【0126】
その場合には、対向面29に付着するシーリングシート1は、対向面29に対して屈曲しながら、剥離され、その後、水平方向に対する交差方向、つまり、左側に向かう従って下側に傾斜する傾斜方向に沿うように、巻取ロール23に巻き取られる。そのため、シーリングシート1には屈曲に起因する応力がかかる。そうすると、シーリングシート1には、ニップ形成ロール22のニップ部分21の所定の圧延力以外の余剰の応力がかかるため、巻取ロール23により巻き取られるシーリングシート1の最終的な厚みを所望の厚みに精度よく設定できない。
【0127】
これに対して、上記したシーリングシート1は、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が、10N/10mm以下であるので、上記したカレンダー20を用いる方法では、シーリングシート1が、第4カレンダーロール27に巻き取られることを有効に防止して、第4カレンダーロール27から巻取ロール23に円滑に搬送させることができる。
【0128】
その結果、シーリングシート1を、所望の厚みで、優れた生産性で製造することができる。
【0129】
なお、図3の実施形態では、ニップ形成ロール22を、4つのカレンダーロール24〜27から逆L字形に配置するように設けているが、図示しないが、例えば、2つないし6つのロール、好ましくは、3つ以上のロールを、直立形、水平形、逆L字形、L字形、Z字形、S字形に配置することもできる。
【0130】
そして、このようにして得られるシーリングシート1は、各種産業製品の封止に用いられる。
【0131】
好ましくは、複層ガラスおよび太陽電池パネルの封止に用いられる。
【0132】
図5は、本発明の複層ガラスの一実施形態(シーリングシートが4枚からなる態様)、図6は、図5(a)に示す複層ガラスの製造方法を説明する工程図を示す。
【0133】
なお、図5(b)において、上側ガラス層10は、シーリングシート1の相対配置を明確に示すため、省略されている。
【0134】
次に、上記したシーリングシートによって周端部が封止される複層ガラスについて、図5を参照して説明する。
【0135】
図5において、この複層ガラス3は、厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層としての、上側ガラス層10および下側ガラス層11と、それらの間に設けられ、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の内側に配置される中間層6と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の間に充填されるシーリングシート1とを備えている。
【0136】
上側ガラス層10は、複層ガラス3の最表面(上面)側に設けられ、平面視略矩形状に形成されている。上側ガラス層10の厚みは、例えば、0.5〜3.2mmである。
【0137】
下側ガラス層11は、複層ガラス3の最裏面(下面)側に設けられ、平面視において、上側ガラス層10と同じ大きさの略矩形状に形成されている。下側ガラス層11の厚みは、例えば、0.5〜3.2mmである。
【0138】
中間層6は、平面視において、上側ガラス層10および下側ガラス層11より小さい略矩形状に形成されている。
【0139】
中間層6を形成する材料は、封止樹脂層9(後述)を形成する材料であり、例えば、特に限定されず、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリフッ化ビニリデンなどの樹脂が挙げられる。中間層6の厚みは、例えば、0.3〜1.0mmである。
【0140】
シーリングシート1は、中間層6を封止している。また、シーリングシート1は、図5(b)に示すように、縦方向に長く延びる平面視略矩形状の2枚の縦シーリングシート13と、各縦シーリングシート13の縦方向両端部に接触し、横方向に長く延びる平面視略矩形状の2枚の横シーリングシート14とを備えている。
【0141】
縦シーリングシート13は、上側ガラス層10および下側ガラス層11の横方向両端部の厚み方向間に充填されている。また、横シーリングシート14は、上側ガラス層10および下側ガラス層11の縦方向両端部の厚み方向間に充填されている。
【0142】
次に、上記した複層ガラス3を製造する方法について、図6を参照して説明する。
【0143】
この方法では、図6(a)に示すように、まず、上側ガラス層10を用意する。
【0144】
次いで、図6(b)に示すように、中間層6としての封止樹脂層9を上側ガラス層10の下面に配置する。
【0145】
封止樹脂層9は、上側ガラス層10の周端部が露出するように、配置する。
【0146】
封止樹脂層9の厚みT1は、例えば、0.3〜2.0mm、好ましくは、0.4〜1.0mmに設定されている。
【0147】
次いで、図6(c)に示すように、上記した図5(b)に示す縦シーリングシート13および横シーリングシート14を備えるシーリングシート1を、上記した配置で貼着(仮固定)する。シーリングシート1は、必要により、溶融させながら配置(熱融着)する。
【0148】
シーリングシート1の厚みT2は、上記した封止樹脂層9(圧着前の封止樹脂層9)の厚みT1に対して、例えば、厚く、または、同一の厚みに設定され、具体的には、100〜200%、好ましくは、105〜120%である。より具体的には、シーリングシート1の厚みT2は、例えば、0.3〜2.0mm、好ましくは、0.4〜1.0mmである。
【0149】
シーリングシート1の厚みT2が上記した範囲を超えると、下側ガラス層11との貼り合わせ時の加工性が低下したり、封止樹脂層9から発生するガス(例えば、EVAから発生する酢酸ガス)および/または空気が抜けずに、気泡が封止樹脂層9に残存する場合がある。
【0150】
一方、シーリングシート1の厚みが上記した範囲に満たないと、複層ガラス3の周端部5のシール性を十分に確保することができない場合がある。
【0151】
その後、この方法では、図6(d)に示すように、下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシーリングシート1に貼着する。
【0152】
下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシーリングシート1に貼着するには、下側ガラス層11をシーリングシート1の下面に接触させて、上方に向けて、下側ガラス層11を圧着する。圧着としては、例えば、必要により、熱圧着などが挙げられる。
【0153】
圧着の条件は、常温または加熱雰囲気下で、圧力が、例えば、0.05〜0.5MPa、好ましくは、0.05〜0.2MPaであり、圧着時間が、例えば、1〜60分間、好ましくは、10〜30分間である。
【0154】
熱圧着の場合は、温度が、例えば、100〜180℃、好ましくは、110〜160℃である。
【0155】
圧着により、シーリングシート1が圧縮され、シーリングシート1の厚みT2が封止樹脂層9の厚みT1より厚い場合には、圧着後のシーリングシート1の厚みT3と封止樹脂層9の厚みT1とが略同一となる。
【0156】
これにより、周端部5に、シーリングシート1が充填された複層ガラス3を得ることができる。
【0157】
そして、上記したシーリングシート1は、ステンレス板32に対する90度剥離接着力が、2N/10mm以上であるので、上側ガラス層10および下側ガラス層11に対する密着性に優れている。
【0158】
そのため、上側ガラス層10および下側ガラス層11に良好に密着して、複層ガラス3の周端部5に優れた封止性を付与することができる。
【0159】
さらに、このシーリングシート1は、熱圧着することにより、複層ガラス3に均一に密着させることができるため、複層ガラス3に貼着(仮固定)した後、加熱することにより、複層ガラス3に、優れた水蒸気バリア性を付与することができる。そのため、複層ガラス3の性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【0160】
その結果、複層ガラス3の性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【0161】
なお、図5の実施形態では、中間層6を樹脂からなる樹脂層(封止樹脂層9)として形成しているが、例えば、空気または不活性気体(例えば、窒素など)からなる空気層として形成することができ、さらには、真空状態(あるいは減圧状態)とした真空層として形成することもできる。
【0162】
図7は、太陽電池モジュール(シーリングシートが1枚からなる態様)の平面図を示す。なお、以降の各図面において、上記した各部に対応する部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0163】
図5(b)の実施形態では、シーリングシート1を、4枚の平面視略矩形状のシーリングシート(2枚の縦シーリングシート13および2枚の横シーリングシート14)から形成しているが、例えば、図7に示すように、1枚のシーリングシートから形成することもできる。
【0164】
シーリングシート1は、例えば、図示しないが、上記した成形装置(具体的には、図3のカレンダー20)により、平面視略矩形状に形成し、その後、中央(縦方向中央および横方向中央)を打ち抜き加工することにより得ることができる。
【0165】
図8は、本発明の太陽電池パネルの一実施形態、図9は、図8(a)に示す太陽電池パネルの製造方法を説明する工程図、図10は、図8(a)に示す太陽電池パネルを備えるフレームレス太陽電池モジュール(第2シーリングシートが設けられたフレームレス太陽電池モジュール)の一部拡大断面図、図11は、図8(a)に示す太陽電池パネルを備える太陽電池モジュール(フレームが設けられた太陽電池モジュール)の説明図を示す。
【0166】
次に、図3に示すシーリングシートによって周端部が封止される太陽電池パネルについて、図8および図9を参照して説明する。
【0167】
図8において、この太陽電池パネル4は、ガラス層としての上側ガラス層10と、上側ガラス層10と下方に間隔を隔てて配置される支持層としての下側ガラス層11と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の間に設けられ、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の内側に配置される太陽電池素子8およびそれを封止する封止樹脂層9と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の間に充填されるシーリングシート1とを備えている。
【0168】
太陽電池素子8としては、例えば、結晶シリコン系やアモルファスシリコン系などの公知の太陽電池素子が挙げられる。太陽電池素子8は、略矩形平板形状をなし、平面視において、上側ガラス層10および下側ガラス層11の中央部に配置されている。
【0169】
また、太陽電池素子8は、上側ガラス層10の下面に積層されている。太陽電池素子8の厚みは、封止樹脂層9の厚みより薄く、具体的には、例えば、0.01〜500μmである。
【0170】
封止樹脂層9は、太陽電池素子8を封止している。
【0171】
シーリングシート1は、封止樹脂層9を封止している。
【0172】
次に、上記した太陽電池パネル4を製造する方法について、図9を参照して説明する。
【0173】
この方法では、まず、図9(a)および図9(b)に示すように、太陽電池素子8を上側ガラス層10の下面に配置する。
【0174】
次いで、図9(c)に示すように、封止樹脂層9を配置する。
【0175】
封止樹脂層9は、太陽電池素子8を被覆し、かつ、上側ガラス層10の周端部が露出するように、配置する。
【0176】
次いで、図9(d)に示すように、シーリングシート1を貼着(仮固定)する。
【0177】
その後、この方法では、図9(e)に示すように、下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシーリングシート1に貼着する。
【0178】
下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシーリングシート1に貼着するには、下側ガラス層11をシーリングシート1の下面に接触させて、上方に向けて、下側ガラス層11を圧着する。圧着では、例えば、真空(減圧)下で、圧着する。
【0179】
これにより、周端部5に、シーリングシート1が充填された太陽電池パネル4を得ることができる。
【0180】
この太陽電池パネル4では、上記した複層ガラス3の作用効果に加えて、太陽電池素子8の劣化に起因する発電効率の低下を有効に防止することができる。
【0181】
なお、図8および図9の実施形態では、本発明の支持層を、下側ガラス層11として説明しているが、例えば、透湿性樹脂などの樹脂からなる下側樹脂層(バックシート)11として形成することもできる。
【0182】
また、上記した図8の太陽電池パネル4は、フレームを用いないフレームレス太陽電池モジュール12として用いることができ、あるいは、図11に示すように、フレーム16を用いる太陽電池モジュール7として用いることもできる。
【0183】
また、図10に示すように、フレームレス太陽電池モジュール12は、太陽電池パネル4の周端部5に公知のシーリングシート(第2シーリングシート)15が設けられたフレームレス太陽電池モジュール12として用いることもできる。
【0184】
図10において、第2シーリングシート18は、太陽電池パネル4の周端部5において、太陽電池パネル4の内側に向かって開く断面略コ字形状に形成されており、上側ガラス層10の周側面および上面と、第1シーリングシート1の周側面と、下側ガラス層11の周側面および下面とに、連続して形成されている。
【0185】
図11において、この太陽電池モジュール7は、太陽電池パネル4と、太陽電池パネル4の周端部5に設けられるフレーム16と、それらの間に介在される第2シーリングシート18とを備えている。
【0186】
フレーム16は、太陽電池パネル4の各辺に沿って、それぞれ設けられる。フレーム16は、太陽電池パネル4に向かって内側に開く断面略コ字形状に形成されている。フレーム16は、例えば、金属材料(アルミニウムなど)や樹脂材料(アクリル樹脂など)から形成され、好ましくは、金属材料から形成されている。
【0187】
フレーム16は、図11(b)に示すように、各辺に沿う長手方向端部が互いに接合されて4つの角を形成し、平面視において略矩形枠状となるように組み付けられる。
【実施例】
【0188】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0189】
実施例1、2および比較例1〜3
表1に記載される各成分を、表1の配合処方に従って、ニーダー(DS1−5GHB−E型、1Lニーダー、6インチオープンロール付き、モリヤマ社製)に一括投入して、120℃で混練し、シーリング組成物を調製した。
【0190】
次いで、調製したシーリング組成物を、図3に示すカレンダー(カレンダーロール装置「4L−8a」、日立製作所社製)を用いて、下記の表2に示す圧延条件で圧延することにより、厚み0.5mm、幅300mmのシーリングシート(A)と、厚み1.0mm、幅300mmのシーリングシート(B)とをそれぞれ形成した。
【0191】
また、各シーリングシートの表面には、離型シートを積層した(図1参照)。
【0192】
【表1】
【0193】
なお、表1の各成分の詳細を以下に記載する。
JSR BUTYL ♯065:ブチルゴム、不飽和度0.8モル%、ムーニー粘度32(ML1+8、125℃)、JSR社製
Oppanol B−100EP:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量110万、BASF社製
DFD−2005:結晶性ポリエチレン、日本ユニカー社製
REXtac2585:非晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体、軟化点(A
STM E 28、環球法):129℃、Huntsman社製
エスクロンV−120:クマロン系樹脂、軟化点(荷重たわみ温度)120℃、日塗化学社製
エスコレッツ1401:脂肪族炭化水素樹脂、軟化点119℃(ASTM D6090−97に準拠)、エクソンモービル社製
テトラックス4T:低分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量4万、流動点77.5℃、JX日鉱日石エネルギー社製
テトラックス5T:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量5万、流動点97.5℃、JX日鉱日石エネルギー社製
テトラックス6T:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量6万、流動点112.5℃、JX日鉱日石エネルギー社製
シースト3H:カーボンブラック、平均粒子径27nm、東海カーボン社製
【0194】
【表2】
【0195】
(評価)
各実施例および各比較例で得られたシーリングシートについて、(1)ステンレス板に対する90度剥離接着力、(2)ロール剥離性、および、(3)ラミネート性を評価した。
【0196】
各評価の詳細を以下に記載する。
(1)ステンレス板に対する90度剥離接着力試験
まず、図2(a)に示すように、厚み38μmのPETシートからなる裏打ち材(表面が剥離処理されていない)31を、厚み0.5mmのシーリングシート1(A)の裏面33に積層して、裏打ち材31によりシーリングシート1を裏打ちした。
【0197】
次いで、シーリングシート1を10mm幅に切り出し、短冊状の試験片30を作製した。
【0198】
次いで、図2(a)の仮想線で示すように、離型シート2を試験片30から引き剥がし、その後、図2(b)に示すように、60℃において、シーリングシート1の表面34が、トルエン(溶剤)で予め洗浄したSUS430BAからなるステンレス板32の表面35(表面粗さRz:0.06μm)に接触するように、試験片30とステンレス板32とを重ね合わせた。
【0199】
その後、60℃で、その上を2Kgのローラーで1往復することにより、試験片30をステンレス板32に貼着させた。
【0200】
次いで、試験片30およびステンレス板32を、引張試験機に配置した。次いで、試験片30を、ステンレス板32に対して90度の角度で、速度300mm/分で、剥離したときの剥離接着力を測定した。
【0201】
併せて、剥離時の剥離(破壊)モードを、目視にて観察した。
【0202】
それらの結果を、表1に示す。
(2)ロール剥離性(生産性)
シーリング組成物を図3で示すカレンダー20によってシーリングシートに圧延成形したときに、シーリングシート1が、第4カレンダーロール27の対向面29に付着するか否かを、下記の評価基準に従って評価した。これにより、ロール剥離性(生産性)を評価した。
【0203】
○:図3に示すように、シーリングシート1が、第4カレンダーの対向面29に付着することなく、下端部28から剥離された。
【0204】
×:図4に示すように、シーリングシート1が、第4カレンダーの対向面29に部分的に付着し、対向面29から屈曲するように剥離された。
(3)ラミネート性(封止性)
図12は、ラミネート性(封止性)の評価に用いられる評価用複層ガラスを示す。なお、図12(b)において、上側ガラス層10は、シーリングシート1の相対配置を明確に示すため、省略されている。
【0205】
図12(a)および図12(b)が参照されるように、まず、サイズ100mm×100mm、厚み3.2mmの白板未強化ガラスからなる上側ガラス層10を用意した。
【0206】
別途、厚み1.0mmのシーリングシート1(B)を100mm×10mmに切断加工して、2枚の縦シーリングシート13を作製した。また、厚み1.0mmのシーリングシート1を80mm×10mmに切断加工して、2枚の横シーリングシート14を作製した。
【0207】
次いで、縦シーリングシート13および横シーリングシート14を、上側ガラス層の周端部5の表面(下面)に上記した配置で貼着し、続いて、各離型シート2(図1参照)を縦シーリングシート13および横シーリングシート14から剥離した。
【0208】
その後、上側ガラス層10と同一の材料、形状および大きさの下側ガラス層11を用意し、それを、縦シーリングシート13および横シーリングシート14に貼着した。
【0209】
その後、上側ガラス層10および下側ガラス層11と、縦シーリングシート13および横シーリングシート14とを圧着した。
【0210】
圧着は、下記の圧着装置を用いて、下記の圧着条件(A)および(B)を順次実施した。
【0211】
圧着装置:真空プレス装置(型式「MS−VPF−50」、名庄プレス社製)
圧着条件(A):真空下で、0.1MPa、150℃、5分間
圧着条件(B):圧着条件(A)後、常圧下で、0.1MPa、150℃、5分間
これにより、評価用複層ガラス3を作製した。なお、縦シーリングシート13および横シーリングシート14で仕切られる空間は、空気が充填された空気層6とされた。
【0212】
その後、評価用複層ガラス3を下記の評価基準に従って、ラミネート性(封止性)を評価した。
【0213】
その結果を表1に示す。
【0214】
(評価基準)
○:縦シーリングシート13および横シーリングシート14に気泡や浮きがなく、空気層6が均一に封止されていることを目視による観察によって確認した。
【0215】
×:縦シーリングシート13および横シーリングシート14に気泡や浮きが発生し、空気層6の封止が不十分であることを目視による観察によって確認した。
【符号の説明】
【0216】
1 シーリングシート
3 複層ガラス(評価用複層ガラス)
4 太陽電池パネル
5 周端部
6 中間層
8 太陽電池素子
9 封止樹脂層(第2シーリングシート)
10 上側ガラス層
11 下側ガラス層(支持層)
15 シーリング組成物
20 カレンダー
21 ニップ部分
22 ニップ形成ロール
23 巻取ロール
32 ステンレス板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、
炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンと
を含有するシーリング組成物であり、
前記シーリング組成物から形成されるシーリングシートを60℃でステンレス板に貼着した後、前記ステンレス板に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力が、2N/10mm以上、10N/10mm以下であることを特徴とする、シーリング組成物。
【請求項2】
粘着付与剤をさらに含有し、
前記粘着付与剤が、軟化点が90〜140℃のクマロン系樹脂を含有し、
前記粘着付与剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載のシーリング組成物。
【請求項3】
前記ゴム成分が、ブチルゴムを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシーリング組成物。
【請求項4】
前記ゴム成分が、ブチルゴムおよび粘度平均分子量30万以上の高分子量ポリイソブチレンを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシーリング組成物。
【請求項5】
軟化剤をさらに含有し、
前記軟化剤が、粘度平均分子量1万以上30万未満の低分子量ポリイソブチレンを含有し、
前記軟化剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1〜30質量部であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーリング組成物からカレンダーにより形成されていることを特徴とする、シーリングシート。
【請求項7】
複層ガラスの端部の封止に用いられることを特徴とする、請求項6に記載のシーリングシート。
【請求項8】
太陽電池パネルの端部の封止に用いられることを特徴とする、請求項6に記載のシーリングシート。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーリング組成物をカレンダーにより形成する工程
を備えることを特徴とする、シーリングシートの製造方法。
【請求項10】
前記カレンダーは、
ニップ部分が形成されるように隣接する複数のニップ形成ロールと、
前記ニップ形成ロールの前記シーリングシートの搬送方向下流側に間隔を隔てて配置される巻取ロールと
を備える
ことを特徴とする、請求項9に記載のシーリングシートの製造方法。
【請求項11】
厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層と、
2枚の前記ガラス層の間に設けられ、前記ガラス層の端部の内側に配置される中間層と、
2枚の各前記ガラス層の端部の間に、前記中間層を封止するように充填される請求項7に記載のシーリングシートと
を備えることを特徴とする、複層ガラス。
【請求項12】
ガラス層と、
前記ガラス層と厚み方向に間隔を隔てて配置される支持層と、
前記ガラス層および前記支持層の間に設けられ、前記ガラス層および前記支持層の端部の内側に配置される太陽電池素子およびそれを封止する封止樹脂層と、
前記ガラス層および前記支持層の端部の間に、前記封止樹脂層を封止するように充填される請求項8に記載のシーリングシートと
を備えることを特徴とする、太陽電池パネル。
【請求項1】
ゴム成分と、
炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンと
を含有するシーリング組成物であり、
前記シーリング組成物から形成されるシーリングシートを60℃でステンレス板に貼着した後、前記ステンレス板に対して90度で速度300mm/分で剥離したときの90度剥離接着力が、2N/10mm以上、10N/10mm以下であることを特徴とする、シーリング組成物。
【請求項2】
粘着付与剤をさらに含有し、
前記粘着付与剤が、軟化点が90〜140℃のクマロン系樹脂を含有し、
前記粘着付与剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載のシーリング組成物。
【請求項3】
前記ゴム成分が、ブチルゴムを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシーリング組成物。
【請求項4】
前記ゴム成分が、ブチルゴムおよび粘度平均分子量30万以上の高分子量ポリイソブチレンを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシーリング組成物。
【請求項5】
軟化剤をさらに含有し、
前記軟化剤が、粘度平均分子量1万以上30万未満の低分子量ポリイソブチレンを含有し、
前記軟化剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1〜30質量部であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーリング組成物からカレンダーにより形成されていることを特徴とする、シーリングシート。
【請求項7】
複層ガラスの端部の封止に用いられることを特徴とする、請求項6に記載のシーリングシート。
【請求項8】
太陽電池パネルの端部の封止に用いられることを特徴とする、請求項6に記載のシーリングシート。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーリング組成物をカレンダーにより形成する工程
を備えることを特徴とする、シーリングシートの製造方法。
【請求項10】
前記カレンダーは、
ニップ部分が形成されるように隣接する複数のニップ形成ロールと、
前記ニップ形成ロールの前記シーリングシートの搬送方向下流側に間隔を隔てて配置される巻取ロールと
を備える
ことを特徴とする、請求項9に記載のシーリングシートの製造方法。
【請求項11】
厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層と、
2枚の前記ガラス層の間に設けられ、前記ガラス層の端部の内側に配置される中間層と、
2枚の各前記ガラス層の端部の間に、前記中間層を封止するように充填される請求項7に記載のシーリングシートと
を備えることを特徴とする、複層ガラス。
【請求項12】
ガラス層と、
前記ガラス層と厚み方向に間隔を隔てて配置される支持層と、
前記ガラス層および前記支持層の間に設けられ、前記ガラス層および前記支持層の端部の内側に配置される太陽電池素子およびそれを封止する封止樹脂層と、
前記ガラス層および前記支持層の端部の間に、前記封止樹脂層を封止するように充填される請求項8に記載のシーリングシートと
を備えることを特徴とする、太陽電池パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−82763(P2013−82763A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221697(P2011−221697)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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