説明

シールゴムおよび光学機器

【課題】固体撮像素子に大きな圧力を加えることなく、かつ高いシール性を有する固体撮像素子と光学系との間に設けられたシールゴムを提供する。
【解決手段】シールゴム20は、所定の撮像領域を撮像するCCD11と、CCD11用のレンズとの間に設けられ、CCD11およびレンズによって圧縮されながら、両者間をシールするために用いられる。シールゴム20は、撮像領域を囲む矩形状であり、その四隅に、CCD11およびレンズによって圧縮されることによって生じる応力を逃がす切欠き部24を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シールゴムおよび光学機器に関し、特に、固体撮像素子と光学系との間をシールするシールゴムおよび光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、CCD(Charge Coupled Device)のような固体撮像素子と光学系との間に設けられたシールゴムが、たとえば、特開平5−227492号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1のような、従来の、固体撮像素子と光学系とその間に設けられたシールゴムとからなる撮像部の構成を図4に示す。図4(A)は、撮像部の平面図であり、図4(B)は、図4(A)において、IVB−IVBで示す部分の断面図である。図4(A)および(B)を参照して、従来の撮像部30はCCD11のような固体撮像素子と、レンズ12のような光学系と、CCD11とレンズ12との間をシールするシールゴム31とを含む。従来の撮像部30を構成するCCD11、レンズ12、シールゴム31は全て矩形状を有しており、シールゴム31のレンズ側は比較的広い幅でレンズ12に当接し、CCD側は、先端部が突出した形状でCCD11に当接していた。
【0004】
撮像部30を組み立てるときは、図4(B)に示すように、レンズ12からCCD11を押すことによって、シールゴム31が圧縮される。このとき、シールゴム31が図中矢印で示す方向に倒れこみ、シールが十分できなかったり、下面にあるCCD11に圧力がかかりすぎて不具合が生じる場合があった。
【0005】
このような問題を避けるために、シールゴムの形状を図5(A)および(B)に示すような形状とする場合がある。図5(A)および(B)は、図4(A)および(B)に対応する図である。図5(A)および(B)に示す形状では、上方向から力が加えられると容易に変形し、CCD11に荷重がかからない。
【特許文献1】特開平5−227492号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のCCD11のような固体撮像素子とレンズ12のような光学系とその間に設けられたシールゴム31,32とは上記のように構成されていた。しかしながら、図5(A)および(B)に示すようなシールゴム32では、その上部から圧力がかかると、容易に変形して四隅のみがCCD11やレンズ12と当接し、それ以外の部分が凹んで周囲からごみ等が侵入して十分なシール性が保てないという問題があった。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、固体撮像素子に大きな圧力を加えることなくかつ高いシール性を有する、固体撮像素子と光学系との間に設けられたシールゴム、および、光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るシールゴムは、所定の撮像領域を介して撮像する固体撮像素子と、固体撮像素子用の光学系との間に設けられ、固体撮像素子および光学系によって圧縮されながら、固体撮像素子および光学系の間をシールするために用いられる。シールゴムは、撮像領域を囲むように設けられ、固体撮像素子および光学系によって圧縮されることによって生じる応力を逃がす切欠き部を、その少なくとも一部に有する。
【0009】
シールゴムは、固体撮像素子および光学系によって圧縮されたとき、圧縮されることによって生じる応力を逃がす切欠き部をその少なくとも一部に設けたため、発生した応力は、切欠き部によって吸収される。その結果、固体撮像素子に大きな圧力を加えることなく、かつ高いシール性を有する、固体撮像素子と光学系との間に設けられたシールゴムを提供できる。
【0010】
好ましくは、シールゴムは、固体撮像素子から離れた位置で光学系に当接する第1当接部と、光学系から離れた位置で固体撮像素子に当接する第2当接部と、第1当接部および第2当接部を接続する接続部とを含む。
【0011】
第1および第2当接部は平坦部を有するのが好ましい。
【0012】
シールゴムは矩形状であってもよい。
【0013】
なお、矩形状のシールゴムは、その四隅に切欠き部を有するのが好ましい。
【0014】
また、切欠き部の形状は矩形状であってもよい。
【0015】
さらに、第2当接部は、外延部に肉厚の厚い部分を有する。
【0016】
この発明の他の局面においては、光学機器は、所定の撮像領域を介して撮像する固体撮像素子と、固体撮像素子用の光学系と、固体撮像素子および光学系によって圧縮されながら、両者間をシールするために用いられるシールゴムとを含み、シールゴムは、撮像領域を囲むように設けられ、固体撮像素子および光学系によって圧縮されることによって生じる横方向の応力を逃がす切欠き部を、その少なくとも一部に有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明に係るシールゴムの一実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はこの実施の形態におけるシールゴム20を示す図である。図1(A)は平面図であり、図1(B)は図1(A)において、IB−IBで示す部分の断面図である。図1においては、CCD11およびレンズ12を省略している。
【0018】
図1を参照して、シールゴム20は、従来と同様に、CCD11のような固体撮像素子が撮像する所定の撮像領域を囲む矩形状であり、CCD11から離れた位置でレンズ12に当接する第1当接部21と、レンズ12から離れた位置でCCD11に当接する第2当接部23と、第1当接部21および第2当接部23を接続する接続部22とを含む。CCD11は、撮像領域を介して対象物を撮像する。
【0019】
この実施の形態によれば、第1および第2当接部21,23は、CCD11およびレンズ12と面接触する平坦部を有しており、矩形状の第1当接部21の四隅(図中丸印で示す)には、矩形状の切欠き部24が設けられている。
【0020】
このように、この実施の形態においては、シールゴム20の四隅に矩形状の切欠き部24を設けたため、上からシールゴム20全体に力がかかって四隅に力が集中しても、切欠き部24によってその応力が逃がされる。その結果、四隅のみならずその中央部においてもシール部の沈み込みや浮き上がりを低減でき、光学系とCCDとの間で十分なシールが可能なシールゴム20を提供できる。
【0021】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図2はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図2を参照して、この実施の形態に係るシールゴム25は、基本的に図1に示したものと同じ形状を有しているが、第2当接部26の外延部に他の部分よりも肉厚の大きい立上り部27が設けられている点が先の実施の形態と異なっている。
【0022】
すなわち、この実施の形態においては、第2当接部26の外延部に立上り部27を設けてその肉厚を第1当接部21より厚くしたため、この部分での浮き上がりを防止することができ、よりシール性を高めることができる。
【0023】
次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。図3はこの発明のさらに他の実施の形態を示す図である。図3を参照して、この実施の形態に係るシールゴムは、基本的に先に示したものと同じ形状を有しているが、第1当接部に形成された切欠き部24の形状が矩形状ではなく、三角形状のスリット28になっている。このような形状でも、上下方向から押されたときに、四隅に集中する応力を低減でき、シール性を高めることが可能である。なお、このスリット28は、三角形状の隙間を設けることなく、単なる切込みであってもよい。
【0024】
なお、上記各実施の形態においては、第1当接部に矩形状や三角形状の切欠き部を設けた例について説明したが、これに限らず、シールゴムの形状が矩形状であれば、四隅において、周囲からの応力の集中を防ぐ構造であれば、切欠き部の形状は、円形等の任意の形状であってよい。
【0025】
また、上記実施の形態では、シールゴムが矩形状の場合について説明したが、これに限らず、三角形状や、多角形状のシールゴムであってもよく、その角部に応力を逃がす切欠き部のような応力逃がし部を設ければよい。
【0026】
このような多角形状の場合、各辺の接続部を円形状としたり、各辺の中央部に応力を逃がす切欠き部を設けてもよい。
【0027】
さらに、円形状や、楕円形状等であれば、基本的に応力集中は生じにくいため、シールゴム自体をこのような形状としてもよい。また、シールゴムを、撮像領域を囲む任意の形状とし、その一部に、上下からの圧縮によって生じる横方向に逃げる力が集中して生じる応力を逃がす部分を設けてもよい。
【0028】
なお、第1および第2当接部21,23は平坦状ではなく、円形等の任意の形状であってもよい。
【0029】
また、このシールゴムは、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話等の、CCDのような固体撮像素子と光学系との間をシールする任意の光学機器に利用可能である。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明によるシールゴムは、レンズのような光学系とCCDのような固体撮像素子との間で十分なシール性を有するため、シールゴムとして有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の一実施の形態に係るシールゴムを示す図である。
【図2】この発明の他の実施の形態に係るシールゴムを示す図である。
【図3】この発明のさらに他の実施の形態に係るシールゴムを示す図である。
【図4】従来のシールゴムを示す図である。
【図5】従来のシールゴムの他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
11 CCD、12 レンズ、20 シールゴム、21 第1当接部、22 接続部、23 第2当接部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の撮像領域を介して撮像する固体撮像素子と、前記固体撮像素子用の光学系との間に設けられ、前記固体撮像素子および前記光学系によって圧縮されながら、前記固体撮像素子および前記光学系の間をシールするために用いられるシールゴムであって、
前記シールゴムは、前記撮像領域を囲むように設けられ、前記固体撮像素子および前記光学系によって圧縮されることによって生じる応力を逃がす切欠き部を、その少なくとも一部に有する、シールゴム。
【請求項2】
当該シールゴムは、前記固体撮像素子から離れた位置で前記光学系に当接する第1当接部と、前記光学系から離れた位置で前記固体撮像素子に当接する第2当接部と、前記第1当接部および前記第2当接部を接続する接続部とを含む、請求項1に記載のシールゴム。
【請求項3】
前記第1および第2当接部は平坦部を有する、請求項2に記載のシールゴム。
【請求項4】
当該シールゴムは、矩形状である、請求項1から3のいずれかに記載のシールゴム。
【請求項5】
前記矩形状のシールゴムは、その四隅に前記切欠き部を有する、請求項4に記載のシールゴム。
【請求項6】
前記切欠き部の形状は矩形状である、請求項1から5のいずれかに記載のシールゴム。
【請求項7】
前記第2当接部は、外延部に肉厚の厚い部分を有する、請求項2から6のいずれかに記載のシールゴム。
【請求項8】
所定の撮像領域を介して撮像する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子用の光学系と、
前記固体撮像素子および前記光学系によって圧縮されながら、両者間をシールするために用いられるシールゴムとを含み、
前記シールゴムは、前記撮像領域を囲むように設けられ、前記固体撮像素子および前記光学系によって圧縮されることによって生じる横方向の応力を逃がす切欠き部を、その少なくとも一部に有する、光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−211734(P2008−211734A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48891(P2007−48891)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000114710)ヤマウチ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】