説明

シールドトンネルの覆工体構築方法およびソイルセメント中詰めセグメント

【課題】本発明は、シールド工事等で発生した発生土を有効利用可能なシールドトンネルの覆工体構築方法およびソイルセメント中詰めセグメントを提供すること。
【解決手段】シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化剤および水を添加混合してソイルセメントSとし、該ソイルセメントSをシールドトンネルの覆工体またはシールドトンネル用セグメント2内部への充填材として再利用するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドトンネルの覆工体構築方法およびソイルセメント中詰めセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル覆工体は、複数のセグメントをシールドマシンよりトンネル円周方向にリング状に接続してセグメントリングを構成し、構築された覆工体から反力を得ることでシールドマシンを掘進させ、次のセグメントリングを構成することを繰り返すことによって、セグメントリングをトンネル軸方向に接続して構成される。この際、シールド工法によるトンネル断面の掘削によって多くの土砂が発生し地上に搬出されるが、このような発生土は、例えば特許文献1にみられるように、発生土に硬化材を添加して強度を得ることで、トンネルインバート材として再利用する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−259947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発生土を再利用する用途は限られているため、シールド工事の際には多くの掘削土が残り、そのまま産業廃棄物として処分されているのが現状である。また、掘削土を処分するには運搬費などの産廃コストが必要になるため、シールド工事全体のコスト増にもつながる。さらに、発生土を運搬するトラックによる都市部での交通渋滞やそれに起因して発生するCO2 等によって環境に悪影響を及ぼしかねない。上述したように、シールド工事による発生土の処分方法に着目すると、現状のシールド工法は、環境対応型の工法とは言えない。
【0005】
本発明の目的は、上述した事情を考慮してなされたもので、シールド工事等で発生した発生土を有効利用可能なシールドトンネルの覆工体構築方法およびソイルセメント中詰めセグメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のシールドトンネルの覆工体構築方法は、シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合してソイルセメントを生成し、シールド工法により構築されるトンネル覆工体用の部材として用いられるセグメントの内部に前記ソイルセメントを充填してソイルセメント中詰めセグメントを構成し、前記ソイルセメント中詰めセグメントをシールドマシンによりリング状に連結して組み立てるとともに、組み立てた覆工体から反力を得ることでシールドマシンを掘進させる手順を繰り返して、シールドトンネルの覆工体を構築することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載のシールドトンネルの覆工体構築方法は、シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合してソイルセメントを生成し、シールド工法により構築されるトンネル覆工体用の部材として用いられるセグメントをシールドマシンによりリング状に連結して組み立てるとともに、組み立てた1つまたは複数のセグメントの内部に前記ソイルセメントを充填し、充填したソイルセメントが固化した後に、シールドマシンを掘進させる手順を繰り返して、シールドトンネルの覆工体を構築することを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項2に記載のシールドトンネルの覆工体構築方法において、少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く五面が覆われるとともに、トンネル内空側に前記ソイルセメントを充填するための凹部が設けられた五面鋼殻セグメントを用い、前記五面鋼殻セグメントをシールドマシンよりリング状に連結して組み立てた後に、内型枠を用いることによって前記凹部に前記ソイルセメントを充填する構成が採用できる。
また、少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く五面が覆われた内部にコンクリートが中詰めされるとともに、トンネル内空側に前記ソイルセメントを充填するための凹部が設けられたコンクリート中詰め合成セグメントを用い、前記コンクリート中詰め合成セグメントをシールドマシンよりリング状に連結して組み立てた後に、内型枠を用いることによって前記凹部に前記ソイルセメントを充填してもよい。
さらに、鉄筋コンクリートで構成されるとともに、トンネル内空側に前記ソイルセメントを充填するための凹部または中空部が設けられたRCセグメントを用い、前記RCセグメントをシールドマシンよりリング状に連結して組み立てた後に、内型枠を用いることによって前記凹部または中空部に前記ソイルセメントを充填してもよい。
また、少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される外側スキンプレートと、トンネル内空側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される内側スキンプレートと、を有して全六面を鋼殻で覆われた六面鋼殻セグメントを用い、前記内側スキンプレートに設けた開口から前記六面鋼殻セグメント内部に前記ソイルセメントを充填してもよい。
【0009】
一方、請求項7に記載のソイルセメント中詰めセグメントは、シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合して生成したソイルセメントを用いたシールドトンネルの覆工体構築用のソイルセメント中詰めセグメントであって、少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く五面が覆われた五面鋼殻セグメントに前記ソイルセメントが充填されたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項8に記載のソイルセメント中詰めセグメントは、シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合して生成したソイルセメントを用いたシールドトンネルの覆工体構築用のソイルセメント中詰めセグメントであって、少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く五面が覆われた内部にコンクリートが中詰めされるとともに、トンネル内空側に前記ソイルセメントを充填するための凹部が設けられたコンクリート中詰め合成セグメントの前記凹部に前記ソイルセメントが充填されたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項9に記載のソイルセメント中詰めセグメントは、シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合して生成したソイルセメントを用いたシールドトンネルの覆工体構築用のソイルセメント中詰めセグメントであって、少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される外側スキンプレートと、トンネル内空側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される内側スキンプレートと、を有して全六面を鋼殻で覆われた六面鋼殻セグメントの内部に前記ソイルセメントが充填されたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項9に記載のソイルセメント中詰めセグメントにおいて、前記内側スキンプレートに前記ソイルセメントを充填するための充填口が設けられることが好ましい。
さらに、請求項7から請求項10のいずれかに記載のソイルセメント中詰めセグメントにおいて、前記主桁、前記継手板、および前記主桁間を連結する縦リブの1つまたは複数に前記ソイルセメントを充填するための開口が設けられることが好ましい。
【0013】
また、請求項12に記載のソイルセメント中詰めセグメントは、シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合して生成したソイルセメントを用いたシールドトンネルの覆工体構築用のソイルセメント中詰めセグメントであって、鉄筋コンクリートで構成されるとともに、前記ソイルセメントを充填するための凹部または中空部が設けられたRCセグメントの前記凹部または中空部に前記ソイルセメントが充填されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、シールド工事等で発生した発生土を産業廃棄物としてそのまま処分するのではなく、発生土に少なくともセメント等の硬化剤および水を添加混合してソイルセメントとし、該ソイルセメントをシールドトンネルの覆工体またはシールドトンネル用セグメント内部への充填材として再利用することで産業廃棄物を減らすことができ、環境対応型のシールド工事を行える。さらには該ソイルセメントをセグメントの構造材として利用することでセグメント製作コスト削減を図ることが可能になり、シールド工事トータルコストダウンにつながる。
以上のように、本発明に係るシールドトンネルの覆工体構築方法およびソイルセメント中詰めセグメントによれば、シールド工事で発生した発生土にセメント等の硬化材および水を添加混合してソイルセメントとし、該ソイルセメントをシールドトンネルの覆工体およびセグメント内部への充填材として再利用するようにしたので、シールド工事で発生した発生土を有効利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るシールドトンネルの覆工体を示す斜視図である。
【図2】トンネル内空面側スキンプレートを有さないソイルセメント中詰め鉄鋼製セグメントの斜視図である。
【図3】トンネル内空面側スキンプレートを有さない他のソイルセメント中詰め鉄鋼製セグメントの斜視図である。
【図4】ソイルセメント中詰め中子型RCセグメントの斜視図である。
【図5】前記覆工体内部へのソイルセメント充填方法を示した模式図である。
【図6】トンネル内空面側スキンプレートを有し、全六面を鋼殻で構成されたソイルセメント中詰め鉄鋼製セグメントの鋼殻の斜視図である。
【図7】図6のセグメントを用いて構築する前記覆工体内部へのソイルセメント充填方法を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるシールドトンネルの覆工体1の一例を示す斜視図であり、この覆工体1は、図2〜4に示すセグメント2〜4を組み合わせて構築されるものである。なお、図1においては、覆工体1のトンネルリングの構築方法として、セグメント2〜4同士の継手面を交互に連結する千鳥組を例示するが、継手面を同一直線上に連結するいも継であってもよい。
【0017】
図2には、ソイルセメント中詰めセグメントの一例として、トンネル内空面側スキンプレートを有さないソイルセメント中詰め鉄鋼製セグメント2が示されている。図2では、少なくとも一対の主桁21が平行に配設され、左右の主桁21の両端部間が継手板22で連結されており、主桁21と継手板22で組まれた矩形のセグメント枠23の地山G側外端面にスキンプレート24が溶接されて、さらに左右の主桁21の間には、所定の間隔をあけて複数の縦リブ25が配設され、その両端が主桁21に溶接で固定されて鋼殻20が構成されている。この鋼殻20の内部に中詰めソイルセメントSが充填される。
【0018】
本発明の実施形態において、ソイルセメントを充填することができるセグメントの種類として、図2に示されるような鋼製セグメント2の他に、図3に示されるような鋼製セグメント内部に予めコンクリートCを中詰めしたセグメントで内空面側にソイルセメントが中詰めできる凹部31を有するコンクリート中詰め合成セグメント3や、図4に示されるような凹部41や中空部42を有する中子型RCセグメント4の何れも用いることができ、このようにソイルセメントSが充填されたセグメント2〜4をソイルセメント中詰めセグメントと定義する。
【0019】
また、図2に示すようなセグメント2においては、鋼殻20を構成している主桁21、継手板22、縦リブ25に開口26を設けている点に特徴がある。開口26は、鋼殻20の内部に中詰めソイルセメントSを充填したときの充填性を高め、セグメント内部隅々まで隙間なく中詰めソイルセメントSが充填されるようにするものである。また、このような開口26を設けたセグメント2であって、ソイルセメントSを中詰めしていないものを用いた場合には、リング状に連結して組み立てた後にセグメント2の内部にソイルセメントSを現場で充填し、ソイルセメントSが固化した後にシールドマシンを掘進するという手順を繰り返して、シールドトンネルの覆工体1を構築することも可能である。
【0020】
さらに説明すると、図5に示すように、ソイルセメントSの充填方法として、トンネル内空面側に内型枠K等を設置して支保工SPで支持した後に、予め型枠Kに設けておいた充填孔K1を介して1つまたは複数のセグメント2に充填する方法、または、継手板22に予め設けた開口26を介してトンネル周方向に隣接した複数のセグメント2に充填する方法、または、主桁21に予め設けた開口26を介してトンネル軸方向に隣接するセグメント2に充填する方法、または、以上を繰り返すことで1つまたは複数セグメントリングにまとめて充填する方法などが採用可能である。
なお、セグメント2内部へ充填するソイルセメントSは、セグメント2の全てに対してでもよいし、一部のセグメント2に対してでもよい。ここで、現場とはシールドマシン内部、シールドマシンを出てからシールドトンネルや立坑の内部、立坑付近の地上のセグメント保管ヤード等を示す。
【0021】
次に、図6に示すように、セグメント5は、少なくともトンネル周方向に略円弧状に伸びた2枚の主桁51と、トンネル軸方向に主桁51の両端面に固定された2枚の継手板52と、トンネル外面(地山G)側に継手板52と主桁51とに4辺を固定された1枚のスキンプレート53と、さらにトンネル内空面側にも溶接されたスキンプレート54とによって、全六面が鋼殻50で構成された六面鋼殻セグメントである。このセグメント5では、ソイルセメントSの充填口56をトンネル内空側のスキンプレート54に予め設け、さらに、鋼殻50を構成する主桁51、継手板52、縦リブ55にも開口57を設けることによってソイルセメントSの充填性を向上させ、セグメント5内部へ隙間なくソイルセメントSを充填することを可能とした。また、この六面鋼殻セグメント5においては、上記に示すような内型枠Kを用いずに図7に示すように、充填口56からソイルセメントSを充填する充填方法が採用可能となり、内型枠Kの設置費用も削減することができる。
【0022】
ソイルセメントSの配合については流動性や作業性、耐分離性に優れた配合が好ましく、シールド工事等で発生した発生土にセメント等の硬化剤および水を添加混合してソイルセメントSとする際、例えば、富配合(セメントの配合率が高い)の場合、セメントの配合率が高いほど、ソイルセメントSの圧縮強度性能が向上する。また、本件出願人の研究によれば、圧縮強度を2MPa以上として設計すると、セグメントの薄肉化が可能になるといった強度部材としての効果が高くなることが確認されている。また、アルカリ度が高いため、そのアルカリ成分が鋼殻20,50との間に不動態皮膜を形成することで、防食機能が発揮され、トンネル内面の防食性を高めることができる。さらに、上記強度性能向上効果によって、覆工体1の薄肉化によるトンネル築造コスト削減を図れ、上記防食性能向上効果によって、セグメント2〜5または構築された覆工体1の防食コスト削減をも可能とすることができる。
【0023】
また、発生土の土粒子の状態によっては、貧配合(セメントの配合率が低い)の場合、発生土の土粒子間の空隙が多いために湿気などの水分を土粒子間の空隙に吸収する吸湿性が向上し、トンネル内空面を除く五面を鋼殻20で覆われた五面鋼殻セグメント2,3においては、トンネル内空側にソイルセメントSがむき出しになるため、防食性が高くなることによってセグメント2,3自体または構築された覆工体1の防食コスト削減を図れる。また、シールド工事等で発生した発生土にセメント等の硬化剤および水を添加混合してソイルセメントSとする際、さらに繊維を混入することでソイルセメントSの圧縮強度を4MPa以上に高めることができ、セグメント2〜5の強度および剛性の向上を図ることが可能となる。混入する繊維は、耐アルカリ性を有する鋼繊維、ステンレス繊維、炭繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン繊維、ビニロン繊維などの樹脂製繊維や鋼製繊維等を用いることができる。繊維補強することで充填したソイルセメントSのひび割れ抑制やひび割れ後の剥落防止効果も期待できる。
【0024】
また、超早強セメントを混入することにより強度発現を早めたソイルセメントSを用い、セグメント2〜5がシールドマシンから出る前、即ちセグメント2〜5に荷重が作用する前にソイルセメントSを固化させることで現場充填の場合でもソイルセメントS自体を、セグメント2〜5に作用する軸力を負担する構造部材としての機能および変形を拘束することによる鋼殻20,50の座屈防止材等の強度部材とすることができる。
【0025】
本発明は、以上の実施形態で説明したように、シールド工事において通常では産業廃棄物として処分される発生土をソイルセメントSとし、セグメント2〜5内部への充填材として再利用することで、産業廃棄物の削減による環境保護効果、産廃費用削減を可能とする。さらには、ソイルセメントSとしてセグメント2〜5内部に充填することで、強度部材としての機能および防食機能等が付与されたセグメント2〜5を用いることができ、通常、これらに係る費用を削減することが可能となり、シールド工事におけるトータルコストダウンも図ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 シールドトンネルの覆工体
2 ソイルセメント中詰め鉄鋼製セグメント(五面鋼殻セグメント)
3 コンクリート中詰め合成セグメント
4 ソイルセメント中詰めRCセグメント
5 ソイルセメント中詰め鉄鋼製セグメント(六面鋼殻セグメント)
20 鋼殻
21 主桁
22 継手板
24 スキンプレート
25 縦リブ
26 開口
31 凹部
50 鋼殻
51 主桁
52 継手板
53,54 スキンプレート
55 縦リブ
56 充填口
57 開口
K 内型枠
K1 充填孔
S ソイルセメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合してソイルセメントを生成し、
シールド工法により構築されるトンネル覆工体用の部材として用いられるセグメントの内部に前記ソイルセメントを充填してソイルセメント中詰めセグメントを構成し、
前記ソイルセメント中詰めセグメントをシールドマシンによりリング状に連結して組み立てるとともに、組み立てた覆工体から反力を得ることでシールドマシンを掘進させる手順を繰り返して、シールドトンネルの覆工体を構築することを特徴とするシールドトンネルの覆工体構築方法。
【請求項2】
シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合してソイルセメントを生成し、
シールド工法により構築されるトンネル覆工体用の部材として用いられるセグメントをシールドマシンによりリング状に連結して組み立てるとともに、組み立てた1つまたは複数のセグメントの内部に前記ソイルセメントを充填し、充填したソイルセメントが固化した後に、シールドマシンを掘進させる手順を繰り返して、シールドトンネルの覆工体を構築することを特徴とするシールドトンネルの覆工体構築方法。
【請求項3】
少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く五面が覆われるとともに、トンネル内空側に前記ソイルセメントを充填するための凹部が設けられた五面鋼殻セグメントを用い、
前記五面鋼殻セグメントをシールドマシンよりリング状に連結して組み立てた後に、内型枠を用いることによって前記凹部に前記ソイルセメントを充填することを特徴とする請求項2に記載のシールドトンネルの覆工体構築方法。
【請求項4】
少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く五面が覆われた内部にコンクリートが中詰めされるとともに、トンネル内空側に前記ソイルセメントを充填するための凹部が設けられたコンクリート中詰め合成セグメントを用い、
前記コンクリート中詰め合成セグメントをシールドマシンよりリング状に連結して組み立てた後に、内型枠を用いることによって前記凹部に前記ソイルセメントを充填することを特徴とする請求項2に記載のシールドトンネルの覆工体構築方法。
【請求項5】
鉄筋コンクリートで構成されるとともに、トンネル内空側に前記ソイルセメントを充填するための凹部または中空部が設けられたRCセグメントを用い、
前記RCセグメントをシールドマシンよりリング状に連結して組み立てた後に、内型枠を用いることによって前記凹部または中空部に前記ソイルセメントを充填することを特徴とする請求項2に記載のシールドトンネルの覆工体構築方法。
【請求項6】
少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される外側スキンプレートと、トンネル内空側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される内側スキンプレートと、を有して全六面を鋼殻で覆われた六面鋼殻セグメントを用い、
前記内側スキンプレートに設けた開口から前記六面鋼殻セグメント内部に前記ソイルセメントを充填することを特徴とする請求項2に記載のシールドトンネルの覆工体構築方法。
【請求項7】
シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合して生成したソイルセメントを用いたシールドトンネルの覆工体構築用のソイルセメント中詰めセグメントであって、
少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く五面が覆われた五面鋼殻セグメントに前記ソイルセメントが充填されたことを特徴とするソイルセメント中詰めセグメント。
【請求項8】
シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合して生成したソイルセメントを用いたシールドトンネルの覆工体構築用のソイルセメント中詰めセグメントであって、
少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く五面が覆われた内部にコンクリートが中詰めされるとともに、トンネル内空側に前記ソイルセメントを充填するための凹部が設けられたコンクリート中詰め合成セグメントの前記凹部に前記ソイルセメントが充填されたことを特徴とするソイルセメント中詰めセグメント。
【請求項9】
シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合して生成したソイルセメントを用いたシールドトンネルの覆工体構築用のソイルセメント中詰めセグメントであって、
少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される外側スキンプレートと、トンネル内空側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される内側スキンプレートと、を有して全六面を鋼殻で覆われた六面鋼殻セグメントの内部に前記ソイルセメントが充填されたことを特徴とするソイルセメント中詰めセグメント。
【請求項10】
前記内側スキンプレートに前記ソイルセメントを充填するための充填口が設けられたことを特徴とする請求項9に記載のソイルセメント中詰めセグメント。
【請求項11】
前記主桁、前記継手板、および前記主桁間を連結する縦リブの1つまたは複数に前記ソイルセメントを充填するための開口が設けられたことを特徴とする請求項7から請求項10のいずれかに記載のソイルセメント中詰めセグメント。
【請求項12】
シールド工事等で発生した発生土に少なくともセメント等の硬化材および水を添加混合して生成したソイルセメントを用いたシールドトンネルの覆工体構築用のソイルセメント中詰めセグメントであって、
鉄筋コンクリートで構成されるとともに、前記ソイルセメントを充填するための凹部または中空部が設けられたRCセグメントの前記凹部または中空部に前記ソイルセメントが充填されたことを特徴とするソイルセメント中詰めセグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−106179(P2011−106179A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263026(P2009−263026)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】