説明

シールド扉

【課題】 高いシールド性を有するシールド扉を提供する。
【解決手段】 シールド扉は、枠12と、枠12に開閉可能に装着された扉14を備えている。扉14には、電磁波をシールドする層30、31が設けられている。そのシールド層30、31には、ギャップ部73が形成されている。扉14内または枠12内には、ギャップ部73に隣接して電磁波減衰用の空間77が設けられている。シールド層30、31の電気抵抗はギャップ部73の電気抵抗よりも小さく、かつシールド層30、31のギャップ部端部42、44が電磁波減衰用空間77に向いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波をシールドするシールド扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電波暗室等の壁に設置されるシールド扉が知られている。シールド扉は、枠と、枠に開閉可能に装着された扉と、導電性を有するガスケットを備えている。扉には、シールド層が設けられている。扉が閉じられた状態では、扉のシールド層は、ガスケットと枠を介して外部と導通される(アースされる)。シールド層に電磁波が当たると、電磁波の一部は反射されるとともに、一部は電流としてシールド層に誘導される。扉のシールド層に誘導された電流は、ガスケットと枠を介して外部に流れ、このことによってシールド扉のシールド性が確保される。このようなシールド扉は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−111269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シールド層に誘導された電流の一部は、再び電磁波として外部に放射されてしまうことがある。シールド層から電磁波が外部に放射されると、シールド扉のシールド性が低下してしまう。
近年、シールド扉のシールド性に対する要求がますます高まっている。本発明は、その要求に対応するためになされたものであり、高いシールド性を有するシールド扉を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシールド扉は、枠と、枠に開閉可能に装着された扉を備えている。扉には、電磁波をシールドする層が設けられている。そのシールド層には、ギャップ部が形成されている。扉内または枠内には、ギャップ部に隣接して電磁波減衰用の空間が設けられている。シールド層の電気抵抗はギャップ部の電気抵抗よりも小さく、かつシールド層のギャップ部端部が電磁波減衰用空間に向いている。
このシールド扉のシールド層には、ギャップ部が形成されている。シールド層のギャップ部端部は、電磁波減衰用空間に向いている。シールド層に電磁波が当たると、シールド層に電流が誘導される。シールド層にギャップ部が形成されていると、シールド層に誘導された電流が、ギャップ部端部から電磁波として放射されやすくなる。シールド層のギャップ部端部が電磁波減衰用空間に向いていると、ギャップ部端部から放射された電磁波が電磁波減衰用空間によって減衰する。よって、本発明のシールド扉によれば、高いシールド性能を実現することができる。
なお、ここで言うギャップ部とは、シールド層よりも電気抵抗が大きい電気的ギャップを意味する。従って、シールド層に隙間を形成する形態のみならず、シールド層に電気抵抗が大きい部材を配する形態も含まれる。
【0006】
上記のシールド扉において、枠には、電磁波をシールドする層が設けられ、枠または扉には、扉を閉じたときに枠と扉との間をシールするガスケットが装着されており、ガスケットは、枠のシールド層と扉のシールド層を電気的に導通させることが好ましい。
このように構成されたシールド扉によれば、電磁波が当たることによって扉のシールド層に誘導された電流を、ガスケットと枠のシールド層を介して外部に流すことができる。従って、シールド扉のシールド性能がより高くなる。
【0007】
上記のシールド扉において、枠にガスケットが装着されており、扉を閉じたときに、ギャップ部の少なくとも一部をガスケットが閉塞することが好ましい。
ギャップ部の少なくとも一部をガスケットが閉塞すると、電磁波減衰用空間内で反射した電磁波がギャップ部から外に漏れてしまうのを防止できる。よって、シールド扉のシールド性がより向上する。
【0008】
上記のシールド扉において、シールド層は、扉表面を主にシールドする表面側部材と、扉裏面を主にシールドする裏面側部材を備え、表面側部材の端部と裏面側部材の端部との間に隙間が設けられ、その隙間がギャップ部として機能することが好ましい。
このシールド扉によれば、表面側部材の端部と裏面側部材の端部との間に設けられた隙間がギャップ部として機能する。
【0009】
上記のシールド扉において、表面側部材と裏面側部材との間に電気的な絶縁部材が配されていることが好ましい。
電磁波によって誘導された電流は、極力狭い範囲に止まることが望ましい。電流が広い範囲に拡がると、その拡がった部分の隙間部や折れ曲がり部から電磁波が放射されてしまうからである。上述のシールド扉は、表面側部材と裏面側部材との間に電気的な絶縁部材が配されている。従って、絶縁部材が表面側部材と裏面側部材の一方から他方に電流が流れるのを抑制する。よって、シールド扉のシールド性能が向上する。
【0010】
上記のシールド扉において、電磁波減衰用空間の電磁波経路が屈曲および/または部分的に狭窄していることが好ましい。
電磁波減衰用空間の電磁波経路が屈曲および/または部分的に狭窄していると、その部分で電磁波が減衰される。
【0011】
上記のシールド扉において、電磁波減衰用空間内に電磁波吸収体が設けられていることが好ましい。
電磁波減衰用空間内に電磁波吸収体が設けられていると、電磁波吸収体によって電磁波が減衰される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のシールド扉に係る一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
シールド扉10は、電波暗室の壁に設置され、電波暗室から外部に電磁波を漏洩するのと、外部から電波暗室に電磁波が入り込むのを防止する。図1は、シールド扉10を電波暗室の室外側(表側)から見た正面図である。図1に示すように、シールド扉10は、枠12と、扉14を備えている。枠12は、側枠12a、側枠12b、上枠12c、下枠12dを有している。枠12は、金属製(例えば、スチール製)であり、電波暗室の壁と床を介して外部にアースされている。
扉14は、上ヒンジ15と下ヒンジ16を介して枠12に開閉可能に装着されている。下ヒンジ16は、電話ボックスに採用されているようなオートヒンジであり、扉14を閉位置に付勢する。扉14には、取っ手17が装着されている。
【0013】
図2に示すように、側枠12aと側枠12bは、板状の素材を曲げ加工することによって形成されている。枠12a、12b内にはロックウールが充填されている。側枠12aには、面20が形成されている。面20には、断面がコの字状の第1チャンネル材21がスクリュウ(図示省略)を用いて装着されている。第1チャンネル材21は、上下方向に延びている。第1チャンネル材21の内側には、第1ガスケット22と第2ガスケット23が接着されている。ガスケット22、23は、図3に示す形状を有している(図3は、ガスケットの長さを短か目に図示している)。ガスケット22、23には、シールドガスケットを用いることができる。シールドガスケットは、芯材(例えば、ウレタンフォーム)の表面に導電性コーティング(例えば、シルバーコーティング)を施すことによって導電性を確保している。ガスケット22、23に挟まれて、第3ガスケット24が接着されている。第3ガスケット24にも、シールドガスケットを用いることができる。
側枠12aと同様に、側枠12bには、表側に対向する面25が形成されている。面25には、第2チャンネル材26が装着されている。第2チャンネル材26の内側には、第4ガスケット27と第5ガスケット28が接着されている。第4ガスケット27と第5ガスケット28も、図3に示す形状を有している。第4ガスケット27と第5ガスケット28に挟まれて、第6ガスケット29が接着されている。ガスケット27、28、29には、シールドガスケットを用いることができる。
チャンネル材21、26は金属製(例えば、スチール)である。
【0014】
扉14は、表面板30、裏面板31、内部部材32〜38、絶縁体39、40、電波吸収体47、48、ガスケット66、67を備えている。以下においては、図1の左側を「一方側」、右側を「他方側」と呼ぶ。
表面板30は、板状の素材を曲げ加工して形成されている。扉14の一方側側部の表面板30内には、略コの字状に形成された第1内部部材32が取り付けられている。扉14の他方側側部の表面板30内には、コの字状に形成された第6内部部材37と第7内部部材38が取り付けられている。第6内部部材37と第7内部部材38の裏側の面には、アングル46が取り付けられている。
表面板30の裏面には、コの字状に形成された、第2内部部材33、第3内部部材34、第4内部部材35、第5内部部材36が取り付けられている。表面板30の一方側端部42は、扉14内に向けて折り曲げられている。アングル46の端部43も、扉14内に向けて折り曲げられている。表面板30、裏面板31、内部部材32〜38、アングル46は金属製(例えば、スチール製)である。
第1絶縁体39は、板状に形成されており、内部部材33、34、35の裏側の面に取り付けられている。第2絶縁体40も、同じく板状に形成されており、内部部材36の裏側の面に取り付けられている。絶縁体39、40は、例えば、不燃処理を施した木材から製作する。第1電波吸収体47は板状に形成されており、第1絶縁体39の裏面に取り付けられている。第2電波吸収体48も板状に形成されており、第2絶縁体40の裏面に取り付けられている。電波吸収体47、48は、例えば、ゴムフェライトやフェルトから製作する。
【0015】
裏面板31は、板状素材を曲げ加工して形成されており、電波吸収体47、48の裏面に取り付けられている。裏面板31の一方側端部44は、扉14内に向けて折り曲げられている。裏面板31の他方側端部45も、扉14内に向けて折り曲げられている。
表面板30の一方側端部42と、裏面板31の一方側端部44は、第1ギャップ部73を形成する。アングル46の端部43、裏面板31の他方側端部45は、第2ギャップ部74を形成する。
裏面板31の裏面には、吸音体41が装着されている。
扉14の裏側にも、表側と同様に取っ手18が装着されている。扉14内の空間には、ロックウールが充填されている。ロックウールが充填されていることで、扉14の遮音性と断熱性が向上している。
扉14が閉じられた状態では、第1ガスケット22は、表面板30の一方側端部42の近傍に接触する。第2ガスケット23は、裏面板31の一方側端部44の近傍に接触する。第4ガスケット27は、裏面板31の他方側端部45の近傍に接触する。第5ガスケット28は、アングル46の端部43の近傍に接触する。
【0016】
図4に示すように、上枠12cには、面50が形成されている。面50には、断面がコの字状に形成された第3チャンネル材51がスクリュウ(図示省略)によって取り付けられている。第3チャンネル材51は、水平方向に延びている。第3チャンネル材51の内側には、第7ガスケット52と第8ガスケット53が接着されている。第7ガスケット52と第8ガスケット53は、図3に示す形状を有している。第7ガスケット52と第8ガスケット53に挟まれて、第9ガスケット54が接着されている。ガスケット52、53、54には、シールドガスケットを用いることができる。下枠12dの上面55は、床面56の高さと一致するように配置されている。下枠12dの上面55には、金属製のテーパ部材57が取り付けられている。
第3チャンネル材51の一方側端部は、第1チャンネル材21の上端部と接合されている。第3チャンネル材51の他方側端部は、第2チャンネル材26の上端部と接合されている。すなわち、チャンネル材21、26、51は、枠12の3辺をなす側枠12a、上枠12c、側枠12bに沿って連続している。チャンネル材21、26、51を1つのチャンネル材から製作することもできる。
上枠12c、下枠12d内には、ロックウールが充填されている。上述したように、側枠12a内と側枠12b内にもロックウールが充填されている。枠12a、12b、12c、12d内にロックウールが充填されていることで、枠12の遮音性と断熱性が向上している。
【0017】
扉14の上端部の表面板30内には、断面がコの字状に形成された、第8内部部材60と第9内部部材61が取り付けられている。第8内部部材60と第9内部部材61の裏側の面には、アングル58が取り付けられている。アングル58の端部70は、扉14内に向けて折り曲げられている。裏面板31の上端部71も、扉14内に向けて折り曲げられている。アングル58の端部70と、裏面板31の上端部71は、第3ギャップ部75を形成する。
扉14の下端部の表面板30内には、断面がコの字状の形成された第10内部部材62が取り付けられている。第10内部部材62内には、第3電波吸収体63が装着されている。第3電波吸収体63は、例えば、ウレタン製とすることが好ましい。
表面板30の下部表側には、プレート64が固定されている。裏面板31の下部裏側には、プレート65が固定されている。第10ガスケット66は、第3電波吸収体63とプレート64内面に接着されている。第11ガスケット67は、第3電波吸収体63とプレート65内面に接着されている。ガスケット66、67は、シールドガスケットである。
表面板30には、シリンダー錠68が装着されている。裏面板31には、サムターン錠69が装着されている。
扉14が閉じられた状態では、第7ガスケット52は、アングル58の端部70の近傍に接触する。第8ガスケット53は、裏面板31の上端部71の近傍に接触する。第10ガスケット66は、下枠12dの上面55に接触する。第11ガスケット67は、テーパ部材57と接触する。
ガスケット22、23、27、28、52、53を扉14側に装着し、ガスケット22、23、27、28、52、53が枠12に接触する構成としてもよい。
【0018】
電波暗室内からの電磁波が裏面板31に当たると、裏面板31に電流が誘導される。裏面板31に誘導された電流の一部は、裏面板31の下部に固定されたプレート65、第11ガスケット67、第11ガスケット67と接触しているテーパ部材57、下枠12dを経由して外部に流れてゆく。また、裏面板31に誘導された電流の一部は、第1ギャップ部73の一方側端部44、第2ギャップ部74の他方側端部45、第3ギャップ部75の上端部71から扉10の内部空間に向かって電磁波として放射される。扉10の内部空間は、放射された電磁波の減衰用空間として機能する。
この電磁波減衰用空間の機能について、第1ギャップ部73の一方側端部44から電磁波が放射される場合を例として、具体的に説明する。第1ギャップ部73の一方側端部44から放射された電磁波は、第1内部部材32、表面板30、第2内部部材33、第1絶縁体39によって囲まれた第1空間77内で反射する。第1空間77内に充填されているロックウールは、電磁波に影響を与えない。第1空間77内で反射した電磁波は、図2に示す、第2内部部材33と、第1電波吸収体47に挟まれたルートAを通過する。第1絶縁体39が絶縁体なので、電磁波はルートAを容易に通過する。電磁波は、ルートAが狭くなっているので、第2内部部材33と第1電波吸収体47との間で反射を繰り返しながら進行する。この課程で、電磁波は、第1電波吸収体47に吸収されて減衰する。なお、第1電波吸収体47が設けられていなくても、ルートAが狭く形成されていることによって、電磁波減衰効果を奏することができる。
電磁波減衰用空間は、枠12内に設けることもできる。
【0019】
ルートAを通過することで減衰した電磁波は、表面板30、第2内部部材33、第1絶縁体39、第3内部部材34によって囲まれた第2空間78に入り込む。第2内部空間78に入り込んだ電磁波は、その空間内で反射してからルートBを通過する。ルートBを通過した電磁波は、ルートAで奏されたのと同じ効果によって減衰する。ルートBを通過した電磁波は、ルートCを通過してより減衰する。このようにして、第1ギャップ部73の一方側端部44から放射された電磁波は、扉14内で効果的に減衰される。
以上説明したようにして、電磁波が裏面板31に当たって誘導された電流は、シールド扉10の外部に流れ、かつ電磁波として扉14内に放射された分はその内部で減衰することによって、電波暗室から外部に電磁波が漏洩するのが防止される(シールドされる)。
【0020】
電波暗室外からの電磁波が表面板30に当たると、表面板30に電流が誘導される。表面板30に誘導された電流の一部は、表面板30の下部に固定されたプレート64、第10ガスケット66、第10ガスケットと接触している下枠12dを経由して外部に流れる。さらに、表面板30に誘導された電流の一部は、第1ギャップ部73の一方側端部42、第2ギャップ部74の端部43、第3ギャップ部75の端部70から扉10の内部空間に向かって電磁波として放射される。これら端部42、43、70から放射された電磁波は、既に説明した裏面板31の端部44、45と、アングル58の端部70から放射された電磁波と同様に、扉14内で減衰する。
従来のシールド扉では、扉に誘導された電流を枠に流すために、枠と扉との間をシールするシールドガスケットの弾性を大きくし、枠に対して扉を強く押しつけることによって、枠と扉の電気的導通を大きく確保していた。枠に対して扉を強く押しつけるためには、使用者によって操作されるロックハンドルを設ける必要がある。このようなロックハンドルは、操作力や操作ストロークが大きくならざるを得ず、操作者に負担をかけてしまう。
本実施形態のシールド扉10は、扉14内で電磁波を効果的に減衰することができる。このため、シールドガスケットの弾性を弱くし、枠12に対して扉14を強く押しつけなくても、シールド扉10全体としては、従来よりも優れたシールド性能を発揮することができる。枠12に対して扉14を強く押しつける必要がないと、ロックハンドルを設けずに、既に説明した下ヒンジ16のようなオートヒンジによって、扉14を閉位置に保つことができる。扉14を開くときには、取っ手17を引くか、取っ手18を押せばよい。扉が開いた状態で、取っ手17、18から手を離せば、扉14は自動的に閉まる。従って、本実施形態のシールド扉10は、扉14の開閉操作性の点でも、従来のものより優れている。
【0021】
既に説明したように、第1チャンネル材21は金属製なので導電性を有しており、また、第1ガスケット22と第2ガスケット23と第3ガスケット24は導電性を有するシールドガスケットである。従って、第1ギャップ部73の表面板30の一方側端部42近傍と、裏面板31の一方側端部44近傍との間は、第1チャンネル材21、ガスケット22、23、24を介して電気的に導通される。このような電気的導通経路が形成されると、その部分がシールド層として機能し、第1空間77内で反射した電磁波が第1ギャップ部73から外部に漏れてしまうのが防止される。よって、電磁波は、扉14内で確実に減衰する。また、第1チャンネル材21、ガスケット22、23、24が導電性を有していると、扉14内に電磁波として放射されなかった電流は、枠12を介して外部に流れ、これによってもシールド性が向上する。
同様に、第2ギャップ部74のアングル46の端部43近傍と、裏面板31の他方側端部45近傍との間は、第2チャンネル材26、ガスケット27、28、29を介して電気的に導通され、その部分がシールド層として機能する。また、第3ギャップ部75のアングル58の端部70近傍と、裏面板31の上端部71近傍との間は、第3チャンネル材51、ガスケット52、53、54を介して電気的に導通され、その部分がシールド層として機能する。
【0022】
第1絶縁体39と第2絶縁体40が設けられているので、表面板30に電磁波が当たって誘導された電流は、内部部材33、34、35、36を介して裏面板31に流れない。同様に、裏面板31に電磁波が当たって誘導された電流は、内部部材33、34、35、36を介して表面板30に流れない。誘導された電流は、できるだけ狭い範囲に止まった方が、再び外部に放射される可能性が低くなる。例えば、第1絶縁体39が設けられていない場合には、裏面板31の裏面に電磁波が当たることによって誘導された電流は、内部部材33、34、35を通過して表面板30に流れる。表面板30に流れた電流は、例えば、電流伝導経路の方向変化部位(例えば、図2の「D」部)から外部に電磁波として放射されてしまう。第1絶縁体39と第2絶縁体40が設けられていることによって、シールド扉10のシールド性能がより向上している。
【0023】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】シールド扉の正面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】ガスケットの斜視図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【符号の説明】
【0025】
10:シールド扉
12:枠、12a:側枠、12b:側枠、12c:上枠、12d:下枠
14:扉
15:上ヒンジ
16:下ヒンジ
17、18:取っ手
20:面
21:第1チャンネル材
22:第1ガスケット
23:第2ガスケット
24:第3ガスケット
25:面
26:第2チャンネル材
27:第4ガスケット
28:第5ガスケット
29:第6ガスケット
30:表面板
31:裏面板
32:第1内部部材
33:第2内部部材
34:第3内部部材
35:第4内部部材
36:第5内部部材
37:第6内部部材
38:第7内部部材
39:第1絶縁体
40:第2絶縁体
41:吸音体
42:一方側端部
43:端部
44:一方側端部
45:他方側端部
46:アングル
47:第1電波吸収体
48:第2電波吸収体
50:面
51:第3チャンネル材
52:第7ガスケット
53:第8ガスケット
54:第9ガスケット
55:上面
56:床面
57:テーパ部材
58:アングル
60:第8内部部材
61:第9内部部材
62:第10内部部材
63:第3電波吸収体
64、65:プレート
66:第10ガスケット
67:第11ガスケット
68:シリンダー錠
69:サムターン錠
70:端部
71:上端部
73:第1ギャップ部
74:第2ギャップ部
75:第3ギャップ部
77:第1空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と、
枠に開閉可能に装着された扉を備え、
扉には、電磁波をシールドする層が設けられ、
そのシールド層には、ギャップ部が形成されており、
扉内または枠内には、ギャップ部に隣接して電磁波減衰用の空間が設けられ、
シールド層の電気抵抗はギャップ部の電気抵抗よりも小さく、かつシールド層のギャップ部端部が電磁波減衰用空間に向いていることを特徴とするシールド扉。
【請求項2】
枠には、電磁波をシールドする層が設けられ、
枠または扉には、扉を閉じたときに枠と扉との間をシールするガスケットが装着されており、
ガスケットは、枠のシールド層と扉のシールド層を電気的に導通させることを特徴とする請求項1に記載のシールド扉。
【請求項3】
枠にガスケットが装着されており、
扉を閉じたときに、ギャップ部の少なくとも一部をガスケットが閉塞することを特徴とする請求項2に記載のシールド扉。
【請求項4】
シールド層は、扉表面を主にシールドする表面側部材と、扉裏面を主にシールドする裏面側部材を備え、
表面側部材の端部と裏面側部材の端部との間に隙間が設けられ、その隙間がギャップ部として機能することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシールド扉。
【請求項5】
表面側部材と裏面側部材との間に電気的な絶縁部材が配されていることを特徴とする請求項4に記載のシールド扉。
【請求項6】
電磁波減衰用空間の電磁波経路が屈曲および/または部分的に狭窄していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシールド扉。
【請求項7】
電磁波減衰用空間内に電磁波吸収体が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシールド扉。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−60036(P2006−60036A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240671(P2004−240671)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(599135927)株式会社翔建設計 (1)
【出願人】(504375190)ジェイエフイー三重テックサービス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】