説明

シールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置及びエア抜き方法

【課題】エア抜きが短時間で且つ油漏れなくできるシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置及びエア抜き方法を提供する。
【解決手段】油ポンプ14から吐出された油を押し集合ライン8に導き引き集合ライン10から排出された油を油タンク15に戻す押しモードと、油ポンプ14から吐出された油を引き集合ライン10に導き押し集合ライン8から排出された油を油タンク15に戻す引きモードとを切り換える切換弁11を有し、押し集合ライン8と引き集合ライン10とを、シールドジャッキ4を迂回するバイパスライン17で接続し、バイパスライン17にストップ弁18を設けた。エア抜きをするときには、ストップ弁18を開き、押し集合ライン8と引き集合ライン10とをバイパスライン17で連通した状態で油ポンプ14を作動させ、油ポンプ14から吐出された油をバイパスライン17を通して油タンク15に戻すことでエア混入油を押し流す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘進機本体内に配設された油圧式のシールドジャッキを既設セグメントに押し付けて伸長させることで前進させるようにしたシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置及びエア抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、筒状に形成されたシールドフレームを有する掘進機本体を備えており、掘進機本体は、シールドフレーム内にてセグメントをリング状に組み立てるエレクタと、シールドフレームの周方向に間隔を隔てて複数設けられ既設セグメントに反力を取って掘進機本体を前進させる油圧式のシールドジャッキとを備えている。シールドジャッキは、そのシリンダの内部を伸び側油圧室と縮み側油圧室とに仕切るピストンと、ピストンに接続されたロッドとを有する。
【0003】
このシールド掘進機の推進油圧回路は、各シールドジャッキの伸び側油圧室に夫々接続された押しラインと、これら押しラインを集合する押し集合ラインと、各シールドジャッキの縮み側油圧室に夫々接続された引きラインと、これら引きラインを集合する引き集合ラインと、押し集合ライン及び引き集合ラインのいずれか一方に油圧を供給してシールドジャッキを伸長又は収縮させるための切換弁とを備えている。
【0004】
切換弁は、油ポンプから吐出された油を押し集合ラインに導くと共に引き集合ラインから排出された油を油タンクに戻す押しモードと、油ポンプから吐出された油を引き集合ラインに導くと共に押し集合ラインから排出された油を油タンクに戻す引きモードとを切り換え、シールドジャッキのロッドをシリンダから突出させる方向に移動させる伸長と、ロッドをシリンダに没入する方向に移動させる収縮とを切り換えるものである。
【0005】
ところで、上記推進油圧回路を現場(立坑内等)にて組み立てた際、各ラインの接続時に推進油圧回路内にエアが混入することがある。かかるエアは、従来、シールドジャッキの伸長、収縮を交互に繰り返す押し引き動作をすることで、上記推進油圧回路から抜くようにしていた。
【0006】
なお、ジャッキのエア抜きとして、特許文献1、2に記載された技術が知られているが、シールド掘進機に関するものではなく、本発明と直接の関係は無い。
【0007】
【特許文献1】特開昭60−104804号公報
【特許文献2】特許第3502462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のようにシールドジャッキの伸長、収縮を交互に繰り返すことで推進油圧回路に混入したエアを抜くと、エア抜きのために或る程度の時間が必要となり、工期短縮の妨げとなる。特に、シールドジャッキの数が多い大口径シールドでは、シールドジャッキの数が多くそれらを接続するラインも長くなるため、エア抜きに必要な時間が長くなり、問題となる。
【0009】
また、エア抜きのためのラインを現場で推進油圧回路に着脱し、回路内のエア混入油をそのラインから押し出すという対応も考えられるが、ラインの着脱時の油漏れ、ラインから排出されるエア混入油による作業員の作業環境の悪化、現場の油汚れ、排油の処理等を考慮すると、好ましい対応とはいえない。
【0010】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、エア抜きが短時間で且つ油漏れなくできるシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置及びエア抜き方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、掘進機本体内に配設され、既設セグメントに反力を取って上記掘進機本体を前進させる複数のシールドジャッキと、各シールドジャッキの伸び側油圧室に夫々接続された押しラインと、各シールドジャッキの縮み側油圧室に夫々接続された引きラインと、各押しラインを集合する押し集合ラインと、各引きラインを集合する引き集合ラインと、油ポンプから吐出された油を上記押し集合ラインに導き上記引き集合ラインから排出された油を油タンクに戻す押しモードと、上記油ポンプから吐出された油を上記引き集合ラインに導き上記押し集合ラインから排出された油を油タンクに戻す引きモードとを切り換える切換弁とを有するシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置であって、上記押し集合ラインと上記引き集合ラインとを、上記シールドジャッキを迂回して連通するバイパスラインと、該バイパスラインに設けられこのライン内を開閉するストップ弁とを備えたものである。
【0012】
上記シールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置を用いたエア抜き方法であって、通常掘進時には、上記ストップ弁を閉じ、上記押し集合ラインと上記引き集合ラインとの間の上記バイパスラインを介した油の流れを防止して、上記油ポンプから吐出された油が上記シールドジャッキの上記伸び側油圧室又は縮み側油圧室に供給されるようにし、エア抜きをするときには、上記ストップ弁を開き、上記押し集合ラインと上記引き集合ラインとを上記バイパスラインで連通した状態として上記油ポンプを作動させ、上記油ポンプから吐出された油を上記バイパスラインを通して上記油タンクに戻すことでエア混入油を押し流すようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置及びエア抜き方法によれば、エア抜きが短時間で且つ油漏れなくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好適実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る推進油圧回路のエア抜き装置が備えられたシールド掘進機の側断面図である。
【0016】
シールド掘進機1は、筒状に形成されたシールドフレーム2を有する掘進機本体3を備えており、掘進機本体3は、シールドフレーム2内にてセグメントをリング状に組み立てるエレクタ(図示せず)と、既設セグメント(図示せず)に反力を取って掘進機本体3を前進させる油圧式のシールドジャッキ4とを備えている。
【0017】
シールドジャッキ4は、シールドフレーム2の周方向に間隔を隔てて複数配設されており、シリンダ4aと、シリンダ4aの内部を伸び側油圧室4bと縮み側油圧室4cとに仕切るピストン4dと、ピストン4dに接続されたロッド4eと、ロッド4eの先端に設けられ既設セグメントに押し付けられるシュー4fとを有する。
【0018】
図2は、上記シールド掘進機1の推進油圧回路5、及びその推進油圧回路5に備えられたエア抜き装置6を示す説明図である。
【0019】
この推進油圧回路5は、各シールドジャッキ4の伸び側油圧室4bに夫々接続された押しライン7と、これら押しライン7を集合する押し集合ライン8と、各シールドジャッキ4の縮み側油圧室4cに夫々接続された引きライン9と、これら引きライン9を集合する引き集合ライン10と、押し集合ライン8及び引き集合ライン10のいずれか一方に油圧を供給してシールドジャッキ4を伸長又は収縮させるための切換弁11とを備えている。
【0020】
押し集合ライン8は、図2にて、1番から6番(図中丸数字で示す)のシールドジャッキ4の伸び側油圧室4bに接続された押しライン7を1本に集合する第1押し集合ライン8aと、7番から12番のシールドジャッキ4に接続された押しライン7を集合する第2押し集合ライン8bと、第1押し集合ライン8aと第2押し集合ライン8bとを集合する第3押し集合ライン8cとを有する。
【0021】
各押しライン7には、その内部を開放又は閉塞する押し側選択弁(電磁弁)12が夫々設けられている。これにより、第3押し集合ライン8cに油圧が供給された状態において、特定の押し側選択弁12が開放されると、その押し側選択弁12が設けられた押しライン7のシールドジャッキ4の伸長が許容され、特定の押し側選択弁12が閉塞されると、その押し側選択弁12が設けられた押しライン7のシールドジャッキ4は伸長されない。
【0022】
引き集合ライン10は、1番から3番のシールドジャッキ4の引き側油圧室4cに接続された引きライン9を1本に集合する第1引き集合ライン10aと、4番から6番のシールドジャッキ4に接続された引きライン9を集合する第2引き集合ライン10bと、7番から9番のシールドジャッキ4に接続された引きライン9を集合する第3引き集合ライン10cと、10番から12番のシールドジャッキ4に接続された引きライン9を集合する第4引き集合ライン10dとを有する。
【0023】
また、引き集合ライン10は、第1引き集合ライン10aと第2引き集合ライン10bとを集合する第5引き集合ライン10eと、第3引き集合ライン10cと第4引き集合ライン10dとを集合する第6引き集合ライン10fと、第5引き集合ライン10eと第6引き集合ライン10fとを集合する第7引き集合ライン10gとを有する。
【0024】
第1〜第4引き集合ライン10a〜10dには、各ラインの内部を開放又は閉塞する機能を有する引き側選択弁13が夫々設けられている。引き側選択弁13は、開閉を切り換える電磁弁13aと、通常は逆止機能を発揮し油圧が加わったときには逆止機能が解除される逆止弁13bとを有する。
【0025】
かかる引き側選択弁13は、第7引き集合ライン10gに油圧が供給された状態において、例えば、第1引き集合ライン10aを開放するときには、そのライン10aに設けられた電磁弁13aを開として逆止弁13bに油圧を加えてその逆止機能を解除し、第1引き集合ライン10aを閉塞するときには、そのライン10aに設けられた電磁弁13aを閉として逆止弁13bへの油圧を遮断して逆止弁13bの逆止機能を発揮させる。
【0026】
これにより、第7引き集合ライン10gに油圧が供給された状態において、特定の引き側選択弁13が開放(逆止弁13bの逆止機能が解除)されると、その引き側選択弁13に繋がるシールドジャッキ4の収縮が許容され、特定の引き側選択弁13が閉塞(逆止弁13bの逆止機能が発揮)されると、その引き側選択弁13に繋がるシールドジャッキ4は収縮されない。
【0027】
切換弁11は、油ポンプ14から吐出された油を第3押し集合ライン8cに導くと共に第7引き集合ライン10gから排出された油を油タンク15に戻す押しモードと、油ポンプ14から吐出された油を第7引き集合ライン10gに導くと共に第3押し集合ライン8cから排出された油を油タンク15に戻す引きモードとを切り換え、シールドジャッキ4のロッド4eをシリンダ4aから突出させる方向に移動させる伸長と、ロッド4eをシリンダ4aに没入する方向に移動させる収縮とを切り換える。
【0028】
切換弁11は、パラレル11a、ストップ11b、クロス11cを切り換える電磁弁からなり、パラレル11aとすると、油ポンプ14に接続された加圧ライン14aが第3押し集合ライン8cに連通すると共に油タンク15に向けられた戻しライン15aが第7引き集合ライン10gに連通し、ストップ11bとすると、第3押し集合ライン8cの端部及び第7引き集合ライン10gの端部が夫々閉塞されると共に加圧ライン14aが戻しライン15aに連通され、クロス11cとすると、加圧ライン14aが第7引き集合ライン10gに連通すると共に戻しライン15aが第3押し集合ライン8cに連通する。よって、切換弁11をパラレル11aとすると押しモードとなり、クロス11cとすると引きモードとなる。
【0029】
なお、油ポンプ14はモータ16によって駆動され、吐出量が可変のタイプとなっている。
【0030】
さて、上述した推進油圧回路5には、回路内のエアを抜くためのエア抜き装置6が設けられている。
【0031】
エア抜き装置6は、上述した押し集合ライン8と引き集合ライン10とを、シールドジャッキ4を迂回して連通するバイパスライン17と、バイパスライン17に設けられたストップ弁18とを備えている。
【0032】
バイパスライン17は、押し集合ライン8と引き集合ライン10とを、シールドジャッキ4を迂回して接続するものである。詳しくは、バイパスライン17は、第1押し集合ライン8a及び第2押し集合ライン8bと、第5引き集合ライン10e及び第6引き集合ライン10fとを、シールドジャッキ4を介することなく接続する。
【0033】
バイパスライン17は、一端に、第1押し集合ライン8aに接続されたライン17aと、第2押し集合ライン8bに接続されたライン17bとを有し、他端に、第5引き集合ライン10eに接続すると共に第6引き集合ライン10fに繋がるライン17cを有する。かかるバイパスライン17の中間部分には、このライン17内を開閉するストップ弁(手動開閉弁又は電磁弁)18が2個設けられている。
【0034】
なお、図2にて太く描かれたラインは、管径が他のラインよりも太いことを表しているわけではなく、特徴部分であることを表示したものである(図3も同様)。
【0035】
本実施形態の作用を述べる。
【0036】
シールド掘進機1を通常運転させるときには、ストップ弁18を閉じ、押し集合ライン8と引き集合ライン10との間のバイパスライン17を介した油の流れを防止して、油ポンプ14から吐出された油がシールドジャッキ4の伸び側油圧室4b又は縮み側油圧室4cに適正に供給されるようにする。
【0037】
詳しくは、シールドジャッキ4を伸長させるときには、切換弁11をパラレル11aとし、伸長させる特定のシールドジャッキ4の押しライン7に設けられた押し側選択弁12を開き、それ以外の押し側選択弁12を閉じ、油ポンプ14を作動させる。これにより、油ポンプ14から吐出された油が特定のシールドジャッキ4の伸び側油圧室4bに導入され、そのシールドジャッキ4が伸長され、そのシールドジャッキ4の縮み側油圧室4cから排出された油が、引き側選択弁13の逆止弁13bを通過し、油タンク15に戻される。
【0038】
シールドジャッキ4を収縮させるときには、切換弁11をクロス11cとし、第1〜第4引き集合ライン10a〜10dの引き側選択弁13の内、収縮させるシールドジャッキ4に接続された特定の引き側選択弁13を開き、それ以外の引き側選択弁13を閉じ、収縮させるシールドジャッキ4に接続された押しライン7の押し側選択弁12を開き、それ以外の押し側選択弁12を閉じ、油ポンプ14を作動させる。これにより、油ポンプ14から吐出された油が特定のシールドジャッキ4の引き側油圧室4cに導入され、そのシールドジャッキ4が収縮され、そのシールドジャッキ4の伸び側油圧室4bから排出された油が油タンク15に戻される。
【0039】
次に、推進油圧回路5内のエアを抜くエア抜き時には、バイパスライン17に設けたストップ弁18を開き、押し集合ライン8と引き集合ライン10とをバイパスライン17で連通した状態として油ポンプ14を作動させる。すると、油ポンプ14から吐出された油がバイパスライン17を通して油タンク15に戻され、回路5内のエア混入油が油タンク15に押し流される。このとき、切換弁11は、パラレル11a又はクロス11cとされる。
【0040】
切換弁11をパラレル11aとしたときには、押し側選択弁12を全て閉じ、引き側選択弁13を全て閉じ、ストップ弁18を開き、油ポンプ14を作動させる。すると、油ポンプ14から吐出され第3押し集合ライン8cに至った油は、第2押し集合ライン8b、ライン17bを通ってバイパスライン17に至ると共に、第1押し集合ライン8a、ライン17aを通ってバイパスライン17に至り、バイパスライン17からライン17c及び第7引き集合ライン10gを通って油タンク15に戻される。これにより、各ライン中のエア混入油が油タンク15に押し流され、各ライン内がエアが混入していない油に置き換わる。
【0041】
切換弁11をクロス11cとしたときには、引き側選択弁13を全て閉じ、押し側選択弁12を全て閉じ、ストップ弁18を開き、油ポンプ14を作動させる。すると、油ポンプ14から吐出され第7引き集合ライン10g及びライン17cを介してバイパスライン17に至った油は、ライン17a、第1押し集合ライン8a、第3押し集合ライン8cを通って油タンク15に戻されると共に、ライン17b、第2押し集合ライン8b、第3押し集合ライン8cを通って油タンク15に戻される。これにより、各ライン中のエア混入油が油タンク15に押し流され、各ライン内がエアが混入していない油に置き換わる。
【0042】
この結果、各ライン中に溜まったエア混入油が速やかに押し流されることになり、エア抜き時間の大幅な短縮化が可能となる。
【0043】
また、バイパスライン17が予め推進油圧回路5に備えられており、そのバイパスライン17に設けたストップ弁18を開くという簡単な作業でエア抜きできるので、エア抜きのためのラインを現場で推進油圧回路5に着脱する必要がない。よって、このようなエア抜きラインの着脱時の油漏れは問題とならず、作業員の作業環境の悪化、現場の油汚れ、排油の処理等の問題は一切発生しない。
【0044】
なお、シールドジャッキ4内のエアは、シールドジャッキ4を押し引き動作させることで抜くことになる。詳しくは、先ず、シールドジャッキ4を押し引き動作させることで、シールドジャッキ4内のエアを、押しライン7、引きライン9に押し出す。
【0045】
押しライン7内に押し出されたエアは、1番から6番の各押しライン7を第1押し集合ライン8aに向けて斜め上方に傾斜させて配設しておけば、第1押し集合ライン8aに移動し、7番から12番の各押しライン7を第2押し集合ライン8aに向けて斜め上方に傾斜させて配設しておけば、第2押し集合ライン8bに移動する。他方、引きライン9内に押し出されたエアは、各引きライン9及びこれに接続されたライン10e、10fを第7引き集合ライン10gに向けて斜め上方に傾斜させて配設しておけば、第7引き集合ライン10gに移動する。
【0046】
こうして第1押し集合ライン8a、第2押し集合ライン8b及び第7引き集合ライン10gに移動されたエアは、その後、上述したエア抜き処理により、油タンク15に押し流されることになる。すなわち、エアは、上方に集まるため、ストップ弁18等を掘進機本体3内の上方に設置しておくことが好ましい。また、ストップ弁18を2個設けているので、一方が故障しても他方で対応できる。
【0047】
なお、上述したようにストップ弁18を開いて行うエア抜き作業の際に、押し側選択弁12及び引き側選択弁13を全て開いた状態として、切換弁11をクロス11c又はパラレル11aとし、油ポンプ14を作動させてもよい。
【0048】
この場合、切換弁11をクロス11cとしておくと、各シールドジャッキ4の伸び側油圧室4b内のエアが、各押しライン7に押し出され、上述した各ラインの勾配により第1押し集合ライン8a、第2押し集合ライン8bに至り、切換弁11をパラレル11aとすると、各シールドジャッキ4の引き側油圧室4c内のエアが、各引きライン9に押し出され、上述した各ラインの勾配により第7引き集合ライン10gに至る。
【0049】
こうして第1押し集合ライン8a、第2押し集合ライン8b及び第7引き集合ライン10gに移動されたエアは、その後、上述したように油タンク15に押し流される。
【0050】
本発明の変形実施形態を図3に示す。
【0051】
この変形実施形態においては、バイパスライン17の配置のみが前実施形態と異なり、その他は前実施形態と同様となっているため、相違点のみを説明する。
【0052】
バイパスライン17は、第1押し集合ライン8aと第2押し集合ライン8bとの集合部8xと、第5引き集合ライン10eと第6引き集合ライン10fの集合部10xとを、接続して設けられている。また、エアは上方に集まるため、上記集合部8x、10x及びバイパスライン17は、掘進機本体3内の上方に設置されている。また、押し側の各ライン7、8aは、集合部8xに向けて斜め上方に勾配が付けられ、引き側の各ライン9、10a〜10fは、集合部10xに向けて斜め上方に勾配が付けられている。
【0053】
この変形実施形態においても、前実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0054】
なお、上記各実施形態において、シールドジャッキ4の数は12本に限られず、本発明は、シールドジャッキ4の数が10本以下の小口径シールドにも、50本程度の大口径シールドにも適用できる。但し、エア抜き時間の短縮化という効果の観点からは、大口径シールドに適用した場合の効果が大きい。また、第1〜第4引き集合ライン10a〜10dは、シールドジャッキ4を3本ずつ纏めるものに限られず、複数本を纏めるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る推進油圧回路のエア抜き装置が備えられたシールド掘進機の側断面図である。
【図2】上記シールド掘進機の推進油圧回路、及びその推進油圧回路に備えられたエア抜き装置を示す説明図である。
【図3】本発明の変形実施形態を示すシールド掘進機の推進油圧回路、及びその推進油圧回路に備えられたエア抜き装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 シールド掘進機
3 掘進機本体
4 シールドジャッキ
4a 伸び側油圧室
4c 縮み側油圧室
5 推進油圧回路
6 エア抜き装置
7 押しライン
8 押し集合ライン
9 引きライン
10 引き集合ライン
11 切換弁
14 油ポンプ
15 油タンク
17 バイパスライン
18 ストップ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘進機本体内に配設され、既設セグメントに反力を取って上記掘進機本体を前進させる複数のシールドジャッキと、
各シールドジャッキの伸び側油圧室に夫々接続された押しラインと、
各シールドジャッキの縮み側油圧室に夫々接続された引きラインと、
各押しラインを集合する押し集合ラインと、
各引きラインを集合する引き集合ラインと、
油ポンプから吐出された油を上記押し集合ラインに導き上記引き集合ラインから排出された油を油タンクに戻す押しモードと、上記油ポンプから吐出された油を上記引き集合ラインに導き上記押し集合ラインから排出された油を油タンクに戻す引きモードとを切り換える切換弁と
を有するシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置であって、
上記押し集合ラインと上記引き集合ラインとを、上記シールドジャッキを迂回して連通するバイパスラインと、
該バイパスラインに設けられこのライン内を開閉するストップ弁と
を備えたことを特徴とするシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き装置を用いたエア抜き方法であって、
通常掘進時には、上記ストップ弁を閉じ、上記押し集合ラインと上記引き集合ラインとの間の上記バイパスラインを介した油の流れを防止して、上記油ポンプから吐出された油が上記シールドジャッキの上記伸び側油圧室又は縮み側油圧室に供給されるようにし、
エア抜きをするときには、上記ストップ弁を開き、上記押し集合ラインと上記引き集合ラインとを上記バイパスラインで連通した状態として上記油ポンプを作動させ、上記油ポンプから吐出された油を上記バイパスラインを通して上記油タンクに戻すことでエア混入油を押し流すようにした
ことを特徴とするシールド掘進機の推進油圧回路のエア抜き方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−48015(P2010−48015A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214174(P2008−214174)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】