説明

シールド構造体及び電子機器

【課題】シールドフレームを接着する接着剤の量を多くしても、囲繞された電子部品を確実にシールドすることのできるシールド構造体を提供する。
【解決手段】プリント基板に配置された電子部品をシールドするためのシールド構造体は、前記電子部品を囲繞する状態で、前記プリント基板上にろう接用接着剤により接着されたシールド用枠体と、前記シールド用枠体の上部を覆うシールド用天板とを備え、前記シールド用天板は、その外縁から垂下された板片を有し、当該板片は、前記シールド用枠体のコーナー部に相当する天板角部において欠除されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をシールドするためのシールド構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品に対して、当該電子部品の動作により発生するノイズが他の電子部品に影響を与えないように、若しくは他の電子部品が発するノイズの影響を受けないように、ノイズを遮断するのシールド構造体が設けられる。
例えば、特許文献1では、アナログ系回路部を構成する電子部品をシールドすることで、デジタル系回路部を構成する半導体構成体からの放射雑音がアナログ系回路部を構成する電子部品に与える妨害を軽減する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1にて開示された技術では、アナログ系回路部を構成する電子部品毎に、シールドしている。このような場合における従来の組み立て手法として、プリント基板上に電子部品を囲繞するシールドフレームを半田付けし、これにシールドカバーをかぶせる手法がある。
この手法による工程の一例を図5に示す。
【0004】
先ず、図5(a)にて示すように、プリント基板130の上面にクリーム半田をメタルマスクにより印刷する。このとき、プリント基板130の上面とシールドフレームの下端とにおける半田付け後の距離(以下、平坦度という。)が0.10mm以下となるように、クリーム半田は0.12mm程度の厚みで印刷される。次に、電子部品131A〜131Dを、チップマウンターによりクリーム半田が印刷されたプリント基板130上に実装する。ここで、電子部品131A、131Bをシールドされるべき部品とする。
【0005】
次に、図5(b)にて示すように、電子部品131A、131Bそれぞれを個別に囲繞するためのシールドフレーム120A、120Bを、プリント基板130の上面に実装して、リフローを行って、電子部品131A〜131Dとシールドフレーム120A、120Bとを同時にプリント基板130に半田付けする。
最後に、図5(c)にて示すように、シールドフレーム120A、120Bに、シールドカバー110A、110Bをかぶせて、シールド構造体を形成する。
【0006】
シールドカバー110A、110Bは、シールドフレームの囲繞された空間を覆うための天板と、シールドフレームの側壁の上部を覆うために天板の外縁から垂下された板片とから形成されている。これらシールドカバー110A、110Bをシールドフレーム120A、120Bにかぶせることで、シールドフレーム120A、120Bで囲繞された電子部品131A、131Bを個別にシールドすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−95739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記にて示す技術は、シールドすべき電子部品毎にシールドしているので、組み立て工程において、手間とコストがかかる。
近年、シールド構造体の組み立て工程において、コスト削減が求められている。そのため、シールドすべき複数の電子部品を1つのシールド構造体で囲繞することが考えられる。
【0009】
複数の電子部品を1つのシールド構造体でシールドしようとすると、複数の電子部品を囲繞するシールドフレームは、従来のものと比べて大きくなる。以下、説明の便宜上、複数の電子部品を囲繞するシールドフレームを大型シールドフレーム、従来のシールドフレームを小型シールドフレームという。
そのため、大型シールドフレームを半田付けする際に、従来と同様のクリーム半田の量では、十分に接着されない恐れが生じる。なぜなら、大型シールドフレームは、小型シールドフレームより大きなものであるので、加工精度が同じであっても大型シールドフレームのゆがみは、小型シールドフレームのゆがみに比べて大きくなり、平坦度を確保することが困難になるためである。
【0010】
そこで、十分な接着を行うために、クリーム半田の量を従来の量よりも多くすることが考えられる。しかしながら、クリーム半田の量を多くすると、大型シールドフレームの側壁の外壁面において、クリーム半田が、従来と比較してより上部にまで付着する現象が生じる。この現象は、特に、シールドフレームのコーナーにおいて顕著に現れる。そのため、半田付けされた大型シールドフレームにシールドカバーをかぶせようとすると、外壁面に付着したクリーム半田と、シールカバーの板片とが干渉していまい、シールドカバーをシールドフレームに、確実にかぶせることができなくなる。つまり、囲繞された電子部品を確実にシールドすることができない。
【0011】
そこで、本発明は、シールドフレームを接着する接着剤の量を多くしても、囲繞された1又は複数の電子部品を確実にシールドすることのできるシールド構造体及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、プリント基板に配置された電子部品をシールドするためのシールド構造体であって、前記電子部品を囲繞する状態で、前記プリント基板上にろう接用接着剤により接着されたシールド用枠体と、前記シールド用枠体の上部を覆うシールド用天板とを備え、前記シールド用天板は、その外縁から垂下された板片を有し、当該板片は、前記シールド用枠体のコーナー部に相当する天板角部において欠除されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この構成によると、シールド構造体において、シールド用天板の外縁に垂下された板片が前記シールド用枠体のコーナー部に相当する天板角部においては欠除されている。これにより、前記シールド用枠体の各コーナー部において、これらコーナー部とは異なる箇所よりもろう接用接着剤が上部に被着している場合であっても、各コーナー部に被着したろう接用接着剤と前記シールド用天板の板片とは干渉することはないので、シールド用天板をシールド用枠体に確実にかぶせることができる。したがって、囲繞された電子部品を確実にシールドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】シールド構造体1の分解斜視図である。
【図2】(a)はシールド構造体1の斜視図であり、(b)はX−X’に対する垂直方向の断面図であり、(c)は(b)にて示すB部の拡大図である。
【図3】図2(a)にて示すA部の拡大図である。
【図4】コーナー部におけるシールドカバーの形状の変形例を示す図である。
【図5】従来のシールド構造体の組み立て工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1の実施の形態
以下、本発明である、シールド構造体に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、シールド構造体を本発明の電子機器の一例となる携帯電話機に適用した場合について説明する。
1.1 構成
図1は、本発明に係るシールド構造体1の分解斜視図である。
【0016】
シールド構造体1は、図1にて示すように、プリント基板30、シールドフレーム20及びシールドカバー10とから構成される。
(プリント基板30)
プリント基板30は、携帯電話機に実装される回路基板であり、携帯電話機の機能を実現するための部品や回路、メモリ等が実装される。なお、本実施の形態おいては、部品や回路、メモリ等を総称して電子部品と呼ぶ。例えば、図1にて示す電子部品31A〜31Iが、携帯電話機の機能を実現するための部品や回路、メモリ等に相当する。
【0017】
電子部品31A〜31Fは、自身の動作によりノイズを発するもの、若しくは他の電子部品が発するノイズにより動作に影響がでるものである。例えば、電子部品31A〜31Fは、変調された無線信号の送受信を行う送受信用の無線回路、基本LSI(large−scale integrated circuit)、メモリ、DC/DCコンバータ等である。ここで、基本LSIとは、携帯電話機の基本的な機能を実現するための回路である。この基本LSIには、CPU、音声回路、送信すべき信号の変調及び受信した信号の復調を行う変調・復調用無線回路、キー操作のコントローラ、USB接続に係るコントローラ及び充電に係るコントローラ等が含まれている。
【0018】
電子部品31G〜31Iは、ノイズを発するもの、若しくは他の電子部品が発するノイズを受けても動作に影響がないものであり、例えば、アンテナにおけるマッチングを行うマッチング回路、発光ダイオードなどである。
(シールドフレーム20)
シールドフレーム20は、洋箔からなり、プリント基板30に搭載された電子部品31Aから31Iのうちシールドが必要となる複数の電子部品31A〜31Fを囲繞する側壁23A〜23Gと、電子部品31A〜31Fそれぞれを隔離するための仕切壁22A〜22Eとから形成されている。また、シールドフレーム20の高さは、例えば、1.5mmである。
【0019】
シールドフレーム20は、板状の洋箔から、側壁23A〜23Gを形成すべき部分と、仕切壁22A〜22Eを形成すべき部分とを同一平面上で形成されている形状の型抜きを行い、その後、側壁23A〜23G及び仕切壁22A〜22Eを形成するために相当する箇所を折り曲げることで、生成される。
また、シールドフレーム20では、洋箔板上の角度が90度からなるコーナー21A〜21Fが形成されている。
【0020】
電子部品31A〜31Fそれぞれを隔離するための仕切壁22A〜22Eが形成されていることにより、シールドフレーム20は、電子部品31A〜31Fがシールドフレーム20内の他の電子部品にノイズの影響を与えないよう、若しくは他の電子部品から影響を受けないようにすることができる。
本実施の形態では、コーナー21A〜21Fそれぞれを形成する2つの辺それぞれにおいて、当該コーナーから他端に向かう辺方向において、当該コーナーから3mmに至る部位をコーナー部と呼ぶ。
【0021】
(シールドカバー10)
シールドカバー10は、シールドフレーム20と同様に洋箔からなり、シールドフレーム20の上部、つまり、囲繞された空間を覆い隠すためシールドフレーム20に嵌めるものである。
シールドカバー10は、囲繞された空間を覆い隠す天板13と、シールドフレーム20の側壁23A〜23Gそれぞれの外壁面と接触するために当該天板13から垂下された板片11A〜11Lとから形成されている。シールドフレーム20の側壁23A〜23Gそれぞれの外壁面と板片11A〜11Lとの接触方法については、後述する。
【0022】
本実施の形態では、洋箔板上の角度が90度からなるコーナー12F、12A、12D、12Eに近い板片11A、11D、11E、11H、11Jのそれぞれは、コーナー寄り端部からコーナーまでの距離を3〜5mm程度として形成されている。また、各板片11A〜11Lの高さは、シールドフレーム20の高さより0.25mm程低い、つまり1.25mmである。
【0023】
これら板片11A〜11Lは、図1にて示すように、シールドフレーム20上におけるコーナー部それぞれの位置に相当する天板上のコーナー部を除く他の部位の縁から垂下されている。逆にいうと、天板13上、つまりはシールドカバー10の各コーナー部においては、シールドフレーム20の側壁23A〜23Gそれぞれの外壁面と接触するための板片は欠除している。
【0024】
シールドカバー10は、シールドフレーム20と同様に、板状の洋箔から、天板13と、板片11A〜11Lとが同一平面上で形成されている形状の型抜きを行い、その後、板片11A〜11Lを形成するために相当する箇所を折り曲げることで、生成される。
1.2 組み立て
図2(a)は、図1にて示すシールドカバー10、シールドフレーム20及びプリント基板30を組み立てた後の、シールド構造体1の斜視図である。
【0025】
以下、シールドカバー10、シールドフレーム20及びプリント基板30の組み立ての手順について説明する。
組み立ての手順は、従来と同様である。
先ず初めに、プリント基板30の上面にクリーム半田をメタルマスクにより印刷する。次に、電子部品31A〜31Iを、チップマウンターによりクリーム半田が印刷されたプリント基板30上に実装する。さらに、シールドフレーム20をプリント基板30上に実装して、リフローを行って、電子部品31A〜31Iとシールドフレーム20とを同時にプリント基板30に半田付けする。
【0026】
ここまでの手順のうち従来と異なる点は、シールドフレーム20をプリント基板30上に半田付けする際のクリーム半田の量、特にコーナー部におけるクリーム半田の量である。
本実施の形態のシールドフレーム20は、複数の電子部品を囲繞するので、1つの電子部品を囲繞する従来のシールドフレームに比べて大きなものとなっている。そのため、シールドフレーム20のゆがみが従来のシールドフレームのゆがみと比べて大きくなる。そのため、従来のクリーム半田の量で半田付けを行うと、コーナー部においては半田付けがなされない、つまり、コーナー部がプリント基板30と接着されず、コーナー部とプリント基板30との間で隙間が生じてしまう。
【0027】
電子部品31A〜31I及びシールドフレーム20をプリント基板30に半田付けした後、シールドカバー10をシールドフレーム20へ覆うように嵌める。
ここで、シールドカバー10をシールドフレーム20へ覆うように嵌めた際に、各板片と、シールドフレーム20の側壁の外壁面とを接触させる必要がある。なぜなら、シールド構造体1は、シールドフレーム20により囲繞された空間を覆うことでシールドとしての役目を果たすものであるからである。
【0028】
そこで、図2(b)は、組み立て後のシールド構造体1におけるX−X’の断面図であり、板片11Cとシールドフレーム20の側壁23Aの外壁面とが接合している状態、及び板片11Hとシールドフレーム20の側壁23Fの外壁面とが接合している状態を示している。
ここで、図2(c)を用いて、板片11Cとシールドフレーム20の側壁23Aの外壁面とが接合するための具体的な方法を説明する。
【0029】
図2(c)は、図2(b)におけるB部の拡大図である。
板片11Cは、内面に半球状の突起部14を有している。
また、側壁23Aの外壁面において、突起部14に位置する箇所には、半球状の凹部24を有している。
組み立て時において、突起部14を凹部24に嵌めることで、シールドフレーム20にて囲繞された空間を覆い隠し、且つ各板片とシールドフレーム20の側壁の外壁面とを接合することができる。
【0030】
ここでは、主にシールドカバー10とシールドフレーム20との接合について説明した。そのため、説明に用いた図2(a)〜(c)においては、プリント基板30と、電子部品31G〜31I及びシールドフレーム20との接着に用いたクリーム半田の被着については図示していない。実際には、プリント基板30と、電子部品31G〜31I及びシールドフレーム20とはクリーム半田にて接着されているので、シールドフレーム20の側壁23A〜23Gの外壁面や電子部品31G〜31Iの側面にはクリーム半田が被着している。特に、プリント基板30とシールドフレーム20との接着に用いたクリーム半田はシールドカバー10の板片11A〜11Lと干渉しない程度に、シールドフレーム20の側壁23A〜23Gの外壁面に被着している。
【0031】
プリント基板30と各コーナー部との接着におけるクリーム半田の被着状態については、後述する。
1.3 シールド構造体1の効果
図3は、図2(a)におけるA部の拡大図であり、シールドフレーム20のコーナー21Aのコーナー部におけるクリーム半田40の被着状態を示している。
【0032】
コーナー21Aのコーナー部におけるクリーム半田40の量は、上述したように、コーナー21A〜21Fそれぞれのコーナー部とは異なる部位、例えば、側壁の中央付近(以下、中央部位という。)におけるクリーム半田の量より多く印刷されている。そのため、図3にて示すように、コーナー部における表面張力によるクリーム半田40の盛り上がり(上部に被着するする量)が、中央部位におけるクリーム半田の盛り上がりに比べて大きくなる。
【0033】
そこで、本実施の形態のように、シールドカバー10において、各コーナー部に位置する箇所には板片を設けないようにすることで、シールドフレーム20の各コーナー部において盛り上がったクリーム半田と、シールドカバー10とが干渉することなくシールド構造を構成することができる。
また、各コーナー部におけるクリーム半田の量を他の部位よりも多くすることで、リフロー時におけるシールドフレーム20のゆがみによる不接着を防ぐことができる。
【0034】
また、各コーナー部におけるクリーム半田の量を他の部位よりも多くすることで、シールドフレームに対する接着の強度が増すので、衝撃の耐久性や静加重耐久性が向上する。
1.4 変形例
以上、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
【0035】
(1)上記実施の形態において、コーナー部に位置する箇所において、切り欠けを設けてもよい。
例えば、図4にて示すように、コーナー12Aを切り取ってもよい。具体的には、コーナー12Aを形成する2つの辺において、一の辺の一点(第1点)から他の辺の一点(第2点)までを結んでできる三角形(2点鎖線を参照)を切り取る。この場合、切り取り後においてシールドフレーム20とシールドカバー10との間で隙間が生じないように、コーナー12Aから各辺における第1点及び第2点を決定する。
【0036】
これにより、クリーム半田の被着が、側壁の上面に達した場合においても、クリーム半田と、シールドカバー10とが干渉することなくシールド構造を構成することができる。
なお、切り取る形状を三角形としたが、これに限定されない。
切り取る形状は、他の形状であってよい。例えば、扇形や矩形の形状であってもよい。要は、切り取る形状は、切り取り後においてシールドフレーム20とシールドカバー10との間で隙間が生じないようなものであればよい。
【0037】
(2)上記実施の形態において、コーナー12F、12A、12D、12Eに近い板片11A、11D、11E、11H、11Jのそれぞれは、コーナーからコーナー寄り端部までの距離を3〜5mm程度として形成されるとしたが、これに限定されない。
印刷するクリーム半田の量に応じて、コーナーからコーナー寄り端部までの距離を変更してよい。
【0038】
(3)上記実施の形態において、プリント基板30と、電子部品31A〜31I及びシールドフレーム20との接着に、クリーム半田を用いるとしたが、これに限定されない。
プリント基板30と、電子部品31A〜31I及びシールドフレーム20とをろう接により接着できるものであればよい。
(4)上記実施の形態において、シールドフレーム20にて囲繞される電子部品は複数個であるとしたが、これに限定されない。電子部品は1個であってもよい。
【0039】
(5)上記実施の形態において、天板13の縁のうち、コーナー12Aからコーナー12F間を形成する縁に、4つの板片11A、11B、11C、11Dを形成したが、これに限定されない。コーナー12Aからコーナー12F間を形成する縁において、板片を1つのみ設けてもよい。
また、天板13の縁のうち、コーナー12Aからコーナー12F間を形成する縁、及びコーナー12Eからコーナー12D間を形成する縁においても同様に、板片を1つのみ設けてもよい。
【0040】
(6)上記実施の形態において、シールドフレーム20のコーナー21Aから21Fそれぞれに対するコーナー部は、当該コーナーから3mmに至る部位としたが、これに限定されない。
すなわち、コーナーから他端に向かう辺方向の長さは、上記3mmに限定されるものではなく、1mm、2mm若しくは4mmなどその他適宜な長さであってよい。
【0041】
また、各コーナーにおいてどの部分までの長さをコーナー部とするかは各コーナーにおいてすべて同じとするのではなく、それぞれのコーナーで異なりうる任意の長さであってもよい。例えば、コーナー部は、シールドフレーム20をプリント基板30に接着した場合、コーナーから、クリーム半田の被着が下部から0.25mmより低い位置となる箇所までクリーム半田が被着する部位であるとしてもよい。
【0042】
また、上述したコーナー部の定義に応じて、コーナー12F、12A、12D、12Eに近い板片が形成される位置は、変更される。
(7)上記実施の形態において、コーナー12A〜12F及びコーナー21A〜21Fを90度として場合で説明したが、これに限定されない。
コーナーの角度は、洋箔板の角度が180度以下、つまりコーナーにおいて表面張力が生じ得る角度であればよい。
【0043】
(8)上記実施の形態において、シールドカバー10及びシールドフレーム20の材質を洋箔としたが、これに限定されない。電子部品をシールドできる性質をもつ材質であればよい。
(9)1又は複数の電子部品を囲繞する形状は、上記実施の形態にて示す形状に限定されない。
【0044】
1又は複数の電子部品を囲繞する形状は、平面視多角形状であればよい。
(10)上記実施の形態及び変形例を組み合わせるとしてもよい。
(11)上記実施の形態にて示すシールド構造体1が実装される電子機器としては、携帯電話機に限定されるものではない。PDA(Personal Digital Assistant)、電子辞書、パーソナルコンピュータなどの任意の電子機器であってもよい。
【0045】
(12)本発明におけるシールド用枠体は、上記実施の形態におけるシールドフレーム20に相当する。
また、本発明におけるシールド用天板は、上記実施の形態におけるシールドカバー10に相当する。
1.5 まとめ
(1)本発明は、プリント基板に配置された電子部品をシールドするためのシールド構造体であって、前記電子部品を囲繞する状態で、前記プリント基板上にろう接用接着剤により接着されたシールド用枠体と、前記シールド用枠体の上部を覆うシールド用天板とを備え、前記シールド用天板は、その外縁から垂下された板片を有し、当該板片は、前記シールド用枠体のコーナー部に相当する天板角部において欠除されていることを特徴とする。
【0046】
この構成によると、シールド構造体において、シールド用天板の外縁に垂下された板片が前記シールド用枠体のコーナー部に相当する天板角部においては欠除されている。これにより、前記シールド用枠体の各コーナー部において、これらコーナー部とは異なる箇所よりもろう接用接着剤が上部に被着している場合であっても、各コーナー部に被着したろう接用接着剤と前記シールド用天板の板片とは干渉することはないので、シールド用天板をシールド用枠体に確実にかぶせることができる。したがって、囲繞された電子部品を確実にシールドすることができる。
【0047】
(2)ここで、前記シールド用枠体は、当該シールド用枠体内を隔離する仕切壁を有しているとしてもよい。
この構成によると、シールド構造体のシールド用枠体は、当該シールド用枠体内を隔離する仕切壁を有している。これにより、シールド構造体は、複数の電子部品を囲繞する場合、電子部品それぞれがシールド用枠体内の他の電子部品にノイズの影響を与えないよう、若しくは他の電子部品から影響を受けないようにすることができる。
【0048】
(3)ここで、前記シールド用天板は、さらに、前記天板角部において欠除されている としてもよい。
この構成によると、シールド構造体は、前記シールド用枠体のコーナーの上面にまでろう接用接着剤が被着している場合であっても、シールド用天板の天板角部とろう接用接着剤とは干渉することはないので、シールド用天板をシールド用枠体に確実にかぶせることができる。したがって、囲繞された電子部品を確実にシールドすることができる。
【0049】
(4)また、本発明は、電子機器であって、上記(1)から(3)のいずれかのシールド構造体を備えることを特徴とする。
この構成によると、シールド構造体はシールド用天板の天板角部とろう接用接着剤とを干渉させることなく電子部品を確実にシールドするので、当該シールド構造体を備える電子機器は、ノイズによる誤動作が発生するはない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、シールドフレームとプリント基板とを接着するろう接用接着剤の量を多くした場合におけるシールド構造体、及び当該シールド構造体を備える電子機器に対して有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 シールド構造体
10 シールドカバー
11A〜11L 板片
12A〜12F コーナー
13 天板
20 シールドフレーム
21A〜21F コーナー
22A〜22E 仕切壁
23A〜23G 側壁
30 プリント基板
31A〜31I 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に配置された電子部品をシールドするためのシールド構造体であって、
前記電子部品を囲繞する状態で、前記プリント基板上にろう接用接着剤により接着されたシールド用枠体と、
前記シールド用枠体の上部を覆うシールド用天板とを備え、
前記シールド用天板は、その外縁から垂下された板片を有し、
当該板片は、前記シールド用枠体のコーナー部に相当する天板角部において欠除されている
ことを特徴とするシールド構造体。
【請求項2】
前記シールド用枠体は、
当該シールド用枠体内を隔離する仕切壁を有している
ことをと特徴とする請求項1に記載のシールド構造体。
【請求項3】
前記シールド用天板は、さらに、前記天板角部において欠除されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド構造体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のシールド構造体を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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