シール手段を有するカプセルを用いたシステム
カプセルベースの飲料製造装置と、− 飲料材料を収容するためのカプセルとを備え、飲料製造装置(2)には、− 液体を加圧下でカプセル(1)内に注入するための手段と、− カプセル(1)から飲料を排出するための手段と、− 開放状態から、カプセル(1)の外面を取り囲む所定の閉塞状態へと移行できる囲繞部材(9)とが設けられているシステム。カプセル(1)にはシール部材(8,11,26)が関連付けられ、シール部材(8,11,26)は、閉塞状態で囲繞部材(9)と係合すると圧縮することができるとともに、囲繞部材とカプセル(1)との間のクリアランスを補償するのに有効であり、上記クリアランスは、囲繞部材(9)がその所定の閉塞状態にあるときにカプセル(1)のシール部材が無ければ存在する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般に、カプセルと共に使用するための飲料製造システム、及び、このようなカプセル内に収容された材料から飲料を製造するための方法に関する。
【0002】
本発明の背景は、飲料又は他の食料品(例えばスープ)材料を収容する密閉カプセルの分野である。これらの材料と注入された液体との相互作用により、飲料又はスープなどの他の食料品を製造することができる。相互作用は、例えば、抽出、浸出、溶出などのプロセスであってもよい。このようなカプセルは、特に、熱水を加圧下でカプセルの内部に注入してカプセルからコーヒー飲料を排出させることによりコーヒー飲料を製造するために挽いたコーヒーを収容するようになっている。
【0003】
仏国特許第2160634号に示されるカプセルはカートリッジからコーヒー飲料を製造するための装置に関するものであり、カートリッジ内には、カートリッジの上側に対して密閉状態で水注入装置が配置されている。水注入装置は、カプセルの上側リム上に適用されるシールを含んでいる。
【0004】
欧州特許公開第0361569号は、密閉カプセルを示していないが、コーヒーメーカー中に配置されるときにシールされずカートリッジケーシング内に単に圧入されるコーヒーフィルタユニットであって、コーヒーフィルタユニットの開放した上側に設けられたフィルタ紙上に水を注ぐことができるようにするコーヒーフィルタユニットを開示している。フィルタユニットの上側リムの外側に水がこぼれることを回避するため、フィルタ紙の周辺部がコーヒーフィルタユニット壁の外側リムとコーヒーメーカーの周壁との間で挟持される。このような構造は、大気圧で飲料をろ過する装置であり、例えばエスプレッソタイプのコーヒーを製造すべきときにカプセルに影響を及ぼす例えば3barを越える圧力或いはそれ以上の一般的な水注入圧力に耐えるようになっていない装置である。
【0005】
仏国特許第2617389号は、抽出されるべきカプセルがカプセルホルダ上に配置されているカプセルベースのコーヒーメーカーについて記載している。この場合、カプセルホルダはバヨネット状に回転され、その最終的な回転位置は、カプセルホルダを回転させるためのハンドルに対してユーザが加えるトルクによって決まる。したがって、最終的な閉塞位置がユーザにより加えられるトルクの大きさに依存するため、コーヒーメーカー自体は所定の閉塞位置を有さない。そのため、カプセルとコーヒーメーカーとの間のシールは、コーヒーメーカーの構造によって規定されず、専らユーザのコーヒーメーカーの扱いに依存している。一般に、及ぼされる回転力が高ければ高いほど、大きなクリアランスを補償できる。しかしながら、このようなシステムは幾つかの欠点を与える。第1に、このようなシステムは、手で単に締め付けられたままとなるように閉塞装置を必要とし、そうしないと、機械的に、電気的に、或いは、液圧的に補助されることができない。システムにおいて、ユーザは、コーヒーメーカーにカプセルホルダを螺合するために特定の力を必要とし、また、ユーザがその後にカプセルを回して外すことが困難な場合がある。更に、シールを制御することが困難であり、カプセルホルダの締め付けが不十分であることから圧力漏れが生じる場合がある。
【0006】
仏国特許第2617389号に係る回転式のバヨネット型閉塞とは異なり、本発明は、カプセルを取り囲む機械の部品の閉塞したがってシールがユーザの力に頼るのではなく機械内でのカプセルの配置によって決まる所定の状態に依存する機械に関する。
【0007】
これは、例えば、閉塞動作の最終段階が実質的に軸方向(すなわち、並進又は曲線の)動作であるが回転しない動作である機械の場合である。
【0008】
物質を収容するカプセルから流体食料品を得るための従来技術のシステム及び方法は、例えば欧州特許公開第512470号(米国特許第5,402,707号に対応)から知られている。欧州特許公開第512470号の機械はバヨネット型閉塞装置から一例を挙げている。
【0009】
図1に示されるカプセル101は円錐台形状のカップ102を有しており、このカップ102は、例えば炒って挽いたコーヒー103で満たされていてもよく、また、カップ102の側壁から側方に延びるフランジ状のリムに対して溶着され及び/又は圧着されたホイル状の引き裂き面カバー104によって閉じられている。カプセルホルダ111はレリーフ面要素部材113を有するフローグリル112を備えている。
【0010】
カプセルホルダ111はその支持体115内に収容されており、支持体115は、側壁124と、抽出されたコーヒー飲料の通路のための孔127とを有している。
【0011】
図1から分かるように、抽出システムは、水注入チャンネル120を有する水注入器107と、その内側凹部の形状がカプセルの外形に略一致するカプセルケージ108とを更に備えている。カプセルケージ108は、その外側部分に、抽出完了時にカプセルを解放するためにリング123を保持するスプリング122を備えている。
【0012】
動作時、カプセル101がカプセルホルダ111内に配置される。水注入器107がカプセル102の上面を穿孔する。カプセルの下側引き裂き面104がカプセルホルダ111の放射状に配置された部材113上に載る。
【0013】
水注入器107のチャンネル120を通じて水が注入され、コーヒーのベッド103に水が衝突する。カプセル101内の圧力が増大し、引き裂き面104が放射状の開放レリーフ部材113の形状に次第に追随する。このような放射状開放レリーフ部材は、ピラミッド形状レリーフ又は他の形状のレリーフと置き換えることができる。引き裂き面の構成材料がその破壊応力に達すると、引き裂き面がレリーフ部材に沿って裂ける。抽出されたコーヒーがフローグリル112のオリフィスを通じて流れて孔127の真下の容器(図示せず)内に回収される。
【0014】
この抽出プロセスの原理は、それが本発明と関連して維持できる限り、以下のように要約できる。
− 最初に密閉されたカプセルがカプセルホルダ手段内に挿入される;
− その後、カプセルケージ(図4の108)が密閉カプセルを取り囲むようにカプセルホルダ手段が機械の水注入手段に関連付けられる;
− 水を加圧下で導入するために、カプセルの第1の壁に少なくとも1つの開口が形成される;
− 第1の壁の開口を通じてカプセル内に加圧下で注入される水は、カプセルの内部を横切りながらカプセル内に収容された材料と相互作用し、その後、第2の壁に形成された少なくとも1つの開口/穿孔を通じてカプセルから排出される。
【0015】
カプセル内の飲料の材料は、水の流路の「隘路」を構成し、したがってカプセルを通じた液体流れの上流側と下流側との間に圧力降下を引き起こし、この圧力降下は、例えば材料の膨張に起因して液体と材料との間の相互作用中に増大することさえある。それに応じて、水の流れが実際にカプセルの内部を通じてのみ行なわれる(矢印A1)ようにするとともに、水が水注入器からカプセルケージ108とカプセル101の外面との間の隙間へ流れることができないようにし、その後、装置の排出孔127へと流れるようにしなければならない。矢印A2は、この望ましくない水流経路を示している。すなわち、カプセル101の外側の任意の水流は、カプセルケージ108とカプセル101との間の隙間に位置され且つ水注入器と飲料排出孔との間の流路内に位置されるシール係合によって食い止められなければならない。図1に示される実施形態において、このようなシール係合は、カプセルケージ108とカプセル101の側壁のフランジ状リムとカプセルホルダ111,115との間の締め付け係合により少なくとも特定の度合いまで達成できる。
【0016】
シール係合が適切に機能しておらず且つ水がカプセルの外側を流れている場合には、引き裂き面の引き裂けを引き起こすことができる十分な圧力がカプセルの内側で形成されず、或いは、圧力が引き裂き面の完全な引き裂けを引き起こさず、したがって、物質の抽出が僅かとなる。このようなシナリオにおいて、水は、十分な圧力状態下でカプセル内に収容された材料と相互作用せず或いは十分に相互作用することなく飲料製造装置から排出される。
【0017】
現在、軸方向閉塞動作を基本とし、もはやバヨネット型閉塞に基づかない新たな機械が市販されている。これらの機械は、ユーザに更なる便利さを与え、簡単に閉塞できるように機械的、電気的又は液圧的に補助され得るとともに、あまり高価でない材料(例えばプラスチック)によって形成することができる。例えば、欧州特許第0604615号、欧州特許第1090574号、欧州特許第1327407号、国際公開公報第2004/071259号又は国際公開公報第2005/004683号などの幾つかの特許は様々な閉塞原理について記載している。
【0018】
したがって、カプセル周囲の閉塞の緊密度合いをユーザが制御できる可能性はない。軸方向閉塞移動で作動する装置の本質的に規定される閉塞状態が適切に機能する限り、これは満足な結果をもたらす。しかしながら、シールが損傷し或いは様々な理由(摩耗、経年変化、固体残留物による妨害によって)によりシールの能力が経時的に低下し或いは結果的に閉塞位置がずれている(例えば、摩耗、疲労又は製造公差に起因して理想的な閉塞位置に対して水平にオフセットされる)場合には、緊密なシールを持たなくなり或いは囲繞部材とカプセルとの間にクリアランスが生じる虞がある。
【0019】
従来技術によれば、シール係合は、カプセルケージの内壁及び/又は押し付け縁部をゴム弾性接合体で裏打ちすることにより行なわれる。すなわち、上記従来技術の手法によれば、シール係合は、飲料製造装置に固定され或いは取り付けられる永久的な構造によって確保される。これは、激しい使用(すなわち、かなりの数を越える抽出サイクル)後に永久シール手段の摩損が生じる可能性があり、それにより、飲料の抽出状態が悪化し、それに応じて飲料の品質に悪影響が及ぶという欠点を有している。
【0020】
特に、カプセルの外面での任意の「漏れ」は、カプセル内の圧力を低下させる。一方、十分な抽出圧力はエスプレッソコーヒーの品質にとって重要なファクタである。
【0021】
これに対応して、本発明は、
− カプセルを受けることができるとともに開放状態から予め設定された所定の閉塞状態へと移行できる飲料製造装置の囲繞部材と、
− シールを伴って構成されるカプセルであって、カプセルが囲繞部材と係合する度に上記シールがカプセルの有効な流体シール構造を形成し、それにより、囲繞部材がカプセルの周囲で上記所定の閉塞状態で閉じられたときにカプセルを貫通する制御された流体通路を通じて水がカプセル内に流入する、カプセルと、
− 加圧水をカプセルの内部へ注入するための手段を有する飲料製造装置と、
を備えるシステムの改良を目的とする。
【0022】
特に、本発明は、囲繞部材とカプセルの外面との間の補償的なシール係合の改良を目的としている。
【0023】
したがって、本発明が特に例えば欧州特許第512470号に示されるような内蔵式のシール手段を有する従来技術の飲料製造装置も本発明に係るカプセルと共に使用できるようにカプセルを改良することを目的としていることに留意されたい。
【0024】
この目的は独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の中心思想を更に発展させている。
【0025】
本発明の第1の態様によれば、システムは、
− カプセルベースの飲料製造装置と、
− 飲料材料を収容するためのカプセルと、
を備えている。
【0026】
飲料製造装置には、
− 液体を加圧下でカプセル内に注入するための手段と、
− カプセルから飲料を排出するための手段と、
− 開放状態から、カプセルの外面を取り囲む所定の閉塞状態へと移行できる囲繞部材とが設けられている。
【0027】
カプセルに関連付けられたシール部材を備え、シール部材は、閉塞状態で囲繞部材と係合すると圧縮することができるとともに、囲繞部材とカプセルとの間のクリアランスを補償するのに有効であり、上記クリアランスは、囲繞部材がその所定の閉塞状態にあるときにカプセルのシール部材が無ければ存在する。
【0028】
シール部材は、圧縮下で弾性を有し、閉塞状態の囲繞部材と係合することができる。
【0029】
囲繞部材は、その開放状態からその閉塞状態へのその移行動作の最終段階でカプセルの相対回転を伴うことなくカプセルに対して略軸方向(例えば、直線状又は曲線状であるが回転しない)に相対移動するように配置することができる。
【0030】
囲繞部材は、開放状態から閉塞状態への移行動作中にカプセルがほぼ所定の位置に留まるようにカプセルに対して配置されている。
【0031】
シール部材は、飲料製造装置の対応する押し付け面に対して付勢力を及ぼすように配置されている。
【0032】
シール部材は、クリアランスの変化の特定の範囲内を補償できる十分な厚さを有している。好ましくは、シール部材は、圧縮力の主方向で測定される0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmの厚さ(静止時)を有している。
【0033】
押し付け面は、径方向断面図で見ると、直線状の輪郭及び/又は円錐台の輪郭を成している。
【0034】
押し付け面は、側面図で見ると、非直線状の輪郭を有することができる。
【0035】
押し付け面の輪郭には波形を与えることができる。
【0036】
これにより、シール係合は、囲繞部材が最小圧縮力をカプセルに及ぼしている限りにおいてのみ有効であるが、圧縮力が上記最小圧縮力を下回ると直ぐに自動的に解放される。
【0037】
囲繞部材の周囲には溝を設けることができ、これらの溝は、当該溝及びカプセルと囲繞部材との間の解放されたシール係合を通じて空気を供給するための空気吸入通路としての機能を果たす。
【0038】
シール部材をゴム弾性材料によって形成することができる。
【0039】
シール部材は、高分子材料などのカプセルの構成材料から形成することができる。
【0040】
カプセルは、材料のためのシールされた内部を形成するために、フランジ状リム領域において気密状態で互いに接続される第1及び第2の壁要素を備えている。
【0041】
シール部材は、少なくともフランジ状リムと壁要素の一方との移行領域に設けることができる。
【0042】
シール部材は、フランジ状リムと水注入器が導入されるカプセルの位置との間の壁上に設けられている。
【0043】
カプセルは、カップ状ベース本体と囲繞部材とから構成することができる。
【0044】
シール部材は、フランジ状リム及びベース本体の側壁の一部の両方に存在することができる。
【0045】
シール部材は壁要素のうちの一方の一体部分となることができる。
【0046】
シール部材は壁要素と別体となることができる。
【0047】
シール部材がOリングの形状を成し、或いは、リングがL形状の断面を有している。
【0048】
シール部材は、接着剤を使用して或いは溶着により或いは挟圧又は圧着又はこれらの組み合わせにより壁要素のうちの一方に取り付けることができる。
【0049】
囲繞部材は、囲繞部材とカプセルとの間のシール係合を助けるようになっている更なるシール手段を備えることができる。
【0050】
シール係合に作用するシール圧は、カプセルの中心軸に対して径方向及び/又は軸方向成分を有することができる。
【0051】
本発明の他の態様は、飲料を製造するための方法であって、
− 飲料製造装置の閉塞手段が開放状態にある状態で飲料製造装置内にカプセル(このカプセルはシール手段に関連付けられ、シール手段は圧縮可能である)を位置させるステップと、
− 閉塞手段を開放状態から所定の閉塞状態へ移行させる一方、移行動作の最終段階で、閉塞手段がカプセルのシール手段と係合してこれを付勢するステップと、
− 第1の壁要素の少なくとも1つの開口で液体をカプセル内に加圧下で流入させるとともに、第2の壁要素の少なくとも1つの開口を通じて液体をカプセルから排出させるステップと、
を備える方法に関する。
【0052】
カプセルのシール部材は、囲繞部材がその所定の閉塞状態にあるときに囲繞部材とカプセルとの間の任意のクリアランスを補償することができ、上記クリアランスはカプセルのシール部材の補償作用が無ければが存在する。
【0053】
移行動作の最終段階で、囲繞部材はカプセルのシール手段を少なくとも部分的に圧縮することができる。
【0054】
囲繞部材とカプセルのシール手段とのシール係合は、2〜20barの範囲の圧力、好ましくは4〜15barの圧力に耐える。
【0055】
本明細書で使用される用語「対応する押し付け面」は、一般に、飲料製造装置の一部である。これは、一般に、カプセルを取り囲むために装置の閉塞時にカプセルの少なくとも一方側を覆う装置の一部である囲繞部材の面であってもよい。用語「内圧」とは、抽出中にカプセルの流体注入口の直前(しかし、任意の逆止弁の下流側)にある流体注入装置の流体管路内で測定できる周囲の大気圧を上回る相対的な圧力のことである。
【0056】
本発明の更なる利点、特徴、目的は、添付図面の図と併せて解釈する本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むと当業者にとって明らかとなる。
【0057】
ここで、図2を参照して第1の詳細な実施形態について説明する。
【0058】
なお、以下では、カプセルの特定の構成、すなわち、カプセルがカップ状のベース本体と閉塞ホイル部材とを備える構成を参照して本発明を説明する。しかしながら、例えば2つの実質的に適合する対向する壁(例えばホイル)が例えばリング形状縁部でシールされるレンズ形態を有するカプセルなど、他の構成のカプセルも実行可能であることは言うまでもない。一般に、本発明に係るカプセルは、シールされたフランジ状リム領域を形成するために縁部で互いに接続される、したがってシールされた内部を取り囲む、少なくとも2つの対向壁部材を備えている。
【0059】
カプセルは、依然としてシールされたまま飲料製造装置内に挿入される。
【0060】
従来技術と比べて、この実施形態も、カプセル1のカップ状ベース本体4を閉塞するホイル部材5を引き裂いて穿孔するように構成されるレリーフ要素12を有するカプセルホルダ13を示している。なお、レリーフ要素以外の引き裂き要素も考えることができる。
【0061】
ホイル部材のこの引き裂けは、例えばカプセル内の圧力が閾値を越えると直ぐに生じ得る。なお、レリーフ要素は、ホイル部材の(部分的な)引き裂けを引き起こすことができる任意の突出形状を有することができる。単なる一例として、ピラミッド、針、隆起、円筒、細長いリブが挙げられる。
【0062】
1つの選択肢において、ホイル部材5は、例えばカプセルの周囲の機械の閉塞の結果として水がカプセル内に注入される前に少なくとも1つのレリーフ要素に対して突き刺すことができる壁と置き換えることができる。
【0063】
カプセル1内には飲料の材料3が収容されている。この場合、材料3は、カプセル1の上壁17の領域でカプセル内に液体が入ってその液体がこのような材料3と相互作用する時に飲料を生成できるように選択される。好ましい材料は、例えば、挽いたコーヒー、茶、又は、飲料又は他の液体又は様々な食料品(例えばスープ)を製造できる任意の他の材料である。
【0064】
図2は、このようなカプセルがカプセルホルダ13上に配置された(依然としてシールされたまま)状態を示しており、ホイル部材5がカプセルホルダ13のレリーフ要素12側に載っており、カプセル1のカップ状ベース本体4の一部が飲料製造装置の囲繞部材9の周壁25によって既に取り囲まれている。図示の囲繞部材はベルの形状を成している。他の形状も実行可能である。その場合、囲繞部材の内部輪郭(凹部)の形状は、一般に、カプセル1の外形にほぼ一致するようになっている。
【0065】
なお、図示のホイル部材5は、カプセルの内側の所定の過度な圧力に起因して正確に平らではなく、また、この過度な圧力は、例えば充填カプセルを製造する際に例えば保護ガスを導入することにより生成される。
【0066】
囲繞(ベル)部材9は、その機能について後で説明する環状支持スカート18と、ベル部材を飲料製造装置内に取り付けるための雄ネジ19と、ベル部材9に対して取り外し可能に装着(螺合)される水注入器14に対して例えば熱水などの液体を加圧下で供給するための水注入開口20とを更に備えている。
【0067】
なお、ネジ19は、接続手段の単なる一例であり、取り外し可能な接続手段又は取り外し不能な接続手段であってもよい。
【0068】
飲料製造装置の他の構成要素、例えばベル部材及び最終的にはカプセルホルダをも移動させるための機構は、カプセルベースのエスプレッソ機の分野における従来技術から知られている。
【0069】
水注入器は、例えば手動操作機構又は自動機構によりカプセルホルダ13及びベル部材9が接近して一緒に移動されるときにカプセル1の上壁17に少なくとも1つの開口を形成するようになっている少なくとも1つの穿孔要素(ブレード、ピンなど)24を備えている。穿孔要素14がカプセル1の内部に突出する(図4参照)と直ぐにカプセル1の内部に水を供給できるようにチャンネル(図示せず)が穿孔要素14を横切っている。
【0070】
カプセル1は、上記上壁17と、側壁7と、フランジ状リム6とを備えており、カプセル1のカップ状ベース本体4を密閉閉塞するためにホイル部材5が上記フランジ状リム6に対してシールされている。先と同様に、カプセルをシールでき且つカプセルが前述した材料を収容できる限り、カプセルのための他の形状も可能である。例えば、カプセルは、より多くのフィルタのうちの1つを含むことができる。下端フィルタをホイル5の内面と接触して配置することができ及び/又は上端フィルタを本体4の内面と少なくとも部分的に接触して配置することができる。
【0071】
本発明において、カプセル1の外面は専用のシール部材8を形成する。シール部材8は、使用される材料及び/又はシール部材8の幾何学的形状に起因して弾性を有することができる。
【0072】
また、シール部材8は、カプセル1と一体であってもよく或いは別個の部品であってもよい。後者の場合、シール部材は、ベース本体4に対して取り外し可能に装着することができ、或いは、例えば溶着又は接着剤によりベース本体に対して固定することができる。
【0073】
シール部材8がカプセル1に対して取り付けられる別個の部品である場合には、シール部材を1つの一体部品としてカプセルに対して取り付けることができる。或いは、シール部材は、流体又は粘り気のある形態で塗布することができ、その後、カプセルの外面に塗布されると直ぐに硬化することができ(例えば重合することができ)、これは例えばシリコンを塗布するケースである。
【0074】
シール部材8のために弾性材料が使用される場合には、ゴム弾性材料が使用されることが好ましい。「ゴム弾性」という用語は、エラストマー、シリコン、プラスチック、ラテックス、バラタ又は他のものを含むがこれらに限定されないゴム弾性を有する任意の適当な材料を意味している。特に、適した材料は、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンモノマー)、NBR(アクリロニトリルゴム)、TPE(熱可塑性エラストマー)又はシリコンゴムである。これらの材料は、特定の良好な伸縮特性を有しており、クラッキングを伴うことなく高温に耐えることができる。
【0075】
シール部材の材料がカプセルのために使用される材料(例えば、アルミニウムやプラスチックなどの金属)と同じである場合には、シール部材の弾性的という性質がシール部材の幾何学的形状によって得られることが好ましい。
【0076】
図2に係る実施形態において、シール部材8は、リップ形状の形態に起因して弾性的に撓むことができる。シール部材は、カプセルと同じ材料、好ましくはプラスチックにより形成される。シール部材は、カプセル1のベース本体4と一体の部品であってもよい。
【0077】
フレキシブルリップ8は、フランジ状リム6の外縁部から延びており、外側へ傾けられている。図示の実施形態において、フレキシブルリップはカプセルのベース本体の側壁の縁部であり、この縁部は、約90度を越える角度、好ましくは95〜175度の角度だけ曲げられる。
【0078】
なお、このような撓むことができるシール部材8は、水注入器14とホイル部材5の穿孔との間でシール部材8及び囲繞部材9の外側シール係合のために位置が合わされる限り、カプセル1上の任意の位置に配置することができる。また、シール部材8は、水注入器がカプセル1の内部に突出する位置にあるときに水注入器14を取り囲むカプセル1の上壁17の領域に設けることもできる。また、シール部材8は、カプセルの様々な部分(上端、側壁、フランジ状リム)を覆うように配置することもできる。
【0079】
図3に詳しく示されるように、この実施形態に係るベル部材9は任意の専用の弾性シール部材を備えていない。しかしながら、ベル部材が場合によって(付加的な)弾性シール部材を備えることもできる。
【0080】
ベル部材9の広がって傾けられたシール面15は、カプセル1の弾性的に撓むことができるシール部材8と協働するように形成されている。シール面の傾きは、シール部材を構成する自由に曲がるリップの傾きと反対である。
【0081】
カプセル1のシール部材8の形状及び材料に応じて、ベル部材9の協働する面は、カプセル1のシール部材8とのシール係合のために適合される任意の形状、位置、方向を有することができる。
【0082】
図4は、ベル部材9及びカプセルホルダ13が閉塞圧力係合されるとともに、カプセルの内部に水が入りこの内部の圧力が増大することによりカプセルホルダ13のピラミッド型のレリーフ要素12が既にカプセル1のホイル部材5に開口を形成した状態を示している。
【0083】
図4に示される閉じられた状態は、ユーザの操作により規定されるのではなく機械の構造によって規定される内在的に設定される状態である。
【0084】
図2に示される囲繞部材9の開放状態から図4に示される閉塞状態へと移行させるため、囲繞部材はカプセル1に対して略直線的な相対変位を受けている。この実施形態において、カプセル1は、任意の変位を行なっておらず、閉塞プロセス中に所定の位置に留まっているものとする。しかしながら、囲繞部材9の変位に代えて或いは囲繞部材の9の変位に加えて、カプセル1も略直線的な移動を行なうこともできる。
【0085】
図示の実施例において、カプセル1は囲繞部材9に対して回転しない。
【0086】
カプセルの挿入時、水注入器のブレード要素24がカプセル1の上壁17に穿孔16を形成した。十分な流体圧がカプセル内に形成されると、カプセル内に収容された材料から製造された飲料をレリーフ部材12と周囲のホイル部材5との間の小さな隙間に排出させることができる。
【0087】
図4に示される状態で、カプセル1の弾性的に撓むことができるシール部材8、すなわち、フレキシブルリップは、囲繞部材9の対応する傾斜したシール面15に対して付勢される。このとき、ベル部材のシール面15がシール部材8に所定の圧力を及ぼす際にシール部材8及びカプセルを所定の位置に保持させるため、環状支持スカート18がカプセル1のフランジ状リム6の端部を覆う。
【0088】
実際には、リップ形状のシール部材8は、自己補強するシール係合を与えるための構成の一例を表わしている。水注入器からくる水は、カプセルの外面と囲繞部材との間の隙間に圧入して最終的にリップ形状のシール部材に到達する。リップ形状のシール部材は、それが環状部材のシール面に対して付勢されるときに水流を妨げる。この妨げ効果はシール部材の上流側で圧力の上昇をもたらし、この圧力上昇によりシール部材が更に強くシール面に対して押し付けられ、それにより、シール係合部での圧力が高くなればなるほど強くなるシール係合が引き起こされる。
【0089】
図5の実施形態では、カプセルホルダ13の周囲に溝22が設けられており、この溝22は、カプセルが取り除かれる前にカプセルホルダ13の表面上に留まる可能性がある或いは貯まる可能性がある水を排出する或いはカプセルから滴下させる働きをする。
【0090】
したがって、例えば図5の場合のような側面図で見ると、囲繞部材9が周方向波形を与える可能性がある。なお、溝は単なる一例である。
【0091】
シール部材は、囲繞部材9の閉塞状態でこのような波形を補償する/埋めるように形成されている。しかしながら、例えば飲料製造装置の部品の製造公差、アライメントミス、摩耗又は疲労に起因して、明確に予見される波形を伴わない場合でも、カプセル1と囲繞部材9との間のシール係合の不十分な緊密性及び/又はクリアランスの虞が常に存在する。本発明によれば、ともすれば存在し得る任意の予期できる及び/又は予期できないクリアランスを補償するためにシール部材が十分に圧縮される。
【0092】
例えば図4の場合のような径方向断面図で見ると、囲繞部材9のリムすなわち押し付け面の輪郭は、放射状の波形を与えない。押し付け面の放射状部分は、むしろ、直線状断面及び/又は円錐台断面又はこれらの組み合わせを与える。したがって、本発明に係る押し付け面は、シール部材を圧縮し或いは僅かに変位させるように形成されている。
【0093】
図6は、図2の第1の実施形態の変形に実質的に対応する一実施形態を示している。この実施形態に係るシール部材8は圧縮でき及び/又は変位できる(すなわち、囲繞部材によって加圧されると僅かに「流れる」)。シール部材は、側壁7の一部及びカプセル1のフランジ状リム6の外端と上記側壁7との間の領域の両方を覆っている(シール部材は、カプセル1のベース本体4の側壁7の一部だけを覆うこともできる)。この実施形態に係るシール部材8は非対称な断面すなわちL字形状断面を有している。
【0094】
或いは、シール部材8は、例えばカプセルに貼り付けられる膜、Oリングなどの他の形状を有することができる。
【0095】
カプセル1が図4に示される位置にあり、その後、飲料製造プロセスが終了して、ホルダ13が開放されると、カプセル1が落下しないで「真空作用」によりベル部材9に吸着されたままとなる虞がある。図8に示されるように、本発明は、ベル部材9がカプセルホルダ13と係合される限りカプセル1とベル部材9との間のシール係合タイプのみが存在するが、カプセル1の上壁17及び側壁7のそれぞれとベル部材9の内壁との間の空間内に空気が流入できるように上記シール係合が自動的に解放されるようにする機構を提供することを提案する。
【0096】
図8から分かるように、特にシール部材8がカプセル1の側壁7の一部を覆う場合には、空気を供給するための空気吸入通路としての機能を果たす溝21をベル部材9の環状の前面に設けることができる。これらの溝は、ベル部材9とカプセルホルダ13との間の付勢力が解放されると空気の吸込みを可能にする。したがって、空気はこの空間内へ流れており、ユーザがカプセル1を取り出すのは簡単である。結局、カプセル1はベル部材9から自動的に落下する。
【0097】
図9は、ベル部材9の前面23がカプセル1のシール部材8とシール係合している第2の実施形態の状態を示している。
【0098】
図10〜図12は、シール部材の弾性がカプセル自体の幾何学的形状に起因する本発明の第3の実施形態を示している。図示の実施形態において、シール部材は階段26の形状を成しており、すなわち、カプセル1の側壁7の直径が突然に増大している。なお、幾何学的形状は図示の階段に限定されず、シール部材の弾性又は少なくとも変形可能な性質が得られる限り他の形状も実行可能である。
【0099】
この実施形態に係る階段状シール部材26は中空シール部材(例えば、図6〜図9の第2の実施形態に係る「中実の」シール部材8とは異なる)における単なる一例である。シール部材の弾性が幾何学的な形状によって得られる場合には、通常、シール部材の撓みが生じる(ここでは、階段の内側下方への変形)。一方、弾性が使用される材料に起因し且つ「中実」シール部材が使用される場合には、通常、材料の圧縮及び/又は変位が生じる。
【0100】
この実施形態に係るシール面15は傾斜している。したがって、シール圧は、径方向内側に向けられる第1の成分と、軸方向(図12の下方)に向けられる他の成分とを有している。
【0101】
特に図12から分かるように、ホイル部材5をカプセルのリム上にわたって巻き付けることができる(参照符号27を参照)。
【0102】
図13及び図14は、シール部材がOリング11である第4の実施形態を示している。Oリングは、幾何学的に配置されており、好ましくはカプセル1の上壁17上に固定される。これは、水注入器と対向し且つカプセル1に水注入口を形成するために穿孔される側でカプセル1の外面にシール部材を設ける単なる一例である。
【0103】
Oリング11は、水注入器14がカプセル1の上壁17を穿孔する領域の周囲を取り囲むように位置されている。したがって、シール部材11は、囲繞部材9の底部28によって圧縮されるとともに(図14参照)、囲繞部材9の周側壁25の上端により所定位置に固定される。
【0104】
なお、底部28は、ほぼ平坦であってもよく、或いは、装置の閉塞時にカプセルが囲繞部材9と完全に係合する際にシール部材11と十分に水密な界面を確保するために傾斜していてもよい。
【0105】
Oリング11に代わる手段として、カプセル1の上壁17すなわち水注入器14と対向する壁から突出して撓むことができる(例えば、第1の実施形態に係るリップ8に匹敵する;図2参照)リップ状のシール部材も配置することができる。
【0106】
いずれにせよ、底部28はシール部材11に対して軸方向圧縮力を及ぼす。
【0107】
例えばOリングがカプセル1の側壁17上に配置される場合には、圧縮力の径方向成分が支配する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】欧州特許公開第512470号から知られる抽出カプセルを示している。
【図2】カプセルがカプセルホルダ上に配置されるが飲料製造装置におけるその閉塞位置に未だ達していない本発明の第1の実施形態を示している。
【図3】図2の拡大図を示している。
【図4】カプセルがベル部材とカプセルホルダとの間でその閉塞位置に達した状態における第1の実施形態を示している。
【図5】カプセルが未だその閉塞位置に達していない位置における第1の実施形態に係るカプセルホルダ、ベル部材、カプセルの斜視図を示している。
【図6】本発明の第2の実施形態を示している。
【図7】図6の詳細の拡大図である。
【図8】第2の実施形態の斜視図である。
【図9】カプセルがその閉塞位置に達した状態における第2の実施形態を示している。
【図10】カプセルのシール部材がカプセルの側壁の一部である第3の実施形態を示している。
【図11】図10の詳細図である。
【図12】第3の実施形態に係るシール係合を示している。
【図13】シール部材がカプセルの上壁部材の一部である第4の実施形態を示している。
【図14】第4の実施形態の最終的な状態を示している。
【符号の説明】
【0109】
1…カプセル、2…飲料製造装置(コーヒーメーカー)、3…材料、4…第1の壁要素(例えば、カプセルのカップ状ベース本体)、5…第2の壁要素(例えば、ホイル部材)、6…フランジ状リム、7…ベース本体の側壁、8…シール部材、9…囲繞部材(例えば、ベル状部材)、10…移行領域、11…Oリング、12…レリーフ要素、13…カプセルホルダ、14…水注入器、15…囲繞(ベル状)部材のシール面、16…カプセルの第1の(例えば底部)壁の穿孔、17…カプセルの上壁、18…囲繞(ベル)部材の環状支持リング、19…囲繞(ベル)部材を装着するためのネジ、20…囲繞(ベル)部材の水注入開口、21…囲繞(ベル)部材の環状前面の溝、22…カプセルホルダの支持リングの溝、23…囲繞(ベル)部材の環状前面、24…水注入器の穿孔要素(ブレード)、25…囲繞(ベル)部材の周壁、26…段付きシール部材、27…ホイル部材の巻回部、28…囲繞部材の底壁。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般に、カプセルと共に使用するための飲料製造システム、及び、このようなカプセル内に収容された材料から飲料を製造するための方法に関する。
【0002】
本発明の背景は、飲料又は他の食料品(例えばスープ)材料を収容する密閉カプセルの分野である。これらの材料と注入された液体との相互作用により、飲料又はスープなどの他の食料品を製造することができる。相互作用は、例えば、抽出、浸出、溶出などのプロセスであってもよい。このようなカプセルは、特に、熱水を加圧下でカプセルの内部に注入してカプセルからコーヒー飲料を排出させることによりコーヒー飲料を製造するために挽いたコーヒーを収容するようになっている。
【0003】
仏国特許第2160634号に示されるカプセルはカートリッジからコーヒー飲料を製造するための装置に関するものであり、カートリッジ内には、カートリッジの上側に対して密閉状態で水注入装置が配置されている。水注入装置は、カプセルの上側リム上に適用されるシールを含んでいる。
【0004】
欧州特許公開第0361569号は、密閉カプセルを示していないが、コーヒーメーカー中に配置されるときにシールされずカートリッジケーシング内に単に圧入されるコーヒーフィルタユニットであって、コーヒーフィルタユニットの開放した上側に設けられたフィルタ紙上に水を注ぐことができるようにするコーヒーフィルタユニットを開示している。フィルタユニットの上側リムの外側に水がこぼれることを回避するため、フィルタ紙の周辺部がコーヒーフィルタユニット壁の外側リムとコーヒーメーカーの周壁との間で挟持される。このような構造は、大気圧で飲料をろ過する装置であり、例えばエスプレッソタイプのコーヒーを製造すべきときにカプセルに影響を及ぼす例えば3barを越える圧力或いはそれ以上の一般的な水注入圧力に耐えるようになっていない装置である。
【0005】
仏国特許第2617389号は、抽出されるべきカプセルがカプセルホルダ上に配置されているカプセルベースのコーヒーメーカーについて記載している。この場合、カプセルホルダはバヨネット状に回転され、その最終的な回転位置は、カプセルホルダを回転させるためのハンドルに対してユーザが加えるトルクによって決まる。したがって、最終的な閉塞位置がユーザにより加えられるトルクの大きさに依存するため、コーヒーメーカー自体は所定の閉塞位置を有さない。そのため、カプセルとコーヒーメーカーとの間のシールは、コーヒーメーカーの構造によって規定されず、専らユーザのコーヒーメーカーの扱いに依存している。一般に、及ぼされる回転力が高ければ高いほど、大きなクリアランスを補償できる。しかしながら、このようなシステムは幾つかの欠点を与える。第1に、このようなシステムは、手で単に締め付けられたままとなるように閉塞装置を必要とし、そうしないと、機械的に、電気的に、或いは、液圧的に補助されることができない。システムにおいて、ユーザは、コーヒーメーカーにカプセルホルダを螺合するために特定の力を必要とし、また、ユーザがその後にカプセルを回して外すことが困難な場合がある。更に、シールを制御することが困難であり、カプセルホルダの締め付けが不十分であることから圧力漏れが生じる場合がある。
【0006】
仏国特許第2617389号に係る回転式のバヨネット型閉塞とは異なり、本発明は、カプセルを取り囲む機械の部品の閉塞したがってシールがユーザの力に頼るのではなく機械内でのカプセルの配置によって決まる所定の状態に依存する機械に関する。
【0007】
これは、例えば、閉塞動作の最終段階が実質的に軸方向(すなわち、並進又は曲線の)動作であるが回転しない動作である機械の場合である。
【0008】
物質を収容するカプセルから流体食料品を得るための従来技術のシステム及び方法は、例えば欧州特許公開第512470号(米国特許第5,402,707号に対応)から知られている。欧州特許公開第512470号の機械はバヨネット型閉塞装置から一例を挙げている。
【0009】
図1に示されるカプセル101は円錐台形状のカップ102を有しており、このカップ102は、例えば炒って挽いたコーヒー103で満たされていてもよく、また、カップ102の側壁から側方に延びるフランジ状のリムに対して溶着され及び/又は圧着されたホイル状の引き裂き面カバー104によって閉じられている。カプセルホルダ111はレリーフ面要素部材113を有するフローグリル112を備えている。
【0010】
カプセルホルダ111はその支持体115内に収容されており、支持体115は、側壁124と、抽出されたコーヒー飲料の通路のための孔127とを有している。
【0011】
図1から分かるように、抽出システムは、水注入チャンネル120を有する水注入器107と、その内側凹部の形状がカプセルの外形に略一致するカプセルケージ108とを更に備えている。カプセルケージ108は、その外側部分に、抽出完了時にカプセルを解放するためにリング123を保持するスプリング122を備えている。
【0012】
動作時、カプセル101がカプセルホルダ111内に配置される。水注入器107がカプセル102の上面を穿孔する。カプセルの下側引き裂き面104がカプセルホルダ111の放射状に配置された部材113上に載る。
【0013】
水注入器107のチャンネル120を通じて水が注入され、コーヒーのベッド103に水が衝突する。カプセル101内の圧力が増大し、引き裂き面104が放射状の開放レリーフ部材113の形状に次第に追随する。このような放射状開放レリーフ部材は、ピラミッド形状レリーフ又は他の形状のレリーフと置き換えることができる。引き裂き面の構成材料がその破壊応力に達すると、引き裂き面がレリーフ部材に沿って裂ける。抽出されたコーヒーがフローグリル112のオリフィスを通じて流れて孔127の真下の容器(図示せず)内に回収される。
【0014】
この抽出プロセスの原理は、それが本発明と関連して維持できる限り、以下のように要約できる。
− 最初に密閉されたカプセルがカプセルホルダ手段内に挿入される;
− その後、カプセルケージ(図4の108)が密閉カプセルを取り囲むようにカプセルホルダ手段が機械の水注入手段に関連付けられる;
− 水を加圧下で導入するために、カプセルの第1の壁に少なくとも1つの開口が形成される;
− 第1の壁の開口を通じてカプセル内に加圧下で注入される水は、カプセルの内部を横切りながらカプセル内に収容された材料と相互作用し、その後、第2の壁に形成された少なくとも1つの開口/穿孔を通じてカプセルから排出される。
【0015】
カプセル内の飲料の材料は、水の流路の「隘路」を構成し、したがってカプセルを通じた液体流れの上流側と下流側との間に圧力降下を引き起こし、この圧力降下は、例えば材料の膨張に起因して液体と材料との間の相互作用中に増大することさえある。それに応じて、水の流れが実際にカプセルの内部を通じてのみ行なわれる(矢印A1)ようにするとともに、水が水注入器からカプセルケージ108とカプセル101の外面との間の隙間へ流れることができないようにし、その後、装置の排出孔127へと流れるようにしなければならない。矢印A2は、この望ましくない水流経路を示している。すなわち、カプセル101の外側の任意の水流は、カプセルケージ108とカプセル101との間の隙間に位置され且つ水注入器と飲料排出孔との間の流路内に位置されるシール係合によって食い止められなければならない。図1に示される実施形態において、このようなシール係合は、カプセルケージ108とカプセル101の側壁のフランジ状リムとカプセルホルダ111,115との間の締め付け係合により少なくとも特定の度合いまで達成できる。
【0016】
シール係合が適切に機能しておらず且つ水がカプセルの外側を流れている場合には、引き裂き面の引き裂けを引き起こすことができる十分な圧力がカプセルの内側で形成されず、或いは、圧力が引き裂き面の完全な引き裂けを引き起こさず、したがって、物質の抽出が僅かとなる。このようなシナリオにおいて、水は、十分な圧力状態下でカプセル内に収容された材料と相互作用せず或いは十分に相互作用することなく飲料製造装置から排出される。
【0017】
現在、軸方向閉塞動作を基本とし、もはやバヨネット型閉塞に基づかない新たな機械が市販されている。これらの機械は、ユーザに更なる便利さを与え、簡単に閉塞できるように機械的、電気的又は液圧的に補助され得るとともに、あまり高価でない材料(例えばプラスチック)によって形成することができる。例えば、欧州特許第0604615号、欧州特許第1090574号、欧州特許第1327407号、国際公開公報第2004/071259号又は国際公開公報第2005/004683号などの幾つかの特許は様々な閉塞原理について記載している。
【0018】
したがって、カプセル周囲の閉塞の緊密度合いをユーザが制御できる可能性はない。軸方向閉塞移動で作動する装置の本質的に規定される閉塞状態が適切に機能する限り、これは満足な結果をもたらす。しかしながら、シールが損傷し或いは様々な理由(摩耗、経年変化、固体残留物による妨害によって)によりシールの能力が経時的に低下し或いは結果的に閉塞位置がずれている(例えば、摩耗、疲労又は製造公差に起因して理想的な閉塞位置に対して水平にオフセットされる)場合には、緊密なシールを持たなくなり或いは囲繞部材とカプセルとの間にクリアランスが生じる虞がある。
【0019】
従来技術によれば、シール係合は、カプセルケージの内壁及び/又は押し付け縁部をゴム弾性接合体で裏打ちすることにより行なわれる。すなわち、上記従来技術の手法によれば、シール係合は、飲料製造装置に固定され或いは取り付けられる永久的な構造によって確保される。これは、激しい使用(すなわち、かなりの数を越える抽出サイクル)後に永久シール手段の摩損が生じる可能性があり、それにより、飲料の抽出状態が悪化し、それに応じて飲料の品質に悪影響が及ぶという欠点を有している。
【0020】
特に、カプセルの外面での任意の「漏れ」は、カプセル内の圧力を低下させる。一方、十分な抽出圧力はエスプレッソコーヒーの品質にとって重要なファクタである。
【0021】
これに対応して、本発明は、
− カプセルを受けることができるとともに開放状態から予め設定された所定の閉塞状態へと移行できる飲料製造装置の囲繞部材と、
− シールを伴って構成されるカプセルであって、カプセルが囲繞部材と係合する度に上記シールがカプセルの有効な流体シール構造を形成し、それにより、囲繞部材がカプセルの周囲で上記所定の閉塞状態で閉じられたときにカプセルを貫通する制御された流体通路を通じて水がカプセル内に流入する、カプセルと、
− 加圧水をカプセルの内部へ注入するための手段を有する飲料製造装置と、
を備えるシステムの改良を目的とする。
【0022】
特に、本発明は、囲繞部材とカプセルの外面との間の補償的なシール係合の改良を目的としている。
【0023】
したがって、本発明が特に例えば欧州特許第512470号に示されるような内蔵式のシール手段を有する従来技術の飲料製造装置も本発明に係るカプセルと共に使用できるようにカプセルを改良することを目的としていることに留意されたい。
【0024】
この目的は独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の中心思想を更に発展させている。
【0025】
本発明の第1の態様によれば、システムは、
− カプセルベースの飲料製造装置と、
− 飲料材料を収容するためのカプセルと、
を備えている。
【0026】
飲料製造装置には、
− 液体を加圧下でカプセル内に注入するための手段と、
− カプセルから飲料を排出するための手段と、
− 開放状態から、カプセルの外面を取り囲む所定の閉塞状態へと移行できる囲繞部材とが設けられている。
【0027】
カプセルに関連付けられたシール部材を備え、シール部材は、閉塞状態で囲繞部材と係合すると圧縮することができるとともに、囲繞部材とカプセルとの間のクリアランスを補償するのに有効であり、上記クリアランスは、囲繞部材がその所定の閉塞状態にあるときにカプセルのシール部材が無ければ存在する。
【0028】
シール部材は、圧縮下で弾性を有し、閉塞状態の囲繞部材と係合することができる。
【0029】
囲繞部材は、その開放状態からその閉塞状態へのその移行動作の最終段階でカプセルの相対回転を伴うことなくカプセルに対して略軸方向(例えば、直線状又は曲線状であるが回転しない)に相対移動するように配置することができる。
【0030】
囲繞部材は、開放状態から閉塞状態への移行動作中にカプセルがほぼ所定の位置に留まるようにカプセルに対して配置されている。
【0031】
シール部材は、飲料製造装置の対応する押し付け面に対して付勢力を及ぼすように配置されている。
【0032】
シール部材は、クリアランスの変化の特定の範囲内を補償できる十分な厚さを有している。好ましくは、シール部材は、圧縮力の主方向で測定される0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmの厚さ(静止時)を有している。
【0033】
押し付け面は、径方向断面図で見ると、直線状の輪郭及び/又は円錐台の輪郭を成している。
【0034】
押し付け面は、側面図で見ると、非直線状の輪郭を有することができる。
【0035】
押し付け面の輪郭には波形を与えることができる。
【0036】
これにより、シール係合は、囲繞部材が最小圧縮力をカプセルに及ぼしている限りにおいてのみ有効であるが、圧縮力が上記最小圧縮力を下回ると直ぐに自動的に解放される。
【0037】
囲繞部材の周囲には溝を設けることができ、これらの溝は、当該溝及びカプセルと囲繞部材との間の解放されたシール係合を通じて空気を供給するための空気吸入通路としての機能を果たす。
【0038】
シール部材をゴム弾性材料によって形成することができる。
【0039】
シール部材は、高分子材料などのカプセルの構成材料から形成することができる。
【0040】
カプセルは、材料のためのシールされた内部を形成するために、フランジ状リム領域において気密状態で互いに接続される第1及び第2の壁要素を備えている。
【0041】
シール部材は、少なくともフランジ状リムと壁要素の一方との移行領域に設けることができる。
【0042】
シール部材は、フランジ状リムと水注入器が導入されるカプセルの位置との間の壁上に設けられている。
【0043】
カプセルは、カップ状ベース本体と囲繞部材とから構成することができる。
【0044】
シール部材は、フランジ状リム及びベース本体の側壁の一部の両方に存在することができる。
【0045】
シール部材は壁要素のうちの一方の一体部分となることができる。
【0046】
シール部材は壁要素と別体となることができる。
【0047】
シール部材がOリングの形状を成し、或いは、リングがL形状の断面を有している。
【0048】
シール部材は、接着剤を使用して或いは溶着により或いは挟圧又は圧着又はこれらの組み合わせにより壁要素のうちの一方に取り付けることができる。
【0049】
囲繞部材は、囲繞部材とカプセルとの間のシール係合を助けるようになっている更なるシール手段を備えることができる。
【0050】
シール係合に作用するシール圧は、カプセルの中心軸に対して径方向及び/又は軸方向成分を有することができる。
【0051】
本発明の他の態様は、飲料を製造するための方法であって、
− 飲料製造装置の閉塞手段が開放状態にある状態で飲料製造装置内にカプセル(このカプセルはシール手段に関連付けられ、シール手段は圧縮可能である)を位置させるステップと、
− 閉塞手段を開放状態から所定の閉塞状態へ移行させる一方、移行動作の最終段階で、閉塞手段がカプセルのシール手段と係合してこれを付勢するステップと、
− 第1の壁要素の少なくとも1つの開口で液体をカプセル内に加圧下で流入させるとともに、第2の壁要素の少なくとも1つの開口を通じて液体をカプセルから排出させるステップと、
を備える方法に関する。
【0052】
カプセルのシール部材は、囲繞部材がその所定の閉塞状態にあるときに囲繞部材とカプセルとの間の任意のクリアランスを補償することができ、上記クリアランスはカプセルのシール部材の補償作用が無ければが存在する。
【0053】
移行動作の最終段階で、囲繞部材はカプセルのシール手段を少なくとも部分的に圧縮することができる。
【0054】
囲繞部材とカプセルのシール手段とのシール係合は、2〜20barの範囲の圧力、好ましくは4〜15barの圧力に耐える。
【0055】
本明細書で使用される用語「対応する押し付け面」は、一般に、飲料製造装置の一部である。これは、一般に、カプセルを取り囲むために装置の閉塞時にカプセルの少なくとも一方側を覆う装置の一部である囲繞部材の面であってもよい。用語「内圧」とは、抽出中にカプセルの流体注入口の直前(しかし、任意の逆止弁の下流側)にある流体注入装置の流体管路内で測定できる周囲の大気圧を上回る相対的な圧力のことである。
【0056】
本発明の更なる利点、特徴、目的は、添付図面の図と併せて解釈する本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むと当業者にとって明らかとなる。
【0057】
ここで、図2を参照して第1の詳細な実施形態について説明する。
【0058】
なお、以下では、カプセルの特定の構成、すなわち、カプセルがカップ状のベース本体と閉塞ホイル部材とを備える構成を参照して本発明を説明する。しかしながら、例えば2つの実質的に適合する対向する壁(例えばホイル)が例えばリング形状縁部でシールされるレンズ形態を有するカプセルなど、他の構成のカプセルも実行可能であることは言うまでもない。一般に、本発明に係るカプセルは、シールされたフランジ状リム領域を形成するために縁部で互いに接続される、したがってシールされた内部を取り囲む、少なくとも2つの対向壁部材を備えている。
【0059】
カプセルは、依然としてシールされたまま飲料製造装置内に挿入される。
【0060】
従来技術と比べて、この実施形態も、カプセル1のカップ状ベース本体4を閉塞するホイル部材5を引き裂いて穿孔するように構成されるレリーフ要素12を有するカプセルホルダ13を示している。なお、レリーフ要素以外の引き裂き要素も考えることができる。
【0061】
ホイル部材のこの引き裂けは、例えばカプセル内の圧力が閾値を越えると直ぐに生じ得る。なお、レリーフ要素は、ホイル部材の(部分的な)引き裂けを引き起こすことができる任意の突出形状を有することができる。単なる一例として、ピラミッド、針、隆起、円筒、細長いリブが挙げられる。
【0062】
1つの選択肢において、ホイル部材5は、例えばカプセルの周囲の機械の閉塞の結果として水がカプセル内に注入される前に少なくとも1つのレリーフ要素に対して突き刺すことができる壁と置き換えることができる。
【0063】
カプセル1内には飲料の材料3が収容されている。この場合、材料3は、カプセル1の上壁17の領域でカプセル内に液体が入ってその液体がこのような材料3と相互作用する時に飲料を生成できるように選択される。好ましい材料は、例えば、挽いたコーヒー、茶、又は、飲料又は他の液体又は様々な食料品(例えばスープ)を製造できる任意の他の材料である。
【0064】
図2は、このようなカプセルがカプセルホルダ13上に配置された(依然としてシールされたまま)状態を示しており、ホイル部材5がカプセルホルダ13のレリーフ要素12側に載っており、カプセル1のカップ状ベース本体4の一部が飲料製造装置の囲繞部材9の周壁25によって既に取り囲まれている。図示の囲繞部材はベルの形状を成している。他の形状も実行可能である。その場合、囲繞部材の内部輪郭(凹部)の形状は、一般に、カプセル1の外形にほぼ一致するようになっている。
【0065】
なお、図示のホイル部材5は、カプセルの内側の所定の過度な圧力に起因して正確に平らではなく、また、この過度な圧力は、例えば充填カプセルを製造する際に例えば保護ガスを導入することにより生成される。
【0066】
囲繞(ベル)部材9は、その機能について後で説明する環状支持スカート18と、ベル部材を飲料製造装置内に取り付けるための雄ネジ19と、ベル部材9に対して取り外し可能に装着(螺合)される水注入器14に対して例えば熱水などの液体を加圧下で供給するための水注入開口20とを更に備えている。
【0067】
なお、ネジ19は、接続手段の単なる一例であり、取り外し可能な接続手段又は取り外し不能な接続手段であってもよい。
【0068】
飲料製造装置の他の構成要素、例えばベル部材及び最終的にはカプセルホルダをも移動させるための機構は、カプセルベースのエスプレッソ機の分野における従来技術から知られている。
【0069】
水注入器は、例えば手動操作機構又は自動機構によりカプセルホルダ13及びベル部材9が接近して一緒に移動されるときにカプセル1の上壁17に少なくとも1つの開口を形成するようになっている少なくとも1つの穿孔要素(ブレード、ピンなど)24を備えている。穿孔要素14がカプセル1の内部に突出する(図4参照)と直ぐにカプセル1の内部に水を供給できるようにチャンネル(図示せず)が穿孔要素14を横切っている。
【0070】
カプセル1は、上記上壁17と、側壁7と、フランジ状リム6とを備えており、カプセル1のカップ状ベース本体4を密閉閉塞するためにホイル部材5が上記フランジ状リム6に対してシールされている。先と同様に、カプセルをシールでき且つカプセルが前述した材料を収容できる限り、カプセルのための他の形状も可能である。例えば、カプセルは、より多くのフィルタのうちの1つを含むことができる。下端フィルタをホイル5の内面と接触して配置することができ及び/又は上端フィルタを本体4の内面と少なくとも部分的に接触して配置することができる。
【0071】
本発明において、カプセル1の外面は専用のシール部材8を形成する。シール部材8は、使用される材料及び/又はシール部材8の幾何学的形状に起因して弾性を有することができる。
【0072】
また、シール部材8は、カプセル1と一体であってもよく或いは別個の部品であってもよい。後者の場合、シール部材は、ベース本体4に対して取り外し可能に装着することができ、或いは、例えば溶着又は接着剤によりベース本体に対して固定することができる。
【0073】
シール部材8がカプセル1に対して取り付けられる別個の部品である場合には、シール部材を1つの一体部品としてカプセルに対して取り付けることができる。或いは、シール部材は、流体又は粘り気のある形態で塗布することができ、その後、カプセルの外面に塗布されると直ぐに硬化することができ(例えば重合することができ)、これは例えばシリコンを塗布するケースである。
【0074】
シール部材8のために弾性材料が使用される場合には、ゴム弾性材料が使用されることが好ましい。「ゴム弾性」という用語は、エラストマー、シリコン、プラスチック、ラテックス、バラタ又は他のものを含むがこれらに限定されないゴム弾性を有する任意の適当な材料を意味している。特に、適した材料は、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンモノマー)、NBR(アクリロニトリルゴム)、TPE(熱可塑性エラストマー)又はシリコンゴムである。これらの材料は、特定の良好な伸縮特性を有しており、クラッキングを伴うことなく高温に耐えることができる。
【0075】
シール部材の材料がカプセルのために使用される材料(例えば、アルミニウムやプラスチックなどの金属)と同じである場合には、シール部材の弾性的という性質がシール部材の幾何学的形状によって得られることが好ましい。
【0076】
図2に係る実施形態において、シール部材8は、リップ形状の形態に起因して弾性的に撓むことができる。シール部材は、カプセルと同じ材料、好ましくはプラスチックにより形成される。シール部材は、カプセル1のベース本体4と一体の部品であってもよい。
【0077】
フレキシブルリップ8は、フランジ状リム6の外縁部から延びており、外側へ傾けられている。図示の実施形態において、フレキシブルリップはカプセルのベース本体の側壁の縁部であり、この縁部は、約90度を越える角度、好ましくは95〜175度の角度だけ曲げられる。
【0078】
なお、このような撓むことができるシール部材8は、水注入器14とホイル部材5の穿孔との間でシール部材8及び囲繞部材9の外側シール係合のために位置が合わされる限り、カプセル1上の任意の位置に配置することができる。また、シール部材8は、水注入器がカプセル1の内部に突出する位置にあるときに水注入器14を取り囲むカプセル1の上壁17の領域に設けることもできる。また、シール部材8は、カプセルの様々な部分(上端、側壁、フランジ状リム)を覆うように配置することもできる。
【0079】
図3に詳しく示されるように、この実施形態に係るベル部材9は任意の専用の弾性シール部材を備えていない。しかしながら、ベル部材が場合によって(付加的な)弾性シール部材を備えることもできる。
【0080】
ベル部材9の広がって傾けられたシール面15は、カプセル1の弾性的に撓むことができるシール部材8と協働するように形成されている。シール面の傾きは、シール部材を構成する自由に曲がるリップの傾きと反対である。
【0081】
カプセル1のシール部材8の形状及び材料に応じて、ベル部材9の協働する面は、カプセル1のシール部材8とのシール係合のために適合される任意の形状、位置、方向を有することができる。
【0082】
図4は、ベル部材9及びカプセルホルダ13が閉塞圧力係合されるとともに、カプセルの内部に水が入りこの内部の圧力が増大することによりカプセルホルダ13のピラミッド型のレリーフ要素12が既にカプセル1のホイル部材5に開口を形成した状態を示している。
【0083】
図4に示される閉じられた状態は、ユーザの操作により規定されるのではなく機械の構造によって規定される内在的に設定される状態である。
【0084】
図2に示される囲繞部材9の開放状態から図4に示される閉塞状態へと移行させるため、囲繞部材はカプセル1に対して略直線的な相対変位を受けている。この実施形態において、カプセル1は、任意の変位を行なっておらず、閉塞プロセス中に所定の位置に留まっているものとする。しかしながら、囲繞部材9の変位に代えて或いは囲繞部材の9の変位に加えて、カプセル1も略直線的な移動を行なうこともできる。
【0085】
図示の実施例において、カプセル1は囲繞部材9に対して回転しない。
【0086】
カプセルの挿入時、水注入器のブレード要素24がカプセル1の上壁17に穿孔16を形成した。十分な流体圧がカプセル内に形成されると、カプセル内に収容された材料から製造された飲料をレリーフ部材12と周囲のホイル部材5との間の小さな隙間に排出させることができる。
【0087】
図4に示される状態で、カプセル1の弾性的に撓むことができるシール部材8、すなわち、フレキシブルリップは、囲繞部材9の対応する傾斜したシール面15に対して付勢される。このとき、ベル部材のシール面15がシール部材8に所定の圧力を及ぼす際にシール部材8及びカプセルを所定の位置に保持させるため、環状支持スカート18がカプセル1のフランジ状リム6の端部を覆う。
【0088】
実際には、リップ形状のシール部材8は、自己補強するシール係合を与えるための構成の一例を表わしている。水注入器からくる水は、カプセルの外面と囲繞部材との間の隙間に圧入して最終的にリップ形状のシール部材に到達する。リップ形状のシール部材は、それが環状部材のシール面に対して付勢されるときに水流を妨げる。この妨げ効果はシール部材の上流側で圧力の上昇をもたらし、この圧力上昇によりシール部材が更に強くシール面に対して押し付けられ、それにより、シール係合部での圧力が高くなればなるほど強くなるシール係合が引き起こされる。
【0089】
図5の実施形態では、カプセルホルダ13の周囲に溝22が設けられており、この溝22は、カプセルが取り除かれる前にカプセルホルダ13の表面上に留まる可能性がある或いは貯まる可能性がある水を排出する或いはカプセルから滴下させる働きをする。
【0090】
したがって、例えば図5の場合のような側面図で見ると、囲繞部材9が周方向波形を与える可能性がある。なお、溝は単なる一例である。
【0091】
シール部材は、囲繞部材9の閉塞状態でこのような波形を補償する/埋めるように形成されている。しかしながら、例えば飲料製造装置の部品の製造公差、アライメントミス、摩耗又は疲労に起因して、明確に予見される波形を伴わない場合でも、カプセル1と囲繞部材9との間のシール係合の不十分な緊密性及び/又はクリアランスの虞が常に存在する。本発明によれば、ともすれば存在し得る任意の予期できる及び/又は予期できないクリアランスを補償するためにシール部材が十分に圧縮される。
【0092】
例えば図4の場合のような径方向断面図で見ると、囲繞部材9のリムすなわち押し付け面の輪郭は、放射状の波形を与えない。押し付け面の放射状部分は、むしろ、直線状断面及び/又は円錐台断面又はこれらの組み合わせを与える。したがって、本発明に係る押し付け面は、シール部材を圧縮し或いは僅かに変位させるように形成されている。
【0093】
図6は、図2の第1の実施形態の変形に実質的に対応する一実施形態を示している。この実施形態に係るシール部材8は圧縮でき及び/又は変位できる(すなわち、囲繞部材によって加圧されると僅かに「流れる」)。シール部材は、側壁7の一部及びカプセル1のフランジ状リム6の外端と上記側壁7との間の領域の両方を覆っている(シール部材は、カプセル1のベース本体4の側壁7の一部だけを覆うこともできる)。この実施形態に係るシール部材8は非対称な断面すなわちL字形状断面を有している。
【0094】
或いは、シール部材8は、例えばカプセルに貼り付けられる膜、Oリングなどの他の形状を有することができる。
【0095】
カプセル1が図4に示される位置にあり、その後、飲料製造プロセスが終了して、ホルダ13が開放されると、カプセル1が落下しないで「真空作用」によりベル部材9に吸着されたままとなる虞がある。図8に示されるように、本発明は、ベル部材9がカプセルホルダ13と係合される限りカプセル1とベル部材9との間のシール係合タイプのみが存在するが、カプセル1の上壁17及び側壁7のそれぞれとベル部材9の内壁との間の空間内に空気が流入できるように上記シール係合が自動的に解放されるようにする機構を提供することを提案する。
【0096】
図8から分かるように、特にシール部材8がカプセル1の側壁7の一部を覆う場合には、空気を供給するための空気吸入通路としての機能を果たす溝21をベル部材9の環状の前面に設けることができる。これらの溝は、ベル部材9とカプセルホルダ13との間の付勢力が解放されると空気の吸込みを可能にする。したがって、空気はこの空間内へ流れており、ユーザがカプセル1を取り出すのは簡単である。結局、カプセル1はベル部材9から自動的に落下する。
【0097】
図9は、ベル部材9の前面23がカプセル1のシール部材8とシール係合している第2の実施形態の状態を示している。
【0098】
図10〜図12は、シール部材の弾性がカプセル自体の幾何学的形状に起因する本発明の第3の実施形態を示している。図示の実施形態において、シール部材は階段26の形状を成しており、すなわち、カプセル1の側壁7の直径が突然に増大している。なお、幾何学的形状は図示の階段に限定されず、シール部材の弾性又は少なくとも変形可能な性質が得られる限り他の形状も実行可能である。
【0099】
この実施形態に係る階段状シール部材26は中空シール部材(例えば、図6〜図9の第2の実施形態に係る「中実の」シール部材8とは異なる)における単なる一例である。シール部材の弾性が幾何学的な形状によって得られる場合には、通常、シール部材の撓みが生じる(ここでは、階段の内側下方への変形)。一方、弾性が使用される材料に起因し且つ「中実」シール部材が使用される場合には、通常、材料の圧縮及び/又は変位が生じる。
【0100】
この実施形態に係るシール面15は傾斜している。したがって、シール圧は、径方向内側に向けられる第1の成分と、軸方向(図12の下方)に向けられる他の成分とを有している。
【0101】
特に図12から分かるように、ホイル部材5をカプセルのリム上にわたって巻き付けることができる(参照符号27を参照)。
【0102】
図13及び図14は、シール部材がOリング11である第4の実施形態を示している。Oリングは、幾何学的に配置されており、好ましくはカプセル1の上壁17上に固定される。これは、水注入器と対向し且つカプセル1に水注入口を形成するために穿孔される側でカプセル1の外面にシール部材を設ける単なる一例である。
【0103】
Oリング11は、水注入器14がカプセル1の上壁17を穿孔する領域の周囲を取り囲むように位置されている。したがって、シール部材11は、囲繞部材9の底部28によって圧縮されるとともに(図14参照)、囲繞部材9の周側壁25の上端により所定位置に固定される。
【0104】
なお、底部28は、ほぼ平坦であってもよく、或いは、装置の閉塞時にカプセルが囲繞部材9と完全に係合する際にシール部材11と十分に水密な界面を確保するために傾斜していてもよい。
【0105】
Oリング11に代わる手段として、カプセル1の上壁17すなわち水注入器14と対向する壁から突出して撓むことができる(例えば、第1の実施形態に係るリップ8に匹敵する;図2参照)リップ状のシール部材も配置することができる。
【0106】
いずれにせよ、底部28はシール部材11に対して軸方向圧縮力を及ぼす。
【0107】
例えばOリングがカプセル1の側壁17上に配置される場合には、圧縮力の径方向成分が支配する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】欧州特許公開第512470号から知られる抽出カプセルを示している。
【図2】カプセルがカプセルホルダ上に配置されるが飲料製造装置におけるその閉塞位置に未だ達していない本発明の第1の実施形態を示している。
【図3】図2の拡大図を示している。
【図4】カプセルがベル部材とカプセルホルダとの間でその閉塞位置に達した状態における第1の実施形態を示している。
【図5】カプセルが未だその閉塞位置に達していない位置における第1の実施形態に係るカプセルホルダ、ベル部材、カプセルの斜視図を示している。
【図6】本発明の第2の実施形態を示している。
【図7】図6の詳細の拡大図である。
【図8】第2の実施形態の斜視図である。
【図9】カプセルがその閉塞位置に達した状態における第2の実施形態を示している。
【図10】カプセルのシール部材がカプセルの側壁の一部である第3の実施形態を示している。
【図11】図10の詳細図である。
【図12】第3の実施形態に係るシール係合を示している。
【図13】シール部材がカプセルの上壁部材の一部である第4の実施形態を示している。
【図14】第4の実施形態の最終的な状態を示している。
【符号の説明】
【0109】
1…カプセル、2…飲料製造装置(コーヒーメーカー)、3…材料、4…第1の壁要素(例えば、カプセルのカップ状ベース本体)、5…第2の壁要素(例えば、ホイル部材)、6…フランジ状リム、7…ベース本体の側壁、8…シール部材、9…囲繞部材(例えば、ベル状部材)、10…移行領域、11…Oリング、12…レリーフ要素、13…カプセルホルダ、14…水注入器、15…囲繞(ベル状)部材のシール面、16…カプセルの第1の(例えば底部)壁の穿孔、17…カプセルの上壁、18…囲繞(ベル)部材の環状支持リング、19…囲繞(ベル)部材を装着するためのネジ、20…囲繞(ベル)部材の水注入開口、21…囲繞(ベル)部材の環状前面の溝、22…カプセルホルダの支持リングの溝、23…囲繞(ベル)部材の環状前面、24…水注入器の穿孔要素(ブレード)、25…囲繞(ベル)部材の周壁、26…段付きシール部材、27…ホイル部材の巻回部、28…囲繞部材の底壁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
− カプセルベースの飲料製造装置と、
− 飲料材料を収容するためのカプセル(1)と、
を備え、前記飲料製造装置(2)には、
− 液体を加圧下で前記カプセル(1)内に注入するための手段と、
− 前記カプセル(1)から飲料を排出するための手段と、
− 開放状態から、前記カプセル(1)の外面を取り囲む所定の閉塞状態へと移行できる囲繞部材(9)と、
が設けられているシステムにおいて、
前記カプセル(1)に関連付けられたシール部材(8,11,26)を備え、
前記シール部材(8,11,26)が、閉塞状態で前記囲繞部材(9)と係合すると圧縮することができるとともに、前記囲繞部材と前記カプセル(1)との間のクリアランスを補償するのに有効であり、
前記クリアランスが、前記囲繞部材(9)がその所定の閉塞状態にあるときに、前記カプセル(1)の前記シール部材が無い状態で存在する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記シール部材が閉塞状態で前記囲繞部材(9)と係合するとき、圧縮下で前記シール部材が弾性を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記シール部材が、少なくとも5barの内圧に抗するのに有効である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記シール部材が、少なくとも10barの内圧に抗するのに有効である、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記囲繞部材(9)の開放状態から閉塞状態への移行動作の最終段階で、前記カプセル(1)の相対回転を伴うことなく該カプセルに対して略軸方向に相対移動するように、前記囲繞部材(9)が配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記囲繞部材(9)の開放状態から閉塞状態への移行動作中に前記カプセル(1)がほぼ所定の位置に留まるように、前記囲繞部材が前記カプセルに対して配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記シール部材(8,11,26)が、前記飲料製造装置の対応する押し付け面に対して付勢力を及ぼすように配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記押し付け面が、径方向断面図(図6)で見ると、直線状の輪郭及び/又は円錐台の輪郭を成している、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記押し付け面が、側面図(図8)で見ると、非直線状の輪郭を有している、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項10】
前記押し付け面の輪郭には波形が与えられる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記シール部材(8,11)がゴム弾性材料から作られていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記シール部材(8,26)が前記カプセル(1)の構成材料から作られていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
飲料の材料のためのシールされた内部を形成するために、フランジ状リム領域において気密状態で互いに接続される第1及び第2の壁要素を備えていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム
【請求項14】
前記シール部材(8)が、少なくとも前記フランジ状リム(6)と前記第1及び第2の壁要素の一方との移行領域(10)に設けられていることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記シール部材(8,11)が、前記フランジ状リムと水注入器が導入される前記カプセルの位置との間の壁上に設けられていることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記シール部材(8)が、前記フランジ状リム(6)及びベース本体(4)の側壁(7)の一部の両方に存在することを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記シール部材(8,26)が前記壁要素(4,5)のうちの一方の一体部分であることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記シール部材(8,11)が前記壁要素(4,5)と別体であることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記シール部材(8,11)が、L形状の断面を有するリング(8)又はOリング(11)の形状を成すことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記シール部材(8,11)が、接着剤を使用して或いは溶着により或いは挟圧又は圧着又はこれらの組み合わせにより前記壁要素(4,5)のうちの一方に取り付けられていることを特徴とする、請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
シール係合が、前記囲繞部材(9)が最小圧をカプセル(1)に及ぼしている限りにおいてのみ有効であるが、圧力が前記最小圧を下回ると直ぐに自動的に解放される、請求項1〜20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記囲繞部材(9)の周囲には溝(21)が設けられ、これらの溝(21)が、当該溝(21)及び前記カプセル(1)と前記囲繞部材(9)との間の解放されたシール係合を通じて空気を供給するための空気吸入通路としての機能を果たす、請求項1〜21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記囲繞部材(9)が、該囲繞部材(9)と前記カプセル(1)との間のシール係合を助けるようになっている更なるシール手段を備えている、請求項1〜22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
シール係合に作用するシール圧が、前記カプセル(1)の中心軸に対して径方向及び/又は軸方向成分を有している、請求項1〜23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
− 飲料製造装置の閉塞手段が開放状態にある状態で前記飲料製造装置内にカプセル(1)を位置させるステップを備える、飲料を製造するための方法において、
前記カプセルがシール手段に関連付けられ、前記シール手段が圧縮可能であり、更に、当該方法が、
− 前記閉塞手段を開放状態から所定の閉塞状態へ移行させる一方、移行動作の最終段階で、前記閉塞手段が前記カプセルの前記シール手段と係合してこれを付勢し、囲繞部材(9)がその所定の閉塞状態にあるときに該囲繞部材(9)と前記カプセル(1)との間の任意のクリアランスを前記カプセル(1)の前記シール部材が補償し、前記カプセル(1)の前記シール部材の補償作用が無い状態では前記クリアランスが存在する、ステップと、
− 第1の壁要素(4)の少なくとも1つの開口で液体を前記カプセル(1)内に加圧下で流入させるとともに、第2の壁要素(5)の少なくとも1つの開口を通じて液体を前記カプセル(1)から排出させるステップと、
を備える方法。
【請求項26】
前記シール部材が閉塞状態で前記囲繞部材(9)と係合するとき、圧縮下で前記シール部材が弾性を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の壁部材(4)の開口が、前記飲料製造装置の要素と前記カプセル(1)の前記シール部材(8,11,26)との圧密シール係合によって前記第2の壁部材(5)の開口から分離され、それにより、液体を前記カプセル(1)を通じてのみ流すことができ、前記カプセル(1)の外部で流すことができない、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
移行動作の最終段階で、前記囲繞部材(9)が前記カプセルの前記シール手段を少なくとも部分的に圧縮する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記囲繞部材(9)と前記カプセルの前記シール手段とのシール係合が、2〜20barの範囲の圧力、好ましくは4〜15barの圧力に耐える、請求項25〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
圧密シール係合が前記カプセル(1)の前記シール部材(8,11,26)によって引き起こされ、このようなシール係合が、前記シール部材(8,11,26)が無い前記カプセル(1)を使用するときには存在しないことを特徴とする、請求項25〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
請求項25〜30のいずれか一項に記載の方法に従って製造される飲料又は他の食料品。
【請求項1】
− カプセルベースの飲料製造装置と、
− 飲料材料を収容するためのカプセル(1)と、
を備え、前記飲料製造装置(2)には、
− 液体を加圧下で前記カプセル(1)内に注入するための手段と、
− 前記カプセル(1)から飲料を排出するための手段と、
− 開放状態から、前記カプセル(1)の外面を取り囲む所定の閉塞状態へと移行できる囲繞部材(9)と、
が設けられているシステムにおいて、
前記カプセル(1)に関連付けられたシール部材(8,11,26)を備え、
前記シール部材(8,11,26)が、閉塞状態で前記囲繞部材(9)と係合すると圧縮することができるとともに、前記囲繞部材と前記カプセル(1)との間のクリアランスを補償するのに有効であり、
前記クリアランスが、前記囲繞部材(9)がその所定の閉塞状態にあるときに、前記カプセル(1)の前記シール部材が無い状態で存在する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記シール部材が閉塞状態で前記囲繞部材(9)と係合するとき、圧縮下で前記シール部材が弾性を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記シール部材が、少なくとも5barの内圧に抗するのに有効である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記シール部材が、少なくとも10barの内圧に抗するのに有効である、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記囲繞部材(9)の開放状態から閉塞状態への移行動作の最終段階で、前記カプセル(1)の相対回転を伴うことなく該カプセルに対して略軸方向に相対移動するように、前記囲繞部材(9)が配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記囲繞部材(9)の開放状態から閉塞状態への移行動作中に前記カプセル(1)がほぼ所定の位置に留まるように、前記囲繞部材が前記カプセルに対して配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記シール部材(8,11,26)が、前記飲料製造装置の対応する押し付け面に対して付勢力を及ぼすように配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記押し付け面が、径方向断面図(図6)で見ると、直線状の輪郭及び/又は円錐台の輪郭を成している、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記押し付け面が、側面図(図8)で見ると、非直線状の輪郭を有している、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項10】
前記押し付け面の輪郭には波形が与えられる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記シール部材(8,11)がゴム弾性材料から作られていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記シール部材(8,26)が前記カプセル(1)の構成材料から作られていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
飲料の材料のためのシールされた内部を形成するために、フランジ状リム領域において気密状態で互いに接続される第1及び第2の壁要素を備えていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム
【請求項14】
前記シール部材(8)が、少なくとも前記フランジ状リム(6)と前記第1及び第2の壁要素の一方との移行領域(10)に設けられていることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記シール部材(8,11)が、前記フランジ状リムと水注入器が導入される前記カプセルの位置との間の壁上に設けられていることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記シール部材(8)が、前記フランジ状リム(6)及びベース本体(4)の側壁(7)の一部の両方に存在することを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記シール部材(8,26)が前記壁要素(4,5)のうちの一方の一体部分であることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記シール部材(8,11)が前記壁要素(4,5)と別体であることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記シール部材(8,11)が、L形状の断面を有するリング(8)又はOリング(11)の形状を成すことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記シール部材(8,11)が、接着剤を使用して或いは溶着により或いは挟圧又は圧着又はこれらの組み合わせにより前記壁要素(4,5)のうちの一方に取り付けられていることを特徴とする、請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
シール係合が、前記囲繞部材(9)が最小圧をカプセル(1)に及ぼしている限りにおいてのみ有効であるが、圧力が前記最小圧を下回ると直ぐに自動的に解放される、請求項1〜20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記囲繞部材(9)の周囲には溝(21)が設けられ、これらの溝(21)が、当該溝(21)及び前記カプセル(1)と前記囲繞部材(9)との間の解放されたシール係合を通じて空気を供給するための空気吸入通路としての機能を果たす、請求項1〜21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記囲繞部材(9)が、該囲繞部材(9)と前記カプセル(1)との間のシール係合を助けるようになっている更なるシール手段を備えている、請求項1〜22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
シール係合に作用するシール圧が、前記カプセル(1)の中心軸に対して径方向及び/又は軸方向成分を有している、請求項1〜23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
− 飲料製造装置の閉塞手段が開放状態にある状態で前記飲料製造装置内にカプセル(1)を位置させるステップを備える、飲料を製造するための方法において、
前記カプセルがシール手段に関連付けられ、前記シール手段が圧縮可能であり、更に、当該方法が、
− 前記閉塞手段を開放状態から所定の閉塞状態へ移行させる一方、移行動作の最終段階で、前記閉塞手段が前記カプセルの前記シール手段と係合してこれを付勢し、囲繞部材(9)がその所定の閉塞状態にあるときに該囲繞部材(9)と前記カプセル(1)との間の任意のクリアランスを前記カプセル(1)の前記シール部材が補償し、前記カプセル(1)の前記シール部材の補償作用が無い状態では前記クリアランスが存在する、ステップと、
− 第1の壁要素(4)の少なくとも1つの開口で液体を前記カプセル(1)内に加圧下で流入させるとともに、第2の壁要素(5)の少なくとも1つの開口を通じて液体を前記カプセル(1)から排出させるステップと、
を備える方法。
【請求項26】
前記シール部材が閉塞状態で前記囲繞部材(9)と係合するとき、圧縮下で前記シール部材が弾性を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の壁部材(4)の開口が、前記飲料製造装置の要素と前記カプセル(1)の前記シール部材(8,11,26)との圧密シール係合によって前記第2の壁部材(5)の開口から分離され、それにより、液体を前記カプセル(1)を通じてのみ流すことができ、前記カプセル(1)の外部で流すことができない、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
移行動作の最終段階で、前記囲繞部材(9)が前記カプセルの前記シール手段を少なくとも部分的に圧縮する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記囲繞部材(9)と前記カプセルの前記シール手段とのシール係合が、2〜20barの範囲の圧力、好ましくは4〜15barの圧力に耐える、請求項25〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
圧密シール係合が前記カプセル(1)の前記シール部材(8,11,26)によって引き起こされ、このようなシール係合が、前記シール部材(8,11,26)が無い前記カプセル(1)を使用するときには存在しないことを特徴とする、請求項25〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
請求項25〜30のいずれか一項に記載の方法に従って製造される飲料又は他の食料品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−517639(P2008−517639A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537206(P2007−537206)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011259
【国際公開番号】WO2006/045515
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011259
【国際公開番号】WO2006/045515
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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