説明

シール構造

【課題】 シール構造に関し、互いに相対動するパネル状部材の端縁同士の接合部分を、両者の微小な位置ずれがあっても適切にシールできるようにする。
【解決手段】 互いに離接する2つの接合部材にそれぞれ装備され、上記の両接合部材の接合時に互いに接触する接触面156a,156bを有するシール部材156A,156Bを備え、接触面156a,156bには、上記の両接合部材が接合方向に接近する際の先端側から、第1の当接面157と、重合面159と、第2の当接面158とが設けられ、重合面159は、先端側とは反対向きに傾斜し重合時に互いに接合する逆向き傾斜面をそなえ、第1の当接面159、先端側及び接触面の側を向いた傾斜面をそなえ、第1の当接面157及び重合面159は滑らかな曲面で接続されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対動して互いに端縁を突合せ接合されるパネル状の部材間のシール、特に、可動なカバー部材とこのカバー部材が閉鎖時に接合する部材間のシールに用いて好適の、シール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可動なカバー部材を閉鎖状態にした時に、カバー部材と閉鎖時にカバー部材が当接する部分との間に、シール性が要求されるものがある。
このようなカバー部材には、例えば、エンジン(内燃機関)が設置されたエンジン室に、エンジンのメンテナンスのために開閉可能に装備されたエンジンカバーがある。
図15〜図19は、このようなエンジンカバーの一例として、従来の小型油圧ショベルにおけるエンジンカバーを示すもので、図15,図16は機体の後面斜視図、図17は機体後部の内部を示す斜視図、図18は機体の後面図、図19は図18のI−I矢視断面図
である。なお、図15〜図18では、エンジンカバー周りのボディパネルの一部を除去して示している。
【0003】
図15〜図17に示すように、この油圧ショベルでは、上部旋回体1の後部の車体フレーム2上にエンジン室3が設けられており、エンジンカバー4はこのエンジン室3の後方でカウンタウェイト5の上方に装備されている。エンジン室3に隣接して、エンジン室3内のエンジンに接続された冷却装置を装備する冷却装置室6がそなえられ、エンジン11の一端に接続された冷却ファン12及び冷却ファン12の上流に冷却ファン12に接近して設けられたラジエータコア13,オイルクーラ14,エアコン熱交換器15等からなる冷却装置が、エンジンに対して略直列状に配置されている。
【0004】
また、図18に示すように、エンジンカバー4に隣接した外板パネル7に、空気取り入れ口8がエンジンカバー4に接近して設けられ、この空気取り入れ口8から冷却装置13,14,15に冷却用空気が流入するようになっている。
また、エンジン室3の上方,前方、及びエンジン11の他端側(冷却装置が設けられない側)はファイヤウォール16によって覆われている。
【0005】
エンジンカバー4は、上部を枢着されており、通常時は図15に示すように閉鎖されているが、エンジンのメンテナンス時等には、図16に示すように、跳ね上げて開放することができるようになっている。また、エンジンカバー4の下端には、図19に示すように、中空ゴム等を用いたシール構造17が装備されており、シール構造17が適宜弾性変形しながら、エンジンカバー4の下端とカウンタウェイト5との隙間をシールするようになっている。
【0006】
なお、一般的なシール構造としては、環状のオイルシール等に関する技術(例えば、特許文献1)や、序同社用ウィンドウに代表されるガラス窓シール等に関する技術(例えば、特許文献2)が多く提案されている。
【特許文献1】特開2003−194233号公報
【特許文献2】特開2002−067703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のエンジンカバー4において、カバー4を機体内部側に屈曲させて、屈曲させたエンジンカバー4の端縁を、エンジン室3を形成する機体側のパネル状部材の端縁に当接させてカバー4を閉鎖する構造が考えられる。この場合、エンジン室3内からのエンジン騒音の漏れを抑制するには、互いに当接するエンジンカバー4の端縁と機体側のパネル状部材の端縁との間にシール構造を適用することが有効である。
【0008】
しかしながら、互いに当接する部材は、パネル状部材の端縁同士であって、いずれも幅狭なために、例えば、単に端縁に沿って延在する中空ゴムを用いたシール構造では、両者間に僅かな位置ずれがあっただけで、中空ゴムが対向する端縁に適切に接合しなくなり、シール性が大きく低下してしまうことがある。
したがって、このようなエンジンカバー4周りには、互いに相対動するパネル状部材の端縁同士の接合部分を、両者の微小な位置ずれがあっても適切にシールできるようなシール構造が要求されるが、従来のシール構造には、これに適するものは見出せない。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、互いに相対動するパネル状部材の端縁同士の接合部分を、両者の微小な位置ずれがあっても適切にシールできるようにした、シール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のシール構造(請求項1)は、互いに離接する2つの接合部材間を直線状又は曲線状にシールするシール構造であって、上記の各接合部材にそれぞれ装備され、上記の両接合部材の接合時に互いに接触する接触面を有するシール部材を備え、該シール部材の該接触面には、上記の両接合部材が接合方向に接近する際の先端側から、上記の両接合部材の接合開始時に互いに接触する第1の当接面と、上記の両接合部材の接合完了時に該離接方向と直角な方向に互いに重合する重合面と、上記の両接合部材の接合完了時に接触対象の該接触面の該第1の当接面と当接する第2の当接面とが設けられ、該重合面は、該先端側とは反対向きに傾斜し重合時に互いに接合する逆向き傾斜面をそなえ、該第1の当接面は、上記の両接合部材の接合開始時に互いに接触する箇所に、該先端側を向くと共に接触対象の該接触面の側を向いた傾斜面をそなえ、該第1の当接面及び該重合面は滑らかな曲面で接続されていることを特徴としている。
【0011】
該重合面は、接触対象の該接触面の側に突出した凸部と、接触対象の該接触面側の該重合面に形成された該凸部が嵌合するように窪んで形成された凹部とをそなえていることが好ましい(請求項2)。
さらに、該重合面の該凸部は、該第1の当接面と滑らかに接続された凸曲面状に形成され、該重合面の該凹部は、該凸部及び該第2の当接面とそれぞれ滑らかに接続された凹曲面状に形成されていることが好ましい(請求項3)。
【0012】
また、該第1の当接面は凸曲面状に形成され、該第2の当接面は該第1の当接面と対応した凹曲面状に形成されていることが好ましい(請求項4)。
上記の各接合部材の少なくとも接合部近傍は、いずれも略同一面上に配置されたパネル状に形成され、上記の両接合部材のうち少なくとも一方が、上記面内で移動することにより上記の両接合部材が互いに離接するように構成され、上記の両接合部材の端縁の接合部をシールすることが好ましい(請求項5)。
【0013】
上記の両接合部材のうちの一方は、室を開閉するように装備されたカバー部材であって、上記の両接合部材のうちの他方は、該室を形成する区画部材であることが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシール構造(請求項1)によれば、互いに離接する2つの接合部材には、これらの両接合部材が接合方向に接近する際の先端側から、両接合部材の接合開始時に互いに接触する第1の当接面と、両接合部材の接合の完了時に離接方向と直角な方向に互いに重合する重合面と、両接合部材の接合の完了時に接触対象の接触面の第1の当接面と当接する第2の当接面とが設けられているので、互いの第1の当接面と第2の当接面との当接によって両シール部材が接合すると、互いの重合面も離接方向と直角な方向に重合するので、これらの当接及び重合によって、両接合部材が所定の相対位置関係で接合する。
【0015】
つまり、第1の当接面と第2の当接面との当接によって、両接合部材の接合時の離接方向の相対位置が調整され、重合面どうしの重合によって、両接合部材の接合時の離接方向と直角な方向への相対位置が調整される。
また、第1の当接面と第2の当接面との接触及び重合面どうしの接触によって、両接合部材の接合長が長く確保されるので高いシール性能が得られる。
【0016】
さらに、重合面は、先端側とは反対向きに傾斜した逆向き傾斜面をそなえているので、両接合部材の接合が完了した後、両重合面の逆向き傾斜面によって、両シール部材の離隔方向への動きが抑制されシール性能が高められる。
特に、両重合面に逆向き傾斜面が設けられると、重合面が接触対象の重合面側に突出形成されることになるため、重合面の前方の第1の当接面も接触対象の第1の当接面側に突出形成されることになり、両接合部材の接合途中で、第1の当接面どうしが圧接するが、第1の当接面は、上記の両接合部材の接合開始時に互いに接触する箇所に、先端側を向くと共に接触対象の接触面の側を向いた傾斜面をそなえているので、両接合部材の接合開始時に第1の当接面が互いに接触したあと、第1の当接面どうしが滑らかに摺動できるようになり、両接合部材の接合へ接近を円滑に行なうことができる。
【0017】
また、第1の当接面,重合面及び第2の当接面は滑らかな曲面で接続されているので、両シール部材の離接を滑らかに行なうことができる。
本発明のシール構造(請求項2)によれば、両重合面の重合時には、一方の重合面の凸部が他方の重合面の凹部に嵌合し、他方の重合面の凸部が一方の重合面の凹部に嵌合するので、シール性を向上させることができる。
【0018】
本発明のシール構造(請求項3)によれば、両重合面の重合に至る動作(両接合部材の接近移動)や両重合面の重合状態から離隔する際の動作(両接合部材の離隔移動)を円滑に行なうことができ、両重合面の接触性も向上させやすいので、シール性を向上させることができる。
本発明のシール構造(請求項4)によれば、両接合部材の接近移動や両接合部材の離隔移動を円滑に行なうことができるようになり、第1の当接面と第2の当接面との接触性も向上させやすいので、シール性を向上させることができる。
【0019】
本発明のシール構造(請求項5)によれば、略同一面上に配置されたパネル状の2つの接合部材であって、少なくとも一方が上記面内で移動するものの場合、両接合部材の端縁の接合部をシールする際に、両者に位置ずれ(特に、上記面から外れる方向への位置ずれ)があるとシール性が悪化しやすいが、重合面どうしの重合によって、この位置ずれにかかる相対位置(両接合部材の接合時の離接方向と直角な方向への相対位置)が調整されるので、シール性が確保される。
【0020】
本発明のシール構造(請求項6)によれば、カバー部材を閉鎖する際に、カバー部材に装備されたシール部材の当接面が、区画部材に装備されたシール部材の当接面に当接することによって、カバー部材の接合時におけるカバー部材の区画部材に対する離接方向の相対位置が調整され、これと同時に、カバー部材側の重合面が区画部材側の重合面に重合することによって、カバー部材の区画部材に対する両接合部材の接合時の離接方向と直角な方向への相対位置が調整される。これによって、カバー部材が区画部材に対して適切な位置に閉鎖されることになり、カバー部材と区画部材との間のシール性も確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図14は本発明の一実施形態に係るシール構造及びそのシール構造を説明するための建設機械のエンジンカバー構造を示すもので、図1はそのシール構造の断面図、図2はそのエンジンカバーを示す建設機械の機体後部の斜視図、図3はそのエンジンカバーを冷却装置の一部を除去して示す建設機械の機体後部の斜視図、図4はそのエンジン室内を示す斜視図、図5はそのエンジンカバーを示す図、図6そのエンジン室の冷却装置側の側面を示す図、図7はそのエンジン室内を示す図、図8,図9はそのエンジン室周りのシール構造を示す断面図、図10〜図12はそのエンジン室周りのシール構造(本発明にかかるもの)を示す断面図、図13はそのエンジン室周りを示す図、図14はそのエンジン室の冷却装置側の側面の変形例を示す図である。
【0022】
本実施形態にかかるエンジンカバー(カバー部材)をそなえた建設機械は、油圧ショベルであって、しかも、エンジン回りにコンパクト性が要求される比較的小型の油圧ショベルである。
図2,図3に示すように、この油圧ショベルでは、上部旋回体(機体)1の後部の車体フレーム2上にエンジン11を装備するエンジン室3が設けられており、エンジンカバー20がこのエンジン室3の後方でカウンタウェイト5の上方に装備されている。なお、本実施形態にかかる図面では、車体フレーム2を模式化して単純なプレート状に示しているが、実際の車体フレーム2は、ブーム等の作業装置やオペレータ席などを設置するために、図15〜図17に示した従来例と同様に、種々の構造部材が装備されている。
【0023】
エンジン室3の隣には、エンジン11の一端に接続された冷却ファン12及び冷却ファン12の上流に冷却ファン12に接近して設けられたラジエータコア13,オイルクーラ14,エアコン熱交換器15等からなる冷却装置を装備する冷却装置室6が備えられる。なお、ラジエータコア13,オイルクーラ14,エアコン熱交換器15もエンジン11及び冷却ファン12に対してエンジン回転軸方向に直列状に配置されている。
【0024】
なお、図18に示した従来例と同様に、エンジンカバー20に隣接した外板パネル7には、空気取り入れ口8がエンジンカバー20に接近して設けられ、この空気取り入れ口8から冷却装置13,14,15に冷却用空気が流入するようになっている。
エンジンカバー20は、機体後端部のカウンタウェイト5の上方に配置され、機体側(ファイヤウォール30の上部)にヒンジ結合されている。このエンジンカバー20は、機体の外板面の後面,後側面及び上面の一部を構成するエンジンカバー本体部(単に、カバー本体部ともいう)21と、カバー本体部21の冷却装置室6側の周縁部から機体の内方へ向けて屈曲形成され、エンジン室3と冷却装置室6との間を仕切るカバー側仕切壁部22とをそなえている。このエンジンカバー20によって、エンジン室3の後半部が外部と区画されており、カバー本体部21によって、エンジン室3の後壁面と、上壁面の一部と、冷却装置室6側の側壁面の一部と、これと反対側の側壁面の一部とが構成される。
【0025】
一方、機体側には、車体フレーム2上に車体の幅方向に延びた区画パネル41と、エンジン室3と冷却装置室6との間を仕切るように車体の前後方向に延びた区画パネル42とが立設されている。これらの区画パネル41,42によって、エンジン室3の前壁面の下部と、冷却装置室6側の側壁面の下部とが構成される。
このような区画パネル41,42上には、エンジン室3の前半部の上部を外部と区画するファイヤウォール30がそなえられている。このファイヤウォール30は、図4に示すように、エンジン室3の前壁面上部を構成する前壁部31と、エンジン室3の上壁面の一部を構成する上壁部32と、エンジン室3の冷却装置室6側の側壁面の一部を構成する側壁部(機体側仕切壁)33と、これと反対側の側壁面の一部を構成する側壁部34とをそなえている。
【0026】
また、機体後端部のカウンタウェイト5の内面もエンジン室3の後壁面の下部を構成し、車体フレーム2の下面パネル43がエンジン室3の下壁面を構成する[図13(a)参照]。
このように、エンジン室3は、下面パネル43,カウンタウェイト5内面,区画パネル41,42,ファイヤウォール30,エンジンカバー20によって区画されているが、各区画部材の相互間に隙間が形成されると、エンジン騒音が漏出するので好ましくない。
【0027】
そこで、下面パネル43,区画パネル41,42,ファイヤウォール30の相互間は、固着するため、互いに密着状態にすることが容易にできるが、エンジンカバー20は可動なため、エンジンカバー20と他の隣接部材との間には、隙間を塞ぐ構造(シール構造)が必要になる。また、カウンタウェイト5も、作業性の面から隣接部材と密着するように固定するのは困難であるため、カウンタウェイト5と他の隣接部材との間にも、隙間を塞ぐ構造(シール構造)が必要になる。
【0028】
ただし、エンジン室3と冷却装置室6との間は、冷却ファン12の回転軸12aが貫通しているので、この部分を仕切るカバー側仕切壁部22及びファイヤウォール30の側壁部(機体側仕切壁)33からなる仕切壁44は、少なくとも回転軸12a周りを開口しなくてはならない。
そこで、図6に示すように、カバー側仕切壁部22及びファイヤウォール30の側壁部33に、それぞれ、切り欠き45a,45bが設けられており、エンジンカバー20を閉鎖した際に、これらの切り欠き45a,45bによって開口部45が形成されるようになっている。
【0029】
なお、エンジン騒音を外部に漏出させないためには、仕切壁44に設ける回転軸21aを貫通させるための開口部45をより小さくして、密封状態に近づける方が好ましいが、エンジン室が密封化されると、エンジン室内の温度上昇を招き、エンジン室3内に装備される電装品(図17に示すオルタネータ18,スタータ19等を参照)等に悪影響を生じ易い。
【0030】
本実施形態では、特許文献1の技術と同様に、冷却ファン12により生成される冷却風の流れによって、冷却ファン12の軸心側が負圧となって、開口部45を通じてエンジン室3内の空気が外部に排出されやすくなっている。つまり、冷却装置室6の冷却ファン12の外周側に、空気排出口60が設けられており[図3,図5,図7,図13(b)参照]、空気取り入れ口8(図18参照)から冷却装置室6内に取り入れられ、冷却装置13,14,15を冷却した外気(冷却風)は、冷却ファン12の後方で外方(放射方向)に放出され、空気排出口60から機外に排出されるようになっており、これによって、冷却ファン12の軸心側が負圧となって、開口部45を通じてエンジン室3内の空気が外部に排出されやすくなっている。
【0031】
なお、ここでは、冷却後の空気は、冷却装置室6の下部(区画パネル42の下部)の空気排出口60から直接機外に排出されるわけでなく、エンジン室3下方を経て下面パネル43に形成された空気排出口61から排出される。空気排出口60,61間はダクト62で接続されており、ダクト62内の流路63によって空気を迂回して排出するようになっている。もちろん、ダクト62によってエンジン室3内と流路63とは完全に区画されており、空気を迂回して排出させることにより、空気排出口61からの空気排出に伴うエンジン騒音が漏出するのを抑制している。
【0032】
このように、冷却風の負圧によって、開口部45を通じてエンジン室3内の空気が外部に排出され易いため、開口部45を比較的小さくしても、エンジン室内の温度上昇を招きにくい。そこで、開口部45は、エンジン室3内の換気性能を確保しながらエンジン騒音の外部への漏れを抑制できるように、比較的小さく設定されている。
なお、エンジンに冷却水を給排するウォータライン46a,46bも、エンジン室3と冷却装置室6との間を貫通するが、これらは冷却ファン12後側の空気流の抵抗にならないように冷却ファン12の後方よりも外周側に配設されている。
【0033】
ところで、上記のシール構造として、エンジンカバー20のカバー本体部21の下端縁21aとカウンタウェイト5の上面5aとの間には、図8,図9(a)に示すように、多層フィンシール50Aが介装されている。多層フィンシール50Aは、カバー本体部21の下端縁21aに固着されたベース部51aと、このベース部51aから下方に突出した複数のフィン52aとベース部51aから前方に突出した複数のフィン52bとから構成される。複数のフィン52aも複数のフィン52bも、カバー本体部21の下端縁21aに沿って互いに平行に延びている。
【0034】
カウンタウェイト上面5aの内寄り部分には、フランジ状の起立部5bが設けられ、エンジンカバー20の閉鎖時には、複数のフィン52aの各先端はいずれもカウンタウェイト上面5aに圧接し、複数のフィン52bの各先端はいずれも起立部5bの後面に圧接するようになっている。
また、多層フィンシール50Aはゴム又は軟質樹脂等の弾性材料で形成され、フィン52a,52bの各先端が対抗面に弾性的に圧接し、隙間なく密着するようになっている。また、複数のフィンが層状に設けられているので、シール効果が高く、音漏れ防止効果も高い。そして、経時劣化等によって一部のフィンに隙間が生じるようになっても他のフィンによってシールされるため、音漏れ防止効果の低下も少ない。
【0035】
さらに、多層フィンシール50Aの場合、複数のフィン52aと複数のフィン52bとによって2段にシールしているので、この点でもシール効果が高く、耐久性も高い。
また、図9(b),(c)に示すように、カウンタウェイト5の前面下部と下面パネル43の後縁との間及びカウンタウェイト5の前面と区画パネル42の後縁との間にも、多層フィンシール50B,50Cが介装されている。多層フィンシール50Bは、カウンタウェイト5側にベース部51bが固着され、ベース部51bから突出した複数のフィン52cの各先端はいずれも下面パネル43の後縁に圧接している。多層フィンシール50Cは、区画パネル42側にベース部51cが固着され、ベース部51cから突出した複数のフィン52dの各先端はいずれものカウンタウェイト5の前面に圧接している。
【0036】
もちろん、これらの複数のフィン52a及び複数のフィン52bも、カウンタウェイト5の長手方向に沿って互いに平行に延びており、複数のフィンを層状に設けることにより、高いシール効果を確保でき、音漏れ防止効果も高くなっている。
一方、エンジンカバー20のカバー側仕切壁部22とファイヤウォール30の側壁部33との当接部及びエンジンカバー20のカバー本体部21とファイヤウォール30の側壁部34との間に介装されるシール構造55としては、当接する両部材が幅狭で且つエンジンカバー20が可動なため、エンジンカバー20の閉動時に、両者間の位置合わせが自動的に行なわれるとともに、エンジンカバー20の閉鎖後の両者が密着するように構成する必要がある。
そこで、このシール構造55として、本願発明の構造が用いられている。
【0037】
まず、このシール構造55の原理構造を説明すると、図1に示すように、シール構造55は、エンジンカバー20側とファイヤウォール30側(機体側)のそれぞれに固着されるカバー側部材156Aと機体側部材156Bとをそなえ、両部材156A,156Bは、互いに点対称な断面形状を有しており、両シール部材156A,156Bの接合によって、両者20,30間の位置合わせと密着とがなされるように構成されている。
【0038】
つまり、カバー側部材156A及び機体側部材156B(両者を区別しない場合には符号156とする)は、互いに接触する接触面156a,156bをそなえている。この接触面156a,156bには、各シール部材156の先端側(両シール部材156A,156Bが互いの接合方向に接近する際の先端側)から、第1の当接面157と、重合面159と、第2の当接面158とが設けられている。
【0039】
第1の当接面157は、両接合部材(エンジンカバー20及びファイヤウォール30)の接合開始時に互いに接触する[図1(a)参照]。重合面159は、エンジンカバー20のカバー側仕切壁部22及びファイヤウォール30の側壁部33の各壁部の延在する方向(エンジンカバー20が開閉時に移動する方向)にほぼ沿った面であって、両接合部材(エンジンカバー20及びファイヤウォール30)の接合が完了すると互いに重合する[図1(b)参照]。第2の当接面158は、両接合部材(エンジンカバー20及びファイヤウォール30)の接合が完了すると接触対象の接触面の第1の当接面157と当接する[図1(b)参照]。
【0040】
また、重合面159には、先端側とは反対向きに傾斜した逆向き傾斜面がそなえられており、両重合面159の重合時には、この逆向き傾斜面どうしも互いに接合するようになっている。図1に示す例では、重合面159のほぼ全域がかかる傾斜面になっている。重合面157に、このような傾斜面を設けているのは、エンジンカバー20が閉鎖された際に、逆向き傾斜面どうしが接合することで、両シール部材156A,156Bの離隔方向への動きが抑制されるロック状態になり、これによりシール性能が保持されるためである。
【0041】
この重合面159のロック機能を有する形状に着目すると、シール構造55は、かぎ型フィン(断面が略かぎ型のフィン)形状のシールと証することができる。
また、第1の当接面157には、少なくとも両接合部材(エンジンカバー20及びファイヤウォール30)の接合開始時に互いに接触する箇所に、先端側を向くと共に接触対象の接触面の側を向いた傾斜面をそなえている。図1に示す例では、第1の当接面157のほぼ全域がかかる傾斜面になっている。第1の当接面157に、このような傾斜面を設けているのは、エンジンカバー20の閉動時に、カバー側部材156A及び機体側部材156Bの摺動を円滑に行なうためである。
【0042】
つまり、エンジンカバー20が閉鎖される際には、カバー側部材156Aと機体側部材156Bとが接触するが、はじめに各第1の当接面157,157が当接する。そして、両重合面159,159に逆向き傾斜面が設けられることから、重合面159が接触対象の重合面159側に突出形成されることになるため、重合面159の前方の第1の当接面157も接触対象の第1の当接面157側に突出形成されることになり、エンジンカバー20の閉動途中で、第1の当接面157どうしが圧接することになる。このため、これらの第1の当接面157,157は互いに摺動しながら、エンジンカバー20が閉鎖方向に進行することになる。当接するためには、第1の当接面157は当然先端側を向いていなくてはならないが、接触対象の接触面の側にも向くように、第1の当接面157を傾斜させることで、両当接面157,157の摺動が滑らかに行なわれるようになり、エンジンカバー20の閉動を円滑に行なえるためである。
【0043】
さらに、第1の当接面157,重合面159及び第2の当接面158が滑らかな曲面で接続されることにより、接触面156a,156bが第1の当接面157,重合面159及び第2の当接面158にわたって互いに連続的に接触しうるように構成されている。また、このような断面形状を有する接触面156a,156bは、エンジンカバー20及びファイヤウォール30の端縁に沿って延在するように設けられる。
【0044】
シール構造55のカバー側部材156A及び機体側部材156Bの接触面156a,156bは、基本的にはこのように構成されれば良いが、ここでは、図11(a),(b),図12に示すように、接触面56a,56bは更に特徴のあるものに構成されている。
つまり、接触面56a,56bの第1の当接面57,重合面59及び第2の当接面58は、いずれも滑らかに連続する曲面により構成されている。
【0045】
このうち、第1の当接面57は凸状曲面で構成され、第2の当接面58は凹状曲面で構成されており、さらに、第1の当接面57と第2の当接面58とが整合するように、凸状曲面と凹状曲面との各面形状が設定されている。
重合面59は、これらの当接面57と当接面58との間にこれらの面57,58と連続して形成されるが、重合時に相手側部材の重合面59側に突出した凸部(凸状曲面)59aと、重合時に相手側部材の重合面59の凸部59aと整合する凹部(凹状曲面)59bとが、先端側から順に形成されている。もちろん、凸部59aは当接面57と滑らかに連続し、凹部59bは凸部59aと当接面58との間に滑らかに連続して設けられている。
【0046】
本発明の一実施形態にかかる建設機械のエンジンカバー構造は上述のように構成されているので、通常時、即ち、建設機械の使用時には、エンジンカバー20が閉鎖され、エンジン室3は、下面パネル43,カウンタウェイト5の内面,区画パネル41,42,ファイヤウォール30,エンジンカバー20によって区画される。
エンジン室3を区画する各部材のうち固定される部材の相互間は基本的に隙間なく密着して結合され、密着させて固定しにくいカウンタウェイト5と他の固設部材との間は多層フィンシール50B、50Cによってシールされており、また、可動部材であるエンジンカバー20とカウンタウェイト5との間は多層フィンシール50Aによってシールされ、さらに、エンジンカバー20とファイヤウォール30との間はシール構造55によってシールされるので、各部材間はシールされ、各部材間からのエンジン騒音の漏れが防止される。
【0047】
多層フィンシール50A,50B,50Cは、それぞれ層状に設けられている複数のフィン52a,52b,52c,52dの各先端が、対抗面に弾性的に圧接し、隙間なく密着するので、シール効果が高く、音漏れ防止効果も高く、また、経時劣化等によって一部のフィンに隙間が生じるようになっても他のフィンによってシールされるため、音漏れ防止効果の低下も少ない。
【0048】
特に、カバー本体部21の下端縁21aと、カウンタウェイト上面5a及びその内寄りの起立部5bとの間に設けられる多層フィンシール50Aは、カウンタウェイト上面5aに圧接する複数のフィン52aとカウンタウェイト5の起立部5b後面に圧接する複数のフィン52bとによって2段にシールしているので、シール効果がより高く、耐久性もより高い。
【0049】
また、エンジンカバー20の閉鎖時に、エンジンカバー20のカバー側仕切壁部22とファイヤウォール30の側壁部33との当接部及びエンジンカバー20のカバー本体部21とファイヤウォール30の側壁部34との間をシールするシール構造55は、エンジンカバー20の閉動時には、図12に示すようにして、互いに係合する。
つまり、エンジンカバー20を閉鎖していくと、図12(a)に示すように、カバー側部材56A及び該機体側部材56Bのそれぞれの第1の当接面57,57がまず当接し、さらに、エンジンカバー20を閉めていくと、両部材56A,56Bが滑らかに相対動できるように傾斜面で形成された各当接面57,57が摺動しながら[図12(a)参照]、各重合面59が互いの凸部59aどうしを乗り越えて[図12(b)参照]、各重合面59の凸部59aが対向する部材の重合面59の凹部59bに嵌入すると共に、各第1の当接面57が対向する部材の第2の当接面58と当接する[図12(c)参照]。
【0050】
さらに、重合面59には、先端側とは反対向きに傾斜した逆向き傾斜面がそなえられており、両重合面59の重合時には、この逆向き傾斜面どうしも互いに接合するようになっているので、エンジンカバー20が完全に閉鎖された際には、逆向き傾斜面どうしが接合することで、両シール部材156A,156Bの離隔方向への動きが抑制されることになり、これによりシール性能が保持される。
【0051】
また、第1の当接面157には、エンジンカバー20及びファイヤウォール30の接合開始時に互いに接触する箇所に、先端側を向くと共に接触対象の接触面の側を向いた傾斜面をそなえているので、エンジンカバー20の閉動時に、カバー側部材156A及び機体側部材156Bの摺動を円滑に行なうことができる。
さらに、接触面56a,56bは、第1の当接面57,重合面59及び第2の当接面58にわたって互いに連続的に接触しうるように構成されるので、長い接触面を持つことになり、シール効果が大きい。
【0052】
また、このようなシール構造55は、エンジンカバー20の左右両側(冷却装置室6側とこれと逆側)にそれぞれ設けられているので、エンジンカバー20とファイヤウォール30とが左右方向(両部材56A,56Bの各重合面59の接触方向)に微小にずれがある場合にも、いずれか一方のシール構造55の両部材56A,56Bの圧接によって、エンジンカバー20とファイヤウォール30との相対位置が矯正され、他方のシール構造55の両部材56A,56Bも密着するようになり、パネル状のエンジンカバー20の端縁とパネル状のファイヤウォール30の端縁とを、位置合わせをしながら、突合せ接合により密着させることができる。
【0053】
これにより、エンジンカバー20とファイヤウォール30との接続部分に隙間が生じなくなって、エンジン室3内からのエンジン騒音の漏出が抑制される。
なお、シール構造55の両部材56A,56Bの密着をより確実にするためには、図12(d)に示すように、両部材56A,56Bが接触しない状態では、両部材56A,56Bがその重合方向に微小量dだけ重なるように設定すればよい。これにより、両部材56A,56B自体とエンジンカバー20とファイヤウォール30との何れか又はそれぞれの弾性変形によって部材56A,56Bが係合することになり、両部材56A,56Bの密着性を高めることができる。
【0054】
また、エンジンカバー20のカバー側仕切壁部22とファイヤウォール30の側壁部33とが接合して形成される仕切壁44には、カバー側仕切壁部22の切り欠き45aと側壁部33の切り欠き45bとによって開口部45が形成されており、この開口部45が冷却ファン12の回転軸21aが貫通するスペースとなっているのに加えて、エンジン室3内の換気用穴としても機能するため、エンジン室3内の温度上昇が抑制され、エンジン室3内に装備される電装品等の温度上昇影響を受け易い部材を保護することができる。
【0055】
しかも、冷却ファン12により生成される冷却風の流れによって、冷却ファン12の軸心側が負圧となって、開口部45を通じてエンジン室3内の空気が外部に排出されやすくなっているので、開口部45を小型にしても、エンジン室3内の換気性能を確保ることができるので、開口部45の小型化によって、エンジン騒音の外部への漏れを抑制できるようにしながら、エンジン室3内の必要な換気を実施することができる。
【0056】
また、冷却ファン12で生成された冷却用空気流は、冷却後に冷却装置室6の下部(区画パネル42の下部)の空気排出口60から直接機外に排出されるわけでなく、ダクト62内の流路63によってエンジン室3下方に空気され空気排出口61から排出されるので、空気排出口61からの空気排出に伴うエンジン騒音の漏出も抑制される。
また、エンジン等のメンテナンス時には、20を開ければ、エンジン室3と冷却装置室6との間のカバー側仕切壁部22は除去されることになるため、これにより開放された仕切壁44部分の空間を利用して、エンジン周りが比較的狭い小型の建設機械であっても、エンジン等のメンテナンスを支障なく行なうことができ、十分なメンテナンス性を確保することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では、図11,図12に示すような断面形状のシール構造55を採用しているが、もちろん、図1に示すような断面形状のシール構造55を適用してもよい。少なくとも、各シール部材の接触面に、第1の当接面と、重合面と、第2の当接面とを設け、重合面には、逆向き傾斜面をそなえ、第1の当接面には、先端側を向くと共に接触対象の接触面の側を向いた傾斜面をそなえ、第1の当接面及び重合面は滑らかな曲面で接続巣路構成であればよい。
【0058】
また、本シール構造55が適用されるエンジンカバー20のカバー側仕切壁部22とファイヤウォール30の側壁部33とが突き当たり接合する接合線の形状、即ち、カバー側仕切壁部22の端縁形状及び側壁部33の端縁形状は、本実施形態では、下部で機体後ろ側に、上部で機体前側にシフトさせて略鉛直方向を向く接合線2本の構成としているが、例えば、図14に示すように、接合線が斜めに後傾斜するように、エンジンカバー20´のカバー側仕切壁部22´とファイヤウォール30´の側壁部33´とを形状設定しても良い。この場合も、カバー側仕切壁部22´及び側壁部33´にそれぞれ切り欠き45a´,45b´を設けて開口部45´を形成すればよい。
【0059】
また、本シール構造55の適用箇所は、上記の本実施形態の適用例に限定されない。
また、上述の実施形態では、油圧ショベルのエンジンカバーを例にシール構造を説明したが、本発明はこれに限らず他のカバー部材に広く適用することができ、また、カバー部材のみならず、互いに離接する2つの接合部材間を直線状又は曲線状にシールする箇所に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態にかかるシール構造を示す断面図であり、(a)は係合開始状態を示し、(b)は係合完了状態を示す。
【図2】本発明の一実施形態にかかるエンジンカバーを示す建設機械の機体後部の斜視図であって、エンジンカバー周りのボディパネルの一部を除去してエンジンカバーの開放状態を示している。
【図3】本発明の一実施形態にかかるエンジンカバーを示す建設機械の機体後部の斜視図であって、エンジンカバー周りのボディパネルの一部及び冷却装置の一部を除去してエンジンカバーの閉鎖状態を示している。
【図4】本発明の一実施形態にかかる建設機械のエンジン室内を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるエンジンカバーを示す図であって、(a)はボディパネルの一部を除去して示す建設機械の機体の後面図、(b)はボディパネルの一部を除去して示すエンジンカバーの側面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるエンジン室の冷却装置側の側面を示す図であって、図5(a)のA−A矢視断面図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるエンジン室内を示す図であって、図5(b)のB−B矢視断面図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかるエンジン室周りのシール構造を示す断面図であって、図5(a)のC−C矢視断面図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかるエンジン室周りのシール構造を示す断面図であって、(a)は図8のF部拡大断面図、(b)は図8のG部拡大断面図、(a)は図6のE−E矢視断面図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかるエンジン室周りのシール構造を示す断面図であって、図6のD−D矢視断面図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかるエンジン室周りのシール構造(本発明のシール構造)を示す断面図であって、(a)は図10のH部拡大断面図、(b)は図11(a)の要部拡大断面図である。
【図12】本発明の一実施形態にかかるシール構造(本発明のシール構造)の係合動作を説明する模式的断面図であって、(a)は係合開始状態を示し、(b)は係合動作の途中の状態を示し、(c)は係合完了状態を示す。
【図13】本発明の一実施形態にかかるエンジン室周りを示す機体(上部旋回体)要部外観を示す図であって、(a)はその下方からの斜視図、(b)はその後側方からの斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態にかかるエンジン室の冷却装置側の側面の変形例を示す図であって、図6と対応する。
【図15】従来の小型油圧ショベルにおけるエンジンカバーを装備した機体(上部旋回体)後部を示す後面斜視図であって、エンジンカバー周りのボディパネルの一部を除去してエンジンカバーの閉鎖状態を示している。
【図16】従来の小型油圧ショベルにおけるエンジンカバーを装備した機体(上部旋回体)後部を示す後面斜視図であって、エンジンカバー周りのボディパネルの一部を除去してエンジンカバーの開放状態を示している。
【図17】従来の小型油圧ショベルにおけるエンジンカバーを装備した機体(上部旋回体)の内部を示す斜視図である。
【図18】従来の小型油圧ショベルにおけるエンジンカバーを装備した機体(上部旋回体)の後面図であって、エンジンカバー周りのボディパネルの一部を除去して示している。
【図19】図18のI−I矢視断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 上部旋回体(機体)
2 車体フレーム
3 エンジン室
21 エンジンカバー本体部(カバー本体部)
30 ファイヤウォール
55 シール構造
56A,156A カバー側部材
56B,156B 機体側部材
56a,56b,156a,156b 接触面
57,157 第1の当接面
58,158 第2の当接面
59,159 重合面
59a 重合面59の凸部(凸状曲面)
59b 重合面59の凹部(凹状曲面)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離接する2つの接合部材間を直線状又は曲線状にシールするシール構造であって、
上記の各接合部材にそれぞれ装備され、上記の両接合部材の接合時に互いに接触する接触面を有するシール部材を備え、
該シール部材の該接触面には、上記の両接合部材が接合方向に接近する際の先端側から、上記の両接合部材の接合開始時に互いに接触する第1の当接面と、上記の両接合部材の接合完了時に該離接方向と直角な方向に互いに重合する重合面と、上記の両接合部材の接合完了時に接触対象の該接触面の該第1の当接面と当接する第2の当接面とが設けられ、
該重合面は、該先端側とは反対向きに傾斜し重合時に互いに接合する逆向き傾斜面をそなえ、
該第1の当接面は、上記の両接合部材の接合開始時に互いに接触する箇所に、該先端側を向くと共に接触対象の該接触面の側を向いた傾斜面をそなえ、
該第1の当接面及び該重合面は滑らかな曲面で接続されている
ことを特徴とする、シール構造。
【請求項2】
該重合面は、接触対象の該接触面の側に突出した凸部と、接触対象の該接触面側の該重合面に形成された該凸部が嵌合するように窪んで形成された凹部とをそなえている
ことを特徴とする、請求項1記載のシール構造。
【請求項3】
該重合面の該凸部は、該第1の当接面と滑らかに接続された凸曲面状に形成され、該重合面の該凹部は、該凸部及び該第2の当接面とそれぞれ滑らかに接続された凹曲面状に形成されている
ことを特徴とする、請求項2記載のシール構造。
【請求項4】
該第1の当接面は凸曲面状に形成され、該第2の当接面は該第1の当接面と対応した凹曲面状に形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のシール構造。
【請求項5】
上記の各接合部材の少なくとも接合部近傍は、いずれも略同一面上に配置されたパネル状に形成され、上記の両接合部材のうち少なくとも一方が、上記面内で移動することにより上記の両接合部材が互いに離接するように構成され、上記の両接合部材の端縁の接合部をシールする
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシール構造。
【請求項6】
上記の両接合部材のうちの一方は、室を開閉するように装備されたカバー部材であって、上記の両接合部材のうちの他方は、該室を形成する区画部材である
ことを特徴とする、請求項5記載のシール構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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