説明

シール装置

【課題】低コストで製造することができ、熱膨張に伴うシールヘッドの歪みが発生しにくく、シールヘッドの交換も容易に行うことができるシール装置を提供する。
【解決手段】固定側ユニット2の固定側シールヘッドと対向するように配置され、重ね合わせた合成樹脂シートSを固定側シールヘッドとの間に挟み込む可動側シールヘッド11と、この可動側シールヘッド11が取り付けられるシールベース12と、このシールベース12に埋設された加熱ヒータ13と、シールベース12における加熱ヒータ13よりも可動側シールヘッド11側に、可動側シールヘッド11に対して進退可能に埋設された永久磁石14とを備えており、永久磁石14の磁力によって、シールベース12の保持面に吸着されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、パウチ容器等の製袋に使用される、合成樹脂シートのシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシール装置としては、例えば、図4に示すようなものがある。このシール装置50は、同図に示すように、固定側ユニット50Aと可動側ユニット50Bとを備えている。前記可動側ユニット50Bは、固定側ユニット50Aの固定側シールヘッドと対向するように配置され、重ね合わせた合成樹脂シートSを固定側シールヘッドとの間に挟み込む所定形状のシール面を有する可動側シールヘッド51と、この可動側シールヘッド51が取り付けられるシールベース52と、このシールベース52に埋設された加熱ヒータ53とを備えており、重ね合わせた合成樹脂シートSを可動側シールヘッド51のシール面で加熱押圧することによって、重ね合わせた合成樹脂シートSにおける所定領域がヒートシールされるようになっている。なお、同図(a)において、網掛け表示部分がシールヘッド51のシール面を示している。
【0003】
前記可動側シールヘッド51は、金属等からなるブロックに切削・研磨加工を施すことによって形成されており、裏面側がシールベース52の表面に接触する所定の厚みを有する基部51aと、この基部51aから突出する、表面がシール面となるシール形状を有する凸部51bとから構成されている。
【0004】
この可動側シールヘッド51は、凸部51bによって取り囲まれた基部51aの中央部分を2本のボルト54によってシールベース52に着脱自在に固定されており、必要に応じて、可動側シールヘッド51だけを交換することができるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−206384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したシール装置50の可動側シールヘッド51は、金属ブロック等に切削・研磨加工を施すことによって形成されるので、加工コストが高く、しかも、シールベース52にボルト止めするための基部51a自体が必要な剛性を得るために、ある程度の厚み(例えば、15〜30mm)を有していなければならないので、材料コストも高くなるといった問題がある。
【0007】
また、可動側シールヘッド51がシールベース52にボルト止めされているので、可動側シールヘッド51の交換に手間や時間がかかると共に、可動側シールヘッド51の熱による膨張をボルト54等で止めるため、固定による歪みが発生するといった問題もある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、低コストで製造することができ、熱膨張に伴うシールヘッドの歪みが発生しにくく、シールヘッドの交換も容易に行うことができるシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、重ね合わせた合成樹脂シートを加熱押圧する所定形状のシール面を有するシールヘッドと、前記シールヘッドを保持するシールベースと、前記シールベースに設けられた加熱ヒータとを備えたシール装置において、前記シールヘッドを磁性体によって形成すると共に、前記シールベースに永久磁石または電磁石を設け、前記永久磁石または前記電磁石の磁力によって、前記シールヘッドを前記シールベースに保持するようにしたのである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、請求項1に係る発明のシール装置は、シールヘッドを磁性体によって形成すると共に、シールベースに永久磁石または電磁石を設け、永久磁石または電磁石の磁力によって、シールヘッドをシールベースに保持するようにしたので、シールヘッドがシールベースにボルト止めされている従来のシール装置に比べて、シールヘッドの交換を容易に行うことができると共に、熱膨張に伴うシールヘッドの歪みが発生しにくいという効果が得られる。
【0011】
また、従来のシール装置が採用しているシールヘッドのように、シールベースにボルト止めするためにある程度の厚みを有する基部を設ける必要がないので、薄肉のプレート状の磁性体をワイヤ加工機やレーザ加工機等で所定の外形形状に加工するだけでよく、シールヘッドの材料コストや加工コストの削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、このシール装置1は、パウチ容器等を製袋する際に、重ね合わせた合成樹脂シートS同士を相互にヒートシールするものであり、固定側ユニット2と可動側ユニット3とを備えている。
【0013】
前記可動側ユニット3は、固定側ユニット2の固定側シールヘッドと対向するように配置され、重ね合わせた合成樹脂シートSを固定側シールヘッドとの間に挟み込む可動側シールヘッド11と、この可動側シールヘッド11が取り付けられるシールベース12と、このシールベース12に埋設された加熱ヒータ13と、シールベース12における加熱ヒータ13よりも可動側シールヘッド11側に、可動側シールヘッド11に対して進退可能に埋設された永久磁石14とを備えており、重ね合わせた合成樹脂シートSを、固定側シールヘッドと可動側シールヘッド11との間に挟み込んで、可動側シールヘッド11のシール面で合成樹脂シートSを加熱押圧することによって、合成樹脂シートSにおける所定領域がヒートシールされるようになっている。なお、加熱ヒータ13及び永久磁石14の配置はこれに限定されるものではない。
【0014】
前記可動側シールヘッド11は、図2(a)、(b)に示すように、磁性体によって形成された厚さ3mm程度の板材を、ワイヤ加工機やレーザ加工機等を用いて、シール部の外形形状に切断加工したものであり、永久磁石14の磁力によって、シールベース12の保持面に吸着されるようになっている。なお、固定側ユニット2の固定側シールヘッドは、非磁性体によって形成されており、永久磁石14の磁力によって、可動側シールヘッド11に吸着されないようになっている。
【0015】
前記シールベース12は、図3(a)、(b)に示すように、可動側シールヘッド11の保持面が長方形状に形成されているが、その隣接する2辺には、シールヘッド11の厚みより小さい高さの段部12aが形成されており、この段部12aに可動側シールヘッド11の隣接する2辺を当接させることで、可動側シールヘッド11が位置決めされるようになっている。
【0016】
前記永久磁石14は、可動側シールヘッド11に対して進退させることができるように、シールベース12に埋設されており、可動側シールヘッド11を着脱する際は、永久磁石14を後退させることで、吸着力を弱めることができるようになっている。
【0017】
以上のように、このシール装置1は、可動側シールヘッド11を磁性体によって形成すると共に、シールベース12に永久磁石14を埋設し、この永久磁石14の磁力によって、可動側シールヘッド11をシールベース12に保持するようにしたので、シールヘッドがシールベースにボルト止めされている従来のシール装置に比べて、可動側シールヘッド11の交換を容易に行うことができると共に、可動側シールヘッド11が熱膨張する際、その膨張力が永久磁石14の吸着力よりも大きく、可動側シールヘッド11が自由に熱膨張することができるので、熱膨張に伴う可動側シールヘッド11の歪みが発生しにくいという効果が得られる。
【0018】
なお、上述した実施形態では、シールベース12に永久磁石14を埋設しているが、これに限定されるものではなく、永久磁石14に代えて電磁石を採用することも可能である。特に、電磁石を採用する場合は、永久磁石14を採用する場合のように、シールベース12に進退可能に埋設する必要はなく、可動側シールヘッド11を着脱する際は、コイルへの通電を停止すればよい。
【0019】
また、上述した実施形態では、シールベース12に可動側シールヘッド11を位置決めするための段部12aを形成しているが、1辺だけに段部を形成してもよく、特に、位置決め精度が要求されない場合は、段部を設けなくてもよい。
【0020】
また、上述した実施形態では、シールベース12における加熱ヒータ13よりも可動側シールヘッド11側に永久磁石14を配置しているが、これに限定されるものではなく、加熱ヒータ13と永久磁石14との位置関係が逆になっていてもよい。
【0021】
また、上述した実施形態では、シール面とその他の部分との間に段差のない固定側シールヘッドを採用しているが、これに限定されるものではなく、可動側シールヘッド11の形状に対応する部分(シール面)が一段高くなるように、段差を形成した固定側シールヘッドを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
パウチ容器等を製袋する際に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)はこの発明に係るシール装置の可動側ユニットを示す平面図、(b)は同上の可動側ユニットを示す側面図である。
【図2】(a)は同上の可動側ユニットを構成している可動側シールヘッドを示す平面図、(b)は同上の可動側シールヘッドを示す側面図である。
【図3】(a)は同上の可動側ユニットを構成しているシールベースを示す平面図、(b)は同上のシールベースを示す側面図である。
【図4】(a)は従来のシール装置を示す平面図、(b)は同上のシール装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 シール装置
2 固定側ユニット
3 可動側ユニット
11 可動側シールヘッド
12 シールベース
12a 段部
13 加熱ヒータ
14 永久磁石
S 合成樹脂シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせた合成樹脂シートを加熱押圧する所定形状のシール面を有するシールヘッドと、
前記シールヘッドを保持するシールベースと、
前記シールベースに設けられた加熱ヒータと
を備えたシール装置において、
前記シールヘッドを磁性体によって形成すると共に、前記シールベースに永久磁石または電磁石を設け、
前記永久磁石または前記電磁石の磁力によって、前記シールヘッドを前記シールベースに保持するようにしたことを特徴とするシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−234122(P2009−234122A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84833(P2008−84833)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】