説明

シール装置

【課題】組立及び分解の際に、挿入される部材やシール装置自体が摩耗及び損傷することを防止し、スムーズに着脱できるシール装置を提供する。
【解決手段】
本体シール面(22)と当該本体シール面の反対面である本体背面(24)とを有し、細長い板状のシール本体部(20)と、前記本体背面に断続的に接触する波形形状を有し、前記シール本体部の一方の端部に接続される接続端部(38)と、当該接続端部の反対側の端部であって前記シール本体部に対して相対移動可能な自由端部(36)と、を有するバネ部(30)と、を有し、前記バネ部の前記自由端部には、バネ保持手段(40)に係合して前記バネ部を当該バネ部の自由長より長く引き延ばす第1係合部(36a)が形成されているシール装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する二つの面の間をシールするために、当該二つの面の間に挿入されて使用されるシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対向する二つの面の間をシールするために、当該二つの面の間に挿入されて使用されるシール装置が知られている。例えば、ガスタービンの静翼シュラウド、エンドウォール等のような、隣接する組立部品間の隙間をシールするために、細長い板状のシール装置を用いる技術が知られている(特許文献1、特許文献2等参照)。
【0003】
従来技術に係るシール装置は、対向する各面に形成された対向溝に挿入されて用いられ、対向溝の内部において、シール装置の取付壁面及びシール壁面に接触する。これにより、シール装置の一方の面が対向溝のシール壁面に押し付けられ、対向する面の間をシールすることができる。また、挿入されるシール装置は、対向溝に追従して変形できるように、可撓性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−097220号公報
【特許文献2】特開2007−218375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術に係るシール装置は、対向溝に挿入された際に、対向溝における取付壁面とシール壁面の両方に接触し、シール装置が対向溝のシール面に向かって押し付けられるように設計されているため、対向溝にスムーズに挿入することが難しく、組立性に問題を有していた。また、従来技術に係るシール装置は、対向溝に挿入する際若しくは対向溝から引き抜く際に対向溝の壁面に引っ掛かり、対向溝の壁面を摩耗若しくは損傷させ、又はシール装置が摩耗若しくは損傷する場合があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、対向する二つの面の間をシールするために、当該二つの面の間に挿入されて使用されるシール装置であって、組立及び分解の際に、挿入される部材やシール装置自体が摩耗及び損傷することを防止し、スムーズに着脱できるシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明に係るシール装置は、本体シール面と当該本体シール面の反対面である本体背面とを有し、細長い板状のシール本体部と、
前記本体背面に断続的に接触する波形形状を有し、前記シール本体部の一方の端部に接続される接続端部と、当該接続端部の反対側の端部であって前記シール本体部に対して相対移動可能な自由端部と、を有するバネ部と、を有し、
前記バネ部の前記自由端部には、バネ保持手段に係合して前記バネ部を当該バネ部の自由長より長く引き延ばす第1係合部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシール装置は、シール本体部の本体背面に断続的に接触する波形形状のバネ部を有し、バネ部は、シール装置が対向溝に組付けられた際に、本体シール面を対向溝に向かって押し付ける力を生じる。バネ部の自由端部には、バネ保持手段に係合してバネ部を自由長より長く引き延ばす第1係合部が形成されており、第1係合部をバネ保持手段に係合させることにより、シール装置の厚みを抑制することができる。したがって、本発明に係るシール装置は、第1係合部をバネ保持手段に係合させた状態で対向溝に挿入することにより、対向溝にスムーズに挿入することができる。シール装置を対向溝に挿入した後、バネ保持手段と第1係合部との係合を解除することによって、バネ部は、シール本体部の本体シール面を対向溝に向かって押し付ける力を生じる。
【0009】
対向溝からシール装置を引き抜く際にも、第1係合部をバネ保持手段に係合させた状態で行うことによって、スムーズに引き抜くことができる。また、本発明に係るシール装置は、組立及び分解の際に、挿入される部材やシール装置自体が摩耗及び損傷することを防止できる。
【0010】
また、例えば、本発明に係るシール装置において、前記バネ部の前記接続端部には第2係合部が形成されており、
前記バネ保持手段は、前記シール本体部の長手方向に延在する接続部と、当該接続部の両端部に形成されており前記接続部から前記シール本体部の厚み方向に突出し、前記第1係合部に着脱自在に係合する第1突起部と、前記第2係合部に着脱自在に係合する第2突起部とを有していてもよい。
【0011】
このようなバネ部およびバネ保持手段を備えるシール装置では、バネ保持手段が、バネ部の自由端部と接続端部の両方と係合し、バネ保持手段がバネの復元力を支えることができる。したがって、このようなシール装置は、バネ部を引き延ばして着脱する際に、バネの復元力が接続端部を介してシール本体部に伝わることを防止し、着脱時におけるシール本体部の変形を抑制し、よりスムーズな着脱を実現できる。また、このようなシール装置は、シール本体部として、より可撓性の高い材料及び構造を選択することが可能である。
【0012】
また、前記シール本体部の前記一方の端部には、前記第2突起部を挿通する第2貫通穴が形成されており、前記シール本体部の他方の端部には、前記第1突起部を挿通する第1貫通穴が形成されていても良い。
【0013】
このようなシール装置は、バネ保持手段を、バネ部側からだけでなく、シール本体部のシール面側から着脱できるため、組立てが容易である。また、シール装置の着脱時において、波形形状のバネ部ではなく、板状のシール本体部にバネ保持手段を密着させることができるので、バネ保持手段を含むシール装置全体をコンパクトにすることが可能であり、この点でも組立てが容易である。
【0014】
また、例えば、前記バネ保持手段は、前記本体背面に形成された突起であってもよい。このようなシール装置は、シール装置の着脱時以外にはシール装置から取り外される部材を必要としないので、全体の構成がシンプルである。
【0015】
また、例えば、前記バネ部は、前記本体背面に接触する谷部と、前記本体背面との隙間が最大となる山部とを、前記接続端部から前記自由端部に向かって交互に有しており、
前記山部には、前記シール本体部の短手方向の両端部に、前記本体背面とは反対側に突出する山部突起が形成されていても良い。
【0016】
このようなシール装置は、対向溝が熱応力等によって変形した場合にも、山部突起と対向溝間の接触が良好に維持されるため、より良好なシール性能を発揮することができる。また、山部突起が、バネ部における他の部分を対向溝との摩耗から保護するため、このようなシール装置は、優れた耐久性を有する。
【0017】
また、山部の形状は特に限定されないが、前記山部突起が形成されている前記山部は、当該山部を構成する部材における前記短手方向の両先端が、前記本体背面とは反対側に向かってカールした形状を有していても良い。また、前記山部突起は、前記山部を構成する部材における前記短手方向の両先端を折り曲げて作製されても良い。
【0018】
このような形状を有するバネ部は、別部材を接合等することなく山部突起が形成されているため、耐久性に優れており、製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るシール装置の斜視図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、図1に示すシール装置の挿入時及び取り外し時の状態を表す斜視図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、バネ保持部材の有無によるバネ部の形状の差を表す概念図である。
【図4】図4(A)〜(C)は、シール装置の挿入方法を説明した概念図である。
【図5】図5は、対向溝に挿入されたシール装置の断面図である。
【図6】図6(A)は、本発明の第2実施形態に係るシール装置の斜視図であり、図6(B)は、図6(A)に示すシール装置の他の状態を表す斜視図である。
【図7】図7は、図6に示すシール装置に含まれるバネ部における山部の拡大図である。
【図8】図8は、対向溝に挿入されたシール装置の断面図である。
【図9】図9(A)は、本発明の第3実施形態に係るシール装置の斜視図であり、図9(B)は、図9(A)に示すシール装置の他の状態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るシール装置10の斜視図である。シール装置10は、ガスタービンの組立部品間に使用されるが、本発明に係るシール装置の適用場所は特に限定されない。シール装置10は、シール本体部20と、バネ部30と、バネ保持具40とを有する。シール本体部20とバネ部30とは、シール本体部20の第2端部28側において接続されている。これに対して、バネ保持具40は、シール本体部20及びバネ部30に対して自在に着脱できる。
【0021】
シール本体部20は、細長い板状の形状を有している。シール本体部20は、本体シール面22(図2(A)参照)と、本体シール面22の反対面である本体背面24とを有する。本体背面24には、波形形状を有するバネ部30が配置されている。シール本体部20は、図1〜図2に示すように、引き延ばされた状態のバネ部30より多少長めに作製されており、本体背面24にバネ部30が配置されない部分には、治具係合穴25が形成されている。治具係合穴25には、シール装置10をガスタービンの組立部品間の対向溝等に着脱する際に、取付治具が係合される。ただし、シール装置10における取付治具との係合構造は、図1に示すような治具係合穴25に限定されず、また、シール本体部20の長さは、引き延ばされた状態のバネ部30と同等であっても良い。
【0022】
バネ部30は、波形形状を有しており、シール本体部20の本体背面24に断続的に接触している(図3等参照)。バネ部30は金属等の弾性材料で形成されており、図5に示すように、シール本体部20の本体シール面22は、バネ部30の復元力(弾性力)によって、対向溝52の第1シール壁面54a及び第2シール壁面54bに押し付けられる。また、シール本体部20も、可撓性を有する金属材料等によって作製される。バネ部30及びシール本体部20を構成する金属材料は、特に限定されないが、例えばNi,Co系耐熱合金等が挙げられる。なお、シール装置10のシール作用については後述する。
【0023】
図1に示すように、バネ部30の一方の端部である接続端部38は、シール本体部20の一方の端部である第2端部28に接続されている。バネ部30とシール本体部20は、ろうづけ若しくは溶接等によって接続されていてもよく、また、屈曲等の機械加工を行うことによって、一つの板材から作製されていても良い。
【0024】
バネ部30は、接続端部38の反対側の端部であって、シール本体部20に対して相対移動可能な自由端部36を有する。図3に示すように、バネ部30の自由端部36は、バネ部30を引き延ばす力を加えたり、引き延ばす力を解放したりすることによって、シール本体部20に対して、シール本体部20の長手方向に、相対移動することができる。
【0025】
図1に示すように、バネ部30の自由端部36には、バネ保持具40の第1突起部46と係合する第1係合部36aが形成されている。また、バネ部30の接続端部38には、バネ保持具40の第2突起部48と係合する第2係合部38aが形成されている。本実施形態において、第1係合部36a及び第2係合部38aは矩形の貫通穴であるが、これらの係合部36a,38aの形状は、バネ保持具40の各突起部46,48と着脱自在に係合できる形状であれば、特に限定されない。
【0026】
バネ保持具40は、シール装置10をガスタービンの組立部品間の対向溝等に着脱する際に、バネ部30の長さを、当該バネ部30の自由長より長く引き延ばすための部材である。バネ保持具40は、シール本体部20の長手方向に延在する接続部42と、接続部42の両端部に形成されており、接続部42からシール本体部20の厚み方向に突出する第1突起部46及び第2突起部48を有する。本実施形態に係るバネ保持具40は、断面形状が略矩形の棒状であり、金属又は樹脂等によって作製されるが、バネ保持具40の断面形状及び材質は特に限定されない。
【0027】
図2(A)及び図2(B)は、ガスタービンの組立部品間の対向溝等に着脱する際におけるシール装置10を表す斜視図である。図2(A)はシール本体部20の本体シール面22側から、シール装置10を観察した図であり、図2(B)は、図2(A)と同様のシール装置10を、シール本体部20の本体背面24側から観察した図である。
【0028】
図2(A)に示すように、バネ保持具40は、シール本体部20およびバネ部30に対して、本体シール面22側から取り付けられる。シール本体部20の第1端部26には、バネ保持具40の第1突起部46を挿通する第1貫通穴26aが形成されている。第1突起部46は、第1貫通穴26aを通り、本体シール面22から本体背面24に突出し、図2(B)に示すように、バネ部30の第1係合部36aに係合する。これに対して、図2(A)に示すように、シール本体部20の第2端部28には、バネ保持具40の第2突起部48を挿通する第2貫通穴28aが形成されており、第2突起部48は、第1突起部46と同様に、第2貫通穴28aを通り、バネ部30の第2係合部38aに係合する。
【0029】
図3(A)は、バネ保持具40が、シール本体部20及びバネ部30から取り外された状態におけるバネ部30の形状を表している。バネ保持具40が取り付けられていない場合、バネ部30の長さLは、バネ部30の自由長と等しい。この際、バネ保持具40を除くシール装置10の厚みW(本体シール面22からバネ部30の頂点までの長さ)は、シール装置10が挿入される対向溝52の幅W(シール壁面54a,54bから取付壁面56a,56bまでの距離(図5参照))より大きくなるように設計される。
【0030】
図3(B)は、バネ保持具40が、シール本体部20及びバネ部30に取り付けられた状態におけるバネ部30の形状を表している。バネ保持具40が取り付けられている場合、バネ部30の長さLは、バネ保持具40によって長手方向に引き延ばされ、自由長であるL(図3(A))より長くなる。この際、バネ保持具40を除くシール装置10の厚みW(本体シール面22からバネ部30の頂点までの長さ)は、図3(A)に示すシール部材の厚みWより小さくなる。バネ保持具40を装着した状態におけるシール装置10の厚みWは、シール装置10が挿入される対向溝52の幅Wより小さくなるように設計されることが好ましい。
【0031】
図4(A)〜(C)は、シール装置10の挿入方法を説明した概念図である。図4(A)に示すように、シール装置10は、ガスタービンにおける隣接する2つの部品である第1部品50aと第2部品50bの間に挿入されて使用される。第1部品50aは、第2部品50bに対向する面である第1対向面51aを有しており、第1対向面51aには、第1溝52aが形成されている。第2部品50bは、第1部品50aに対向する面である第2対向面51bを有しており、第2対向面51bには、第1溝52aに対向するように第2溝52bが形成されている。シール装置10は、第1溝52aと第2溝52bによって構成される対向溝52に挿入される。
【0032】
図4(B)に示すように、シール装置10は、バネ保持具40をシール本体部20及びバネ部30に取り付けた状態で、対向溝52の長手方向に沿って挿入される。図3(B)に示すように、シール装置10の厚みWは、バネ保持具40によって小さく維持されるため、シール装置10をスムーズに対向溝52に挿入できる。この際、バネ保持具40は、第1対向面51aと第2対向面51bの間に位置するため、挿入時に邪魔になることがない。
【0033】
さらに、シール装置10は、所定位置まで挿入された後、バネ保持具40を取りはずされる(図4(C))。バネ保持具40を取り外すことによって、バネ部30の第1係合部36aとバネ保持具40の第1突起部46との係合が解除され、バネ部30はシール本体部20の長手方向に沿って収縮する。これにより、シール装置10の厚みが大きくなり、バネ部30は、シール本体部20を対向溝52の壁面に押し付ける力を発揮できる状態になる(図3参照)。以上のようにして、シール装置10の取付けが完了する。なお、シール装置10を取り外す際には、再度バネ保持具40を装着してからシール装置10を対向溝52から引き抜いても良いし、あるいは、バネ保持具40を装着せずに取り外すことも可能である。
【0034】
図5は、対向溝52に挿入されたシール装置10の断面図である。対向溝52は、第1部品50aの第1溝52aと、第2部品50bの第2溝52bによって構成される。第1溝52aは、シール本体部20の本体シール面22に接触してシール面を構成する第1シール壁面54aと、第1シール壁面54aに対向しておりバネ部30と接触する第1取付壁面56aと、第1シール壁面54aと第1取付壁面56aとを接続する第1接続壁面58aとを有する。第2溝52bは、第1溝52aと対称な形状を有しており、第1溝52aにおける第1シール壁面54a、第1取付壁面56a及び第1接続壁面58aの各面に対応する第2シール壁面54b、第2取付壁面56b及び第2接続壁面58bを有する。
【0035】
シール装置10は、第1溝52aと第2溝52bを跨ぐ状態で、対向溝52の内部に配置される。シール装置10のバネ部30は、対向溝52の取付壁面56a,56bとシール本体部20の本体背面24に接触し、シール本体部20の本体シール面22を、対向溝52のシール壁面54a,54bに向かって押し付ける力を発生する。これにより、部品50a,50bが熱応力等によって変形した場合にでも、本体シール面22とシール壁面54a,54bの接触が保たれ、シール装置10は好適なシール性能を奏する。また、本体シール面22の短手方向の両端部には、シール壁面54a,54bに向かって突出するシール面突起23a,23bが形成されている。これにより、シール装置10は、対向溝52を構成する第1溝52aと第2溝52bの位置が、熱応力等によりシール本体部20の厚み方向にずれたような場合にでも、本体シール面22とシール壁面54a,54bの接触を保ち、好適なシール性能を奏する。
【0036】
以上のように、本実施形態に係るシール装置10は、バネ部30の自由端部36に形成された第1係合部36aを、バネ保持具40の第1突起部46に係合させた状態で対向溝52に挿入することにより、挿入時におけるシール装置10の厚みWを低減し、対向溝52にスムーズに挿入することができる(図3及び図4)。また、本実施形態に係るシール装置10は、組立及び分解の際に、対向溝52の壁面やシール装置10自体が摩耗及び損傷することを防止できる。
【0037】
また、シール装置10では、第1突起部46に加えて、バネ保持具40の第2突起部48が、バネ部30の接続端部38に形成された第2係合部38aに係合する(図2)。これにより、シール装置10では、バネ保持具40が、バネ部30の自由端部36と接続端部38の両方と係合し、引き延ばされたバネ部30の復元力を支えることができる。したがって、シール装置10は、バネ部30を引き延ばした状態において、バネ部30の復元力が接続端部38を介してシール本体部20に伝わることを防止し、着脱時におけるシール本体部20の変形を抑制し、よりスムーズが着脱を実現できる。また、このようなシール装置10は、シール本体部20として、より可撓性の高い材料及び構造を選択したり、バネ部30としてより復元力の大きいものを使用することが可能であり、より好適なシール性能を有する。
【0038】
さらに、シール装置10では、バネ保持具40を、バネ部30側からだけでなく、シール本体部20の本体シール面22側から着脱できるため、バネ保持具40をバネ部30に対して着脱しやすく、組立てが容易である。また、シール装置10の着脱時において、波形形状のバネ部30ではなく、板状のシール本体部20にバネ保持具40を密着させることができるので、バネ保持具40を含むシール装置10全体を、小型化することが可能である。
【0039】
第2実施形態
図6(A)及び図6(B)は、本発明の第2実施形態に係るシール装置12の斜視図である。シール装置12は、シール本体部20と、バネ部60とバネ保持具40を有しており、バネ部60の形状が異なることを除き、第1実施形態に係るシール装置10と同様である。
【0040】
図6(B)に示すように、シール装置12のバネ部60は、シール本体部20の第2端部28に接続される接続端部68と、シール本体部20に対して相対移動可能な自由端部66とを有する。図6(A)及び図6(B)に示すように、バネ部60には、本体背面24に接触する谷部64と、本体背面24との隙間が最大となる山部62が、接続端部68から自由端部66に向かって交互に形成されており、バネ部60は、台形波の波形形状を有している。
【0041】
図6(A)に示すように、バネ部60の自由端部66には、バネ保持具40の第1突起部46と係合する第1係合部66aが形成されており、バネ部60の接続端部68には、バネ保持具40の第2突起部48と係合する第2係合部68aが形成されている。シール装置12も、第1実施形態に係るシール装置10と同様に、バネ保持具40をシール本体部20及びバネ部60に対して取り付けた状態で、対向溝52に挿入される。
【0042】
図7は、シール装置12のバネ部60における山部62を拡大した拡大斜視図である。バネ部60における山部62には、シール本体部20の短手方向の両端部に、山部突起62a,62bが形成されている。山部突起62a,62bは、バネ部60からみて本体背面24側とは反対側に向かって突出している(図6(A)参照)。バネ部60は、1つの材料を加工して作製されており、山部突起62a,62bが形成されている山部62及び谷部64が一体となっている。山部突起62a,62bは、山部62を構成する部材における短手方向の両先端63a,63bを屈曲させるか若しくは折り曲げることによって作製されており、両先端63a,63bが、バネ部60からみて本体背面24側とは反対側に向かってカールした形状を有している。
【0043】
図8は、対向溝52に挿入されたシール装置12の断面図であり、シール装置12における山部62を通る断面を示したものである。山部突起62a,62bは、対向溝52の取付壁面56a,56bと接触しており、対向溝52を構成する第1溝52aと第2溝52bの位置が、熱応力等によりシール本体部20の厚み方向にずれたような場合にでも、取付壁面56a,56bとの接触を保つことができる。これにより、シール装置12では、本体シール面22に形成された2つのシール面突起23a,23bに対して、バネ部60による押し付け力がバランス良く作用し、好適なシール性能を奏する。
【0044】
また、山部突起62a,62bを有するバネ部60は、山部突起62a,62bが取付壁面56a,56bに接触することにより、山部突起62a,62b以外の部分(図8において山部突起62aと62bの間の部分)を摩耗による損傷から保護することができる。そのため、山部突起62a,62bを有するバネ部60は、シール本体部20を対向溝52に向かって押し付ける力を好適に持続することができ、耐久性が高い。さらに、山部突起62a,62bを有する山部62は、短手方向の両先端63a,63bが巻き込まれているか若しくは折り返されている。これにより、シール装置12が対向溝52の内部で移動又は変形したとしても、山部62は、第1溝52a及び第2溝52bに対して円弧状の曲面で接触することになるため摩耗し難く、また対向溝52を傷つけることを防止できる。
【0045】
また、シール装置12のバネ部60は、別部材を接合等することなく山部突起62a,62bが形成されているため、耐久性に優れており、製造が容易である。さらに、シール装置12のバネ部60は、山部突起62a,62bによって対向溝52との接触部分が補強されているため、この点でも耐久性に優れている。なお、第2実施形態に係るシール装置12は、第1実施形態に係るシール装置10と同様の効果を奏する。
【0046】
第3実施形態
図9(A)及び図9(B)は、本発明の第3実施形態に係るシール装置14の斜視図である。シール装置14は、バネ部80を引き延ばした状態に保持するバネ保持手段が、シール本体部20の本体背面24に形成された係合用突起75である点で、第1実施形態に係るシール装置10と異なる。
【0047】
図9(A)及び図9(B)に示すように、シール装置14は、シール本体部70と、バネ部80とを有する。シール本体部70は、第1実施形態に係るシール本体部20と同様に、細長い板状の形状を有しており、本体シール面72と、本体背面74とを有する。本体背面74には、波形形状を有しており、シール本体部70の本体背面74に断続的に接触するバネ部80が配置されている。
【0048】
バネ部80の一方の端部である接続端部88は、第1実施形態に係るシール装置10と同様に、シール本体部70の一方の端部である第2端部78に接続されている。バネ部80の自由端部86は、シール本体部70の長手方向に、相対移動することができる。
【0049】
バネ部80の自由端部86には、第1係合部86aが形成されている。第1係合部86aは、矩形の貫通穴であるが、係合用突起75と係合可能な形状であれば特に限定されない。また、本体背面74の第1端部76には、係合用突起75が形成されている。係合用突起75は、シール本体部70の一部を持ち上げて形成されており、爪状の形状を有しているが、係合用突起75の形成方法及び形状も特に限定されない。係合用突起75の位置は、第1係合部86aが係合用突起75に係合することにより、バネ部80が引き延ばされた状態に保持されるように設計される。
【0050】
シール装置14は、図9(A)に示すように、第1係合部86aを係合用突起75に係合させた状態で、対向溝52(図4参照)に挿入される。そして、対向溝52に対して所定の位置まで挿入した後、第1係合部86aと係合用突起75の係合を解除することによって、バネ部80は、シール本体部70を対向溝52の壁面に押し付ける力を発揮できる状態になる。
【0051】
シール装置14は、対向溝52が変形した場合にも、バネ部80の復元力によって本体シール面72とシール壁面54a,54b(図4参照)の接触が保たれるため、好適なシール性能を奏する。また、シール装置14は、バネ部80の自由端部86に形成された第1係合部86aを、係合用突起75に係合させた状態で対向溝52に挿入することにより、挿入時におけるシール装置14の厚みを低減し、対向溝52にスムーズに挿入することができる。さらに、シール装置14は、組立及び分解の際に、対向溝52の壁面やシール装置14自体が摩耗及び損傷することを防止できる。またさらに、シール装置14は、シール装置14の着脱時以外にはシール装置14から取り外される部材を必要としないので、全体の構成がシンプルである。
【符号の説明】
【0052】
10,12,14…シール装置
20,70…シール本体部
22,72…本体シール面
23a,23b…シール面突起
24,74…本体背面
75…係合用突起
26,76…第1端部
26a…第1貫通穴
28,78…第2端部
28a…第2貫通穴
30,60,80…バネ部
62…山部
62a,62b…山部突起
63a,63b…先端
64…谷部
36,66,86…自由端部
36a,66a,86a…第1係合部
38,68,88…接続端部
38a,68a…第2係合部
40…バネ保持具
46…第1突起部
48…第2突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体シール面と当該本体シール面の反対面である本体背面とを有し、細長い板状のシール本体部と、
前記本体背面に断続的に接触する波形形状を有し、前記シール本体部の一方の端部に接続される接続端部と、当該接続端部の反対側の端部であって前記シール本体部に対して相対移動可能な自由端部と、を有するバネ部と、を有し、
前記バネ部の前記自由端部には、バネ保持手段に係合して前記バネ部を当該バネ部の自由長より長く引き延ばす第1係合部が形成されていることを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記バネ部の前記接続端部には第2係合部が形成されており、
前記バネ保持手段は、前記シール本体部の長手方向に延在する接続部と、当該接続部の両端部に形成されており、前記接続部から前記シール本体部の厚み方向に突出する第1突起部及び第2突起部を有し、
前記第1突起部は前記第1係合部に対して、前記第2突起部は前記第2係合部に対してそれぞれ着脱自在に係合することを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記シール本体部の前記一方の端部には、前記第2突起部を挿通する第2貫通穴が形成されており、前記シール本体部の他方の端部には、前記第1突起部を挿通する第1貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記バネ保持手段は、前記本体背面に形成された突起であることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【請求項5】
前記バネ部は、前記本体背面に接触する谷部と、前記本体背面との隙間が最大となる山部とを、前記接続端部から前記自由端部に向かって交互に有しており、
前記山部には、前記シール本体部の短手方向の両端部に、前記本体背面とは反対側に突出する山部突起が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のシール装置。
【請求項6】
前記山部突起が形成されている前記山部は、当該山部を構成する部材における前記短手方向の両先端が、前記本体背面とは反対側に向かってカールした形状を有していることを特徴とする請求項5に記載のシール装置。
【請求項7】
前記山部突起は、前記山部を構成する部材における前記短手方向の両先端を折り曲げて作製されることを特徴とする請求項6に記載のシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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