説明

シール貼付治具

【課題】複雑な形状のシール貼付位置であっても、指定位置に容易にシールを貼付することができるシール貼付治具を提供する。
【解決手段】貼付位置を指定されたシール30の貼付対象範囲22に収まりかつその貼付対象範囲22と略同形状を有する先端面16を備え、先端面16がシール30との当接面となるシール貼付治具。先端面16と貼付対象範囲22との相対する周辺部同士の接触時に中央部同士がシール30の厚さ程度の隙間を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール貼付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シール貼付の際に使用する工具としては、ピンセットの利用が一般的に用いられている。その中で、金属製の細長く薄い二股の板状物のシール貼り付け治具であって、へら状の二つの先端部を有し、先端部の一方が、へら状の面に対して垂直の垂直部を備える構成の治具を提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−36897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す治具は、ピンセットの延長線上にあり、二股の金属製治具は、その先端部の垂直部によってシールの位置合わせを実施している。ここで、模型玩具などにおいては、シール貼付位置の周辺には凹凸形状の部位が配置されていることは珍しくない。従って、上記のように位置合わせの為の先端部の構成は、これらの凹凸形状の部位と干渉する可能性が大きいという問題があった。特に、シール貼付位置が窪み部分に対応し奥まっている場合には、ピンセットや二股の構成自体がシール貼付位置の周辺に干渉することから、シール貼付位置を露出させるように、貼付対象を不要な位置で分割する場合もあるという問題もあった。
【0005】
そこで、プラモデル等の模型玩具の作成においては、シール貼付位置の周辺に凹凸が形成されないパーツを作成し、そのパーツにシールを貼付した後、他の装飾パーツ等を取り付けて立体的に仕上げていく必要があり、工程が複雑になり、大変手間のかかるものであった。また、シールを貼付しやすい形状にするため、シール貼付位置の周辺に凹凸を形成しないよう、不要な箇所であってもパーツを分割する必要があり、外観的にも見栄えが悪くなることがあった。
【0006】
本発明は、複雑な形状のシール貼付位置であっても、指定位置に容易にシールを貼付することができるシール貼付治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシール貼付治具は、シールの貼付対象範囲の周辺に凹凸が形成された部材にシールを貼付するシール貼付治具であって、貼付位置を指定されたシールの貼付対象範囲に収まりかつその貼付対象範囲と略同形状を有する先端面を備え、前記先端面が前記シールとの当接面となる。
【0008】
また、本発明のシール貼付治具において、シール貼付治具は、先端面と貼付対象範囲上との相対する周辺部同士の接触時に中央部同士がシールの厚さ程度の隙間を形成することが好ましい。また、シール貼付治具は、先端面に続く先端部が、指定された貼付対象範囲を囲む部分に干渉しない形状であることが好ましい。また、貼付対象が模型用部材の一部であり、シール貼付治具は、模型用部材の役割のない部分に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複雑な形状のシール貼付位置に容易にシールを貼付することができるシール貼付治具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係わるシール貼付治具の斜視図である。
【図2】シール貼付治具が使用指定される貼付対象の斜視図である。
【図3】貼付対象の指定された貼付対象範囲に貼付されるシールの正面図である。
【図4】シール貼付治具の上面図である。
【図5】図4のA−A’線の断面図である。
【図6】シール貼付治具の正面図である。
【図7】貼付対象の貼付対象範囲にシール貼付治具を適用する状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係わるシール貼付治具の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係わるシール貼付治具の斜視図、図2は図1のシール貼付治具が使用指定される貼付対象の斜視図、図3は図2の貼付対象の指定された貼付対象範囲に貼付されるシールの正面図である。
【0012】
本実施形態のシール貼付治具10は、保持部12と、先端部14とから構成され、先端部14には先端面16が備えられる。この先端部14及び先端面16は、図2に示した貼付対象の指定位置22に図3で示したシール30を貼り付ける際に使用する専用治具として構成されている。
【0013】
貼付対象は、人形ロボット玩具の頭部20であり、シール30に対する貼付対象範囲22は、眼部23a、23b及び鼻根部24で占められる範囲である。本実施の形態では、貼付対象範囲22の周囲には、貼付対象範囲22の表面より突出した眉山部26及び頬部28が設けられ、貼付対象範囲22は眉山部26及び頬部28からは奥まって形成されている。シール30は、人形ロボット玩具の頭部20の眼部23a、23bに対応する両端部32a、32bと、鼻根部24に対応する中央部34から構成される。そして、貼付対象範囲22の奥まった範囲全域に渡って貼り付けられるよう指定されている。
【0014】
先端面16とその先端面16に続く先端部14は、貼付対象範囲22とその回りの形状に対応して専用で構成される。先端面16は、シール30貼付の際には、シール30に当接して、貼付位置へシール30を押しつける。
【0015】
図1、図4、図5、図6で示すように、先端面16は、貼付対象範囲22の眼部23a、23b及び鼻根部24に対応して湾曲した先端面16a、16bを形成され、更に貼付対象範囲22の面積範囲内で、その形状と略同形状を適用されている。先端面16の湾曲構成は、先端面16a、16bと相対する眼部23a、23bのそれぞれの縁部分が当接する場合に、鼻根部24と先端面16cとの間にシール30の厚さ程度の隙間ができるように形成されている。
【0016】
先端部14は、奥まった貼付対象範囲22の深さと少なくとも同等の長さで保持部12から突出する突出部分である。この突出部分である先端部14は、先端面16の幅と同等程度の厚みに抑えられている。従って、シール30を貼り付ける際に、眉山部26及び頬部28にシール貼付治具10が干渉することはない構成である。
【0017】
このように、先端部14は、指定された貼付対象範囲22を囲む部分に干渉しない形状であればよく、貼付対象範囲22を囲む部分の形状(眉山部26及び頬部28など)に対応して、適宜に構成される。予め指定された貼付対象であるので、その形状も解っており、その形状に沿って構成することで、干渉を完全に避けることが可能である。本実施の形態において、シール貼付治具の先端面は、貼付対象範囲に指定されたシールに対して、その貼付対象範囲に収まるこのシール専用の形状を備えることにより、先端面が貼付対象範囲を囲む部分と干渉することなく、シールを貼付対象範囲に確実に押しつけることができる。
【0018】
本実施形態のシール貼付治具10は、ランナーから部品を分離する時に用いる模型用部材分離治具での役割のない部分(後端部分)を使用している。つまり、逆に述べれば、保持部12を中心に、先端面16と先端部14の反対側には模型用部材分離用の爪部18が備えられている。これらはそれぞれの側が必要に応じ使用される。この爪部18は模型用部材分離後には、不要となるため、本実施形態により新たな役割を与えられる治具となる。本発明では、本実施形態の模型用部材分離治具以外にも、役割のない部分がある部材には適用可能であり、本件のような模型の場合、ランナー、製品プレート、電池蓋、パーツの一部などに適用可能である。
【0019】
図7に示すように、貼付対象範囲22へのシール30の貼り付けにおいて、奥まった位置にある貼付対象範囲22に対して、シール貼付治具10の先端部14によりシール30を押し込む状態となる。シール貼付治具10には上下の目印19が配置され、上下方向を指定している。先端面16と貼付対象範囲22との距離を均等に保ったまま、シール30の位置合わせの微調節を行いつつ、シール30を押し込み、貼付対象範囲22にシール30を貼り付ける。
【0020】
位置合わせの微調整についての他の手順として、まず、シール30の端部32aを眼部23aと先端面16aとで挟持することも可能である。この時、端部32aの位置合わせは略完了することとなる。次に、端部32b側を先端面16bにより眼部23bへ徐々に近づける。この近づける間に、端部32bの微調整を続け、眼部23b側へ押し込むことも可能である。
【0021】
いずれにしても、先端面16の湾曲構成は、先端面16a、16bと相対する眼部23a、23bのそれぞれの縁部分が当接する場合に、鼻根部24と先端面16cとの間にシール30の厚さ程度の隙間ができるように形成されている。従って、シール30の両端部32a、32bから位置決めでき、中央部34は両端部32a、32bの位置が決まってから貼り付くこととなり、シール30を貼付対象範囲22へ正確かつ容易に貼り付けることができる。
【0022】
本実施形態によれば、予め指定された貼付対象範囲22に対する専用のシール貼付治具10とすることで、作業にもっとも適した形態を与えて、作業の簡素化と、正確な貼り付けを実施することができ、大きさも最小限に止めることができる。また、奥まった位置の貼付対象範囲にも対応でき、部品を不要な位置で分割するような必要も無い。
【0023】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明の含まれるものである。例えば、本実施形態は、人形ロボット玩具の頭部20、特に、眼部23a、23b及び鼻根部24で占められる範囲が貼付対象範囲であるが、このような箇所に限定されることはない。専用のシール貼付治具が求められる部分であれば、適用可能であり、特に、シール貼付対象範囲の周囲に凹凸が形成された奥まった部分や、ピンセットなどでは困難が伴う部分に有効である。
【符号の説明】
【0024】
10 シール貼付治具
12 保持部
14 先端部
16a、16b 先端面
19 目印
20 人形ロボット玩具の頭部
22 貼付対象範囲
23a、23b 眼部
24 鼻根部
30 シール
32a、32b 両端部
34 中央部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールの貼付対象範囲の周辺に凹凸が形成された部材にシールを貼付するシール貼付治具であって、
貼付位置を指定されたシールの前記貼付対象範囲に収まりかつその貼付対象範囲と略同形状を有する先端面を備え、前記先端面が前記シールとの当接面となるシール貼付治具。
【請求項2】
請求項1において、
前記先端面と前記貼付対象範囲上との相対する周辺部同士の接触時に中央部同士が前記シールの厚さ程度の隙間を形成するシール貼付治具。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記先端面に続く先端部が、指定された前記貼付対象範囲を囲む部分に干渉しない形状であるシール貼付治具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
貼付対象は模型用部材の一部であり、前記シール貼付治具は、前記模型用部材の役割のない部分に形成されるシール貼付治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−131529(P2012−131529A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284934(P2010−284934)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】