説明

シール部材およびシール部材を備える電子機器

【課題】外観上の見栄えを向上し、本体ケースの接合部分から本体ケース内に薬剤や水分のような液体が侵入するのを防ぐことができるシール部材およびシール部材を備える電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器の本体ケース2の接合部分の液密性能を確保するのに配置されるシール部材500であって、断面コ字型を有し、本体ケース2の接合部分の内部に配置される第1部分501と、第1部分501とは間隔をおいて接合部分の内側に配置される第2部分502と、第1部分501と第2部分502を接続する接続部分503と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば患者へ薬剤等を送液するためのシリンジポンプや輸液ポンプのような電子機器に装着されるシール部材およびシール部材を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一例であるシリンジポンプは、例えば集中治療室(ICU)等で使用されて、患者に対して抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の送液処置を、高い精度で比較的長時間行うことに用いられている。シリンジポンプの薬剤の流量制御は、他の輸液ポンプに比較して精密で優れている。
すなわち、薬剤を充填したシリンジ本体は、シリンジポンプに対してクランプを用いてシリンジポンプの本体ケースに対して動かないようにセットされ、シリンジポンプは、シリンジ押子を押圧してシリンジ本体内の薬剤を正確に患者側に送液するようになっている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−88564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シリンジポンプ等の医用ポンプは、薬剤を送液する際に薬剤や水分に晒される使用環境下、例えば治療室や手術室等で使用される。シリンジポンプの本体ケース内には、回路基板や液晶表示装置のような表示部等が収容されている。もし、薬剤や水分が本体ケースの接合部分の隙間を通じて本体ケース内に侵入してしまうと、これらの回路基板や表示部等が薬剤や水分により影響を受けてしまい、シリンジポンプの機能を発揮することができなくなってしまう。このため、この薬剤や水分が上述したシリンジポンプの本体ケース内に侵入するのを防ぐ必要がある。
このように本体ケース内に薬剤や水分が侵入しないようにするために、シリンジポンプの本体ケースの接続部分にはシール部材が配置されている。しかし、従来使用されているシール部材は厚みが大きく、このシール部材が本体ケースの外側に露出していることから、シール部材が見えてしまい、外観上の見栄えが悪い。
そこで、本発明は、外観上の見栄えを向上し、本体ケースの接合部分から本体ケース内に薬剤や水分のような液体が侵入するのを防ぐことができるシール部材およびシール部材を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシール部材は、電子機器の本体ケースの接合部分の液密性能を確保するのに配置されるシール部材であって、断面コ字型を有し、前記本体ケースの前記接合部分の内部に配置される第1部分と、前記第1部分とは間隔をおいて前記接合部分の内側に配置される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を接続する接続部分と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、シール部材の第1部分が本体ケースの前記接合部分の内部に配置されるので、シール部材は本体ケースの外側からは全く見えず、外観上の見栄えを向上することができ、しかもシール部材は、本体ケースの接合部分から本体ケース内に薬剤や水分のような液体が侵入するのを防ぐことができる。
【0006】
好ましくは、前記シール部材の前記接続部分には、前記本体ケースの前記接合部分に形成されたはめ込み穴部に対してはめ込まれる突起部分が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、シール部材の接続部分の突起部分が、本体ケースの接合部分のはめ込み穴部にはめ込まれることにより、突起部分とはめ込み穴部のところで機械的に潰して液密性能を確保できるので、本体ケースの接合部分の厚みが薄くても、接合部分にクラックが入ったり、隙間が生じることを防いで、薬剤や水分のような液体の液密性能を確保できる。
【0007】
好ましくは、前記本体ケースは、フロントカバーと前記フロントカバーに前記接合部分で接合されるリアカバーとにより構成され、前記シール部材は、前記フロントカバーと前記リアカバーの前記接合部分に沿って配置されるエンドレス状の部材であることを特徴とする。
上記構成によれば、フロントカバーとリアカバーの接合部分の全周囲にわたって、シール部材により本体ケース内に薬剤や水分のような液体が侵入するのを防ぐことができる。
【0008】
好ましくは、前記電子機器は医用ポンプであり、前記医用ポンプは、前記本体ケースに設けられ、薬剤バッグ内の薬剤を患者側に輸液する輸液チューブを横方向に装着するチューブ装着部と、前記本体ケースに設けられ、前記輸液チューブを前記横方向に装着した状態で、前記輸液チューブに蠕動運動をさせてしごくことで前記薬剤を送液するための送液駆動部と、閉じることで前記チューブ装着部と前記送液駆動部を覆う開閉カバーと、
を有する輸液ポンプであることを特徴とする。
上記構成によれば、薬液や水分の使用環境下で使用される輸液ポンプであっても、シール部材の第1部分が本体ケースの前記接合部分の内部に配置されるので、シール部材は本体ケースの外側からは見えず、外観上の見栄えを向上することができ、しかもシール部材は、本体ケースの接合部分から本体ケース内に薬剤や水分のような液体が侵入するのを防ぐことができる。
【0009】
好ましくは、前記電子機器は医用ポンプであり、前記医用ポンプは、前記本体ケースに設けられ、シリンジ内の薬剤を患者側に輸液する輸液チューブを横方向に装着するシリンジの収容部と、前記本体ケースに設けられ、前記輸液チューブを前記横方向に装着した状態で、前記シリンジの押子を押して前記シリンジ内の前記薬剤を送液するシリンジ押子駆動部と、を有するシリンジポンプであることを特徴とする。
上記構成によれば、薬液や水分の使用環境下で使用されるシリンジポンプであっても、シール部材の第1部分が本体ケースの前記接合部分の内部に配置されるので、シール部材は本体ケースの外側からは見えず、外観上の見栄えを向上することができ、しかもシール部材は、本体ケースの接合部分から本体ケース内に薬剤や水分のような液体が侵入するのを防ぐことができる。
【0010】
本発明の電子機器は、本体ケースの接合部分の液密性能を確保するのに配置されるシール部材を備える電子機器であって、前記シール部材は、断面コ字型を有し、前記本体ケースの前記接合部分の内部に配置される第1部分と、前記第1部分とは間隔をおいて前記接合部分の内側に配置される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を接続する接続部分と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、シール部材の第1部分が本体ケースの前記接合部分の内部に配置されるので、シール部材は本体ケースの外側からは全く見えず、外観上の見栄えを向上することができ、しかもシール部材は、本体ケースの接合部分から本体ケース内に薬剤や水分のような液体のような液体が侵入するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、シール部材の第1部分が本体ケースの前記接合部分の内部に配置されるので、シール部材は本体ケースの外側からは全く見えず、外観上の見栄えを向上することができ、しかもシール部材は、本体ケースの接合部分から本体ケース内に薬剤や水分のような液体が侵入するのを防ぐことができるシール部材およびシール部材を備える電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電子機器の一実施形態であるシリンジポンプを示す斜視図。
【図2】図1に示すシリンジポンプをW方向から見た斜視図。
【図3】シリンジポンプにおける電気な構成例を示す図。
【図4】シリンジポンプのフロントカバーとリアカバーと、防沫および防滴(防水)処理構造としてのシール部材の構造例を示す分解斜視図。
【図5】フロントカバーの接合部分である密閉対象部分とリアカバーの接合部分である密閉対象部分を、シール部材により液密状態に接合している状態の例を示す断面図。
【図6】本発明の電子機器の別の実施形態である輸液ポンプを示す斜視図。
【図7】図6に示す輸液ポンプをW方向から見た正面図。
【図8】輸液ポンプのフロントカバーとリアカバーと、防沫および防滴(防水)処理構造としてのシール部材の構造例を示す分解斜視図。
【図9】フロントカバーの接合部分である密閉対象部分とリアカバーの接合部分である密閉対象部分を、シール部材により液密状態に接合している状態の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明のシール部材の好ましい実施形態を備える電子機器の例として、シリンジポンプを示す斜視図である。図2は、図1に示すシリンジポンプをW方向から見た斜視図である。
図1と図2に示すシリンジポンプ1は、医用機器の一例であり、例えば集中治療室等で使用され、患者に対して、抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の注入処置を、高い精度で比較的長時間行うことに用いられる注入ポンプである。
【0014】
図1と図2に示すように、シリンジポンプ1は、例えば薬剤を充填したシリンジ200のシリンジ本体201を、クランプ5を用いて動かないようにセットすることができる。図2に示すモータ133が、シリンジ押子駆動部7の駆動軸を回転することで、シリンジ押子駆動部7のスライダ10は、シリンジ200のシリンジ押子202をT方向に押圧して、シリンジ本体201内の薬剤を、図2に示すようにチューブ203と留置針204を介して、患者Pに対して正確に送液するようになっている。
シリンジポンプ1は、本体あるいは筐体ともいう本体ケース2を有し、この本体ケース2は耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されており、第1ケース部分であるフロントカバー2Fと、第2ケース部分であるリアカバー2Rを接合して組み立てることにより、液密性能を有する箱体として構成されている。フロントカバー2Fは前筐体ともいい、リアカバー2Rは後筐体ともいう。これにより、後で説明するように、仮に薬剤や水分等がかかってもシリンジポンプ1の内部に侵入するのを防ぐことができる防沫および防滴(防水)処理構造を有している。
【0015】
まず、シリンジポンプ1の本体ケース2に配置された各要素について説明する。
図2に示すように、シリンジポンプ1は、本体ケース2と取手2Tを有している。本体ケース2の上部分2Aには、表示部3と、操作パネル部4が配置されている。本体ケース2の下部分2Bには、シリンジ設定部6と、モータ133とシリンジ押子駆動部7が配置されている。これにより、医療従事者は、本体ケース2の上部分2Aの表示部3にカラー表示される情報内容を目視で確認しながら、シリンジ200からの薬剤の送液作業を行うことができる。そして、医療従事者は、本体ケース2の表示部3にカラー表示される情報内容を確認しながら、操作パネル部4の操作ボタンを操作することができる。
【0016】
図1と図2に示す表示部3は、カラーグラフィック表示することができるカラー液晶表示や有機ELで構成される。この表示部3は、本体ケース2の上部分2Aの左上位置であって、シリンジ設定部6とシリンジ押子駆動部7の上側に配置されている。操作パネル部4は、本体ケース2の上部分2Aにおいて表示部3の右側に配置され、操作パネル部4には、操作ボタンとしては、図示例では、パイロットランプ4A、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E等が配置されている。
【0017】
図2に示す本体ケース2の上部分2Aは、本体ケース2の上半分の部分である。本体ケース2の下部分2Bは、本体ケース2の下半分の部分である。
図1と図2に示すように、シリンジ設定部6とシリンジ押子駆動部7は、X方向に沿って並べて配置されている。シリンジ設定部6は、複数種類の収容量の異なるシリンジの中から必要とする収容量のシリンジ200を選択して装着することができる。
【0018】
図1と図2に示すシリンジ設定部6は、シリンジ本体201を収容する収容部8と、クランプ5と、シリンジ200の本体フランジ209をはめ込んで把持するための本体フランジ把持部496を有している。収容部8は、凹型のシリンジ本体保持部8Dを有している。収容部8の左側の端部の壁部分には、チューブ203を着脱可能に挟み込むためのチューブ固定部9が形成されている。このチューブ固定部9は、図2に示すようにチューブ203の一部を挟み込んで固定する溝部分である。
【0019】
図1と図2において、医療従事者が、クランプ5を操作してシリンジ200をシリンジ設定部6から取り外す際には、例えばクランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向(手前方向)に引っ張って、しかもR1方向に90度回すことで、クランプ5はシリンジ本体201の外周面から離れる。これにより、シリンジ本体201は、クランプ5による固定を解除して、収容部8のシリンジ本体保持部8Dから取り出すとともに、チューブ203はチューブ固定部9内から取り外すことができる。
また、このクランプ5を操作してシリンジ200をシリンジ設定部6の収容部8に収容して取り付ける際には、クランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向に引っ張ってR2方向に90度回して、スプリングの力によりY2方向に戻すことで、シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容するとともに、チューブ203をチューブ固定部9内にはめ込んだ状態で、クランプ5により固定することができる。
【0020】
図1と図2に示すように、シリンジ本体201が収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容して装着されると、シリンジ押子202がシリンジ押子駆動部7内に配置される。このシリンジ押子駆動部7は、スライダ10を有している。制御部からの指令によりモータ133が駆動すると、このスライダ10は、シリンジ押子202の押子フランジ205を、シリンジ本体201に対して相対的にT方向に沿って少しずつ押す。これにより、シリンジ本体201内の薬剤は、チューブ203と留置針204を通じて、患者Pに対して高い精度で比較的長時間かけて送液することができる。なお、図1と図2におけるX方向、Y方向、Z方向は互いに直交しており、Z方向は上下方向である。
【0021】
次に、図3を参照して、図1と図2に示すシリンジポンプ1における電気な構成例を説明する。
図3において、シリンジポンプ1は、全体的な動作の制御を行う制御部(コンピュータ)100を有している。この制御部100は、例えばワンチップのマイクロコンピュータであり、ROM(読み出し専用メモリ)101,RAM(ランダムアクセスメモリ)102、不揮発性メモリ103、そしてクロック104を有する。クロック104は、所定の操作により現在時刻の修正ができ、現在時刻の取得や、所定の送液作業の経過時間の計測、送液の速度制御の基準時間の計測等ができる。
【0022】
図3に示す制御部100は、電源スイッチボタン4Sと、スイッチ111が接続されている。スイッチ111は、電源コンバータ部112と例えばリチウムイオン電池のようなバッテリ113を切り換えることで、電源コンバータ部112とバッテリ113のいずれかから制御部100に電源供給する。電源コンバータ部112は、コンセント114を介して商用交流電源115に接続されている。図3において、収容部8内には、一対の検出スイッチ120,121が配置されている。検出スイッチ120,121は、シリンジ200のシリンジ本体201が、収容部8内に正しく配置されているかどうかを検知して、制御部100に通知する。
【0023】
図3に示すクランプセンサとしてのポテンションメータ122は、クランプ5に連結されている。このポテンションメータ122は、シリンジ本体201をクランプ5によりクランプした状態で、クランプ5が図1のY2方向に関して移動する際のクランプ5の移動量を検出することで、どの収容量のシリンジ本体201がクランプ5によりクランプされているかどうかを、制御部100に検出信号を送って通知する。制御部100は、このポテンションメータ122からの検出信号によりクランプ5のY方向に関する移動量を得て、例えば図3に示す複数種類のシリンジ本体201の内のどの大きさのシリンジが装着されているかを判別することができる。
図3に示すシリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令によりモータドライバ134により駆動されると、送りネジ135を回転させてスライダ10をT方向に移動させる。これにより、スライダ10は、シリンジ押子202をT方向に押圧して、図2に示すシリンジ本体201内の薬剤を、チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液する。
【0024】
図3において、表示部ドライバ130は、制御部100の指令により表示部3を駆動して、各種情報や報知内容等を表示するようになっている。スピーカ131は、制御部100の指令により各種の報知内容を音声により告知することができる。
制御部100は、通信ポート140を通じて、例えばデスクトップコンピュータのようなコンピュータ141に対して双方向に通信可能である。このコンピュータ141は、薬剤データベース(DB)150に接続されており、薬剤データベース150に格納されている薬剤情報MFは、コンピュータ141を介して、制御部100に取得して、制御部100の不揮発性メモリ103に記憶させることができる。制御部100は、記憶した薬剤情報MFを基にして、表示部3には薬剤情報MF等を表示することができる。
図3において、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4Eは、制御部100に電気的に接続されている。
この他に、制御部100には、図2に示す本体フランジ209が挿入されたことを検出するための検出器としてのフォトカプラセンサ250が、電気的に接続されている。このフォトカプラセンサ250は、発光素子251と、この発光素子251からの光を受光する受光素子252を有している。
【0025】
次に、図4を参照して、本体ケース2のフロントカバー2Fはとリアカバー2Rの構造と、防沫および防滴(防水)処理構造について説明する。
図4は、フロントカバー2Fはとリアカバー2Rと、防沫および防滴(防水)処理構造としてのシール部材500の構造例を示す分解斜視図である。
図4に示す本体ケース2は、フロントカバー2Fとリアカバー2Rを接合して組み立てることで構成されており、フロントカバー2Fの奥行寸法G1は、リアカバー2Rの奥行寸法G2に比べて大きい。図4に示すフロントカバー2Fは、回路要素と表示部の収容空間部450と、シリンジ押子駆動部7の収容空間部451を有している。収容空間部450の容量は、収容空間部451の容量よりも大きい。
【0026】
図4に示すフロントカバー2Fの収容空間部450は、図3に例示するように、表示部3、制御部100、モータ133、電源スイッチボタン4S、スイッチ111、電源コンバータ部112、バッテリ113、一対の検出スイッチ120,121、表示部ドライバ130、スピーカ131、通信ポート140、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E等を収容している。
これに対して、図4に示すフロントカバー2Fの収容空間部451は、シリンジ押子駆動部7のスライダ10と駆動軸135と蛇腹状のカバー136を収容している。
【0027】
一方、図4に示すリアカバー2Rは、図3に示すバッテリ113を着脱可能に収容するバッテリ収容部119を有しており、このバッテリ収容部119は、カバー118により開閉可能になっている。この他に、リアカバー2Rは、シリンジポンプ1を例えば取り付け用のポール(図示せず)に対して着脱可能に固定するためのアタッチメント(図示せず)を固定する固定部(図示せず)を有している。
図4に示すリアカバー2Rは、フロントカバー2Fの収容空間部450の全部と、収容空間部451の一部分452を覆うことができる大きさを有している。したがって、収容空間部451の残部分453は、リアカバー2Rにより覆われていない。
【0028】
図4に示すシール部材500は、エンドレス状のパッキンであり、押し潰すことで弾性変形可能な材料、例えばシリコーンゴムや合成ゴム等を成形することで作られている。このシール部材500は、フロントカバー2Fとリアカバー2Rを接合する際に重なり合う縁部分において挟み込むことで、フロントカバー2Fの収容空間部450の全部と、収容空間部451の一部分452と、リアカバー2Rの収容空間部454内を、液密状態にシールする機能を有する。
シール部材500は、部分501,502,503,504,505,506を有している。部分501,503、505は平行であり、部分504,506は平行である。部分502は、部分501に対して斜めになっている。部分501,502,503,504,505,506は、それぞれフロントカバー2Fの密閉対象部分551,552,553,554,555,556に対応して装着される。部分501,502,503,504,505,506は、それぞれリアカバー2Rの密閉対象部分571,572,573,574,575,576に対応して装着される。
【0029】
図5は、フロントカバー2Fの接合部分である密閉対象部分551,552,553,554,555,556とリアカバー2Rの接合部分である密閉対象部分571,572,573,574,575,576を、シール部材500により液密状態に接合している例を示す断面図である。図5では、右側が本体ケース2の収容空間部450,451を示し、左側が本体ケース2の外側を示している。
フロントカバー2Fの密閉対象部分551,552,553,554,555,556は、凸部580と、この凸部580に連続して形成された凹型の収容部581を有している。この凹型の収容部581は、断面L字型である。これに対して、リアカバー2Rの密閉対象部分571,572,573,574,575,576は、凹部590と、凸部591を有している。この凸部591には、はめ込み穴部592が形成されている。
図5に示すように、シール部材500は、好ましくはU字型もしくは日本のカタカナ文字のコ字型の断面形状を有している。シール部材500は、第1部分501と、第2部分502と、接続部分503を有している。接続部分503の外面部505には、1つの突起部分504が形成されている。
【0030】
フロントカバー2Fとリアカバー2Rが、シール部材500を介して液密状態に接合されると、フロントカバー2Fの凸部580とリアカバー2Rの凹部590は、突き当てることで密着して接合される。フロントカバー2Fの収容部581とリアカバー2Rの凸部591の間には、シール部材500の第1部分501と、接続部分503のほとんどの部分に対応する領域が、収容されている。第2部分502は、内側のカバーリブ2Nに収容される。カバーリブ2Nは、例えばフロントカバー2Rの内側に形成されている。突起部分504は、シール部材500の長手方向500L(図5の紙面垂直方向)に沿って全周に亙って連続して形成されている。この突起部分504は、リアカバー2Rのはめ込み穴部592にはめ込まれる部分である。リアカバー2Rのはめ込み穴部592も長手方向500L(図5の紙面垂直方向)に沿って形成されている。
【0031】
このように、フロントカバー2Fの凸部580とリアカバー2Rの凹部590が突き当てることで密接して接合される構造であるので、シール部材500は矢印RN方向からは全く見えないようになっている。すなわち、シール材2は、フロントカバー2Fとリアカバー2Rの外側からは全く見えないように配慮されており、フロントカバー2Fとリアカバー2Rとの接合部分の外観上の見栄えを向上している。このように、シール部材500の第1部分501が本体ケース2の接合部分の内部に配置されるので、シール部材500は本体ケース2の外側からは全く見えず、外観上の見栄えを向上することができる。しかもシール部材500は、本体ケース2の接合部分から本体ケース2内に薬剤や水分が確実に侵入するのを防ぐことができる。
なお、図5に示すこの突起部分504の高さ504Hと幅504Wの大きさの比率は、好ましくは1:1である。突起部分504の高さ504Hと幅504Wの大きさの比率を1:1とすることにより、突起部分504がリアカバー2Rのはめ込み穴部592内で押圧されても、突起部分504が倒れにくくなっている。
【0032】
突起部分504がシール部材500の長手方向500Lに沿って形成され、しかもリアカバー2Rにはめ込み穴部592が長手方向500Lに沿って形成されているのは、図5に示すように、フロントカバー2Fとリアカバー2Rの全幅MWが、例えば3mm程度であり、フロントカバー2Fとリアカバー2Rがシール部材500を機械的に潰すのに寄与する幅SWが、例えば2mm程度と薄いためである。このようにフロントカバー2Fとリアカバー2Rの全幅MWが比較的薄く設定されているのは、シリンジポンプ1の軽量化を図るためである。
このため、もし、突起部分504が形成されておらず、シール部材500の接続部分503の外側面(底面)全体を、リアカバー2Rの凸部591に対して押し付けて潰して液密性能を得ようとすると、次の問題が生じる。すなわち、シール部材500の接続部分503の外側面(底面)全体からの反発力が、薄いフロントカバー2Fとリアカバー2Rに対して機械的な負荷を与えてしまい、フロントカバー2Fとリアカバー2Rとの接合部分に機械的な変形を起こす可能性がある。しかも、フロントカバー2Fとリアカバー2Rの接合部分には、クラックが入る懸念や、ねじ止めしていないフロントカバー2Fとリアカバー2Rの接合部分には、隙間が生じるおそれもある。これらの場合には、フロントカバー2Fとリアカバー2Rの接合部分における薬剤や水分に対する液密性能を確保することができなくなってしまう。
【0033】
このため、本発明の実施形態では、突起部分504をシール部材500の長手方向500Lに沿って形成して、リアカバー2R側のはめ込み穴部592にはめ込むことで、突起部分504とはめ込み穴部592のところで機械的に潰して液密性能を確保でき、突起部分504が倒れないようにして、確実にシール性能、すなわち液密性能を確保することができる。これにより、シール部材500の接続部分503の外側面(底面)全体から薄いフロントカバー2Fとリアカバー2Rに対して機械的な負荷を与えてしまうことが無く、フロントカバー2Fとリアカバー2Rとの接合部分に機械的な変形を起こさない。しかも、フロントカバー2Fとリアカバー2Rの接合部分には、クラックの入る懸念が無く、ねじ止めしていないフロントカバー2Fとリアカバー2Rの接合部分に、隙間が生じる恐れも無くなる
【0034】
なお、突起部分504の高さ504Hが大きすぎると、突起部分504がはめ込み穴部592に嵌った状態では突起部分504が倒れてしまい、シール性能を発揮できないおそれがある。また、突起部分504の高さ504Hが小さすぎると、シール材500の製造時の公差のばらつきにより、シール材500の潰し量が大きくなってしまい凸部591対する接続部分503の面圧が過剰になる部分ができる。従って、突起部分504の高さ504Hは、例えば0.6mmが好ましい。
図5に示すフロントカバー2Fとリアカバー2Rの接合部分では、シール部材500が介在されているので、RN方向に薬剤や水分のような液体が侵入しようとしても、フロントカバー2Fの凸部590とリアカバー2Rの凹部580が突き当てることで接合され、そして突起部分504をシール部材500の長手方向500Lに沿って形成して、リアカバー2R側のはめ込み穴部592にはまり込んでいるので、薬剤や水分のような液体がフロントカバー2Fとリアカバー2Rの内部に侵入することを確実に防止することができる。これにより、フロントカバー2Fとリアカバー2Rの内部に配置された上述した各要素、すなわち図3に例示する表示部3、制御部100、モータ133等が、薬剤や水分等の侵入を受けるのを確実に阻止することができる。このため、シリンジポンプ1が動作停止したり、動作不良になる現象を無くすことができるので、薬剤の送液動作が停止してしまうといった不都合を無くすことができる。
【0035】
次に、図6と図7を参照して、本発明の別の実施形態を説明する。
図6は、本発明の電子機器の一例である輸液ポンプの好ましい実施形態を示す斜視図である。図7は、図6に示す輸液ポンプをW方向から見た斜視図である。
図6と図7に示す輸液ポンプ1は、例えば集中治療室(ICU、CCU,NICU)等で使用され、患者に対して、例えば抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の注入処置を、高い精度で比較的長時間行うことに用いられる注入ポンプである。
【0036】
図7に示すように、輸液ポンプ1001は、薬剤1171を充填した薬剤バッグ1170から、クレンメ1179と輸液チューブ1200と留置針1172を介して、患者Pに対して正確に送液することができる。図1と図2に示す輸液ポンプ1001は、本体ケース1002と取手1002Tを有しており、取手1002TはN方向に伸ばしたりT方向に収納したりすることができる。この本体ケース1002は、本体ともいい、耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されており、仮に薬剤等がかかっても輸液ポンプ1001の内部に侵入するのを防ぐことができる。このように、本体ケース1002が防沫と防滴構造を有しているのは、上方に配置されている薬剤バッグ1170内の薬剤1171がこぼれ落ちたり、周辺で用いる消毒液等が飛散して付着することがあるためである。
【0037】
輸液ポンプ1001の本体ケース1002に配置された要素について説明する。
図6と図7に示すように、本体ケース1002の上部分1002Aには、表示部1003と、操作パネル部1004が配置されている。図7では、表示部1003には、一例として薬剤投与の予定量(mL)の表示欄3B、薬剤投与の積算量(mL)の表示欄3C、充電履歴の表示欄3D、流量(mL)の表示欄3E等が表示されている。
操作パネル部1004は、本体ケース1002の上部分1002Aにおいて表示部1003の右側に配置され、操作パネル部1004には、操作ボタンとしては、図示例では、例えばパイロットランプ4A、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E等が配置されている。電源スイッチボタンは操作パネル部4とは別の位置に配置されている。
【0038】
図6に示すように、本体ケース1002の下部分1002Bには、蓋部材としての開閉カバー1005が回転軸1005Aを中心として、R方向に開閉可能に設けられている。開閉カバー1005の内面側であって、下部分1002Bのチューブ装着部1050には、例えば軟質塩化ビニル等の可撓性の熱可塑性樹脂製の輸液チューブ1200をセットして、この開閉カバー1005を閉じることで、輸液チューブ1200はX方向に沿って水平にチューブ装着部1050に装着できるようになっている。
図7に示すように、開閉カバー1005の表面には、好ましくは必要に応じて、輸液チューブ1200をセットする際に、正しい送液方向であるT方向を明確に表示するための輸液チューブ設定方向表示部1150が設けられている。輸液チューブ設定方向表示部1150は、薬剤バッグ側を表示する薬剤バッグ表示部1151と、患者側を表示する患者側表示部1152と、薬剤の送液方向を明示する送液方向表示部1153を有する。
【0039】
図7に示すように、薬剤バッグ表示部1151は、輸液チューブ1200の薬剤バッグ1170側が開閉カバー1005において向かって右側部分にくることを目視で確認するために配置され、患者側表示部1152は、輸液チューブ1200の患者P側が開閉カバー1005において向かって左側部分に位置されることを目視で確認するために配置されている。
そして、送液方向表示部1153は、開閉カバー1005の内側にセットされた輸液チューブ1200による薬剤1171の正しい方向の送液方向(T方向)を明示するために配置されており、薬剤バッグ表示部1151から患者側表示部1152に向かっているT方向に沿った矢印である。なお、図6と図7におけるX方向、Y方向、Z方向は互いに直交しており、Z方向は上下方向である。X方向はT方向と平行であり輸液ポンプ1の左右方向で、Y方向は輸液ポンプ1の前後方向である。
【0040】
チューブ装着部1050は、表示部1003と操作パネル部1004の下部においてX方向に沿って設けられている。チューブ装着部1050は、図7に示すように開閉カバー1005を、回転軸1005Aを中心としてCR方向に閉じると開閉カバー1005により覆うことができる。このように、医療従事者は、本体ケース1002の上部分1002Aの表示部1003の情報を確認しながら、チューブ装着部1050への輸液チューブ1200の装着を行って、開閉カバー1005を閉じることができる。そして、医療従事者は、本体ケース1002の上部分1002Aの表示部1003の情報を確認しながら、操作パネル部1004の操作ボタンを操作することができる。
図7に示すように、本体ケース1002は、破線で示すチューブ装着部1050と、気泡センサ1051と、上流閉塞センサ1052と、下流閉塞センサ1053と、右側位置の第1輸液チューブガイド部1054と左側位置の第2輸液チューブガイド部1055と、開閉カバー1005を有している。チューブ装着部1050には、チューブクランプ部270が配置されている。
輸液ポンプ1001は、本体あるいは筐体ともいう本体ケース1002を有し、この本体ケース1002は耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されており、フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rを組み立てることにより構成されている。
【0041】
次に、図8を参照して、フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rの構造と、防沫および防滴(防水)処理構造について説明する。
図8は、フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rと、防沫および防滴(防水)処理構造としてのシール部材1500の構造例を示す分解斜視図である。
図1に示す本体ケース1002は、第1ケース部分であるフロントカバー1002Fと、第2ケース部分であるリアカバー1002Rを組み立てることにより構成されている。フロントカバー1002Fの奥行寸法G1は、リアカバー2Rの奥行寸法G2に比べて大きい。図8に示すフロントカバー1002Fは、回路要素と表示部の収容空間部1450を有している。
図8に示すフロントカバー1002Fの収容空間部1450は、図7に例示する表示部1003、制御部(図示せず)、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E等を収容している。
【0042】
一方、図8に示すリアカバー2Rは、図3に示すバッテリ1113を着脱可能に収容するバッテリ収容部1119を有しており、このバッテリ収容部1119は、カバー1118により開閉可能になっている。この他に、リアカバー1002Rは、輸液ポンプ1001を例えばポール(図示せず)に対して着脱可能に固定するためのアタッチメント(図示せず)を固定する固定部(図示せず)を有している。リアカバー1002Rは、フロントカバー1002Fの収容空間部1450の全部を覆うことができる大きさを有している。
【0043】
図8に示すシール部材1500は、エンドレス状のパッキンであり、押し潰すことで弾性変形可能な材料、例えばシリコーンゴムや合成ゴム等を成形することで作られている。このシール部材1500は、フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rの重なり合う縁部分において挟み込むことで、フロントカバー1002Fのフロントカバー1002Fの収容空間部1450と、リアカバー2Rの収容空間部1454を液密状態にシールする機能を有する。
シール部材1500は、部分1501,1502,1503,1504,1505,1506を有している。部分1501,1503、1505は平行であり、部分1504,1506は平行である。部分1502は、部分1501に対して傾斜している。部分1501,1502,1503,1504,1505,1506は、それぞれフロントカバー2Fの密閉対象部分1551,1552,1553,1554,1555,1556に対応して装着される。部分1501,1502,1503,1504,1505,1506は、それぞれリアカバー1002Rの密閉対象部分1571,1572,1573,1574,1575,1576に対応して装着される。
【0044】
図9は、フロントカバー1002Fも接合部分である密閉対象部分1551,1552,1553,1554,1555,1556とリアカバー1002Rの接合部分である密閉対象部分1571,1572,1573,1574,1575,1576を、シール部材1500により液密状態に接合している状態の例を示す断面図である。図9では、右側が本体ケース1002の収容空間部1450,1451を示し、左側が本体ケース2の外側を示している。
密閉対象部分1551,1552,1553,1554,1555,1556は、凸部1580と、この凸部1580に連続して形成された収容部1581を有している。この収容部1581は、断面L字型である。これに対して、密閉対象部分1571,1572,1573,1574,1575,1576は、凹部1590と、凸部1591を有している。この凸部1591には、はめ込み穴部1592が形成されている。
【0045】
シール部材1500は、好ましくは断面がU字型もしくはカタカナのコ字型を有している。シール部材1500は、第1部分1501と、第2部分1502と、接続部分1503を有している。接続部分1503の外面部1505には、突起部分1504が形成されている。
フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rが、シール部材1500を介して接合されると、フロントカバー1002Fの凸部1590とリアカバー1002Rの凹部1580は、突き当てることで接合される。フロントカバー1002Fの収容部1581とリアカバー2Rの凸部1591は、シール部材1500の第1部分1501と、接続部分1503のほとんどの部分が、収容されている。第2部分1502は、カバーリブ1002Nに収容される。突起部分1504は、シール部材1500の長手方向1500Lに沿って形成されている。この突起部分1504は、リアカバー1002Rのはめ込み穴部1592にはめ込む部分である。
【0046】
このように、フロントカバー1002Fの凸部1580とリアカバー1002Rの凹部1590が突き当てることで接合される構造であるので、シール部材1500は矢印RN方向からは見えないようにしているので、フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rとの接合部分の外観上の見栄えを向上している。
なお、図9に示すこの突起部分1504の高さ1504Hと幅1504Wの大きさの比率は、好ましくは1:1である。突起部分1504の高さ1504Hと幅1504Wの大きさの比率を1:1とすることにより、突起部分1504がリアカバー1002Rのはめ込み穴部1592内で押圧されても、突起部分1504が倒れにくくなっている。
【0047】
突起部分1504がシール部材1500の長手方向1500Lに沿って形成され、しかもリアカバー1002Rにはめ込み穴部1592が長手方向1500Lに沿って形成されているのは、図9に示すように、フロントカバー2Fとリアカバー2Rの全幅MWが、例えば3mm程度であり、フロントカバー2Fとリアカバー2Rがシール部材500を機械的に潰すのに寄与する幅SWが、例えば2mm程度と薄いためである。このようにフロントカバー1002Fとリアカバー1002Rの全幅MWが比較的薄く設定されているのは、輸液ポンプ1001の軽量化を図るためである。
このため、もし、突起部分1504が形成されておらず、シール部材1500の接続部分1503の外側面(底面)全体を、リアカバー1002Rの凸部1591に対して押し付けて潰して液密性能を得ようとすると、次の問題が生じる。すなわち、シール部材1500の接続部分1503の外側面(底面)全体からの反発力が、薄いフロントカバー1002Fとリアカバー1002Rに対して機械的な負荷を与えてしまい、フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rとの接合部分に機械的な変形を起こす可能性がある。しかも、フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rの接合部分には、クラックが入る懸念や、ねじ止めしていないフロントカバー1002Fとリアカバー1002Rの接合部分には、隙間が生じるおそれもある。これらの場合には、フロントカバー1002Fとリアカバー1992Rの接合部分における薬剤や水分に対する液密性能を確保することができなくなってしまう。
【0048】
なお、突起部分1504の高さ1500Hが大きすぎると、突起部分1504がはめ込み穴部1592に嵌った状態で倒れてシール性能を発揮できないおそれがある。また、突起部分1504の高さ1504Hが小さすぎると、シール材1500の交差ばらつきで潰し量が大きくなってしまう場合に、凸部1591に対する接続部分1503の面圧が過剰になる部分ができる。従って、突起部分504の高さ1504Hは例えば0.6mmが好ましい。
図9に示すフロントカバー1002Fとリアカバー1002Rの接合部分では、シール部材1500が介在されているので、RN方向に薬剤や水分が侵入しようとしても、フロントカバー1002Fの凸部1590とリアカバー1002Rの凹部1580が突き当てることで接合され、突起部分1504をシール部材10500の長手方向1500Lに沿って全周に亙って連続して形成して、リアカバー1002R側のはめ込み穴部592にはまり込んでいるので、薬剤や水分がフロントカバー1002Fとリアカバー1002Rの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0049】
これにより、フロントカバー1002Fとリアカバー1002Rの内部に配置された上述した各要素、すなわち表示部1003、制御部、表示部ドライバ、スピーカ、通信ポート、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4Eや、バッテリ等が、薬剤や水分等の侵入から確実に守ることができる。このため、輸液ポンプ1001が動作停止したり、動作不良になる現象を無くすことができるので、薬剤の送液動作が停止してしまうといった不都合を無くすことができる。
上述した本発明の電子機器では、シール部材の第1部分が本体ケースの前記接合部分の内部に配置されるので、シール部材は本体ケースの外側からは全く見えず、外観上の見栄えを向上することができ、しかもシール部材は、本体ケースの接合部分から本体ケース内に薬剤や水分が侵入するのを防ぐことができる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
上述した本発明の実施形態としては、電子機器の例として薬液や水分の使用環境下で用いられる医用ポンプであるシリンジポンプや輸液ポンプを挙げたが、これに限らず、本発明の電子機器としては、ほかの分野の電子機器、例えば測量器、デジタルカメラ、携帯端末等が対象となる。
【符号の説明】
【0051】
1・・・シリンジポンプ(電子機器の一例)、2,1002・・・本体ケース、2F・、1002F・・フロントカバー、2R、1002R・・・リアカバー、500,1500・・・シール部材、501,1501・・・シール部材の第1部分、502,1502・・・シール部材の第2部分、503,1503・・・シール部材の接続部分、504,1504・・・突起部分、551,552,553,554,555,556・・・フロントカバーの密閉対象部分(接合部分)、571,572,573,574,575,576・・・リアカバーの密閉対象部分(接合部分)、592,1592・・・はめ込み穴部、1001・・・輸液ポンプ(電子機器の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の本体ケースの接合部分の液密性能を確保するのに配置されるシール部材であって、
断面コ字型を有し、前記本体ケースの前記接合部分の内部に配置される第1部分と、前記第1部分とは間隔をおいて前記接合部分の内側に配置される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を接続する接続部分とを備えることを特徴とするシール部材。
【請求項2】
前記シール部材の前記接続部分には、前記本体ケースの前記接合部分に形成されたはめ込み穴部に対してはめ込まれる突起部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシール部材。
【請求項3】
前記本体ケースは、フロントカバーと前記フロントカバーに前記接合部分で接合されるリアカバーとにより構成され、前記シール部材は、前記フロントカバーと前記リアカバーの前記接合部分に沿って配置されるエンドレス状の部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシール部材。
【請求項4】
前記電子機器は医用ポンプであり、前記医用ポンプは、前記本体ケースに設けられ、薬剤バッグ内の薬剤を患者側に輸液する輸液チューブを横方向に装着するチューブ装着部と、前記本体ケースに設けられ、前記輸液チューブを前記横方向に装着した状態で、前記輸液チューブに蠕動運動をさせてしごくことで前記薬剤を送液するための送液駆動部と、閉じることで前記チューブ装着部と前記送液駆動部を覆う開閉カバーと、を有する輸液ポンプであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシール部材。
【請求項5】
前記電子機器は医用ポンプであり、前記医用ポンプは、前記本体ケースに設けられ、シリンジ内の薬剤を患者側に輸液する輸液チューブを横方向に装着するシリンジの収容部と、前記本体ケースに設けられ、前記輸液チューブを前記横方向に装着した状態で、前記シリンジの押子を押して前記シリンジ内の前記薬剤を送液するシリンジ押子駆動部と、を有するシリンジポンプであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシール部材。
【請求項6】
本体ケースの接合部分の液密性能を確保するのに配置されるシール部材を備える電子機器であって、
前記シール部材は、
断面コ字型を有し、前記本体ケースの前記接合部分の内部に配置される第1部分と、前記第1部分とは間隔をおいて前記接合部分の内側に配置される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を接続する接続部分と
を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−70879(P2013−70879A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213217(P2011−213217)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】