説明

シール

【課題】小物を収容するのに適したシールを提供する。
【解決手段】粘着剤が設けられた貼付面を貼付対象面30に接着することで貼り付けられるシール10であって、当該シール10が貼付対象面30に貼り付けられた状態で、貼付面と貼付対象面30との間に小物を収容する空間を生じさせるための凹部11が貼付面に形成されており、粘着剤は、少なくとも凹部11を囲む全周において貼付面が貼付対象面30に貼り付けられるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤が設けられた貼付面を貼付対象面に接着することで貼り付けられるシールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のシールは、各種情報を表示するラベルとして機能するものや、蓋が開かないように封をするためのものなど、種々の用途で用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−20709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シールの用途として、小物を収容することについては十分検討されていなかった。
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、小物を収容するのに適したシールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する請求項1に記載のシールは、粘着剤が設けられた貼付面を貼付対象面に接着することで前記貼付対象面に貼り付けられるシールであって、前記貼付面には、当該シールが前記貼付対象面に貼り付けられた状態で、前記貼付面と前記貼付対象面との間に小物を収容する空間を生じさせるための凹部が形成されており、前記粘着剤は、前記貼付面が少なくとも前記凹部を囲む外周部において前記貼付対象面に貼り付けられるように、前記貼付面に設けられていることを特徴とする。
【0006】
このようなシールによれば、貼付面と貼付対象面との間に小物を収容しやすくすることができる。すなわち、貼付面に凹部が形成されていない従来のシールでは、貼付面と貼付対象面との間に小物を収容しようとすると、シールにしわが寄ることで貼付面の一部が貼付対象面からはがれてしまったり、シールが破れたりするという問題がある。これに対し、本発明のシールによれば、貼付面に凹部が形成されているため、貼付対象面に貼り付けられた状態で、貼付面と貼付対象面との間に小物を収容する空間が生じる。このため、貼付面と貼付対象面との間に小物を収容した状態でも、シールにしわが寄ったりシールが破れたりしにくく、小物を収容するのに適している。
【0007】
なお、従来のシールとしては、文字や図形に立体感を出すためにエンボス加工を施したものも知られているが、このような加工は小物を収容することを意図したものではなく、本発明とは根本的に異なるものである。
【0008】
また、請求項2に記載のシールは、請求項1に記載のシールを前提とするものであり、前記貼付面に貼り付けられた台紙をはがした後に、前記貼付対象面に貼り付けられるものであることを特徴とする。このようなシールによれば、貼付対象面に貼り付ける前の状態で供給(販売や配布等)することができる。
【0009】
また、請求項3に記載のシールは、請求項2に記載のシールを前提とするものであり、前記貼付面に前記台紙が貼り付けられた状態で、前記貼付面と前記台紙との間に前記小物を収容していることを特徴とする。このようなシールによれば、貼付対象面に貼り付ける前の状態で、かつ、小物を収容した状態で、供給(販売や配布等)することができる。
【0010】
また、請求項4に記載のシールは、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のシールを前提とするものであり、前記貼付面における前記凹部には、前記粘着剤が設けられていないことを特徴とする。このようなシールによれば、貼付面と貼付対象面との間に小物を収容しても、小物に粘着剤が付着しにくくすることができる。
【0011】
また、請求項5に記載のシールは、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のシールを前提とするものであり、前記凹部が、前記小物の形状に対応する形状に形成されていることを特徴とする。このようなシールによれば、貼付面に占める凹部の領域を最小限に抑えることが可能となり、ひいてはシールを小型化することができる。
【0012】
また、請求項6に記載のシールは、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のシールを前提とするものであり、前記小物が、植物の種であることを特徴とする。このようなシールによれば、植物の種を紛失しにくい状態で配布することができる。
【0013】
また、請求項7に記載のシールは、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のシールを前提とするものであり、前記小物が、電子部品であることを特徴とする。このようなシールによれば、電子部品を紛失しにくい状態で配布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態のシールが台紙に貼り付けられた状態を表す平面図である。
【図2】実施形態のシールが貼付対象面に貼り付けられた状態を表す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、実施形態のシール10が台紙20に貼り付けられた状態を表す平面図である。なお、台紙20とは、シール10が完全に貼り付かないように処置された剥離紙のことである。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のシール10は、帯状の台紙20に複数並べて貼り付けられており、この状態で供給(販売や配布等)することができる。シール10は、平面視で所定形状(この例では正方形)のシート状部材であり、台紙20に接する面(貼付面)に糊の薄い層が設けられており、反対側の面(表面)に文字や図形等が印刷されている。シール10は、台紙20からはがした後(換言すれば、貼付面に貼り付けられた台紙20をはがした後)に、シール10を貼り付ける対象となる対象物における貼付対象面に対して、糊の層が設けられた貼付面を接着することで、貼付対象面に貼り付けられる。なお、ここでいう糊とは、粘着剤の一例であり、本実施形態では、貼付対象面に貼り付けたシール10を容易にはがすことができるように、再剥離可能な糊(粘着力の弱い粘着剤)が用いられている。また、ここでいうシート状部材とは、紙やフィルム等からなるものであり、一層でも多層でもよい。
【0017】
次に、本実施形態のシール10の特徴的な構成について説明する。
図2は、本実施形態のシール10が貼付対象面30に貼り付けられた状態を表す側断面図である。
【0018】
図2に示すように、シール10の貼付面(図2でいう下面)には、シール10が貼付対象面30に貼り付けられた状態で、貼付面と貼付対象面30との間に小物を収容する空間を生じさせるために、平面視で所定形状(この例では図1に示すように正方形)の凹部11が形成されている。凹部11は、プレス加工により成形されたものである。
【0019】
また、本実施形態のシール10では、貼付面における凹部11には糊の層が設けられておらず、この凹部11を囲む外周部12の全域(全周)において糊の層が設けられている。つまり、貼付面における凹部11を除く部分に糊の層が設けられている。このため、凹部11を囲む外周部12の全域(全周)において貼付面が貼付対象面30に貼り付けられることになり、貼付対象面30と貼付面との間に収容された小物が空間の外に出てしまうことが防止される。
【0020】
また、前述したように、本実施形態では再剥離可能な糊を用いており、比較的はがれやすいため、糊の層を設ける領域(外周部12の幅)を広く取っている。この例では、シール10の縦方向及び横方向のそれぞれにおいて、糊の層が設けられた領域の長さ(外周部12の幅の和)と糊の層が設けられていない領域の長さ(凹部11の幅)とが等しくなるように設計されている。
【0021】
本実施形態では、図1の状態において、小物として植物の種が収容されている。このため、シール10の購入者は、はがきなどの厚紙や箱の表面などを貼付対象面30として、植物の種を収容するようにシール10を貼り付けることができる。なお、植物の種は、そのまま収容してもよく、水溶性の紙などによって包装した状態で収容してもよい。また、種は、1つのシール10につき1個収容してもよく、複数個収容してもよい。また、図1の状態においては小物を収容せず、貼付対象面30に貼り付ける際に小物を収容するようにしてもよい。
【0022】
以上説明したように、本実施形態のシール10によれば、貼付面と貼付対象面30との間に小物を収容しやすくすることができる。すなわち、貼付面に凹部11が形成されていない従来のシールでは、貼付面と貼付対象面30との間に小物を収容しようとすると、シールにしわが寄ることで貼付面の一部が貼付対象面からはがれてしまったり、シールが破れたりしやすいという問題がある。これに対し、本実施形態のシール10によれば、貼付面に凹部11が形成されているため、貼付対象面30に貼り付けられた状態で、貼付面と貼付対象面30との間に小物を収容する空間が生じる。このため、小物を収容した状態でも、シール10にしわが寄ったりシール10が破れたりしにくく、小物を収容するのに適している。
【0023】
また、本実施形態のシール10は、貼付面に貼り付けられた台紙20をはがした後に、貼付対象面30に貼り付けられるものであるため、貼付対象面30に貼り付ける前の状態で供給(販売や配布等)することができる。
【0024】
また、本実施形態のシール10は、貼付面における凹部11に、糊の層が設けられていないため、貼付面と貼付対象面30との間に小物を収容しても、小物に糊が付着しにくくすることができる。
【0025】
また、本実施形態のシール10によれば、植物の種を容易に配布することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0026】
例えば、シールの形状は、上記実施形態のように正方形に限ったものではなく、円形、ハート型など、様々な形状とすることが可能である。また、上記実施形態のシール10は、平面視が正方形の凹部11が形成されているが、凹部の形状も様々な形状とすることが可能である。ただし、上記実施形態のように、シールの形状と凹部の形状とが対応していれば(同一形状であれば)、粘着剤を設ける領域(外周部12の幅)がばらつかないようにすることができるという利点がある。
【0027】
また、凹部を小さくするほどシールを小型化することができるという観点では、凹部が、小物の形状に対応する形状(同一形状)に形成されていることが好ましい。例えば平面視半円形の小物を収容する用途であれば、凹部を小物よりも一回り大きい半円形に形成するとよい。このようにすれば、凹部の領域として不要な領域が効果的に削減されるため、凹部の領域を最小限に抑えることが可能となり、ひいてはシールを小型化することができる。
【0028】
また、上記実施形態のシール10は、貼付面における凹部11に、糊の層が設けられていないが、これに限ったものではなく、凹部にも粘着剤を設けてもよい。このようにすれば、小物を収容した状態のシールを台紙からはがして貼付対象面に貼り付ける際に、小物がシールに貼り付いた状態で移動するため、作業性を向上させることができる。
【0029】
また、上記実施形態のシール10は、再剥離可能な糊が用いられているが、再剥離できないような強い粘着力の粘着剤を用いてもよい。このようにすれば、貼付対象面30に貼り付けたシールが容易にはがせなくなることから、シールが不正にはがされることを防止することができるため、セキュリティ面で有利である。加えて、弱い粘着力の粘着剤と比較して、粘着剤が設けられる領域を狭くすることができるため、シールの小型化にも有利である。一方、上記実施形態のように再剥離可能な粘着剤によれば、貼付対象面30からシールをはがす際に、貼付対象面30が破損等しにくくすることができるというメリットがある。
【0030】
また、上記実施形態では、小物として植物の種を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば電子部品(チップやメモリカード等)、工具の部品(ビスやナット等)であってもよい。こうしたものは小さいが故に供給(販売や配布等)の際に紛失しやすいという問題があるが、シールに収容して供給することで紛失しにくくすることができる。
【0031】
また、上記実施形態では、1つのシール10に1つの凹部11を形成しているが、これに限定されるものではなく、1つのシールに複数の凹部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…シール、11…凹部、12…外周部、20…台紙、30…貼付対象面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤が設けられた貼付面を貼付対象面に接着することで前記貼付対象面に貼り付けられるシールであって、
前記貼付面には、当該シールが前記貼付対象面に貼り付けられた状態で、前記貼付面と前記貼付対象面との間に小物を収容する空間を生じさせるための凹部が形成されており、
前記粘着剤は、前記貼付面が少なくとも前記凹部を囲む外周部において前記貼付対象面に貼り付けられるように、前記貼付面に設けられていること
を特徴とするシール。
【請求項2】
請求項1に記載のシールであって、
当該シールは、前記貼付面に貼り付けられた台紙をはがした後に、前記貼付対象面に貼り付けられるものであること
を特徴とするシール。
【請求項3】
請求項2に記載のシールであって、
当該シールは、前記貼付面に前記台紙が貼り付けられた状態で、前記貼付面と前記台紙との間に前記小物を収容していること
を特徴とするシール。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のシールであって、
前記貼付面における前記凹部には、前記粘着剤が設けられていないこと
を特徴とするシール。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のシールであって、
前記凹部は、前記小物の形状に対応する形状に形成されていること
を特徴とするシール。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のシールであって、
前記小物は、植物の種であること
を特徴とするシール。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のシールであって、
前記小物は、電子部品であること
を特徴とするシール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−131565(P2012−131565A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294751(P2010−294751)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(503458353)
【Fターム(参考)】