説明

ジアセタール類を含む新規な接着剤

−Cアルデヒド及びC−C12アルコールから調製されることができる直鎖状または環状のジアセタールを含む、高い機械的抵抗性を持つ接着剤、前記接着剤または樹脂を含むまたは前記接着剤を用いて調製された農業廃棄物、木材組成物、紙または層状カードボード及び前記紙または層状カードボードの助けにより調製された製品、及び繊維が樹脂または上述の接着剤の助けにより接着される鉱物繊維を接着する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジアセタール類を含む新規な接着剤及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
接着するとき良好な機械的強度を提供する、より良好な接着剤が常に求められている。
【0003】
EP−A−1174480はC−Cアルコールアセタールを含むアミノ樹脂またはフェノール樹脂接着剤及びパーティクルボードの製造におけるそれらの使用を記載している。実施例は二つのモノアセタール類、すなわちメチラール及びエチラールを与えている。
【0004】
FR−A−1576716は特に木質材料の製造のために使用されるC−Cアルコールアセタールを含むフェノール樹脂接着剤を記載している。
【0005】
紙及び特にラミネート紙(化粧板、装飾シート)から作られた製品の関連分野において、多くの樹脂が、例えばWO−A−97/00172またはWO−A−01/45940に記載されるようにメラミン−ホルムアルデヒド、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が用いられている。
【0006】
EP−A−1225278はメラミン樹脂を用いて化粧紙を含浸する方法、及びこのようにして製造された紙を記載している。
【0007】
フェノール樹脂はまた、EP−A−406498に記載されるように鉱物繊維に基づく製品のための結合剤の製造におけるそれらの使用に対して周知である。
【発明の開示】
【0008】
本出願人は特定のアセタール類、好ましくはジアセタール類、特に1,1,2,2−テトラメトキシエタン(以後TMEと称する)が樹脂及び接着剤に異常な強度を与える一方、それらの沸点及び引火点のために容易に工業的に取扱えることを今まさに発見した。
【0009】
これは本発明の主題がC−Cジアルデヒド及びC−C12アルコールから調製されることのできる直鎖状または環状のジアセタールを含むことを特徴とする接着剤である理由である。
【0010】
本出願において及び以下において、字句“接着剤”は通常“接着剤”または“樹脂”と呼ばれる化合物を示す。
【0011】
“ジアセタール”は、ジアルデヒドとアルコールから調製されることのできる化合物を意味するが、ジアセタール、モノアセタール及びヘミアセタールタイプの構造を組合せることのできる組成物をも意味する。
【0012】
また“ジアセタール”は、ジアルデヒドと、アセタール化合物に導くがジアセタール、モノアセタール及びヘミアセタールタイプの構造を組合せることのできる組成物にも導くグリセロールまたはペンタエリスロールのようなポリオールとから調製されることのできる化合物を意味する。
【0013】
本発明の実施のための好適条件下では、接着剤はジアセタール、特に1,1,2,2−テトラメトキシエタンを含む。
【0014】
本発明で使用されることのできるジアセタール類はC−CアルデヒドとC−C12アルコールから、好ましくはC−CアルデヒドとC−Cアルコールから、特にC−CアルデヒドとC−Cアルコールから調製されることができる。
【0015】
例として、ジアセタール類は1,1,2,2−テトラメトキシエタン(TME)、1,1,2,2−テトラエトキシエタン(TEE)、1,1,2,2−テトラプロポキシエタン(TPE)、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン(TMP)、1,1,3,3−テトラエトキシプロパン(TEP)、好ましくはTMEであることができる。
【0016】
本発明による接着剤において前述のアセタール類のどのような組合せも用いられることができ、例えば2または3種のアセタール類または4種以上が用いられることができる。
【0017】
本発明により用いられることができるアセタール類が調製されるアルデヒド類は、例えばグリオキサール、マロンアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなジアルデヒド類である。
【0018】
本発明により用いられることができるアセタール類が調製されるアルコール類は、例えばメタノール、エタノールのようなモノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのようなジオール類、またはグリセロールまたはペンタエリスロールのようなポリオール類である。
【0019】
例えばTMEのようなジアセタールはグリオキサールとメタノールから調製されることができることが考えられる。
【0020】
接着剤は例えば尿素−レゾルシノール−ホルムアルデヒド、メラミン−尿素−フェノール−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒドタイプのようなアミノ樹脂接着剤であることができ、好ましくはメラミン−ホルムアルデヒド及び特にメラミン−尿素−ホルムアルデヒドタイプのものであることができる。
【0021】
また、フェノール−尿素−ホルムアルデヒド接着剤のようなフェノール樹脂接着剤であることができ、好ましくはレゾルシノール−フェノール−ホルムアルデヒドまたはフェノール−ホルムアルデヒドであることができる。
【0022】
レゾルシノールに基づいた接着剤はまた、タンニン−レゾルシノール−ホルムアルデヒドまたはリグニン−レゾルシノール−ホルムアルデヒド接着剤のようなものを挙げることができる。
【0023】
次のタイプの接着剤のようなホルムアルデヒドを含まないアミノ樹脂、フェノール樹脂またはレゾルシノール接着剤も挙げることができる:尿素−ジメトキシエタナール、エチレン尿素−ジメトキシエタナール、ジヒドロキシエチレン尿素−ジメトキシエタナール、メラミン−ジメトキシエタナール−ポリオール類(ここでポリオールは例えばジプロピレングリコール、グリセロールトリプロポキシレートまたはポリビニルアルコールである)、メラミン−ジメトキシエタナール−グリセロールまたはメラミン−ジメトキシエタナール−ジプロピレングリコール−グリセロールトリエトキシレートまたはメラミン−ジメトキシエタナールのようなメラミン−尿素−ジメトキシエタナール−ポリオール類または最後にフェノール−ジメトキシエタナール、レゾルシノール−ジメトキシエタナール及びフェノール−レゾルシノール−ジメトキシエタナール。これらのアミノ樹脂及びフェノール樹脂接着剤はCLARIANT(フランス)によりHighlink(登録商標)の範囲で市販されている。
【0024】
本発明の実施のための好適条件下では、ホルムアルデヒドを含むアミノ樹脂接着剤またはフェノール樹脂接着剤が用いられる。
【0025】
本発明の実施のための他の好適条件下では:
− アミノ樹脂接着剤の場合、これらは好ましくは1/0.2から3、特に1/1.3から1.6、さらに特に略1/1.5の割合の窒素化合物/ホルムアルデヒド混合物に基づく。
− フェノール樹脂接着剤の場合、これらは好ましくは1/0.7から2.8、特に1/1.5から1.8、さらに特に略1/1.7の割合のフェノール/ホルムアルデヒド混合物に基づく。
【0026】
アセタール類は例えば接着剤の全成分の1.7から25重量%、好ましくは1.7から20重量%、特に3から18重量%、さらに特に5.5から15重量%であることができる。
【0027】
ジアセタール類、特にTMEを含む本発明による樹脂及び接着剤は実験の部分で以下に示されるすぐれた性質を持つ。
【0028】
それらが含むジアセタール類は例えば本発明による樹脂及び接着剤の粘度及び表面エネルギーを減少し、それが特に基材のより良好な含浸容量をもたらす。従って、実行された接着の改善された抵抗性が観察される。この理由のため、同じ接着抵抗性を得るために使用される接着剤の量をかなり減らすことができる。
【0029】
更に、本発明による樹脂及び接着剤はほとんどホルムアルデヒドを放出しない。
【0030】
更に、あるアセタール類は高い沸点と引火点を持つ。
【0031】
例えばTMEは156℃の沸点と50℃の引火点を持ち、それは沸点が42.3℃で引火点が−18℃であるメチラールのような低級モノアセタール類から特に区別される。従って、それは工業的に使用しかつ輸送するのがかなり容易である。
【0032】
それが毒性でないという事実の他に、それは使用されるとき殆ど蒸発する傾向がない。これに関して、パーティクルボードの製造のための結合剤としての使用の範囲内で、混合木材のシェービング仕上げは30から50℃の温度、多くは略40℃であり、それは製造時の蒸発による揮発性アセタール類の実質的な損失を起こすことは注目されるべきである。
【0033】
更に、ジアセタールの添加は樹脂及び接着剤の、特にフェノール樹脂タイプの、さらに特にフェノール−ホルムアルデヒドタイプの安定化を可能とする。
【0034】
これらの性質が木質材料:木材繊維板、パーティクルボード、配向ストランドボード(すなわちOSB)、中及び高密度繊維板(すなわちMDF)、及び他のタイプの同様なボード及び合板のような農業廃棄物と木材の製造における本発明による樹脂及び接着剤の使用を正当化する。
【0035】
これは本出願の主題がまた上述の樹脂または接着剤を含みまたは上述の樹脂または接着剤を用いて調製された、繊維板、パーティクルボード、“配向ストランドボード”(OSB)、“中及び高密度繊維板”(MDF)、及び他のタイプの同様なボード及び合板のような農業廃棄物と木材組成物である理由である。
【0036】
本発明の主題はまた、結合される基材を上述の接着剤と混合しかつ完成製品を硬化する段階を含むことを特徴とする、繊維板、パーティクルボード、“配向ストランドボード”(OSB)、“中及び高密度繊維板”(MDF)、及び他のタイプの同様なボード及び合板のような農業廃棄物と木材組成物の製造のための方法である。
【0037】
これらの性質はまた、紙またはラミネートボード、特に装飾シートまたは化粧板を含む含浸可能な基材の製造における本発明による接着剤及び樹脂の使用を正当化する。
【0038】
標準的な態様において、熱硬化性樹脂を用いるラミネートの製造は種々の樹脂、例えばフェノールまたはメラミン系による紙支持体の含浸、次いで乾燥及び切断により実行される。乾燥及び切断後、被覆された(予備含浸された)紙は積み重ねられ貯蔵される。ラミネート化段階はこれらのシートの積み重ね及び熱プレスにより樹脂の反応を完了させ、このようにして最終製品を得る。また含浸後に乾燥とラミネート化を組合せる方法もある。
【0039】
これは本発明の主題がまた上述の樹脂または接着剤を含みまたは上述の樹脂または接着剤を用いて調製された、紙またはラミネートボード、並びに加圧下の自己接着プレスによるかまたは接着剤を用いて接着することによるかかる紙またはラミネートボードで覆われた例えば繊維板、パーティクルボード、中及び高密度繊維板(すなわちMDF)、及び他のタイプの同様なボード及び合板のような木材系材料である理由である。
【0040】
本発明の主題はまた、台所、浴室または実験室のカウンタートップ、またはフローリングとしてのかかる紙またはラミネートボードを用いて調製された製品である。
【0041】
上述の樹脂及び接着剤はまた、噴霧に対して好適であり、水での良好な希釈性を持ち、従って熱または音を絶縁する材料のためを意図したガラス繊維のような鉱物繊維に基づく製品のための、または例えば屋根用製品またはプラスチック材料の強化のためを意図したガラス繊維の層のための接着剤または結合剤のための組成物の調製においての適用性を有する。
【0042】
一般にシラン、鉱油または窒素化合物のような他の補助剤を含むこの結合剤は伝統的な方法により、例えば噴霧により繊維に塗布されることができる。次いで、このようにして処理された繊維は通常、樹脂を重縮合するために熱処理を受けさせられ、寸法安定性、引張強度、耐湿性のような希望の性質を与える製品を得る。
【0043】
これは本出願の主題がまた上述の樹脂または接着剤を用いて繊維が噴霧のような標準的な方法により接着される鉱物繊維を接着する方法である理由である。
【0044】
最後に、一般的な方法において、本発明の主題は接着剤または樹脂におけるまたは接着剤または樹脂の調製または使用のための上述のジアセタールの使用である。
【0045】
この目的のために、特に前記接着剤または樹脂は一緒に結合される要素と混合されることができるかまたは接着剤または樹脂の層が一緒に接着される二つの表面間に置かれることができる。しかし本発明は表面被覆を目的としていない。
【0046】
上述の樹脂及び接着剤の使用のための好適条件は上で目的とした本発明の他の主題にも適用され、特に農業廃棄物と木材組成物に及び紙またはラミネートボード並びにそれらの調製方法にも適用される。
【実施例】
【0047】
以下の実施例は本発明を示す。
【0048】
本出願及び以下において、字句“部”は“重量部”を意味し、“%”は“重量%”を意味する。
【0049】
実施例1:アミノ樹脂タイプの接着剤の調製
アミノ樹脂接着剤は本発明に従って以下のように調製された:
71部のホルム尿素(尿素により安定化されたホルムアルデヒドの濃縮物、54%のホルムアルデヒドと23%の尿素を含む)が凝縮器、温度計及びpH計を備えたフラスコ中に導入され、それに8.2部の尿素と19部の水が添加される。pHは33%の水酸化ナトリウムの溶液の数滴を加えることにより10と10.4の間からなる値に調整され、機械的撹拌下に温度は92−93℃に設定される。pHは7.8の値に低下し、反応は略1時間30分にわたってpHが5.2の値に下がるまで同じ温度で続けられる。次いで水酸化ナトリウムの33%の溶液の数滴が次いでメラミンの40部とジメチルホルムアミドの2部が混合物に添加され、93℃の温度を維持する。水溶解度は10分ごとに試験され、pHは自然に下がる。水溶解度が180%−200%(通常35−40分後かつ7.2のpH値で)になるとき、21.4部の尿素が添加され、pHが9.5に調整される。反応は水溶解度が決して150%未満であってはならない値に達するまで続けられる(この点でのpHは7.7の値を持つ)。pHは9.5の値に修正され、混合物は冷却され、貯蔵される。この工程により製造された樹脂は58%から65%の固体含量、20℃で1.260から1.280の密度、70から150MPa.s.の粘度、3%硬化剤(硫酸アンモニウム)により100℃で55から60秒のゲル時間を持つ。
【0050】
本発明による接着剤を得るために、5部のTME及び3部の50%の硫酸アンモニウム溶液が上述のメラミン−尿素−ホルムアルデヒド接着剤の100部に添加される。
【0051】
水溶解度試験は次のように実行された:1gの樹脂が試験管内に置かれ、混合物が白くなるまで蒸留水が添加された。水溶解度WTは式
WT=(水の質量/樹脂の質量)×100
を適用して算出された。
【0052】
実施例2:フェノール樹脂タイプの接着剤の調製
本発明によるフェノール樹脂接着剤(フェノール−ホルムアルデヒド)が以下のように調製された:
94部のフェノール、40部のメタノール/水溶液(20/80)及び55部の96%のパラホルムアルデヒドが凝縮器、温度計、pH計及び機械的撹拌機を備えたフラスコ中に置かれる。40℃で30分間機械的に撹拌した後、温度はゆっくりと還流(94℃)温度に設定される。20部の33%の水酸化ナトリウム溶液が15分間隔で4等部で添加される。混合物は還流下に30から60分間放置され、氷浴中で冷却される。樹脂の色は薄黄色で、その粘度は58から60%の固体含量に応じて180と750MPa.s.の間に位置している。本発明による接着剤を得るために、10部のTMEと5部の99%のトリアセチンの溶液が100部の上記で調製されたフェノール−ホルムアルデヒド樹脂に添加される。
【0053】
機械試験
1)熱力学分析(TMA)
ぶな材の二つの小さなパネルが、分析される接着剤を用いて結合された。
【0054】
操作手順
この方法の原理は分析される接着剤を用いて二つの小さなパネルを組み立てることにより得られたボードのプレスをモデル化するシステムに基づいており、得られた組み立て品の品質は用いられた接着剤混合物の品質に直接関連付けられる。より詳細には、30mgの接着剤混合物がぶな材の二つの小さなパネル間に置かれ、このようにして得られた組み立て品が二端で支持されるように支持体上に配置され、全体がオーブン内に置かれる。オーブンは10℃/分の速度で25から250℃に温度を上昇するプログラムに従わされ、それは二つの小さなパネル間の接着剤の硬化及び一体構造木材の単一の小さなパネルの形成に導く。温度の増加時に、小さなパネルの中間に力が垂直に適用され(F=30g)、この力が曲げ(b)を誘発し、この曲げが弾性率を決定させる。この曲げ(b)は温度の関数として減少し、機械的強度の増加を表す。この実験で用いられた装置はサーモグラムの記録と得られたデータの処理を可能とするプロセッサー及びコンピュータに連結されたMETTLER TMA 40の熱力学分析計である。より詳細には、試験された各試料に対して、温度の関数として撓み(μmでのb)が測定され、弾性率(MPaでのE)が式:
E=[1/(b−3.2)]×47386
により計算された。
【0055】
結果
以下の表Iに実施例1のアミノ樹脂接着剤に対して得られた結果が示されている。

【0056】
以下の表IIに実施例2のフェノール樹脂接着剤に対して得られた結果が与えられている。

【0057】
表IとIIの結果は測定された弾性率、従って得られた機械的強度の増加におけるTMEの効果を明らかに示す。
【0058】
2)パーティクルボードの引張強さの測定
a)ボードの調製
乾燥木材の1000gに以下の表IIIにグラムで示された種々の成分の量が加えられた。

【0059】
ボードは190℃の表面温度で、28kg/cmの最大圧で、3分のプレスサイクルにより、14mmの最終ボード厚でプレスされた(プレス時間12.8秒/mm)。
【0060】
b)結果
この方法で得られたボードについて、ヨーロッパ規格EN319に記載された方法を用いて引張強さ測定が実施された。得られた結果は以下の表IVに与えられる。

【0061】
これらの結果はまず、全ての他のパラメーターが同一であるなら、得られた引張強さが対照(TMEを含まない試料)に比べてTMEを含む試料に対して明らかに改善されていることを示す。従って、TMEの添加は同等の引長強さを維持しながら接着剤の量を減らすことを可能とする。従って、本発明は製造されるボードの費用の減少が得られ、特にボードの製造時及び熟成時の両方でのホルムアルデヒド放出の減少を可能とする。更に、メラミンは尿素−ホルムアルデヒド接着剤にそれらの機械的強度を増やすために導入されるので、TMEの存在は同等の機械的強度のために必要なメラミンの量の減少を可能とし、それはまた接着剤及びそれらにより製造されたボードの価格の減少に貢献する。最後に、アミノ樹脂またはフェノール樹脂接着剤中のTMEの存在はその親水性を増大することも指摘する必要がある。その製造後に、接着剤の重合度は時間を通して増加し;接着剤はそのときより“進んだ(advanced)”と言われ、それが接着剤が使用されるときその反応速度の増加をもたらす。しかし、接着剤がより重合されるとその親水性はより大きくなり、従ってその希釈度は低くなる。接着剤中のTMEの存在がその親水性を増大するという事実は従って二つの結果を持つ。すなわち、一方では同じ重合度に対しては親水性が増大し、他方では同じ親水性に対しては重合度、従って使用時の反応速度も増加することができる。
【0062】
実施例3:ホルムアルデヒドを含まないアミノ樹脂タイプの接着剤の調製
本発明によるホルムアルデヒドを含まないアミノ樹脂接着剤は以下のように調製された:
【0063】
126部のメラミン、520部の60%のジメトキシエタナール(DME)の水溶液及び164部の水が凝縮器、温度計及びpH計を備えた反応器に導入される。
【0064】
pHが20%の硫酸の添加により略5.8の値に調整される。
【0065】
反応は連続撹拌下に3.5時間の間95℃に維持される。
【0066】
次いで、4.8部の尿素が添加され、次いで混合物は2時間に渡ってゆっくりと周囲温度に冷却される。
【0067】
次いで5.1mgのTMEと7.9mgの(NHSOの20%水溶液が上述のホルムアルデヒドを含まないアミノ樹脂接着剤の67mgに添加され、本発明による接着剤を得る。
【0068】
実施例4:ホルムアルデヒドを含まないアミノ樹脂タイプの接着剤の調製
この方法はTMEを1,1,3,3−テトラメトキシプロパン(TMP)(Acrosカタログ)と置き換えた以外、実施例3のように実施される。
【0069】
実施例5:ホルムアルデヒドを含まないアミノ樹脂タイプの接着剤の調製
この方法はTMEを1,1,3,3−テトラエトキシプロパン(TEP)(Acrosカタログ)と置き換えた以外、実施例3のように実施される。
【0070】
機械的試験
動的機械的熱分析(DMTA)
ぶな材の二つの小さなパネルが、実施例3,4及び5からの分析される接着剤の種々の試料並びに以下の対照を用いて組み立てられた:

【0071】
操作手順
40mgの接着剤混合物がぶな材の各小さなパネル(38×8×0.5mm)上に置かれ、次いで二つの小さなパネルを組み立てることによりぶな材の小さなパネルのサンドイッチが形成され、このようにして得られた組み立て品が支持体上に配置され、全体がオーブン内に置かれた。
【0072】
オーブンは4℃/分の速度で40から250℃に温度を増加するプログラムに従わされる。適用される力は0.3Nであり、周期は1Hzであり、撓み(歪)は0である。
【0073】
この実験で用いられた装置は3点曲げを持つRheometric Scientific DMTA MkIIIである。
【0074】
結果
以下の表VIでは示された試料に対して得られた結果が示される。

【0075】
表VIに示された結果は測定された弾性率における、従って得られた機械的強度の増加におけるアセタール類の効果を明らかに示す。
【0076】
実施例6:フェノール樹脂タイプの接着剤の調製
本発明によるフェノール樹脂接着剤(フェノール−ホルムアルデヒド)が以下のように調製された:
【0077】
400gの92%のフェノールと20gの50%のカリが磁気撹拌及び油浴加熱を持つ反応器中に混入される。混合物を50℃に昇温した後、282gの50%ホルムアルデヒドが滴々と添加され、次いで混合物は85℃で略1時間加熱される。85℃で、凝縮段階が開始され、質量希釈度(mass dilutability)(水溶解度)が10gの樹脂に対し40gの水となったとき合成は停止される。最後に混合物は略30分に渡って50℃に冷却され、pHは20%のHClを添加することにより20℃で略7に調整される。
【0078】
a)試験
粘度の進展
Brookfield LV++粘度計を用い、規格NF T76−102に従って粘度におけるTMEの添加の影響が測定された。
【0079】
これを行うために、混合物は以下の操作条件で使用直前に製造された:
− Mobile S00
− 速度 5rpm
− 温度 20℃
【0080】
表面張力の進展
表面張力におけるTMEの添加の影響がWilhelmy天秤を用いてISO規格4311に記載の方法により測定された。
【0081】
混合物は使用直前に製造され、TMEの各%に対し3つの読みの平均を取った。
【0082】
希釈度(水溶解度WT)の進展
これは水/樹脂混合物を撹拌した30秒後でさえ不可逆の濁りを生成するために必要な水の量を決定することにより実施される:
WT=添加された水の質量/樹脂の質量
【0083】
紙浸透度の進展
紙浸透度におけるTMEの添加の影響が規格NF Q03−069に記載の方法により測定された。
【0084】
装置は柔軟なチューブにより連結された二つのレセプタクルからなり、一つは固定され、他は可動であり、それが動かされるとき、第一レセプタクルに固定された試験管内に所定の水圧が確保され:この水圧は液体が紙を通過するように強制させるが、第一液滴が紙を通過する時間は変動し、かつ紙の耐浸透性の関数である。
【0085】
180g/mのクラフト紙が使用され、各試験に対し二つの値が取られる:
− 全ての樹脂/紙接触表面が含浸されたという事実を示す紙上に完全に丸い領域を認めるのに必要な時間、
− 表面上にきちんと形成された液滴を得るのに必要な時間。
【0086】
結果
得られた結果は以下の表VIIに与えられる。

【0087】
これらの結果は次のことを示す:
− TMEの添加は粘度を下げ、これは接着剤の使用を容易とするための有利な因子である、
− TMEの添加はPF樹脂の表面張力を迅速に下げ、これは数%が添加されるや否や非常に迅速に起こり、それは支持体(例えば紙)上の接着剤の広がりに好ましく影響するが、細孔の容積に浸透しかつ均質な態様でそこに分布される能力にも影響する、
− TMEの添加は希釈度を増加し、それはPF樹脂と水との間のより良好な親和性並びにより良好な安定性を示す、
− 紙浸透性に対して得られた結果は粘度と表面張力の減少と一致しており、それらは含浸に好都合な因子である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い機械的強度を持つ接着剤において、C−Cアルデヒド及びC−C12アルコールから調製されることができる、直鎖状または環状のジアセタールを含むことを特徴とする接着剤。
【請求項2】
−Cアルデヒド及びC−Cアルコールから調製されたジアセタールを含むことを特徴とする請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
−Cアルデヒド及びC−Cアルコールから調製されたジアセタールを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項4】
1,1,2,2−テトラメトキシエタン、1,1,2,2−テトラエトキシエタン、1,1,2,2−テトラプロポキシエタン、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン、または1,1,3,3−テトラエトキシプロパンを含むことを特徴とする請求項1から3の一つに記載の接着剤。
【請求項5】
1,1,2,2−テトラメトキシエタンを含むことを特徴とする請求項1から4の一つに記載の接着剤。
【請求項6】
二種または三種のジアセタール類のいずれかの組合せを含むことを特徴とする請求項1から5の一つに記載の接着剤。
【請求項7】
アミノ樹脂接着剤、特にメラミン−尿素−ホルムアルデヒドタイプのアミノ樹脂接着剤であることを特徴とする請求項1から6の一つに記載の接着剤。
【請求項8】
フェノール樹脂接着剤、特にフェノール−ホルムアルデヒドタイプのフェノール樹脂接着剤であることを特徴とする請求項1から6の一つに記載の接着剤。
【請求項9】
ホルムアルデヒドを含むまたは含まない、アミノ樹脂、フェノール樹脂またはレゾルシノール接着剤であることを特徴とする請求項1から6の一つに記載の接着剤。
【請求項10】
1/0.2から3の割合の窒素化合物/ホルムアルデヒド混合物に基づいていることを特徴とする請求項7に記載の接着剤。
【請求項11】
1/0.7から2.8の割合のフェノール/ホルムアルデヒド混合物に基づいていることを特徴とする請求項8に記載の接着剤。
【請求項12】
アルタール(単数または複数)が接着剤の全成分の1.7から25重量%で存在することを特徴とする請求項1から11の一つに記載の接着剤。
【請求項13】
請求項1から12の一つに規定された接着剤を含むかまたはかかる接着剤を用いて調製された、繊維板、パーティクルボード、配向ストランドボード(すなわちOSB)、中及び高密度繊維板(すなわちMDF)、及び他のタイプの同様なボード及び合板のような農業廃棄物または木材組成物。
【請求項14】
請求項1から12の一つに規定された樹脂または接着剤を含むかまたはかかる樹脂または接着剤を用いて調製された、紙またはラミネートボード、またはかかる紙またはラミネートボードを用いて調製された製品。
【請求項15】
繊維が請求項1から12の一つの規定された樹脂または接着剤を用いて接着されることを特徴とする繊維の接着方法。

【公表番号】特表2006−500471(P2006−500471A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501923(P2005−501923)
【出願日】平成15年9月15日(2003.9.15)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002716
【国際公開番号】WO2004/029170
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(599106374)クラリアン・(フランス) (1)
【Fターム(参考)】