説明

ジアミノジアリールメタンの製造

【課題】ジアミノジアリールメタンの製造を提供する。
【解決手段】本発明は、
a)均一系酸触媒の存在下、芳香族アミンおよびメチレン供与剤を反応させる工程、
b)反応生成物から前記均一系酸触媒を除去する工程、および
c)後処理および精製する工程、を有し、
前記反応生成物から前記均一系酸触媒を除去する工程が、固体吸着剤によって吸着させることにより行われるジアミノジアリールメタンの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミノジアリールメタンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジアミノジアリールメタンは、一般的には、相当するアミンとホルムアルデヒドまたはその安定した保存性を有する形態のものとを縮合させることにより製造される。この安定した保存性を有する形態のものとしては、例えば、商業的に一般的である、ホルマリン水溶液、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、または高濃度ホルマリン溶液などがあり、これらはEP1167343、EP1063221、またはDE10027778に記載されている。
【0003】
例えば、アミノベンジルアニリンなど、中間体として生成した化合物を完全に反応させるため、酸触媒の使用が必要である。得られた粗ジアミノジアリールメタンは、二環式および三環式化合物ならびに高級オリゴマー(higher oligomers)の混合物からなる。
【0004】
ジアミノジアリールメタンの一例として、3,3−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタンがあり、これはトルイジン塩とも呼ばれている。この化合物は、特に、透明ポリアミドの製造に用いられるエポキシ樹脂硬化剤などとして作用¥する核水素化された特殊アミンの前駆体として用いることができる。さらに可能な用途としては、対応する特殊イソシアネートを生じるトルイジン塩およびホスゲンの反応がある。半回分式によるこの生成物の製造方法は、DE10116316に記載されている。
【0005】
他に産業的に重要なジアミノジアリールメタンとして、メチレンジアニリン(MDA)とも呼ばれているジアミノジフェニルメタンがある。この化合物は、たいていポリウレタンの製造に用いられる対応するイソシアネートジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の製造における前駆体として主に作用する。MDAは、連続式または半連続式で製造でき、文献において何度も記載されている。この生成物の半回分式の製造方法は、US6,433,219に記載されている。
【0006】
前記化合物において、反応生成物中の二核化合物の含有量は可能な限り高い濃度であるのが望ましい。MDIの場合、二核生成物、特に4,4'−異性体は、産業的に非常に重要である。トルイジン塩においては、実際には、4,4'二環化合物への一つの大きな需要のみがある。
【0007】
場合により核水素化が実施された後、これらの二環化合物は、例えば、EP570799などに記載されるように、気相法におけるホスゲン化によって合成され得る。高級オリゴマーは、分解せずに揮発することができないため、気相法におけるホスゲン化において合成されない。ポリウレタンの製造は、高級オリゴマーよりも低い粘度を有する二環化合物をますます優先的に使用している。さらに、これらの製造において、MDIだけでなく、MDAもまた、蒸留によって精製できる。二核MDIから製造されるポリウレタンの明度は、粗MDIとも呼ばれる高級オリゴマーから製造されるポリウレタンの明度よりも、一般的に低い。ポリオールとの反応によって二核化合物からプレポリマーを製造することができ、このプレポリマーはポリウレタンの製造における広い分野の用途に適している。
【0008】
したがって、二核化合物、とくにこれらの中のパラ異性体には大きな需要がある。これらは、アミン縮合段階において、まさにこれらの化合物の高い選択性とともに製造されるべきである。前記縮合段階における反応生成物中の酸触媒の濃度が高くなると、二核生成物、ここで、特に、4,4'−二環化合物の濃度が向上する方へ反応を移行させることができる。酸使用量を増加させることによるさらなる利点は、反応速度の増加である。一般的に、酸は縮合の後に塩基とともに中和され、得られた塩は除去される。この方法によると、酸および中和剤の高い消費量を招き、不要な塩が生成する。
【0009】
縮合の後に、酸は、水とともに、縮合生成物から抽出により除去することもできる。しかしながら、ここで、空時収量が減少し、循環流が増加する。
【0010】
WO01/58847では、固体無機酸触媒の存在下、アニリンおよび処理された形態のホルムアルデヒドを1.7から100のモル分率で反応させて、乾燥縮合物を得る、高二核含有量を有するMDAの製造方法が記載されている。これは、特に酸の消費量が増加し、さらに反応性生物から難儀して取り除かれなければならないなど、鉱酸を使用する製造手段における不具合を解消するためのものと言われている。
【0011】
しかしながら、上記した手段もまた、不具合を有している。不具合の例には、特に、オリゴマーの塗膜形成による失活に起因した前記触媒の不十分な耐用期間、N−メチルアミンなどアニリン中に存在するまたは反応中に形成された二級アミンを用いた触媒の酸基滴定、ならびに、触媒の相当する耐用期間によって埋め合わせられなければならない前記触媒の高コストおよび触媒の交換、再生による操作停止時間などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、酸として均一系触媒を用い、酸の複雑な除去を必要とせず、これに伴う高い酸消費量および廃液中の塩含有量の上昇などの不具合がない、高い二核含有量を有するジアミノジアリールメタンの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
我々は、驚くべきことに、反応後に、前記酸を完全にまたはその一部を塩基性イオン交換体に吸着させることによって、前記目的を達成できることを見出した。
【0014】
このようにして、本発明は、
a)均一系酸触媒の存在下、芳香族アミンおよびメチレン供与体を反応させる工程、
b)反応生成物から前記均一系酸触媒を除去する工程、および、任意に、
c)前記反応生成物を、後処理および精製する工程、を有し、
前記反応生成物から前記均一系酸触媒を除去する工程が、固体吸着剤に吸着させることによって行われるジアミノジアリールメタンの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の方法によれば、ジアミノジアリールメタンの製造において、必要とされる酸量を大幅に減じることが可能となる。結果として、製造コストを減少させることができ、かつ、廃棄物として形成される塩量を減じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の方法は、上述の通り、
a)均一系酸触媒の存在下、芳香族アミンおよびメチレン供与体を反応させる工程、
b)反応生成物から前記均一系酸触媒を除去する工程、および、任意に、
c)前記反応生成物を、後処理および精製する工程、を有し、
前記反応生成物から前記均一系酸触媒を除去する工程が、固体吸着剤に吸着させることによって行われるジアミノジアリールメタンの製造方法に関する。
【0017】
適切であれば、前記均一系触媒の吸着の後、酸の最終的な残量を取り除くために、アミンまたはアルキル金属水酸化物などの通常の塩基性中和剤を用いて、前記反応生成物をさらに再中和させてもよい。しかしながら、塩基性中和剤を用いて均一系酸触媒の全量を中和した場合に比較して、この段階で得られた塩の量は、実質的に少ない。例えば、ポリイソシアネートの製造など、特定の分野でのジアミノジアリールメタンの使用では、残余の酸成分が前記生成物中に含まれていてもよい。
【0018】
前記吸着剤は、好ましくは、ジフェニルメタンジアミンの高級オリゴマーに基いて、または、活性塩基性核を有する有機担体材料に基いて製造された塩基性イオン交換体である。
【0019】
これらのイオン交換体の塩基強度は、+/−1.0pKB単位、特に+/−0.5pKB単位、水溶液中の芳香族アミンの塩基強度に対して異なるのが好ましい。前記アミンおよびイオン交換体の塩基強度は、酸塩基滴定法を用いることによって測定できる。
【0020】
より好ましい形態において、吸着剤の活性塩基性核の>80%、好ましくは>90%、特に>95%が、芳香族または脂肪族アミン、特にアニリンおよびトルイジン単位からなる。
【0021】
前記吸着剤として用いられる前記イオン交換体は、担体に適用される活性核か、またはこれらの活性核を有するポリマーもしくはコポリマーからなってもよい。好ましい担体は、ポリマー、通例の無機担体、活性炭、または金属である。前記活性成分は、ファンデルワールス結合を介して、好ましくはイオン結合を介して、特に好ましくは共有結合を介して、例えばC−CまたはO−Si−C結合を用いるなどして、これらの担体に結合できる。
【0022】
本発明の方法の一実施形態において、前記吸着剤としては、必須の活性核を有するジフェニルメタンジアミンの高級オリゴマーが用いられる。これらのオリゴマーは、特に均一系酸触媒の存在下、高分子量反応生成物の形成に適した条件の下で、芳香族アミンおよびメチレン供与剤を縮合させることによって製造できる。このタイプの生成物は、適した方法で芳香族アミンおよびメチレン供与剤をそれぞれ架橋させることによって製造でき、比較的低い分子量を有し、特に分子中に2〜5の芳香族核を有する。吸着の条件下ではオリゴマーは固体であることが必須である。さらに特に好ましくは、アニリンまたはトルイジンと、カルボニル化合物、好ましくはケトンおよび/またはアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの高縮合物の使用である。
【0023】
さらに、本発明の方法における一実施形態としては、用いられる前記吸着剤は、活性核を有する担体上に設けられたイオン交換体である。前記活性核は、担体中の成分であっても、または、その後に担体に適用されるものであってもよい。前記担体は、最後に上述した形態において活性核に適していなければならない。
【0024】
好ましいポリマー担体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリケトン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアニリン、ポリピロール、およびポリチオフェンなどである。
【0025】
また、好ましいポリマー担体は、カルボン酸またはカルボン酸の誘導体と反応し得る少なくとも一種の化合物、フリーラジカル機構によって重合され得る少なくとも一種の官能基を有するカルボン酸を、(上述の化合物の)モルあたり少なくとも1モル有する化合物、またはそれらの誘導体、および、選択的に、例えばWO99/57161、29〜30ページに記載されている、主鎖にポリエーテル単位を有する少なくとも5000の平均分子量(数平均)を有するさらなる化合物、の少なくとも一種の縮合物を重合させることによって得られるコポリマーである。
【0026】
前記ポリマー担体のさらなる分類としては、架橋性ポリマーがある。これらは、ポリマーの製造中にすでに架橋性ポリマーが形成されるように1以上のさらなる反応性基を有し、さらに、この基を介してポリマーが組み立てられるモノマー構成単位のフリーラジカル重合、重付加、または重縮合によって得られる。これらの典型的な例としては、例えば、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸などを用いて製造されたポリエステルなどがある。このタイプのポリマーは、WO99/57161、22〜28ページなどに記載されている。
【0027】
好ましい無機担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、または二酸化チタンなどの酸化物、ケイ素、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタニウムなどの元素の混合酸化物、ヒン岩、白雲母、ゼオライト、長石、珪灰石、雲母、炭酸塩、および/またはリン酸塩、滑石などの、二重鎖、一重鎖、シート状、フレームワーク状ケイ酸塩などのケイ酸塩がある。
【0028】
本発明により使用されるイオン交換体は、顆粒または押出成形物の形状で好ましく用いられる。成形体の比表面積および体積は、>0.2mm-1、好ましくは>0.5mm-1、特に好ましくは>1mm-1である。粒子体積は、<300mm3、好ましくは<100mm3、特に好ましくは<50mm3である。微粉、すなわち<0.1mm3の粒子の含有量は、<10質量%、好ましくは<5質量%である。
【0029】
前記イオン交換体の成形体は、好ましくは、固定床に基底状態で導入される。前記イオン交換体は、吸着、選択的な洗浄、および再生の二または三段階のサイクルにおいて機能させることができる。
【0030】
ここでのそれぞれの流速は、通常、時間あたり、30ベッドボリューム未満、好ましくは<10ベッドボリューム、特に<5ベッドボリュームである。
【0031】
前記イオン交換体は、孔を有し、または、反応生成物において20℃の成形体中での純粋アニリンの拡散挙動において見掛けの拡散係数が>10-8cm2/s、好ましくは5×10-7cm2/sなどの膨潤挙動を有する。ここで、前記見掛けの拡散係数は、
【0032】
【数1】

によって定義され、ここで、微小面積素dAおよびアミン濃度c[mol/l]を介した測定可能な流れI[mol/s]は、自由液相(the free liquid phase)に基づく、すなわち、イオン交換体によって取り除かれる体積を考慮しない。Dは、パルス磁場勾配NMRまたは交換実験によって容易に決定できる。
【0033】
上記したように、芳香族アミンおよびメチレン供与剤の反応からの反応生成物は、吸着剤による酸触媒の除去によって後処理が行われる。
【0034】
初めの段階において、酸性陰イオンを含む反応生成物を再生するため、前記吸着剤に通過させる。前記吸着段階は、流出溶液中の酸性陰イオンの濃度が、流入溶液の>50%、好ましくは10%、特に好ましくは>1%となったらすぐに終了させる。混合物中に残存し得る残りの酸含有量は、ジアミノジアリールメタンを使用する所望の分野によって異なる。特に吸着剤が施された固定床などの装置は適宜、設計され得る。このような装置を複数、連続させて設計したり、複数の装置を並列に接続させたり、必要であれば、特定の装置から他の装置へと生成物の流れを切り替えたりすることが可能である。
【0035】
吸着剤は、処理限度に達した場合には、再生される。
【0036】
前記再生の前に、洗浄段階を実施してもよい。この場合、イオン交換体床に残っている生成物は、塩基、特にアミン、好ましくは出発原料として用いられたアミンを含む逆流ですすぎ洗浄され、これにより酸を含む生成物が洗浄される。吸着剤の表面上に定着したジアミノジアリールメタンおよび生成物中の他の構成成分もまた取り除かれ、効率低下も回避できる。
【0037】
前記吸着剤は、特に塩基、特にアミンを用いることにより、好ましくは逆流中で、再生される。好ましくは、前記本発明の方法の供給材料、すなわち、MDAの製造におけるアニリンおよびトルイジン塩の製造におけるトルイジンは、再生に用いられる。酸が投入されたアミンは、適切であれば前記洗浄において生じた生成物流との混合物の形態で、場合によっては酸の添加またはアミンの除去によって、好ましくは蒸留によって、前記再生材料から直接、本発明の方法に、供給材料としてフィードバックすることができ、前記方法において必要とされるアミンに対する酸の比は設定できる。前記方法を行うことによって、ほとんど大部分の酸を再循環させることができ、酸および中和剤を節約し、廃棄物量を低減する。
【0038】
前記再生は、流出溶液中の酸性陰イオンの濃度が、再生開始時の流入溶液中に存在する酸性陰イオンの<20%、好ましくは<10%、特に好ましくは<1%となったらすぐに終了させる。
【0039】
再生溶液、および、必要であれば洗浄溶液は、蒸留、ならびに/または、アミンおよび/もしくは酸による強化によって、ホルムアルデヒド縮合の上流側に適した組成に調整される。
【0040】
上述の通りに、均一系酸触媒の存在下、芳香族アミンおよびメチレン供与剤の反応によって、ジアミノジアリールメタンが製造される。このタイプの方法は、一般的に知られており、例えば、Carl Hanser Verlag Munich Vienna,「ポリウレタン」,Kunststoffhandbuch(プラスチックハンドブック)、1993年、第7版、第3巻、第76〜86頁など、また、例えば、WO99/40059など、非常に多くの特許出願において記載されている。
【0041】
前記メチレン供与剤は、好ましくは、ホルムアルデヒド、または、ホルムアルデヒドを放出する化合物である。特に、前記ホルムアルデヒドは、好ましくは、ホルマリン水溶液、アルコールホルマリン溶液、ヘミアセタール、第一級アミンのメチレンイミン、または第一級もしくは第二級アミンのN,N'−メチレンジアミン、および、パラホルムアルデヒドである。本発明の方法、すなわち、MDAの製造におけるアニリンおよびトルイジン塩の製造におけるトルイジンの反応開始物としては、好ましくは、ホルマリン水溶液、および、メチレンイミン、または、ジ−、オリゴ−もしくは重合体であるN,N'−メチレンジアミンである。
【0042】
用いられる均一系酸触媒としては、特に、鉱酸、および、ここでは好ましくは塩酸が用いられる。
【0043】
本発明の方法は、連続的に、半連続的に、または回分式で、好ましくは連続的にまたは半連続的に行われる。
【0044】
連続的な方法において、反応物質は、反応器で互いに所望の割合で測定され、前記反応器から、流入する流れと等しい反応生成物量が取り除かれる。例えば、反応器としては、管型反応装置が用いられる。連続的または半連続的な方法において、反応物質は、好ましくは撹拌器および/またはポンプによる循環が備え付けられた回分反応器で測定され、これから完全に反応した反応生成物が取り除かれて後処理へ送られる。
【0045】
本発明の方法は、ホルムアルデヒドに対してアニリンが2を超過するモル比で実施されるのが好ましい。アニリンに対する酸のモル比は、0.05を超過するのが好ましい。三つの比で、反応生成物中のそれぞれの二核生成物の形成量が増大する。
【0046】
前記反応は、0〜200℃、好ましくは20〜150℃、特に40〜120℃の温度で実施されるのが好ましい。反応生成物中の2,2'−および2,4'−異性体の割合が温度の上昇とともに向上することがわかった。
【0047】
前記反応における圧力は、0.1〜50bar絶対圧、好ましくは1〜10bar絶対圧である。
【0048】
前記反応が回分式および半連続式で行われた場合、反応開始剤の測定終了後、反応生成物はエージングに供してもよい。反応器中に残存するまたは他へ送られた反応生成物のため、反応器は撹拌されるのが好ましい。経過中における反応生成物の温度は、75℃以上であるのが好ましく、特に110〜150度の範囲である。
【0049】
縮合物の製造は、上記でより詳述した本発明の後処理により続けられる。
【0050】
反応生成物において残存する微量の酸は、アルカリ金属水酸化物水溶液を用いて中和することができる。このタイプの縮合物を製造するために、例えば、相分離、蒸留、および/またはクロマトグラフ分離法など、通常の方法を用いて反応生成物はさらに後処理してもよい。
【0051】
この方法において製造および後処理されたジアミノジアリールメタンは、慣用の方法によってさらに処理されてもよい。
【0052】
MDAは、さらに、例えば、ポリエーテルアルコールを形成するため、アルキレン酸化物と反応させてもよい。
【0053】
主に、MDAは、MDIを形成させるためホスゲンと反応させる。このタイプの方法は、一般的に知られており、例えば、Carl Hanser Verlag Munich Vienna,「ポリウレタン」,Kunststoffhandbuch(プラスチックハンドブック)、1993年、第7版、第3巻、第76〜86頁など、また、例えば、WO99/40059またはWO99/554289など、非常に多くの特許出願において記載されている。
【0054】
このため、通常のMDAおよび必要であればホスゲンは、不活性溶媒中に溶解させて反応させる。
【0055】
前記工程は、例えば、撹拌槽、撹拌されたカスケードタンク、カラムおよび/または管型反応装置などの従来の反応器中で、例えば、一以上の段階において、50〜150℃、好ましくは70〜120℃、特に好ましくは70〜100℃の公知の温度で、0.5〜10bar、好ましくは0.8〜5bar、特に好ましくは0.8から1.5barの圧力で、行われればよい。
【0056】
例えば、ホスゲン化は、少なくとも一種の不活性有機溶媒の存在下、二段階の反応によって行われることができ、この場合、ホスゲン化の初めの段階は静的ミキサー中で行われ、ホスゲンの二段階目は保定装置中で行われる。
【0057】
ホスゲン化によって製造された粗MDIは、例えば、蒸留など、従来の方法によって精製することができる。好ましくは、初めの精製工程において、ホスゲンおよび適切であれば溶媒を、ホスゲン化反応生成物すなわち粗MDIから、好ましくは実質的に、特に好ましくは完全に除去してもよい。
【0058】
望ましくは、2,2'−、2,4'−および/または4,4'−MDIなどの所望の単量体MDI、および/または、これらの異性体を少なくとも二つ含有する混合物は、その後、例えば、2〜50mbar、好ましくは2〜20mbar圧力で、150〜250℃、好ましくは180〜230℃の温度での、好ましくは蒸留によって、および/または、例えば、分別結晶など、好ましくは結晶化によってなど、適切な方法によって分離することができる。
【0059】
MDIの製造方法の特別な形態において、例えば、EP570799などに記載される気相ホスゲン化法によって、二核生成物を粗MDAから分離させて、二核MDIを形成するために反応させることができる。
【0060】
このように製造されたMDIは、特に、少なくとも二つの活性水素原子を有する化合物と反応して、ポリウレタンを形成することができる。
【0061】
本発明の方法によれば、ジアミノジアリールメタンの製造において、必要とされる酸量を大幅に減じることが可能となる。結果として、製造コストを減少させることができ、かつ、廃棄物として形成される塩量を減じることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)均一系酸触媒の存在下、芳香族アミンおよびメチレン供与剤を反応させる工程、
b)反応生成物から前記均一系酸触媒を除去する工程、および
c)前記反応生成物を、後処理および精製する工程、を有し、
前記反応生成物から前記均一系酸触媒を除去する工程が、固体吸着剤によって吸着させることにより行われるジアミノジアリールメタンの製造方法。
【請求項2】
前記吸着剤が、ジフェニルメタンジアミンの高級オリゴマーまたは官能性担体材料を基にして製造された塩基性イオン交換体である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸着剤の塩基強度が、水溶液中の前記芳香族アミンの塩基強度と、+/−1.0pKB単位異なる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記吸着剤の塩基強度が、水溶液中の前記芳香族アミンの塩基強度と、+/−0.5pKB単位異なる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記均一系酸触媒が、芳香族アミンによって脱着され、前記反応に再循環される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記工程a)が、半連続的に行われる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記芳香族アミンが、アニリン、および、アルキル鎖に1〜3の炭素を有するアルキルアニリンよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記芳香族アミンが、アニリンおよびo−トルイジンよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記メチレン供与剤が、ホルムアルデヒドである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ホルムアルデヒドが、ホルマリン水溶液、および/または、パラホルムアルデヒドである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ホルムアルデヒドに対するアニリンのモル比が、2を超過する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アニリンに対する酸のモル比が、0.05を超過する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記均一系酸触媒として鉱酸が用いられる請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−513499(P2009−513499A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518038(P2006−518038)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006912
【国際公開番号】WO2005/007613
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】