説明

ジアルキルエーテルを含有する組成物、このようにして生成した塗料、およびジアルキルエーテルの使用

本発明は添加剤としてジアルキルエーテルを含有する塗料を生成するための組成物、前記種類の塗料、および塗料におけるジアルキルエーテルの使用、詳細には前記組成物の成分としてのジアルキルエーテルに基づく新規のペイントおよびラッカー添加剤であって、カラーメトリックおよび反応性を変化させることなくラッカー系の耐摩耗性、耐薬品性および機械特性を改善する添加剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤としてジアルキルエーテルを含有する塗料を生成するための組成物に関するものであり、塗料におけるこのような組成物の使用ならびにこのような方法で生成した塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
添加剤は、ペイントおよびワニスの特性を改善するために使用することが知られている。多種多様な物質、例えば、蝋が知られており、添加剤として使用されている。蝋様ワニス添加剤は、蝋被覆固体粒子の形で導入でき、しばしば艶消剤として作用する。
【0003】
DE 1006100 B(US 2,838,413に相当)は、ケイ酸ヒドロゲルの艶消剤の生成を開示しており、それは、乾燥させ、高温で活性化させ、かつ酸価、ヨウ素価およびけん化価が低く、融点も80℃より高い、鎖長がC50〜C60の石油蝋に含浸させる。
【0004】
US 3,816,154は、ワニス中の艶消剤としての蝋被覆シリカゲルの使用を記載している。蝋は、溶融塗料またはエマルジョン塗料としてシリカゲル粒子に塗布する。シリカゲルを同時に蝋および脂肪酸で被覆すると、より優れた分散性およびより優れた光散乱特性が見られる。添加剤組成物は、ジェットミル中で粒径2μm〜10μmに粉砕し、その蝋は、石油蝋またはポリオレフィン蝋であり、使用される脂肪酸の鎖長は、C12〜C18である。
【0005】
US 2001/0006993は、1種または複数の膜形成ポリマー成分およびアルミナ、水酸化アルミニウム、蝋被覆シリカゲルまたはその組合せに基づく1種または複数の担体成分からなる乾燥混合した添加剤を開示する。この添加剤は、光沢還元剤として販売促進されている。
【0006】
EP 1095111は、乾燥混合法によって微粉砕形態の蝋被覆二酸化ケイ素を添加剤として加えた粉体ワニス組成物を記載しており、これは酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムも含有していてよい。使用される蝋は、自然動物蝋(例えば、蜜蝋およびラノリン)または自然野菜蝋(例えば、カルナウバロウ)、石油蝋(例えば、パラフィン蝋、微晶蝋)または合成蝋(例えば、ポリエチレン、ポリオールエーテルエステル)である。さらに、長鎖エステルおよび炭化水素を使用してもよい。
【0007】
US 5,356,971は、粉体塗料に加えた合成蝋または自然蝋がより優れた潤滑特性および撥水性をもたらすことを開示する。耐侯性に対する悪影響は見られなかった。蝋の融点は、50℃〜280℃の範囲であるべきであり、理想的には処理温度より10℃〜20℃低い。蝋の群には、自然動物蝋、野菜蝋および石油蝋または鉱蝋、ならびに長鎖エステルが含まれる。純粋な蝋を使用した場合、より高い蝋含有量(例えば、>10wt%)における金属への粉体塗料の接着に悪影響がある。支持された蝋を使用した場合、15%よりも高い充填レベルであってもスクラッチ耐性は15%よりも大きく悪影響を受ける。
【0008】
長鎖ジアルキルエーテルを含むペイントおよびワニス中の添加剤は、強化塗料組成物のより高い柔軟性、より優れた耐薬品性およびスクラッチ耐性をもたらすことが驚くべきことに判明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE 1006100 B(US 2,838,413)
【特許文献2】US 3,816,154
【特許文献3】US 2001/0006993
【特許文献4】EP 1095111
【特許文献5】US 5,356,971
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Varnish Formulation and Varnish Recipes」Bodo MullerとUlrich Poth著、Vincentz Verlag出版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、添加剤を提供することであり、これは、種々のペイントおよびワニス系においてペイントおよび/またはワニスの特性の向上をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、独立クレームの主題によって本発明に基づいて達成される。好都合な実施形態は、従属クレームの対象であり、あるいは後述されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ジアルキルエーテルおよび/またはジアルキルエーテル混合物は、24個以上の炭素原子、特に32〜44個の炭素原子を有する。ジアルキルエーテルおよび/またはジアルキルエーテル混合物は、室温(25℃)で固体である。これらは、対称ジアルキルエーテルであることが好ましい。例えば、長鎖の飽和および不飽和ジアルキルエーテルが適当であるが、このリストだけには限定されない:ジドデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジエイコシルエーテル、ジドコシルエーテル、ジテトラコシルエーテル、ジヘキサコシルエーテル、ジオクタコシルエーテル、ジトリアコンチルエーテル、ジドトリアコンチルエーテルならびにその混合物。
【0014】
長鎖ジアルキルエーテルからなる本発明の添加剤を、ペイントおよびワニス、特に粉体塗料に加えることによって、柔軟性および耐薬品性ならびにスクラッチ耐性を増大させることができる。
【0015】
ジアルキルエーテルは、特に平均粒径(D50)が150μm未満、特に60μm未満の固体粒子として使用することが好ましい。一実施形態によれば、ジアルキルエーテルは、超微粉砕形態(平均粒径、例えば、D50<60μm、好ましくはD50<15μm)でペイントまたはワニスなどの塗料組成物に加える。別の実施形態では、それを無機担体物質(例えば、D50<150μm、好ましくはD50<30μm)に塗布し、さらに別の実施形態では、それを配合物に加えてから均質化する。粒径および/または平均粒径D50は、ISO 13320−1に基づいてMalvern Mastersizer 2000を用いて決定し、結果をフラウンホーファー理論に基づいて分析する。
【0016】
無機化合物は、担体物質として使用することができる。特別な効果が物質および表面特性に応じて得られる。適当な物質には、シリカ、シリカゲル、アルミナおよびアルミナ水和物が含まれる。これに関して、高比表面積(例えば、>140m/g、DIN ISO 9277に基づいてNからBETを用いて測定)の生成物がとりわけ適当であることが証明されている。これらの生成物は、注型適性を何ら損なうことなく、担体とジアルキルエーテルの合計に基づいて70wt%までの充填に対して問題なくジアルキルエーテルで被覆することができる。より低比表面積の生成物を使用した場合、より低いジアルキルエーテル充填を使用しなければならない。表面積<50m/gに対して最大充填35wt%、50〜140m/gで最大充填50wt%および>140m/gで70wt%までが実用的であることが証明されている。
【0017】
本発明の意味においてワニスは、溶剤を含有する水性ワニス系および溶剤を含まないものに基づいて区別することができる。溶剤型ワニスは、周囲温度で膜形成系である系と物理的にまたは化学的に乾燥できる焼付けエナメルにさらに区別する。
【0018】
すべての溶剤型ワニスは、顔料、充填剤、結合剤、溶剤および他の添加剤を含有する。溶剤は、(それだけには限らないが)例えば、ベンジン、ナフサ、キシレン、トルエンなどの炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどのアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテルなどのエーテル、エチルグリコール、ブチルグリコールまたはブチルジグリコールが含まれていてよい。顔料は、有機および/または無機タイプのものであってよい。
【0019】
本発明の意味において適当な追加の添加剤には、例えば、酸化的硬化系のための乾燥剤としてのカルボン酸の重金属塩、ケトキシムなどの皮張り防止剤、UV吸収剤、フタル酸、アジピン酸、トリメリト酸、セバシン酸、クエン酸、リン酸、安息香酸のエステルまたはアルコールを加えた脂肪酸、炭化水素、塩素化パラフィンまたはエポキシ化脂肪酸エステルまたは油などの可塑剤、流動化剤または分散助剤が含まれる。
【0020】
例えば、物理的乾燥によって周囲温度で膜形成する系は、硝酸セルロース、他のセルロースエステル、ハロゲン化ポリビニルおよびそのコポリマー、ポリビニルエステル、ポリスチレン、炭化水素樹脂、ゴム誘導体、高ポリマーエポキシ樹脂、ポリアミド、ポリカーボネートおよびポリアクリレート樹脂などの結合剤を含有していてよい。
【0021】
本発明に基づいて化学的に乾燥する系では、結合剤は、例えば、多価不飽和油、アルキド樹脂またはエポキシ樹脂エステルと同様に、空中酸素の活動によって酸化される。化学的乾燥系の別の可能性には、例えば、2成分ポリウレタンワニスなどの2成分系が含まれ、ここで結合剤は、イソシアネート基とアルコール基の反応によって乾燥する。アルコール基は、例えば、飽和ポリエステル、アルキド樹脂、アクリレート樹脂、ポリエーテル、エポキシ樹脂およびエポキシエステル、PVCコポリマーまたはポリビニルアセタール中に存在し得る。
【0022】
焼付けエナメルは、80℃〜250℃の間の温度でだけ膜を形成する。結合剤は、アミノ樹脂ならびに自己架橋構成単位などの少なくとも2種の活性成分で構成され得る。
【0023】
ここでの基本的な構成単位は、尿素、炭酸塩、メラミン、ベンゾグアナミンまたはグリコールウリルおよびホルムアルデヒドなどのアミドを形成する。アミノ樹脂は、アルキド樹脂、飽和ポリエステル、ヒドロキシ官能性アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂エステルおよびポリビニル樹脂などのヒドロキシル基を含有する結合剤と反応させることもできる。別の可能性は、フェノールとホルムアルデヒドの反応によって得られたフェノール樹脂である。キャップドポリイソシアネート、アクリレート樹脂、ポリエステルまたはポリシロキサンに基づく焼付けエナメルも公知である。
【0024】
溶剤型ワニス系は、不揮発性成分によって、「低固形分」(<30%)、「通常固形分」(30〜60%)、「中間固形分」(60〜70%)および「高固形分」(>70%)に基づいて区別することができる。
【0025】
溶剤型ワニス系とは対照的に、水性ワニス系は、主溶剤として水を含有する。さらに、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールなどの補助溶剤も使用することができる。ポリマー分散液、例えば、アクリル分散液、スチレン分散液、アクリレート分散液、酢酸ビニル−エチレンコポリマー分散水溶液、水希釈性アルキド樹脂および/またはエポキシ樹脂は、ここで結合剤として使用することができる。
【0026】
水性ワニス系の他の添加剤には、ポリマーまたは無機フィロシリケートなどのレオロジー添加剤、ポリアクリレートまたはポリホスフェートなどの分散剤、例えば、炭化水素またはシリコーンに基づく発泡体抑制薬、防腐剤、膜形成助剤、pH安定剤または防錆添加剤が含まれていてよい。溶剤型焼付けエナメルの様に、これらは水性系としても利用可能である。
【0027】
無溶剤型ワニス系は、化学反応系、例えば、液体ポリオールが液体ポリイソシアネートと反応するか、もしくは液体ブロックイソシアネート基末端プレポリマーが液体ポリアミンと反応する2成分ポリウレタンワニス、2成分エポキシ樹脂、2成分不飽和ポリエステル、例えば、直鎖状、可溶性重縮合物の不飽和および部分飽和ジカルボン酸、例えば、マレイン酸無水物またはフマル酸およびエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコールまたはネオペンチルグリコールなどの多価アルコールであってよい。
【0028】
生成物を硬化させるための別の可能性は、ラジカル架橋反応がUV光によって開始されるUV誘発乾燥である。UVエナメルのための結合剤には、例えば、不飽和ポリエステル、アクリレート、例えば、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリウレタンアクリレートおよび飽和アクリレート樹脂またはシリコーンアクリレートが含まれる。
【0029】
粉体塗料には溶剤は使用せず、それは溶融液中で硬化する。低い溶融液粘性が望まれる。粉体は通常、平均粒径が18μm〜80μmである。熱可塑性粉体塗料に使用する結合剤には、ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリアミド、エチレン−ビニル−アルコールコポリマーおよび飽和ポリエステルが含まれ;架橋粉体塗料に使用する結合剤には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂/ポリエステル、ハイブリッド系、ポリウレタンポリエステル系またはアクリレート樹脂が含まれる。
【0030】
他の適当なワニス系およびそれらの例示的な組成物は、例えば、テキスト「Varnish Formulation and Varnish Recipes」Bodo MullerとUlrich Poth著、Vincentz Verlag出版に記載されている。このテキストは、ここで本発明の開示内容にも組み込まれる。
【0031】
本発明は、以下の実施例によって説明される:
【0032】
ペイント添加剤は、ジアルキルエーテルと無機担体を共同粉砕(joint milling)して粒子を形成することによって調製した。
【実施例1】
【0033】
実施例1:ケイ酸に基づいた添加剤の調製
シリカ(例えば、Evonik製のAerosil(登録商標)300)50gと一緒にジオクタデシルエーテル(Sasol、Germany GmbH製のNACOL(登録商標)エーテル 18)50gを計量してバッチミルに入れ、5分間粉砕した。生成物を80℃で1時間熱制御した。
【実施例2】
【0034】
実施例2:アルミナに基づいた添加剤の生成
アルミナ(Sasol、Germany GmbH製のPuralox(登録商標)UF5/230)50gと一緒にジオクタデシルエーテル(Sasol、Germany GmbH製のNACOL(登録商標)エーテル 18)50gをバッチミル中で計量し、5分間粉砕した。生成物を80℃で1時間熱制御した。
【0035】
以下の実施例では、ジアルキルエーテルを無機担体の熱含浸によって塗布した。
【実施例3】
【0036】
実施例3:シリカに基づいた添加剤の生成
ジオクタデシルエーテル(Sasol、Germany GmbH製のNACOL(登録商標)エーテル 18)50gをシリカ(例えば、Evonik製のAerosil(登録商標)300)50gと混合した。冷却後、固体をバッチミル中で5分間粉砕した。
【実施例4】
【0037】
実施例4:アルミナに基づいた添加剤の生成
ジオクタデシルエーテル(Sasol、Germany GmbH製のNACOL(登録商標)エーテル 18)50gをアルミナ(例えば、Sasol、Germany GmbH製のDisperal(登録商標)HP 14 γ)50gと混合した。冷却後、固体をバッチミル中で5分間粉砕した。
【0038】
別の実施形態によれば、ポリケイ酸またはアルミナ水和物の有機被覆を乾燥前に加えた。
【実施例5】
【0039】
実施例5:シリカに基づいた添加剤の生成
ジオクタデシルエーテル(Sasol、Germany GmbH製のNACOL(登録商標)エーテル 18)50gを溶融し、調製したばかりのポリケイ酸の乾燥固体50gと混ぜ合わせた。生成物を120℃で乾燥させ、次いで所望の粒径に磨砕した。
【実施例6】
【0040】
実施例6:アルミナに基づいた添加剤の生成
ジオクタデシルエーテル(Sasol、Germany GmbH製のNACOL(登録商標)エーテル 18)50gを溶融し、調製したばかりのアルミナ水和物の乾燥固体50gと混ぜ合わせた。生成物を120℃で乾燥させ、次いで所望の粒径に磨砕した。
【0041】
別の可能性は、ジアルキルエーテル(複数可)を直接固形形態で、例えば、粉体または香錠として使用することである。
【0042】
以下の原料を以下の実施例で使用した:
【0043】
【表1】

【0044】
このような方法で生成した添加剤は、粉体塗料に使用した。これは今回、以下の実施例で例示する:
【0045】
【表2】

【0046】
Crelan(登録商標)EF 403 160.9g、Rucote(登録商標)XP 2566 224.8g、Rucote(登録商標)109 96.1g、Resiflow(登録商標)PV 88 6.0g、ベンゾイン2.5g、Gas Black FW 200 5gおよび添加剤5gをミキサー中10,000rpmで5分間ホモジナイズした。次に、100℃(帯域1)および110℃(帯域2)の温度において、軸速度200rpm、生成物温度110℃〜115℃、送りねじの回転速度15rpmおよび冷却ローラーの回転率40rpmで、混合物を二軸スクリュー押出機中で押し出した。粉体塗料押出物を微粉砕し、次いでスクリーンボトム(screen−bottom)ミル中10,000rpmで細かく粉砕した。サイズが120μmよりも大きい粗粉画分を、振動ふるいを用いて取り出し、コロナガンを70kVで用いて粉体をプレートスチールに静電気的に塗布した。塗料を200℃で10分間焼付けた。
【0047】
【表3】

【0048】
Crelan(登録商標)EF 403 157.5g、Rucote(登録商標)XP 2566 220g、Rucote(登録商標)109 94g、Resiflow(登録商標)PV 88 6.0g、ベンゾイン2.5g、Gas Black FW 200 4.9gおよび添加剤15gをミキサー中10,000rpmで5分間ホモジナイズした。混合物は次に、100℃(帯域1)および110℃(帯域2)の温度において、軸回転速度200rpm、生成物温度110℃〜115℃、送りねじの回転速度15rpmおよび冷却ローラーの回転速度40rpmで、二軸スクリュー押出機中で押し出した。粉体塗料押出物を微粉砕し、次いでスクリーンボトムミル中10,000rpmで細かく磨砕した。サイズが120μmよりも大きい粗粉画分を、振動ふるいで取り出し、コロナガンを70kVで用いて粉体をスチールプレートに静電気的に塗布した。被覆したプレートを200℃で10分間焼付けた。
【0049】
比較例1
Crelan(登録商標)EF 403 160.9g、Rucote(登録商標)XP 2566 224.8g、Rucote(登録商標)109 96.1g、Resiflow(登録商標)PV 88 6.0g、ベンゾイン2.5g、Gas Black FW 200 5gおよび超微粉砕したPE蝋(BYK製)5gをミキサー中10,000rpmで5分間ホモジナイズした。混合物は次に、100℃(帯域1)および110℃(帯域2)の温度において、軸回転速度200rpm、生成物温度110℃〜115℃、送りねじの回転速度15rpmおよび冷却ローラーの回転速度40rpmで、二軸スクリュー押出機中で押し出した。粉体塗料押出物を微粉砕し、次いでスクリーンボトムミル中10,000rpmで細かく磨砕した。サイズが120μmよりも大きい粗粉画分を、振動ふるいを用いて取り出し、コロナガンを70kVで用いて粉体を静電気的にスチールプレートに塗布した。被覆したプレートを200℃で10分間焼付けた。
【0050】
比較例2
Crelan(登録商標)EF 403 160.9g、Rucote(登録商標)XP 2566 224.8g、Rucote(登録商標)109 96.1g、Resiflow(登録商標)PV 88 6.0g、ベンゾイン2.5g、Gas Black FW 200 5gおよび粉末状合成ポリマー(Ceraflour(登録商標)967、BYK製)5gをミキサー中10,000rpmで5分間ホモジナイズした。次に、100℃(帯域1)および110℃(帯域2)の温度において、軸回転速度200rpm、生成物温度110℃〜115℃、送りねじの回転速度15rpmおよび冷却ローラーの回転速度40rpmで、混合物を二軸スクリュー押出機中で押し出した。粉体塗料押出物を微粉砕し、次いでスクリーンボトムミル中10,000rpmで細かく磨砕した。
【0051】
サイズが120μmよりも大きい粗粉画分を、振動ふるいを用いて取り出し、コロナガンを70kVで用いて粉体をスチールプレートに静電気的に塗布した。被覆したプレートを200℃で10分間焼付けた。
【0052】
比較例3
Crelan(登録商標)EF 403 157.5g、Rucote(登録商標)XP 2566 220g、Rucote(登録商標)109 94g、Resiflow(登録商標)PV 88 6.0g、ベンゾイン2.5g、Gas Black FW 200 4.9gおよび超微粉砕したPE蝋(BYK製)15gをミキサー中10,000rpmで5分間ホモジナイズした。混合物は次に、100℃(帯域1)および110℃(帯域2)の温度において、軸回転速度200rpm、生成物温度110℃〜115℃、送りねじの回転速度15rpmおよび冷却ローラーの回転速度40rpmで、二軸スクリュー押出機中で押し出した。粉体塗料押出物を微粉砕し、次いでスクリーンボトムミル中10,000rpmで細かく磨砕した。サイズが120μmよりも大きい粗粉画分を、振動ふるいを用いて取り出し、コロナガンを70kVで用いて粉体をスチールプレートに静電気的に塗布した。被覆したプレートを200℃で10分間焼付けた。
【0053】
比較例4
Crelan(登録商標)EF 403 157.5g、Rucote(登録商標)XP 2566 220g、Rucote(登録商標)109 94g、Resiflow(登録商標)PV 88 6.0g、ベンゾイン2.5g、Gas Black FW 200 4.9gおよび粉末状合成ポリマー(Ceraflour(登録商標)967、BYK製)15gをミキサー中10,000rpmで5分間ホモジナイズした。次に、100℃(帯域1)および110℃(帯域2)の温度において、軸回転速度200rpm、生成物温度110℃〜115℃、送りねじの回転速度15rpmおよび冷却ロール機回転速度40rpmで、混合物を二軸スクリュー押出機中で押し出した。粉体塗料押出物を微粉砕し、次いでスクリーンボトムミル中10,000rpmで細かく磨砕した。サイズが120μmよりも大きい粗粉画分を、振動ふるいを用いて取り出し、コロナガンを70kVで用いて粉体をスチールプレートに静電気的に塗布した。被覆したプレートを200℃で10分間焼付けた。
【0054】
得られた粉体塗料は、それらの反応性、それらの柔軟性、それらの化学薬品への耐性、それらの耐摩耗性、それらの黄変への耐性およびそれらの光沢を決定するために試験した。
【0055】
行なった分析を以下に簡単に要約している:
【0056】
反応性
系の反応性を、ゲル化時間に基づいて決定した。粘性が著しく増大したことが、ポリマーネットワークの形成によって観察された。この特性の変化の時間は、200℃で剪断円板粘度計を用いることによって決定した。
【0057】
柔軟性
DIN EN 50101に基づいたエリクセンインデンテーションを用いて塗料系の柔軟性を決定した。粉体塗料で被覆したプレートを、しわ押え力によってダイに固定し、強化ボールをプレートに対して下から押し付け、それによって冷間変形を誘発させた。クラックが発生するまで移動した距離を記録した。
【0058】
化学薬品への耐性
被覆したプレートにアセトンを供給し、板ガラスで覆った。溶剤を終夜作用させておいた。翌日、以下のスケールを用いて視覚的にアセトン耐性を評価した:
【0059】
【表4】

【0060】
耐摩耗性
耐摩耗性を試験するため、表面を、500gの重みを掛けたサンドペーパーで10往復処理し、次いで擦られた表面の光沢を評価した。%における残留光沢を耐摩耗性の尺度として使用した。
【0061】
測色法
標準と比較した差として従来の明度計(X−Rite Color Eye 7000a)を用いて明度を測定した。結果は、実験用フォーマットで示している。実験用色空間は、全ての知覚できる色を含む測定空間であり、装置に依存しない。色測定は、DIN 6174に基づいて行っている。
【0062】
光沢
光沢は、DIN EN ISO 2813に基づくBYK 曇り−光沢計を用いて測定した。
【0063】
【表5】

【0064】
反応性または測色法に対する悪影響が実施例のいずれにも見られなかった。
【0065】
目的は特に、少なくとも50%残留光沢および少なくとも6.5mmのエリクセンインデンテーションを有する添加剤を生成することであった。比較例2および4は、50%超の残留光沢によって示される耐摩耗性の最低基準を達成できない。比較例1および3は、十分な耐摩耗性を得たが、それらは塗料の柔軟性の最小限の要件を満たさない。
【0066】
実施例からの生成物は、図1で示されたように、耐摩耗性および柔軟性の向上を達成するという所定の課題を解決する。
【0067】
ジアルキルエーテルを担体と一緒におよび担体なしで使用することによって、粉体塗料の柔軟性、化学薬品への耐性および耐摩耗性に対する特性は、反応性または測色法に影響を及ぼさずに著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性結合剤およびジアルキルエーテルを含有する塗料を生成するための組成物であって、ジアルキルエーテルが24個以上の炭素原子、特に32〜44個の炭素原子を有し、かつジアルキルエーテルが液体または粉末状組成物中に固形物として存在する、組成物。
【請求項2】
使用されるジアルキルエーテル(複数可)が、95mol%超の直鎖状アルキル部分を含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
DIN EN ISO 6321に基づいてジアルキルエーテル(複数可)の融点が25℃よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ジアルキルエーテル(複数可)が、以下の群:ジドデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ドクタデシルエーテル、ジエイコシルエーテルおよびジドコシルエーテルから選択される1種または複数のメンバーであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ジアルキルエーテル(複数可)が無機担体に塗布されることを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項6】
固体粒子が、ジアルキルエーテル(複数可)として使用され、かつ/または組成物中に好ましくは平均粒径が150μm未満、特に60μm未満で存在することを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項7】
ジアルキルエーテル(複数可)が無機担体と一緒に粉砕されて粉砕生成物を生成し、かつ塗料を生成するのに使用されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
粉砕生成物が、好ましくは5分より長い間、組成物で使用される前に使用されるジアルキルエーテルもしくはジアルキルエーテル混合物の融点よりも5℃以上高い温度で焼き入れされることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
無機担体が、シリカ、アルミナまたはシリカとアルミナの混合物であることを特徴とする、請求項5または7に記載の組成物。
【請求項10】
使用されるジアルキルエーテル(複数可)は、
a)固体組成物、特に粉体塗料中0.1〜5.0wt%、好ましくは0.5〜3.0wt%、および
b)液体組成物中0.05〜3.0wt%、好ましくは0.5〜2.0wt%
の量で使用することを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項11】
使用されるジアルキルエーテル(複数可)は、エーテルに基づいて95wt%超の純度および/またはオレフィン不純物およびアルコール不純物を含めたエーテルに基づいて70wt%超の純度を有することを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも結合剤を硬化および/または架橋することによって請求項1から11の少なくとも一項に記載の組成物を使用することによって生成される強化塗料。
【請求項13】
強化塗料が0.1〜5.0wt%、好ましくは0.5〜3.0wt%のジアルキルエーテル(複数可)を含有することを特徴とする、請求項1から11の少なくとも一項に記載の組成物を使用することによって生成される強化塗料。
【請求項14】
少なくとも6.1mm、好ましくは少なくとも6.5mmのDIN 50101に基づいたエリクセンインデンテーションおよび少なくとも50%の残留光沢が達成されることを特徴とする、請求項1から9の少なくとも一項に記載の組成物を使用することによって生成される強化塗料。
【請求項15】
ペイントおよびワニスにおける、24個以上の炭素原子、特に32〜44個の炭素原子を有するジアルキルエーテルの使用。
【請求項16】
粉体塗料における請求項15に記載の使用。
【請求項17】
少なくとも20wt%の水を含有するワニスとしてまたはワニスにおける請求項15に記載の使用。
【請求項18】
ジアルキルエーテルが、好ましくは平均粒径が150μm未満、特に60μm未満の固体粒子として使用されることを特徴とする、請求項15から17の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項19】
ジアルキルエーテル(複数可)が無機担体に塗布されることを特徴とする、請求項15から18の少なくとも一項に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2013−505339(P2013−505339A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530127(P2012−530127)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001107
【国際公開番号】WO2011/035766
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(510198343)サソール ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【Fターム(参考)】