説明

ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の製造方法および未反応フェノール類の再利用方法

【課題】半導体封止剤等の原材料として使用できるジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の製造法および未反応フェノールの回収法の提供。
【解決手段】フェノール類およびジシクロペンタジエン類を酸触媒の存在下で反応させ、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を製造し、得られた反応生成液に、アルカリ性化合物および実質的に無水の活性炭素を添加して、該酸触媒を失活させる変性フェノール樹脂を製造し、反応生成液から濾過により変性樹脂を回収し、濾液を蒸留して未反応フェノール類を回収する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール類とジシクロペンタジエン類と反応させてフェノール樹脂を製造する方法、および、回収した未反応のフェノール類を該フェノール樹脂の製造に再利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール類とジシクロペンタジエン類と反応させて得られるフェノール樹脂(以後、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂、または、変性フェノール樹脂とも記す)は、流れ性や吸湿性に優れるエポキシ樹脂の原料として有用であり、該フェノール樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂は、半導体封止剤やプリント配線基板用積層板の材料として用いられている。
【0003】
ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂は、フェノール類とジシクロペンタジエン類(以後、DCPD類とも記す)を酸触媒とともに加熱して製造される。酸触媒は、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等である。酸触媒は、反応終了後、アルカリ性の触媒中和剤を用いて中和され、失活する。これは、反応終了後も酸触媒が残存していると、その後の未反応フェノールを蒸留除去する工程で反応が過度に進行することを防止するためである。
酸触媒を中和した後の反応生成液は、中和剤や酸触媒残渣からなる固形分と、未反応フェノール類とジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を含む濾液に分別される。濾液を減圧蒸留して、未反応フェノール類を蒸留除去し、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を回収する。
【0004】
ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を、半導体封止剤や積層板の材料として用いた場合に、電気絶縁性などを低下させる恐れがあることから、変性フェノール樹脂の製造の際に、反応生成液中のフェノール類、不純物を十分に除去する必要がある。特に、酸触媒由来のホウ素化合物やフッ素化合物を、それぞれ好ましくは20ppm以下、より好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下にする必要がある。しかしながら、ホウ素化合物やフッ素化合物の一部は、フェノール類に溶解するため濾過を行っても、反応生成液中に残存する問題があった。
【0005】
従来、前記変性フェノール樹脂の製造の際には、触媒中和剤として炭酸カルシウムや水酸化ナトリウムが用いられてきた。このような触媒中和剤は、ホウ素化合物やフッ素化合物を吸着することができず、反応生成液中にホウ素化合物やフッ素化合物が残存しやすかった。これに対し、特許文献1に、ハイドロタルサイト類を触媒中和剤に用いることが提案されている。ハイドロタルサイト類は、酸触媒を中和する効果を有するとともに、ホウ素化合物やフッ素化合物を吸着するので、反応生成液中の不純物を低減することができる。しかしながら、半導体封止剤やプリント配線基板用積層板用途では、より一層の不純物の削減が求められており、ハイドロタルサイト類による酸触媒の中和では、不純物の削減が依然として不十分であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2には、酸触媒を水酸化カルシウムなどの無機塩基により中和し失活させた後、反応生成液に吸着水を含む粉体、例えば、活性白土、酸性白土、活性炭などを加え、中和で生成した錯体を加水分解することにより、ホウ素化合物やフッ素化合物の含有が少ない変性フェノール樹脂を得る方法が提案されている。しかし、この方法は、粉体中の吸着水が未反応のフェノールに溶解してしまう問題がある。このため、反応終了後に、変性フェノール樹脂から蒸留回収した過剰のフェノール中には、水分が含有されることになる。その結果、該回収フェノールを用いて、次に変性フェノール樹脂を製造するときに、酸触媒の一部が水分で失活して、反応効率が低下したり、変性フェノール樹脂の特性が低下する問題がある。
【0007】
【特許文献1】特許第3028385号明細書
【特許文献2】特開平11−199659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、半導体封止剤やプリント配線基板用積層板の原材料として使用できるほど不純物の含有量が少ないジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を製造する方法、および、該変性フェノール樹脂の製造に再利用できるほど不純物の含有量が少ない未反応フェノールを回収する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フェノール類およびジシクロペンタジエン類を反応原料として酸触媒の存在下で反応させ、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を製造する反応工程(I)と、該反応工程(I)で得られた反応生成液に、アルカリ性化合物および実質的に無水の活性炭素を添加して、該酸触媒を失活させる酸触媒失活工程(II)を有することを特徴とするジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の製造方法、である。
【0010】
本発明のジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の製造方法は、前記酸触媒失活工程(II)で得られた反応生成液から、前記活性炭素、酸触媒および未反応原料を除去して、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を得る樹脂回収工程(III)を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明は、フェノール類およびジシクロペンタジエン類を反応原料として酸触媒の存在下で反応させ、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を製造する反応工程(I)と、該反応工程(I)で得られた反応生成液に、アルカリ性化合物および実質的に無水の活性炭素を添加して、該酸触媒を失活させる酸触媒失活工程(II)と、該酸触媒失活工程(II)で得られた反応生成液から、未反応フェノール類を除去するフェノール類回収工程(IV)と、該フェノール類回収工程(IV)で得られた未反応フェノール類を、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の反応原料とすることを特徴とする未反応フェノール類の再利用方法、である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法によれば、半導体封止剤やプリント配線基板用積層板等の原料に適した軟化点と不純物含有量を有するジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を得ることができる。
また、本発明の製造方法における酸触媒失活後に回収した未反応フェノールは、変性フェノール樹脂の特性の低下と触媒の活性低下を生じることがないので、変性フェノール樹脂の製造原料として再利用できる。
そして、本発明の方法で製造された変性フェノール樹脂をエポキシ化したものは電気特性に優れ、半導体封止剤やプリント配線基板用積層板等の原料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、これらは本発明の実施形態の一例であり、これらの内容に限定されないことは言うまでない。
【0014】
本発明で用いられるフェノール類は、特に限定されないが、好ましくは、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−キシレノールまたはこれらの混合物を挙げることができる。中でも、樹脂の特性や経済性の点から、フェノールが好ましい。
【0015】
本発明で用いられるDCPD類も特に限定されないが、好ましくは、ジシクロペンタジエン(以後、DCPDとも記す)や少なくとも一つのアルキル基またはビニル基が置換したジシクロペンタジエンまたはこれらの混合物である。アルキル基はメチル基、エチル基等である。中でも、樹脂の特性や入手の容易さからジシクロペンタジエンを用いることが好ましい。
【0016】
フェノール類とDCPD類を反応させる場合、その仕込モル比(フェノール類/DCPD類)を調整することで、得られる変性フェノール樹脂の軟化点を調節することができる。すなわち、フェノール類の仕込モル比を増やすと変性フェノール樹脂の軟化点は低下し、フェノール類の仕込モル比を減らすと変性フェノール樹脂の軟化点は上昇する。工業的に有意義な軟化点(70〜150℃、好ましくは80〜140℃)を有する変性フェノール樹脂を製造するために好適な該仕込モル比は1/1〜15/1、好ましくは1/2〜1/10である。
【0017】
フェノール類とDCPD類を反応させる際に用いられる酸触媒は、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等である。中でも、取扱いが容易で、単位触媒量当りの変性フェノール樹脂の収量が大きい三フッ化ホウ素・フェノール錯体が好ましい。酸触媒の使用量は、三フッ化ホウ素・フェノール錯体の場合で、DCPD類100質量部当り0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
フェノール類とDCPD類の反応温度は酸触媒の種類により異なるが、三フッ化ホウ素・フェノール錯体の場合で、20〜170℃、好ましくは50〜150℃である。
該反応は水分が可及的に少ない状態で行うことが好ましく、100質量ppm以下であることが好ましい。
【0018】
反応生成物の粘度上昇が停滞したら、加熱を中止し、反応生成物中の酸触媒の失活を行う。該酸触媒の失活は、反応生成物にアルカリ性化合物および実質的に無水の活性炭素を添加し、10〜150℃、好ましくは30〜90℃で、10分〜10時間、好ましくは20分〜5時間加熱攪拌して行う。酸触媒失活の終了は、例えば、メチルイソブチルケトンに溶解し、得られた溶液に水を加えて攪拌し、水層のpHを測定することにより確認することができる。
【0019】
酸触媒失活工程で用いられる活性炭素は、実質的に無水の、内部に空隙を持つ吸着性に優れる炭素である。実質的に無水と言うのは、活性炭素中の水分量が0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下の場合である。水分量が0.1質量%を超えると、回収フェノール中の水分量が多くなり、次に該回収フェノールを用いて変性フェノール樹脂を製造する場合の酸触媒の活性を低下させる原因になるので、該活性炭素は実質的に無水でなければならない。
実質的に無水の活性炭素は、酸触媒の中和で生じた酸触媒残渣、ホウ素化合物、フッ素化合物、アルカリ(土類)金属などの不純物をよく吸着して反応生成液の純度を向上させる。実質的に無水の活性炭素がこれらの不純質をよく吸着するのは、該活性炭には無数の細孔があり、この細孔内部に侵入した不純物が、細孔内部の内壁に吸着されるためである。
【0020】
該活性炭素の比表面積は特に限定されないが、500〜3000m/g、好ましくは700〜2000m/gである。該活性炭素の粒径や形状も特に限定されないが、粉末状の場合の平均粒径は1〜150μm、好ましくは5〜100μmであり、粒状の場合の平均粒径は0.5〜4mmであると好ましい。また繊維状活性炭素も好ましく使用できる。
活性炭素の使用量はアルカリ性化合物100質量部当り10〜1000質量部、好ましくは50〜500質量部である。
【0021】
活性炭素の製造方法は特に限定されないが、活性炭素は、木材、石炭、ビート、椰子柄、合成樹脂、天然樹脂などを熱処理、または賦活化して製造された炭素をさらに熱処理して製造することができる。
活性化のための熱処理は、炭素を予め窒素やアルゴンなどの不活性ガスの存在下、真空下または空気中で100〜500℃、好ましくは200〜400℃に加熱して行われる。該熱処理により活性炭素中の水分量が減少するが、該熱処理は、前記したように、活性炭素の水分量が0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下になるまで行う。
【0022】
酸触媒失活工程で用いられるアルカリ性化合物は、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア等が好ましく、水酸化カルシウムが特に好ましい。アルカリ性化合物の添加量は特に制限されないが、酸触媒1質量部に対し1〜10質量倍、好ましくは2〜5質量倍である。アルカリ性化合物の添加量が該上限量を超えると濾過時間が長くなり過ぎ、変性フェノール樹脂の生産性が低下する。また、アルカリ性化合物の添加量が該下限量より少ないと酸触媒の失活が不十分になる問題がある。
【0023】
酸触媒を失活された反応生成液は、蒸留、濾過などの固液分離手段により、液体と固形分に分別されるが、濾過が簡便であり好ましい。該濾過の方法、条件は特に限定されるものではないが、濾過は減圧または加圧濾過機を用いて行うことが好ましい。濾過温度は室温〜150℃、好ましくは70〜130℃である。
【0024】
濾過残渣は変性フェノール樹脂であり、回収され、各種用途の原材料として使用される。回収された変性フェノール樹脂は、軟化点が70〜150℃、好ましくは80〜140℃、ホウ素化合物およびフッ素化合物含有量がそれぞれ50質量ppm以下、好ましくは30質量ppm以下であり、格別の処理、精製をすることなく、半導体封止剤やプリント配線基板用積層板などの材料として好適に使用することができる。
濾液は蒸留され、未反応のフェノールが回収される。該蒸留は、加圧下でも、常圧下でも、減圧下でも行うことができるが、減圧蒸留が好ましい。蒸留温度は100〜300℃、好ましくは150〜270℃、より好ましくは170〜250℃である。
なお、該回収フェノールは、純度が90質量%以上であり、格別の処理、精製をすることなく、引続き変性フェノール樹脂の製造に再利用することができる。
【0025】
以下、実施例により、さらに詳しく、本発明を説明する。
なお、活性炭素の水分量はカールフィッシャー型水分計(メトローム社製、型番756KF)を用いて測定した。
反応生成液のpHは、約0.5gの生成液を20cmのメチルイソブチルケトンに溶解し、20cmの水を加えてよく攪拌し、攪拌後、30分静置し、水層のpHをPHメーターで測定した。
ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の軟化点は、環球式軟化点測定装置(MEITECH社製、25D5−ASP−MG型)を用い、グリセリン浴中、5℃/分の昇温速度で測定した。
ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂のホウ素化合物およびフッ素化合物の含有量は[(株)島津製作所製、型番AA−6200]を用いて原子吸光法により測定した。
【0026】
(実施例1)
攪拌装置、温度計、還流装置、不活性ガス導入管、オイルバスを備えた反応容器(セパラブルフラスコ:1L)に市販のフェノール278g(=2.9mol)を仕込んで、80℃に加熱した。加熱終了後、三フッ化ホウ素・フェノール錯体2.5gを添加し、さらに、140℃に昇温して、DCPD100g(=0.76mol)を2時間かけて、徐々に添加し反応させた。添加終了後、水酸化カルシウム7.5gと、活性炭素(和光純薬(株)製、比表面積2000m/g、水分量5.6質量%)を、予め250℃で5時間真空乾燥して得た、実質的に水分を含まない活性炭素(水分量0.01質量%)2.5gを添加して30分間攪拌して酸触媒を中和し、失活させた。攪拌終了後、反応生成液を濾過した。濾液を220℃に昇温して、減圧蒸留し、未反応のフェノール185gを蒸留除去した。
蒸留残渣(=フェノール樹脂A)の収量は192gであった。フェノール樹脂Aの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0027】
また、回収したフェノール50質量%と市販のフェノール50質量%の混合フェノールを原料に用いて、前記と同様に反応、酸触媒失活、濾過等を行い変性フェノール樹脂Bを製造した。変性フェノール樹脂Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。
変性フェノール樹脂Aと変性フェノール樹脂Bの間で特性、不純物含有量の差が認められず、ともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていた。
【0028】
(実施例2)
実施例1において、フェノールの代わりにo−クレゾールを用いた以外は実施例1を繰返した。変性o−クレゾール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性o−クレゾール樹脂A、Bともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていた。
【0029】
(実施例3)
実施例1において、フェノールの代わりに2,6−キシレノールを用いた以外は実施例1を繰返した。変性2,6−キシレノール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性2,6−キシレノール樹脂A、Bともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていた。
【0030】
(実施例4)
実施例1において、乾燥した活性炭素(水分量0.01質量%)2.5gの代わりに、
乾燥した活性炭素(水分量0.005質量%)2.5gを用いた以外は実施例1を繰返した。それぞれの変性フェノール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性フェノール樹脂AとBの間で特性、不純物含有量の差が認められ、ともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていない。
【0031】
(実施例5)
実施例1において、水酸化カルシウム7.5gの代わりに、水酸化ナトリウム7.5gを用いた以外は実施例1を繰返した。変性フェノール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性フェノール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性フェノール樹脂A、Bともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていた。
【0032】
(比較例1)
実施例1において、水酸化カルシウム7.5gと活性炭素2.5gの代わりに、水酸化カルシウム10gを用いた以外は実施例1を繰返した。変性フェノール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性フェノール樹脂AとBの間で特性、不純物含有量の差が認められ、ともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていない。
【0033】
(比較例2)
実施例1において、水酸化カルシウム7.5gと活性炭素2.5gの代わりに、ハイドロタルサイト10gを用いた以外は実施例1を繰返した。変性フェノール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性フェノール樹脂AとBの間で特性、不純物含有量の差が認められ、ともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていない。
【0034】
(比較例3)
実施例1において、水酸化カルシウム7.5gと活性炭素2.5gの代わりに、水酸化カルシウム7.5gと乾燥前の活性炭素(和光純薬(株)製、比表面積2000m/g、水分量5.6質量%)2.5gを用いた以外は実施例1を繰返した。変性フェノール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性フェノール樹脂AとBの間で特性、不純物含有量の差が認められ、ともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていない。
【0035】
(比較例4、5)
実施例1において、水酸化カルシウム7.5gと活性炭素2.5gの代わりに、水酸化カルシウム7.5gと半乾燥した活性炭素(水分量0.5質量%、0.1質量%)2.5gを用いた以外は実施例1を繰返した。それぞれの変性フェノール樹脂A、Bの軟化点、pH、ホウ素含有量、フッ素含有量を測定し、結果を表1に示した。変性フェノール樹脂AとBの間で特性、不純物含有量の差が認められ、ともに半導体封止剤等の材料に要求される特性、不純物含有量を満たしていない。
【0036】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール類およびジシクロペンタジエン類を反応原料として酸触媒の存在下で反応させ、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を製造する反応工程(I)と、該反応工程(I)で得られた反応生成液に、アルカリ性化合物および実質的に無水の活性炭素を添加して、該酸触媒を失活させる酸触媒失活工程(II)を有することを特徴とするジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記酸触媒失活工程(II)で得られた反応生成液から、前記活性炭素、酸触媒および未反応原料を除去して、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を得る樹脂回収工程(III)を有することを特徴とする請求項1に記載のジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の製造方法。
【請求項3】
フェノール類およびジシクロペンタジエン類を反応原料として酸触媒の存在下で反応させ、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂を製造する反応工程(I)と、該反応工程(I)で得られた反応生成液に、アルカリ性化合物および実質的に無水の活性炭素を添加して、該酸触媒を失活させる酸触媒失活工程(II)と、該酸触媒失活工程(II)で得られた反応生成液から、未反応フェノール類を除去するフェノール類回収工程(IV)と、該フェノール類回収工程(IV)で得られた未反応フェノール類を、ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の反応原料とすることを特徴とする未反応フェノール類の再利用方法。

【公開番号】特開2009−102456(P2009−102456A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272698(P2007−272698)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(591067794)JFEケミカル株式会社 (220)
【Fターム(参考)】