説明

ジッパー付ピロー包装袋及びこのピロー包装袋に用いられるジッパー

【技術課題】 易開封機構を設けたジッパー付ピロー包装袋において、一直線状に開封して切り口を奇麗に整え、かつ再開封時にジッパーを開け易くする。
【解決手段】 易開封機構において、袋1の右側端1aのVノッチ9から合掌張り部分4の切り込み5を横断し、袋1の左側端1bに到達するようにジッパー10を挿入し、このジッパー10のベーステープ12部分に一軸延伸PETフィルム14を中間層としてラミネートしておく。又はベーステープ12にレーザー刃又はレーザービームにより一直線状にハーフカット16を設けるか、ミシン目17を設けておく。これにより、引き裂き方向を一軸延伸方向又はハーフカット16又はミシン目17の方向に直線状に引き裂くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封機構を備えたジッパー付ピロー包装袋及びこのピロー包装袋に用いられるジッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
易開封機構を備えたジッパー付ピロー包装袋が特許文献1(特許第3720042号公報)に紹介されている。
【0003】
ここに紹介されているピロー包装袋は、装着されたジッパーと袋の口シールとの中間部分に易開封機構を備えた構成であって、易開封機構のノッチの部分から引き裂きを開始しても、この引き裂き方向は口シール部分とジッパーとの間においては自由方向に引き裂き目が進行する。
【0004】
この結果、引き裂きは一直線状にはならず、切り口が不体裁になると共に再開封時には切り口のフィルムが軟らかいために指先で摘みにくくなるという問題がある。
【0005】
また、袋の側縁に設けたノッチ部分から引き裂きを開始し、合掌張りの先端縁に設けた易開封手段のところへ切り裂きが一直線状に進行しないと、易開封手段の切り込みから切り裂き目が外れて合掌張りのところでスムーズに引き裂きが進行しない、と云った問題が発生する。
【0006】
ところで、引き裂き方向を一直線状上に定める手段として一軸延伸フィルムを袋全体に用いることで上記した問題点を解決する方法は考えられるが、この場合、一軸延伸フィルムは高価なため、製造コストが高くつくという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3720042号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、安いコストにより引き裂きを一直線状に行うことができる易開封機構を備えたジッパー付ピロー包装袋及びこのピロー包装袋に用いられるジッパーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ジッパー付ピロー包装袋において、合掌張シール部分を袋の裏面においてその中央に位置させると共に前記合掌張シールの先端縁に沿って易開封手段を設け、かつ
前記合掌張シール部分を一方に倒して袋の外面フィルムに全面もしくは、前記易開封手段を間においてその上下を部分的にヒートシールを行い、かつ
前記合掌張シールが倒された方向の袋の側端にヒートシール部を形成し、このヒートシール部に前記合掌張シール方向に向けてV又はIノッチ等の切り裂き手段を設けると共に
前記合掌張シールの先端縁に沿って設けた易開封手段と袋の側端縁に形成したヒートシール部が位置する袋内にジッパーを挿入し、このジッパーのベーステープ部分を袋の内面にヒートシールした構成のジッパー付ピロー包装袋において、
前記ベーステープにおける上縁と嵌合部間には、前記切り裂き手段部分から易開封手段が施された合掌張シール部分を横断し、袋の反対側の側端に至る直線カット手段を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
この発明によると、直線カット手段が引き裂き方向をガイドするため、引き裂きを直線状に行うことができる。
【0011】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のジッパー付ピロー包装袋において、直線カット手段には、直線カット性のあるポリエステルフィルム又はナイロンフィルム又は一軸延伸フィルムが用いられていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によると、一直線状に引き裂くことができるジッパー付ピロー包装袋において、製袋コストを抑えることができる。
【0013】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のジッパー付ピロー包装袋において、カット手段には、連続的又は断続的に設けられたミシン目又はレーザー刃又はレーザービームにより加工された切り込みが含まれることを特徴とするものである。
【0014】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のジッパー付ピロー包装袋において、ジッパーのベーステープは、裏面の全面又は嵌合部の上側が袋の内面にヒートシールされていることを特徴とするものである。
【0015】
次に、請求項5に記載の発明は、ピロー包装袋に用いられるジッパーにおいて、嵌合部の上側に沿って位置するベーステープには、前記嵌合部と平行に直線状にカット手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のピロー包装袋に用いられるジッパーにおいて、ベーステープの内層に直線カット性のあるポリエステルフィルム又はナイロンフィルム又は一連延伸フィルムがラミネートされていることを特徴とするものである。
【0017】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項5に記載のピロー包装袋に用いられるジッパーにおいて、直線カット手段には、連続的又は断続的に設けられたミシン目又はレーザー刃又はレーザービームにより加工された切り込みが含まれることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以上のように、ジッパー付ピロー包装袋において、引き裂き方向が一直線状になるための構成をジッパーのベーステープに設けたことにより、開封はベーステープのところで行われる。この結果、開封したときに切り口が奇麗になる。
【0019】
また、一直線状の切り裂きはベーステープ部分において行われるため、ジッパーと口シールの間隔を従来のものより狭めることができ、この分製袋フィルムを節約できる。
【0020】
また、切り口が一直線状であって、ベーステープ部分に切り口が位置するため、袋のフィルムだけの切り口に比較して切り口の剛性が高まり、指先を掛けての開封がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を実施したジッパー付ピロー包装袋の裏面図。
【図2】本発明に係る要部の斜視図。
【図3】A−A’線拡大断面図。
【図4】ベーステープにハーフカットの切れ目を設けた説明図。
【図5】ベーステープにミシン目を設けた説明図。
【図6】袋を開封している状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図6に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
【0023】
図1において、符号の1はジッパー付ピロー包装袋、2は袋1の表面、3は裏面、4は合掌張り部分を示し、この合掌張り部分4の先端縁4aの上部には、先端縁4aから少し入ったところまで易開封手段としての切り込み5が設けられている。
【0024】
また、合掌張り部分4は図1において右側に倒され、前記切り込み5を挟んで上下がホットメルトを用いて袋1の裏面3にポイントヒートシール6、6aされている。
【0025】
なお、本実施例において、合掌張り部分4はポイントでシールされているが、全体をシールするようにしても良い。
【0026】
8は袋の右側端側1aであって、前記切り込み5と対向する位置に形成した袋1の表面2と裏面3を一緒にヒートシールして形成したヒートシール部、9はこのヒートシール部8において、前記切り込み5の方向に向けて形成したVノッチである。
【0027】
なお、このVノッチ9に替えてIノッチ又は所謂マジックカットとしても良い。
【0028】
7は袋1の口シール部である。
【0029】
10は前記切り込み5と前記Vノッチ9を含み、袋1内を横断するようにして挿入されたジッパーであって、このジッパー10は、ベーステープ12の中央にオス条とメス条からなる嵌合部11を形成した構成からなると共にベーステープ12は、内層13と外層15の中間層にベーステープ12の長手方向に一直線状のカット手段としての一軸延伸加工が施されたPETフィルム14がラミネートされた構成である。
この結果、Vノッチ9の部分から引き裂きを行うとジッパー10のベーステープ12は、前記一軸延伸されたPETフィルム14の一軸延伸方向に引き裂き方向が誘導されるため、この作用で袋1の表面2と裏面3と一緒に引き裂かれて行き、合掌張り部分4内の切り込み5から合掌張り部分内4に切り込み、この合掌張り部分4を横断し、やがて袋1の側端1bに到達することで袋1は全開封となる。
【0030】
このように、本実施例ではベーステープ12に一軸延伸PETフィルム14をラミネートしたことにより、袋1はこの一軸延伸方向に一直線状にカットされる。
【0031】
なお、一直線状のカット手段としては、一軸延伸PET以外に一軸延伸PPフィルム等も使用することもできる。
【実施例1】
【0032】
ジッパーテープに一軸延伸PETフィルムを使用した実施例を次に説明する。
【0033】
1 袋本体フィルム構成
OPP#25/印刷/接着剤/CPP#30
OPP: フタムラ化学株式会社製 FOR−AQ
印刷インキ:東洋インキ株式会社製 ファインスター
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM314
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK2
【0034】
2 ベーステープ12の構成
CPP#40/接着剤/PET#12/接着剤/CPP#40
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK2
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM250
PET: ユニチカ株式会社製 PET−PC
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM250
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK−L
【0035】
表1にOPPとCPPフィルムの物性表を示す。
【表1】

【実施例2】
【0036】
ベーステープに一軸延伸PPフィルムを使用して直線カット性をもたせた実施例。
【0037】
1 袋本体フィルム構成
(実施例1)と同じ
【0038】
2 ベーステープ構成
CPP#40/接着剤/一軸延伸PP#25/接着剤/CPP#40
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK2
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM250
一軸延伸PP:フタムラ化学株式会社製 MCMD−AS−2
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM250
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK−L
【実施例3】
【0039】
ジッパーテープにレーザービーム加工により直線状のハーフカットを設けた実施例を図4に示す。
【0040】
1 袋本体フィルム構成
(実施例1)と同じ
【0041】
2 ベーステープ構成
CPP#40/接着剤/PET#12/接着剤/CPP#40
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK2
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM250
PET: ユニチカ株式会社製 PET
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM250
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK−L
【0042】
レーザービームによりベーステープ12の表層13より第2層のPETフィルム14までハーフカット16を施して直線カット性をもたせる。この時ハーフカット16はベーステープ12において、表又は裏のどちらの面からでもよい。
【0043】
レーザービームによりハーフカット線をベーステープに加工する工程は、ベーステープ12の製造ラインにおいて、オス条とメス条の嵌合前に行う。
【実施例4】
【0044】
ベーステープ12にミシン目17を断続的に施して直線カット性をもたせた実施例。
【0045】
1 袋本体フィルム構成
(実施例1)と同じ
【0046】
2 ベーステープ構成
CPP#40/接着剤/PET#12/接着剤/CPP#40
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK2
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM250
PET: ユニチカ株式会社製 PET
接着剤: 東洋モートン株式会社製 ドライラミネート用接着剤 TM250
CPP: フタムラ化学株式会社製 FHK−L
【0047】
図5に示すように、ミシン目刃によりベーステープ12の全層にミシン目17を施して直線カット性をもたせる。ミシン目刃によりミシン目17をベーステープに加工する工程は、ベーステープ12の製造ラインにおいて、オス条とメス条の嵌合前に行う。
【0048】
なお、実施例3、4において、ハーフカット16及びミシン目17は連続的に設けても、断続的に設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ピロー包装袋
4 合掌張り部分
5 切り込み
6 ポイントシール
6a ポイントシール
8 ヒートシール部
9 Vカット
10 ジッパー
11 嵌合部
12 ベーステープ
14 一軸延伸PETフィルム
16 ハーフカット
17 ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合掌張シール部分を袋の裏面においてその中央に位置させると共に前記合掌張シールの先端縁に沿って易開封手段を設け、かつ
前記合掌張シール部分を一方に倒して袋の外面フィルムに全面もしくは、前記易開封手段を間においてその上下を部分的にヒートシールを行い、かつ
前記合掌張シールが倒された方向の袋の側端にヒートシール部を形成し、このヒートシール部に前記合掌張シール方向に向けてV又はIノッチ等の切り裂き手段を設けると共に
前記合掌張シールの先端縁に沿って設けた易開封手段と袋の側端縁に形成したヒートシール部が位置する袋内にジッパーを挿入し、このジッパーのベーステープ部分を袋の内面にヒートシールした構成のジッパー付ピロー包装袋において、
前記ベーステープにおける上縁と嵌合部間には、前記切り裂き手段部分から易開封手段が施された合掌張シール部分を横断し、袋の反対側の側端に至る直線カット手段を設けたことを特徴とするジッパー付ピロー包装袋。
【請求項2】
前記直線カット手段には、直線カット性のあるポリエステルフィルム又はナイロンフィルム又は一軸延伸フィルムが用いられていることを特徴とする請求項1に記載のジッパー付ピロー包装袋。
【請求項3】
前記直線カット手段には、連続的又は断続的に設けられたミシン目又はレーザー刃又はレーザービームにより加工された切り込みが含まれることを特徴とする請求項1に記載のジッパー付ピロー包装袋。
【請求項4】
前記ジッパーのベーステープは、裏面の全面又は嵌合部の上側が袋の内面にヒートシールされていることを特徴とする請求項1に記載のジッパー付ピロー包装体。
【請求項5】
嵌合部の上側に沿って位置するベーステープには、前記嵌合部と平行にカット手段が設けられていることを特徴とするピロー包装袋に用いられるジッパー。
【請求項6】
前記ベーステープの内層に直線カット性のあるポリエステルフィルム又はナイロンフィルム又は一連延伸フィルムがラミネートされていることを特徴とする請求項5に記載のピロー包装袋に用いられるジッパー。
【請求項7】
前記直線カット手段には、連続的又は断続的に設けられたミシン目又はレーザー刃又はレーザービームにより加工された切り込みが含まれることを特徴とする請求項5に記載のピロー包装袋に用いられるジッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−28394(P2013−28394A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167215(P2011−167215)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000237787)富士特殊紙業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】