説明

ジニトロピラゾール誘導体、その製造方法、及び、それを含む活性化合物

本発明は、
[化学式1]


・式中R=NO、NH、NF,NHOH,OH、又はNHNHであって、
4アミノ−3,5−ジニトロピラゾール以外であり、
前記誘導体の塩を含んでいる、
式(I)のジニトロピラゾール誘導体と、
・前記誘導体及びその塩の製造方法、及び
・少なくとも一つの前記誘導体及び/又はその誘導体の少なくとも一つの塩を有する活性化合物
を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
・新規の複素環分子、すなわち、ジニトロピラゾール(3,5−ジニトロピラゾール、及び3(5),4−ジニトロピラゾール)(dinitropyrazole)の新規の誘導体と、
・前記新規の分子の製造方法と、
・当該分子の活性化合物(energetic composition)と、
・前記新規の分子の製造において有用な、新規の生成物である合成中間体と、
に関する。
【0002】
これら新規の化合物(これら新規の分子)は、高いエネルギー性能と低い脆弱性を持ち合わせている点で特に有益である。
【背景技術】
【0003】
十年半に亘って開発された低脆弱弾薬(MUnition with Risk ATtenuationより、MURATとして知られる)により、感度が殆ど或いは全く無い爆発分子の使用が必要とされている。これらの分子の感度は可能な限り低い必要がある一方で、高度のエネルギー性能を保持する必要がある。しかしながら、これら二つの性質の調整は難しい。例えばシクロテトラメチレンテトラニトラミン (オクトーゲン)は、今日最も広く普及している爆薬であるが、(衝撃には不可欠である)低感度レベルは、MURAT式弾薬への適用には不十分である。3−ニトロ−1,2,4トリアゾール−5−オン(ONTA)は、例えばオクトーゲンと比べて感度が著しく低いため、低感度という観点においては完全に優れるエネルギー分子であるが、その一方で、エネルギー性能レベルはオクトーゲンのそれに劣る。1,3,5−トリアミノ−3,4,6−トリニトロベンゼン(TATB)、1,1’−ジアミノ−2,2’−ジニトロエチレン(FOX−7)又は、4,6−ジ(3−アミノ−5−ニトロ−1、2、4−トリアゾール)−イル−5−ニトロピリミジン等の低感度爆発分子についても同じことがいえる(仏国特許2,624,118号)。
【0004】
当業者は、この応用への要求を満たす熱安定性レベルを保持しつつ、性能と脆弱性に関して有益なトレードオフを表す新規のエネルギー分子を常に探求している。係る分子は、推進剤及び爆薬の分野においての使用を可能とする、熱力学的分解の特徴を有益に示す。
【0005】
J.Heterocyclic Chem.2001,38,122において、アール.ディー.シミット(R. D. Shmidt)、ジー.エス.リー(G.S. Lee)、ピー.エフ.パゴリア (P.F. Pagoria)、エィ.アール.ミッチェル(A.R. Mitchell)、及びアール.ジラーディ(R. Gilardi)は、新規の爆薬、すなわち4−アミノ−3,5−ジニトロ−1−ピラゾール(LLM116)の合成及び性質を説明している。係る新規の爆薬は、上に記載のトレードオフ、すなわち感度/性能に関して有益であると示されている。しかしながら、係る爆薬には、DMSO等の小さな極性有機分子を溶解し、また水の存在下において水和するという大きな欠点がある。しかし該生成物は、性能の観点からは、不純物が全く存在しない状態でおいてのみ有益であり、精製と脱水処理は時間と労力を有するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当業者は従って、上記の記載に対応し、さらに、有益には、容易に合成可能な新規のエネルギー分子を探求している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第一の主題に基づいて、新規の部類のエネルギー分子を提供する。係るエネルギー分子とは、新規のジニトロピラゾール誘導体、3,5−ジニトロピラゾール及び3(5),4−ジニトロピラゾールの新規の誘導体である。これら誘導体は、下の式(I)に一致する。
[化学式1]

式中、R=NO、NH、NF、NHOH、OH、又はNHNHである。
【0008】
既に説明されているため(上を参照)、4−アミノ−3,5−ジニトロピラゾールは、係る新規の部類より除くことが適当である。
【0009】
上に中酸性(neutral acid)型として示される新規の誘導体は、式(I’)の塩として存在が可能である。
[化学式2]

式中、Cは陽イオンを表す。
【0010】
係る塩は、本発明の第一の主題に不可欠な部分を形成する。
【0011】
当業者は、本発明の化合物(中酸性方又は塩型)は、共通の3,4,5−トリニトロピラゾール(trinitropyrazole)及び塩を有する、(下の式Ia及びI’aの)3,5−ジニトロピラゾール誘導体及び、(下の式Ib及びI’bの)3(5),4−ジニトロピラゾール誘導体の二族(family)として存在することを既に理解している。
[化学式3]

式中、R=NO、NF、NHOH、OH、又はNHNHである。
[化学式4]

式中、R=NO、NH、NF、NHOH、OH、又はNHNHである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第一の主題に関し、本発明は従って、式(I)の、以下に挙げる新規の化合物を含む。
・ 4−ヒドロキシ−3,5−ジニトロピラゾール
・4−ヒドロキシルアミノ−3,5−ジニトロピラゾール
・4−ヒドラジノ−3,5−ジニトロピラゾール
・4−ジフルオラミノ(difluoramino)−3,5−ジニトロピラゾール
・5−ヒドロキシ−3,4−ジニトロピラゾール
・5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾール
・5−ヒドロキシルアミノ−3,4−ジニトロピラゾール
・5−ヒドラジノ−3,4−ジニトロピラゾール
・5−ジフルオラミノ−3,4−ジニトロピラゾール
・3,4,5−トリニトロピラゾール(trinitropyrazole)
・係る新規の化合物の塩
【0013】
式(I)の化合物として特に望ましいものを以下に挙げる。
・ 3,4,5−トリニトロピラゾール
・4−ヒドロキシ−3,5−ジニトロピラゾール
・4−ヒドロキシルアミノ−3,5−ジニトロピラゾール
・5−ヒドロキシ−3,4−ジニトロピラゾール
・5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾール
・5−ヒドロキシルアミノ−3,4−ジニトロピラゾール
・これらの塩
【0014】
本発明の化合物の塩に関して、いかなる限定も無しに、C+が下記のものである上記の式(I)、(I’a)、又は(I’b)に有益に一致することが言える。
・アルカリ金属陽イオン(Li、Ca、K、Cs等)
・アルカリ土類金属陽イオン(Mg2+、Ba2+等)
・アンモニウム陽イオン
・置換アンモニウム陽イオン(特には、自身が随意に置換された、ヒドロキシル基(ヒドロキシルアンモニウム)、低級アルキル基(C−C、有益にはC−Cアルキル)及び/又はアリール基によって置換される。このような置換基により、化合物のエネルギー力を調整可能である。)
・ヒドラジニウム陽イオン
・グアニジン陽イオン
・アミノグアニジニウム陽イオン
・ジアミノグアニジニウム陽イオン
・イミニウム陽イオン
【0015】
本発明の化合物は、高性能、低感度又は感度の無いエネルギー化合物である。係る化合物のエネルギー性能レベルは、オクトーゲンのそれと同等、場合によってはそれに勝るものであり、感度については、ONTAのそれに見合うレベルである。本発明の化合物は従って、
両者の高いエネルギー性及び低い脆弱性、
特に有益に以下の詳述と適合すること、
・ONTA又はTATBよりも高いエネルギー性能
・極めて低い感度
・高い熱安定性(意図する用途に必要である)
により特に有益となる。
【0016】
上の陳述は、本文の後の実施例によって実証される。
【0017】
第2の主題に基づき、本発明は、上述の式(I)に係る新規化合物の製造方法及びその塩を提供する。
【0018】
式(I)の化合物の大部分は、トリニトロピラゾール(1,3,4,及び3,4,5異性体)族に属する、それ自体が周知のジニトロピラゾールより得られる「新規の前駆体」より得ることができる。問題の式(I)の化合物は、トリニトロピラゾール複素環の求核置換により得られる。
【0019】
係る周知のジニトロピラゾールは、下に明記の式に一致し、それに基づいて文献において説明されてきた。この式及び参照文献を下に示す。
・J.HeterocyclicChem.2001,38,122(上を参照)において説明された。
[化学式5]

・J.Org.Chem.1973,38,1777(ジェィ.ダブリュー.エィ.エム ジャンセン(J. W. A. M. Janssen)、エイチ.ジェィ.コイナーズ(H.J. Koeners)、シー.ジー.クルーズ(C.G. Kruse)、シー.エル.ハブラケン(C.L. Habraken)により)において説明された。
[化学式6]

【0020】
「新規の前駆体」である係るトリニトロピラゾールは、下の式と一致する。
[化学式7]

【0021】
一番目の3,4,5−トリニトロピラゾールは、本発明の化合物(R=NOである式(I)のもの)であり、本発明のその他の化合物(R=NH−NH、OH及びNHOHである式(Ia)のもの)の製造のための前駆体として使用可能である(下記参照)。
【0022】
二番目の1,3,4−トリニトロピラゾールは、新規の中間体であり、本発明の化合物(R=NH−NH、OH、NHOH、NH、及びNFである式(Ib)のもの)の製造に有益である。
【0023】
本発明の第2の主題は、特に式(I)の化合物の製造方法及びその塩に関して下記に詳細に説明される。
【0024】
係る方法は下記のステップを備えている。
A)4−ジフルオロアミノ−3,5−ジニトロピラゾールの製造に関して、
・4−アミノ− 3,5−ジニトロピラゾールをフッ化するステップ。
B)式(I)のその他の化合物の製造に関して、
・それぞれ4−アミノ−3,5−ジニトロピラゾールを酸化する又は3,5ジニトロピラゾールをニトロ化することによって3,4,5−トリニトロピラゾールから、又は3,4−ジニトロピラゾールをニトロ化することによって1,3,4−トリニトロピラゾール中間体から、トリニトロピラゾールの異性体を選択的に得るステップ。
・求核置換を行うステップ:
+前記1,3,4−トリニトロピラゾール中間体において、5位(position)をラジカルR=NH−NH、OH、NHOH、又はNHによって置換した3,4−ジニトロピラゾールを生成する。
+ 3,4,5−トリニトロピラゾールにおいて、4位をラジカルR=NH−NH、OH又はNHOHによって置換した3,5−ジニトロピラゾールを生成する。
・生じた5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールをフッ化させ、5−ジフルオロアミノ−3,4−ジニトロピラゾールを生成するステップ。
C)塩を得るために、生じた式(I)の化合物を、塩基と反応させるステップ。
【0025】
前述の項目Aと項目Bの種々のステップは、以下の反応スキームにおいて表される。
[化学式8]

【0026】
トリニトロピラゾール中間体(1,3,4−トリニトロピラゾール)及び式(I)の各化合物製造のための、前述のそれぞれのステップを以下に詳述する。
【0027】
・(周知の出発生成物(starting product)である)4−アミノ−3,5−ジニトロピラゾールを直接的にフッ化することにより、4−ジフルオアミノ−3,5−ジニトロピラゾールを得る。同様に、5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾール(前もって製造された本発明の生成物)をフッ化することにより、5−ジフルオアミノ−3,4−ジニトロピラゾールを得る。J.Org.Chem.1968,33,1008−11に詳述の、従来の長年に亘るフッ化方法が理想的に適している。
【0028】
・3,4,5−トリニトロピラゾールは、二つの異なる合成ルートから直接得ることも可能である。
+4−アミノ−3,5−ジニトロピラゾールを酸化する。
尚、係るトリニトロピラゾールは、前もって製造した5−アミノ−ジニトロピラゾールを酸化することによっても同様に得られる。この酸化反応はいずれにしても、凝縮過酸化物の中で行われると有益である。非活性アミンの酸化には、HとHSOの凝縮混合物が適している。媒体を選択的に抽出することが必要である。抽出溶媒として、ジクロロメタンを使用すると有利である。この種の酸化を、下の実施例3及び実施例4に示す。
・過酷な状況下で3,5−ジニトロピラゾールをニトロ化する。
適温状態下(0℃から常温までの間)で3(5),4−ジニトロピラゾールをニトロ化することで、1,3,4−トリニトロピラゾールが選択的に形成され(下記参照)、過酷な状況下(特に温度に関して)で3,5−ジニトロピラゾールをニトロ化することで、3,4,5−トリニトロピラゾールが選択的に形成されることを、出願人は確かに示している。この1,3,4−トリニトロピラゾール(新規の中間体)の製造方法は、下記に詳述する。3,4,5−トリニトロピラゾールが直接的に得られる3,5−ジニトロピラゾールのニトロ化は、0から100質量%の三酸化硫黄、無水リン酸、又は無水硝酸(発煙硝酸と称される)を含有するスルホ硝酸(HSO+NHO)媒体又はホスホ硝酸(HPO+HNO)媒体中において、該媒体の50℃から沸騰温度の間の温度下で行われる。本発明の、3,4,5−トリニトロピラゾールを得るこのルート、すなわち高性能化合物を得るための本発明独自の特に有益なルートを、以下の実施例5において示す。
【0029】
・1,3,4−トリニトロピラゾール、つまり新規の中間体は従って、適温状態下(上記参照)で3(5),4−ジニトロピラゾールをニトロ化することにより得られる。このようなニトロ化は、アセト硝酸(HNO酢酸無水物)の混合物又は、HNOトリフルオロ酢酸無水物の混合物等の同等の混合物中において、常温下で行われてもよい。アセト硝酸混合物中におけるこの種のニトロ化を、以下の実施例Aにおいて示す。さらに、本発明においては、ニトロニウム溶液も同様に適していることが示されている。ニトロニウムイオン溶液は、ニトロニウム塩(NOBF等)又は、HSOによって触媒したニトロ硝酸より直接生成されてもよい。この種の手順は、以下の実施例Bにおいて示す。
【0030】
3,4,5−トリニトロピラゾール(本発明の、R=NOである式(I)の化合物)及び1,3,4−トリニトロピラゾール(新規の中間体)より、求核置換によって、本発明の式(I)のその他の化合物を得ることができる。これらの置換反応は、水酸化物、アンモニア、ヒドラジン、及びヒドロキシルアミンの溶液等の無機塩基の存在下で行われ、適切に置換された、式(I)のジニトロピラゾールを形成する。前記水酸化物溶液は、炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物(ナトリウム又はカリウム水酸化物)、亜硝酸塩、もしくは水から生成してよい。これらの反応は、水又は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ニトロメタン、スルホラン、及びこれらの混合物中等の勇気溶媒において行われてよい。当該反応は、使用される溶媒の0℃未満から還流温度までの間の温度下で行われてよい。3,4,5−トリニトロピラゾールの置換反応は高温下(還流)で、1,3,4−トリニトロピラゾールの置換反応は低温下で行われることが好ましい。実際、ハブラケン(Habraken)及びポエルズ(Poels)の記事(J.Org.Chem.1977,42,2893)に記載されるように、1,3,4−トリニトロピラゾール等の1,4−ジニトロピラゾール誘導体に対する求核置換反応は、ピラゾールの5位(5 position)の官能化及び、N−ニトロの置換を起こす。一方で、より活発な状態下では、3,4,5−トリニトロピラゾールの求核置換は意外にも、ピラゾールの炭素(4)で起こる。
【0031】
5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールを得るので、前記置換反応は求核的アミノ化(nucleophilic amination)である。求核的アミノ化の技術は数多く知られる。(上述の)アンモニアとの反応、ガブリエル(Gabriel)の(フタルアミド誘導体媒介の)方法及び、アジ化物イオン(N)等のアンモニアの合成等価体の反応が、実施例として言及される。5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールは従って、有益的に、二つのステップより選択的に製造することが可能である。
・アジ化物塩(azide salt)を1,3,4−トリニトロピラゾールと反応させ、新規の化合物である5−アジド−3,4−ジニトロピラゾールを形成する(下記の実施例Cの図示参照)ステップと、
・三置換ホスフィン又はチオール酢酸の作用等の従来の方法を用いて、前記5−アジド−3,4−ジニトロピラゾールを還元反応させるステップ(下記の図1及び2の図示参照)。
【0032】
前記二つのステップを、以下に概略的に示す。
[化学式9]

【0033】
加えて、前記5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールは、酸化により3,4,5−トリニトロピラゾールを生成させ(上記参照)、フッ化により4−ジフルオロアミノ−3,5−ジニトロピラゾールを生成させる(上記参照)ことができることを思い出されたい。
【0034】
式(I)のいずれかの化合物の塩を得るには、該化合物と適切な(上記の式の塩に係る式COHの)塩基とを反応させる。
【0035】
第3の主題に基づき、本発明は、式(I)の化合物(及びその塩)の製造に有利な新規の中間体を提供する。上記工程の説明に示される係る新規の中間体は、下記を含む。
・1,3,4−トリニトロピラゾールと、
・5−アジド−3,4−ジニトロピラゾール。
【0036】
本発明の式(I)の新規の化合物は、
・上に示す通り、一般的な形(式(I)、(Ia)、及び(Ib))及び、具体的には(先に挙げた化合物の一覧を参照)更に/又、
・上に説明される(1つのステップに限定される3,4,5−トリニトロピラゾール及び4ジフルオロアミノ−3,5−ジニトロピラゾールを得るための)方法により、より一般的には、(式(I)のその他の化合物を得るための)2または3のステップを含む方法により(容易に)得ることができ、
(感度/性能トレードオフ及び熱安定性に関して)特に有益なエネルギー特性を示す。パフォーマンス特性においては、推進剤及び爆薬への適用に有利である。
【0037】
本発明の化合物(及びその塩)は、ONTA、TATB、及びI−RDX(登録商標)に代表される低感度エネルギー分子に対し、明らかに有益な競合物を構成する。これらは、爆薬及び従来品に対して低い推進剤脆弱性を有する推進剤のMURATタイプへの適用への重要な候補である。
【0038】
上述のように、第3の主題に基づき、本発明は従って、式(I)の少なくとも一つの化合物及び/又は係る化合物の少なくとも一つの塩を(効果的な量)含む活性化合物を提供する。
【0039】
前記効果的な量は、前記活性化合物に要求される的確な最終用途(exact end use)に鑑み、当業者の範囲において決定される。係る活性化合物は特には、爆薬組成物又は推進組成物によって構成される。これら二種類の(従来のエネルギー分子を有する)活性化合物は、当業者によく知られるものである。
【0040】
本発明の第一種類の活性化合物、すなわち爆薬組成物は、(不活性又は活性)結合剤を含む、又は含まない。係る爆薬組成物は一般的に、少なくとも20質量%の式(I)の少なくとも一つの化合物及び/又は係る化合物の少なくとも一つの塩を含み、特に一般的には、少なくとも50質量%の式(I)の少なくとも一つの化合物及び/又は係る化合物の少なくとも一つの塩を含む。係る爆薬組成物は完全には、90質量%から100質量%の式(I)の少なくとも一つの化合物及び/又は係る化合物の少なくとも一つの塩を含有することが可能である。
【0041】
本発明の第二種類の活性化合物、すなわち推進剤組成物は、不活性又は活性結合剤を含む。係る推進剤組成物は、式(I)の少なくとも一つの化合物及び/又は係る化合物の少なくとも一つの塩を80質量%以下含み、特に一般的には、50質量%以下の式(I)の少なくとも一つの化合物及び/又は係る化合物の少なくとも一つの塩を含む。
【0042】
以下の実施例を用い、ここに本発明を図示する。
【0043】
実施例A、B、及びCは、合成中間体の製造を示す。
【0044】
実施例1から6は、本発明に係るジニトロピラゾール誘導体、すなわち式(I)のR=NH、NO、OH(下の表1参照)の製造方法を表す。これら化合物の性質及びパフォーマンス特性には、興味深いものがある(下の表2から4参照)。添付の図1,2,及び3に、X線を用いて測定した係る化合物の構成を示す。
【0045】
実施例 A
200mgの3,4−ジニトロピラゾールを、1.4ml(2.13g)の凝縮硝酸含有の、7mLの0°Cの酢酸無水物に導入する。温度は15℃まで上げられ、そしてこの温度下で、該混合物を18時間攪拌する。該反応混合物を、70gの氷の上に注ぎ、その生成物をジクロロメタンで抽出する。塩化されたこの有機相(organic phase)は、硫酸マグネシウム上において乾燥され、ろ過され、そして真空状態において凝縮される。この方法により、200gの粗生成物が回収される。係る1,3,4−トリニトロピラゾールはヘキサン/AcOEt(2/0.5,v/v)の混合物の溶出と共にシリカゲル上で浄化される。これにより、34mgの純粋な、無色の液体が回収される(収率13%)。H NMR(アセトン):8.49(s,CH);13C NMR(アセトン):128.6(CH),128.4(CNO,広);145.1(t,CNO);14N NMR(アセトン):310.3,314,351.5ppm。DSC:分解点:191℃。
【0046】
実施例 B
0℃でのアルゴンによるシール下で、200mgの3,4−ジニトロピラゾールを、ニトロニウムテトラフルオロホウ酸塩を193mg含有する20mLの無水性アセトニトリルに導入する。該反応混合物を、常温下で18時間放置して反応させる。続いて真空状態で凝縮され、そして30mLの氷水で加工され、ジクロロメタンで抽出される。係る回収及び生成相は、実施例1において説明されるそれと同じである。精製により、121mgの純粋な無色の液体が生成される(収率47%)。
【0047】
実施例 C
実施例1及び2で説明される1,3,4−トリニトロピラゾールを5mLのテトラヒドロフランで薄めた溶液を、アジ化ナトリウムをジメチルスルホキシド(28mL)に攪拌した懸濁液中に、常温でゆっくりと注ぎ込む。一時間攪拌した後、該反応混合物を280gの氷の上に注ぎ、そして37%の塩化水素溶液を用いてpH1にまで酸性化する。該混合物を、60mLのジエチルエーテルで抽出する。有機相が回収され、0.1N HCIで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空状態で凝縮する。該生成物をその後、10mLのジクロロメタン中において、黄色の固体物が得られるまで粉末化する。5−アジド−3,4−ジニトロピラゾールをろ過し、真空状態で30分間乾燥させる。これにより、続く相(phase)においてそのまま用いられる220mgの黄色の固体物が生成される(収率23%)。H NMR(アセトン):目立つ量無し(no signal)。13C NMR:(アセトン):(ppm):118.1(Q),140.6(Q),150.1(Q)。14N NMR(アセトン)(ppm):357.1(NO),335.4(NO),310.3(N),231。DSC:融点:141.3℃、分解点:156.7℃。
【0048】
実施例 1
200mgの5−アジド−3,4−ジニトロピラゾールを、常温で2日間、10mlのチオール酢酸中において還元する。続いて、20mlのヘキサンを注ぐことにより、生成物を沈殿(precipitate)させる。この方法でろ過することにより、50mgの黄色の固体物が回収される(収率28%)。
係る生成物の構造式及び、該構造を立証する物理化学的分析の結果(H、13C、及び14N NMR及びMS)を、下の表1に示す。
【0049】
実施例 2
常温下で、一杯の(one portion)287mgのトリフェノルホスフィンを、200mgの5−アジド−3,4−ジニトロピラゾール含有の20mLのテトラヒドロフランに加える。該反応混合物を常温で18時間攪拌し、そして5mLの蒸留水を加える。該反応混合物を、還流状態で20時間放置して反応させる。その後、10%のナトリウム水酸化物溶液を加え、pHを10〜11まで上げる。該反応混合物を、酢酸エチル(20mL)で二度洗浄し、そして10%の塩化水素を用いて酸性pH1まで酸性化させる。該生成物は続いて、20mLのジエチルエーテルで(三度)抽出される。該エーテル相は、組み合わされ、そして飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄され、硫酸ナトリウム上で乾燥され、そして真空状態において凝縮される。係る生成物は続いて20mLのジクロロメタン中で粉末化された後、ろ過及び乾燥される。これにより、65mgの赤い固体物が生成される(収率51%)。
【0050】
係る生成物の構造式及び、該構造を立証する物理化学的分析の結果(H、13C、及び14N NMR及びMS)を、下の表1に表す。
【0051】
実施例 3
600mgの5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールを、良く攪拌した過硫酸ナトリウム(3g)、60%の過酸化水素(2.5g)、及び凝縮硫酸(4g)の混合物に、常温で全て一度に加える。該反応混合物を8時間攪拌し、そしてジクロロメタンで5度抽出する(5×20mL)。係る塩化相は組み合わされ、硫酸マグネシウム上において乾燥され、ろ過され、そして真空状態で凝縮される。これにより、217mgの純粋な組成物が生成される(収率31%)。
【0052】
係る生成物の構造式及び、該構造を立証する物理化学的分析の結果(H、13C、及び14N NMR及びMS)を、下の表1に表す。
【0053】
実施例 4
600mgの4−アミノ−3,5−ジニトロピラゾールを、良く攪拌した過硫酸ナトリウム(3g)、60%の過酸化水素(2.5g)、及び凝縮硫酸(4g)の混合物に、常温で全て一度に加える。該反応混合物を8時間攪拌し、そしてジクロロメタンで5度抽出する(5×20mL)。係る塩化相(chlorinated phases)は組み合わされ、硫酸マグネシウムの上で乾燥され、ろ過され、そして真空状態で凝縮される。これにより、325mgの純粋な生成物が生成される(収率47%)。
【0054】
係る生成物の構造式及び、該構造を立証する物理化学的分析(H、13C、及び14N NMR及びMS)を、下の表1に表す。
【0055】
実施例 5
202mgの3,5−ジニトロピラゾールを、6gの凝縮硫酸に溶かす。4gの発煙硝酸を、常温で素早く加える。続いて滴下漏斗を用い、60%のSO(質量力価(mass titer))含有の6gの発煙硫酸(sulfuric oleum)を加える。該反応混合物の温度は上げられ、続いて70℃で一時間熱せられる。該反応混合物は常温にまで冷却されるよう放置された後、30gの氷中で加水分解される。該混合物は、酢酸エチルで三度抽出される。この有機相は、組み合わされ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥され、ろ過され、そして真空状態において凝縮される。これにより245mgの純粋な無色の組成物が生成される(収率95%)。
【0056】
係る生成物の構造式及び、該構造を立証する物理化学的分析(H、13C、及び14N NMR及びMS)を、下の表1に示す。
【0057】
実施例 6
140mgの3,4,5−トリニトロピラゾールを、200mgのナトリウム水酸化物溶液(10mL)に、全て一度に加える。この混合物を、3時間還流状態で熱する。続いて、該混合物を10%の塩酸溶液を用いてpH1〜2まで酸性化させ、そして酢酸エチルで三度抽出する。この有機相は組み合わされ、硫酸ナトリウム上で乾燥され、ろ過され、そして真空状態において凝縮される。固体残渣は、10mLのジクロロメタンに溶解され(taken up)、ろ過される。これにより、40mgの黄色の固体物が回収される。
【0058】
係る生成物の構造式及び、該構造を立証する物理化学的分析(H、13C、及び14N NMR)を、下の表1に示す。
【0059】
以下に、上述の表1を示す。
【表1】

【0060】
さらに、実施例で得られた係る生成物の構造、すなわち
実施例1及び2の5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾール、
実施例3、4及び5の3,4,5−トリニトロピラゾール、
実施例6の4−ヒドロキシ−3,5−ジニトロピラゾール
は、X線解析によって確認された。
【0061】
得られた結果をそれぞれ添付の図1,2,及び3に表す。
【0062】
図2を参照すると、最小の結晶格子は二つの分子を含んでいることが明らかである。係る部分を占めるものはピラゾール環に存在する各窒素原子に対して0.5である。
【0063】
図3を参照すると、係る分子は、3分の2の水分子の存在下で結晶化することが明らかである。
【0064】
実施例1から6中で製造された本発明の生成物(化合物)の性質及びパフォーマンス特性に注意が払われた。
【0065】
a)感度及び熱安定性
本発明の生成物及び、比較対象としてのONTA、HMX、及びHNIW(ONTA=5−ニトロ−1,2,4−トリアゾール−3−オン、HMX=オクトーゲン、HNIW=CL20=ヘキサニトロ−ヘキサアザイソウルトジタン)に衝撃試験、摩擦試験、及び電気火花試験を行い、それぞれの機械的及び静電気的な外部刺激に関する感度を評価した。
【0066】
行われた試験を下に記載する。
【0067】
衝撃感度:この試験は、規格NF T 70−500に記載のものに対応し、「Recommendations on the Transport of Dangerous Goods−Manual of Tests and Criteria」第4改訂版、ST/SG/AC.10/11/Rev.4,ISBN92−1−239083−8ISSN (フランス版)1014-7179のUNO試験3a)ii)と同様のものである。最低限の30回の一連の試験において、落槌の衝撃を受ける爆薬物質に関して50%の肯定的な結果を表すエネルギーを決定する(ブルーストン(Bruceton)結果解析法)。試験材料は、二つのローラとガイドリングから成るスチール製の装置の中に閉じ込められる。槌の質量及び落下高さを調節することにより、エネルギーを1から50Jの範囲で変更することができる。試験を行った生成物のいくつかについては、可能な材料が少量であったため、これらの生成物に対しては、規格NF T 70−500の推奨よりも少ない回数の再現性試験のみが行われた。
【0068】
摩擦感度:行われる試験は、規格NF T 70−503に記載のものに対応し、UNO試験3b)ii)と同様のものである。最低限の30回の一連の試験において、ブルーストン(Bruceton)法を用い、摩擦を受ける爆薬物質に関して50%の肯定的な結果を表す力を決定する。試験材料は、規定の粗さの磁器プレート上に載置され、振れ幅10mmで秒速7cmの速さで、空の状態で(empty state)該試験材料の上に置かれた磁器の栓に対して一回前後に動かされる。試験材料を覆う磁器の栓にかけられる力は、7.8から353Nの間で変更できる。試験を行った生成物のいくつかについては、可能な材料が少量であったため、これらの生成物に対しては、規格NF T 70−500の推奨よりも少ない回数の再現性試験のみが行われた。
【0069】
電気火花による発火に対する感度:行われる試験は、当出願人によって開発されたものであり、NF又はUNOとは異なるものである。直径10mm、高さ1.5mmの皿に配置された試験材料を、2つの電極の間に設置し、5から726mJの可変エネルギーの電気火花にさらす。火工的な事象が起きたかどうかシステムの観察が行われ、該試験材料の起爆がもはや認められないエネルギー閾値が決定される。この閾値は、連続20回の試験をもって決定される。試験を行った生成物のいくつかについては、可能な材料が少量であったため、これらの生成物に対しては、規格NF T 70−500の推奨よりも少ない回数の再現性試験のみが行われた。
【0070】
熱安定性については、続いて次のように判定した。
【0071】
熱安定性:熱安定性は、示差熱分析(DSC)法を用いて分析される。示差熱分析は、温度が上昇した際に起こる転移及び反応の熱性(thermicity)を分析することにより、任意の温度範囲における生成物の特徴を調べるものである。遷移温度は、試料を熱するたに使用する熱流量を調節することにより検出する。この方法により、溶融温度(m.p:融点)、沸騰温度(b.p.:沸点)、及び分解温度(dec:分解点)を識別することができる。
【0072】
得られた結果を、下の表2に示す。
【0073】
【表2】

m.p=融点 b.p.=沸点 dec.=分解点
【0074】
表2に示す値を考察することで、以下の見解に至った。
【0075】
本発明の化合物は、様々な試験において比較的低い感度を示した。一般的な見地から、本発明の化合物は、HMX(すなわちオクトーゲン)等のニトラミンタイプの従来の爆薬化合物に比べ、著しく感度が低い。係るピラゾールにみられる感度は、ONTAのそれと同様のものであり、更にある場合においては、ONTA(著しく低感度な爆薬)のそれよりも低いものである。個々には、5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールが3つの試験(衝撃、摩擦、静電気試験)において特に低感度を示した。この化合物は従って、ONTAよりも低感度であるということが分かる。3,4,5−トリニトロピラゾールの衝撃感度は、ONTAのそれに近く、このようなエネルギーレベルを有する化合物では例外的である。この低衝撃感度は、極めて適切な摩擦感度を伴っている。4−ヒドロキシ−3,5−ジニトロピラゾールは、摩擦に対して明らかに低感度であり、衝撃に対しては、HMXよりもかすかに低感度である。これらの安全性データによって明らかに、これらの化合物の低脆弱性エネルギー物質での使用が検討できる。
【0076】
この熱安定性は高く、爆薬及び推進剤への応用に適したものである。
【0077】
b)パフォーマンス特性:
本発明の生成物のエネルギーレベルは、密度の実験的測定(X線分析)及び生成エンタルピーの計算により決定される。
パフォーマンス特性はそれから、ニトロ油で可塑した結合剤の存在下で、爆発性に関して、そして推進剤への応用に対する推進性に関して計算された。該結合剤の構成ポリマーは、活性タイプ(ポリグリシジルアザイド:PGA)又は不活性ポリマータイプ(HTPE:ヒドロキシテレケリックポリエーテル)である。
爆発性及び推進性(過塩素酸アンモニウム及びアルミニウムを加えない簡素な構成に関して計算された)に関する能結果を、下の表3に順に並べる。
【0078】
【表3】

*動力的及び内部的な爆発エネルギーは、生成物の初期質量を二倍に膨張させる程度発せられるものである。参照HMX=100。
**X線で計測された、水和化合物(水分2/3)の結晶の密度は1.807である。表に示す値は、未水和化合物に関して計算された値である。
【0079】
爆発性能の結果から、以下のことが分かる:
・3,4,5−トリニトロピラゾールは、低い衝撃感度に関して、オクトーゲン(HMX)の性能と同等の強力な爆薬を構成する。
・全ての試験において低感度を示す化合物である5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールは、(特に衝撃に対して)ONTAに比べて低感度であり、そしてONTAに対して10%大きいエネルギーを特徴とする爆薬を構成する。
【0080】
推進性能の結果から、以下のことが分かる。
・3,4,5−トリニトロピラゾールの場合、簡素な推進剤への応用において、RDX及びHMX等の周知のニトロアミンから得られた値に対して、特定の衝撃値に関して特に重要な利得(gain)が得られる(その差異は、10sを超えるものである)。この化合物は、CL20(今日知られる最も高性能の開発中のエネルギー分子)の性能レベルですら越えるものである。簡素な推進剤におけるCL20の具体的な衝撃値は、15%のHTPE結合剤を含有する場合に260.1s、30%のPGA結合剤を含有する場合に261.5sである。3,4,5トリニトロピラゾールの具体的な衝撃値は、15%のHTPE結合剤を含有する場合に261.3s、30%のPGA結合剤を含有する場合に261.9sである。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の、
[化学式1]

式中R=NO,NH,NF,NHOH,OH又はNHNHであり、
4−アミノ−3,5−ジニトロピラゾール以外である化合物、
又は前記化合物の塩。
【請求項2】
式(Ia)の、
[化学式2]

式中R=NO、NF、NHOH、OH又はNHNHである化合物、
又は前記化合物の塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(Ib)の、
[化学式3]

式中R=NO、NH、NF、NHOH、OH、又はNHNHである化合物、
又は前記化合物の塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3,4,5−トリニトロピラゾール、
4−ヒドロキシ−3,5−ジニトロピラゾール、
4−ヒドロキシルアミノ−3,5−ジニトロピラゾール、
5−ヒドロキシ−3,4−ジニトロピラゾール、
5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾール、
5-ヒドロキシルアミノ-3,4-ジニトロピラゾール,
又は前記化合物の塩
より選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
陽イオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、置換アンモニウム、ヒドラジウム、グアニジニウム、アミノグアニジニウム、ジアミノグアニジニウム、及びイミニウムの陽イオンから選択されたものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の、式(I)の化合物の塩。
【請求項6】
A)4−アミノ−3,5−ジニトロピラゾールをフッ化することによって、4−ジフルオロアミノ−3,5−ジニトロピラゾールを製造するステップと、
B)式(I)のその他の化合物を製造する、以下のステップを含むステップと、
・それぞれ4−アミノ−3,5−ジニトロピラゾールを酸化する又は3,5−ジニトロピラゾールをニトロ化することによって3,4,5−トリニトロピラゾールから、又は3,4−ジニトロピラゾールをニトロ化することによって1,3,4−トリニトロピラゾール中間体から、トリニトロピラゾールの異性体を選択的に得るステップと、
・求核置換を行うステップであって、ステップ中において
+前記1,3,4−トリニトロピラゾール中間体において、5位をラジカルR=NH−NH、OH、NHOH、又はNHで置換した3,4−ジニトロピラゾールを生成し、
+前記3,4,5−トリニトロピラゾールにおいて、4位をラジカルR=NH−NH、OH又はNHOHで置換した3,5−ジニトロピラゾールを生成する、
・5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールをフッ化することにより、5ジフルオルアミノ−3,4−ジニトロピラゾールを生成するステップ、
C)式(I)から生じる化合物を塩基と反応させることにより、塩を得るステップと、
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその化合物の塩の製造方法。
【請求項7】
前記3,5−ジニトロピラゾールのニトロ化が、0から100質量%の三酸化硫黄、無水リン酸、又は無水硝酸含有のスルホ硝酸又はホスホ硝酸媒体の中で、該媒体の50℃から沸騰温度の間で行われることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
5−アジド−3,4−ジニトロピラゾールを介し、直接的又は間接的に求核アミノ化を行うことにより、1,3,4−トリニトロピラゾール中間体より5−アミノ−3,4−ジニトロピラゾールを得ることを特徴とする、請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
1,3,4−トリニトロピラゾールから成る、又は
5−アジド−3,4−ジニトロピラゾールから成ることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又は該化合物の塩の調製に有益な中間体。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも一つの化合物及び/又は、該化合物の少なくとも一つの塩を効果的な量含むことを特徴とする、活性化合物。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも一つの化合物、及び/又は該化合物の少なくとも1つの塩を、20質量%含むことを特徴とする、請求項10に記載の活性化合物。
【請求項12】
請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも一つの化合物、及び/又は該化合物の少なくとも1つの塩を、90質量%から100質量%含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の活性化合物。
【請求項13】
請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも一つの化合物、及び/又は該化合物の少なくとも1つの塩を、結合剤中に80質量%未満含むことを特徴とする、請求項10に記載の活性化合物。

【公表番号】特表2010−530370(P2010−530370A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511742(P2010−511742)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002535
【国際公開番号】WO2008/152525
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(506100082)エスエヌペーウー マテリオー エネルジェティク (24)
【氏名又は名称原語表記】SNPE MATERIAUX ENERGETIQUES
【住所又は居所原語表記】12 Quai Henri IV 75004 PARIS France