説明

ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオール類及び類似のピリミジンジオール類の合成

本発明は、効果的で、高収率、かつ高価で潜在的に不安定な中間体を必要としない、ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオール類、及び類似のピリミジンジオール類を製造するための改善された方法に関する。該ジオール類は、PDE4を阻害するピリミジン化合物の合成における中間体として使用され、したがって呼吸器又は消火器疾患及び病状、抹消又は中枢神経系疾患及び障害、炎症症状、ならびに癌の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年5月13日に出願の米国仮特許出願第61/052,816号の利益を主張し、この出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオール類、特に6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール、及び類似のピリミジンジオール類を製造するための改善された方法に関する。より具体的には、本発明は、高価で潜在的に不安定な中間体を必要としない、効果的で高収率反応でピリミジンジオール類を製造するための方法を記載する。ピリミジンジオール類は、医薬品の合成における中間体を含む種々の目的に有用である。
【0003】
関連技術の説明
ジヒドロチエノピリミジン類は通常、例えば米国特許出願公開第2007/0259846号及び国際公開第2006/111549号に記載されているように、ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオール類から合成される。ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオール中間体の合成は、高価で潜在的に不安定な中間体を必要とせず、かつまた高収率及び高純度で所望の生成物を得られる効率的な反応での実施は困難であることが判明している。例えば米国特許第3,318,881号は、ケト−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸メチルエステルとs−エチルイソチオウレアとの縮合により2−エチルスルファニル−6−7−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オールを生成し、次いでこれを、米国特許出願公開第2007/0259846号に記載されているように、酸加水分解に付してジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオールを得ることができると報告している。しかしこの方法では低収率しか提供しないのに、高価でかつ入手がしにくく、また酸加水分解の間にエタンチオールの放出に伴って不快な悪臭を生じる、s−エチルイソチオウレア又は他のs−アルキルイソチオウレア類の使用を必要とする。例えば Ohno et al. (1986) Chem. Pharm Bull. 34:4150により報告されているように、縮合反応においてs−アルキルイソチオウレアをより安価なウレアに代える試みは、収率の悪さのせいで不成功に終わった。
【0004】
他のピリミジン類は、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリミジン−2,4−ジオールなどのピリミジン−2,4−ジオール類から低収率で合成することができる。例えば、Sekiya et al. (1980) Eur. J. Med. Chem. 15, 4: 317により報告されているジオール類を使用して、血糖降下薬、降圧薬及び食欲抑制剤としての使用のために、2,4−ジアミノ−5,6−ポリメチレンピリミジン誘導体を生成した。しかし、上記で論じた制限のせいで、改善されかつ効果的な合成方法による中間体ジオール類の製造が当技術分野において依然必要である。
【0005】
発明の簡単な説明
本発明は、ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオール類、及び類似のピリミジン−2,4−ジオール類の、改善された高収率の製造方法を提供する。式(I):
【0006】
【化1】


で示される化合物を製造するための開示方法であって、該方法は、式(II):
【0007】
【化2】


で示される出発物質を、酸の存在下、ウレアと反応させて、式(IV):
【0008】
【化3】


で示される中間体を得て、そして式(IV)の中間体を、塩基を用いて環化して、式(I)の最終生成物を得ることを含む。
【0009】
本発明はまた、更なるピリミジンジオール類を製造するための方法を提供する。例えば、式(X):
【0010】
【化4】


で示される化合物を製造する方法であって、該方法は、式(VIII):
【0011】
【化5】


で示される出発物質を、酸の存在下、ウレアと反応させて、式(IX):
【0012】
【化6】


で示される中間体を得て、そして式(IX)の中間体を、塩基を用いて環化して、式(X)の最終生成物を得ることを含む。
【0013】
酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、過塩素酸、トルエンスルホン酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸及び硝酸から選択され得る。好ましい実施態様において、酸は塩酸である。塩基は、金属ヒドリド塩基、金属アルコキシド塩基、及び金属リン酸塩基からなる群より選択され得る。好ましい実施態様において、塩基はMeONaである。別の好ましい実施態様において、塩基は、NaOHである。
【0014】
本発明の一つの実施態様において、式(I)の化合物は、6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール(式(Ia))、6−メチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール(式(Ib))、6−エチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール(式(Ic))、6−フェニル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール(式(Id))、6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール(式(Ie))又は7−メチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール(式(If))である。
【0015】
本発明の別の実施態様において、式(X)の化合物は、9H−インデノ[2,1−d]ピリミジン−2,4−ジオール(式(Xb))である。
【0016】
上記ならびにより更に本発明の特徴及び利点は、その特定の実施態様の下記の詳細な説明を考慮すれば、明らかになるであろう。
【0017】
発明の詳細な説明
ここで本発明の現在の好ましい実施態様が詳細に論及され、それは下記の実施例と共に本発明の原則を説明するのに役立つであろう。これらの実施態様は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に記載されているが、当然のことながら他の実施態様を利用できること、そして本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、構造的、物理的、及び化学的変更を行ってよいことを理解すべきである。断りない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似している、又は同等である任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験において使用することができるが、ここで好ましい方法、装置及び材料を記載する。
【0018】
下記略語が、本明細書において使用される:
Bu=ブチル;
HPLC=高速液体クロマトグラフィー;
iPr=イソプロピル;
Me=メチル;
NMR=核磁気共鳴;
LCMS(EI)=液体クロマトグラフィー質量分析(電子衝撃)
t=tert;及び
TLC=薄層クロマトグラフィー。
【0019】
本明細書において具体的に定義されない用語は、本開示及び文脈に照らして、当業者がこれらに与えるであろう意味を与えるべきである。例えば、「C1−6アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ペントキシ及びヘキソキシなど、終端の酸素を有するC1−6アルキルである。当然のことながらすべてのアルキル基、アルキレン基又はアルキニル基は、構造的に可能である場合、そして特記のない限り、分岐又は非分岐であると理解されよう。
【0020】
他のより特定な定義は、下記のとおりである:
【0021】
「アルキル」という用語は、特記のない限り、1〜10個の炭素原子を含有する飽和脂肪族基、又は2〜12個の炭素原子を含有する単−もしくは多不飽和脂肪族炭化水素基を指す。単−もしくは多不飽和脂肪族炭化水素基は、少なくともそれぞれ1個の二重結合又は三重結合を含有する。「アルキル」の例には、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖状アルキル基及び3〜10個の炭素原子を含有する分岐鎖状アルキル基である、アルキル基を含む。他の例は、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖状アルキル基及び3〜6個の炭素原子を含有する分岐鎖状アルキル基である、低級アルキル基を含む。当然のことながら、「アルク(alk)」又は「アルキル(alkyl)」という接頭語を用いた任意の組合せ用語は、「アルキル」の上記定義による類似体を指す。例えば、「アルコキシ」、「アルキルチオ」などの用語は、酸素又は硫黄原子を介して第2の基に結合しているアルキル基を指す。「アルカノイル」は、カルボニル基(C=O)に結合しているアルキル基を指す。本明細書において記載されている各アルキル又はアルキル類似体は、当然のことながら、場合により部分的又は全体的にハロゲン化されていることが理解されよう。
【0022】
「シクロアルキル」という用語は、上で定義のように、アルキル基の環状類似体を指す。シクロアルキル基の例は、3〜8個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の非芳香族シクロアルキル基であり、他の例には、3〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキル基を含む。「シクロアルキル」の例には、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを含む。
【0023】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、飽和又は不飽和のいずれであってもよく、かつ非芳香族である、安定的な4〜8員(しかし好ましくは、5員又は6員)の単環式の、又は8〜11員の二環式の複素環基を指す。各複素環は、炭素原子、ならびに窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子からなる。複素環は、環の任意の原子により結合されていてもよく、これが結果として安定的な構造の創製となる。「ヘテロシクロアルキル」の例には、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、インドリニル、アゼチジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ジヒドロ−オキサゾリル、1,2−チアジナニル−1,1−ジオキシド、1,2,6−チアジアジナニル−1,1−ジオキシド、イソチアゾリジニル−1,1−ジオキシド、及びイミダゾリジニル−2,4−ジオンなどの基を含む。
【0024】
「ハロゲン」という用語は、臭素、塩素、フッ素又はヨウ素を指す。本明細書において上記および本出願全体に亘り使用されるように、「窒素」及び「硫黄」には、窒素及び硫黄の任意の酸化型ならびに任意の塩基性窒素の四級化型を含む。
【0025】
「アリール」という用語は、当然のことながら6〜12員芳香族炭素環を意味すると理解され、それは単一の環であることができる、又は一緒に縮合しているかもしくは共有結合している多数の環であることができる。「アリール」という用語は、例えば、フェニル及びナフチルを含み;「アリール」を含む他の用語は、アリールの構成要素に関して同じ定義を有し、これらの部分の例には:アリールアルキル、アリールオキシ又はアリールチオが含まれる。
【0026】
「ヘテロアリール」という用語は、安定的な5〜8員(しかし、好ましくは、5員又は6員)の単環式の、又は8〜11員の二環式の芳香族複素環基を指す。各複素環は、炭素原子、ならびに窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子からなる。ヘテロアリール基は、環の任意の原子により結合されていてもよく、これが結果として安定的な構造の創製となる。「ヘテロアリール」の例には、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル及びフェノキサジニルなどの基が含まれる。
【0027】
「場合による」又は「場合により」という用語は、その後に述べられる事象又は状況が起きるかもしれないし、又は起こらないかもしれないこと、そしてこの記述に、その事象又は状況が起こる場合及びそれが起こらない場合が含まれることを意味する。例えば、「場合により置換されているアリール」とは、アリール基が置換されているかもしれないし、又は置換されていないかもしれないこと、そしてこの記述が、置換されているアリール基及び置換基を全く有さないアリール基の両方を含むことを意味する。
【0028】
「置換されている」という用語は、特別に指定されていてもそうでなくても、基又は分子の原子上の任意の1個以上の水素が、置換基の指示された群からの選択肢で置き換えられていること(但し、原子の通常の原子価を超えず、かつこの置換によって安定な化合物が得られること)を意味する。置換基への結合が、環中の2個の原子を結び付ける結合と交差して示される場合、該置換基は、環上のいずれの原子に結合されていてもよい。置換基が原子(この原子を介して該置換基は、化合物の残りの部分に結合されている)を表記せずに挙げられている場合、該置換基は該置換基中の任意の原子を介して結合されていてもよい。例えば、置換基が、ピペラジニル、ピペリジニル、又はテトラゾリルである場合、特に断りない限り、該ピペラジニル、ピペリジニル、又はテトラゾリル基は、該ピペラジニル、ピペリジニル、又はテトラゾリル基中の任意の原子を介して、本発明の化合物の残りの部分に結合していてもよい。一般的に、任意の置換基又は基が、任意の成分又は化合物中で2回以上出現した場合、各出現毎のその定義は、他の全ての出現でのその定義とは独立している。したがって、例えば基が0〜2Rで置換されていることが示される場合、該基は、場合により、2個以下のR基で置換されており、各出現毎のRは、可能なRの規定のリストから独立に選択される。しかし該組み合わせが結果として安定的な化合物となる場合に限り、置換基及び/又は変数の該組み合わせは、許容される。
【0029】
本発明は、ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオール類、及び類似のピリミジン−2,4−ジオール類の合成のための新規な方法に関し、それにより、より高い収率、より効果的な反応、ならびにジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオール類及び類似のピリミジン−2,4−ジオール類の大規模生産に関連する先行技術の多数の問題を解決することを提供する。本方法は、高価で潜在的に不安定な中間体を必要としない効果的な合成スキームを提供し、そして所望であれば「ワンポット」反応として実施することができる。
【0030】
式(I)及び(X)の化合物を製造する方法は、本明細書に記載されている。本発明の化合物は、一般的方法及び下記に示した実施例、ならびに当業者に公知の更なる方法により製造することができる。最適の反応条件及び反応時間は、使用する特定の反応物に依存して変化してもよい。特記のない限り、溶媒、温度、圧力、及び他の反応条件は、当業者が容易に選択することができる。具体的な手順は、実施例のセクションに提供されている。反応の進行は、TLC又はHPLCなどの従来の方法によりモニターすることができる。中間体及び生成物は、カラムクロマトグラフィー、HPLC又は再結晶をはじめとする当技術分野における公知の方法により精製することができる。
【0031】
好ましい方法は、例えば、式(I):
【0032】
【化7】


[式中、
及びRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から、好ましくはH、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ及び−NRR’から独立に選択され;そして
ここで、R及びR’は、H又はアルキルである]で示されるジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオールの製造方法を提供する。
【0033】
好ましい方法はまた、例えば、式(X):
【0034】
【化8】


[式中、
及びRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から独立に選択されるか(但し、R、R及びRは、すべてHではあり得ない);或いは、
とRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、部分又は完全水素化ピリミジン及びナフタレンからなる群より選択される環を形成し、これらは、場合により、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及びヒドロキシの中から選択される残基で置換されていてもよく;
は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から、好ましくはH、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及び−NRR’から選択され;そして
ここで、R及びR’は、H又はアルキルから独立に選択される]で示される2,4−ピリミジンジオール類の製造方法を提供する。
【0035】
本発明の一つの実施態様である、スキーム1に記載されているように、式(I)の化合物は、式(II)[式中、Rは、アルキルである]の3−ケト−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸アルキルエステルと、ウレア(III)との酸触媒縮合により、式(IV)の3−ウレイド−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸アルキルエステルを得ることから出発して調製することができる。次に式(IV)の化合物を環化して、式(I)のジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオールを得る。環化は、好ましくは塩基性条件下で実施される。縮合反応及び環化反応は、別々の工程で実施してもよく、又は「ワンポット」手順で組み合わせてもよい。生成物、すなわち式(I)の化合物は、当技術分野における公知の方法により更に改変して、ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン類などの更なる化合物を生成してもよい。
【0036】
【化9】

【0037】
式(II)と式(III)の化合物の縮合反応は、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、過塩素酸、トルエンスルホン酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸、又は硝酸などの酸触媒の存在下で行われる。好ましい実施態様において、酸は塩酸である。アルコール又はアルコールの混合物を溶媒として使用してもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール等を使用してもよい。メタノールは、好ましいアルコール性溶媒である。反応は、0℃〜溶媒の還流温度の間の温度で実施してもよく、一般的に完了には0.5〜24時間、好ましくは約2〜6時間、そしてより好ましくは約4〜6時間又は約3〜5時間を要する。反応は、大気圧で、又は減圧もしくは高圧で行ってもよい。
【0038】
上記の反応により、式(IV)の3−ウレイド−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸アルキルエステルを得て、これをこの時点で単離するか、又は「ワンポット」手順のために反応容器中に放置してもよい。環化プロセスの前に不純物の除去が望まれる場合は、単離は有利であろうが、必要ではない。
【0039】
単離してもしなくても、式(IV)の化合物を、好ましくは塩基の存在下、水又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール等)などの適切な溶媒中で環化する。適切な無機塩基の非限定的例には、金属水素化物(例えば、NaH)、金属水酸化物(例えば、NaOH、KOH)、金属アルコキシド(例えば、MeONa、t−BuOK及びNa−tert−アミラート)、金属炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、CsCO)、及び金属リン酸塩(例えば、KPO)が含まれる。好ましい実施態様において、塩基はMeONaであり、そして溶媒はメタノールである。別の好ましい実施態様において、塩基はNaOHであり、そして溶媒は水である。反応は、0℃〜溶媒の還流温度の間の温度で実施してもよく、一般的に完了には0.5〜24時間、好ましくは約0.5〜5時間、そしてより好ましくは約1〜3時間、そしてより更に好ましくは約1〜2時間を要する。反応は、大気圧で実施してもよい。上記の反応により、式(I)のジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオールを得る。
【0040】
より高い収率、より効果的、及びより費用効率的であるという点において、上記反応スキーム(スキーム1)は、式(I)のジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジンジオールの合成に関して公知の方法よりも有利であり、その理由は、s−エチルイソチオウレア臭化水素酸などのより高価な反応物の代わりに、安価で大量に入手可能なウレアを使用するからである。本方法はまた、公知の方法を実施中のエタンチオール放出に付随する不快な悪臭を回避する。より更に、本方法は、式(IV)の3−ウレイド−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸アルキルエステルが、強化された安定性を持つ固体中間体であり、それゆえ所望であれば、それを単離しかつ長期保存が可能であるという点においてもう一つの有利性を提供する。
【0041】
式(II)のジヒドロチオフェンカルボン酸アルキルエステルは、当技術分野における公知の方法により調製することができる。例えば、式(V)のチオールと式(VI)のエステルを反応させて、式(VII)のチオエーテルカルボン酸アルキルエステルを生成し、次にそれを環化して、式(II)のジヒドロチオフェンカルボン酸アルキルエステルを生成することができる。非限定的例示的手順を、スキーム2に示す。
【0042】
【化10】

【0043】
スキーム3に記載されているように、本発明の別の実施態様は、式(X)の化合物に関し、それは、式(VIII)[式中、Rは、アルキルである]の化合物とウレア(III)との酸触媒縮合により、式(IX)の化合物を得ることから出発して調製することができる。次に式(IX)の化合物を環化して、式(X)の化合物を得る。環化は、好ましくは塩基性条件下で実施する。縮合反応及び環化反応は、別々の工程で実施してもよく、又は「ワンポット」手順で組み合わせてもよい。生成物、すなわち式(X)の化合物は、当技術分野における公知の方法により更に改変して、更なるピリミジンジオール化合物を生成してもよい。
【0044】
【化11】

【0045】
式(VIII)と式(III)の化合物の縮合反応は、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、過塩素酸、トルエンスルホン酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸、又は硝酸などの酸触媒の存在下で行われる。好ましい実施態様において、酸は塩酸である。アルコール又はアルコールの混合物を溶媒として使用してもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール等を使用してもよい。メタノールが好ましいアルコール性溶媒である。反応は、0℃〜溶媒の還流温度の間の温度で実施してもよく、一般的に完了には0.5〜24時間、好ましくは約2〜6時間、そしてより好ましくは約4〜6時間又は約3〜5時間を要する。反応は、大気圧で、又は減圧もしく高圧で行ってもよい。
【0046】
上記の反応により、式(IX)の化合物を得て、これをこの時点で単離するか、又は「ワンポット」手順のために反応容器中に放置してもよい。環化プロセスの前に不純物の除去が望まれる場合は、単離は有利であろうが、必要ではない。
【0047】
単離してもしなくても、式(IX)の化合物を、好ましくは塩基の存在下、水又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール等)などの適切な溶媒中で環化する。適切な無機塩基の非限定的例には、金属水素化物(例えば、NaH)、金属水酸化物(例えば、NaOH、KOH)、金属アルコキシド(例えば、MeONa、t−BuOK及びNa−tert−アミラート)、金属炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、CsCO)、及び金属リン酸塩(例えば、KPO)が含まれる。好ましい実施態様において、塩基はMeONaであり、そして溶媒はメタノールである。別の好ましい実施態様において、塩基はNaOHであり、そして溶媒は水である。反応は、0℃〜溶媒の還流温度の間の温度で実施してもよく、一般的に完了には0.5〜24時間、好ましくは約0.5〜5時間、そしてより好ましくは約1〜3時間、そしてより更に好ましくは約1〜2時間を要する。反応は、大気圧で実施してよい。上記の反応により、式(X)の置換ピリミジン−2,4−ジオールを得る。
【0048】
上で同定した実施態様のピリミジンジオール類を中間体として使用し、当技術分野における公知の方法によりPDE4阻害剤などの医薬品を合成することができる。
【0049】
本発明の一つの実施態様において、式(I):
【0050】
【化12】


で示される化合物の製造方法であって、該方法は、
(a) 式(II):
【0051】
【化13】


で示される出発化合物を、酸の存在下、ウレアと反応させて、式(IV):
【0052】
【化14】


で示される中間体を得ること;そして
(b) 式(IV)の中間体を、塩基を用いて環化して、式(I)で示される最終生成物を得ること
[式中、
及びRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から独立に選択され;
ここで、R及びR’は、各々、H又はアルキルから独立に選択され;そして
ここで、Rは、H、ハロゲン、アルキル、及びアリールからなる群より選択される]を含む。
【0053】
好ましい実施態様において、R及びRは、H、アルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及び−NRR’から独立に選択され、ここで、R及びR’は、各々、H又はアルキルから独立に選択される。
【0054】
更に別の好ましい実施態様において,式(I)の化合物は、6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール、6−メチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール、6−エチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール、6−フェニル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール、6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール、又は7−メチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオールである。
【0055】
本発明の別の実施態様において、式(X):
【0056】
【化15】


で示される化合物の製造方法であって、該方法は、
(a) 式(VIII):
【0057】
【化16】


で示される出発化合物を、酸の存在下、ウレアと反応させて、式(IX):
【0058】
【化17】


で示される中間体を得ること;そして
(b) 式(IX)の中間体を、塩基を用いて環化して、式(X)で示される最終生成物を得ること
[式中、
及びRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から独立に選択されるか(但し、R及びRは、共にHではあり得ない);或いは、
とRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、部分又は完全水素化ピリミジン及びナフタレンからなる群より選択される環を形成し、これらは、場合により、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及びヒドロキシの中から選択される残基で置換されていてもよく;
ここで、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から選択され;
ここで、R及びR’は、各々、H又はアルキルから独立に選択され;そして
ここで、Rは、H、ハロゲン、アルキル及びアリールからなる群より選択される]を含む。
【0059】
好ましい実施態様において、式(X)の化合物は、9H−インデノ[2,1−d]ピリミジン−2,4−ジオールである。
【0060】
好ましくは、上記概説方法中のRは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルから選択される、アルキルである。
【0061】
加えて、酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、過塩素酸、トルエンスルホン酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸及び硝酸から選択されてもよい。好ましくは、酸は塩酸である。塩基は、金属水素化物の塩基、金属水酸化物の塩基、金属炭酸塩、金属アルコキシドの塩基、及び、金属リン酸の塩基からなる群より選択されてよい。好ましくは,塩基は、MeONa又はNaOHである。
【0062】
好ましくは、上記概説方法中で、式(IV)又は式(IX)の中間体は、工程(b)におけるそれの環化の前に単離される。式(IV)又は式(IX)の単離した中間体は、カラムクロマトグラフィー、HPLC又は再結晶を含む当技術分野における公知の方法により精製される。或いは、式(IV)又は式(IX)の中間体は、工程b)におけるそれの環化の前に単離されない。
【0063】
もう一つの実施態様において、上記概説方法中の工程(a)の溶媒は、アルコール又はアルコールの混合物である。アルコール又はアルコールの混合物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール又はそれらの混合物であってもよい。更に別の実施態様において、上記方法中の工程(a)で概説された反応は、0℃〜溶媒の還流温度の間の温度で、反応の完了には0.5〜24時間の間で実施される。
【0064】
もう一つの実施態様において、上記概説方法中の工程(b)の溶媒は、水、アルコール又はアルコールの混合物である。アルコール又はアルコールの混合物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール又はそれらの混合物であってよい。更に別の実施態様において、上記方法中の工程(b)で概説された環化反応は、0℃〜溶媒の還流温度の間の温度で、完了には0.5〜24時間の間で実施される。
【0065】
実施例
実施例1
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(3ml/化合物(IIa)g)及び化合物(IIa)(1当量)を入れた(スキーム4を参照)。濃HCl(0.2当量)を、20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4時間撹拌した。NaOMe(1.2当量、MeOH中の25%溶液)を、0℃で入れ、上記混合物を還流下で1.5時間撹拌し、次に0℃に冷却した。溶液のpHが2〜3になるまで、濃HClを滴下し、混合物を5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に更に真空オーブン中50℃で12〜16時間乾燥させて、化合物(Ia)を化合物(IIa)から収率80〜85%で得た。
【0066】
【化18】

【0067】
実施例2
3−ウレイド−4,5−ジヒドロ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(1.5〜2ml/化合物(IIa)g)及び化合物(IIa)(1当量)を入れた(スキーム5を参照)。濃HCl(0.2当量)を、20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4〜6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で(2回、1ml/化合物(IIa)gで)洗浄して、化合物(IVa)を白色の固体として収率95%で得た。
【0068】
【化19】


収率95%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 3.10 (dd, 2 H, J = 8.5, 8.5 Hz), 3.50 (dd, 2 H, J = 8.5, 8.5 Hz), 3.73 (s, 3 H), 6.50-7.20 (bs, 2 H), 9.47 (s, 1 H); 13C NMR (125 MHz, (CD3)2SO) δ 28.7, 37.8, 52.4, 100.0, 151.6, 154.7, 165.7; C7H11N2O3S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値203.0, 実測値203.0。
【0069】
6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール
化合物(IVa)を、水(3ml/化合物(IVa)ml)及びNaOHの溶液に周囲温度で加えた。上記混合物を85℃で1.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、溶液のpHが0〜1になるまで濃HCl(約1.1当量)をゆっくりと加えた。混合物を0℃に冷却し、5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で2回(0.5ml/化合物(IVa)g)十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に真空オーブン中50℃で12〜16時間更に乾燥させて、化合物(Ia)を化合物(IVa)から白色の固体として収率95%で得た。
【0070】
【化20】


収率95%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 3.11 (dd, 2 H, J = 8.5, 8.5 Hz), 3.31 (dd, 2 H, J = 8.5, 8.5 Hz), 11.14 (s , 1 H), 11.38 (s, 1 H); 13C NMR (125 MHz, (CD3)2SO) δ 29.3, 35.4, 108.5, 150.5, 152.4, 160.4; C6H7N2O2S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値171.0, 実測値171.0。
【0071】
【化21】

【0072】
実施例3
5−メチル−3−ウレイド−4,5−ジヒドロ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(1.5〜2.0ml/化合物(IIb)g)及び化合物(IIb)(1当量)を入れた(スキーム6を参照)。濃HCl(0.2当量)を20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4〜6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で(2回、1ml/化合物(IIb)gで)洗浄して、化合物(IVb)を白色の固体として収率93%で得た。
【0073】
【化22】


収率93%, 1H NMR (400 MHz, (CD3)2SO) δ 1.32 (d, 3 H, J = 6.5 Hz), 3.24 (dd, 1 H, J = 6.5, 18.0 Hz), 3.55-3.73 (m, 2 H), 3.72 (s, 3 H), 6.40-7.30 (bs, 1 H), 9.35-9.65 (bs, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 22.8, 40.1, 45.6, 52.3, 99.5, 150.0, 154.7, 165.8; C8H13N2O3S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値217.1, 実測値217.6。
【0074】
6−メチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール
化合物(IVb)を水(3ml/化合物(IVb)ml)及びNaOHの溶液に周囲温度で加えた。上記混合物を85℃で1.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、溶液のpHが0〜1になるまで濃HCl(約1.1当量)をゆっくりと加えた。混合物を0℃に冷却し、5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で2回(0.5ml/化合物(IVb)g)十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に真空オーブン中50℃で12〜16時間更に乾燥させて、化合物(Ib)を化合物(IVb)から白色の固体として収率90%で得た。
【0075】
【化23】


収率90%, 1H NMR (400 MHz, (CD3)2SO) δ 1.39 (d, 3 H, J = 6.5 Hz), 2.75 (dd, 1 H, J = 6.5, 17.0 Hz), 3.26 (dd, 1 H, J = 8.5, 17.0 Hz), 3.96 (dddd, 1 H, J = 6.5, 6.5, 6.5, 13.0 Hz), 11.00-11.20 (bs, 1 H), 11.20-11.40 (bs, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 23.0, 42.0, 43.0, 108.0, 149.0, 152.4, 160.4; C7H9N2O2S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値185.0, 実測値185.1。
【0076】
【化24】

【0077】
実施例4
5−エチル−3−ウレイド−4,5−ジヒドロ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(1.5〜2ml/化合物(IIc)g)及び化合物(IIc)(1当量)を入れた(スキーム7を参照)。濃HCl(0.2当量)を20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4〜6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で(2回、1ml/化合物(IIc)gで)洗浄して、化合物(IVc)を白色の固体として収率93%で得た。
【0078】
【化25】


収率93%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 0.93 (t, 3 H, J = 7.3 Hz), 1.52-1.74 (m, 2 H), 3.28 (dd, 1 H, J = 6.5, 18.0 Hz), 3.53 (dddd, 1 H, J = 6.0, 6.0, 8.5, 8.5 Hz), 3.61 (dd, 1 H, J = 8.5, 18.0 Hz), 3.72 (s, 3 H), 6.83 (bs, 2 H), 9.44 (s, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 12.8, 29.7, 43.5, 47.3, 52.3, 99.3, 150.3, 154.7, 165.7; C9H15N2O3S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値231.1, 実測値231.1。
【0079】
6−エチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール
化合物(IVc)を、水(3ml/化合物(IVc)ml)及びNaOHの溶液に周囲温度で加えた。上記混合物を85℃で1.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、溶液のpHが0〜1になるまで濃HCl(約1.1当量)をゆっくりと加えた。混合物を0℃に冷却し、5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で2回(0.5ml/化合物(IVc)g)十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に真空オーブン中50℃で12〜16時間更に乾燥させて、化合物(Ic)を化合物(IVc)から白色の固体として収率74%で得た。
【0080】
【化26】


収率74%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 0.95 (t, 3 H, J = 7.3 Hz), 1.60-1.80 (m, 2 H), 2.81 (dd, 1 H, J = 7.0, 17.3 Hz), 3.24 (dd, 1 H, J = 8.5, 17.3 Hz), 3.61 (dddd, 1 H, J = 7.0, 7.0, 8.5, 8.5 Hz), 11.10 (s, 1 H), 11.31 (s, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 12.8, 29.8, 40.9, 49.1, 107.7, 149.2, 152.3, 160.3; C8H11N2O2S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値199.1, 実測値199.1。
【0081】
【化27】

【0082】
実施例5
5−フェニル−3−ウレイド−4,5−ジヒドロ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(1.5〜2ml/化合物(IId)g)及び化合物(IId)(1当量)を入れた(スキーム8を参照)。濃HCl(0.2当量)を20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4〜6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で(2回、1ml/化合物(IId)gで)洗浄して、化合物(IVd)を白色の固体として収率97%で得た。
【0083】
【化28】


収率97%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 3.70 (dd, 1 H, J = 8.0, 18.0 Hz), 3.74 (s, 3 H), 3.92 (dd, 1 H, J = 8.0, 18.0 Hz), 4.87 (dd, 1 H, J = 8.0, 8.0 Hz), 6.60-7.20 (bs, 2 H), 7.25-7.50 (m, 5 H), 9.51 (s, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 45.1, 48.1, 52.4, 99.4, 127.8, 128.3, 129.5, 142.8, 149.5, 154.7, 165.4 (重複のため2個のシグナルが不足); C13H15N2O3S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値279.1, 実測値279.1。
【0084】
6−フェニル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール
化合物(IVd)を、水(3ml/化合物(IVd)ml)及びNaOHの溶液に周囲温度で加えた。上記混合物を85℃で1.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、溶液のpHが0〜1になるまで濃HCl(約1.1当量)をゆっくりと加えた。混合物を0℃に冷却し、5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で2回(0.5ml/化合物(IVd)g)十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に真空オーブン中50℃で12〜16時間更に乾燥させて、化合物(Id)を化合物(IVd)から白色の固体として収率89%で得た。
【0085】
【化29】


収率89%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) 3.29 (dd, 1 H, J = 8.5, 17.5 Hz), 3.51 (dd, 1 H, J = 8.5, 17.5 Hz), 5.17 (dd, 1 H, J = 8.5, 8.5 Hz), 7.30-7.50 (m, 5 H), 11.20 (s, 1 H), 11.42 (s, 1 H); 13C NMR (125 MHz, (CD3)2SO) δ 42.7, 49.6, 107.8, 128.0, 128.7, 129.6, 142.0, 148.5, 152.3, 160.1 (重複のため2個のシグナルが不足);C12H11N2O2S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値247.1, 実測値247.1。
【0086】
【化30】

【0087】
実施例6
5,5−ジメチル−3−ウレイド−4,5−ジヒドロ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(1.5〜2ml/化合物(IIe)g)及び化合物(IIe)(1当量)を入れた(スキーム9を参照)。濃HCl(0.2当量)を20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4〜6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で(2回、1ml/化合物(IIe)gで)洗浄して、化合物(IVe)を白色の固体として収率83%で得た。
【0088】
【化31】


収率83%, 1H NMR (400 MHz, (CD3)2SO) δ 1.46 (s, 6 H), 3.38 (s , 2 H), 3.71 (s, 3 H), 6.60-7.20 (bs, 2 H), 9.45 (s, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 30.4, 51.6, 52.0, 52.3, 100.2, 149.5, 154.8, 165.8 (重複のため1個のシグナルが不足); C9H15N2O3S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値231.1, 実測値231.6。
【0089】
6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール
化合物(IVe)を、水(3ml/化合物(IVe)ml)及びNaOHの溶液に周囲温度で加えた。上記混合物を85℃で1.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、溶液のpHが0〜1になるまで濃HCl(約1.1当量)をゆっくりと加えた。混合物を0℃に冷却し、5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で2回(0.5ml/化合物(IVe)g)十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に真空オーブン中50℃で12〜16時間更に乾燥させて、化合物(Ie)を化合物(IVe)から白色の固体として収率90%で得た。
【0090】
【化32】


収率90%, 1H NMR (400 MHz, (CD3)2SO) δ 1.53 (s, 6 H), 2.95 (s, 2 H), 11.10 (s, 1 H), 11.32 (s, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 30.7, 49.2, 54.7, 108.4, 148.2, 152.3, 160.5 (重複のため1個のシグナルが不足); C8H11N2O2S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値199.1, 実測値199.1。
【0091】
【化33】

【0092】
実施例7
4−メチル−3−ウレイド−4,5−ジヒドロ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(1.5〜2ml/化合物(IIf)g)及び化合物(IIf)(1当量)を入れた(スキーム10を参照)。濃HCl(0.2当量)を20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4〜6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で(2回、1ml/化合物(IIf)gで)洗浄して、化合物(IVf)を白色の固体として収率48%で得た。
【0093】
【化34】


収率48%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 1.16 (d, 3 H, J = 7.0 Hz), 2.75 (d, 1 H, J = 11.0 Hz), 3.20 (dd, 1 H, J = 7.5, 11.0 Hz), 3.73 (s, 3 H), 4.35-4.43 (m, 1 H), 6.50-7.20 (m, 2 H), 9.40 (s, 1 H); 13C NMR (125 MHz, (CD3)2SO) δ 16.7, 36.0, 42.0, 52.4, 98.8, 154.3, 155.7, 166.0; C8H13N2O3S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値217.1, 実測値217.1。
【0094】
7−メチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール
化合物(IVf)を、水(3ml/化合物(IVf)ml)及びNaOHの溶液に周囲温度で加えた。上記混合物を85℃で1.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、溶液のpHが0〜1になるまで濃HCl(約1.1当量)をゆっくりと加えた。混合物を0℃に冷却し、5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で2回(0.5ml/化合物(IVf)g)十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に真空オーブン中50℃で12〜16時間更に乾燥させて、化合物(If)を化合物(IVf)から白色の固体として収率89%で得た。
【0095】
【化35】


収率89%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 1.26 (d, 3 H, J = 7.0 Hz), 2.92 (dd, 1 H, J = 5.0, 11.0 Hz), 3.34-3.42 (m, 1 H), 3.52 (dd, 1 H, J = 8.5, 11.0 Hz), 11.17 (s , 1 H), 11.34 (s, 1 H); 13C NMR (125 MHz, (CD3)2SO) δ 17.2, 36.9, 42.3, 107.5, 152.7, 153.7, 160.6; C7H9N2O2S, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値185.0, 実測値185.2。
【0096】
【化36】

【0097】
実施例8
2−ウレイド−シクロペンタ−1−エンカルボン酸メチルエステル
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(1.5〜2ml/化合物(VIIIa)g)及び化合物(VIIIa)(1当量)を入れた(スキーム11を参照)。濃HCl(0.2当量)を20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4〜6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で(2回、1ml/化合物(VIIIa)gで)洗浄して、化合物(IXa)を白色の固体として収率100%で得た。
【0098】
【化37】


収率100%, 1H NMR (400 MHz, (CD3)2SO) δ 1.79 (dt, 2 H, J = 7.6, 7.6 Hz), 2.43 (t, 2 H, J = 7.6 Hz), 3.06 (t, 2 H, J = 7.6 Hz), 3.68 (s, 3 H), 6.5-7.0 (bs, 2 H), 9.44 (s, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 21.6, 29.0, 34.9, 51.4, 102.3, 155.1, 157.9, 167.8; C8H13N2O3, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値184.1, 実測値185.0。
【0099】
6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリミジン−2,4−ジオール
化合物(IXa)を水(3ml/化合物(IXa)ml)及びNaOHの溶液に周囲温度で加えた。上記混合物を85℃で1.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、溶液のpHが0〜1になるまで濃HCl(約1.1当量)をゆっくりと加えた。混合物を0℃に冷却し、5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で2回(0.5ml/化合物(IXa)g)十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に真空オーブン中50℃で12〜16時間更に乾燥させて、化合物(Xa)を化合物(IXa)から白色の固体として収率99%で得た。
【0100】
【化38】


収率99%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 1.99 (dt, 2 H, J = 7.5, 7.5 Hz), 2.48 (t, 2 H, J = 7.5 Hz), 2.67 (t, 2 H, J = 7.5 Hz), 10.70 (bs, 1 H), 11.05 (bs, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 21.9, 27.3, 31.9, 110.5, 153.2, 157.0, 162.9; C7H9N2O2, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値153.1, 実測値153.3。
【0101】
【化39】

【0102】
実施例9
2−ウレイド−3H−インデン−1−カルボン酸メチルエステル
化合物(III)(ウレア;2当量)を、撹拌機、Nライン及び熱電対温度計を備えたフラスコに入れ、続いてメタノール(1.5〜2ml/化合物(VIIIb)g)及び化合物(VIIIb)(1当量)を入れた(スキーム11を参照)。濃HCl(0.2当量)を20〜25℃で入れ、混合物を還流下で4〜6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で(2回、1ml/化合物(VIIIb)gで)洗浄して、化合物(IXb)を白色の固体として収率72%で得た。
【0103】
【化40】


収率72%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 3.91 (s, 3 H), 4.21 (s, 2 H), 6.8-7.4 (bs, 2 H), 7.09 (ddd, 1 H, J = 1.5, 7.5, 7.5 Hz), 7.25 (ddd, 1 H, J = 1.5, 7.5, 7.5 Hz), 7.40 (d, 1 H, J = 7.5 Hz), 7.71 (d, 1 H, J = 7.5 Hz), 10.00 (bs, 1 H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 40.5, 51.9, 105.4, 120.9, 123.8, 124.1, 127.3, 137.1, 140.6, 154.8, 161.5, 167.0; C12H13N2O3, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値233.1, 実測値233.2。
【0104】
9H−インデノ[2,1−d]ピリミジン−2,4−ジオール
化合物(IXb)を、水(3ml/化合物(IXb)ml)及びNaOHの溶液に周囲温度で加えた。上記混合物を85℃で1.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、溶液のpHが0〜1になるまで濃HCl(約1.1当量)をゆっくりと加えた。混合物を0℃に冷却し、5〜10分間撹拌し、得られた固体を濾過により回収した。濾物を水で2回(0.5ml/化合物(IXb)g)十分に洗浄し、2〜3時間空気乾燥(吸引)させ、次に真空オーブン中50℃で12〜16時間更に乾燥させて、化合物(Xb)を化合物(IXb)から白色の固体として収率93%で得た。
【0105】
【化41】


収率93%, 1H NMR (500 MHz, (CD3)2SO) δ 3.84 (s, 3 H), 7.18 (dd, 1 H, J = 7.5, 7.5 Hz), 7.31 (dd, 1 H, J = 7.5, 7.5 Hz), 7.47 (d, 1 H, J = 7.5 Hz), 7.73 (d, 1 H, J = 7.5 Hz), 11.13 (bs, 1 H), 11.79 (bs, 1H); 13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO) δ 36.6, 111.6, 120.3, 125.0, 125.1, 127.8, 137.6, 139.6, 152.4, 160.0, 161.3; C11H9N2O2, (M+H)+のLCMS (EI) 計算値201.1、実測値201.1。
【0106】
【化42】

【0107】
上の記載、図面及び実施例は、本発明の目的、特徴及び利点を達成する好ましい実施態様の説明のみのためである。本発明を例示的実施態様に限定することは意図していない。下記特許請求の精神および範囲内における本発明の任意の改変は、本発明の一部であると考慮される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化43】


で示される化合物の製造方法であって、
(a) 式(II):
【化44】


で示される出発化合物を、酸の存在下、ウレアと反応させて、式(IV):
【化45】


で示される中間体を得ること;そして
(b)式(IV)の中間体を、塩基を用いて環化して、式(I)で示される最終生成物を得ること
[式中、
及びRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から独立に選択され;
ここで、R及びR’は、各々、H又はアルキルから独立に選択され;そして
ここで、Rは、H、ハロゲン、アルキル、及びアリールからなる群より選択される]を含む、方法。
【請求項2】
式(X):
【化46】


で示される化合物の製造方法であって、
(a) 式(VIII):
【化47】


で示される出発化合物を、酸の存在下、ウレアと反応させて、式(IX):
【化48】


で示される中間体を得ること、そして
(c) 式(IX)の中間体を、塩基を用いて環化して、式(X)で示される最終生成物を得ること
[式中、
及びRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から独立に選択されるか(但し、R、R及びRは、すべてがHではあり得ない);或いは、
とRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、部分又は完全水素化ピリミジン及びナフタレンからなる群より選択される環を形成し、これらは、場合により、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及びヒドロキシの中から選択される残基で置換されていてもよく;
ここで、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、−NO、−NRR’、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−SH、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SONH、−SONH−アルキル、及び−SON(アルキル)から選択され;
ここで、R及びR’は、各々、H又はアルキルから独立に選択され;そして
ここで、Rは、H、ハロゲン、アルキル及びアリールからなる群より選択される]を含む、方法。
【請求項3】
及びRが、H、アルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及び−NRR’から独立に選択され、ここで、R及びR’は、各々、H又はアルキルから独立に選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルから選択される、アルキルである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
酸が、酢酸、トリフルオロ酢酸、過塩素酸、トルエンスルホン酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸及び硝酸から選択される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
酸が塩酸である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項7】
塩基が、金属水素化物の塩基、金属水酸化物の塩基、金属炭酸塩、金属アルコキシドの塩基、及び金属リン酸の塩基からなる群より選択される、請求項1又は2のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
塩基がMeONaである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
塩基がNaOHである、請求項7記載の方法。
【請求項10】
式(I)の化合物が:
6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール;
6−メチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール;
6−エチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール;
6−フェニル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール;
6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオール;又は
7−メチル−6,7−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオールである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
式(X)の化合物が、9H-インデノ[2,1−d]ピリミジン−2,4−ジオールである、請求項2記載の方法。
【請求項12】
式(IV)又は式(IX)の中間体が、工程(b)でそれの環化の前に単離される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項13】
式(IV)又は式(IX)の単離された中間体が、当技術分野における公知の方法により精製もされている、請求項12記載の方法。
【請求項14】
当技術分野における公知の方法が、カラムクロマトグラフィー、HPLC又は再結晶である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
式(IV)又は式(IX)の中間体が、工程(b)でそれの環化の前に単離されない、請求項1又は2記載の方法。
【請求項16】
工程(a)の溶媒が、アルコール又はアルコールの混合物である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項17】
アルコール又はアルコールの混合物が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール又はそれらの混合物である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
反応が、0℃〜溶媒の還流温度の間の温度で実施される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
工程(a)が完了のために0.5時間〜24時間を要する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
工程(b)の溶媒が、水、アルコール又はアルコールの混合物である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項21】
アルコール又はアルコールの混合物が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール又はそれらの混合物である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
(b)の環化反応が、0℃〜溶媒の還流温度の間の温度で実施される、請求項20記載の方法。
【請求項23】
(b)の環化反応が完了のために0.5時間〜24時間を要する、請求項20記載の方法。

【公表番号】特表2011−520886(P2011−520886A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509563(P2011−509563)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/043068
【国際公開番号】WO2009/140127
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】