説明

ジフルオロ置換複素環化合物および液晶媒体における構成要素としてのその使用

本発明は、a、b、c、d、e、R1、R2、A1、A2、A3、A4、Y1、Y2、Y3、Z1、Z2、Z3、Z4、および


が請求項1に定義する通りである式(I)


の化合物、それを生成するための方法、生成のための中間体、および液晶媒体における構成要素の形態におけるその使用、ならびに前記液晶媒体を含む電気光学ディスプレイ素子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジフルオロ置換複素環化合物、それらを調製するためのプロセス、それらを調製するためのプロセスのための中間化合物、液晶媒体における構成要素としてのそれらの使用、およびこれらの液晶媒体を含む電気光学ディスプレイ素子に関する。特に、本発明は、負の誘電異方性を有するジフルオロ置換複素環化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
約30年前に、初めて市場で使用可能な液晶化合物が発見されて以来、液晶は広い応用分野を見出してきた。知られている応用領域には、特に、時計および小型計算機用のインジケーターディスプレイ、ならびに、鉄道の駅、空港、および運動競技場で用いられるような大型の表示パネルがある。さらなる応用領域は、ポータブルコンピュータおよびナビゲーションシステムのディスプレイ、ならびに、また、テレビおよびビデオの応用がある。特に、最後に述べた応用に対しては、スイッチング時間および画像のコントラストに対して高い要求がなされている。
【0003】
液晶媒体における分子の空間的配置により、その特性の多くが方向依存性となっている。ここでの液晶ディスプレイにおける使用にとって重要なのは、特に、光学的、誘電的、および電気機械的挙動における異方性である。分子が、その長軸に関して、コンデンサの2枚のプレートに対して垂直に配向するか平行に配向するかに応じてこのコンデンサは、異なる容量を有し、したがって液晶媒体の比誘電率εは、2つの配向で大きさが異なる。コンデンサプレートに対する分子の長軸の垂直の配向での比誘電率が、平行の配置でのものを超える物質を、誘電的に正であると言う。換言すれば、分子の長軸に対して平行である誘電率
【0004】
【数1】

【0005】
は、分子の長軸に対して垂直である誘電率
【0006】
【数2】

【0007】
を超え、したがって、誘電異方性
【0008】
【数3】

【0009】
は、ゼロを超える。従来のディスプレイに使用されている殆どの液晶は、このグループに入る。
【0010】
誘電異方性では、分子の分極率も、永久双極子モーメントも役割を担っている。ディスプレイに電圧を印加すると、より大きい比誘電率が効果的であるように分子の長軸は整列する。電場との相互作用の強力さは、この場合、これら2つの定数間の差に依存する。差が小さい場合には、差が大きい場合よりもより高いスイッチング電圧が必要である。例えば、ニトリル基またはフッ素などの適切な極性基を液晶分子中に組み入れることにより、広範囲の作用電圧を実現することができる。
【0011】
従来の液晶ディスプレイで用いられるメソゲンまたは液晶の分子の場合では、分子の長軸に沿って配向した双極子モーメントは、分子の長軸に対して垂直に配向した双極子モーメントを超える。分子の長軸に沿ったより大きな双極子モーメントの配向は、また、無電場の状態における液晶ディスプレイにおける分子の配向を決定する。最も広くいきわたっているTNセル(「ねじれネマチック」に由来する)の場合には、わずか約5から10μmの厚さの液晶層が、2枚の平行平面ガラス板の間に配置され、その上に、各々の場合に、電極として、酸化スズまたはインジウムスズ酸化物(ITO)の導電性の透明な層が蒸着されている。これらのフィルムと液晶層との間に、同様に透明な配向層が位置するが、これは通常プラスチック(例えば、ポリイミド)からなる。これは表面力により隣接する結晶の分子の長軸を好ましい方向にするように働き、その結果無電圧の状態ではこれらはディスプレイ表面の内側に同一の配向で、または同一の小さい傾斜角で均一に平らに横たわっている。ディスプレイの外側上には、直線的に分極した光だけが入り、現れるのを可能にする2枚の偏光フィルムが、特定の配置で適用されている。
【0012】
より大きな双極子モーメントが分子の長軸に対して平行に配向されている液晶を用いて、非常に効率のよいディスプレイがすでに開発されている。ここでは、十分に広範な温度範囲の中間相を実現し、また短いスイッチング時間および低い閾値電圧を実現するために、5から20個の構成要素の混合物が通常用いられている。しかし、強力な視角依存性により、例えばラップトップに用いられるものなどの液晶ディスプレイで、依然として困難がもたらされている。ディスプレイの表面がオブザーバーの視線方向に垂直である場合に、最高の画質を達成することができる。ディスプレイが観察の方向に対して傾斜している場合には、画質は、ある状況下で大きく損なわれる。より優れた快適さを求めて、画質が著しく低下しないでオブザーバーの視線方向からディスプレイが傾斜することができるために、角度をできるだけ大きくするように努力がなされている。もっと最近では、視角依存性を改善するために、分子の長軸に垂直な双極子モーメントが分子の長軸に平行な双極子モーメントを超える液晶化合物を使用するための実験が行われている。誘電異方性Δεは負である。無電場の状態では、これらの分子は、ディスプレイのガラス表面に対して垂直に配向している。多くのドメインを実現することにより、負の誘電異方性を有する液晶媒体を用いて、視角依存性の改善を達成することは可能であった。この技術を用いれば、ディスプレイにおけるより短いスイッチング時間、およびより良好なコントラストも実現することができる。このタイプのディスプレイは、VA−TFTディスプレイ(「垂直配向」に由来する)と呼ばれている。
【0013】
液晶材料の分野における開発は、はるかに依然として完全ではない。液晶ディスプレイ素子の特性を改善するために、このタイプのディスプレイの最適化を可能にする新規な化合物を開発する試みが常になされている。
【0014】
B.ZajcおよびM.Zupan、J.Org.Chem.、1990年、55巻、1099〜1102頁は、以下のベンゾクロマン誘導体の調製について記載している:
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、Yは水素またはフッ素であり、Xは水素、フッ素、または塩素である)。これらの化合物のメソゲンあるいは液晶の特性、または好適な使用については、公表されていない。
【発明の開示】
【0017】
したがって、本発明の目的は、液晶媒体で使用するのに有利な特性を有する使用可能な化合物を製造することである。特に、これらは、VAディスプレイ用の液晶媒体で使用するのに特に適切にする負の誘電異方性を有するべきである。
【0018】
この目的は、本発明に従って、一般式Iの化合物により実現される:
【0019】
【化2】

【0020】
[式中、
a、b、c、d、およびeは、相互に独立して0または1であり;
1およびR2は、相互に独立して、水素、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−SCN、−NCS、−SF5、炭素原子が最高15個のアルカニル、アルコキシ、アルケニル、またはアルキニルであり、これは、非置換、−CNもしくは−CF3による一置換、またはF、Cl、Br、および/もしくはIによる一置換もしくは多置換であり、この場合、これらの基では1個または複数のCH2基が各々の場合相互に独立して、ヘテロ原子(heteroatoms)が直接連結しないように−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−(CO)O−、−O(CO)−、または−O(CO)O−により置換されていてもよく、または重合可能な基Pであり;
1、Y2、およびY3は、相互に独立して、水素、ハロゲン、炭素原子1から8個のハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アルコキシであり;
1、A2、A3、およびA4は、相互に独立して、非置換の、または、相互に独立して、−CN、−F、−Cl、−Br、−Iにより一置換から四置換されていてもよい1,4−フェニレン、非置換、またはフッ素および/もしくは塩素により一置換または多置換されていてもよいC1〜C6アルカニル、非置換、またはフッ素および/もしくは塩素により一置換または多置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ;1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシニレン、または1,4−シクロヘキサジエニレンであり、この中で、−CH2−は、相互に独立して、ヘテロ原子が直接連結しないように−O−または−S−により1回または2回置換されていてもよく、非置換、または−F、−Cl、−Br、および/もしくは−Iにより一置換、または多置換であってもよく;
1、Z2、Z3、およびZ4は、相互に独立して、単結合、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CHF−CHF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−CH2O−、−OCH2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CH=CH−、または−C≡C−であり;
式Iの酸素複素環における
【0021】
【化3】

【0022】
は、C−C単結合であり、eが1である場合は、C=C2重結合であってもよく;
ここで、a、b、c、およびdが同時に0であり、eが1であり、R1が水素であり、Y1もY3も水素であり、
【0023】
【化4】

【0024】
が単結合である場合、Y2は水素またはフッ素ではなく、R2は水素、フッ素、または塩素ではない]。
【0025】
この化合物は、好ましくは負のΔεを有し、したがってVA−TFTディスプレイで使用するのに特に適する。本発明による化合物は、Δε<−2であることが好ましく、特に好ましくはΔε<−5である。これらは、ディスプレイ用の液晶混合物に使用する従来の物質と極めて良好な適合性を示す。
【0026】
さらに、本発明による式Iの化合物は、特にVA−TFTディスプレイに使用するための、適切な値の光学異方性Δnを有する。好ましくは、本発明による化合物は、0.02を超え0.40未満のΔnを有し、好ましくは0.04を超え0.15未満である。
【0027】
本発明による化合物のさらなる物理的、物理化学的、または電気光学的パラメータは、液晶媒体における化合物の使用にも有利である。化合物は、特に、ネマチック相の適切な幅を有し、低温および長期の安定性が良好で、適切に高い透明点も有する。
【0028】
本発明による式Iの化合物は、ベンゾ融合した、ジフルオロ置換した酸素複素環を有する構造要素を所有する、さらに場合によってはより複雑なメソゲンまたは液晶の物質を調製するのにさらに適している。
【0029】
本発明による式Iの化合物は、ベンゾクロマン誘導体(すなわちe=1であり、
【0030】
【化5】

【0031】
がC−C単結合である)、ベンゾクロメン誘導体(すなわちe=1であり、
【0032】
【化6】

【0033】
がC−C二重結合である)、またはベンゾフラン誘導体(すなわちe=0であり、
【0034】
【化7】

【0035】
が芳香環に直接連結しているC−C単結合である)である。ここではベンゾクロマン誘導体およびベンゾクロメン誘導体が好ましく、すなわちeが1であることが好ましい。式Iのベンゾクロマン誘導体(すなわちeが1であり、
【0036】
【化8】

【0037】
がC−C単結合である)が特に好ましい。
【0038】
式IにおけるR1およびR2が、各々の場合において相互に独立して、炭素原子1から15個のアルカニル基および/またはアルコキシ基(アルキルオキシ基)である場合、これらは直鎖または分枝である。好ましくは、これらの基は各々、直鎖であり、炭素原子を1、2、3、4、5、6、または7個有し、したがって好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、またはヘプトキシである。
【0039】
式IにおけるR1およびR2は、各々の場合において相互に独立して、オキサアルキル基でもあり、すなわち、アルカニル基であり、この場合、アルカニル基の非末端CH2基の少なくとも1つが−O−により置換されており、好ましくは直鎖2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチルである。対応して、式IにおけるR1およびR2は、相互に独立して、チオアルカニル、またはスルホンアルカニル基であってもよく、すなわち、CH2基が−S−または−SO2−により置換されているアルカニル基である。
【0040】
式IにおけるR1およびR2は、さらに各々の場合において相互に独立して、直鎖または分枝で、少なくとも1個のC−C二重結合を有する炭素原子2から15個のアルケニル基であってもよい。好ましくは、これは直鎖であり、炭素原子2から7個を有する。したがって、これは好ましくは、ビニル、プロプ−1−またはプロプ−2−エニル、ブト−1−、2−、または−3−エニル、ペント−1−、2−、3−、またはペント−4−エニル、ヘクス−1−、2−、3−、4−、またはヘクス−5−エニル、ヘプト−1−、2−、3−、4−、5−、またはヘプト−6−エニルである。C−C二重結合の2個の炭素原子が置換されている場合は、アルケニル基は、Eおよび/またはZ異性体(トランス/シス)として存在することができる。一般的には、それぞれE異性体が好ましい。
【0041】
アルカニル基の場合と同じように、アルケニル基における少なくとも1個のCH2基は、酸素、イオウ、または−SO2−により置換されていてもよい。−O−による置換の場合には、そのときには、アルケニルオキシ基(末端の酸素を有する)またはオキサアルケニル基(非末端の酸素を有する)が存在する。
【0042】
式IにおけるR1およびR2は、相互に独立して、直鎖または分枝で、少なくとも1個のC−C三重結合を有する炭素原子2から15個のアルキニル基であってもよい。
【0043】
式IにおけるR1およびR2は、各々の場合において相互に独立して、炭素原子1から15個のアルカニル基であってもよく、この場合、1個のCH2基が−O−により、1個が−CO−により置換されており、この場合これらが隣接していることが好ましい。したがって、これはアシルオキシ基−CO−O−、またはオキシカルボニル基−O−CO−を含む。好ましくはこの基は直鎖であり、炭素原子2から6個を有する。以下のこれらの基が、ここでは好ましい:アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、または4−(メトキシカルボニル)ブチル。さらに、アルカニル基は、−O−CO−O−単位を有することもできる。一つだけの−CO−基(カルボニル機能)によるCH2基の置換も可能である。
【0044】
式IにおけるR1およびR2は、各々の場合において相互に独立して、炭素原子2から15個のアルケニル基であってもよく、この場合、好ましくは非置換のまたは置換されている−C=C−単位に近接しているCH2基が−CO−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−により置換されており、この場合この基は直鎖でも分枝でもよい。好ましくは、基が直鎖であり、炭素原子4から13個を有する。アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、メタクリロイルオキシメチル、2−メタクリロイルオキシエチル、3−メタクリロイルオキシプロピル、4−メタクリロイルオキシブチル、5−メタクリロイルオキシペンチル、6−メタクリロイルオキシヘキシル、7−メタクリロイルオキシヘプチル、または8−メタクリロイルオキシオクチルが、ここでは特に好ましい。対応して、アルキニル基におけるCH2基は、特に置換されている−C≡C−単位の近接では、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−により置換されていてもよい。
【0045】
式IにおけるR1およびR2は、各々の場合において相互に独立して、2個またはそれを超えるCH2基が−O−および/または−CO−O−により置換されていてもよいアルカニル基であってもよく、この場合、これらは直鎖でも分枝でもよい。分枝であり、炭素原子3から12個を有することが好ましい。
【0046】
式IにおけるR1およびR2は、各々の場合において相互に独立して、−CNまたは−CF3により一置換された炭素原子1から15個のアルカニル基またはアルコキシ基、または対応して置換された炭素原子2から15個のアルケニル基もしくはアルキニル基であってよく、この場合、これらは直鎖であることが好ましい。−CNまたは−CF3による置換は、あらゆる所望の位置で可能である。
【0047】
式IにおけるR1およびR2は、各々の場合において相互に独立して、F、Cl、Br、および/もしくはIにより一置換または多置換されている炭素原子1から15個のアルカニル基またはアルコキシ基、または炭素原子2から15個のアルケニル基、アルケニルオキシ基、またはアルキニル基であってもよく、この場合、これらの基は直鎖であることが好ましく、ハロゲンは−Fおよび/または−Clであることが好ましい。多置換の場合は、ハロゲンは−Fであることが好ましい。結果として得られる基は、−CF3などのペルフルオロ基も含む。モノフッ素化または多フッ素化されている基は、また、「フルオロアルキル」、「フルオロアルカニル」、「フルオロアルコキシ」、「フルオロアルケニル」、「フルオロアルキニルオキシ」、および「フルオロアルキニル」と呼ばれる。一置換の場合には、フッ素または塩素の置換基は、あらゆる所望の位置、好ましくはω位であってもよい。
【0048】
式IにおけるR1およびR2は、各々の場合において相互に独立して、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−SCN、−NCS、または−SF5であってもよい。
【0049】
式IにおけるR1およびR2は、相互に独立して、重合化可能な、または反応性の基Pであってもよく、これは、それが重合化反応、例えば、フリーラジカルもしくはイオン鎖の重合化で、または重付加もしくは重縮合で反応することができるという点で、あるいは重合化反応に類似の様式で、例えば、縮合または付加によりポリマーのバックボーン上にグラフトすることができるという点で区別される。特に好ましい基Pは、フリーラジカル、アニオン性、またはカチオン性重合など、鎖重合化反応のための基である。非常に特に好ましい重合化可能な基Pは、C−C二重結合もしくはC−C三重結合を含むもの、または開環で重合できるもの、例えばオキセタンまたはエポキシドである。
【0050】
これらの非常に特に好ましい重合化可能な基Pは、基P’から選択され、基P’は、CH2=CW4−COO−、
【0051】
【化9】

【0052】
、CH2=CW5−(O)k1−、CH3−CH=CH−O−、(CH2=CH)2CH−OCO−、(CH2=CH−CH22CHOCO−、(CH2=CH)2CH−O−、(CH2=CH−CH22N、(CH2=CH−CH22N−CO−、HO−CW56−、HS−CW56−、HW5N−、HO−CW56−NH−、CH2=CW4−CO−NH−、CH2=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH−=CH−、HOOC−、OCN−、およびW789Si−を含み、式中、W4はH、Cl、CN、フェニル、または炭素原子1から5個のアルキル、特にH、Cl、またはCH3であり、W5およびW6は、相互に独立して、H、または炭素原子1から5個のアルキル、特に、メチル、エチル、またはn−プロピルであり、W7、W8、およびW9は、相互に独立してCl、炭素原子1から5個のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、ハロゲンにより場合により一置換または多置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、k1およびk2は、相互に独立して0または1である。
【0053】
これらの基P’の中で、CH2=CH−COO−、CH2=C(CH3)−COO−、CH2=CH−、CH2=CH−O−、(CH2=CH)2CH−OCO−、(CH2=CH)2CH−O−、および
【0054】
【化10】

【0055】
が非常に好ましく、この場合、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基、またはエポキシ基、特にアクリレートもしくはメタクリレート基を、特別言及することができる。アクリレートおよびオキセタン基が特に好ましい。
【0056】
重合化可能な基PまたはP’は、従来技術で周知の適切なスペーサーの1つを、実際の反応性の重合化可能な基と、基PまたはP’が連結する基または環、とりわけエチレン、プロピレン、またはブチレンとの間に含むこともできる。そのとき、重合化可能な基Pは、例えば、基P’−スペーサー−であり、ここで、P’は上記に記載した重合化可能な官能基P’の1個であり、「スペーサー」は従来技術で周知のスペーサーの1つである。
【0057】
好ましくは、R1およびR2は、相互に独立して、アルカニル、アルケニル、またはアルコキシであり、各々の場合で、最高8個の炭素原子、水素、フッ素、または塩素を有し、特に好ましくは、アルカニル、アルコキシ、フッ素、または水素である。特に、R1はアルコキシまたはフッ素であり、R2はアルカニルである。
【0058】
1、Y2、およびY3は、相互に独立して、フルオロアルカニル、フルオロアルケニル、フルオロアルケニルオキシ、またはフルオロアルコキシが好ましく、各々の場合で最高4個の炭素原子、水素、フッ素、または塩素を有する。Y2およびY3は、各々の場合で水素であり、Y1は水素、F、Cl、またはCF3であることが特に好ましい。Y2およびY3が水素であり、Y1が水素またはフッ素、特にフッ素であることが非常に好ましい。
【0059】
環A1、A2、A3、およびA4は、
【0060】
【化11】

【0061】
を含む群から相互に独立して選択されることが好ましい。
【0062】
フェニレン環の中では
【0063】
【化12】

【0064】
が、ここでは好ましい。
【0065】
1、Z2、Z3、およびZ4は、相互に独立して、単結合、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、または−CH=CH−が好ましく、単結合、−CF2O−、または−OCF2−が特に好ましく、特に単結合である。
【0066】
中央のベンゾ融合した酸素複素環の他に、本発明による式Iの化合物は、式A1、A2、A3、および/またはA4の1個のさらなる、または2個のさらなる環系を有し、すなわち、a+b+c+dは1または2であることが好ましい。たった1個のさらなる環が存在する場合、すなわちa+b+c+d=1である場合は、環は式Iの分子の「左」側に存在し、すなわち中央の芳香環に連結し、あるいは、式Iの分子の「右」側に存在し、すなわち中央の複素環に連結している。この1個の環が中央の複素環に連結していることが好ましい。2個のさらなる環が存在する場合は、それらは両方とも式Iの分子の「左」側に存在することができ、または両方とも式Iの分子の「右」側に存在することができ、あるいは2個の基のうち1個が中央の芳香環に連結し、他方が中央のO複素環に連結している。ここで「連結している」は、それぞれの環が、単結合により直接中央の環系に結合しており、または単結合ではない橋(bridge)Zにより間接的に結合していることを意味する。特に好ましくは、たった1個のさらなる環が存在し、あるいは、2個のさらなる環が存在する場合には、各々の場合に、環の1個が中央の芳香環に、または中央の複素環に連結している。
【0067】
本発明の好ましい実施形態は、式Iのベンゾクロマン誘導体であり、式中、aもdも0であり;bは0または1であり;cは1であり;R1は、bが0である場合はアルカニルまたはアルコキシであり、bが1である場合はF、アルカニル、またはアルコキシであり;R2はアルカニルまたはアルコキシであり;A2は、bが1である場合は
【0068】
【化13】

【0069】
であり;A3は、
【0070】
【化14】

【0071】
であり;Z2は、bが1である場合は単結合であり;Z3は単結合である。
【0072】
a+b+c+dが0である、本発明による式Iの好ましいベンゾクロマン誘導体は、一般式IAにより示される:
【0073】
【化15】

【0074】
(式中、R1、R2、Y1、Y2、およびY3は、式Iで上記に定義したのと同じ意味であり同じ好ましい意味である)。
【0075】
a+b+c+dが1である、本発明による式Iの好ましいベンゾクロマン誘導体は、一般式IBおよびICにより示される:
【0076】
【化16】

【0077】
(式中、R1、R2、A2、A3、Z2、Z3、Y1、Y2、およびY3は、式Iで上記に定義したのと同じ意味であり同じ好ましい意味である)。
【0078】
a+b+c+dが2である、本発明による式Iの好ましいベンゾクロマン誘導体は、一般式ID、IEおよびIFにより示される:
【0079】
【化17】

【0080】
(式中、R1、R2、A1、A2、A3、A4、Z1、Z2、Z3、Z4、Y1、Y2、およびY3は、式Iで上記に定義したのと同じ意味であり同じ好ましい意味である)。
【0081】
本発明による式IAからIFの化合物の中では、式IB、IC、およびIFの化合物が特に好ましく、とりわけ式ICおよびIFの化合物が好ましい。
【0082】
例示の式IBの化合物は、以下の化合物である:
【0083】
【化18】

【0084】
(式中、nおよびmは、相互に独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、式IB−aおよびIB−cでは、nは0であってもよく、IB−aからIB−Dまでの全ての式で、mは0であってもよい)。
【0085】
式ICの例示の化合物は、以下の化合物である:
【0086】
【化19】

【0087】
(式中、nおよびmは、相互に独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、式IC−a、IC−b、IC−c、およびIC−eでは、nは0であってもよく、IC−aからIC−fまでの全ての式で、mは0であってもよい)。
【0088】
式IFの例示の化合物は、以下の化合物である:
【0089】
【化20】

【0090】
【化21】

【0091】
(式中、nおよびmは、相互に独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、式IF−a、IF−c、IF−e、IF−f、IF−h、およびIF−jでは、nは0であってもよく、式IF−a、IF−b、IF−e、IF−f、IF−g、およびIF−jでは、mは0であってもよい)。
【0092】
一般式Iの化合物は、文献に記載されているようなそれ自体は知られている方法により(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie、[Methods of organic chemistry]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの標準の方法で)、すなわち、周知の、記載されている方法に適する反応条件下で調製される。ここではそれ自体知られている変異形を使用することができるが、ここではより詳細については述べない。出発物質は、場合により、反応混合物から単離されない方法で、インサイチュで形成することもできるが、即座にさらに反応して一般式Iの化合物を与える。出発材料は、一般的に利用可能な文献の手順に従って得ることができ、または市販されている。
【0093】
しかし、本発明による式Iの化合物は、本発明のさらなる主題であるプロセスに従って利用可能でもある。本発明によるプロセスは、一般式IIの化合物:
【0094】
【化22】

【0095】
[式中、
a、b、c、d、e、R1、R2、A1、A2、A3、A4、Y1、Y2、Y3、Z1、Z2、Z3、Z4、および
【0096】
【化23】

【0097】
は、式Iで定義した通りであり、好ましく式Iに対するのとは同じ好ましい意味を有し;
1は、−SR3であり、
2は、−SR4であり;
または
1およびW2は、一緒に、=S、または−S−W3−S−であり、
(式中、
3およびR4は、相互に独立して、炭素原子1から8個のアルキルであり;
3は、炭素原子を少なくとも2個有する2価の有機基である)]
が、酸化剤の存在下でフッ素放出性の化合物と反応することを特徴とする。
【0098】
ここでは、フッ素放出性の化合物は、HF、ピリジン−フッ化水素複合体、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(Et3N・3HF)、およびテトラブチルアンモニウムジヒドロゲントリフルオリドを含む群から選択されることが好ましい。ピリジン−フッ化水素複合体およびトリエチルアミン三フッ化水素酸塩、とりわけトリエチルアミン三フッ化水素酸塩が特に好ましい。
【0099】
酸化剤は、ジメチルジブロモヒダントイン(DBH)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、塩素、臭素、SO2Cl2、SO2ClF、NOBF4、およびクロラミンTを含む群から選択されることが好ましい。酸化剤、ジメチルジブロモヒダントイン、N−ブロモスクシンイミド、または臭素、とりわけDBHが特に好ましい。
【0100】
本発明による式Iの化合物を得るための式IIの化合物の反応が、十分速やかに、反応物、生成物、および試薬の望ましくない反応なしに適当な選択性で進行するのであれば、本発明によるプロセスの反応条件の厳密な選択は、それ自体決定的に重要ではない。これらの反応条件は、とりわけ、P.Kirschら、Angew.Chem.、2001年、113巻、1528〜1532頁;国際公開01/64667 A1、国際公開02/48073 A1、および国際公開03/033619 A1に記載されているものなど、−CF2O−橋を開鎖化合物中に導入するための、類似の酸化的脱硫フッ素化反応のものから得られる。
【0101】
フッ素放出性の化合物は、フッ素化すべき式IIの化合物に対して、約2から約50モル当量、好ましくは約5から約25モル当量、特に好ましくは約10から約20モル当量のフッ素イオンが放出されるような量で通例使用される。例えば、1当量の化合物から3当量のフッ素を放出するトリエチルアミン三フッ化水素酸塩をフッ素放出性の化合物として用いる場合は、反応すべき式IIの化合物に対して、この試薬を化合物の約0.65から約16.7モル当量の量で、好ましくは約1.65から約8.4モル当量の量で、特に好ましくは約3.3から約6.6モル当量の量で使用する。酸化剤は、通例、反応すべき式IIの化合物に対して、約2から約10モル当量の量で、特に好ましくは約3から約7モル当量の量で、特に約4.5から約5.5モル当量の量で使用する。
【0102】
本発明によるプロセスは、溶剤なしで行うことができ、反応物、生成物、および試薬に対して適切に不活性である溶剤、または1つ、2つ、3つ、もしくはそれを超える溶剤の混合物中で行うことが好ましい。好ましくは、これらは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、およびテトラヒドロフラン(THF)などのエーテル、ならびに、ジクロロメタン、トリクロロメタン、およびトリクロロエチレンなどのハロアルカンなど、極性の溶剤または溶剤混合物である。個々の溶剤、とりわけジクロロメタンを用いることが特に好ましい。
【0103】
本発明によるプロセスは、反応速度、選択性、および反応の発熱に応じて、約−100℃から約50℃の温度範囲で行う。
【0104】
反応時間は、同様に、本発明の反応が進行する速度により特に決定し、通例、10分と2日の間、好ましくは1時間と24時間の間、特に2時間と6時間の間である。
【0105】
本発明による式Iの化合物を調製するための本発明によるプロセスで使用する上記に定義した式IIの化合物は、それらに関する限り新規であり、本発明のさらなる主題であり、ここでは、基、置換基、およびパラメータa、b、c、d、e、R1、R2、A1、A2、A3、A4、Y1、Y2、Y3、Z1、Z2、Z3、Z4、および
【0106】
【化24】

【0107】
は、式Iで定義したものと同じ意味であり、好ましくは式Iと同じ好ましい意味が想定される。これから除外されるのは、a、b、c、およびdが全て同時に0であり、eが1であり、R1もR2も水素であり、Y1、Y2、およびY3が全て水素であり、
【0108】
【化25】

【0109】
がC−C単結合であり、W1およびW2が一緒に−S−W3−S−であり、この場合、W3が−CH2−CH2−に等しい式IIの化合物である(E.J.Corey、D.J.Beamers、J.Am.Chem.Soc.、1973年、95巻、5829〜5831頁)。この化合物は、このようなものとして除外されるにすぎないが、本発明により、対応する式Iの化合物を調製するために、本発明によるプロセスで使用される。
【0110】
1が−S−R3であり、W2が−S−R4である場合、R3およびR4は、相互に独立して、炭素原子1、2、3、4、5、または6個のアルカニル基、特にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、およびn−ブチルであることが好ましい。R3およびR4は、同一でも異なってもよく、同一であることが好ましい。
【0111】
1およびW2が一緒に−S−W3−S−である場合は、炭素原子を少なくとも2個有する2価の有機基W3は、橋に炭素原子を2、3、4、5、または6個有するアルキレン橋であることが好ましく、各々の場合におけるこれらの炭素原子の最高3個が、1または2個のさらなるC1〜C4アルカニル置換基を有することができ、アルキレン橋の2個の隣接する炭素原子はそれらに関する限り、例えば、
【0112】
【化26】

【0113】
におけるような、さらなる環または環系の部分であることも可能である。さらに、W3は、場合によりさらなる置換基を有することができるベンゼン環であることが好ましい。W3がエチレン(−CH2−CH2−)またはプロピレン(−CH2−CH2−CH2−)であることが特に好ましい。
【0114】
本発明による式IIの化合物は、それらに関する限り、文献から知られた、または市販の物質から、様々な方法で利用可能である。式Iの化合物を調製するための本発明によるプロセスの好ましい実施形態でもある、好ましい実施形態においては、式IIの化合物は一般式IIIのラクトンから、約2モル当量のトリアルキルアルミニウムと約1モル当量のHS−W3−SHとの反応により得ることができる試薬との反応により得られ、好ましくはインサイチュで形成される。ここでは、ラクトンは以下の式IIIを有する:
【0115】
【化27】

【0116】
(式中、a、b、c、d、e、R1、R2、A1、A2、A3、A4、Z1、Z2、Z3、Z4、および
【0117】
【化28】

【0118】
は、式IおよびIIで定義した通りである)。
【0119】
使用するトリアルキルアルミニウムは、トリメチルアルミニウムであることが好ましい。ジチオールHS−W3−SHにおけるW3は、式IIにおけるのと同じ意味、および同じ好ましい意味を有する。
【0120】
式IIIのラクトンは、例えば、以下のスキーム1における通りに、またはそれに類似して調製することができる:
【0121】
【化29】

【0122】
ここでは、サリチルアルデヒドAは酢酸誘導体Bと縮合してラクトンCが得られるが、今度はこれを、本発明によるプロセスにおいてそれに関する限り使用することができる。あるいは、Cの環内の二重結合を触媒水素化のもとで還元することができ、このようにしてラクトンDが得られる。
【0123】
本発明に従って使用するラクトンを調製するためのさらなるプロセスを、スキーム2に示す:
【0124】
【化30】

【0125】
ここでは、サリチルアルデヒドEがリチウムエステルエノラートFと反応してGが得られ;酸の添加により、C−C二重結合の形成でOH基が除かれ、C−C二重結合は引き続き触媒水素化される。得られた化合物Hを、メタノール中で酸と、または加熱により引き続きラクトンDに転換する。
【0126】
さらなる合成(スキーム3)は、式IIIのラクトンを調製するのに特に適しており、式中、cもdも0であり、R2はアルキル基である。
【0127】
【化31】

【0128】
Jを得るためにAとマロン酸二エステルとの反応を最初に行い、次いで水素化してKを得、塩基およびアルキルハロゲン化物R2−ハロゲンと反応させてLを得る。加水分解および脱炭酸により、最終的にラクトンD’が得られる。
【0129】
本発明による式Iの化合物またはこれらのための前駆物質を調製するためのさらなるプロセスを、スキーム4における2つの変異形で示す。
【0130】
【化32】

【0131】
変異形a)では、ケトンLを、2−トリメチルシリル−1,3−ジチアンM、およびn−ブチルリチウムを用いて転換し、引き続きテトラブチルアンモニウムフルオリドと反応させてケテンジチオケタールとし、ケテンジチオケタールはそれに関する限り、酸触媒のもとで環化して、式IIの化合物であるスピロ化合物Oが得られる。変異形b)では、カルボキシル酸誘導体Pを、チオニルクロライドを用いて活性化し、次いで、トリフルオロ酢酸の存在下でプロパン−1,3−ジチオールと反応させて、塩Qが得られ、塩Qはそれに関する限りフッ素放出性化合物および酸化剤と反応することができて式Iの所望の化合物が得られる。
【0132】
当業者であれば、その知識に基づいて、言及したプロセスの修正および変更を問題なく行い、実行することができる。添付する実施例の検討は、これらのプロセスをさらに説明するものである。
【0133】
すでに言及したように、一般式Iの化合物を、液晶媒体で使用することができる。
【0134】
したがって、本発明は、また、少なくとも1つの一般式Iの化合物を含む、少なくとも2つの液晶化合物を有する液晶媒体に関し、この場合、本発明によると、式Iのベンゾクロマン誘導体では、a、b、c、dは0に等しく、R1、Y1、およびY3は水素に等しく、Y2は水素またはフッ素に等しく、R2は水素、フッ素、または塩素に等しく、これらは従来技術においてそのようなものとしてすでに知られ、ここで使用することができる。
【0135】
本発明は、また、1つまたは複数の本発明による式Iの化合物の他に、2から40個の、好ましくは4から30個の構成要素を、さらなる構成成分として含む液晶媒体にも関する。特に好ましくは、1つまたは複数の本発明による化合物の他に、これらの媒体は7から25個の構成要素を含む。これらのさらなる成分は、ネマチックまたはネマトゲニック(nematogenic)な(モノトロピックまたは等方性の)物質、特に、アゾキシベンゼン、ベンジリデンアニリン、ビフェニル、ターフェニル、1,3−ジオキサン、2,5−テトラヒドロピラン、フェニルもしくはシクロヘキシルベンゾエート、シクロヘキサンカルボキシル酸フェニルもしくはシクロヘキシルエステル、シクロヘキシル安息香酸のフェニルもしくはシクロヘキシルエステル、シクロヘキシルシクロヘキサンカルボキシル酸のフェニルもしくはシクロヘキシルエステル、安息香酸のシクロヘキシルフェニルエステル、シクロヘキサンカルボキシル酸のシクロヘキシルフェニルエステル、およびシクロヘキシルシクロヘキサンカルボキシル酸のシクロヘキシルフェニルエステル、フェニルシクロヘキサン、シクロヘキシルビフェニル、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン、シクロヘキシルシクロヘキサン、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン、1,4−ビスシクロヘキシルベンゼン、4’,4’−ビスシクロヘキシルビフェニル、フェニル−もしくはシクロヘキシルピリミジン、フェニル−もしくはシクロヘキシルピリジン、フェニル−もしくはシクロヘキシルジオキサン、フェニル−もしくはシクロヘキシル−1,3−ジチアン、1,2−ジフェニルエタン、1,2−ジシクロヘキシルエタン、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)エタン、1−シクロヘキシル−2−ビフェニルエタン、1−フェニル−2−シクロヘキシルフェニルエタン、場合によりハロゲン化されているスチルベン、ベンジルフェニルエーテル、トランおよび置換されているケイ皮酸からなるクラスからの物質から選択されることが好ましい。これらの化合物における1,4−フェニレン基も、モノフッ素化または多フッ素化されていてもよい。
【0136】
本発明による媒体のさらなる成分として適切な、最も重要な化合物は、式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)を特徴とすることができる。
R’−L−E−R” (1)
R’−L−COO−E−R” (2)
R’−L−OOC−E−R” (3)
R’−L−CH2CH2−E−R” (4)
R’−L−CF2O−E−R” (5)
式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)において、同一でも異なっていてもよいLおよびEは、各々の場合において相互に独立して、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−Pyr−、−Dio−、−Thp−、−G−Phe−、および−G−Cyc−から形成される群からの2価の基、ならびにこれらの鏡像であり、Pheは、非置換またはフッ素により置換されている1,4−フェニレンであり、Cycは、トランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキセニレンであり、Pyrは、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルであり、Dioは、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、Thpは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり、Gは、2−(トランス−1,4−シクロヘキシル)エチル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。
【0137】
好ましくは、基LおよびEの1個はCycまたはPheである。Eは、好ましくはCyc、Phe、またはPhe−Cycである。好ましくは、本発明による媒体は、LおよびEがCycおよびPheからなる群から選択される式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物から選択される1個または複数の構成要素、および同時に、基LおよびEの1個がCycおよびPheの群から選択され他の基が−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−、および−G−Cyc−から選択される式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物から選択される1個または複数の構成要素、ならびに場合により、基LおよびEが−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−、および−G−Cyc−からなる群から選択される式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物から選択される1個または複数の構成要素を含む。
【0138】
式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物のより小さなサブグループでは、R’、およびR’’は、各々の場合において相互に独立して、最高8個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル(オキサアルキル)アルケニルオキシ、またはアルカノイルオキシである。以下では、このより小さなサブグループを、グループAと呼び、化合物を小式(1a)、(2a)、(3a)、(4a)、および(5a)で指定する。これらの化合物の殆どでは、R’およびR’’は相互に異なり、これらの基の1個は通常、アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
【0139】
グループBと呼ぶ、式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物の別のより小さなサブグループでは、Eは
【0140】
【化33】

【0141】
である。
【0142】
小式(1b)、(2b)、(3b)、(4b)、および(5b)で指定されるグループBの化合物では、R’およびR’’は、(1a)から(5a)の小式の化合物の場合に示す意味を有し、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
【0143】
式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物のさらなるより小さなサブグループでは、R’’は−CNである。このサブグループを、以下ではグループCと呼び、このサブグループの化合物は、対応して小式(1c)、(2c)、(3c)、(4c)、および(5c)により表される。小式(1c)、(2c)、(3c)、(4c)、および(5c)の化合物では、R’は小式(1a)から(5a)の場合に示す意味を有し、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
【0144】
グループA、B、およびCの好ましい化合物の他に、示した置換基の他の変異形を有する式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の他の化合物は通例である。これらの物質は全て、文献に知られる方法またはその類似に従って得ることができる。
【0145】
本発明による一般式Iの化合物の他に、本発明による媒体は、グループA、B、および/またはCからの1個または複数の化合物を含むことが好ましい。本発明による媒体におけるこれらのグループからの化合物の重量パーセントは、
グループA:0から90%、好ましくは20から90%、特に30から90%
グループB:0から80%、好ましくは10から80%、特に10から70%
グループC:0から80%、好ましくは5から80%、特に5から50%
である。
【0146】
本発明による媒体は、本発明による式Iの化合物を、好ましくは1から40%、特に好ましくは5から30%含む。本発明による式Iの化合物を40%を超えて、特に45から90%を含む媒体がさらに好ましい。媒体は、好ましくは本発明による式Iの化合物を、1、2、3、4、または5個含む。
【0147】
式(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物の例は、以下に列挙する化合物である:
【0148】
【化34】

【0149】
【化35】

【0150】
【化36】

【0151】
ここでRa、Rbは、相互に独立して−Cp2p+1、または−OCp2p+1であり、p=1、2、3、4、5、6、7、または8であり、L1、L2は、相互に独立して−H、または−F、
【0152】
【化37】

【0153】
【化38】

【0154】
ここでm、nは、相互に独立して1、2、3、4、5、6、7、または8である。
【0155】
本発明の媒体の調製は、それ自体は慣例的であるやり方で行う。概して、好ましくは高温で、構成要素を互いに溶解する。適切な添加剤により、本発明の液晶相を、今までに知られるようになっている液晶ディスプレイ素子の全タイプで用いることができるように、変更することができる。このタイプの添加剤は、当業者であれば知っており、文献に詳しく記載されている(H.Kelker/R.Hatz、Handbook Of Liquid Crystals、Verlag Chemie、Weinheim、1980年)。例えば、着色したゲスト−ホスト系を調製するために多色性の色素を加えることができ、あるいは、誘電異方性、粘性、および/またはネマチック相の配向を変更するために物質を加えることができる。
【0156】
式Iの化合物は、これらのΔεは負であるので、VA−TFTディスプレイにおける使用にも特に適している。
【0157】
したがって、本発明は、本発明による液晶媒体を含む電気光学液晶ディスプレイ素子にも関する。
【0158】
例示的な実施形態の助けで、以下に本発明をより詳しく説明するが、これらにより限定されることを意図するものではない。
【0159】
上記および以下における、Δnは、光学異方性(589nm、20℃)であり、Δεは誘電異方性(1kHz、20℃)である。
【0160】
本発明の文脈では、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素である。
【0161】
本発明との関連で、「アルキル」という表現は、本明細書または特許請求の範囲における別の箇所で異なった定義をしない場合は、その最も一般的な意味において、直鎖または分枝の、飽和または不飽和の、炭素原子1から15個(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個)の脂肪族炭化水素基であり;この基は非置換、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、ニトロ、−NH2、−N(アルカニル)2、および/もしくはシアノによる一置換もしくは多置換であり、ここで多置換は同一の、または異なる置換基により起こることができる。脂肪族炭化水素鎖自体におけるアルキル基は、それ自体官能基化されていてもよい。
【0162】
このアルキル基が飽和されている基である場合は、これを「アルカニル」とも呼ぶ。さらに、「アルキル」という表現は、また、非置換の炭化水素基、あるいは特に、F、Cl、Br、I、および/または−CNによる同一にまたは異なって一置換または多置換されている対応する炭化水素基も含み、ここで、鎖におけるヘテロ原子(O、S)が相互に直接連結していないように、1個または複数のCH2基は−O−(「アルコキシ」、「オキサアルキル」)、−S−(「チオアルキル」)、−SO2−、−CH=CH−(「アルケニル」)、C≡C−(「アルキニル」)、−CO−、−CO−O−、または−O−CO−により置換されていてもよい。好ましくは、アルキルは直鎖または分枝の、非置換または置換されている、炭素原子1、2、3、4、5、6、7、または8個のアルカニル、アルケニル、またはアルコキシ基である。アルキルがアルカニル基である場合は、これは好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル;CF3、CHF2、CH2F、CF2CF3である。特に好ましくは、アルキル基は直鎖で、非置換、またはFにより置換されている。
【0163】
アルキル基では1個または複数のCH2基が−O−により置換されていてもよいので、「アルキル」という表現は、「アルコキシ」または「オキサアルキル」基も含む。アルコキシは、アルコキシ基により置換されている基に、または置換されている環に酸素原子が直接結合しており、アルキルが上記に定義されるO−アルキル基を意味するものと理解されたい;したがって、好ましくは、アルキルは、アルカニルまたはアルケニルである。好ましいアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、およびオクトキシであり、この場合、これらの基の各々は置換されていてもよく、すなわち1個または複数のフッ素原子により置換されていることが好ましい。アルコキシが、−OCH3、−OC25、−O−n−C37、−O−n−C49、O−t−C49、−OCF3、−OCHF2、−OCHF、または−OCHFCHF2であることが特に好ましい。本発明との関連で、「オキサアルキル」という表現は、隣接のヘテロ原子(O、S)が存在しないように少なくとも1個の非末端のCH2基が−O−により置換されているアルキル基を意味する。オキサアルキルは、式Ca2a+1−O−(CH2b−の直鎖基を含み、式中、aおよびbは、各々の場合で、相互に独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であることが好ましく;aが1から6の、bが1または2の整数であることが特に好ましい。
【0164】
上記に定義したアルキル基で、1個または複数のCH2基がイオウにより置換されている場合には、「チオアルキル」基が存在する。「チオアルキル」は、aが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、bが0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である、式Ca2a+1−S−(CH2b−の直鎖の基を含むことが好ましく;aが1から6までの、bが0、1または2の整数であることが特に好ましい。チオアルキル基は、同様に、F、Cl、Br、I、および/または−CNにより置換されていてもよく、好ましくは非置換である。
【0165】
本発明の文脈では、「アルケニル」という表現は、上記に定義したアルキル基であり、この場合、1個または複数の−CH=CH−基が存在する。基に2個の−CH=CH−基が存在する場合、これを「アルカジエニル」と呼ぶこともできる。アルケニル基は、炭素原子2から15個(すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15個)を含むことができ、分枝鎖、または好ましくは直鎖である。基は非置換、または同一もしくは異なって、特にF、Cl、Br、I、および/または−CNにより一置換もしくは多置換されており、すなわち、−CH=CH−単位の1個もしくは両方の水素、および/またはアルケニル基のさらなるCH2またはCH3基の1個または複数の水素が、対応する1つ(複数)の置換基により置換されていてもよい。さらに、1個または複数のCH2基は、各々の場合において相互に独立して、ヘテロ原子(O、S)が互いに直接連結していないように、−O−、−S−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、または−O−CO−により置換されていてもよい。1個のCH2基が−O−により置換されているアルケニル基は、ここで「アルケニルオキシ」とも呼ばれる。CH=CH基が両方の炭素原子上に水素以外の基を有する場合、例えば、それが非末端の基である場合には、CH=CH基は2つの立体配置で、すなわち、E異性体およびZ異性体として存在することができる。同じことが、ハロゲンおよび/または−CNにより置換されている二重結合の基にあてはまる。一般的には、E異性体(トランス)が好ましい。好ましくは、アルケニル基は炭素原子2、3、4、5、6、または7個を含み、ビニル、アリル、1E−プロペニル、2−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、2−プロペニル、2E−ブテニル、2E−ペンテニル、2E−ヘキセニル、2E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、および6−ヘプテニルである。特に好ましいアルケニル基は、ビニル、アリル、1E−プロペニル、2−プロペニル、および3E−ブテニルである。
【0166】
アルキル基で、1個または複数のCH2基が−C≡C−により置換されている場合には、アルキニル基が存在する。−CO−O−または−O−CO−による1個または複数のCH2基が置換されていることも可能である。これらの基では、以下のものがここでは好ましい:アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、または4−(メトキシカルボニル)ブチル。
【0167】
アルキル基でCH2基が非置換のまたは置換されている−CH=CH−により置換されており、隣接のCH2基がCO、CO−O−、またはO−CO−により置換されている場合は、この基は直鎖または分枝であってもよい。好ましくは、これは直鎖で、炭素原子4から12個を有する。したがって、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、メタクリロイルオキシメチル、2−メタクリロイルオキシエチル、3−メタクリロイルオキシプロピル、4−メタクリロイルオキシブチル、5−メタクリロイルオキシペンチル、6−メタクリロイルオキシヘキシル、7−メタクリロイルオキシヘプチル、または8−メタクリロイルオキシオクチルが特に好ましい。
【0168】
アルキル基、アルカニル基、アルケニル基、またはアルコキシ基が少なくとも1個のハロゲンにより置換されている場合は、この基は直鎖であることが好ましい。ハロゲンは、FまたはClであることが好ましい。多置換の場合には、ハロゲンがFであることが好ましい。得られる基は、多フッ素化されている基も含む。一置換の場合は、フッ素または塩素の置換基はあらゆる所望の位置であってもよいが、ω位におけることが好ましい。
【0169】
本発明との関連で、「フルオロアルキル」という表現は、1個または複数のフッ素原子により置換されている、上記に定義したアルキル基を意味する。好ましくは、フルオロアルキル基は炭素原子1から7個を有する。特に好ましいフルオロアルキル基は、CF3およびCHF2の他に、C25、CHFCF3、およびCHFCHF2など、高度にフッ素化されているアルキル基である。
【0170】
本発明との関連で、「フルオロアルコキシ」という表現は、1個または複数のフッ素原子により置換されている、上記に定義したアルコキシ基を意味する。好ましくは、フルオロアルコキシ基は炭素原子1から7個を有する。特に好ましいフルオロアルキル基は、OCF3、OCHF2、およびOCH2Fの他に、OC25、OCHFCF3、およびOCHFCHF2など、高度にフッ素化されているアルコキシ基である。
【0171】
本発明の文脈で、「アリール」という表現は、本明細書または特許請求の範囲における別の位置における個々の場合で異なって定義されない場合は、ハロゲン、ニトロ、アルカニル、アルコキシ、−NH2により、または−N(アルカニル)2により、場合により一置換または多置換されている炭素原子6から14個の芳香族炭化水素を意味し、この場合、多置換は、同一の置換基で、または異なる置換基で起こることができる。この語は、1個を超える環を有する芳香族炭化水素、すなわち、単結合または二重結合により連結している環を有する融合環系および環系も含む。特に、「アリール」は、非置換の、または置換されているフェニル、ナフチル、または4,4’−ビフェニル基である。
【0172】
本発明との関連で、「アラルキル」という表現は、アリールアルキル基、すなわち、アリール置換基がアルキル橋を経由して、原子、鎖、別の基、または官能基に連結している基を意味する。アルキル橋は、好ましくは、飽和の2価の炭化水素基(「アルキレン」)、特に、メチレン(−CH2−)およびエチレン(−CH2−CH2−)である。アラルキル基の好ましい例には、ベンジルおよびフェネチルがある。本発明の目的では、「アラルキル−O−基」は、アルキル橋に結合している酸素原子を経由して、さらなる原子、鎖、別の基、または官能基に連結しているアラルキル基である。アラルキル−O−基の好ましい例には、O−ベンジルおよびO−CH2CH2フェニルがある。
【0173】
本発明の文脈で、「アルキレン」または「アルキレン橋」は、この語が本明細書または特許請求の範囲における別の位置において異なって定義されない場合は、ハロゲン、CN、カルボキシル、ニトロ、アルカニル、アルコキシ、−NH2、または−N(アルカニル)2により、場合により一置換、または多置換されていてもよい、鎖に炭素原子1、2、3、4、5、6、7、8個を有する2価の脂肪族炭化水素基を表し、この場合、多置換は、同一の置換基により、または異なる置換基により起こることができる。好ましくは、「アルキレン」または「アルキレン橋」は、非置換の、または、メチル、特に−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、−(CH24−、および−CH2C(CH32CH2−により一置換、もしくは多置換されている炭素原子1、2、3、4、5、6個の直鎖の飽和脂肪族基を表す。
【0174】
本発明による化合物の基もしくは置換基、または本発明による化合物それ自体が、光学的に活性のまたは立体異性の基、置換基、または化合物として存在する場合、これらには、例えば不斉中心が存在するので、本発明はこれらをさらに含む。本発明の一般式Iの化合物は、異性体的に純粋な形態で、例えば、純粋な鏡像異性体、ジアステレオマー、EもしくはZ異性体、トランスもしくはシス異性体として、または任意の所望の比率の数々の異性体の混合物として、例えば、ラセミ化合物として、E/Z異性体の混合物として、またはシス/トランス異性体の混合物として存在することができることが、ここでは明らかである。
【0175】
本発明による反応、および/またはその前のもしくは後の反応、ならびに/あるいは試案段階(workup steps)で、望ましくない反応からの分子に場合により含まれている、場合によって(optionally)反応性の官能基または置換基を保護するために、反応が起こった後に再び取り除かれる保護基を使用することができる。適切な保護基を使用するための方法は、当業者には知られており、例えば、T.W.Green、P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons(1999年)に記載されている。
【実施例】
【0176】
出発物質は、一般的に利用可能な文献の手順に従って、または市販により得ることができる。記載されている反応は、文献から知られている。従来の、よく知られている省略形の他に、以下の省略形を用いる:
C:結晶相、N:ネマチック相、I:アイソトロピック相
温度は、別段の記載がなければ、℃である。
【0177】
物理的、物理化学的、または電気光学的パラメータの決定は、とりわけ小冊子「Merck Liquied Crystals−Licristal(登録商標)−Physical Propaties of Liquid Crystals−Description of the Measurements Methods」、1998年、Merck KGaA、Darmstadtに記載されているような、一般的に知られている方法に従って実行する。
【0178】
誘電異方性Δεは、20℃、1kHzで決定する。光学異方性Δnは、20℃、波長589.3nmで決定する。
【0179】
実施例A
a)3−ヘプチル−3,4−ジヒドロクロメン−2−オン(6)の調製
調製は、Houben−Weyl、Methoden der Organischen Chemie、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、第4版、1993年に従って、以下の反応スキームに示す通りに行う。
【0180】
【化39】

【0181】
ここでは、サリチルアルデヒド1を、塩基性触媒下でジエチルマロネート2と反応させて、ベンゾクロメン3を得る。不均一系触媒作用下で水素化することにより、対応するベンゾクロメン誘導体4が得られ、これを塩基性触媒下で、n−ヘプチルヨウ素で5に転換する。加水分解および脱炭酸により、最終的にラクトン6を得る。
【0182】
b)15−ヘプチル−7−オキサ−1,5−ジチア−[8,13]−ベンゾスピロ[5,5]ウンデカン(7)の調製
【0183】
【化40】

【0184】
トリメチルアルミニウム29ml(58mmol)の2Mヘプタン溶液を、最初に窒素下でジクロロメタン50ml中に導入し、−75℃に冷却し、ジクロロメタン15ml中の1,3−プロパンジチオール2.9ml(28.9mmol)の溶液を滴加する。混合物を溶かし、−20℃に冷却し、ジクロロメタン35ml中の3−ヘプチル−3,4−ジヒドロクロメン−2−オン(6)6.80g(27.6mmol)の溶液を滴加する。混合物を室温で一夜撹拌し、氷水に加え、ジクロロメタンで抽出する。有機相を合わせ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶剤を真空で除去し、残渣を、シリカゲルを通してヘプタン/メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(8:2)を用いてろ過する。黄色油状物として7.20g(79%)のジチオオルトエステル7を得、これをさらなる精製なしで次の段階で使用する。
【0185】
c)2,2−ジフルオロ−3−ヘプチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン(8)
【0186】
【化41】

【0187】
7.20g(21.4mmol)のジチオオルトエステル7およびトリエチルアミン三フッ化水素酸塩17.5ml(109mmol)を、最初に−70℃でジクロロメタン120ml中に導入し、引き続き、部分ずつジクロロメタン80ml中のDBH31.0g(109mmol)の懸濁液と処理する。2時間後、混合物を−30℃に温め、次いで橙色の懸濁液を、亜硫酸水素ナトリウム溶液44mlと氷冷した2N水酸化ナトリウム溶液400mlとの混合液に加える。水相を分離して除き、ジクロロメタンで2回抽出する。有機相を合わせ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。無色液体として2,2−ジフルオロ−3−ヘプチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン(8)1.7g(30%)を得る。
【0188】
19F−NMR(282MHz,CDCl3
δ=−74.0ppm(ddd,3F,H=2.2Hz,3F,H=3.8Hz,2F,F=154Hz,1F,CF2O)、−79.1(ddd,3F,H=3.0Hz,3F,H=13.0Hz,2F,F=154Hz,1F,CF2O)。
【0189】
実施例B
a)3−フルオロ−4−ブトキシ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(11)
【0190】
【化42】

【0191】
1−ブロモ−4−ブトキシ−3−フルオロ−2−(2−メトキシエトキシメトキシ)ベンゼン(9)21.0g(59.3mmol)を、THF200mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウムの15%濃度のヘキサン溶液37ml(60mmol)で処理する。1時間後、THF50mmol中、N−ホルミルピペリジン6.8ml(61mmol)を滴加する。混合液を引き続き1時間撹拌し、混合液を溶かす。加水分解後、溶液を酸性化し、MTBEで抽出する。有機相を合わせ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶剤を真空で除去し、残渣をTHF150mlに取り込み、濃塩酸30mlを加えた後、混合液を室温で一夜撹拌する。混合液をMTBEに取り込み、水で洗浄する(pH5)。溶剤を真空で除去し、粗製の生成物をシリカゲルを通してMTBEを用いてろ過する。わずかに紫色の固体として3−フルオロ−4−ブトキシ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(11)8.80g(53%、2段)を得る。
【0192】
b)7−ブトキシ−8−フルオロ−3−[4−(4−トランス−ペンチルシクロヘキシル)−フェニル]クロメン−2−オン(13)
【0193】
【化43】

【0194】
3−フルオロ−4−ブトキシ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(11)8.60g(37.4mmol)、4−トランス−ペンチル−(4−シクロヘキシルフェニル)酢酸(12)10.7g(37.1mmol)、トリエチルアミン5.2ml(37.4mmol)、および無水酢酸18ml(190mmol)を、24時間、還流下で加熱する。溶液を水に加え、MTBEで抽出し、有機相を合わせ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶剤を真空で除去し、残渣をアセトニトリルから再結晶させる。無色結晶として7−ブトキシ−8−フルオロ−3−[4−(4−トランス−ペンチル−シクロヘキシル)フェニル]クロメン−2−オン(13)10.8g(57%)を得る。
【0195】
c)7−ブトキシ−8−フルオロ−3−[4−(4−トランス−ペンチルシクロヘキシル)−フェニル]クロマン−2−オン(14)
【0196】
【化44】

【0197】
7−ブトキシ−8−フルオロ−3−[4−(4−トランス−ペンチルシクロヘキシル)フェニル]クロメン−2−オン(13)16.7gをテトラヒドロフラン中のパラジウム−活性炭素触媒上で水素化を完結させる。溶液をろ過し、濃縮し、残渣を、シリカゲルを通し、トルエン/ヘプタン(2:1)を用いてろ過する。融点145℃の無色結晶として7−ブトキシ−8−フルオロ−3−[4−(4−トランス−ペンチルシクロヘキシル)フェニル]−クロマン−2−オン(14)12.2g(77%)を得る。
【0198】
MS(EI)
m/e(%)=466[M+](100)、438[M+−CO](74)、382[M+−CO−Bu](84)。
【0199】
1H−NMR(300MHz,CDCl3
δ=0.83〜1.59ppm(m,22H)、1.73〜1.94(m,5H)、2.45(tt,3J=3.0Hz,3J=11.5Hz,1H,Ar−CH(CH22,3.18(AB−dd,3J=6.5Hz,3J=16.0Hz,1H,Ar−CH2−CH)、3.30(AB−dd,3J=10.5Hz,3J=16.0Hz,1H,Ar−CH2−CH)、3.94(dd,3J=6.5Hz,3J=10.5Hz,1H,ArCHC(O)O−Ar)、4.03(t,3J=6.6Hz,2H,Ar−OCH237)、6.70(mc,1H,Ar−H)、6.83(mc,1H,Ar−H)、7.17(mc,4H,Ar−H)。
【0200】
d)9−フルオロ−10−ブトキシ−15−(4−トランス−ペンチル(4−シクロヘキシル−フェニル))−7−オキサ−1,5−ジチア[8,13]ベンゾスピロ[5.5]ウンデカン(15)
【0201】
【化45】

【0202】
上記実施例Ab)に記載した合成と同様に、7−ブトキシ−8−フルオロ−3−[4−(4−トランス−ペンチルシクロヘキシル)フェニル]クロマン−2−オン(14)10.1gから出発して、無色固体として9−フルオロ−10−ブトキシ−15−(4−トランス−ペンチル−(4−シクロヘキシルペンチル))−7−オキサ−1,5−ジチア[8,13]ベンゾスピロ[5.5]ウンデカン(15)8.7g(70%)を得る。
【0203】
MS(EI)
m/e(%)=556[M+](100)、460(87)。
【0204】
e)7−ブトキシ−2,2,8−トリフルオロ−3−[4−(4−トランス−ペンチル−シクロヘキシル)フェニル]クロマン(16)
【0205】
【化46】

【0206】
実施例Ac)に記載した合成と同様に、9−フルオロ−10−ブトキシ−15−(4−トランス−ペンチル−(4−シクロヘキシルペンチル))−7−オキサ−1,5−ジチア[8,13]ベンゾスピロ[5.5]ウンデカン(15)4.60gから出発して、無色固体として7−ブトキシ−2,2,8−トリフルオロ−3−[4−(4−トランス−ペンチルシクロヘキシル)フェニル]クロマン(16)2.40g(61%)を得る。
【0207】
相挙動:C 76 N 89.6 I.Δε=−9.3;Δn=0.1232
19F−NMR(282MHz,CDCl3
δ=−75.6ppm(ddd,3F,H=2.2Hz,3F,H=4.4Hz,2F,F=153Hz,1F,CF2O)、−79.1(dd,3F,H=18.8Hz,2F,F=153Hz,1F,CF2O)。
【0208】
MS(EI)
m/e(%)=488[M+](100)、432[M+−Bu](52)。
【0209】
実施例C
a)3−フルオロ−2−ベンジルオキシ−4−ブトキシベンズアルデヒド(18)
【0210】
【化47】

【0211】
上記実施例Ba)における9から10の反応と同様に、1−ブロモ−2−ベンジルオキシ−4−ブトキシ−3−フルオロベンゼン(17)61.6g(0.189mol)から出発して、黄色結晶として3−フルオロ−2−ベンジルオキシ−4−ブトキシベンズアルデヒド(18)37.5g(70%)を得る。
【0212】
b)メチル3−(2−(ベンジルオキシ)−4−エトキシ−3−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)プロピオネート(20)
【0213】
【化48】

【0214】
ジイソプロピルアミン21ml(0.149mol)をTHF300mlに溶解し、n−ブチルリチウム94ml(0.149mol)の15%ヘキサン溶液を−78℃で加える。混合液を溶かし、再度−78℃に冷却する。引き続き、THF300ml中のメチル(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)アセテート(19)30.0g(0.149mol)を滴加する。2時間後、THF300ml中の3−フルオロ−2−ベンジルオキシ−4−エトキシベンズアルデヒド(18)42.1g(0.149mol)の溶液を滴加し、混合液を2時間撹拌し、−5℃に温める。加水分解後、溶液をわずかに酸性化し、MTBEで3回抽出する。有機相を合わせ、水で洗浄し、溶剤を真空で除去し、残渣をシリカゲルを通してヘプタン/MTBE(7:3)を用いてろ過する。粘稠性の黄色油状物としてメチル3−(2−(ベンジルオキシ)−4−エトキシ−3−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)プロピオネート(20)51.3g(72%)を得る。
【0215】
MS(EI)
m/e(%)=455[M+−OH](2)、275(70)、91[C77+](100)。
【0216】
1H−NMR(300MHz,CDCl3
δ=0.72〜1.90ppm(m,20H)、2.64(d,3J=6.2Hz,1H,OH)、2.82(dd,3J=4.1Hz,3J=8.2Hz,1H,CHCOOMe)、3.47(s,3H,OCH3)、4.10(q,3J=7.0Hz,−OCH2CH3)、4.99(dd,3J=6.2Hz,3J=8.2Hz,1H,Ar−CH(OH)−)、5.11(d,3J=10.9Hz,1H,PhCH2O−)、5.27(d,3J=11.4Hz,1H,PhCH2O−)、6.64(t,3J=8.2Hz,1H,Ar−H)、6.97(dd,3J=1.8Hz,3J=8.6Hz,1H,Ar−H)、7.42(mc,5H,Ar−H)。
【0217】
c)メチル3−(2−(ベンジルオキシ)−4−エトキシ−3−フルオロフェニル)−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)アクリレート(21)
【0218】
【化49】

【0219】
メチル3−(2−(ベンジルオキシ)−4−エトキシ−3−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)プロピオネート(20)50.0g(0.106mol)をジクロロメタン500mlに溶解し、トリエチルアミン44ml(0.317mol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン240mgを加えた後、氷冷しながらメシルクロライド9.0ml(116mmol)で処理する。引き続き、冷却を取り除き、混合液を1時間、還流下で加熱する。溶液を3回水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶剤を真空で除去し、残渣をシリカゲルを通してヘプタン/MTBエーテル(8:2)を用いてろ過する。黄色油状物としてメチル3−(2−(ベンジルオキシ)−4−エトキシ−3−フルオロフェニル)−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)アクリレート(21)31.6g(56%)を得る。
【0220】
d)メチル3−(4−エトキシ−3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)プロピオネート(22)
【0221】
【化50】

【0222】
メチル3−(2−(ベンジルオキシ)−4−エトキシ−3−フルオロフェニル)−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)アクリレート(21)7.60gを、THF中、パラジウム活性炭素触媒(5%)上で水素化を完結させる。溶剤を真空で除去し、残渣を、シリカゲルを通してヘプタン/MTB(8:2)を用いてろ過する。無色結晶としてメチル3−(4−エトキシ−3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)プロピオネート(22)4.60g(76%)を得る。
【0223】
e)7−エトキシ−8−フルオロ−3−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)−クロマン−2−オン(23)
【0224】
【化51】

【0225】
メチル3−(4−エトキシ−3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)プロピオネート(22)14.5g(37.3mmol)をジフェニルエーテル60mlに溶解し、2時間還流下で加熱する。混合液をシリカゲル100gに加え、ヘプタンを用いてジフェニルエーテルを溶出する。引き続き、ヘプタン/MTBE(9:1)で希釈することにより、無色薄片状として7−エトキシ−8−フルオロ−3−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)クロマン−2−オン(23)9.10g(72%)を得る。
【0226】
MS(EI)
m/e(%)=334[M+](84)、170(100)。
【0227】
1H−NMR(300MHz,CDCl3
δ=0.78〜1.35(m,12H)、1.44(t,3J=7.1Hz,3H,CH3)、1.65〜1.85(m,5H)、2.54(mc,1H,CH)、2.87(AB−dd,3J=8.3Hz,2J=15.9Hz,1H,ArCH2)、2.95(AB−dd,3J=6.5Hz,2J=15.9Hz,1H,Ar−CH2−)、4.10(q,3J=7.0Hz,2H,CH3CH2O−)、6.66(dd,3J=7.27Hz,1H,Ar−H)、6.81(mc,1H,Ar−H)。
【0228】
f)10−エトキシ−9−フルオロ−15−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)−7−オキサ−1,5−ジチア[8,13]ベンゾスピロ[5.5]ウンデカン(24)
【0229】
【化52】

【0230】
実施例Ab)に記載した合成と同様に、7−エトキシ−8−フルオロ−3−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)クロマン−2−オン(23)9.10g(26.9mmol)から出発して、無色固体として10−エトキシ−9−フルオロ−15−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)−7−オキサ−1,5−ジチア[8,13]ベンゾスピロ[5.5]ウンデカン(24)5.60g(49%)を得る。
【0231】
MS(EI)
m/e(%)=424[M+](100)、256(70)。
【0232】
g)7−エトキシ−2,2,8−トリフルオロ−3−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)クロマン(25)
【0233】
【化53】

【0234】
実施例Ac)に記載した合成と同様に、10−エトキシ−9−フルオロ−15−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)−7−オキサ−1,5−ジチア[8,13]ベンゾスピロ[5.5]ウンデカン(24)5.60g(13.2mmol)から出発して、無色固体として7−エトキシ−2,2,8−トリフルオロ−3−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)クロマン(25)1.80g(38%)を得る。
【0235】
相挙動:C 81 N (−6) I.Δε=−11.1;Δn=0.0728
MS(EI)
m/e(%)=356[M+](100)、328[M+−C25](45)。
【0236】
1H−NMR(250MHz,CDCl3
δ=0.80〜1.37ppm(m,12H)、1.42(t,3J=7.0Hz,3H,CH3)、1.80(mc,5H)、2.40(mc,1H,Ar−CH2−)、2.84(mc,2H,Ar−CH2−および−CHCF2O)、4.09(q,3J=7.0Hz,2H,OCH2CH3)、6.61(dd,3J=6.4Hz,3J=8.5Hz,1H,Ar−H)、6.67(mc,1H,Ar−H)。
【0237】
19F−NMR(235MHz,CDCl3
δ=−74.0ppm(dd,3F,H=2.6Hz,2F,F=152Hz,1F,CF2O)、−75.9(dd,3F,H=19.2Hz,2F,F=152Hz,1F,CF2O)、−157(dd,3F,H=1.5Hz,3F,H=7.2Hz,1F,Ar−F)。
【0238】
実施例D
a1)6−オキサ−1,4−ジチア[7,8]ベンゾスピロ[4.5]デカン(27)
【0239】
【化54】

【0240】
トリメチルアルミニウム236ml(0.472mol)の2Mヘプタン溶液を、最初に−78℃で導入し、20mlジクロロメタン中のエタンジチオール19.9ml(0.236mol)の溶液を加える。混合液を溶かし、−20℃に冷却し、ジクロロメタン330ml中のジヒドロクマリン(26)35.0g(0.236mol)の溶液を滴加する。混合液を室温で一夜撹拌し、氷を添加し、濃塩酸で酸性化する。水相を分離して除き、ジクロロメタンで抽出する。有機相を合わせ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。シリカゲル上でヘプタン/MTBエーテル(2:1)を用いて粗製生成物をろ過した後、無色油状物として44.5g(84%)のジチオオルトエステル27を得る。
【0241】
MS(EI):m/e(%)=223(100)[M+−H]。
【0242】
1H−NMR(300MHz,CDCl3
δ=2.62ppm(t,3J=6.7Hz,2H,ArCH2CH2)、3.02(t,3J=6.7Hz,2H,ArCH2CH2)、3.53(mc,4H,−SCH2CH2S−)、6.87(mc,2H,Ar−H)、7.11(mc,2H,Ar−H)。
【0243】
a2)7−オキサ−1,5−ジチア[8,9]ベンゾスピロ[5.5]ウンデカン(31)
【0244】
【化55】

【0245】
o−メトキシフェニルプロピオン酸(29)10g(55.5mmol)および1,3−プロパンジチオール6.1mlを最初に導入し、トリフルオロメタンスルホン酸14.6ml(0.167mol)を加えた後、120℃で2時間加熱する。反応混合液を冷却しながら水酸化ナトリウム溶液に加え、トルエンで抽出し、有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥する。溶剤を真空で除去し、残渣を、シリカゲルを通して1−クロロブタンを用いてろ過する。黄色油状物として6.48g(49%)のスピロ化合物31を得る。
【0246】
MS(EI):m/e(%)=238(100)[M+]。
【0247】
1H−NMR(300MHz,CDCl3
δ=2.07ppm(mc,1H,−SCH2CH2CH2S−)、2.25(mc,1H,−SCH2CH2CH2S−)、2.32(t,J=7.0Hz,2H,Ar−CH2CH2−)、2.71(dt,J=14.4Hz,J=3.4Hz,2H,−SCH2CH2CH2S−)、2.97(t,J=7.0Hz,2H,Ar−CH2−CH2)、3.64(mc,2H,−SCH2CH2CH2S−)、6.92(mc,2H,Ar−H)、7.08(d,J=7.6Hz,1H,Ar−H)、7.13(mc,その中に:t,J=7.6Hz,1H,Ar−H)。
【0248】
B)2,2−ジフルオロクロマン(32)
【0249】
【化56】

【0250】
5.00g(22.3mmol)のジチオオルトエステル27をジクロロメタン120mlに溶解し、最初にトリエチルアミン三フッ化水素酸塩18ml(0.111mol)と−78℃で処理する。引き続き、ジクロロメタン50ml中、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン31.9g(0.111mol)の懸濁液を部分ずつ30分かけて加える。混合液をさらなる2.5時間撹拌し、室温に温め、1N水酸化ナトリウム溶液を用いて加水分解し、ジクロロメタンで3回抽出する。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、粗製生成物をシリカゲルを通してn−ヘプタン/酢酸エチル(50:1)を用いてろ過する。生成物をバルブチューブ蒸留によりさらに精製する。わずかに黄色の液体の標的化合物32を2.80g(74%)得る。含有率:99.2%(GC)。
【0251】
同様に、32を化合物31から調製することもできる(実施例D a2)
1H−NMR(300MHz,CDCl3
δ=2.32ppm(tt,3F,H=8.9Hz,3H,H=7.1Hz,2H,CH2)、2.96(t,3H,H=7.1Hz,2H,CH2)、6.99(mc,2H,Ar−H)、7.18(mc,2H,Ar−H)。
【0252】
13C−NMR(75MHz,CDCl3
δ=22.54(t,3C,F=4.0Hz,CH2CH2CF2)、27.88(t,2C,F=29.1Hz,CH2CH2CF2)、116.85(CH)、120.47(C)、123.03(CH)、123.16(t,1C,F=255Hz,CF2O)、128.15(CH)、128.78(CH)、150.95(C)。
【0253】
19F−NMR(282MHz,CDCl3
δ=−69.77ppm(t,3F,H=8.9Hz,2F,CF2)。
【0254】
MS(EI)
m/e(%)=170(100)[M+]、150(7)[M+−HF]。
【0255】
HR−MS(EI)
計算値:m/e=170.054716;実測値:m/e 170.054321。
【0256】
実施例E
【0257】
【化57】

【0258】
実施例Dと同様に、(2−メトキシフェニル)酢酸(33)から出発して、無色液体として2,2−ジフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾフラン(36)を得る。
【0259】
1H−NMR(300MHz,CDCl3
δ=3.59ppm(t,3F,H=14.0Hz,2H,CH2)、6.96(d,J=8.1Hz,1H,Ar−H)、7.04(dd,J=0.9Hz,J=7.5Hz,1H,Ar−H)、7.22(mc,2H,Ar−H)。
【0260】
19F−NMR(235MHz,CDCl3
δ=−63.94ppm(t,3F,H=14.0Hz,2F,CF2
MS(EI)
m/e(%)=156(100)[M+]、136(6)[M+−HF]。
【0261】
本発明による以下の化合物は、上記に記載した実施例A〜Eと同様に調製する。
【0262】
以下は、実施例Aと同様に調製する:
【0263】
実施例1〜105
【0264】
【化58】

【0265】
実施例106〜210
【0266】
【化59】

【0267】
実施例211〜315
【0268】
【化60】

【0269】
実施例316〜420
【0270】
【化61】

【0271】
【表1】



【0272】
【表2】



【0273】
【表3】



【0274】
【表4】

【0275】
選択した実施例についての測定:
実施例番号338
【0276】
【化62】

【0277】
相挙動:C 108 I.Δε=−5.9;Δn=0.099。
【0278】
以下は、実施例Aと同様に調製する:
【0279】
実施例421〜476
【0280】
【化63】

【0281】
実施例477〜532
【0282】
【化64】

【0283】
【表5】

【0284】
【表6】

【0285】
【表7】

【0286】
選択した実施例についての測定:
実施例番号502
【0287】
【化65】

【0288】
相挙動:C 25 I.Δε=−6.6;Δn=0.047。
【0289】
以下は、実施例Bと同様に調製する:
【0290】
実施例533〜637
【0291】
【化66】

【0292】
実施例638〜742
【0293】
【化67】

【0294】
実施例743〜847
【0295】
【化68】

【0296】
実施例848〜952
【0297】
【化69】

【0298】
【表8】

【0299】
【表9】

【0300】
【表10】

【0301】
【表11】

【0302】
以下は、実施例Cと同様に調製する:
【0303】
実施例953〜1057
【0304】
【化70】

【0305】
実施例1058〜1162
【0306】
【化71】

【0307】
実施例1163〜1267
【0308】
【化72】

【0309】
実施例1268〜1372
【0310】
【化73】

【0311】
実施例1373〜1477
【0312】
【表12】

【0313】
【表13】

【0314】
【表14】

【0315】
【表15】

【0316】
【表16】

【0317】
以下は、実施例Cと同様に調製する:
【0318】
実施例1478〜1533
【0319】
【化74】

【0320】
実施例1534〜1589
【0321】
【化75】

【0322】
【表17】

【0323】
【表18】

【0324】
【表19】

【0325】
以下は実施例Aと同様に調製する:
【0326】
実施例1534〜1533
【0327】
【化76】

【0328】
実施例1590〜1645
【0329】
【化77】

【0330】
【表20】

【0331】
【表21】

【0332】
選択した実施例についての測定:
実施例番号1612
【0333】
【化78】

【0334】
相挙動:C 124 I.Δε=−6.6;Δn=0.135。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物:
【化1】

[式中、
a、b、c、d、およびeは、相互に独立して0または1であり;
1およびR2は、相互に独立して、水素、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−SCN、−NCS、SF5、炭素原子が最高15個のアルカニル、アルコキシ、アルケニル、またはアルキニルであり、これは、非置換、−CNもしくは−CF3による一置換、またはF、Cl、Br、および/もしくはIによる一置換もしくは多置換であり、この場合、これらの基では1個または複数のCH2基も、各々の場合相互に独立して、ヘテロ原子が直接連結しないように−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCO−O−により置換されていてもよく、または重合可能な基Pであり;
1、Y2、およびY3は、相互に独立して、水素、ハロゲン、炭素原子1から8個のハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アルコキシであり;
1、A2、A3、およびA4は、相互に独立して、非置換の、または、相互に独立して、−CN、−F、−Cl、−Br、−Iにより一置換から四置換されていてもよい1,4−フェニレン、非置換、またはフッ素および/もしくは塩素により一置換または多置換されていてもよいC1〜C6アルカニル、あるいは、非置換、またはフッ素および/もしくは塩素により一置換または多置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ;1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシニレン、または1,4−シクロヘキサジエニレンであり、ここで、−CH2−は、相互に独立して、ヘテロ原子が直接連結しないように−O−または−S−により1回または2回置換されていてもよく、非置換、または−F、−Cl、−Br、および/もしくは−Iにより一置換、または多置換であってもよく;
1、Z2、Z3、およびZ4は、相互に独立して、単結合、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CHF−CHF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−CH2O−、−OCH2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CH=CH−、または−C≡C−であり;
式Iの酸素複素環における
【化2】

は、C−C単結合であり、eが1である場合は、C=C2重結合であってもよく;
式中、a、b、c、およびdが同時に0であり、eが1であり、R1が水素であり、Y1もY3も水素であり、
【化3】

が単結合である場合、Y2は水素またはフッ素ではなく、R2は水素、フッ素、または塩素ではない]。
【請求項2】
eが1であり、
【化4】

がC−C単結合であることを特徴とする、前記請求項に記載の化合物。
【請求項3】
2およびY3が水素であることを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項4】
1が水素、F、Cl、またはCF3であることを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項5】
1、A2、A3、およびA4が、相互に独立して、
【化5】

を含む群から選択されることを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項6】
1、Z2、Z3、およびZ4が、相互に独立して、単結合、−CF2O−、または−OCF2−であることを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項7】
1は、水素、フッ素、炭素原子1から8個のアルカニルまたはアルコキシであり;
2は、水素、フッ素、炭素原子1から8個のアルカニルまたはアルコキシであることを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項8】
a+b+c+dが1または2であり、この場合、a+bが0または1であり、c+dが0または1であることを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項9】
aもdも0であり、
bは0または1であり、
cは1であり、
bが0である場合、R1はアルカニルまたはアルコキシであり、bが1である場合、R1はF、アルカニルまたはアルコキシであり;
2はアルカニルまたはアルコキシであり;
bが1である場合、A2
【化6】

であり;
3
【化7】

であり;
bが1である場合、Z2は単結合であり;
3は単結合であることを特徴とする、請求項2から8までの少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項10】
一般式IIの化合物:
【化8】

[式中、
a、b、c、d、e、R1、R2、A1、A2、A3、A4、Y1、Y2、Y3、Z1、Z2、Z3、Z4、および
【化9】

は、式Iで定義した通りであり;
1は、−SR3であり、
2は、−SR4であり;または
1およびW2は一緒に、=S、もしくは−S−W3−S−であり
ここで、
3およびR4は、相互に独立して、炭素原子1から8個のアルキルであり;
3は、炭素原子が少なくとも2個の2価の有機基であり;
ここで、a、b、c、およびdが同時に全て0であり、eが1であり、R1もR2も水素であり、Y1、Y2、およびY3は全て水素であり、
【化10】

がC−C単結合であり、W1およびW2は、一緒に−S−W3−S−であり、W3は−CH2−CH2−に等しい式IIの化合物を除外する]。
【請求項11】
a、b、c、d、e、R1、R2、A1、A2、A3、A4、Y1、Y2、Y3、Z1、Z2、Z3、Z4、および
【化11】

は、式Iで定義した通りであり、W1は、−SR3であり、W2は、−SR4であり、またはW1およびW2は、一緒に、=S、もしくは−S−W3−S−であり、この場合、R3およびR4は、相互に独立して、炭素原子1から8個のアルキルであり;W3は、炭素原子が少なくとも2個の2価の有機基である式IIの化合物が、酸化剤の存在下でフッ素放出性の化合物と反応することを特徴とする、請求項1から9の少なくとも一項に記載した式Iの化合物を調製するためのプロセス。
【請求項12】
フッ素放出性の化合物が、HF、ピリジン−フッ化水素複合体、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(Et3N・3HF)、およびテトラブチルアンモニウムジヒドロゲントリフルオリドを含む群から選択され;酸化剤が、ジメチルジブロモヒダントイン(DBH)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、塩素、臭素、SO2Cl2、SO2ClF、NOBF4、およびクロラミンTを含む群から選択されることを特徴とする、前記請求項に記載のプロセス。
【請求項13】
1およびW2は、−S−W3−S−であり、W3は、請求項11で定義した通りである式IIの化合物が、一般式III:
【化12】

(式中、
a、b、c、d、e、R1、R2、A1、A2、A3、A4、Z1、Z2、Z3、Z4、および
【化13】

は、式IおよびIIで定義した通りである)
のラクトンが、約2モル当量のトリアルキルアルミニウムと、約1モル当量のHS−W3−SHとの反応により得ることができる試薬と反応することにより調製されることを特徴とする、請求項11または12の少なくとも一項に記載のプロセス。
【請求項14】
請求項1から9の少なくとも一項に記載の式Iの化合物の、液晶媒体における使用。
【請求項15】
請求項1から9の少なくとも一項に記載の式Iの化合物の少なくとも1つを含むことを特徴とする、少なくとも2つの液晶化合物を有する液晶媒体。
【請求項16】
請求項15に記載の液晶媒体を含む、電気光学ディスプレイ素子。

【公表番号】特表2008−508200(P2008−508200A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522947(P2007−522947)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007221
【国際公開番号】WO2006/012965
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】