ジブクレーン
【課題】分解搬送が可能でありながら、載置面やジブクレーンの構成部品であるベースフレームを変形させることがなく、しかもクレーン作業の安定性も確保できるジブクレーンを提供する。
【解決手段】ベースフレーム12上に旋回自在にクレーン部1が搭載された旋回式のジブクレーンであって、ベースフレーム12は載置面上に設置される下フレーム30と、下フレーム30の上面に設置される上フレーム20とを有し、上下フレーム20、30は周方向に分割された複数の分割ブロック21,31から構成されている。上分割ブロックの端部が、下分割ブロックの周方向における略中央に位置するように位置している。上下分割ブロック21,31の端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損が生じず、ベースフレーム12にも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
【解決手段】ベースフレーム12上に旋回自在にクレーン部1が搭載された旋回式のジブクレーンであって、ベースフレーム12は載置面上に設置される下フレーム30と、下フレーム30の上面に設置される上フレーム20とを有し、上下フレーム20、30は周方向に分割された複数の分割ブロック21,31から構成されている。上分割ブロックの端部が、下分割ブロックの周方向における略中央に位置するように位置している。上下分割ブロック21,31の端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損が生じず、ベースフレーム12にも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジブクレーンに関する。さらに詳しくは、地上に設置して旋回したり走行したりしながらジブを起伏させ、かつウインチで重量物を吊上げて荷役するジブクレーンに関する。
ジブクレーンのうち旋回式のものは、原子炉や港湾設備等の大型構造物の組立てに利用されるが、荷役対象物が数百トンから約千トンに達する超重量物であることもあり、クレーン自体が相当の重量をもつ大型構造物である。
したがって、そのままで設置現場に搬送することはできないので、設置現場に分解した状態で搬送してきて組立て、使用に供し、工事の終了と共に分解して撤去される。
【背景技術】
【0002】
上記のような大型ジブクレーンの従来例として、特許文献1がある。この従来例は、円形レールを敷設した円形のベースフレームを備え、ベースフレームの旋回軸に旋回フレームを軸支し、旋回フレームにジブや起伏用、荷役用のウインチを設けて、各部材を小部品に分解可能に構成している。このため、分解して設置場所に搬入して組立て、ベースフレームを載置して各部材を組付けることができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−2489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように分割可能な大型ジブクレーンにおけるベースフレーム構造の一例を図10に示す。同図はベースフレーム100の一部分を示しており、101はベースフレーム100を構成する分割ブロックを示している。分割ブロック101は複数個が環状に連結されて1個の円環状のベースフレーム100を構成する。そして、旋回レール110もベースフレームと同様に分割された複数本の分割レール111からなり、互いに連結されて、1個の円環状の旋回レール110を構成している。そして、ベースフレーム100は載置面上に設置され、旋回レール110はベースフレーム100上に設置されている。なお、Gは地面上にコンクリートを打設した載置面である。
【0005】
図10に示すように、代表的な構成のベースフレーム100と旋回レール110は、分割ブロック101と分割レール111が同じ円周長をもち、同じ位置で連結されている。換言すれば、分割ブロック101と分割レール111の端面は同じ位置に揃っている。
【0006】
上記のような分割ブロック101も分割レール111も端面が揃って同じ位置にある構造であると、旋回フレーム120のローラ121(旋回動作用の駆動輪や従動輪)が分割レール111の端部に位置したとき、クレーンで吊下げている数100トンレベルの重量やクレーン自体の重量が分割レール111と分割ブロック101の端部101eに局部的に作用することとなる。
【0007】
こうしたとき、つぎのような問題が生ずる。
(1)旋回フレーム120のローラ121が一方の分割レール111に載り、隣接する分割レール111に載っていないとき、数100トンの重量が一方の分割レール111と分割ブロック101のみにかかって沈もうとし、他方の分割レール111と分割ブロック101が沈まないので、互いの連結部に無理な力が作用し破損が生じる。
(2)旋回フレーム120のローラ121が隣接する分割レール111の端部付近に同時に載ったとき、数100トンの重量が双方の分割レール111と分割ブロック101の端部付近にのみかかるので、共に沈もうとし、載置面Gがコンクリート等の低強度材料の場合、破損してしまう。
(3)また、分割レール111や分割ブロック101の端部の変形が進むし、旋回レール101に円周方向に湾曲した波打ち変形が生じる。このため、クレーンの旋回動作が不安定となって荷振れが生じやすくなり、重量物の荷役作業が制約されたり、強風等の外力があるときには荷役が制限されることが多くなる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、分解搬送が可能でありながら、載置面やジブクレーンの構成部品であるベースフレームを変形させることがなく、しかもクレーン作業の安定性も確保できるジブクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明のジブクレーンは、ジブを備えたクレーン部と、該クレーン部を稼働自在に支持する稼働支持体を備えており、該稼働支持体は上側部材と下側部材とからなり、いずれも長さ方向に分割された複数の分割体から構成されており、前記上側部材の分割体の端部が前記下側部材の端部から離れた位置に位置していることを特徴とする。
第2発明のジブクレーンは、第1発明において、前記稼働支持体が、環状の旋回レールと、該旋回レールを支持する環状のベースフレームとからなり、該ベースフレームは、上側部材である上フレームと、下側部材である下フレームとを有し、前記上フレームは周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、前記下フレームは周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、前記上フレームは、該上フレームのブロック体の端部が前記下フレームのブロック体の端部から周方向に離れた位置に設置されていることを特徴とする。
第3発明のジブクレーンは、第2発明において、前記旋回レールが、円周方向に分割された複数の分割レールから構成され、該分割レールの端部は前記上フレームの分割ブロックの端部から周方向に離れた位置に位置していることを特徴とする。
第4発明のジブクレーンは、第2または第3発明において、前記上フレームは、該上フレームの分割ブロックの端部が、前記下フレームの分割ブロックの円周方向における中央に位置するように配置されていることを特徴とする。
第5発明のジブクレーンは、第1発明において、前記稼働支持体が、環状の旋回レールと、該旋回レールを支援する環状のベースフレームとからなり、上側部材としての前記旋回レールは、円周方向に分割された複数の分割レールから構成され、下側部材としての前記ベースフレームは、1段構造であって、円周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、前記分割レールの端部が、前記分割ブロックの端部から円周方向に離れた位置に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、上側部材の端部で受けた重量は下側部材の端部から離れた部位に伝えるので、荷重が下側部材の端部に集中せず下側部材の分割体全面に分散される。このため、分割体の端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、稼働支持体にも波打ち変形が生じないのでクレーン荷役が安定する。
第2発明によれば、クレーン部の重量が旋回レールを経て上フレームの分割ブロックの端部に作用したときでも、その重量は下フレームの分割ブロックの端部から離れた部位に伝わるので、荷重が端部に集中せず下フレームの分割ブロック全体に分散される。このため、上下フレームの端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、ベースフレームにも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
第3発明によれば、クレーン部の重量が分割レールの端部に作用したときでも、その重量は上クレームの分割ブロックの端部から離れた部位に伝わるので、荷重が端部に集中せず、上フレームの分割ブロック全体に分散され、さらに下フレームの各分割ブロックにも分散される。このため、分割レールと上下分割ブロックの端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、旋回レールにも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
第4発明によれば、上分割ブロックの端部が下ブロックの中央に位置するので、上分割ブロックに作用した荷重が下分割ブロックの周方向に均等に分配され、上下分割ブロックの端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、ベースフレームにも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
第5発明によれば、クレーン部の重量が分割レールの端部に作用したときでも、その重量はベースフレームの分割ブロックの端部から離れた部位に伝わるので、荷重が端部に集中せず、ベースフレームの分割ブロック全体に分散される。このため、分割レールと分割ブロックの端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、旋回レールにも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るジブクレーンにおける稼働支持体の説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るジブクレーンにおける稼働支持体の説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るジブクレーンにおける稼働支持体の説明図である。
【図4】本発明に係るジブクレーンの基本構造を示す斜視図である。
【図5】図4のジブクレーンの分解斜視図である。
【図6】ベースフレームの斜視図である。
【図7】旋回フレームとベースフレームを示す側面図である。
【図8】ベースフレームの上分割ブロックの説明図である。
【図9】ベースフレームの下分割ブロックの説明図である。
【図10】従来技術の稼働支持体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(基本構造)
図4および図5に基づき、本発明に係るジブクレーンAの基本構造を説明する。
ジブクレーンAは、上部構造物であるクレーン部1とそれを支え地面に設置するための下部構造物である稼働支持体10とからなる。
【0013】
クレーン部1は、旋回フレーム2の上面に、つぎのようなクレーン構成部材を取付けて構成されている。
3はジブで、その基部がピンで旋回フレーム2に枢支され、起伏自在となっている。4は補助ジブで、ジブ3の先端に取付けられている。5はガイドマストで、その上端部にはガイドシーブが取付けられている。6は起伏用ウインチで、このウインチから繰り出されたワイヤロープ(起伏ロープ)を繰り出し巻き戻しすることで、ジブ3を起伏させることができる。
【0014】
7は主巻きウインチで、このウインチから繰り出されたワイヤロープ(主巻きロープ)を繰り出し巻き戻しすることで、ジブ3の先端から吊り降ろした主フック7fを上げ下げすることができる。
8は補巻きウインチで、このウインチから繰り出されたワイヤロープ(補巻きロープ)を繰り出し巻き戻しすることで、ジブ3の先端から吊り降ろした補フック8fを上げ下げすることができる。
9はジブ3と吊荷からなる転倒モーメントをバランスさせるために設置したカウンタウエイトである。
【0015】
つぎに、図6に基づき稼働支持体10を説明する。稼働支持体10は、旋回レール11とこれを取付けたベースフレーム12とからなり、ベースフレーム12は、上フレーム20と下フレーム30とからなる。
旋回レール11は環状のレールであって、その上面を旋回フレーム2の走行車輪が走行する。
【0016】
ベースフレーム12の上フレーム20は円周方向に6分割された分割構造であり、6個の上分割ブロック21を互いに連結して環状に構成されている。また、下フレーム30も、円周方向に6分割された分割構造であり、6個の下分割ブロック31を互いに連結して環状に構成されている。
ベースフレーム12の中心には、中心筒40が配置され、この中心筒40の上端には、中心軸41が立設され、中心軸41には球面軸受42が嵌められている。
【0017】
51,52,53はスポークであり、中心筒40とベースフレーム12との間に連結されている。
51は上スポークで、中心筒40の上端部と上分割ブロック21の上端部との間で連結されている。52は斜めスポークで、中心筒40の下端部と上分割ブロック21の上端部との間で連結されている。53は下スポークで、中心筒40の下端部と下分割ブロック31の下端部との間で連結されている。
【0018】
上記の3本のスポークのうち、上スポーク51と斜めスポーク52は、横方向の外力がクレーン部に働いたとき、中心筒40とベースフレーム12間で外力に対抗してバランスさせるために設けられており、下スポーク53は中心筒40とベースフレーム12との間の位置関係を保つために設けられている。
【0019】
図7は、ベースフレーム12上に旋回フレーム2を載せた状態を示している。
旋回フレーム2は、中央フレーム2Aと第1フレーム2Bと第2フレーム2Cの3分割構造のフレームで構成されている。なお、各フレーム2A,2B,2Cは、互いに連結ピンと連結ステーを介して結合分離が可能となっている。
中央フレーム2Aの中心部には、嵌合凹部が構成されており、前記中心軸41の球面軸受42に外挿されている。この構造により、旋回フレーム2の中心がベースフレーム12の中心と一致した位置に保持され、かつベースフレーム12の中心と旋回フレーム2の中心が一致した状態で、旋回フレーム2が旋回動作するようになっている。
【0020】
旋回フレーム2の一部である第1フレーム2Bと第2フレーム2Cの下面には走行部60が設けられている。走行部60は、フレーム61とフレーム61に軸着された車輪62からなる。車輪62は、駆動輪のほか従動輪を含んでいる。車輪62は、ベースフレーム12の上面に設置されているレール11上(図6参照)を転動する。この車輪62の転動で、旋回フレーム2はベースフレーム12上で旋回し、クレーンでの荷役作業に必要な旋回動作が行われる。
【0021】
図8および図9に基づき、ベースフレーム12の構造を更に詳細に説明する。
図8は上フレーム20を構成する上分割ブロック21を示している。
上分割ブロック21は、側面視で略四角形のリブ22を円周方向に多数枚並べて、底板25と側板26,27と天板28を接合して箱状に構成したものである。
リブ22は主リブ23と補リブ24とからなる。主リブ23は、側リブ23a,23bで基本形状が二等辺三角形となるように形成されている。このため、垂直に作用した荷重を2枚の側リブ23a,23bに分散して下方に伝えることができる。また、中央部分は肉抜きされているので軽量である。
【0022】
主リブ23の図中左側(すなわち、ベースフレーム12の内側となる部分)には、補リブ24が取付けられている。補リブ24は垂直リブ24aと水平リブ24bからなるL字形であり、主リブ23の側リブ23aと合わさって、直角三角形を形成している。この補リブ24の中央部分も肉抜きされている。
主リブ23の頂面、つまり天板28に沿う位置には、旋回レール11が固定されている。
なお、旋回レール11はベースフレーム12と同様に6分割された分割レールを環状に連結したものである。
【0023】
補リブ24の内側上端部には、取付ブラケット24pが形成され、上スポーク51を結合するためのピン孔が形成されている。底板25の下面には位置決めピン29が突設されている。なお、後述する下分割ブロック31の位置決めピン39が嵌る位置決め孔も形成されている。
【0024】
図9は下フレーム30を構成する下分割ブロック31を示している。
下分割ブロック31は、側面視で台形のリブ32を円周方向に多数並べて、底板35と側板36(図8参照)および側板37と天板38を接合して箱状に構成したものである。
リブ32は、左右両側の二等辺三角形の側リブ32a,33bと、それを上下でつなぐ上辺32c、下片32dからなる。なお、中央部分は肉抜きされ、軽量化されている。
【0025】
また、天板38には、位置決めピン39が突設されている。なお、上分割ブロック21の位置決めピン29が嵌る位置決め孔も形成されている。
内側の側リブ32aの内側下端部には取付ブラケット32pが形成され、下スポーク53を結合するためのピン孔が形成されている。
【0026】
上分割ブロック21は下分割ブロック31の上面に載せて組み付けられる。このとき上分割ブロック21の位置決めピン29は下分割ブロック31の位置決め孔に嵌り、下分割ブロック31の位置決めピン39は上分割ブロック21の位置決め孔に嵌り、互いに決った位置に嵌め合わされる。
そして、上分割ブロック21の底板25と下分割ブロック31の天板38とは、ボルト・ナット等で強固に結合される。
【0027】
また、周方向に隣接する複数個の上分割ブロック21同士は、適宜の連結金具とボルト・ナット等を用いて互いに結合される。複数個の下分割ブロック31も同様の締結手段で互いに結合される。さらに、分割レールも同様に適宜の締結手段で互いに結合され、ベースフレーム12が環状構造に拘束される。
【0028】
以下に稼働支持体10の各実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図6に示すように、本実施形態の上下分割ブロック21,31はいずれも円周方向の角度が60°の分割ブロックである。
そして、図6および図1に示すように、上分割ブロック21の端部21eは、下分割ブロック31の中央に対向した位置に位置し、かつ下分割ブロック31の端部31eは上分割ブロック21の中央に対向した位置に位置するように取付けられている。本実施形態では、上分割ブロック21が請求項1の上側部材に相当し、下分割ブロック31が請求項1の下側部材に相当している。なお、図1に示すように、旋回レール11の各分割レール14の端部14eは上分割ブロック21の端部21eと同じ位置に位置している。
【0029】
上記実施形態のように、上側部材である上分割ブロック21の端部21eが下側部材である下分割ブロック31の端部31eから離れた部位、本実施形態では下分割ブロック31の中央部に位置すると、旋回フレーム2の車輪62を介して加えられるクレーン部1と吊荷からなる全荷重Wは、たとえ、上分割ブロック21の端部21eに作用しても、その荷重Wは下分割ブロック31の全長にわたる広い領域に分散される。つまり、下分割ブロック31が荷重を受けた段階で面圧が下げられている。
【0030】
したがって、下分割ブロック31から載置面Gに荷重が伝えられるときは、下分割ブロック31の両端部31eが載置面Gに伝える荷重は小さくなっている。
このため、上下分割ブロック21,31の端部連結部に破損が生じない。また、載置面Gにも局部荷重が作用しないので破損が生じない。さらに、ベースフレーム12も円周方向において湾曲するような波打ち変形が生じないのでジブクレーンを旋回させても揺れ動くことがなくクレーン作業が安定する。
【0031】
(第2実施形態)
第2実施形態は、前記第1実施形態において更に旋回レール11を上分割ブロック21に対し互いの端部を離して設置したものである。
すなわち、図2に示すように、旋回レール11の各分割レール14の端部14eは、その直下に位置する上分割ブロック21の端部21eから離れて位置しており、たとえば上分割ブロック21の中央に対向する位置に配置されている。なお、上分割ブロック21の端部21eが下分割ブロック31の中央に対向する位置に位置する点は前記第1実施形態と同様である。
【0032】
本実施形態では旋回フレーム2の車輪62を介して加えられるクレーン部1と吊荷からなる全荷重Wは、たとえ分割レール14の端部14eに作用しても、その重量は上分割ブロック21の全長にわたって分散され、さらに上分割ブロック21からは下分割ブロック31に分散荷重として伝えられる。
【0033】
したがって、下分割ブロック31から載置面Gに荷重が伝えられるときは、下分割ブロック31の両端部31eが載置面Gに伝える荷重は小さくなっている。
このため、分割レール14および上下分割ブロック21,31の端部連結部に破損が生じず、載置面Gにも局部荷重が作用しないので破損が生じず、ベースフレーム12にも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
【0034】
(第3実施形態)
第3実施形態は、旋回レール11を請求項1の上側部材とし、ベースフレーム12を下側部材としたものである。旋回レール11は複数個の分割レール14からなり、ベースフレーム12は複数個の分割ブロック21からなるが、ベースフレーム12は、1段構造であり、第2実施形態のような2段構造ではない。
そして、分割レール14の端部14eは、その直下の分割ブロック21の端部21eから離れた位置、たとえば分割ブロック21の中央に対向する位置に位置している。
【0035】
本実施形態では旋回フレーム2の車輪62を介して加えられるクレーン部1と吊荷からなる全荷重Wは、たとえ分割レール14の端部14eに作用しても、その重量は分割ブロック21の全長にわたって分散される。
したがって、分割ブロック21から載置面Gに荷重が伝えられるときは、分割ブロック21の両端部21eが載置面Gに伝える荷重は小さくなっている。
このため、分割レール14と分割ブロック21の端部連結部に破損が生じず、載置面Gにも局部荷重が作用しないので破損が生じず、ベースフレーム12にも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
【0036】
(他の実施形態)
上記に第1〜第3実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
上分割ブロック21の端部21eは、下分割ブロック31の中央ではなく、ある程度中央よりも下分割ブロック31の端部31e寄りに位置してもよい。
また、上分割ブロック21および下分割ブロック31は6分割構造に限らず、6分割よりも少ない3分割や4分割でもよく、6分割よりも多い7分割から10分割にしてもよい。
さらに、分割するとき等角度に分割するほか不等角に分割してもよい。
さらに、ベースフレーム12は、上フレーム20と下フレーム30との2段構造に限らず、3段以上の積層構造としてもよい。
また、本発明はベースフレーム12およびレール11は円形に限らず、直線状のベースフレーム12およびレール11の上を走行するジブクレーンに適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 クレーン部
2 旋回フレーム
12 ベースフレーム
21 上分割ブロック
31 下分割ブロック
2A 中央フレーム
2B 第1フレーム
2C 第2フレーム
51 上スポーク
52 斜めスポーク
53 下スポーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジブクレーンに関する。さらに詳しくは、地上に設置して旋回したり走行したりしながらジブを起伏させ、かつウインチで重量物を吊上げて荷役するジブクレーンに関する。
ジブクレーンのうち旋回式のものは、原子炉や港湾設備等の大型構造物の組立てに利用されるが、荷役対象物が数百トンから約千トンに達する超重量物であることもあり、クレーン自体が相当の重量をもつ大型構造物である。
したがって、そのままで設置現場に搬送することはできないので、設置現場に分解した状態で搬送してきて組立て、使用に供し、工事の終了と共に分解して撤去される。
【背景技術】
【0002】
上記のような大型ジブクレーンの従来例として、特許文献1がある。この従来例は、円形レールを敷設した円形のベースフレームを備え、ベースフレームの旋回軸に旋回フレームを軸支し、旋回フレームにジブや起伏用、荷役用のウインチを設けて、各部材を小部品に分解可能に構成している。このため、分解して設置場所に搬入して組立て、ベースフレームを載置して各部材を組付けることができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−2489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように分割可能な大型ジブクレーンにおけるベースフレーム構造の一例を図10に示す。同図はベースフレーム100の一部分を示しており、101はベースフレーム100を構成する分割ブロックを示している。分割ブロック101は複数個が環状に連結されて1個の円環状のベースフレーム100を構成する。そして、旋回レール110もベースフレームと同様に分割された複数本の分割レール111からなり、互いに連結されて、1個の円環状の旋回レール110を構成している。そして、ベースフレーム100は載置面上に設置され、旋回レール110はベースフレーム100上に設置されている。なお、Gは地面上にコンクリートを打設した載置面である。
【0005】
図10に示すように、代表的な構成のベースフレーム100と旋回レール110は、分割ブロック101と分割レール111が同じ円周長をもち、同じ位置で連結されている。換言すれば、分割ブロック101と分割レール111の端面は同じ位置に揃っている。
【0006】
上記のような分割ブロック101も分割レール111も端面が揃って同じ位置にある構造であると、旋回フレーム120のローラ121(旋回動作用の駆動輪や従動輪)が分割レール111の端部に位置したとき、クレーンで吊下げている数100トンレベルの重量やクレーン自体の重量が分割レール111と分割ブロック101の端部101eに局部的に作用することとなる。
【0007】
こうしたとき、つぎのような問題が生ずる。
(1)旋回フレーム120のローラ121が一方の分割レール111に載り、隣接する分割レール111に載っていないとき、数100トンの重量が一方の分割レール111と分割ブロック101のみにかかって沈もうとし、他方の分割レール111と分割ブロック101が沈まないので、互いの連結部に無理な力が作用し破損が生じる。
(2)旋回フレーム120のローラ121が隣接する分割レール111の端部付近に同時に載ったとき、数100トンの重量が双方の分割レール111と分割ブロック101の端部付近にのみかかるので、共に沈もうとし、載置面Gがコンクリート等の低強度材料の場合、破損してしまう。
(3)また、分割レール111や分割ブロック101の端部の変形が進むし、旋回レール101に円周方向に湾曲した波打ち変形が生じる。このため、クレーンの旋回動作が不安定となって荷振れが生じやすくなり、重量物の荷役作業が制約されたり、強風等の外力があるときには荷役が制限されることが多くなる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、分解搬送が可能でありながら、載置面やジブクレーンの構成部品であるベースフレームを変形させることがなく、しかもクレーン作業の安定性も確保できるジブクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明のジブクレーンは、ジブを備えたクレーン部と、該クレーン部を稼働自在に支持する稼働支持体を備えており、該稼働支持体は上側部材と下側部材とからなり、いずれも長さ方向に分割された複数の分割体から構成されており、前記上側部材の分割体の端部が前記下側部材の端部から離れた位置に位置していることを特徴とする。
第2発明のジブクレーンは、第1発明において、前記稼働支持体が、環状の旋回レールと、該旋回レールを支持する環状のベースフレームとからなり、該ベースフレームは、上側部材である上フレームと、下側部材である下フレームとを有し、前記上フレームは周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、前記下フレームは周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、前記上フレームは、該上フレームのブロック体の端部が前記下フレームのブロック体の端部から周方向に離れた位置に設置されていることを特徴とする。
第3発明のジブクレーンは、第2発明において、前記旋回レールが、円周方向に分割された複数の分割レールから構成され、該分割レールの端部は前記上フレームの分割ブロックの端部から周方向に離れた位置に位置していることを特徴とする。
第4発明のジブクレーンは、第2または第3発明において、前記上フレームは、該上フレームの分割ブロックの端部が、前記下フレームの分割ブロックの円周方向における中央に位置するように配置されていることを特徴とする。
第5発明のジブクレーンは、第1発明において、前記稼働支持体が、環状の旋回レールと、該旋回レールを支援する環状のベースフレームとからなり、上側部材としての前記旋回レールは、円周方向に分割された複数の分割レールから構成され、下側部材としての前記ベースフレームは、1段構造であって、円周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、前記分割レールの端部が、前記分割ブロックの端部から円周方向に離れた位置に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、上側部材の端部で受けた重量は下側部材の端部から離れた部位に伝えるので、荷重が下側部材の端部に集中せず下側部材の分割体全面に分散される。このため、分割体の端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、稼働支持体にも波打ち変形が生じないのでクレーン荷役が安定する。
第2発明によれば、クレーン部の重量が旋回レールを経て上フレームの分割ブロックの端部に作用したときでも、その重量は下フレームの分割ブロックの端部から離れた部位に伝わるので、荷重が端部に集中せず下フレームの分割ブロック全体に分散される。このため、上下フレームの端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、ベースフレームにも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
第3発明によれば、クレーン部の重量が分割レールの端部に作用したときでも、その重量は上クレームの分割ブロックの端部から離れた部位に伝わるので、荷重が端部に集中せず、上フレームの分割ブロック全体に分散され、さらに下フレームの各分割ブロックにも分散される。このため、分割レールと上下分割ブロックの端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、旋回レールにも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
第4発明によれば、上分割ブロックの端部が下ブロックの中央に位置するので、上分割ブロックに作用した荷重が下分割ブロックの周方向に均等に分配され、上下分割ブロックの端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、ベースフレームにも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
第5発明によれば、クレーン部の重量が分割レールの端部に作用したときでも、その重量はベースフレームの分割ブロックの端部から離れた部位に伝わるので、荷重が端部に集中せず、ベースフレームの分割ブロック全体に分散される。このため、分割レールと分割ブロックの端部連結部に破損が生じず、載置面にも局部荷重が作用しないので破損せず、旋回レールにも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るジブクレーンにおける稼働支持体の説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るジブクレーンにおける稼働支持体の説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るジブクレーンにおける稼働支持体の説明図である。
【図4】本発明に係るジブクレーンの基本構造を示す斜視図である。
【図5】図4のジブクレーンの分解斜視図である。
【図6】ベースフレームの斜視図である。
【図7】旋回フレームとベースフレームを示す側面図である。
【図8】ベースフレームの上分割ブロックの説明図である。
【図9】ベースフレームの下分割ブロックの説明図である。
【図10】従来技術の稼働支持体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(基本構造)
図4および図5に基づき、本発明に係るジブクレーンAの基本構造を説明する。
ジブクレーンAは、上部構造物であるクレーン部1とそれを支え地面に設置するための下部構造物である稼働支持体10とからなる。
【0013】
クレーン部1は、旋回フレーム2の上面に、つぎのようなクレーン構成部材を取付けて構成されている。
3はジブで、その基部がピンで旋回フレーム2に枢支され、起伏自在となっている。4は補助ジブで、ジブ3の先端に取付けられている。5はガイドマストで、その上端部にはガイドシーブが取付けられている。6は起伏用ウインチで、このウインチから繰り出されたワイヤロープ(起伏ロープ)を繰り出し巻き戻しすることで、ジブ3を起伏させることができる。
【0014】
7は主巻きウインチで、このウインチから繰り出されたワイヤロープ(主巻きロープ)を繰り出し巻き戻しすることで、ジブ3の先端から吊り降ろした主フック7fを上げ下げすることができる。
8は補巻きウインチで、このウインチから繰り出されたワイヤロープ(補巻きロープ)を繰り出し巻き戻しすることで、ジブ3の先端から吊り降ろした補フック8fを上げ下げすることができる。
9はジブ3と吊荷からなる転倒モーメントをバランスさせるために設置したカウンタウエイトである。
【0015】
つぎに、図6に基づき稼働支持体10を説明する。稼働支持体10は、旋回レール11とこれを取付けたベースフレーム12とからなり、ベースフレーム12は、上フレーム20と下フレーム30とからなる。
旋回レール11は環状のレールであって、その上面を旋回フレーム2の走行車輪が走行する。
【0016】
ベースフレーム12の上フレーム20は円周方向に6分割された分割構造であり、6個の上分割ブロック21を互いに連結して環状に構成されている。また、下フレーム30も、円周方向に6分割された分割構造であり、6個の下分割ブロック31を互いに連結して環状に構成されている。
ベースフレーム12の中心には、中心筒40が配置され、この中心筒40の上端には、中心軸41が立設され、中心軸41には球面軸受42が嵌められている。
【0017】
51,52,53はスポークであり、中心筒40とベースフレーム12との間に連結されている。
51は上スポークで、中心筒40の上端部と上分割ブロック21の上端部との間で連結されている。52は斜めスポークで、中心筒40の下端部と上分割ブロック21の上端部との間で連結されている。53は下スポークで、中心筒40の下端部と下分割ブロック31の下端部との間で連結されている。
【0018】
上記の3本のスポークのうち、上スポーク51と斜めスポーク52は、横方向の外力がクレーン部に働いたとき、中心筒40とベースフレーム12間で外力に対抗してバランスさせるために設けられており、下スポーク53は中心筒40とベースフレーム12との間の位置関係を保つために設けられている。
【0019】
図7は、ベースフレーム12上に旋回フレーム2を載せた状態を示している。
旋回フレーム2は、中央フレーム2Aと第1フレーム2Bと第2フレーム2Cの3分割構造のフレームで構成されている。なお、各フレーム2A,2B,2Cは、互いに連結ピンと連結ステーを介して結合分離が可能となっている。
中央フレーム2Aの中心部には、嵌合凹部が構成されており、前記中心軸41の球面軸受42に外挿されている。この構造により、旋回フレーム2の中心がベースフレーム12の中心と一致した位置に保持され、かつベースフレーム12の中心と旋回フレーム2の中心が一致した状態で、旋回フレーム2が旋回動作するようになっている。
【0020】
旋回フレーム2の一部である第1フレーム2Bと第2フレーム2Cの下面には走行部60が設けられている。走行部60は、フレーム61とフレーム61に軸着された車輪62からなる。車輪62は、駆動輪のほか従動輪を含んでいる。車輪62は、ベースフレーム12の上面に設置されているレール11上(図6参照)を転動する。この車輪62の転動で、旋回フレーム2はベースフレーム12上で旋回し、クレーンでの荷役作業に必要な旋回動作が行われる。
【0021】
図8および図9に基づき、ベースフレーム12の構造を更に詳細に説明する。
図8は上フレーム20を構成する上分割ブロック21を示している。
上分割ブロック21は、側面視で略四角形のリブ22を円周方向に多数枚並べて、底板25と側板26,27と天板28を接合して箱状に構成したものである。
リブ22は主リブ23と補リブ24とからなる。主リブ23は、側リブ23a,23bで基本形状が二等辺三角形となるように形成されている。このため、垂直に作用した荷重を2枚の側リブ23a,23bに分散して下方に伝えることができる。また、中央部分は肉抜きされているので軽量である。
【0022】
主リブ23の図中左側(すなわち、ベースフレーム12の内側となる部分)には、補リブ24が取付けられている。補リブ24は垂直リブ24aと水平リブ24bからなるL字形であり、主リブ23の側リブ23aと合わさって、直角三角形を形成している。この補リブ24の中央部分も肉抜きされている。
主リブ23の頂面、つまり天板28に沿う位置には、旋回レール11が固定されている。
なお、旋回レール11はベースフレーム12と同様に6分割された分割レールを環状に連結したものである。
【0023】
補リブ24の内側上端部には、取付ブラケット24pが形成され、上スポーク51を結合するためのピン孔が形成されている。底板25の下面には位置決めピン29が突設されている。なお、後述する下分割ブロック31の位置決めピン39が嵌る位置決め孔も形成されている。
【0024】
図9は下フレーム30を構成する下分割ブロック31を示している。
下分割ブロック31は、側面視で台形のリブ32を円周方向に多数並べて、底板35と側板36(図8参照)および側板37と天板38を接合して箱状に構成したものである。
リブ32は、左右両側の二等辺三角形の側リブ32a,33bと、それを上下でつなぐ上辺32c、下片32dからなる。なお、中央部分は肉抜きされ、軽量化されている。
【0025】
また、天板38には、位置決めピン39が突設されている。なお、上分割ブロック21の位置決めピン29が嵌る位置決め孔も形成されている。
内側の側リブ32aの内側下端部には取付ブラケット32pが形成され、下スポーク53を結合するためのピン孔が形成されている。
【0026】
上分割ブロック21は下分割ブロック31の上面に載せて組み付けられる。このとき上分割ブロック21の位置決めピン29は下分割ブロック31の位置決め孔に嵌り、下分割ブロック31の位置決めピン39は上分割ブロック21の位置決め孔に嵌り、互いに決った位置に嵌め合わされる。
そして、上分割ブロック21の底板25と下分割ブロック31の天板38とは、ボルト・ナット等で強固に結合される。
【0027】
また、周方向に隣接する複数個の上分割ブロック21同士は、適宜の連結金具とボルト・ナット等を用いて互いに結合される。複数個の下分割ブロック31も同様の締結手段で互いに結合される。さらに、分割レールも同様に適宜の締結手段で互いに結合され、ベースフレーム12が環状構造に拘束される。
【0028】
以下に稼働支持体10の各実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図6に示すように、本実施形態の上下分割ブロック21,31はいずれも円周方向の角度が60°の分割ブロックである。
そして、図6および図1に示すように、上分割ブロック21の端部21eは、下分割ブロック31の中央に対向した位置に位置し、かつ下分割ブロック31の端部31eは上分割ブロック21の中央に対向した位置に位置するように取付けられている。本実施形態では、上分割ブロック21が請求項1の上側部材に相当し、下分割ブロック31が請求項1の下側部材に相当している。なお、図1に示すように、旋回レール11の各分割レール14の端部14eは上分割ブロック21の端部21eと同じ位置に位置している。
【0029】
上記実施形態のように、上側部材である上分割ブロック21の端部21eが下側部材である下分割ブロック31の端部31eから離れた部位、本実施形態では下分割ブロック31の中央部に位置すると、旋回フレーム2の車輪62を介して加えられるクレーン部1と吊荷からなる全荷重Wは、たとえ、上分割ブロック21の端部21eに作用しても、その荷重Wは下分割ブロック31の全長にわたる広い領域に分散される。つまり、下分割ブロック31が荷重を受けた段階で面圧が下げられている。
【0030】
したがって、下分割ブロック31から載置面Gに荷重が伝えられるときは、下分割ブロック31の両端部31eが載置面Gに伝える荷重は小さくなっている。
このため、上下分割ブロック21,31の端部連結部に破損が生じない。また、載置面Gにも局部荷重が作用しないので破損が生じない。さらに、ベースフレーム12も円周方向において湾曲するような波打ち変形が生じないのでジブクレーンを旋回させても揺れ動くことがなくクレーン作業が安定する。
【0031】
(第2実施形態)
第2実施形態は、前記第1実施形態において更に旋回レール11を上分割ブロック21に対し互いの端部を離して設置したものである。
すなわち、図2に示すように、旋回レール11の各分割レール14の端部14eは、その直下に位置する上分割ブロック21の端部21eから離れて位置しており、たとえば上分割ブロック21の中央に対向する位置に配置されている。なお、上分割ブロック21の端部21eが下分割ブロック31の中央に対向する位置に位置する点は前記第1実施形態と同様である。
【0032】
本実施形態では旋回フレーム2の車輪62を介して加えられるクレーン部1と吊荷からなる全荷重Wは、たとえ分割レール14の端部14eに作用しても、その重量は上分割ブロック21の全長にわたって分散され、さらに上分割ブロック21からは下分割ブロック31に分散荷重として伝えられる。
【0033】
したがって、下分割ブロック31から載置面Gに荷重が伝えられるときは、下分割ブロック31の両端部31eが載置面Gに伝える荷重は小さくなっている。
このため、分割レール14および上下分割ブロック21,31の端部連結部に破損が生じず、載置面Gにも局部荷重が作用しないので破損が生じず、ベースフレーム12にも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
【0034】
(第3実施形態)
第3実施形態は、旋回レール11を請求項1の上側部材とし、ベースフレーム12を下側部材としたものである。旋回レール11は複数個の分割レール14からなり、ベースフレーム12は複数個の分割ブロック21からなるが、ベースフレーム12は、1段構造であり、第2実施形態のような2段構造ではない。
そして、分割レール14の端部14eは、その直下の分割ブロック21の端部21eから離れた位置、たとえば分割ブロック21の中央に対向する位置に位置している。
【0035】
本実施形態では旋回フレーム2の車輪62を介して加えられるクレーン部1と吊荷からなる全荷重Wは、たとえ分割レール14の端部14eに作用しても、その重量は分割ブロック21の全長にわたって分散される。
したがって、分割ブロック21から載置面Gに荷重が伝えられるときは、分割ブロック21の両端部21eが載置面Gに伝える荷重は小さくなっている。
このため、分割レール14と分割ブロック21の端部連結部に破損が生じず、載置面Gにも局部荷重が作用しないので破損が生じず、ベースフレーム12にも波打ち変形が生じないのでクレーン作業が安定する。
【0036】
(他の実施形態)
上記に第1〜第3実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
上分割ブロック21の端部21eは、下分割ブロック31の中央ではなく、ある程度中央よりも下分割ブロック31の端部31e寄りに位置してもよい。
また、上分割ブロック21および下分割ブロック31は6分割構造に限らず、6分割よりも少ない3分割や4分割でもよく、6分割よりも多い7分割から10分割にしてもよい。
さらに、分割するとき等角度に分割するほか不等角に分割してもよい。
さらに、ベースフレーム12は、上フレーム20と下フレーム30との2段構造に限らず、3段以上の積層構造としてもよい。
また、本発明はベースフレーム12およびレール11は円形に限らず、直線状のベースフレーム12およびレール11の上を走行するジブクレーンに適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 クレーン部
2 旋回フレーム
12 ベースフレーム
21 上分割ブロック
31 下分割ブロック
2A 中央フレーム
2B 第1フレーム
2C 第2フレーム
51 上スポーク
52 斜めスポーク
53 下スポーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジブを備えたクレーン部と、該クレーン部を稼働自在に支持する稼働支持体を備えており、
該稼働支持体は上側部材と下側部材とからなり、いずれも長さ方向に分割された複数の分割体から構成されており、
前記上側部材の分割体の端部が前記下側部材の端部から離れた位置に位置している
ことを特徴とするジブクレーン。
【請求項2】
前記稼働支持体が、環状の旋回レールと、該旋回レールを支持する環状のベースフレームとからなり、
該ベースフレームは、上側部材である上フレームと、下側部材である下フレームとを有し、
前記上フレームは周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、
前記下フレームは周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、
前記上フレームは、該上フレームのブロック体の端部が前記下フレームのブロック体の端部から周方向に離れた位置に設置されている
ことを特徴とする請求項1記載のジブクレーン。
【請求項3】
前記旋回レールが、円周方向に分割された複数の分割レールから構成され、
該分割レールの端部が前記上フレームの分割ブロックの端部から周方向に離れた位置に位置している
ことを特徴とする請求項2記載のジブクレーン。
【請求項4】
前記上フレームは、該上フレームの分割ブロックの端部が、前記下フレームの分割ブロックの円周方向における中央に位置するように配置されている
ことを特徴とする請求項2または3記載のジブクレーン。
【請求項5】
前記稼働支持体が、環状の旋回レールと、該旋回レールを支援する環状のベースフレームとからなり、
上側部材としての前記旋回レールは、円周方向に分割された複数の分割レールから構成され、
下側部材としての前記ベースフレームは、1段構造であって、円周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、
前記分割レールの端部が、前記分割ブロックの端部から円周方向に離れた位置に位置している
ことを特徴とする請求項1記載のジブクレーン。
【請求項1】
ジブを備えたクレーン部と、該クレーン部を稼働自在に支持する稼働支持体を備えており、
該稼働支持体は上側部材と下側部材とからなり、いずれも長さ方向に分割された複数の分割体から構成されており、
前記上側部材の分割体の端部が前記下側部材の端部から離れた位置に位置している
ことを特徴とするジブクレーン。
【請求項2】
前記稼働支持体が、環状の旋回レールと、該旋回レールを支持する環状のベースフレームとからなり、
該ベースフレームは、上側部材である上フレームと、下側部材である下フレームとを有し、
前記上フレームは周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、
前記下フレームは周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、
前記上フレームは、該上フレームのブロック体の端部が前記下フレームのブロック体の端部から周方向に離れた位置に設置されている
ことを特徴とする請求項1記載のジブクレーン。
【請求項3】
前記旋回レールが、円周方向に分割された複数の分割レールから構成され、
該分割レールの端部が前記上フレームの分割ブロックの端部から周方向に離れた位置に位置している
ことを特徴とする請求項2記載のジブクレーン。
【請求項4】
前記上フレームは、該上フレームの分割ブロックの端部が、前記下フレームの分割ブロックの円周方向における中央に位置するように配置されている
ことを特徴とする請求項2または3記載のジブクレーン。
【請求項5】
前記稼働支持体が、環状の旋回レールと、該旋回レールを支援する環状のベースフレームとからなり、
上側部材としての前記旋回レールは、円周方向に分割された複数の分割レールから構成され、
下側部材としての前記ベースフレームは、1段構造であって、円周方向に分割された複数の分割ブロックから構成され、
前記分割レールの端部が、前記分割ブロックの端部から円周方向に離れた位置に位置している
ことを特徴とする請求項1記載のジブクレーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図10】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図10】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−76922(P2012−76922A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29504(P2011−29504)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(503002732)住友重機械エンジニアリングサービス株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(503002732)住友重機械エンジニアリングサービス株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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