説明

ジブトキシメタンの調製

共溶媒の使用なしの縮合反応において一実施形態では50%ホルムアルデヒドからのジブトキシメタンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は2008年8月20日に出願した米国仮特許出願第61/090,275号の優先権を主張し、その全開示をここに参照して援用する。
【0002】
本発明は、ジブトキシメタン(「DBM」)生成プロセスの分野に関する。とくに、50%ホルムアルデヒドからDBMを生成するプロセスの分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
DBMは、n‐ブチラールとしても既知で、当業者に一般に知られる生成物である。DBMはディーゼル燃料燃焼による粒状排出物の低減およびディーゼル燃料のセタン価の向上に有用であることが見出された(国際公開第86/03511号)。DBMはまた、鋳造用中子砂および結合剤の良好な溶媒であることが見出された(米国特許第4,051,092号)。
【0004】
他のDBM類似化合物も知られている。例えば、ジメトキシメタン(「DMM」)は化粧品工業において広く用いられる市販品である。DMMの調製および精製用のプロセスおよび方法は、米国特許第4385965号;5051153号;6015875号;6160185号;6379507号およびスイス特許第CH688041号に記載されている。
【0005】
ジエトキシメタン(「DEM」)は、当業者に一般に知られる別のDBM類似生成物である。DMMのように、DEMは市販品である。その主な使用は溶媒としてのものである。その使用および精製用のプロセスおよび方法も既知であり、米国特許第4613411号および第4740273号に記載されている。
【0006】
DMM、DEM、およびDBMは構造が類似しているが、大いに異なる特性を有する。これら物質の沸点は、分子量の増加とともに劇的に上昇する。さらに、水への溶解度は分子量の増加とともに低下する。これら化合物はまた、水および対応するアルコールと異なる組成および沸点で共沸混合物を形成する。それ故、DMM、DEMおよびDBMはすべて異なる沸点、溶解度特性および共沸特性を有する。従って、1つのプロセスを用いて3つの類似物すべてを調製することはできない。
【0007】
DMMおよびDEMのプロセスおよび方法とは対照的に、DBMの調製についての情報はほとんど知られておらず、公開文献にはほとんど記載されていない。国際公開第86/03511号はブタノール、水性ホルムアルデヒド、陽イオン交換樹脂およびベンゼンを用いるプロセスを開示する。ベンゼンを用いてホルムアルデヒドからの水および反応共沸蒸留で形成された水を除去する。トルエン、ヘキサンまたはヘプタンのような他の溶媒を用いてその目的を達成することもできる。しかし、このプロセスの大きな不利点は、不活性蒸留剤を所望生成物から除去しなければならないことである。すなわち、該プロセスは最終生成物から除去しなければならない蒸留用の共溶媒を要する。これは処理費用(共溶媒の追加費用および共溶媒除去に関連する費用)および製造プロセスの複雑さを大いに増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下は本発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供するための本発明の概要である。この概要は本発明の主要もしくは重要な要素の特定または本発明の範囲の概要説明を意図するものではない。このセクションの唯一の目的は後で示すさらに詳細な説明への前置きとして本発明のいくつかの概念を簡単に示すことである。
【0009】
当業界のこれらおよび他の問題のため、ここではとりわけ、ジブトキシメタンの新しい製造方法、1つの実施形態では50%ホルムアルデヒドからの方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの実施形態では、当該方法は(1)水分除去用の共溶媒を用いることなく縮合反応においてパラホルムアルデヒドおよびブタノールを反応させる工程を備える。このジブトキシメタンの製造方法はまた、再利用ブタノール放出で行うことができる。
【0011】
ここではまた、(1)パラホルムアルデヒドおよびブタノールを用意し;(2)水分除去用の共溶媒を用いることなく縮合反応において該パラホルムアルデヒドおよびブタノールを反応させ;(3)ジブトキシメタンを分離するプロセスにより形成されたジブトキシメタンを開示する。同様に、このジブトキシメタンの製造方法を再利用ブタノール放出で行うことができる。
【0012】
ここに再利用ブタノール放出なしのジブトキシメタンの製造方法も開示し、該方法が(1)水、メタノール、パラホルムアルデヒドおよび縮合反応触媒を一緒に投入して混合物を作成する工程;(2)透明な溶液が得られる温度まで混合物を加熱する工程;(3)未使用のブタノールを混合物に投入する工程;(4)混合物を加熱する工程;(5)水およびブタノール蒸留物を蒸留トラップに回収する工程;(6)蒸留水の蓄積が終わる際に混合物を冷却する工程;(7)中和剤を混合物に投入する工程;(8)水を混合物に投入する工程;(9)混合物を再加熱して蒸留を開始する工程;(10)水を容器に回収するまで蒸留を継続する工程;(11)蒸留物の上相および下相を分離する工程;および(12)混合物残渣を冷却する工程からなる。
【0013】
この方法の1つの実施形態では、60mlの脱イオン水を投入工程において投入する。
【0014】
この方法の別の実施形態では、1.2グラムのメタノールを投入工程において投入する。
【0015】
この方法の別の実施形態では、60グラムのパラホルムアルデヒドを投入工程において投入する。
【0016】
この方法の別の実施形態では、0.1mlの98%硫酸を投入工程において縮合反応触媒として投入する。
【0017】
この方法の別の実施形態では、透明な溶液が得られる温度まで混合物を加熱する工程において混合物を90〜100℃の温度に加熱する。
【0018】
この方法のさらに別の実施形態では、370グラムの未使用ブタノールを投入工程において混合物に投入する。
【0019】
この方法の別の実施形態では、混合物を加熱する工程において混合物を125℃の温度まで加熱する。
【0020】
この方法の別の実施形態では、蒸留水の蓄積が終わる際に混合物を冷却する工程において混合物を50℃まで冷却する。
【0021】
この方法の別の実施形態では、混合物に中和剤を投入する工程において0.1mlのPM16を混合物に投入する。
【0022】
この方法のさらに別の実施形態では、混合物に水を投入する工程において110グラムの水を混合物に投入する。
【0023】
この方法の別の実施形態では、混合物を再加熱して蒸留を開始する工程において混合物を約125℃まで再加熱する。
【0024】
この方法の別の実施形態では、容器に水を回収するまで蒸留を継続する工程において約100mlの水を回収するまで混合物の蒸留を継続する。
【0025】
この方法のまたさらに別の実施形態では、混合物残渣を冷却する工程において混合物残渣を50℃未満まで冷却する。
【0026】
本明細書で開示するジブトキシメタンの別の製造方法は再利用ブタノール放出を使用し、(1)水、メタノール、パラホルムアルデヒドおよび縮合反応触媒を一緒に投入して混合物を生成する工程;(2)透明な溶液が得られる温度まで混合物を加熱する工程;(3)先のバッチからの留出物トラップの上層を投入し、その中のブタノールの量を計算する工程;(4)先のバッチからの留出物の容器からの上層を投入し、その中のブタノールの量を計算する工程;(5)投入すべきブタノールの量を計算する工程;(6)投入する工程において計算した量の未使用ブタノールを混合物に投入する工程;(7)混合物を加熱する工程;(8)水およびブタノール蒸留物を蒸留トラップに回収する工程;(9)蒸留水の蓄積が終わる際に混合物を冷却する工程;(10)中和剤を混合物に投入する工程;(11)水を混合物に投入する工程;(12)混合物を再加熱して蒸留を開始する工程;(13)水を容器に回収するまで蒸留を継続する工程;(14)蒸留物の上相および下相を分離する工程;および(15)混合物残渣を冷却する工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ジブトキシメタンの製造プロセスのフローチャートの一実施形態および分子の分子図を示す。
【図2】共溶媒を用いることなくホルムアルデヒドからジブトキシメタンを製造するプロセスのフローチャートの一実施形態を示す。
【図3】未使用ブタノールを用いるジブトキシメタンの製造用の典型的な段階的ベンチプロセスのフローチャートの一実施形態を示す。
【図4】蒸留物残渣を再利用するジブトキシメタンの製造用の典型的な段階的ベンチプロセスのフローチャートの他の実施形態を示す。
【図5】図1のプロセスにおけるジブトキシメタンの製造に用いる原料のチャートの一実施形態を示す。
【図6】ジブトキシメタンの連続製造用のプロセスフロー図の一実施形態を示す。
【図7】ジブトキシメタンのバッチ製造用のプロセスフロー図の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明は限定のためではなく一例として示すものである。本明細書では、とりわけ、1つの実施形態では30〜50%ホルムアルデヒドから、共溶媒を用いることなく縮合反応でジブトキシメタンを製造する新しいプロセスを記載する。
【0029】
図1は、30〜50%ホルムアルデヒドを用いる縮合反応から予備の粗ジブトキシメタン(「DBM」)を製造する化学プロセスの一実施形態の分子図を示す。本発明では、かかるプロセスが単に未使用のブタノールを用いる実施形態および再利用ブタノール蒸留物を利用する実施形態からなり得ることを意図している。さらに、ジブトキシメタンの生成がバッチまたは連続生産によるものであってもよいことも意図している。
【0030】
図5は30〜50%ホルムアルデヒドを用いる予備の粗DBMの製造プロセスの一実施形態で用いる原料の表を示す。当業者に現在または今後知られるあらゆる同等の類似強酸または強酸性イオン交換樹脂を表に示す硫酸の代わりに用いてもよいことを意図していることに留意することが重要である。この特定の化学物質の同定は決して限定的ではない。さらに、開示した分子量、総量およびモル数は限定的ではなく、本発明のプロセスで効果的に機能するだろう当業者に既知のあらゆる分子量、総量またはモル数も本発明プロセスに意図している。
【0031】
共溶媒を用いることなく30〜50%ホルムアルデヒドから縮合反応でジブトキシメタンを製造する本発明プロセスの一実施形態を図2のフローチャートに示す。前提として、このプロセスの任意の時点で混合物の試料を採取し、かかる反応に有用性を有するのに当業者に既知の試験または処理にかけてもよいことに留意すべきである。こうした試験および/または処理の例としては気液クロマトグラフィー分析が挙げられるが、これに限定されない。
【0032】
本発明プロセスのこの実施形態の第1工程(1)において、30〜50%ホルムアルデヒド溶液および当業者に既知の縮合反応触媒を一緒に投入して混合物を作成する。本プロセスの一実施形態では、用いる縮合反応触媒は硫酸である。さらに、本プロセスの一実施形態では、30〜50%ホルムアルデヒド溶液はパラホルムアルデヒド、メタノールおよび水の混合物からなる。
【0033】
次いで、工程(2)において、混合物を透明な混合物が得られるまでの温度まで加熱し、保持する。
【0034】
透明な混合物を得た後、工程(3)において、未使用ブタノールを混合物に投入する。
【0035】
次に、工程(4)において、混合物を加熱し、水およびブタノール蒸留物を当業者に既知の蒸留トラップに回収する。図2のプロセスの一実施形態では、用いる蒸留トラップはディーンスタークトラップである。
【0036】
水の蓄積が終わる際に、工程(5)において混合物を冷却する。
【0037】
本プロセスの一実施形態では、冷却後、蒸留トラップの上層(例えば、ブタノール)をさらなる使用のために工程(6)において保存する。さらに、本プロセスの一実施形態では、この上層の試料を採取し、化合物分析にかけてもよい。一般に、当業者に既知のあらゆる化合物析方法(例えば、気液クロマトグラフィー)を本プロセスのこの段階で考慮する。
【0038】
その後、工程(7)において、当業者に既知の中和剤を混合物に投入する。図2のプロセスの一実施形態では、用いる中和剤は50%苛性である。
【0039】
中和剤の投入後、工程(8)において水をフラスコに投入する。
【0040】
本プロセスの一実施形態では、工程(8)後の工程(9)において、蒸留トラップを反応物から取り外し、Y管に置き換える。或いはまた、蒸留トラップを変更して反応混合物からブタノールおよび水の両方を除去することができるようにする。混合物からブタノールおよび水の除去を可能にするあらゆる変更を意図していることを理解すべきである。
【0041】
工程(10)において、混合物をある温度まで再加熱して蒸留を開始する。
【0042】
蒸留開始後、工程(11)において、十分な量の水を容器に回収するまで蒸留を継続する。
【0043】
次いで、工程(12)において、蒸留物の上相および下相を分離する。この工程の一実施形態では、各相の重量および容積を記録し、試料を化合物分析にかける。当業者に既知のあらゆるタイプの化合物分析を意図しているが、一つの実施形態では、気液クロマトグラフィーを用いる。さらに、図2のプロセスの別の実施形態では、蒸留物の有機相を次のバッチへ再利用する。
【0044】
最後に、工程(13)において、混合物残渣を冷却する。図2のプロセスの一つの実施形態では、残渣を冷却した後、貯蔵瓶に移す。さらに、一つの実施形態では、最終冷却混合物残渣の試料を採取し、化合物分析にかけることを意図している。この場合もやはり、当業者に既知のあらゆるタイプの化合物分析も意図するが、一つの実施形態では、気液クロマトグラフィーを用いる。
【0045】
前に記載したように、図2に示すプロセスはまた、一つの実施形態において、ブタノール放出のリサイクルで行うこともできる。この実施形態では、プロセスに以下の工程を加える。透明な混合物を工程(2)において得た後、ブタノール放出のリサイクルを利用する図2のプロセスの実施形態では、工程(3)の代わりに以下の工程を行う。まず、先のバッチの蒸留トラップからの蒸留物の上層の有機層を投入し、その中のブタノールの量を計算する。一般に、ブタノールの投入量は気液クロマトグラフィーのような化合物分析により計算する。その後、先のバッチの容器からの蒸留物の上層の有機層を投入し、その中のブタノールの量を計算する。この場合もやはり、ブタノールの投入量は気液クロマトグラフィーのような化合物分析により計算する。次に、混合物に投入すべき未使用ブタノールの量を当業者に既知の方法により計算する。一つの実施形態では、この量は前に計算した蒸留トラップおよび容器からの正味のブタノール投入量の合計を370から引くことにより計算する。図2のプロセスのこの実施形態における最後の追加工程は、計算した量の未使用ブタノールを混合物に投入することである。
【0046】
一般に言えば、図2のプロセスによる製造はバッチまたは連続生産のいずれにおいても容易に行うことができる。図6は、上述の方法に基づくジブトキシメタンの連続生産のプロセスフロー図の一実施形態を示す。図7は、上述の方法に基づくジブトキシメタンのバッチ生産のプロセスフロー図の一実施形態を示す。
【0047】
従来技術のプロセスと比べ、本プロセスでは蒸留剤の除去は問題ではない。よって、本プロセスの利点は要する工程が少なく、製造がより容易で、経済的により実現可能なことである。とくに、従来技術と比べたこのプロセスの利点は、従来技術とは異なり、不活性蒸留剤を必要としないことである。本発明のプロセスは、むしろ不均一ブタノール/水共沸混合物をうまく利用する。共沸混合物の不均一な性質により、ブタノールを次の生産のために容易に再利用することができる。この再利用は収率を増加し得る。さらに、不活性蒸留剤の欠如は生成物からの分離工程の必要性をなくす。生成物の純度要件に応じて、オーバーヘッド蒸留なしにパッケージすることができる。最後に、該プロセスは柔軟な製造オプションを有する。換言すると、プロセスは製造をバッチまたは連続装置のいずれかにおいて容易に行うことができるよう設計されている。
【0048】
以下の実施例はここに開示するプロセスの実施形態を示す。図3に示す実施例は、蒸留ブタノール残渣のリサイクルなしの典型的なプロセスであり、未使用ブタノールのみを用いる。図4に示す実施例は、未使用ブタノールに加えて蒸留ブタノール残渣のリサイクルを利用する典型的なプロセスである。これらプロセスは一般にベンチ処理であり、従って生産に行ってもよいものの典型である。これらの実施例を標準的商業運転プロセスに適応させることができることは当業者により理解されるだろう。さらに、本発明の目的のため、この実施形態で議論される蒸留および容積条件は限定的ではなく、当業者に既知のあらゆる機能的な蒸留または容積条件が本発明のプロセスに意図していることに留意すべきである。また、任意のとくに同定したフラスコ、蒸留カラムまたは他の装置は限定的なものではない。本プロセスの所定の工程で適切および効果的に機能し得る当業者に既知のいずれの装置も意図している。
【実施例1】
【0049】
まず、工程(101)において、フラスコに60mlの水を投入する。図3に示すプロセスの実施形態では、フラスコは1Lのフラスコである。さらに、図3に示すプロセスの実施形態では、脱イオン(「DI」)水を用いるが、この工程では当業者に既知のいずれの水も意図していることを強調しておく。
【0050】
その後、工程(102)において、フラスコに約1.2グラムのメタノールを投入する。
【0051】
次に、工程(103)において、フラスコに約60グラムのパラホルムアルデヒドを投入して、30〜50%ホルムアルデヒド混合物を形成する。
【0052】
その後、工程(104)において、フラスコに0.1mlの98%硫酸を投入する。
【0053】
硫酸を加えた後、工程(105)において、混合物を約90〜100℃まで加熱し、透明な溶液が得られるまでその温度範囲内に保持する。
【0054】
透明な溶液を得た後、工程(106)において、混合物に370グラムの未使用ブタノールを投入する。
【0055】
その後、工程(107)において、混合物の温度を約125℃まで加熱し、生成する水およびブタノール蒸留物を蒸留トラップに回収する。当業者に既知のあらゆる蒸留トラップの使用を意図しているが、一つの実施形態ではディーンスタークトラップを用いる。
【0056】
工程(108)において、水の蓄積が終わると、混合物を約50℃の温度まで冷却する。
【0057】
その後、工程(109)において、蒸留トラップからの上層の有機層を次のバッチへ再利用し、上層の有機層の試料を化合物分析にかける。この工程では当業者に既知のあらゆる化合物分析プロセスも意図しているが、一つの実施形態では試料を気液クロマトグラフィー分析にかける。
【0058】
次に、工程(110)において、フラスコに0.1mlの50%苛性アルカリを投入する。
【0059】
その後、工程(111)において、フラスコに100グラムの水を投入する。
【0060】
次の工程(112)において、蒸留トラップを反応フラスコから取り外し、Y管に置き換える。
【0061】
置き換えを完了した後、工程(113)において、混合物を125℃まで再加熱して蒸留を開始する。
【0062】
工程(114)において、約100mlの水を容器に回収するまで、混合物を連続的に蒸留する。一般に、合計約250mlの2相蒸留物が得られるとされている。
【0063】
その後、工程(115)において、蒸留物の上相および下相を取っておく。また、この工程(115)の実施形態では、蒸留物の上相および下相それぞれの容積および重量を記録する。さらに、この工程(115)の実施形態では、蒸留物の上層および下層の両方の試料を得、気液クロマトグラフィー分析にかける。最後に、実施例ではこの工程(115)が次のバッチで再利用すべき上相の有機相を取っておくことからなることを意図している。
【0064】
次に、工程(116)において、混合物残渣を約50℃未満まで冷却し、貯蔵瓶に移す。
【0065】
その後、最終工程(117)において、生成物の試料を採取し、気液クロマトグラフィー分析にかける。
【0066】
図3に示す典型的なプロセスの期待収率は変化するが、1つの実施形態では約320グラムであると予測されている。
【実施例2】
【0067】
まず、工程(201)において、フラスコに60mlの水を投入する。図4に示すプロセスの実施形態では、フラスコは1Lのフラスコである。さらに、図4に示すプロセスの実施形態では、脱イオン(「DI」)水を用いるが、この工程では当業者に既知のいずれの水も意図していることを強調しておく。
【0068】
その後、工程(202)において、フラスコに約1.2グラムのメタノールを投入する。
【0069】
次に、工程(203)において、フラスコに約60グラムのパラホルムアルデヒドを投入して、30〜50%ホルムアルデヒドの混合物を形成する。
【0070】
その後、工程(204)において、フラスコに0.1mlの98%硫酸を投入する。
【0071】
硫酸を加えた後、工程(205)において、混合物を約90〜100℃まで加熱し、透明な溶液が得られるまでその温度範囲内に保持する。
【0072】
透明な溶液を得た後、工程(206)において、先のバッチからの蒸留トラップ蒸留物の上層の有機層を投入する。またこの工程(206)において、投入量を測定し、ブタノールの投入量を気液クロマトグラフィー分析のような化合物分析に基づき計算する。
【0073】
次に、工程(207)において、先のバッチからの容器蒸留物の上層の有機層を投入する。またこの工程(207)において、投入量を測定し、ブタノールの投入量を気液クロマトグラフィー分析のような化合物分析に基づき計算する。
【0074】
その後、工程(208)において、混合物に投入する必要がある未使用ブタノールの量を計算する。一般に、この量は工程(206)および工程(207)からの正味のブタノールの投入量合計を370グラムから引くことにより計算する。
【0075】
量の計算後、工程(209)において、計算した量の未使用ブタノールをフラスコに投入する。
【0076】
その後、工程(210)において、混合物の温度を約125℃まで加熱し、生成する水およびブタノール蒸留物を蒸留トラップに回収する。当業者に既知のいずれの蒸留トラップの使用も意図しているが、1つの実施形態ではディーンスタークトラップを用いる。
【0077】
工程(211)において、水の蓄積が終わると、混合物を約50℃の温度まで冷却する。
【0078】
その後、工程(212)において、蒸留トラップからの上層の有機層を次のバッチへ再利用し、上層の有機層の試料を化合物分析にかける。この工程では当業者に既知のあらゆる化合物分析プロセスも意図しているが、1つの実施形態では試料を気液クロマトグラフィー分析にかける。
【0079】
次に、工程(213)において、フラスコに0.1mlの50%苛性アルカリを投入する。
【0080】
その後、工程(214)において、フラスコに100グラムの水を投入する。
【0081】
次の工程(215)において、蒸留トラップを反応フラスコから取り外し、Y管に置き換える。
【0082】
置き換えを完了した後、工程(216)において、混合物を125℃まで再加熱して蒸留を開始する。
【0083】
工程(217)において、約100mlの水を容器に回収するまで混合物を連続的に蒸留する。一般に、合計約250mlの2相蒸留物が得られるとされている。
【0084】
その後、工程(218)において、蒸留物の上相および下相を取っておく。また、この工程(218)の実施形態では、蒸留物の上相および下相それぞれの容積および重量を記録する。さらに、この工程(218)の実施形態では、蒸留物の上層および下層の両方の試料を得、気液クロマトグラフィー分析にかける。最後に、実施例ではこの工程(218)が次のバッチで再利用する上相の有機相を取っておくことも含むことを意図している。
【0085】
次に、工程(219)において、混合物残渣を約50℃未満まで冷却し、貯蔵瓶に移す。
【0086】
その後、最終工程(220)において、生成物の試料を採取し、気液クロマトグラフィー分析にかける。
【0087】
図4に示す典型的なプロセスの期待収率は変化するが、1つの実施形態では約320グラムであると予測されている。
【0088】
本発明は特定の好適な実施形態に関連して開示したが、これを示したすべての詳細への限定と解釈すべきではない。本発明の精神および範囲を逸脱することなく記載実施形態の変形および修正を行ってもよく、当業者により理解されるように、他の実施形態は本開示に含まれるものと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
30〜50%ホルムアルデヒド溶液およびブタノールを用意し;
水分除去用の共溶媒を用いることなく縮合反応において前記30〜50%ホルムアルデヒド溶液およびブタノールを反応させることを備える30〜50%ホルムアルデヒドからジブトキシメタンを製造する方法。
【請求項2】
前記縮合反応を再利用ブタノール放出で行う請求項1に記載のジブトキシメタンの製造方法。
【請求項3】
30〜50%ホルムアルデヒドおよびブタノールを用意し;
水分除去用の共溶媒を用いることなく縮合反応において前記30〜50%ホルムアルデヒドおよびブタノールを反応させ;
ジブトキシメタンを分離するプロセスにより形成されるジブトキシメタン。
【請求項4】
前記縮合反応を再利用ブタノール放出で行う請求項3に記載のジブトキシメタンの製造方法。
【請求項5】
水、メタノール、パラホルムアルデヒドおよび縮合反応触媒を一緒に投入して混合物を形成する工程;
透明な溶液が得られる温度に混合物を加熱する工程;
混合物に未使用ブタノールを投入する工程;
混合物を加熱する工程;
蒸留トラップに水およびブタノール蒸留物を回収する工程;
蒸留水の蓄積が終わると混合物を冷却する工程;
混合物にブタノールを戻す工程;
混合物に中和剤を投入する工程;
混合物に水を投入する工程;
混合物を再加熱して蒸留を開始する工程;
所定の量の水を回収するまで蒸留を継続する工程;
蒸留物の上相および下相を分離する工程;および
混合物残渣を冷却する工程を備える再利用ブタノール放出なしのジブトキシメタンの製造方法。
【請求項6】
前記投入工程において60mlの脱イオン水を投入する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記投入工程において1.2グラムのメタノールを投入する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記投入工程において60グラムのパラホルムアルデヒドを投入する請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記投入工程において0.1mlの98%硫酸を前記縮合反応触媒として投入する請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記透明な溶液が得られる温度まで混合物を加熱する工程において、前記混合物を90〜100℃の温度まで加熱する請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記投入工程において前記混合物に370グラムの未使用ブタノールを投入する請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物を加熱する工程において、前記混合物を125℃の温度まで加熱する請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記蒸留水の蓄積が終わると混合物を冷却する工程において、前記混合物を50℃まで冷却する請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物に中和剤を投入する工程において、前記混合物に0.1mlの50%苛性アルカリを投入する請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物に水を投入する工程において、前記混合物に110グラムの水を投入する請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物を再加熱して蒸留を開始する工程において、前記混合物を約125℃まで再加熱する請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記容器に水を回収するまで蒸留を継続する工程において、約100mlの水を回収するまで前記混合物の蒸留を継続する請求項5に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物残渣を冷却する工程において、前記混合物残渣を50℃未満まで冷却する請求項5に記載の方法。
【請求項19】
水、メタノール、パラホルムアルデヒドおよび縮合反応触媒を一緒に投入して混合物を形成する工程;
透明な溶液が得られる温度まで混合物を加熱する工程;
先のバッチからの蒸留トラップの上層を投入し、その中のブタノールの量を計算する工程;
先のバッチからの蒸留容器の上層を投入し、その中のブタノールの量を計算する工程;
投入すべき未使用ブタノールの量を計算する工程;
前記投入すべき未使用ブタノールの量を計算する工程で計算した量の未使用ブタノールを投入する工程;
混合物を加熱する工程;
蒸留トラップに水およびブタノール蒸留物を回収する工程;
蒸留水の蓄積が終わると混合物を冷却する工程;
混合物にブタノールを戻す工程;
混合物に中和剤を投入する工程;
混合物に水を投入する工程;
混合物を再加熱して蒸留を開始する工程;
所定の量の水を回収するまで蒸留を継続する工程;
蒸留物の上相および下相を分離する工程;および
混合物残渣を冷却する工程を備える再利用ブタノール放出でのジブトキシメタンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−500796(P2012−500796A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524005(P2011−524005)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054515
【国際公開番号】WO2010/022269
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(510328685)フューチャーフューエル ケミカル カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】FUTUREFUEL CHEMICAL COMPANY
【Fターム(参考)】