説明

ジャッキ台装置

【課題】揚程現場における油圧ジャッキのみでの単独使用、爪付きジャッキ態様としての使用を選択でき、また、重量的に嵩張っても容易に搬送移動する。
【解決手段】油圧ジャッキJを収納し、載置する収納ボックス2に、油圧ジャッキJのピストンロッドの昇降動に伴い昇降する爪体10をスライド自在に連繋したジャッキ台1を形成する。このジャッキ台1には、ジャッキ台1を移動させる搬送ハンドル具20を着脱自在に連繋する。搬送ハンドル具20は、搬送ベース21と、この搬送ベース21底面に付設したキャスタ24と、ジャッキ台1に係合連繋させるよう搬送ベース21に設けた連繋手段25と、搬送ベース21に揺動自在に支承し、ジャッキ台1を載置作業面で移動操作させ、また載置作業面から浮かせる移動ハンドル31とを備える。移動ハンドル31には固定側壁22の後縁、上縁に係合するハンドルストッパー41を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ジャッキにおいて、これを単独で使用することあるいはいわゆる爪付きジャッキとして使用することの選択を可能にし、また重量的に嵩張る油圧ジャッキを簡単に移動可能にしたジャッキ台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から油圧ジャッキは、揚程すべき被揚程物に対する挿入セット、揚程高さの調整変更その他に対応して単独で使用されたり、あるいは爪部を備えたいわゆる爪付きジャッキとして構成することで使用されたりする。爪付きジャッキの例として例えば特許文献1乃至4がある。いずれも油圧ジャッキ本体に、被揚程物底面に差し入れる爪部を有する昇降体を組合せ、油圧ジャッキ本体における昇降するピストンロッドに昇降体を関連付けて使用する。
【特許文献1】実開平5−22481号公報
【特許文献2】特開平9−165195号公報
【特許文献3】特開2003−2590号公報
【特許文献4】特開2003−246593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの従来の爪付きジャッキ構成は、被揚程物自体が相当に重量があるためにそれを揚程するときの安定性が確保されるに足りるよう自身もかなりな重量を備えるものとして構成される必要がある。また揚程作業に際し、油圧ジャッキ単独で使用したり、爪部を備えた構成とする爪付きジャッキとして使用したり等、作業現場の状況に応じてそれらを選択する必要がある。ただ従来の爪付きジャッキとして構成されているものは油圧ジャッキのみを取り外し、これ単独で使用することには対応しておらず、別に用意する必要がある。また油圧ジャッキ自体、爪付きジャッキ自体はいずれも重量的に嵩張るから、例えば据付位置の調整等のための移動を作業者自身が行うには極めて困難であった。
【0004】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は所定の油圧ジャッキのみでの単独使用、爪付きジャッキ態様としての使用のいずれをも現場状況に対応して選択できることにある。また重量的に嵩張る油圧ジャッキ、及びこれを爪付きジャッキとして使用するときに組み合わせるジャッキ台等と共にする搬送移動を容易にすることにある。更に搬送移動しないときの搬送ハンドル具等の収納保管を簡便にするジャッキ台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、油圧ジャッキJを収納して所定箇所に載置される収納ボックス2に、油圧ジャッキJのピストンロッドJ2の昇降動に伴い昇降する爪体10をスライド自在に連繋したジャッキ台1から成ることを特徴とする。
このジャッキ台1と、このジャッキ台1に着脱自在に連繋されて、ジャッキ台1を移動させる搬送ハンドル具20とから成ることを特徴とする。
ジャッキ台1は、油圧ジャッキJを収納して所定箇所に載置される収納ボックス2と、油圧ジャッキJのピストンロッドJ2の昇降動に伴い昇降するよう収納ボックス2にスライド自在に連繋した爪体10とから成り、収納ボックス2の外側面には係合ピン6を突設してある。
爪体10は、収納ボックス2に対して上下方向にスライドされるスライド部11と、被揚程物Wに対して例えばその底部下面に差し入れられるようスライド部11の下部に設けた爪部12と、油圧ジャッキJのピストンロッドJ2に係合するようスライド部11の上部に設けた揚程部13と、収納ボックス2に対して昇降するよう収納ボックス2にスライド自在に連繋させるスライド案内手段15とを備えて成る。
搬送ハンドル具20は、搬送ベース21と、この搬送ベース21底面に付設したキャスタ24と、ジャッキ台1に係合連繋させるよう搬送ベース21に設けた連繋手段25と、搬送ベース21に揺動自在に支承し、ジャッキ台1を載置作業面で移動操作させ、また載置作業面から浮かせる移動ハンドル31とを備えて成る。
搬送ベース21には、左右で相対峙状にして固定側壁22を配置固定し、この固定側壁22に連繋手段25を設け、移動ハンドル31を揺動自在に支承する。
連繋手段25は、ジャッキ台1における収納ボックス2外側面に突設した係合ピン6を固定側壁22前縁に形成した位置決め係合溝22Aと共に上下から挟み込み、係合する係合溝27を前縁に形成して、固定側壁22面に沿って揺動起伏自在に固定側壁22に支承される左右の係合板26と、この左右の係合板26のいずれか一方に固着した揺動操作ハンドル29とを備えて成る。
移動ハンドル35は、固定側壁22に揺動自在に支承したハンドル本体(35)の下部にハンドルストッパー41を設けて成り、このハンドルストッパー41は、固定側壁22の後縁位置、上縁位置夫々に形成した係合溝45A,45Bに弾発的に着脱自在に係合する係合体43を備えている。
【0006】
以上のように構成された本発明に係るジャッキ台装置にあって、ジャッキ台1の収納ボックス2内への油圧ジャッキJの収納によって、油圧ジャッキJを立脚状に保持し、収納ボックス2にスライド自在にして組み合わせた爪体10によって爪付きジャッキ構成とし、ジャッキ駆動と共に被揚程物Wに対して位置決めする爪部12によって被揚程物Wを昇降させる。
油圧ジャッキJを収納保持したジャッキ台1に連繋手段25を介して連繋した搬送ハンドル具20によって、ジャッキ台1と共に油圧ジャッキJを載置作業面から浮かせた状態とし、そのままで移動させる。搬送ハンドル具20の操作による移動調整で、揚程すべき被揚程物Wに対して油圧ジャッキJを位置決めさせ、油圧ジャッキJ自体あるいは爪部12を被揚程物Wの下方に位置決めセットさせる。
連繋手段25は、揺動操作ハンドル29の揺動操作で係合板26を前後に揺動させ、係合溝27を収納ボックス2の係合ピン6に係合して位置決め係合溝22Aと共に係合ピン6を上下から挟み込み、搬送ハンドル具20をジャッキ台1に一体化させる。
搬送ハンドル具20の移動ハンドル35に設けたハンドルストッパー41は、これの係合体43を固定側壁22の後縁位置の係合溝45Aに係合位置決めすることで移動ハンドル35を前傾した傾斜状に保持させる。このときの搬送ハンドル具20による操作でジャッキ台1自体の被揚程物Wに対する位置決め移動を容易にさせる。また係合体43を固定側壁22の上縁位置の係合溝45Bに係合位置決めすることで移動ハンドル35を立脚状に保持させる。このときの搬送ハンドル具20自体の傾斜で、ジャッキ台1更には油圧ジャッキJを載置作業面から浮かせた状態とし、作業場所の変更に伴う移動を転動するキャスタ24によって容易にさせる。
また、油圧ジャッキJを収納していない収納ボックス2、爪体10、搬送ハンドル具20夫々に解体し、油圧ジャッキJと共に夫々を各別に運搬し、作業現場での適宜な組合せで、油圧ジャッキJのみの単独使用、収納ボックス2に収納しての立脚状の安定使用、爪付きジャッキ構成としての使用、搬送ハンドル具20の連繋による移動調整を可能にさせる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は以上のように構成されており、そのため、所定の油圧ジャッキJのみでの単独使用、ジャッキ台1・爪体10との組合せによる爪付きジャッキ態様としての使用のいずれをも現場状況に対応して選択できる。また重量的に嵩張る油圧ジャッキJであっても、これを爪付きジャッキとして使用するときに組み合わせるジャッキ台1に連繋する搬送ハンドル具20によって容易に搬送移動できる。しかも、搬送移動しないときには不要となる搬送ハンドル具20は例えば壁面等に立て掛けることによって簡便に収納保管できる。
【0008】
すなわちこれは本発明が、油圧ジャッキJを収納する収納ボックス2に、油圧ジャッキJのピストンロッドJ2の昇降動に伴い昇降する爪体10をスライド自在に連繋して成るジャッキ台1としたからである。これによって、油圧ジャッキJを使用するときの据付安定性、被揚程物Wに対する油圧ジャッキJによる直接あるいは爪体10による揚程のいずれかの選択等を可能にする。また、ジャッキ台1に着脱自在に連繋されて、ジャッキ台1を移動させる搬送ハンドル具20を備えたからである。これによって、被揚程物Wにセットするときの油圧ジャッキJの位置決めのための移動調整、更には作業場所の変更に伴う油圧ジャッキJの移動等も容易にできる。
【0009】
また、ジャッキ台1は、油圧ジャッキJを収納して載置される収納ボックス2に、油圧ジャッキJのピストンロッドJ2の昇降動に伴い昇降するよう爪体10をスライド案内手段15を介してスライド自在に連繋して成る。そのため、収納ボックス2に収納した油圧ジャッキJを自立状態とさせて油圧ジャッキJ単独のみによる揚程使用、更には被揚程物Wの低位置に差入れさせる爪体10による揚程使用のいずれも可能とし、現場における状況に対応できる。
【0010】
搬送ハンドル具20は、搬送ベース21底面に付設のキャスタ24によって移動自在であり、搬送ベース21に設けた連繋手段25によってジャッキ台1と係合連繋させることでジャッキ台1と一体状に組合せでき、移動ハンドル31の操作で重量的に嵩張る油圧ジャッキJを収納したジャッキ台1を簡単に移動できる。
【0011】
連繋手段25は、収納ボックス2に突設した係合ピン6を位置決め係合溝22Aと共に上下から挟み込み、係合する係合溝27を形成して揺動起伏自在に固定側壁22に支承される左右の係合板26を揺動操作ハンドル29によって揺動させるから、揺動操作ハンドル29の揺動操作で搬送ハンドル具20をジャッキ台1に簡単に連繋でき、また分離解体も容易である。しかも収納ボックス2の係合ピン6は、搬送ハンドル具20における搬送ベース21に固定配置した固定側壁22の位置決め係合溝22Aと、固定側壁22に支承された係合板26の係合溝27とによって係合されるから、ジャッキ台1と搬送ハンドル具20とは確実に連繋される。そしてジャッキ台1と連繋させた搬送ハンドル具20を傾斜させることで、係合ピン6への位置決め係合溝22Aの係合支持と相俟ち、ジャッキ台1を傾斜状にして作業面等から浮かせることができ、キャスタ24によって油圧ジャッキJ等を円滑に移動できる。
【0012】
移動ハンドル35は、固定側壁22に揺動自在に支承したハンドル本体(35)の下部に、固定側壁22の後縁位置、上縁位置夫々に形成した係合溝45A,45Bに弾発的に着脱自在に係合する係合体43を備えて成るハンドルストッパー41を有している。そのため、ハンドルストッパー41の弾発的なスライドによるいずれかの係合溝45A,45Bへの係合によって移動ハンドル35の立脚位置、傾斜位置を選定し、それを維持できる。立脚あるいは傾斜位置が維持された移動ハンドル35の操作によって、被揚程物Wに対するジャッキ台1の位置決めのための移動調整ばかりでなく、ジャッキ台1自体の油圧ジャッキJと共にする他の作業場所への搬送移動をも容易にする。
【0013】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項夫々において付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、図面中の符号によって示された構造・形状等に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。図において示される符号1はジャッキ台であり、所定の油圧ジャッキJと組み合わせられて爪付きジャッキ構成として使用させる。またジャッキ台1に連繋した搬送ハンドル具20の起伏操作に関連してジャッキ台1を作業面等から浮かし、油圧ジャッキJをジャッキ台1と共に所定場所に移動させる。尚、油圧ジャッキJ自体は一般的に提供される所要の仕様を備えたものであり、ジャッキ筐体下部に設けた連結部(プラグ・カプラー)J1に連結された作動流体供給パイプPを経て供給される作動流体によってピストンロッドJ2を昇降させ、被揚程物Wを昇降させる。
【0015】
ジャッキ台1は、油圧ジャッキJを収納して所定箇所に載置される収納ボックス2と、ピストンロッドJ2の昇降動に伴い昇降するよう収納ボックス2にスライド自在に連繋した爪体10とから成る。
【0016】
収納ボックス2は、作業面・据付面その他の所定箇所に載置されるボックスベース3と、収納する油圧ジャッキJを囲繞するようボックスベース3上に立脚される平断面で後面開放の溝形枠状を呈する側部カバー壁5とを備える。ボックスベース3は、収納載置させる所定の油圧ジャッキJを自立的な立脚状に支持するに足りる自重、平面積を備え、側部カバー壁5の外形に比し、前後左右で外側方に張り出している。また、このボックスベース3上の左右側部面にはループ状に形成した取っ手4を付設して収納ボックス2自体の可搬性を配慮してある。一方、側部カバー壁5は作業者によって油圧ジャッキJを操作するときの作業者位置側である後方が開放されており、油圧ジャッキJ自体は側部カバー壁5の後方開放部分からあるいは側部カバー壁5の上方からスライド挿入されることで側部カバー壁5内に収納保持される。油圧ジャッキJの収納保持時の安定性を考慮して、側部カバー壁5内部におけるボックスベース3面上には油圧ジャッキJ底部と噛み合うようにした凹凸部分を形成しておく。側部カバー壁5の内形は収納保持する油圧ジャッキJの外形に沿うものとし、図示のように側部カバー壁5内に油圧ジャッキJがしっくりと収納され、がたつくことがないように配慮する(図6参照)。
【0017】
また収納ボックス2における側部カバー壁5の両側壁外側面の上下部には、後述する搬送ハンドル具20を係合連繋させる係合ピン6を突設してある。
【0018】
尚、図示にあっては側部カバー壁5の後方開放部分縁は底部側に比し上部側を狭幅となし、また側部カバー壁5の平断面でほぼ矩形枠状となしてあるも、いずれもこれに限定されない。図中符号7は皿状の油受け部であり、連結部J1から漏出することがある作動流体を一時的に貯留すると共に、ボックスベース3後部に形成した保護突部8と相俟ち、側部カバー壁5後方に出張る連結部J1を保護する。
【0019】
爪体10は収納ボックス2対して上下方向にスライド自在に組み合わせられ(図5参照)、スライド部11、爪部12、揚程部13、スライド案内手段15を備えて成り、被揚程物Wの荷重に十分に耐え得る堅牢性、剛性等を備えている。すなわちスライド部11は収納ボックス2に対して上下方向にスライドされる。爪部12は被揚程物Wに対して例えばその底部下面に差し入れられるようスライド部11の下部に設けてある。揚程部13は油圧ジャッキJのピストンロッドJ2に係合するようスライド部11の上部に設けてある。スライド案内手段15は収納ボックス2に対して昇降するよう収納ボックス2に対してスライド自在に連繋させる。
【0020】
図示にあってのスライド部11は、後方開放の平断面でほぼ矩形枠状となしてあり、収納ボックス2と組み合わせられるとき、収納ボックス2における側部カバー壁5の外方に位置してこれを囲繞するようにこの側部カバー壁5と二重枠状となる(図2、図6参照)。また、このスライド部11における両側壁部分は後方側縁が下向き傾斜状に切欠されていて、収納ボックス2の両側壁外側面に設けられている係合ピン6を外部に露出させている(図5、図6参照)。
【0021】
スライド案内手段15は、収納ボックス2における側部カバー壁5前部の外側面と、爪体10におけるスライド部11内部の後面との間で噛み合い状に形成されていて、収納ボックス2とは分離・解体されることなく上下方向に爪体10を昇降させる。具体的には、側部カバー壁5の外側面の上下方向に沿って突状に形成した雄部に、この雄部に係止する溝状の雌部をスライド部11の外側面の上下方向に沿って形成して成る。図示にあっての係止形態は、雄部の基部部分(雌部の端部部分)に比し端部部分(雌部の基部部分)側が広幅となる蟻溝形としてある(図2、図6参照)。もとより、この蟻溝形に限らず例えば凸部形等の他形状も採用可能である。
【0022】
爪部12上面、揚程部13上面夫々には、筋状の所定幅、所定深さの溝条を形成して滑り止めとしてある。尚、被揚程物Wに対して爪部12による差入れ係止とせずに、油圧ジャッキJ自体、揚程部13による被揚程物W底部への差入れ係止による使用も可能である。また、図示にあっての爪部12は、これが最低位置にあるとき、収納ボックス2におけるボックスベース3に切欠形成したセット切欠3A内に収容位置決めされ、ジャッキ台1の被揚程物Wに対する直近形態のセットを容易にする。
【0023】
図中符号16は揚程部13後縁に設けた取っ手であり、収納ボックス2とは解体分離させた爪体10を単独で例えば作業者が吊り下げて携帯・持参させる。同じく17は揚程部13裏面に設けた位置決め筒部であり、揚程部13を油圧ジャッキJにおけるピストンロッドJ2上部に係合させ、揚程部13とピストンロッドJ2とを確実に係合させる。
【0024】
このように構成したジャッキ台1に連繋される搬送ハンドル具20によって、油圧ジャッキJをジャッキ台1と共に移動させる。このための搬送ハンドル具20は、搬送ベース21、移動車輪たるキャスタ24、連繋手段25、移動ハンドル31を備えて成り、油圧ジャッキJを収納保持したジャッキ台1に係合連繋させた状態でキャスタ24にて移動可能とする。
【0025】
搬送ベース21は平面からみてほぼ横長矩形のプレート状で、左右の幅員はジャッキ台1におけるボックスベース3の幅員に比し大きい。この搬送ベース21には、左右で相対峙状にして固定側壁22を配置固定し、この固定側壁22の後部位置の相互間に固定バー23を横架すると共に、固定側壁22の下部相互間の搬送ベース21上面上で例えば角筒パイプ、溝形材等を配装して補強してある。また固定側壁22の前縁には、ジャッキ台1における収納ボックス2の側壁に設けられている係合ピン6の下縁に位置決めされて係合する位置決め係合溝22Aが形成されている。図示にあって、この位置決め係合溝22Aは上位置の係合ピン6に対応して1個で設けられるも、下位置の係合ピン6にも対応して計2個にして設けられることもある。この位置決め係合溝22Aは固定側壁22の前縁に前方に突設した突設部分の上縁に切欠状に形成され、後述の係合板26が前方に揺動されたときの係合溝27に上下で対向する位置としてある(図3参照)。
【0026】
キャスタ24は、搬送ベース21の左右部下面に付設されており、移動方向が自在な無指向性構成としてある。
【0027】
連繋手段25は、搬送ベース21に対してハンドル操作で揺動自在な係合板26を収納ボックス2における前記係合ピン6の上縁に着脱自在に係合させる。すなわち、前縁に係合ピン6に係合する係合溝27を形成して、固定側壁22面に沿って揺動起伏自在に固定側壁22に支承される左右の係合板26と、この左右の係合板26相互間に横架して固定側壁22相互間に貫挿した係合固定軸28と、係合板26の少なくともいずれか一方に固着した揺動操作ハンドル29とを備えて成る。係合板26自体は、係合固定軸28を中心として揺動し、前方に倒伏したときにはその係合溝27が係合ピン6に係合し、位置決め係合溝22Aと共に上下から挟み込み、搬送ハンドル具20をジャッキ台1に連繋し、一体化させる。このとき、図1に示すように搬送ハンドル具20自体の所定角度位置で、位置決め係合溝22A、係合ピン6によって固定側壁22でジャッキ台1自体の荷重を支持する。こうすることで載置作業面から僅かに例えば5mm程度で離反(浮かす)し、揚程すべき被揚程物Wに対する位置決めセットを円滑にする。逆に後方に倒伏したときには搬送ハンドル具20をジャッキ台1から解除し、両者20,1相互を分離させる。また係合板26は、ジャッキ台1に対して搬送ハンドル具20を近接させ、位置決めされた状態で揺動されることによって係合溝27と係合ピン6との係合を着脱させる。図示にあっての係合溝27は、係合板26の前縁に下向きのほぼJ字状で上下一対にして配装してある(図3参照)。
【0028】
尚、揺動操作ハンドル29は固定側壁22外側面に固着したバネ固定ピン31との間で連繋したコイル状のスプリング32によって、係合板26の係合ピン6に対する係合位置とこれからの解除位置とに一時的に停止するように弾発的に操作される(図1、図3参照)。
【0029】
移動ハンドル35は、固定側壁22に揺動起伏自在に支承され、連繋手段25によるジャッキ台1との連繋組合せ状態にあるとき、倒伏位置にすることでジャッキ台1の移動による被揚程物Wに対するセット位置の位置決め微調整を行わせる(図1参照)。逆に、一旦は立脚位置にすることで強制的な傾斜状態でジャッキ台1を載置作業面から離反し、キャスタ24にて移動させる(図9参照)。図示にあっての移動ハンドル35は、これのハンドル本体(35)は門字形(コ字形)を呈し、左右の固定側壁22相互間に支承されたハンドル軸36の両端に固着されている。
【0030】
そしてハンドル本体(35)の下部には、下部側に弾発付勢傾向の状態でハンドル本体(35)に沿って上下にスライドするハンドルストッパー41を設けてある。このハンドルストッパー41は、ハンドル本体(35)の両側ロッド部分に套嵌する筒状のスライド体42相互間にロッド状の係合体43を横架し、例えばハンドル軸36との間に縮小傾向状態で連結したコイル状の牽引スプリング44によってハンドル本体(35)下部側に牽引されている。また前記固定側壁22の後縁位置、上縁位置夫々に係合溝45A,45Bを切欠状に形成してあって、この係合溝45A,45Bのいずれかに係合体43が係合することで移動ハンドル35を傾斜あるいは立脚位置のいずれかで保持する。移動ハンドル35の操作は、牽引スプリング44による弾発力に抗して係合体43を係合溝45A,45Bから離脱した状態としておき、立脚位置とするときは係合体43を上縁位置の係合溝45Bに、逆に傾斜位置とするときは係合体43を後縁位置の係合溝45Aに係合させ、牽引スプリング44の弾発力でその位置を保持させる(図1、図3参照)。尚、ハンドルストッパー41自体は図示のように左右対称構造とせずに、ハンドル本体(35)のいずれか一方のロッド部分のみに設けたり、弾発牽引構成をハンドル本体(35)のロッド内に内装したり等に変更可能である。
【0031】
尚、図中符号46は立掛ストッパーであり、搬送ハンドル具20を例えば壁面に立て掛けるとき、床面、地面等に接触して滑りを阻止する。そのため、搬送ベース21の左右に固着したく字形折曲形状の全体でほぼL字形を呈するストッパー脚47の端部にゴムの如き軟弾性の当接脚部48を固定して成る(図7参照)。
【0032】
次にこれの使用の一例を説明する。所定の油圧ジャッキJをジャッキ台1における収納ボックス2内に収納セットすると共に、収納ボックス2に爪体10をスライド案内手段15を介してスライド自在に組み合わせる。この状態で被揚程物W底面に油圧ジャッキJ自体あるいは爪部12を位置決めした後、油圧ジャッキJに作動流体供給パイプP、連結部Jを経て作動流体を供給することによってピストンロッドJ2を昇降して被揚程物Wを昇降させる。
【0033】
またジャッキ台1内に油圧ジャッキJを収納し、作業面等に載置した状態で、搬送ハンドル具20を持ち来し、連繋手段25の揺動操作ハンドル29の操作で係合板26の係合溝27をジャッキ台1における収納ボックス2の両側部の係合ピン6に位置決め係合溝22Aと共に係合する。一方、移動ハンドル35をストッパー41による係合位置決めによって立脚状に保持し、移動ハンドル35の傾斜によってジャッキ台1を載置作業面から浮かせることで、移動ハンドル35の牽引等によって載置作業面上で転動するキャスタ24によって適当な作業場所に移動する。
【0034】
被揚程物Wにセットするには、載置作業面からジャッキ台1を僅かに浮かせた状態で移動ハンドル35を介しての移動操作で油圧ジャッキJ自体あるいは爪部12を被揚程物W底面に位置決めする。次いで油圧ジャッキJに作動流体を供給し、被揚程物Wを昇降することで所要の揚程作業を行う。
【0035】
すなわち搬送ハンドル具20によっての移動調整によって被揚程物W底面に位置決めセットし、また搬送ハンドル具20を取り外しあるいは連繋したままでの爪体10との組合せで爪付きジャッキ構成として使用する。また場合によってはジャッキ台1、爪体10から取り外して油圧ジャッキJ単独でも使用可能にする。必要に応じ、ジャッキ台1、爪体10、搬送ハンドル具20夫々に分解し、単独の油圧ジャッキJと共に夫々を作業現場に搬入し、組み合わせて使用し、また撤去する。
【0036】
また搬送ハンドル具20は、これを使用しないときにはジャッキ台1から取り外し、移動ハンドル35を係合溝45Aに係合した状態で立掛ストッパー46を床面、地面等に当接させると共に壁面に立て掛けて保管しておく。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における側面図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じくジャッキ台に取り付け、連繋する搬送ハンドル具の側面図である。
【図4】同じく搬送ハンドル具の平面図である。
【図5】同じくジャッキ台の一部切欠側面図である。
【図6】同じくジャッキ台の一部切欠平面図である。
【図7】同じくジャッキ台の正面図である。
【図8】同じく搬送ハンドル具を壁等に立て掛けたときの側面図である。
【図9】同じく搬送ハンドル具によって移動しているときの側面図である。
【符号の説明】
【0038】
J…油圧ジャッキ J1…連結部
J2…ピストンロッド P…作動流体供給パイプ
W…被揚程物
1…ジャッキ台 2…収納ボックス
3…ボックスベース 3A…セット切欠
4…取っ手 5…側部カバー壁
6…係合ピン 7…油受け部
8…保護突部
10…爪体 11…スライド部
12…爪部 13…揚程部
15…スライド案内手段 16…取っ手
17…位置決め筒部
20…搬送ハンドル具 21…搬送ベース
22…固定側壁 22A…位置決め係合溝
23…固定バー 24…キャスタ
25…連繋手段 26…係合板
27…係合溝 28…係合固定軸
29…揺動操作ハンドル 31…バネ固定ピン
32…スプリング 35…移動ハンドル
36…ハンドル軸 41…ハンドルストッパー
42…スライド体 43…係合体
44…牽引スプリング 45A,45B…係合溝
46…立掛ストッパー 47…ストッパー脚
48…当接脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ジャッキを収納して所定箇所に載置される収納ボックスに、油圧ジャッキのピストンロッドの昇降動に伴い昇降する爪体をスライド自在に連繋したジャッキ台から成ることを特徴とするジャッキ台装置。
【請求項2】
油圧ジャッキを収納して所定箇所に載置される収納ボックスに、油圧ジャッキのピストンロッドの昇降動に伴い昇降する爪体をスライド自在に連繋したジャッキ台と、このジャッキ台に着脱自在に連繋されて、ジャッキ台を移動させる搬送ハンドル具とから成ることを特徴とするジャッキ台装置。
【請求項3】
ジャッキ台は、油圧ジャッキを収納して所定箇所に載置される収納ボックスと、油圧ジャッキのピストンロッドの昇降動に伴い昇降するよう収納ボックスにスライド自在に連繋した爪体とから成り、収納ボックスの外側面には係合ピンを突設してある請求項2に記載のジャッキ台装置。
【請求項4】
爪体は、収納ボックスに対して上下方向にスライドされるスライド部と、被揚程物に対して差し入れられる爪部と、油圧ジャッキのピストンロッドに係合するようスライド部の上部に設けた揚程部と、収納ボックスに対して昇降するよう収納ボックスにスライド自在に連繋させるスライド案内手段とを備えて成る請求項1乃至3のいずれかに記載のジャッキ台装置。
【請求項5】
搬送ハンドル具は、搬送ベースと、この搬送ベース底面に付設したキャスタと、ジャッキ台に係合連繋させるよう搬送ベースに設けた連繋手段と、搬送ベースに揺動自在に支承し、ジャッキ台を載置作業面で移動操作させ、また載置作業面から浮かせる移動ハンドルとを備えて成る請求項2乃至4のいずれかに記載のジャッキ台装置。
【請求項6】
搬送ベースには、左右で相対峙状にして固定側壁を配置固定し、この固定側壁に連繋手段を設け、移動ハンドルを揺動自在に支承した請求項5に記載のジャッキ台装置。
【請求項7】
連繋手段は、ジャッキ台における収納ボックス外側面に突設した係合ピンを固定側壁前縁に形成した位置決め係合溝と共に上下から挟み込み、係合する係合溝を前縁に形成して、固定側壁面に沿って揺動起伏自在に固定側壁に支承される左右の係合板と、この左右の係合板のいずれか一方に固着した揺動操作ハンドルとを備えて成る請求項5または6に記載のジャッキ台装置。
【請求項8】
移動ハンドルは、固定側壁に揺動自在に支承したハンドル本体の下部にハンドルストッパーを設けて成り、このハンドルストッパーは、固定側壁の後縁位置、上縁位置夫々に形成した係合溝に弾発的に着脱自在に係合する係合体を備えている請求項5乃至7のいずれかに記載のジャッキ台装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−153598(P2007−153598A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354566(P2005−354566)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(391038811)