説明

ジャンクションを使用して生成された多重エマルジョン

本発明は一般に、エマルジョンに関し、より具体的には多重エマルジョンに関する。一態様では、多重エマルジョンは、共通の交差部で出会うマイクロ流体チャネルなどの複数のチャネルを用いて形成させる。いくつかの実施形態では、多重エマルジョンを形成させるために多重のチャネル交差部が必要とされる従来の他の技術のシステムとは異なり、多重エマルジョンを単一の共通の交差部で形成させることができる。例えば、一連の実施形態では、3つ、4つまたはそれ以上のマイクロ流体チャネルを、入口として働く2つまたは3つおよび出口として働く1つで、共通の交差部で交差させることができる。いくつかの実施形態では、第1流体チャネルは相対的に疎水性であってよいが、第2流体チャネルは相対的に親水性である。存在する場合、第3チャネルは、用途に応じて相対的に親水性であっても疎水性であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の財政的支援
本発明の種々の態様を導く研究は、the National Science Foundationの助成金番号DMR0213805、DMR0602684、およびDMR0649865により、少なくとも部分的に後援された。米国政府は本発明における一定の権利を有し得る。
【0002】
関連出願
本出願は、2009年9月2日に出願された米国仮特許出願第61/239,402号(発明の名称「Multiple Emulsions Created Using Junctions」、Weitzら)の利益を主張する。この出願の各々は、本明細書において参照として援用される。
【0003】
発明の分野
本発明は一般にエマルジョン、より具体的には多重エマルジョンに関する。
【背景技術】
【0004】
背景
エマルジョンは、第1流体が、一般にその第1流体と非混和性である第2流体中に分散されている場合に存在する流体状態である。一般的なエマルジョンの例は、水中油型および油中水型のエマルジョンである。多重エマルジョンは、3つ以上の流体、または典型的な二流体エマルジョンより複雑な様式で配置された2つ以上の流体によって形成されるエマルジョンである。例えば、多重エマルジョンは、油中水中油型(「o/w/o型」)であっても水中油中水型(「w/o/w型」)であってもよい。薬剤送達、塗料、インクおよびコーティング、食品および飲料、化学的分離ならびに健康用品および化粧品などの分野における最近の潜在的な用途のため、多重エマルジョンは特に興味のあるものである。
【0005】
一般に、別の液滴の内部の液滴の多重エマルジョンは、せん断力をかけるか、または乳化過程で形成される液滴のサイズを小さくするための混合による乳化などの二段階乳化法を用いて作製される。例えば多孔質ガラス膜を用いた膜乳化法などの他の方法も、水中油中水型エマルジョンを生成するために用いられている。マイクロ流体法も、2つ以上の段階を含む手順を用いて、液滴の内部に液滴を生成するために用いられている。例えば、2004年10月28日に特許文献1として公開のLinkらによる「Formation and Control of Fluidic Species」という表題の2004年4月9日出願の国際特許出願番号PCT/US2004/010903;または2004年1月8日に特許文献2として公開のStoneらによる「Method and Apparatus for Fluid Dispersion」という表題の2003年6月30日出願の国際特許出願番号PCT/US03/20542を参照されたい。これらのそれぞれを参照により本明細書に組み込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/091763号
【特許文献2】国際公開第2004/002627号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要旨
本発明は一般に、エマルジョン、より具体的には多重エマルジョンに関する。本発明の主題は、いくつかの場合、相互に関係のある生成物、特定の課題に対する代替溶液、および/または1つもしくは複数のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明はデバイスを対象とする。一連の実施形態によれば、そのデバイスは、共通の交差部で交差する少なくとも第1、第2、第3および第4流体チャネルを含む。いくつかの場合、その第1流体チャネルは相対的に疎水性であり、第2流体チャネルは相対的に親水性であり、第4流体チャネルは、相対的に親水性である少なくとも1つの部分および相対的に親水性である少なくとも1つの部分を含む。
【0009】
他の一連の実施形態では、そのデバイスは、それぞれ共通の交差部で交差する少なくとも第1、第2および第3流体チャネルを含む。いくつかの場合、チャネルの少なくとも1つは、相対的に親水性である少なくとも1つの部分および相対的に親水性である少なくとも1つの部分を含む。
【0010】
さらに他の一連の実施形態では、そのデバイスは、それぞれ共通の交差部で交差する少なくとも第1、第2および第3流体チャネルの配置を含む。一実施形態では、その配置は、流体チャネルの少なくとも1つを含む親水性部分および流体チャネルの少なくとも1つを含む疎水性部分を含む。
【0011】
他の態様では、本発明は一般に方法を対象とする。一連の実施形態によれば、その方法は、第1、第2および第3流体を、共通の交差部の方へその交差部に近接して流し、その第1流体が第2流体を取り囲み、その第2流体が第3流体を取り囲んで多重エマルジョンを形成させるようにする動作を含む。いくつかの場合、その第1流体および第2流体は相対的に非混和性であり、一実施形態では、第2流体および第3流体は相対的に非混和性である。
【0012】
他の態様では、本発明は、本明細書で説明する実施形態の1つまたは複数、例えば多重エマルジョンを作製する方法を対象とする。他の態様では、本発明は、本明細書で説明する実施形態の1つまたは複数、例えば多重エマルジョンを使用する方法を対象とする。
【0013】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付の図面と合わせて考慮すれば、本発明の様々な非限定的実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになろう。本明細書と、参照により組み込まれた文献とが相反する、および/または一致しない開示を含む場合、本明細書が優先されるものとする。参照により組み込まれた2つ以上の文献が互いに相反する、および/または一致しない開示を含む場合、より遅い発効日を有する文献が優先されるものとする。
【0014】
本発明の非限定的実施形態を、略図であり、縮尺通りに描かれていない添付の図面を例として参照して説明することとする。図面において、例示されたそれぞれの同一またはほぼ同一のコンポーネントは、一般に単一の数字で表される。明確にする目的で、当業者が本発明を理解するのに例示が必要でないところでは、すべてのコンポーネントがすべての図において標識付けされているわけではなく、また、本発明のそれぞれ実施形態のすべてのコンポーネントが示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるデバイスの概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態のデバイスの顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の実施形態によって生成された多重エマルジョンの顕微鏡写真である。
【図4】図4は、本発明のさらに他の実施形態によるデバイスの概略図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施形態によるデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本発明は一般に、エマルジョンに関し、より具体的には多重エマルジョンに関する。一態様では、多重エマルジョンは、共通の交差部で出会うマイクロ流体チャネルなどの複数のチャネルを用いて形成される。いくつかの実施形態では、多重エマルジョンを生成させるために多重のチャネル交差部が必要とされる従来の他の技術のシステムとは異なり、多重エマルジョンを単一の共通の交差部で生成させることができる。例えば、一連の実施形態では、3つ、4つまたはそれ以上のマイクロ流体チャネルを、入口として働く2つまたは3つおよび出口として働く1つを有する共通の交差部で交差させることができる。いくつかの実施形態では、第1流体チャネルは相対的に疎水性であり、一方第2流体チャネルは相対的に親水性である。存在する場合、第3チャネルは、用途に応じて相対的に親水性であっても疎水性であってもよい。出口チャネルは疎水性であっても親水性であってもよく、また、相対的に親水性の少なくとも1つの部分および相対的に親水性の少なくとも1つの部分を含むこともできる。チャネルの親水性および疎水性部分を通る流体の流れを制御することによって、多重エマルジョンを、共通の交差部に入る流体間の交差により、共通の交差部に近接して形成させることができる。他の実施形態では、異なるパターンの親水性または疎水性チャネルを使用することができる。本発明の他の態様は一般に、そうしたシステム、そうしたシステムを含むキット、そうしたシステムを用いて生成されたエマルジョンなどを作製および使用する方法を対象とする。
【0017】
したがって、特定の実施形態では、本発明は一般に、多重エマルジョンを含むエマルジョン、およびそうしたエマルジョンを作製するための方法および装置に関する。本明細書で用いる「多重エマルジョン」は、その中に1つまたは複数のより小さい液滴を含むより大きな液滴を表す。二重エマルジョンでは、より大きな液滴は、次に、より小さい液滴内の流体と同じであっても異なっていてもよい別の流体内に含まれ得る。特定の実施形態では、多重エマルジョン内でのより大きな度合いのネスティングが可能である。例えば、エマルジョンは、その中により小さい液滴を含む液滴を含むことができ、そのより小さい液滴の少なくとも一部はさらに小さい液滴をその中に含むことができる等である。多重エマルジョンは、薬剤、細胞、化学物質などの種を封入するのに有用であり得る。以下で説明するように、特定の実施形態において、多重エマルジョンをほぼ正確な再現性で形成させることができる。
【0018】
エマルジョンまたは多重エマルジョンが有用であることが分かり得る分野には、例えば、食品、飲料、健康用品および化粧品、塗料およびコーティングならびに薬物および薬物送達が含まれる。例えば、正確な量の薬物、医薬または他の剤をエマルジョン中に含めることができ、また、いくつかの場合、細胞を液滴中に含めることができ、その細胞を貯蔵および/または送達することができる。貯蔵および/または送達することができる他の種には、例えば、siRNA、RNAiおよびDNAなどの核酸、タンパク質、ペプチドまたは酵素などの生化学的種が含まれる。本発明のエマルジョン中に取り込むことができる他の種には、これらに限定されないが、ナノ粒子、量子ドット、香料、タンパク質、インジケーター、色素、蛍光種、化学物質、薬物などが含まれる。特定の場合では、エマルジョンを、化学反応を制御するため、またはインビトロでの転写および翻訳のため例えば指向性進化技術のためなどの反応容器として働くこともできる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する方法およびデバイスを用いて、一貫性のある液滴のサイズおよび/または数を有するエマルジョンを生成することができ、そして/あるいは、外部液滴のサイズおよび/または数と内部液滴のそれとの一貫性のある比(または他のそうした比)を有するエマルジョンを、多重エマルジョンを含む場合に生成することができる。例えば、いくつかの場合、予測可能なサイズの外部液滴内の単一の液滴を用いて、特定量の薬物を提供することができる。さらに、化合物または薬物の組合せを、液滴中に貯蔵、輸送または送達することができる。例えば、液滴が親水性部分と疎水性部分の両方を含むことができるので、疎水性および親水性の種を、単一の多重エマルジョン液滴中に送達することができる。これらの部分のそれぞれの量および濃度は、多重エマルジョン液滴中に2つ以上の種の予測可能で一貫性のある比を提供できる本発明の特定の実施形態にしたがって一貫して制御することができる。
【0020】
以下の文献、すなわち:2008年10月9日にWO2008/121342として公開のChuらによる「Emulsions and Techniques for Formation」という表題の2008年3月28日出願の国際特許出願番号PCT/US2008/004097;2006年9月14日にWO2006/096571として公開のWeitzらによる「Method and Apparatus for Forming Multiple Emulsions」という表題の2006年3月3日出願の国際特許出願番号PCT/US2006/007772およびWeitzらによる「Controlled Creation of Emulsions, Including Multiple Emulsions」という表題の2009年3月13日出願の米国仮出願番号第61/160,020号をそれぞれ参照により本明細書に組み込む。Weitzらによる「Multiple Emulsions Created Using Jetting and Other Techniques」という表題の2009年9月2日出願の米国仮出願番号第61/239,405号;Weitzらによる「Multiple Emulsions Created Using Jetting and Other Techniques」という表題の2010年6月9日出願の米国仮出願番号第61/353,093号およびWeitzらによる「Multiple Emulsions Created Using Junctions」という表題の2009年9月2日出願の米国仮出願番号第61/239,402号もやはり参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
本発明の一態様では、共通の交差部で交差する複数のチャネルを用いて多重エマルジョンを生成させる。チャネルの1つまたは複数はマイクロ流体チャネルであってよい。本明細書で論じるように、多重エマルジョンは二重エマルジョン、三重エマルジョン、四重エマルジョン等であってよい。例えば、二重エマルジョンは共通の交差部で交差する3つの流体チャネルを用いて形成させることができ、三重エマルジョンは共通の交差部で交差する4つの流体チャネルを用いて形成させることができ、四重エマルジョンは共通の交差部で交差する5つの流体チャネルを用いて形成させる等である。チャネルはすべて同一平面上にある、すなわち共通平面内で交差するか、またはチャネルの1つもしくは複数は他の非平面方向で共通の交差部に接近してよい。共通の交差部において、チャネルは対称的に分配されていても(例えば、4つのチャネルについて直角で、5つのチャネルについて72°で、6つのチャネルについて60°等で)、またいくつかの場合非相称的に分配されていてもよい。
【0022】
共通の交差部において、チャネルは一緒になってそれらのチャネルの中心軸が共通ポイントですべて交差するようにできるが、必ずしもそうである必要はない。一実施形態では、例えば共通の交差部で、チャネルの1つまたは複数が他のチャネルに対してずれていてよい。しかし、成長している多重エマルジョンに次の液滴ネスティングが加えられる前に本質的にエマルジョン液滴が完全に形成されている従来技術のシステムとは異なり、一般に、共通の交差部でのチャネルは、多重エマルジョン液滴の生成が種々のチャネル間の流体相互作用に起因して起こるように配置される。
【0023】
一連の実施形態では、入口チャネルは、異なる親水性(または疎水性)を有することができる。表面の親水性は、当業者に公知の技術、例えば水を用いた接触角測定法などを用いて判定することができる。例えば、親水性表面は水が約60°未満の接触角を形成するものであってよく、一方、疎水性表面は水が約60°を超える接触角を形成するものであってよい。いくつかの場合、チャネルの親水性は互いに対して規定される。例えば、第1チャネルは第2チャネルに対して相対的に疎水性であってよく、次いで第2チャネルは第1チャネルに対して相対的に親水性であってよい。相対的親水性は、適切な任意の技術を用いて、例えば水接触角を互いに比較することによって判定することができる。表面がより親水性になればなるほど、より小さい水接触角測定値を有する表面となる。
【0024】
代替の非限定的な例として、一連の実施形態では、デバイスは共通の交差部で交差する少なくとも第1、第2、第3および第4流体チャネルを含むことができる。ここで、図1で例示した例を参照すると、デバイス10において、チャネルは第1流体チャネル11が相対的に疎水性であり、第2および第3流体チャネル12および13が相対的に親水性であるように構成されている。第4流体チャネル14は、相対的に親水性の少なくとも1つの部分および相対的に親水性の少なくとも1つの部分を有することができる。いくつかの場合、これらの部分は入口チャネルにおいても同じ親水性または疎水性を有することができる。例えば図1では、領域25はデバイス10内の相対的に親水性の領域に相当し、一方、領域20はデバイス内の相対的に疎水性の領域に相当する。
【0025】
図1において、第1流体チャネル11は第2流体チャネル12に対してほぼ直角方向に共通の交差部に入り、この第2流体チャネル12は第3流体チャネル13に対してほぼ直角方向に共通の交差部に入り、順に、この第3流体チャネル13は第4流体チャネル14(これもやはり第1チャネル11に対して実質的に直角方向である)に対してほぼ直角方向であるように示されている。しかし、本発明の他の実施形態において他の配置も可能であることに留意すべきである。例えば、共通の交差部で交差する少なくとも第1、第2、第3および第4流体チャネルの1つまたは複数を、実質的に直角でない角度で出会わせることができる。他の実施形態では、4つ未満のチャネルでも4つより多くのチャネルでも使用することができる。
【0026】
図1では、第4チャネルの疎水性が交差部から遠ざかる方向で増大する実施形態が例示されている。ここに示されているように、具体的には、疎水性である第4チャネルの相当部分は共通の交差部から遠ざかる方向で増大する。そうした系では、油/水/油型二重エマルジョンを形成させるために、相対的に疎水性の流体(例えば、油)を第1チャネル11を通して流し、相対的に親水性の流体(例えば、水または水溶液)を第2チャネル12を通して流し、相対的に疎水性の流体(例えば、第1チャネルの油と同じであっても異なっていてもよい油)を第3チャネル13を通して流す。共通の交差部を通って第4チャネルに入ると、第1チャネルの相対的に疎水性の流体はチャネルの疎水性の領域と接触したまま概ね残留するが、第2チャネル中の相対的に親水性の流体は親水性の領域と接触したまま概ね残留する。しかし、第3チャネル中の相対的に疎水性の流体は、共通の交差部に入ると相対的に親水性の流体によって捕捉され、第1チャネル中の流体と物理的に接触するのを阻害される。したがって、流体が共通の交差部を出ると、第3チャネルからの流体は、外部液滴(相対的に親水性の流体)で取り囲まれた内部液滴を形成し、次いでこれは、搬送流体(第1チャネルからの相対的に疎水性の流体)で取り囲まれ、それによって二重エマルジョンが形成される。
【0027】
上記したように、このプロセスは例として示すに過ぎない。他の実施形態では、デバイスにおいて親水性の他のパターンが存在することができる。例えば、一実施形態では、図1を参照して考察した疎水性および親水性のパターンを逆にすることができる。これは、水/油/水型二重エマルジョン(すなわち、領域11が相対的に親水性であり、一方、領域12が相対的に疎水性であってよい)を生成させるのに有用であり得る。他の実施形態では、第3流体チャネルが相対的に疎水性であり、共通の交差部および/または第4流体チャネルで疎水性部分が終わってもよい。図4において、非限定的な例を、相対的に親水性の領域25ならびに相対的に疎水性の領域20および30で例示する。この図では、相対的に親水性の領域25は共通の交差部内で終わる。さらに他の実施形態では、入口または出口チャネルの1つまたは複数は、第1の相対的に親水性部分および第2の相対的に疎水性部分を有していてよい。いくつかの場合、共通のチャネルに入る流体に応じて、2つ以上のレベルの親水性がチャネルの1つまたは複数に存在してよい。
【0028】
さらに、本発明の他の実施形態では、このシステムを5つ、6つまたはそれより多くのチャネルに拡張することができ、これは、三重またはより高次のエマルジョンの生成に有用であり得る。例えば、三重エマルジョンは共通の交差部で交差する4つの流体チャネルを用いて形成させることができ、四重エマルジョンは共通の交差部で交差する5つの流体チャネルを用いて形成させることができる等である。いくつかの場合、親水性および/または疎水性コーティングの交互のアーク(alternating arcs)を用いて、多重エマルジョンを規定する様々な液滴を生成させることができる。他の実施形態では、3つのみのチャネルを使用することができる。
【0029】
したがって、本発明の一実施形態では、二重エマルジョン、すなわち、第1内部流体が、第2外部流体で取り囲まれ、これが次いで搬送流体で取り囲まれた、第1内部流体を含むエマルジョンを生成させる。いくつかの場合、その搬送流体と第1流体は同じであってよい。これらの流体はしばしば、疎水性の差に起因して混和性が変化するものとなる。例えば、内部流体が水溶性であり、外部流体が油溶性であり、搬送流体が水溶性であってよい。この配置はしばしばw/o/w型多重エマルジョン(「水/油/水型」)と称される。他の多重エマルジョンは、油溶性の内部流体、水溶性の外部流体および油溶性の搬送流体を含むことができる。この種の多重エマルジョンはしばしばo/w/o型多重エマルジョン(「油/水/油型」)と称される。上記用語において「油」という用語は単に、当業界で公知であるような、概ねより疎水性であり、水に混和しない流体を指すことに留意すべきである。したがって、いくつかの実施形態ではその油は炭化水素であってよいが、他の実施形態では、その油は他の疎水性流体を含むことができる。水は純粋である必要はなく、それは水溶液、例えば緩衝液、溶解塩を含む溶液などであってもよいことも理解すべきである。
【0030】
より具体的には、本明細書で用いるように、エマルジョンが生成される温度および条件下で、一方が少なくとも10重量%のレベルで他方に溶解しないとき、2つの流体は非混和性である、すなわち互いに混和性でない。例えば、2つの流体を、流体液滴形成のタイムフレーム内で非混和性であるように選択することができる。いくつかの実施形態では、多重エマルジョンを形成させるのに用いる流体は同じであっても異なっていてもよい。例えば、いくつかの場合、2つ以上の流体を用いて多重エマルジョンを生成させることができ、特定の例では、これらの流体の一部またはすべてが非混和性であってよい。いくつかの実施形態では、多重エマルジョンを形成させるのに用いる2つの流体は相溶性であるすなわち混和性であるが、2つの流体の間に含まれる中間の流体は、これらの2つの流体と非相溶性である、すなわち非混和性である。しかし、他の実施形態では、3つすべての流体は互いに非混和性であり得、特定の場合では、その流体のすべてが必ずしもすべて水溶性でなければならないということはない。
【0031】
本発明の他の実施形態では、3つ以上の流体を使用することができる。したがって本発明の特定の実施形態は一般に、いくつかの場合、さらにその液滴の中により小さい液滴を含む等が可能である1つまたは複数のより小さい液滴をその中に含むより大きい流体液滴を含む多重エマルジョンを対象とする。任意の数のネスト化した流体を生成することができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、追加の第3、第4、第5、第6等の流体を加えて、液滴内にますます複雑化した液滴を生成することができる。これらの流体のすべてが必ずしも区別できる必要はないことを理解すべきである。例えば、2つの油相が同じ組成を有する、および/または2つの水相が同じ組成を有する油/水/油/水または水/油/水/油を含む四重エマルジョンを調製することができる。
【0032】
一連の実施形態では、単分散エマルジョンを生成することができる。流体液滴の形状および/またはサイズは、液滴の平均径または他の特徴的寸法を測定することによって決定することができる。複数または一連の液滴の「平均径」は、液滴のそれぞれの平均径の算術平均である。当業者は、例えばレーザー光散乱法、顕微鏡検査法または他の公知の技術を用いて複数または一連の液滴の平均径(または他の特徴的寸法)を決定できよう。非球形液滴状の単一液滴の平均径は、その非球形液滴と同じ体積を有する完全な球の直径である。液滴の(および/または複数または一連の液滴の)平均径は、いくつかの場合、例えば約1mm未満、約500μm未満、約200μm未満、約100μm未満、約75μm未満、約50μm未満、約25μm未満、約10μm未満または約5μm未満であってよい。平均径は、特定の場合、少なくとも約1μm、少なくとも約2μm、少なくとも約3μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約15μmまたは少なくとも約20μmであってもよい。
【0033】
本明細書で用いる「決定する(determining)」という用語は一般に、ある種を、例えば定量的または定性的に分析または測定すること、および/またはその種の存在または非存在を検出することを指す。「決定する」という用語は、2つ以上の種の間の相互作用を、例えば定量的もしくは定性的に、またはその相互作用の存在もしくは非存在を検出することによって分析または測定することも指す。適切な技術の例には、これらに限定されないが、赤外分光法、吸収分光法、蛍光分光法、UV/可視分光法、FTIR分光法(「フーリエ変換赤外分光法」)もしくはラマン分光法などの分光法;重量法;偏光解析法;圧電測定法;免疫学的検定法;電気化学的測定法;光学密度測定法などの光学測定法;円偏光二色性分析法;準電気的光散乱法などの光散乱測定法;偏光分析法;屈折率測定法または濁度測定法が含まれる。
【0034】
様々な実施形態において、液滴は、具体的な用途に応じて同じ形状および/またはサイズ(すなわち、「単分散の」)のものであっても異なる形状および/またはサイズであってもよい。本明細書で用いる「流体」という用語は一般に、流動し、その容器の輪郭に適合する傾向のある物質、すなわち液体、ガス、粘弾性流体等を指す。一般に、流体は、せん断応力をかけたとき、静的せん断応力に耐えることができない物質であり、その流体は、持続的な永久歪を受ける。流体は、流動を許容する適切な任意の粘度を有することができる。2つ以上の流体が存在する場合、当業者は流体間の関係を考慮して、各流体を本質的に任意の流体(液体、ガスなど)の中から独立に選択することができる。いくつかの場合、その液滴を搬送流体、例えば液体中に含めることができる。しかし、本発明は多重エマルジョンのみに限定されないことに留意すべきである。いくつかの実施形態では、単一のエマルジョンも生成することができる。
【0035】
本明細書で用いる「液滴」は、第2流体で取り囲まれた第1流体の孤立した部分である。液滴は必ずしも球形ではなく、例えば外部環境に応じて他の形状も想定できることに留意すべきである。一実施形態では、その液滴は、その中に液滴が位置する流体の流れと直角方向のチャネルの最大寸法と実質的に等しい最小断面寸法を有する。いくつかの場合、液滴は直径の均一な分布を有する、すなわち液滴は、液滴の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%または約0.01%以下が、液滴の平均径の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%または約0.01%より大きい平均径を有するような直径の分布を有することができ、したがって、出口チャネル内の液滴は同じかまたは類似した直径の分布を有することができる。そうした均一な直径の分布を生じるための手法もやはり、参照により本明細書に組み込まれている2004年10月28日にWO2004/091763として公開のLinkらによる「Formation and Control of Fluidic Species」という表題の2004年4月9日出願の国際特許出願番号PCT/US2004/010903および本明細書で説明するような他の文献に開示されている。
【0036】
液滴の生成速度は、多くの条件下で約100Hz〜5,000Hzの間で変化し得る液滴形成周波数で判定することができる。いくつかの場合、液滴の生成速度は、少なくとも約200Hz、少なくとも約300Hz、少なくとも約500Hz、少なくとも約750Hz、少なくとも約1,000Hz、少なくとも約2,000Hz、少なくとも約3,000Hz、少なくとも約4,000Hzまたは少なくとも約5,000Hz等であってよい。さらに、大量の液滴の生成は、いくつかの場合、複数のデバイスを並行使用することによって容易にすることができる。いくつかの場合、比較的数多くのデバイスを並行して使用することができる。例えば少なくとも約10個のデバイス、少なくとも約30個のデバイス、少なくとも約50個のデバイス、少なくとも約75個のデバイス、少なくとも約100個のデバイス、少なくとも約200個のデバイス、少なくとも約300個のデバイス、少なくとも約500個のデバイス、少なくとも約750個のデバイスまたは少なくとも約1,000個もしくはそれ以上のデバイスを並行して動作させることができる。デバイスは異なるチャネル、オリフィス、マイクロ流体等を含むことができる。いくつかの場合、そうしたデバイスの配列は、デバイスを水平および/または垂直に重ねることによって形成することができる。デバイスは共通的に制御するかまたは別個に制御することができ、用途に応じて、共通的なまたは別個の流体の供給源を備えることができる。そうしたシステムの例は、Romanowskyらによる「Scale−up of Microfluidic Devices」という表題の2009年3月13日出願の米国仮出願番号第61/160,184号にも記載されている。これを参照により本明細書に組み込む。
【0037】
流体は、その周囲に対して内部液滴が離散した形で留まるように選択することができる。非限定的な例として、第2流体液滴を含む第1流体液滴を含む搬送流体を有する流体液滴を生成することができる。いくつかの場合、外部流体と第2流体は同じかまたは実質的に同じであってよい。しかし、他の場合、外部流体、第1流体および第2流体を、本質的に互いに非混和性であるように選択することができる。本質的に互いに非混和性の3つの流体を含む系の非限定的な1つの例は、シリコーン油、鉱油および水溶液(すなわち、水あるいはその中に溶解および/または懸濁されている1つもしくは複数の他の種を含む水、例えば塩溶液、生理食塩水、粒子もしくは細胞を含む水の懸濁液など)である。系の他の例は、シリコーン油、フルオロカーボン油および水溶液である。系のさらに他の例は、炭化水素油(例えば、ヘキサデカン)、フルオロカーボン油および水溶液である。適切なフルオロカーボン油の非限定的な例にはHEF7500、オクタデカフルオロデカヒドロナフタレン:
【0038】
【化1】

または1−(1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ウンデカフルオロシクロヘキシル)エタノール:
【0039】
【化2】

が含まれる。
【0040】
本明細書での説明において、多重エマルジョンはしばしば3相系、例えば、外部流体、第1流体および第2流体を有する系として説明される。しかし、これは例に過ぎず、他の系では、多重エマルジョン液滴内に追加の流体が存在してもよいことに留意すべきである。したがって、種々の流体の説明は、プレゼンテーションを容易にするためであり、本明細書での説明は、追加の流体を含む系、例えば四重エマルジョン、五重エマルジョン、六重エマルジョン、七重エマルジョン等に容易に拡張できることを理解されたい。
【0041】
流体粘度は液滴形成に影響を及ぼすので、いくつかの場合、粘度調節を助けることができる希釈剤などの成分を加えるか除くことによって、流体液滴中の流体のいずれかの粘度を調節することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1流体の粘度と第2流体の粘度は等しいかまたは実質的に等しい。これは、例えば、第1および第2流体の中での液滴形成の周波数または速度を同等にするのに寄与し得る。他の実施形態では、第1流体の粘度は、第2流体の粘度と等しいかまたは実質的に等しくてよい、および/または内部流体の粘度は、第2流体の粘度と等しいかまたは実質的に等しくてよい。さらに他の実施形態では、外部流体は、第1流体とは実質的に異なった粘度を示すことができる。粘度の実質的な差は、2つの流体間の粘度の差を統計的に有意な根拠に基づいて測定できることを意味する。液滴内での流体粘度の他の分布も可能である。例えば、第2流体は、第1流体の粘度より高いかまたは低い粘度を有することができ(すなわち、2つの流体の粘度は実質的に異なっていてよい)、第1流体は、外部流体の粘度より高いかまたは低い粘度を有することができる等である。例えば4つ、5つ、6つまたはそれ以上の流体を含むより高次の液滴では、粘度を、具体的な用途に応じて要望通り独立して選択することもできることに留意すべきである。
【0042】
したがって、本発明の特定の実施形態では、流体液滴(またはその部分)は、追加の実体または種、例えば他の化学的、生化学的または生物学的実体(例えば、流体中に溶解または懸濁されている)、細胞、粒子、ガス、分子、薬剤、薬物、DNA、RNA、タンパク質、香料、反応剤、殺生物剤、殺菌剤、防腐剤、化学物質などを含むことができる。例えば、細胞を流体エマルジョン中に懸濁させることができる。したがって、その種は、エマルジョンの任意の部分に含めることができる任意の物質であってよい。その種は、例えば内部液滴内、外部液滴内等の任意の流体液滴中に存在することができる。例えば、1つまたは複数の細胞および/または1つまたは複数の細胞種類を液滴中に含めることができる。
【0043】
論じたように、本発明の様々な態様では、多重エマルジョンを、2つ、3つまたはそれ以上の流体を様々な導管またはチャネルに通して流すことによって形成させる。チャネルの1つまたは複数(またはすべて)がマイクロ流体であってもよい。本明細書で用いる「マイクロ流体」は、約1ミリメートル(mm)未満の断面寸法、および、いくつかの場合少なくとも3:1の長さと最大断面寸法の比を有する少なくとも1つの流体チャネルを含むデバイス、装置またはシステムを指す。そのシステムの1つまたは複数のチャネルは毛細管であってよい。いくつかの場合、複数のチャネルが提供される。チャネルは、マイクロ流体サイズの範囲であってよく、例えば、約1mm未満、約300μm未満、約100μm未満、約30μm未満、約10μm未満、約3μm未満または約1μm未満の平均内径または内径を有する部分を有し得、それによって同程度の平均径を有する液滴を提供することができる。チャネルの1つまたは複数は、断面において、同じポイントで、その幅と実質的に同じ高さを有することができる(しかし必ずというわけではない)。断面において、チャネルは、長方形であっても円形または楕円形などのように実質的に非長方形であってもよい。
【0044】
本明細書で用いる「チャネル」は、流体の流れを少なくとも部分的に導く物品(基材)上またはその中のフィーチャを意味する。そのチャネルは任意の断面形状(円形、卵形、三角形、不規則な形、正方形もしくは長方形など)を有することができ、覆われていても覆われていなくてもよい。それが完全に覆われていている複数の実施形態では、チャネルの少なくとも1つの部分は完全に取り囲まれた断面をもつことができるか、またはそのチャネル全体は、その入口および/または出口を除いてその長さ全体に沿って完全に取り囲まれていてよい。チャネルは、少なくとも2:1、より一般的には少なくとも3:1、5:1、10:1、15:1、20:1またはそれ以上の縦横比(長さ対平均断面寸法)を有することもできる。開放チャネルは一般に、流体輸送の制御を容易にする特徴、例えば構造的特徴(長いギザギザ(elongated indentation))および/または物理的または化学的性質(疎水性対親水性)または流体に対して力(例えば、封じ込め力(containing force))を及ぼすことができる他の特徴を含む。チャネル内の流体は、そのチャネルを部分的にまたは完全に満たすことができる。開放チャネルを使用するいくつかの場合、流体を、例えば表面張力(すなわち、凹形または凸形のメニスカス)を用いてチャネル内に保持することができる。
【0045】
チャネルは、例えば流体の流れに対して約5mmもしくは2mm未満または約1mm未満あるいは約500μm未満、約200μm未満、約100μm未満、約60μm未満、約50μm未満、約40μm未満、約30μm未満、約25μm未満、約10μm未満、約3μm未満、約1μm未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満または約10nm未満の垂直最大寸法を有する任意のサイズのものであってよい。いくつかの場合、流体が、物品または基材を通して自由に流れることができるようにチャネルの寸法を選択することができる。チャネルの寸法は、例えば、チャネルにおいて流体の特定の体積流速または線流速が可能になるように選択することもできる。もちろん、チャネルの数およびチャネルの形状は、当業者に公知の任意の方法で変えることができる。いくつかの場合、2つ以上のチャネルまたは毛細管を用いることができる。例えば、それらが、互いに内側に位置する、互いに隣接して位置する、互いに交差するように位置する等の場合、2つ以上のチャネルを用いることができる。
【0046】
論じたように、本明細書で説明するものなどの多重エマルジョンを、種々の態様にしたがって、多重エマルジョンを形成させるために用いられるチャネルの親水性および/または疎水性を制御することによって調製することができる。一連の実施形態では、チャネルの親水性および/または疎水性は、チャネルの少なくとも一部にゾル−ゲルをコーティングすることによって制御することができる。例えば、一実施形態では、相対的に親水性の部分および相対的疎水性の部分は、それらに相対的疎水性を付与するゾル−ゲルをチャネル表面上に塗布することによって生成することができる。ゾル−ゲルは、光開始剤などの開始剤を含むことができる。部分(例えば、チャネルおよび/またはチャネルの部分)は、親水性部分(例えば、アクリル酸)を含む溶液でチャネルを満たし、その部分を開始剤に適したトリガー(例えば、光開始剤の場合、光または紫外線)に曝すことによって、相対的親水性を付与することができる。例えば、その部分は、反応が望ましくない部分を遮へいするためのマスキングを用いることによって、反応が望ましい部分に光または熱の集束ビームを当てることなどによって曝露させることができる。曝露された部分では開始剤は親水性部分のゾル−ゲルとの反応(例えば、重合)を引き起こし、それによって、これらの部分に相対的親水性を付与することができる(例えば、上記の例におけるゾル−ゲルコーティングの表面にポリ(アクリル酸)がグラフト化されるようにすることによって)。
【0047】
当業者に公知であるように、ゾル−ゲルはゾルまたはゲル状態であることができる材料であり、一般にポリマーを含む。ゲル状態は通常液相を含むポリマーネットワークを含み、例えば乾燥または加熱技術でゾルから溶媒を除去することによってゾル状態から生成することができる。いくつかの場合、以下で論じるように、例えばゾル内でいくらか重合を起こさせることによって、使用前にゾルを前処理することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ゾル−ゲルコーティングは、特定の特性を有する、例えば特定の疎水性を有するように選択することができる。コーティングの特性は、ゾル−ゲルの組成を制御することによって(例えば、ゾル−ゲル内で特定の材料またはポリマーを用いることによって)、および/またはそのコーティングを改変する、例えば、以下で論じるように、そのコーティングに重合反応を施してあるポリマーをゾル−ゲルコーティングに反応させることによって制御することができる。
【0049】
例えば、ゾル−ゲルコーティングは、ゾル−ゲルの中に疎水性ポリマーを取り込むことによってより疎水性にすることができる。例えば、ゾル−ゲルは、1つまたは複数のシラン、例えばヘプタデカフルオロシランなどのフルオロシラン(すなわち、少なくとも1個のフッ素原子を含むシラン)、またはメチルトリエトキシシラン(MTES)、または1つもしくは複数の脂質鎖を含むシラン、例えばオクタデシルシランまたは他のCH(CH−シラン(nは適切な任意の整数であってよい)などの他のシランを含むことができる。例えば、nは1、5または10より大きく、約20、25または30より小さくてよい。シランは、アルコキシド基などの他の基、例えば、オクタデシルトリメトキシシランも任意選択で含むことができる。一般に、大部分のシランはゾル−ゲルで用いることができ、具体的なシランは疎水性などの所望の特性をもとにして選択される。本発明の他の実施形態において、所望の相対的疎水性または親水性などの因子に応じて、他のシラン(例えば、より短いまたはより長い鎖長を有する)を選択することもできる。いくつかの場合、シランは、ゾル−ゲルをより親水性にする他の基、例えばアミンなどの基を含むことができる。非限定的な例には、ジアミンシラン、トリアミンシランまたはN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンシランが含まれる。シランを反応させてゾル−ゲル内でオリゴマーまたはポリマーを形成させることができ、重合度(例えば、オリゴマーまたはポリマーの長さ)は、反応条件、例えば温度、存在する酸の量などを制御することによって制御することができる。いくつかの場合、2つ以上のシランがゾル−ゲル中に存在してよい。例えば、ゾル−ゲルは、得られるゾル−ゲルがより高い疎水性を示すようにするフルオロシラン、およびポリマーの生成を容易にする他のシラン(または他の化合物)を含むことができる。いくつかの場合、重合を容易にするためのSiO化合物を生成できる材料、例えばTEOS(オルトケイ酸テトラエチル)が存在していてよい。
【0050】
ゾル−ゲルは、シランだけを含むことに限定されず、シランに加えてまたはそれに代わって他の材料が存在していてよいことを理解すべきである。例えば、コーティングは、SiO、バナジア(V)、チタニア(TiO)および/またはアルミナ(Al)などの1つまたは複数の金属酸化物を含むことができる。
【0051】
いくつかの場合、マイクロ流体チャネルは、ゾル−ゲルを受け入れるのに適した材料、例えばガラス、金属酸化物またはポリジメチルシロキサン(PDMS)および他のシロキサンポリマーなどのポリマーで存在する。例えば、いくつかの場合、マイクロ流体チャネルは、その中にケイ素原子を含むものであってよく、特定の例では、マイクロ流体チャネルを、シラノール(Si−OH)基を含むように選択することができ、あるいは改変してシラノール基を有するようにすることができる。例えば、マイクロ流体チャネルを、酸素プラズマ、酸化剤または強酸に曝してマイクロ流体チャネルにシラノール基の形成をもたらすようにすることができる。
【0052】
ゾル−ゲルはマイクロ流体チャネル上のコーティングとして存在することができ、そのコーティングは任意の適切な厚さを有することができる。例えば、そのコーティングは、約100μm以下、約30μm以下、約10μm以下、約3μm以下または約1μm以下の厚さを有することができる。いくつかの場合、例えば、より高い耐薬品性が望ましい用途では、より厚いコーティングが望ましい。しかし、他の用途、例えば比較的小さいマイクロ流体チャネル内ではより厚いコーティングが望ましい。
【0053】
一連の実施形態では、ゾル−ゲルコーティングの疎水性を、例えば、ゾル−ゲルコーティングの第1部分が相対的に疎水性になり、ゾル−ゲルコーティングの第2部分が相対的に親水性になるように制御することができる。コーティングの疎水性は、当業者に公知の技術を用いて、例えば本明細書で論じるものなどの接触角測定法を用いて決定することができる。例えば、いくつかの場合、マイクロ流体チャネルの第1部分は水より有機溶媒に好都合な疎水性を有し、他方、第2部分は有機溶媒より水に好都合な疎水性を有することができる。
【0054】
ゾル−ゲルコーティングの疎水性は、例えば、ゾル−ゲルコーティングの少なくとも一部を重合反応にかけてポリマーをゾル−ゲルコーティングと反応させることによって改変することができる。ゾル−ゲルコーティングと反応させるポリマーは適切な任意のポリマーであってよく、特定の疎水特性をもつように選択することができる。例えば、ポリマーを、マイクロ流体チャネルおよび/またはゾル−ゲルコーティングより疎水性かまたはより親水性になるように選択することができる。例として、使用できる親水性ポリマーはポリ(アクリル酸)である。
【0055】
ポリマーは、ポリマーをモノマー(またはオリゴマー)形態でゾル−ゲルコーティング(例えば、溶液で)に提供して、モノマーとゾル−ゲルの間に重合反応を起こさせることによって、ゾル−ゲルコーティングに付加させることができる。例えば、フリーラジカル重合を用いて、ポリマーのゾル−ゲルコーティングとの結合をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、フリーラジカル重合などの反応は、任意選択で、光に曝してフリーラジカルを生成できる(例えば、分子開裂によって)光開始剤の存在下で、反応物を熱および/または紫外線(UV)などの光に曝露することによって開始させることができる。当業者はそうした多くの光開始剤を認識しているであろう。Irgacur2959(Ciba Specialty Chemicals)または2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン(SIH6200.0、ABCR GmbH & Co.KG)などのその多くは市販されている。
【0056】
光開始剤は、ゾル−ゲルコーティングに加えるポリマーと一緒に含めることができ、またいくつかの場合、光開始剤はゾル−ゲルコーティング中に存在していてもよい。例えば、光開始剤をゾル−ゲルコーティング中に含有させ、光に曝露して活性化させることができる。光開始剤は、ゾル−ゲルコーティングの成分、例えばシランとコンジュゲートまたは結合させることもできる。例として、Irgacur2959などの光開始剤を、ウレタン結合によってシラン−イソシアネートとコンジュゲートさせることができる。そこで、光開始剤の第一アルコールは、ウレタン結合を生成できるイソシアネート基との求核付加に関与することができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態では、ゾル−ゲルコーティングの一部だけをポリマーと反応させることができることに留意すべきである。例えば、モノマーおよび/または光開始剤を、マイクロ流体チャネルの一部だけに曝露させるか、または重合反応をマイクロ流体チャネルの一部だけにおいて開始させることができる。具体的な例として、マイクロ流体チャネルの一部を光に曝露し、他方、例えば、マスクまたはフィルターを用いるかまたは光の集束ビームを用いることによって他の部分を光への曝露から保護することができる。したがって、マイクロ流体チャネルのあらゆるところで重合が起こるわけではないので、マイクロ流体チャネルの異なる部分が異なる疎水性を示すことができる。別の例として、マイクロ流体チャネルを、露出パターンの縮小画像をマイクロ流体チャネル上に投影することによってUV光に曝露することができる。いくつかの場合、投影法によって小さい分解能(例えば、1μmまたはそれ以下)を達成することができる。
【0058】
本発明の他の態様は、そうしたゾル−ゲルを、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部にコーティングするためのシステムおよび方法を対象とする。一連の実施形態では、マイクロ流体チャネルをゾルに曝露し、次いでこれを処理してゾル−ゲルコーティングを形成させる。いくつかの場合、ゾルを前処理して部分重合をもたらすこともできる。余分なゾル−ゲルコーティングは任意選択でマイクロ流体チャネルから取り除くことができる。いくつかの場合、論じたように、例えば、そのコーティングをモノマーおよび/またはオリゴマーを含む溶液に曝露することによってコーティングの一部を処理してその疎水性(または他の特性)を変え、モノマーおよび/またはオリゴマーとそのコーティングの重合が起こるようにすることができる。
【0059】
ゾルを、上記したものを含む光開始剤などの他の化合物も含む溶媒中に含めることができる。いくつかの場合、そのゾルは、1つまたは複数のシラン化合物を含むこともできる。適切な任意の技術を用いて、例えば、熱などの化学的または物理的手法を用いて溶媒を除去することによって、ゾルを処理してゲルを形成させることができる。例えば、ゾルを、溶媒の少なくとも一部を追い出すまたは蒸発させるのに用いることができる、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃または少なくとも約250℃の温度に曝すことができる。具体的な例として、ゾルを、少なくとも約200℃または少なくとも約250℃の温度に達するように設定したホットプレートにかけ、ゾルをホットプレートにかけることによって溶媒の少なくとも一部を追い出すまたは蒸発させるようにすることができる。しかし、いくつかの場合、ゾル−ゲル反応は、熱をかけないで、例えば室温で進行させることもできる。したがって、例えば、ゾルをしばらく(例えば、約1時間、約1日等)を放置する、および/または空気または他のガスをゾル上に通してゾル−ゲル反応を進行させることができる。
【0060】
いくつかの場合、依然として存在するゲル化されていないゾルを、マイクロ流体チャネルから除去することができる。ゲル化されていないゾルを、例えば物理的にマイクロ流体チャネルに圧力をかけるかまたは化合物を添加する等によって能動的に除去するか、または、いくつかの場合、ゲル化されていないゾルを受動的に除去することができる。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル内に存在するゾルを加熱して溶媒を蒸発させ、マイクロ流体チャネル内に気体状態をもたらし、それによってマイクロ流体チャネル内の圧力を上昇させることができる。いくつかの場合、圧力は、ゲル化されていないゾルの少なくとも一部をマイクロ流体チャネルから除去する、すなわち「放出」するのに十分な圧力にすることができる。
【0061】
特定の実施形態では、マイクロ流体チャネルに曝露させる前にゾルを前処理して部分重合を起こさせることができる。例えば、ゾルを、ゾル内で部分重合が起こるように処理することができる。ゾルは、例えばゾルを少なくとも一部のゲル化を起こさせるのに十分な酸または温度に曝露することによって処理できる。いくつかの場合、その温度は、マイクロ流体チャネルに加えられたときゾルが曝露される温度より低くてよい。ゾルの重合がいくらか起こる可能性があるが、例えば温度を下げることによって重合が完了する前に重合を停止させことができる。したがって、ゾル内で、オリゴマーが一部形成される(これは、長さに関して必ずしも十分特性評価されていない)が、完全な重合はまだ起こっていない。次いで部分処理したゾルを、上記で論じたように、マイクロ流体チャネルに加えることができる。
【0062】
特定の実施形態では、コーティングがマイクロ流体チャネルに導入された後に、コーティングの一部を処理してその疎水性(または他の特性)を変えることができる。いくつかの場合、そのコーティングをモノマーおよび/またはオリゴマーを含む溶液に曝露し、次いでこれを、上記で論じたようにして重合してそのコーティングと結合させる。例えば、コーティングの一部を、フリーラジカル重合反応を開始して重合を起こさせるのに用いることができる熱、または紫外線(ultraviolet right)などの光に曝露することができる。任意選択で、光開始剤を、例えばゾル−ゲルコーティング内に含めてこの反応を容易にすることができる。
【0063】
そうしたコーティングおよび他のシステムのさらなる詳細は、Abateらによる「Surfaces, Including Microfluidic Channels, With Controlled Wetting Properties」という表題の2008年3月28日出願の米国仮出願番号第61/040,442号およびAbateらによる「Surfaces, Including Microfluidic Channels, With Controlled Wetting Properties」という表題の2009年2月11日出願の国際特許出願番号PCT/US2009/000850に見ることができる。そのそれぞれを参照により本明細書に組み込む。
【0064】
本発明の特定の態様による様々な材料および方法を用いて、本明細書で説明する多重液滴を生成することができるシステム(上記したものなど)を形成させることができる。いくつかの場合、選択された様々な材料はそれ自体様々な方法に役に立つ。例えば、本発明の様々なコンポーネントは、チャネルをマイクロマシニング、スピンコーティングおよび化学蒸着などの膜蒸着プロセス、レーザー加工、フォトリソグラフィー技術、湿式化学プロセスまたはプラズマプロセスを含むエッチング法などによって形成される固体材料から形成させることができる。例えば、Scientific American、248巻:44〜55頁、1983年(Angellら)を参照されたい。一実施形態では、流体システムの少なくとも一部は、シリコン(silicon)チップにフィーチャをエッチングすることによりシリコンで形成される。シリコンからの本発明の様々な流体システムおよびデバイスの正確で効率的な加工技術は公知である。他の実施形態では、本発明のシステムおよびデバイスの様々なコンポーネントは、例えばポリジメチルシロキサン(「PDMS」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」またはTeflon(登録商標))などの弾性ポリマーなどのポリマーで形成させることができる。
【0065】
異なるコンポーネントを、異なる材料で組み立てることができる。例えば、底壁および側壁を含む底部をシリコンまたはPDMSなどの不透明材料で組み立てることができ、流体プロセスを観察および/または制御するために、頂部を、ガラスまたは透明なポリマーなどの透明または少なくとも部分的に透明な材料で組み立てることができる。ベース支持材料が正確な所望の官能性を有さない内側のチャネル壁と接触する流体に、所望の化学官能基を曝すようにコンポーネントをコーティングすることができる。例えば、コンポーネントを、例示したように、別の材料でコーティングされた内側のチャネル壁で組み立てることができる。本発明のシステムおよびデバイスの様々なコンポーネントを組み立てるために使用する材料、例えば流体チャネルの内壁をコーティングするために使用する材料は、流体システムを通って流れる流体に悪影響を及ぼさない、またはそれによって影響を受けない材料、例えばデバイス内で使用される流体の存在下で化学的に不活性な材料の中から選択することが望ましい。そうしたコーティングの非限定的な例はすでに論じたところである。
【0066】
一実施形態では、本発明の様々なコンポーネントを、ポリマー材料および/または可撓性のある材料および/またはエラストマー材料で組み立て、硬化性流体で好都合に形成させ、成形法(例えば、レプリカ成形法、射出成形法、注型成形法等)による加工を容易にすることができる。硬化性流体は、固化するように誘発させるかまたは自発的に固化させて、流体ネットワークにおいて使用しかつそれを用いて使用することを考慮した、流体を含む、および/または輸送することができる固体にすることができる、本質的に任意の流体であってよい。一実施形態では、硬化性流体は、ポリマー液体または液体ポリマー前駆体(すなわち、「プレポリマー」)を含む。適切なポリマー液体は、例えば、その融点を超えて加熱した熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーまたはそうしたポリマーの混合物を含むことができる。別の例としては、適切なポリマー液体は、適切な溶媒中に、例えば蒸発によって溶媒を除去すると固体ポリマー材料を形成する1つまたは複数のポリマー溶液を含むことができる。例えば溶融状態から固化させるまたは溶媒蒸発によって固化させることができるそうしたポリマー材料は当業者に周知である。その多くがエラストマーである様々なポリマー材料が適しており、それらはまた、モールドマスターの一方または両方がエラストマー材料でできている実施形態のためにモールドまたはモールドマスターを形成させるのにも適している。そうしたポリマーの例の非限定的リストには、シリコーンポリマー、エポキシポリマーおよびアクリレートポリマーの一般部類のポリマーが含まれる。エポキシポリマーは、エポキシ基、1,2−エポキシドまたはオキシランと一般に称される三員環状エーテル基の存在を特徴とする。例えば、芳香族アミン、トリアジンおよび脂環式主鎖をベースとした化合物に加えて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを使用することができる。他の例には周知のNovolacポリマーが含まれる。本発明にしたがって使用するのに適したシリコーンエラストマーの非限定的な例には、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、フェニルクロロシラン等のクロロシランを含む前駆体から形成されるものが含まれる。
【0067】
一連の実施形態においてシリコーンポリマー、例えばシリコーンエラストマーポリジメチルシロキサンが好ましい。PDMSポリマーの非限定的な例には、Dow Chemical Co.、Midland、MIからSylgard、特にSylgard182、Sylgard184およびSylgard186という商標で販売されているものが含まれる。PDMSを含むシリコーンポリマーは、本発明のマイクロ流体構造の加工を容易にするいくつかの有益な特性を有している。例えば、そうした材料は、安価で容易に入手することができ、熱による硬化によってプレポリマー液体から固化させることができる。例えば、PDMSは一般に、プレポリマー液体を、例えば約1時間の曝露時間、例えば約65℃〜約75℃の温度にかけることによって硬化させることができる。また、PDMSなどのシリコーンポリマーは弾性があり、したがって、本発明の特定の実施形態において必要な比較的高い縦横比を有する非常に小さいフィーチャを形成させるのに有用であり得る。可撓性のある(例えば、弾性がある)モールドまたはマスターはこの関連で有利である可能性がある。
【0068】
PDMSなどのシリコーンポリマーから本発明のマイクロ流体構造などの構造を形成させることの1つの利点は、そうしたポリマーを、例えば空気プラズマなどの酸素含有プラズマに曝露させることによって酸化させることができ、その結果、その酸化された構造がその表面に、他の酸化シリコーンポリマー表面または様々な他のポリマーおよび非ポリマー材料の酸化表面と架橋できる化学基を含むことである。したがって、コンポーネントを、加工し次いで酸化し、別個の接着剤または他の密閉手段を必要とすることなく、他のシリコーンポリマー表面または酸化されたシリコーンポリマー表面と反応性のある他の基材の表面に本質的に不可逆的にシールすることができる。大抵の場合、シーリングは、酸化されたシリコーン表面を単に別の表面に接触させることによって、補助的な圧力をかけてシールを形成させる必要なく、完了させることができる。すなわち、予め酸化されたシリコーン表面は、適切なあわせ面に対して接触接着剤として作用する。具体的には、それ自体に不可逆的にシール可能であることに加えて、酸化されたPDMSなどの酸化されたシリコーンは、PDMS表面と同様の様式で酸化されている(例えば、酸素含有プラズマに曝露することによって)、例えばガラス、シリコン、酸化ケイ素、石英、窒化ケイ素、ポリエチレン、ポリスチレン、ガラス状炭素およびエポキシポリマーを含むそれ自体以外のある範囲の酸化された材料に不可逆的にシールすることもできる。本発明の関連で有用な酸化およびシーリング方法ならびに全般的な成形技術は、当技術分野で、例えば表題「Rapid Prototyping of Microfluidic Systems and Polydimethylsiloxane」、Anal. Chem.、70巻:474〜480頁、1998年(Duffyら)(これを参照により本明細書に組み込む)という論文に記載されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明の特定のマイクロ流体構造(または内側の流体接触表面)は、特定の酸化シリコーンポリマーから形成させることができる。そうした表面は弾性ポリマーの表面より親水性であってよい。したがって、そうした親水性チャネル表面は、水溶液でより簡単に満たし、かつ湿潤させることができる。
【0070】
一実施形態では、本発明のマイクロ流体デバイスの底壁は、1つもしくは複数の側壁または頂部壁あるいは他のコンポーネントと異なる材料で形成されている。例えば、底壁の内面は、シリコンウエハーもしくはマイクロチップまたは他の基材の表面を含むことができる。上記したように、他のコンポーネントをそうした代替の基材にシールすることができる。シリコーンポリマー(例えば、PDMS)を含むコンポーネントを、異なる材料でできた基材(底壁)にシールするのが望まれる場合、その基材は、それに酸化されたシリコーンポリマーを不可逆的にシールできる材料の群(例えば酸化されている、ガラス、シリコン、酸化ケイ素、石英、窒化ケイ素、ポリエチレン、ポリスチレン、エポキシポリマーおよびガラス状炭素表面)から選択することができる。あるいは、これらに限定されないが、別個の接着剤の使用、ボンディング、溶媒ボンディング、超音波溶着等を含む当業者に明らかな他のシーリング技術を用いることができる。
【0071】
以下の出願をそれぞれ参照により本明細書に組み込む:Kumarらによる「Formation of Microstamped Patterns on Surfaces and Derivative Articles」という表題の1993年10月4日出願の米国特許出願番号第08/131,841号(現在は1996年4月30日発行の米国特許第5,512,131号である);Kimらによる「Method of Forming Articles including Waveguides via Capillary Micromolding and Microtransfer Molding」という表題の1998年1月8日出願の米国特許出願番号第09/004,583号(現在は2002年3月12日発行の米国特許第6,355,198号である);1996年6月26日にWO96/29629として公開のWhitesidesらによる「Microcontact Printing on Surfaces and Derivative Articles」という表題の1996年3月1日出願の国際特許出願番号PCT/US96/03073;2001年11月29日にWO01/89787として公開のAndersonらによる「Microfluidic Systems including Three−Dimensionally Arrayed Channel Networks」という表題の2001年5月25日出願の国際特許出願番号:PCT/US01/16973;2006年7月27日に米国特許出願公開番号第2006/0163385号として公開のLinkらによる「Formation and Control of Fluidic Species」という表題の2005年10月7日出願の米国特許出願番号第11/246,911号;2005年8月11日に米国特許出願公開番号第2005/0172476号として公開のStoneらによる「Method and Apparatus for Fluid Dispersion」という表題の2004年12月28日出願の米国特許出願番号第11/024,228号;2006年9月14日にWO2006/096571として公開のWeitzらによる「Method and Apparatus for Forming Multiple Emulsions」という表題の2006年3月3日出願の国際特許出願番号PCT/US2006/007772;2007年1月4日に米国特許出願公開番号第2007/000342号として公開のLinkらによる「Electronic Control of Fluidic Species」という表題の2006年2月23日出願の米国特許出願番号第11/360,845号およびGarsteckiらによる「Systems and Methods of Forming Particles」という表題の2006年3月3日出願の米国特許出願番号第11/368,263号。Chuらによる「Multiple Emulsions and Techniques for Formation」という表題の2007年3月28日出願の米国仮出願番号第60/920,574号;Weitzらによる「Multiple Emulsions Created Using Jetting and Other Techniques」という表題の2009年9月2日出願の米国仮出願番号第61/239,405号およびWeitzらによる「Multiple Emulsions Created Using Jetting and Other Techniques」という表題の2010年6月9日出願の米国仮出願番号第61/353,093号も参照により本明細書に組み込む。さらに、Weitzらによる「Multiple Emulsions Created Using Junctions」という表題の2009年9月2日出願の米国仮出願番号第61/239,402号も参照により本明細書に組み込む。
【0072】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例示しようとするものであるが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
この実施例は、略図と実験の両方で、二重エマルジョンを作製するマイクロ流体デバイスを例示する。とりわけ、この具体的な実施例において、完全な二重エマルジョンが、単一の共通の交差部において形成される。これは、表面化学の特定の非対称パターンを用いて形成される。このデバイスのデザインを図1に略図で示す。この図では、デバイス10は、すべて共通の交差部15で出会う、第1チャネル11、第2チャネル12、第3チャネル13および第4(または出口)チャネル14を含む。この実施例では、チャネルは直角に出会うが、他の実施形態ではそうである必要はない。第1チャネル11、第2チャネル12および第3チャネル13は、矢印17で示すように、それぞれ入口チャネルである。
【0074】
図1に陰影付き領域25も示す。陰影付き領域25は親水性コーティングでコーティングされており、これは内部油ストリームを中間水ストリーム中で液滴へと破壊し、水の流線を外部油から離れるように導く。これは、内部油液滴が外部油ストリームと合体するのを防止する助けとなる。陰影を付けていない領域20は疎水性コーティングでコーティングされており、これは、外部油ストリームによって湿潤され、中間水ストリームがピンチオフされて二重エマルジョン液滴を形成できるようにする。
【0075】
図1に示すデバイスは、二段階プロセスを用いて形成することができる。手短に述べると、デバイスを、すべてのチャネル表面上に疎水性層を残す光開始剤分子も含むゾル−ゲルプロセスで処理する。次いで、チャネルをアクリル酸を含むモノマー溶液で満たし、例えば集束ビームによってまたはフォトマスクを通して紫外線に曝露することによって、親水性ポリマーポリ(アクリル酸)のグラフト重合を示された領域で進行させる。すると、曝露された領域は親水性になり、曝露されていない領域は疎水性のままで残る。このプロセスの詳細は、Abateらによる「Surfaces, Including Microfluidic Channels, With Controlled Wetting Properties」という表題の2008年3月28日出願の米国仮出願番号第61/040,442号およびAbateらによる「Surfaces, Including Microfluidic Channels, With Controlled Wetting Properties」という表題の2009年2月11日出願の国際特許出願番号PCT/US2009/000850に記載されている。そのそれぞれを参照により本明細書に組み込む。
【0076】
上記のようにして作製したデバイスの顕微鏡写真を図2に例示し、このデバイスを用いて生成した代表的な二重エマルジョン生成物を図3に示す。生成されたように、このデバイスは、油/水/油型二重エマルジョンを調製するのに使用することができるが、親水性の領域と疎水性の領域を交換することによって、水/油/水型二重エマルジョンも調製することができる。
【0077】
さらに、このデバイスを、例えば同じ交差部で終わる1つまたは複数の追加のチャネルを加え、親水性および疎水性コーティングの対応する交互のアークを加えることによって、三重またはより高次のエマルジョンに拡張することができる。この例を図5に示す。この図では、デバイス30は、共通の交差部38で出会う5つのチャネル:第1チャネル31、第2チャネル32、第3チャネル33、第4チャネル34および第5(出口)チャネル35を含む。最初の1チャネル31、33および34は相対的に親水性であり、第2のチャネル32は相対的に疎水性である。図5に示すように、出口チャネル35は、相対的に親水性の部分および相対的に疎水性の部分を有する(陰影付き部分40は親水性であり、一方、白色部分41は疎水性である)。水はチャネル32および34を通して導入することができ、一方、油はチャネル31および33を通して導入することができる。
【0078】
このデバイスを用いて、最も内側の相に水を有し連続相に油を有するw/o/w/o型三重エマルジョンを生成させることができる。また、このデバイスの相対的に親水性の部分と相対的に疎水性部分を逆にし、かつ油の入口と水の入口を逆にすることによって、o/w/o/w型エマルジョンを形成させることができる。このデバイスにおける他の配置、例えば異なるチャネル角度、相対的に親水性の部分と相対的に疎水性の部分の異なるパターン等も可能である。
【0079】
本発明の複数の実施形態を本明細書で説明し、例示してきたが、当業者は、機能を実行する、および/または本明細書で説明する結果および/または利点の1つもしくは複数を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定されよう。そうした変更形態および/または改変形態のそれぞれは本発明の範囲内にあるものとする。より一般的には、当業者は、本明細書で説明するすべてのパラメーター、寸法、材料および構造は例示のためのものであり、実際のパラメーター、寸法、材料および/または構造は、そのために本発明の教示が用いられる具体的な1つまたは複数の用途に依存することになることを容易に理解されよう。当業者は、若干の慣行的な実験、本明細書で説明する本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を用いて認識する、または確認することができよう。したがって、上記実施形態は例として示したのに過ぎず、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本発明を具体的に説明し特許請求したのと別の様式で実施できることを理解されたい。本発明は、本明細書で説明するそれぞれの個別のフィーチャ、システム、物品、材料、キットおよび/または方法を対象とする。さらに、2つ以上のそうしたフィーチャ、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せは、そうしたフィーチャ、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに矛盾していない場合、本発明の範囲内に包含される。
【0080】
本明細書で定義され使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により本明細書に組み込まれた文献の定義および/または定義された用語の通常の意味より優先されるものと理解すべきである。
【0081】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、それとは反対に明確に指示されていない限り、「少なくとも1つ(at least one)」と理解されるべきである。
【0082】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または(and/or)」という語句は、そのように等位結合された要素、すなわち、ある場合は接続法的に存在し、他の場合は離接的に存在する要素の「一方かまたは両方」を意味することを理解すべきである。「および/または」で挙げられた複数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように等位結合された要素の「1つまたは複数」と解釈されるべきである。「および/または」の節で具体的に特定された要素以外の他の要素も、具体的に特定されている要素に関係しても関係しなくても、任意選択で存在してよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」などの非限定的(open−ended)用語と一緒に使用される場合、「Aおよび/またはB」への言及は、一実施形態ではAだけ(任意選択でB以外の要素を含む);他の実施形態ではBだけ(任意選択でA以外の要素を含む);さらに他の実施形態ではAとBの両方(任意選択で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0083】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、「または」は、上記定義の「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストにおいて項目を分ける場合、「または」または「および/または」は、包含的である、すなわち、少なくとも1つを含むが、また、ある数またはリストの要素および任意選択でリストに挙げられていない追加の項目の2つ以上も含むと解釈されるべきである。それとは反対に「のうちの1つだけ(only one of)」もしくは「のうちの正確に1つ(exactly one of)」などの明確に指示されている、だけ(Only)という用語、または特許請求の範囲で使用される場合の「からなる(consisting of)」は、ある数またはリストの要素のうちの正確に1つの要素を含むことを指すものとする。一般に、「のいずれか(either)」、「のうちの1つ(one of)」、「のうちの1つだけ(only one of)」または「のうちの正確に1つ(exactly one of)」などの排他性の用語によって先行されている場合、本明細書で用いる「または」という用語は、排他的代替物(exclusive alternative)(すなわち、「一方または他方であって両方ではない(one or the other but not both)」)だけを指すと解釈されるべきである。特許請求の範囲で使用される場合、「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、特許法の分野で用いられるその通常の意味を有するものとする。
【0084】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、1つまたは複数の要素のリストに関連した「少なくとも1つ」という語句は、要素のリストの中の要素の任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリストの中に具体的に挙げられている要素の1つ1つ(each and every)の少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、また、要素のリスト中の要素の任意の組合せを排除するものでもないことを理解すべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が指す要素のリストの中で具体的に特定されている要素以外の要素が、具体的に特定されている要素に関係しても関係しなくても、任意選択で存在することも可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または等価的に「AまたはBの少なくとも1つ」または等価的に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのA(および任意選択でB以外の要素を含む)を指し;他の実施形態では、Aが存在しない、任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのB(および任意選択でA以外の要素を含む)を指し;さらに他の実施形態では、任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのAおよび任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのB(および任意選択で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0085】
それとは反対に明確に指示されていない限り、2つ以上のステップまたは動作を含む本明細書で特許請求される任意の方法において、その方法のステップまたは動作の順序は、その方法のステップまたは動作が言及されている順序に必ずしも限定されないことも理解すべきである。
【0086】
特許請求の範囲ならびに上記明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「含む(composed of)」などのすべての移行句は非限定的である、すなわち、それを含むがそれに限定されないものと理解すべきである。「からなる(consisting of)」および「本質的に〜からなる」という移行句だけは、米国特許局の特許審査手続便覧(United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures)、セクション2111.03に示されているように、それぞれ閉鎖型(closed)または半閉鎖型移行句であるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の交差部で交差する少なくとも第1、第2、第3および第4流体チャネルを含むデバイスであって、前記第1流体チャネルが相対的に疎水性であり、前記第2流体チャネルが相対的に親水性であり、そして前記第4流体チャネルが、相対的に親水性の少なくとも1つの部分および相対的に親水性の少なくとも1つの部分を含むデバイス。
【請求項2】
それぞれ共通の交差部で交差する少なくとも第1、第2および第3流体チャネルを含むデバイスであって、前記チャネルの少なくとも1つが、相対的に親水性の少なくとも1つの部分および相対的に親水性の少なくとも1つの部分を含むデバイス。
【請求項3】
少なくとも第1、第2、第3および第4流体チャネルを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
それぞれ共通の交差部で交差する少なくとも第1、第2および第3流体チャネルの配置を含むデバイスであって、前記配置が、前記流体チャネルの少なくとも1つを含む親水性部分および前記流体チャネルの少なくとも1つを含む疎水性部分を含むデバイス。
【請求項5】
前記配置が、少なくとも第1、第2、第3および第4流体チャネルを含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記流体チャネルの少なくとも1つがマイクロ流体チャネルである、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記流体チャネルのそれぞれがマイクロ流体チャネルである、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2および第3流体チャネルがそれぞれ相対的に親水性である、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1および第3流体チャネルがそれぞれ相対的に疎水性である、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
相対的に親水性である前記第4流体チャネルの前記少なくとも1つの部分が、前記第2流体チャネルと実質的に同じ親水性を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
相対的に疎水性である前記第4流体チャネルの前記少なくとも1つの部分が、前記第1流体チャネルと実質的に同じ疎水性を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1流体チャネルが、前記第1流体チャネル上の疎水性コーティングによって相対的疎水性を付与される、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2流体チャネルが、前記第2流体チャネル上の親水性コーティングによって相対的親水性を付与される、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第2流体チャネルが、ポリ(アクリル酸)の表面コーティングを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1流体チャネルが、ゾル−ゲルの表面コーティングを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1流体チャネルと前記第2流体チャネルがほぼ直角に交差する、請求項1から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第2流体チャネルと前記第3流体チャネルがほぼ直角に交差する、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1流体チャネルと前記第4流体チャネルがほぼ直角に交差する、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1、第2、第3および第4流体チャネルが共通の交差部で直角に交差する、請求項1から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも第1、第2、第3および第4流体チャネルが同一平面上にある、請求項1から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記共通の交差部で4つのみの流体チャネルを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
第1、第2および第3流体を共通の交差部の方へ流すステップであって、前記第1流体および前記第2流体が相対的に非混和性であり、そして前記第2流体および前記第3流体が相対的に非混和性であるステップと;そして
前記交差部に近接して、前記第1流体が前記第2流体を取り囲み、前記第2流体が前記第3流体を取り囲むようにして多重エマルジョンを形成させるステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記流体の少なくとも1つがマイクロ流体チャネル内に含まれている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記流体のそれぞれがマイクロ流体チャネル内に含まれている、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのマイクロ流体チャネルが相対的に親水性である、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのマイクロ流体チャネルが相対的に疎水性である、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−503742(P2013−503742A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527993(P2012−527993)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/047458
【国際公開番号】WO2011/028760
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【出願人】(512054089)ベーアーエスエフ エスエー (1)
【Fターム(参考)】