説明

ジョイントの締め付け方法及び装置

本発明は、締め具締め付け用電気組立装置(200)に関し、前記装置(200)は、ハウジング(210)、出力軸(214)に駆動接続される回転モータ(215)、及び前記ハウジング(210)の外まで伸び、かつ、締め付けの間に前記締め具を取り外し可能に連結する連結手段を支持するように構成された前方部分(217)を有する前記出力軸(214)を備え、第一軸線(A1)に沿って前記締め付けが実行されるように構成されている。前記装置(200)は、締め具の締め付け中に前記第一軸線(A1)に対するハウジング(210)の角変位(α,β)を測定する手段と、ハウジング(210)の前記測定された角変位(α,β)を使用して締め付け中に前記モータの回転を制御する手段(220)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ式締め具を、所望の締め付け力又はクランピング力まで締め付ける装置に関する。詳細には、本発明は、請求項1の前文に従って締め具の締め付けをするための電気組立装置に関する。また、本発明は、請求項11の前文に従って締め具を締め付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造工場のような組立工場において、迅速な組立の要求が増大している結果、高度な組立工具が開発されている。例えば、ジョイントの締め付けに関して、ナット、ネジ、又はボルトのようなネジ式締め具は、しばしば、ジョイントが実際に締め付けられ始め、それによってトルクが上昇し始めるポイントに締め具が達する前に、比較的低いトルクで何回転も回す必要がある。
【0003】
その結果として、初期段階の回転回数は、しばしば、実際の締め付け段階中に締め具が回転する回転回数(又は回転の一部)よりも相当多く、特定のジョイントの総組立時間の相当の部分が、ねじ込みの初期段階の間に使われ得るので、初期のねじ込み又はランニングダウン段階が可能な限り速く実行され得ることが非常に望ましい。
【0004】
従って、ジョイントの締め付けが二つのステップで実行される電動組立工具が開発された。即ち、第一ステップでは、所定のトルクレベルまで高い速度でジョイントの締め付けが行われ、その後、第二ステップにおいて、低い速度で、ジョイントが、最終的な所定のプレテンションレベルまでさらに締め付けられる。
【0005】
しかし、このような工具は、特に(例えば、50Nm又はそれ以上のオーダーの)高トルクジョイントに関して、オペレータが突然のトルク上昇に対する準備ができていない場合、トルクが上昇し始める時に望ましくない工具のジャークを課す。このようなジャークは、オペレータに対して非常に不快であり得、また、例えば、オペレータが壁や尖った物の近くに立っている時にオペレータが工具の強いジャークにさらされた場合には危険である。
【0006】
従って、第二ステップにおける締め付け工具の回転速度を、速いだけでなく、人間工学的視点から見てもより有利である締め付け工程を得ることが可能になるような方法で制御する制御方法が開発された。
【0007】
従来技術によれば、ネジ式ジョイントの締め付けを達成する二つの方法が基本的には存在しており、両方法共、二つのステップで締め付ける方法である。第一の方法は、基本的には、締め付けトルクが敷居値に達するまでは実質的に一定な高い回転速度で始まり、その後、オペレータがまさに来ようとしている、次のトルク上昇に対する準備をするために一時停止される。第二ステップでは、締め付けトルクがその目標レベルに達するまで一定に維持される低減した速度でネジきりが行われる。
【0008】
第二の方法は、実際には、一つのステップの方法であり、上述した方法の似た、どちらかというと静的な第一段階を備え、第二段階では、上述したように最初にゼロまで速度を下げる代わりに、速度は、中間速度まで早急に下げられ、その後、ターゲットトルクに達するまで、締付速度を一定に維持する。
【0009】
上記した二つの方法は、人間工学的観点からオペレータに対する実質的な改善を提供することができ、締付工程の間に通常生じる、疲れさせる不快なジャークを大幅に低減させるが、締付処理は全てのオペレータに対して同じままであるので、それにより、上記締付工程は何人かのオペレータには快適であると感じるが、他のオペレータには柔軟性の度合いが非常に低いと感じる結果になる。
【0010】
従って、より柔軟で、それにより人間工学的に、かつ、オペレータが満足するように改良された方法によって操作することができるように電気式ネジ式ジョイント締付工具を改良する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、オペレータに対する人間工学的観点から見て有益な方法で操作することができる電気ネジ式ジョイント締付装置を提供することにある。本発明の他の目的は、締め具の締付の間、付加的な機能を提供することができる電気ネジ式ジョイント締付工具を提供することにある。これらの目的は、請求項1の特徴部分による装置によって達成される。
【0012】
本発明によれば、締め具の締め付け用電動装置であって、前記装置が、締め付けの間、前記締め具に取り外し可能に連結する連結手段、例えば、ビット−スクリューやソケット−ナット構造を有し、装置ハウジングが、前記連結手段を回転するためのモータを備え、それにより、締め付けの間に締め具を回転させ、前記締め付けが軸線に沿って実行されるように構成された締め具の締め付け用電動装置において、前記装置が、締め具の締め付けの間、前記軸線に対する前記装置の角回転を測定する手段と、測定された角回転を使用して締め付けの間モータの回転を制御する手段とを備えていることを特徴とする締め具の締め付け用電動装置が提供される。
【0013】
この装置は、前記軸線に対する前記装置の角回転を測定することによって、モータの速度、従って、締め具の回転速度が、予め実行される他のパラメータを考慮して、締め付けの間のオペレータによる装置の動かし方に基づいて制御されるので、組立装置が個々のオペレータにより適合した方法で操作され得るという利点を有する。
【0014】
本発明の別の特徴及び利点は、以下の好ましい実施例の詳細な説明と添付図面とから明らかになる。以下の説明及び添付図面は、単なる実施例であり、決して本発明を制限するものと解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1A及び図1Bは、従来技術による二つの締め具締め付け方法を示している。
【図2】図2Aは、本発明の一つの実施例による装置を概略的に示し、図2Bは、図2Aに示す装置を上方から見た図を示している。
【図3】図3A及び図3Bは、それによって本発明が有利に活用され得る別の実施例の装置を示している。
【図4】図4A及び図4Bは、それによって本発明が有利に活用され得るさらに別の実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の利点を明確にするために、最初に、上述した従来技術による二つの締め具締め付け方法について、図1A及び図1Bを参照して簡単に説明する。
図1Aには、典型的な締め付け工程の間の締め付けトルクと締め付けの回転速度の経時的な変化のグラフが示されている。実線は、締め付けの回転速度を示し、破線は締め付けトルクを示している。図面から分かるように、この方法は、高い、実質的に一定の回転速度R1で開始され、この回転速度R1は、締め付けトルクが第一閾値TAより低い限り、即ち、A点まで維持される。その結果、A点ではトルクが上昇し始めていることが検知され、これが検知されると、締め付けの回転速度は、ゼロ、即ち、B点まで下げられる。
【0017】
A点は、通常、工具の作業者が感知し得る状態で締め付けトルクが急激に上昇し始めるポイントである。このポイントは、時々、「スナグ(snug)」ポイントと呼ばれる。
【0018】
回転速度がゼロまで下げられると、この従来の方法は、C点まで人間工学的に適切な所定の時間を待ち、C点において、締め付け速度を速度R1より低い低速速度R2に設定し、この低速速度R2は、D点で締め具の締め付けトルクがその目標トルクTTに達したことを検知するまで維持される。目標トルクに到達し、それにより、締め具が締め付けられたことが検知されると、回転速度はゼロまで下げられる。
【0019】
第二段階における速度が実質的に一定であるように示されているが、代わりに、dT/dtを一定に維持するように変動するよう速度を設定してもよい。
【0020】
図1Bには、締め付け工程を制御する上述した方法のうちの第二の方法が示されている。この方法は、A点に達するまでは図1Aの方法と似ている。しかし、上述したように、速度をゼロまで下げる代わりに、速度は、中間速度R3まで下げられる。中間速度R3は、B’点に達した時から、D'点でターゲットトルクTTに達するまで一定に維持される(又は、代わりに、dT/dtが一定に保たれる)。その結果、この方法は、工具の回転速度を低減させることによって、幾らかのジャークの緩和を得ることはできるが、使用者がトルク増大に対する「準備」をする余地がない。
【0021】
しかし、本発明によれば、前記ジョイントの締め付け方向(即ち、例えば、ねじ付きピン上にねじ込まれている時にナットが動く方向)を構成する軸に対する装置本体の角回転を測定する手段と、前記測定された角回転を使用して前記モータの回転を制御する手段とから得られる信号を使用することによって、相当により洗練された動作方法が実行され得る。
【0022】
図2Aには、本発明の一実施例による電気組立工具の形態の装置200が示されている。装置200は、ハウジング210を有し、前記ハウジング210の一部が、使用されている時に装置の使用者が握るためのリアハンドル211を構成している。ハウジング210の内部には、電気モータ215があり、このモータ215は、ケーブル221を介して外部電源によって給電される。別の実施例では、電気モータ215は、例えば、リアハンドル内に配置され得る一つ又は複数のバッテリによって給電される。
【0023】
また、装置は、モータ出力軸223を備えている。この出力軸223は歯車装置216に接続され、装置200によって駆動されるべき締め具が、可変速度回転モータ215の回転速度とは異なる回転速度で駆動できるようにしている。さらに、歯車装置出力軸224が、歯車装置216からアングルドライブ225までのびている。前記アングルドライブ225は前方部分217を有する出力軸214を有し、前記前方部分217は、ハウジング210の外までのび、かつ、ジョイントを締めるための締め具との取り外し可能な連結を得るための連結手段(例えば不図示のナットソケット)を支持するように適合されている。出力軸214の前方部分217は、回転締め具に使用される任意の公知のタイプのものであり得、例えば、四角形、多角形であり得る。
【0024】
さらに、装置200は電子制御ユニット220を備え、この電子制御ユニット220は、以下により詳細に説明するように、装置200の動作を制御し、かつ、例えば、適当なケーブルを介して工具に連結され得る外部ユニットからの様々な信号を入力し、及び/又は前記外部ユニットへ信号を出力する手段と、締め付け中の締め付けトルクを連続的に測定するためのトルクセンサ(図示せず)やジャイロセンサ226のようなセンサとを有する。
【0025】
場合によっては他の情報と共に入力される信号は、その後、制御ユニット220内のデータ処理ユニットで使用され得る。前記データ処理ユニットは、入力されるセンサ信号及びデータを使用し、かつ、例えば、処理ユニット内の、又は処理ユニットに接続された記憶手段の形態のコンピュータプログラム製品に記憶され得るコンピュータプログラムによって、所望の方法でモータ215を制御し、それによって締め付け工程を制御するために必要な計算を実行する。そのため、制御ユニット220は、前記モータの動作を制御するために該モータへの給電を制御する手段を備え、それにより、ジョイントの締め付けの回転速度及びトルクを、直接的に制御し、又は、別のモータ制御ユニットへ送信するための制御信号を発生することによって制御する。
【0026】
また、好ましい実施例では、装置200には、発光ダイオード又は他の可視指示手段222が設けられ、現在のジョイントの状態をオペレータに知らせるようにしている。例えば、一つのダイオードがジョイントが締め付けられたことを表示するために使用され得る。代わりとして、複数のダイオードが、締め付け工程の様々な工程を表示するために使用され得、及び/又はスピーカ装置が音声で締め付けの進行/終了を表示するために使用され得る。
【0027】
ジャイロセンサ226に関しては、他の種類のジャイロセンサも考えられるが、それは例えば、電気又は光学的ジャイロスコープの形態であり得る。このようなセンサは、例えば、締め具が回転される回転数及びレンチの動作速度を決めるという完全に異なる理由であるが、例えば、欧州特許EP1022097A2(BLM S.a.s. di L.Bareggi & C.)に見られるようにトルクレンチで公知である
【0028】
また、前記文献は、ジャイロスコープが受ける回転に比例する電気信号を基本的に出力するようなジャイロセンサの簡単な説明を含んでいる。
【0029】
本発明によれば、ジャイロセンサ226からの信号出力は、上述したように、モータ215を制御するために使用される。このことは、図2Bを参照して以下に説明される。図2Bは上述した図2Aの装置200を示している。図面に示すように、装置200は、リアハンドル211から離れた位置にも、中間ハンドル240を備え、オペレータが両手を使用して装置を操作することができるようにしており、これは高トルク締め付けで必要とされ得る(例えば、自動車産業では、70〜100Nmの最大トルクが、開示した装置のような装置を使用する組み立てで使用される)。
【0030】
図面において、それに沿って締め付けが行われ、回転軸線として定義される軸線(紙面に対して垂直で、締め付けが内側に向けて実行される軸線)が符号A1で示されている。締め付けが開始される開始位置は、軸線A1を中心とした角度位置に関して、しばしば自由裁量で決められ、例えば、使用者は、可能であれば、周囲の障害物に対して、締め付けを開始する前に軸線A1を中心とした任意の自由裁量の角度で装置200を位置決めすることができる。一実施例では、締め付けが開示される位置は、基準位置として設定され、言い換えれば、締め付けが開始される時のジャイロセンサ226によるセンサ信号出力が基準として決められる。
【0031】
この基準位置は、図面では点線Rで表示されている。軸R1周りの装置の角回転/角変位、即ち、角度偏差/変位α及びβを生じさせる図示された弧243に沿った装置の動きを検出するために、装置の制御システムにジャイロセンサから信号を使用することがここでは可能になる。これにより、例えば、トルクが上昇している時に、例えば、オペレータがさらされるジャークを制御システムが検出することができるようになるという利点がある。それにより、ジャイロセンサからの情報を使用することで、制御システムは、たぶんオペレータに対して不快であると思われるジャークの始まりを検出すると直ぐに、モータの速度を減速し、オペレータがさらされる力を低減し、それにより、オペレータがさらされるジャークの大きさ(即ち、矢印244,245によって示される何れかの方向への前記装置200の動きの角運動及び回転速度)を低減させることができる。
【0032】
従って、本発明は、例えば、一定の期間の間に一定の角度α又はβで装置が基準Rから外れる等して、まさにジャークが起きようとすることを検出すると直ぐに、モータの回転速度を早急に低減するか、又はモータを停止することができ、その結果、(例えば、筋肉伸張により)オペレータにジャークの増加に対応する時間を与えられるという利点を有する。
【0033】
ジャイロセンサ(又は、弧243に沿った加速度、速度、または角度の少なくとも一つを検出することができる信号をもたらすことができる任意の種類の適当な加速度計)を使用することは、オペレータに付加価値を与える多数の締め付け方向を実現することができるという利点を有する。
【0034】
例えば、本発明を使用することで、装置200は、スロットルグリップとして使用され得る。言いかえれば、上述したように、dT/dt又は締め付けの回転速度を一定に維持する装置を有する代わりに、(少なくとも、オペレータによって設定された速度が、ジョイントのしっかりとした締め付けを確保するために何らかの高い制御ストラテジーに妨害されない間は)オペレータが、締め付けの速度を制御することが可能になる。これは、例えば、仮にオペレータが、装置を図2bに示す基準位置Rに維持しているか、又は実質的に維持している場合に、締め付け速度(又はdT/dt)が従来技術のように一定に維持され得る同時に、仮にオペレータが、装置を自分自身に向けて引っ張った場合に、即ち、装置を図面における左方向に引っ張った場合に、締め具の回転速度が、任意の適当な関係に従って基準位置Rからの逸脱に依存して上昇する制御ストラテジーによって達成され得る。逆に、仮にオペレータが装置を反対方向、即ち、図面における右方向に動かした場合、締め具の回転速度は減少するように設定され得る。
【0035】
従って、本発明は、オペレータが締め付け速度を自由に設定し、それにより個人の好みに従ってdT/dtを設定する方法で、オペレータが装置を操作することを可能にする。
【0036】
別の実施例では、装置の締め付け速度は、装置を基準位置Rに維持しようとする方法で制御される。即ち、もし装置が、dT/dtが現在のオペレータに対して僅かに高いことを示す図面における右側に動いたら、速度が低減され、その結果、dT/dtは低下し、それにより、基準位置に装置を戻すことがオペレータにとってより容易になる。逆に、もしオペレータが装置を自分自身に向けて動かしたら、現在のdT/dtが僅かに低いと見なされ、従って、回転速度は上げられ得る。
【0037】
さらに別の実施例では、装置は、クリックレンチの作業機能を再現する方法で操作される。この実施例では、オペレータが装置を自分自身の方向に動かした時にトルクは増大される。また、この実施例では、オペレータが装置を自分自身から離す方向に動かした時、即ち、従来のクリックレンチと似た方法で、連続して締め付けをするためにオペレータが工具を再配置する時は、締め付けは生じず、ジョイントが緩められないことが保証されるだけになる。
【0038】
上述したジョイントの締め付け方法は、装置の特定の方向の動きについて開示されているが、装置の動きの方向は反対方向でもよい。即ち、例えば、オペレータが装置を押した時に、装置の回転速度は増加するように構成され得る。
【0039】
さらに、本発明は、高トルク締め付け用の装置に関して上記で説明されているが、本発明は、他の種類のジョイント締め付け装置にも勿論適用することができる。例えば、この装置は、角度付き装置である必要はなく、ストレートであり得る(例えば、図3A及びB参照。この場合、装置の回転は(図3Bにおける矢印のように)制御されるか、又は、上述のように装置の回転速度を制御するために使用される)。また、この装置は、ピストル型の装置(図4A及びB参照)であり得、この場合、締め付けの軸線A1に対するハンドルの回転が(後ろから図4Aの装置を示す図4Bにおける矢印のように)制御されるか、又は、上述のように装置の回転速度を制御するために使用される。
【0040】
本発明は、ジャイロセンサを使用することで例示されているが、前記ジョイントの締め付けの軸線に対する装置の角回転を検出する手段のような他の適当な手段、又は、それから前記角回転が決められ得る他の適当な手段が考慮され、本発明の範囲に含まれるべきであることは理解される。
【図1A−1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(210)、
可変速度回転モータ(215)、
前記モータ(215)に接続され、回転軸線(A1)を中心に回転可能な出力軸(214)、及び
出力軸(214)を締め付けられるべきネジ式締め具に連結するために出力軸(214)上に支持された連結手段
を備え、
前記ハウジング(210)が、オペレータによって手で支持され、回転軸線(A1)に対して角変位できるように構成され、
締め付け中に軸線(A1)に対するハウジング(210)の角変位(α,β)を測定する手段が設けられた
ネジ式締め具締め付け用電気組立装置において、
締め付け中に、ハウジング(210)の測定された角変位(α,β)に関して、モータの回転速度を制御する手段(220)が設けられ、
オペレータが、出力軸(214)の回転方向に、又は、その反対方向に、回転軸線(A1)に対してハウジング(210)を角変位することによって、ネジ式締め具の締め付け速度を自由に決めることができるようにした
ことを特徴とするネジ式締め具締め付け用電気組立装置。
【請求項2】
ハウジング(210)の前記測定された角変位(α,β)を使用して締め具の回転速度を制御する前記制御手段(220)が、
一方の方向(α)における軸線(A1)周りのハウジング(210)の変位(α,β)が検知された場合に締め具の回転速度を上げ、
回転の反対方向(β)におけるハウジング(210)の変位(α,β)を検知した場合に締め具の回転速度を下げる
手段を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジング(210)の基準位置を確立し、
一方の方向(α)における軸線(A1)周りのハウジング(210)の前記基準位置からの変位(α,β)が検知された場合に締め具の回転速度を上げ、
回転の反対方向(β)におけるハウジング(210)の前記基準位置からの変位(α,β)を検知した場合に締め具の回転速度を下げる
手段をさらに備えている
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
締め具の回転速度の前記上げ/下げが、前記基準位置からのハウジング(210)の角変位(α,β)に依存するように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
ハウジング(210)の前記測定された角変位(α,β)を使用して締め具の回転速度を制御する前記制御装置(220)が、
回転の一方の方向(α)における軸線(A1)周りのハウジング(210)の回転が検知された場合、締め付け方向に締め具を回転し、
回転の反対方向(β)におけるハウジング(210)の回転が検知された場合、前記締め具を相当低速で回転させるか、又は、前記締め具を実質的に静止した状態に維持する
手段を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
方向(α)が前記装置のオペレータに向かう方向である
ことを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
ハウジング(210)の前記測定された角変位を使用して締め具の回転速度を制御する前記制御装置(220)が、
前記ハウジング(210)の基準位置を確定し、
装置を前記基準位置に維持するように前記測定された角変位に基づいて前記締め具の回転速度を調整する
手段を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング(210)が細長い形状である
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジング(210)が、軸線(A1)に対して角度を付けて配置されている
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
基準位置を確立し、ハウジング(210)の角変位を検出する前記手段が、ジャイロセンサ(226)である
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
ハウジング(210)、可変速度回転モータ(215)、前記モータ(215)に接続され、回転軸線(A1)を中心に回転可能な出力軸(214)、及び出力軸(214)を締め付けられるべきネジ式締め具に連結するために出力軸(214)上に支持された連結手段を備え、前記ハウジング(210)が、オペレータによって手で支持され、回転軸線(A1)に対して角変位できるように構成された電気組立装置を使用する締め具の締め付け方法であって、
締め付け中の軸線(A1)に対するハウジング(210)の角変位(α,β)を測定するステップと、
締め付け中に、ハウジング(210)の測定された角変位(α,β)に関して、モータの回転速度を制御するステップと
を有し、
オペレータが、出力軸(214)の回転方向に、又は、その反対方向に、回転軸線(A1)に対してハウジング(210)を角変位することによって、ネジ式締め具の締め付け速度を自由に決めることができるようにした
ことを特徴とする電気組立装置を使用する締め具の締め付け方法。

【公表番号】特表2011−519742(P2011−519742A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508442(P2011−508442)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000233
【国際公開番号】WO2009/136840
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(502212604)アトラス・コプコ・ツールス・アクチボラグ (48)
【Fターム(参考)】