説明

スイッチユニット

【課題】 本発明は、複数の操作キーの突出高さがバラツキ無く均一にすることができ、操作性に優れたスイッチユニットを提供すること。
【解決手段】 本発明のスイッチユニット1は、形状記憶合金からなる第1駆動手段10により上昇状態となった操作キー7とスイッチ手段4との間の隙間に、前記第2駆動手段により前記スライダがスライド可能になっており、前記上昇状態にある前記操作キーを押圧操作すると、前記スイッチ手段は、前記操作キーの下部にスライドして位置する前記スライダを介し押圧されて入力可能になることを特徴とするスイッチユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の操作キーを有するスイッチユニットに係わり、所望する操作キーを操作し易いように突出させるようにしたスイッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来スイッチユニット49は、鉄心52、及びコイル53によって、永久磁石からなる操作キー51を取り囲むように電磁石が形成されている。そして、コイル53に通電することにより発生する磁界が、永久磁石からなる操作キー51の磁界に作用して、操作キー51が破線で示す位置に上昇するようになっている。
前記操作キー51と鉄心52との間には、スペーサ54が配設されて、操作キー51と鉄心52とが隔離されている。
【0003】
また、操作ユニット5の表面は、柔軟性を有するフィルム状のシート部材57で覆われており、操作キー51が破線で示す位置に上昇することにより、その部分のシート部材57が膨出して膨出部50が形成される。
従来のスイッチユニット49には、所望の位置に膨出部50が複数設けられ、この膨出部50に対応する位置のコイル53に選択的に通電することで、操作キー51が上昇し、所望の膨出部50が複数形成される。また、操作キー51の下端と対向する基板58上には、ドーム状の板バネ56が配設されると共に、板バネ56内部に、一対の抵抗58が形成され、この抵抗58に接点55が接触することで、抵抗58に電圧が印加されるようになっている。
【0004】
このような従来のスイッチユニット49の操作は、所望する位置の複数の接点55に対応する位置のコイル53に通電して、操作キー51を上昇させて破線で示すような膨出部50を形成する。
そして、所望の高さの膨出部50を押圧操作して操作キー51を降下させると、操作キー51の下端がドーム状の板バネ56を押圧して板バネ56が反転すると、接点55が閉じられて抵抗58に電圧が印加され、所望の入力を行うことができる。
【特許文献1】特開平2002−298684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述したような従来のスイッチユニット49は、コイル53の磁界と永久磁石からなる操作キー51の磁界の強さのバラツキによって、操作キー51の上昇寸法にバラツキが発生する。そのために、複数の膨出部50の高さがバラツキ、膨出部50の押圧操作性が悪くなるおそれがあった。
本発明は、前述したような課題を解決するためになされたもので、複数の操作キーを上昇させて形成される膨出部の高さを均一にして、操作性に優れたスイッチユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明のスイッチユニットは、基板上に配設されたスイッチ手段と、このスイッチ手段の上部に配設されて前記スイッチ手段を押圧操作可能なスイッチ操作手段とを備え、
前記スイッチ操作手段は、昇降可能な操作キーと、この操作キーの昇降方向と直交する方向にスライド移動可能なスライダとを有し、前記操作キーには、通電及び無通電により伸縮可能な第1駆動手段が取り付けられ、前記スライダには、通電及び無通電により伸縮可能な第2駆動手段が取り付けられ、
前記第1駆動手段により上昇状態となった前記操作キーと前記スイッチ手段との間にできた隙間に、前記第2駆動手段により前記スライダがスライドして侵入可能になっており、前記隙間に前記スライダが侵入した状態で、前記上昇状態にある前記操作キーを押圧操作すると、前記スライダを介し前記スイッチ手段が押圧されて入力可能となることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記第1、第2駆動手段は、形状記憶合金からなり、無通電時は所定長さの初期状態となっており、通電時は発熱して前記初期状態より短い収縮状態となることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記操作キーは、前記通電時に前記第1駆動手段が前記収縮状態となることで前記上昇状態となり、前記無通電時に前記第1駆動手段が前記初期状態に復帰することで前記操作キーが降下して降下状態となることを特徴とする。
【0007】
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記隙間に前記スライダが侵入した状態で、前記第2駆動手段に通電して前記収縮状態となると、前記スライダが前記隙間から抜け出て、前記上昇状態にある前記操作キーが前記降下状態となり前記隙間が無くなることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第5の手段として、前記スライダには、弾性部材が取り付けられ、前記第2駆動手段が前記通電時に前記収縮状態となると、前記スライダは、前記弾性部材の付勢力に抗して前記隙間から抜け出す方向にスライド可能となり、前記第2駆動手段が前記無通電時に前記初期状態になると、前記弾性部材の付勢力で前記隙間に侵入する方向にスライド可能になっていることを特徴とする。
【0008】
また、前記課題を解決するための第6の手段として、前記操作キーの下端部には、前記スライダを介して前記スイッチ手段を押圧操作可能な第1突出部と、この第1突出部より突出高さの低い第2突出部とが形成され、前記スライダには、所定厚さの第1受け部と、この第1受け部より厚さが厚い第2受け部とが形成され、前記操作キーが前記上昇状態の時に前記隙間に前記スライダが侵入すると、前記第1受け部上に前記第1突出部が位置すると共に、前記第2受け部上に前記第2突出部が位置することを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第7の手段として、前記降下状態の時の前記操作キーは、前記第1突出部が前記スイッチ手段上に位置すると共に、前記第2突出部が前記スライダの前記第1受け部上に位置することを特徴とする。
【0009】
また、前記課題を解決するための第8の手段として、前記第1駆動手段は、一端部がキー用電極に固着されて接続されると共に、他端部が前記操作キーを宙吊り状に支持して、前記操作キーが前記昇降可能になっていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第9の手段として、前記操作キーには、押圧操作可能な操作部が形成され、前記操作部上にシート部材が配設され、前記操作キーが前記上昇状態となると、前記シート部材が前記操作部により上方に押し上げられて所定高さの膨出部が形成され、前記操作キーが前記降下状態となると、前記シート部材が平坦状になることを特徴とする。
【0010】
また、前記課題を解決するための第10の手段として、前記シート部材の下部には、静電容量式の座標入力装置が配設され、前記操作キーが前記上昇状態にある時に、前記シート部材に操作者がタッチすると、静電容量が変化して前記座標入力装置が入力されると共に、前記操作キーを押圧操作すると前記スイッチ手段が入力されることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第11の手段として、前記基板上には、複数の前記スイッチ手段が配設され、前記スイッチ手段上に前記スイッチ操作手段がそれぞれ配設されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第12の手段として、前記スイッチ手段は、タクトスイッチからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスイッチユニットは、第1駆動手段により上昇状態となった操作キーとスイッチ手段との間にできた隙間に、第2駆動手段によりスライダがスライドして侵入可能になっており、隙間にスライダが侵入した状態で、上昇状態にある操作キーを押圧操作すると、スライダを介しスイッチ手段が押圧されて入力可能となるので、上昇状態の複数の操作キーの上昇高さを均一にして、操作性に優れたスイッチユニットを提供できる。
また、第1、第2駆動手段は、形状記憶合金からなり、無通電時は所定長さの初期状態となっており、通電時は発熱して初期状態より短い収縮状態となるので、操作キーの上昇操作、及びスライダのスライドを確実に行うことができる。
また、操作キーは、通電時に第1駆動手段が収縮状態となることで上昇状態となり、無通電時に第1駆動手段が初期状態に復帰することで操作キーが降下して降下状態となるので、第1駆動手段が収縮することで操作キーを確実に上昇状態とすることができる。
【0012】
また、操作キーとスイッチ手段との間の隙間にスライダが侵入した状態で、第2駆動手段に通電して収縮状態となると、スライダが隙間から抜け出て、上昇状態にある操作キーが降下状態となり隙間が無くなるので、操作キーの昇降が容易なスイッチユニットを提供できる。
また、スライダには、弾性部材が取り付けられ、第2駆動手段が通電時に収縮状態となると、スライダは、弾性部材の付勢力に抗して隙間から抜け出す方向にスライド可能となり、第2駆動手段が無通電時に初期状態になると、弾性部材の付勢力で隙間に侵入する方向にスライド可能になっているので、スライダによって操作キーを上昇状態、降下状態に容易に可変することができる。
【0013】
また、操作キーの下端部には、スライダを介してスイッチ手段を押圧操作可能な第1突出部と、この第1突出部より突出高さの低い第2突出部とが形成され、スライダには、所定厚さの第1受け部と、この第1受け部より厚さが厚い第2受け部とが形成され、操作キーが上昇状態の時に隙間にスライダが侵入すると、第1受け部上に第1突出部が位置すると共に、第2受け部上に第2突出部が位置するので、操作キーを押圧操作することで、スライダが押されてスイッチ手段を確実に入力することができる。
また、降下状態の時の操作キーは、第1突出部がスイッチ手段上に位置すると共に、第2突出部がスライダの第1受け部上に位置するので、降下状態における操作キーの上下方向の位置のバラツキも均一とすることができる。
また、第1駆動手段は、一端部がキー用電極に固着されて接続されると共に、他端部が操作キーを宙吊り状に支持して、操作キーが昇降可能になっているので、上昇時の操作キーにより、高さの均一な膨出部とすることができる。
【0014】
また、操作キーには、押圧操作可能な操作部が形成され、操作部上にシート部材が配設され、操作キーが上昇状態となると、シート部材が操作部により上方に押し上げられて所定高さの膨出部が形成され、操作キーが降下状態となると、シート部材が平坦状になるので、シート部材に対する膨出部の形成が容易である。
また、シート部材の下部には、静電容量式の座標入力装置が配設され、操作キーが上昇状態にある時に、シート部材に操作者がタッチすると、静電容量が変化して座標入力装置が入力されると共に、操作キーを押圧操作するとスイッチ手段が入力されるので、1つのスイッチ操作手段で2種類の入力が可能なスイッチユニットを提供でいる。
【0015】
また、基板上には、複数のスイッチ手段が配設され、スイッチ手段上にスイッチ操作手段がそれぞれ配設されているので、複数のスイッチ手段の中から所望のスイッチ手段上の操作キーを上昇状態にして膨出部を形成することで、操作性に優れて確実な入力が可能なスイッチユニットを提供できる。
また、スイッチ手段は、タクトスイッチからなるので、構造が簡単なスイッチユニットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明のスイッチユニットの実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明のスイッチユニットの要部斜視図であり、図2、図3は本発明に係わる操作キーの動作を説明する要部断面図であり、図4、図5は本発明に係わる操作キーとスライダとの動作を説明する概略図であり、図6は本発明に係わる操作キーの側面図と正面図であり、図7は本発明に係わるスライダの斜視図と側面図であり、図8は本発明のスイッチ装置の使用例を説明する分解斜視図であり、図9は本発明のその他の実施の形態を説明する概略図である。
【0017】
まず、本発明の形態のスイッチユニット1を、図1〜図8に基づいて説明すると、最下部には、剛性を有する基板2が配設され、この基板2上に所定厚さのスイッチ支持部材3が配設されている。
前記スイッチ支持部材3には、スイッチ支持部3aが形成され、このスイッチ支持部3aに、押圧操作することで入力可能なスイッチ手段4が支持されている。
また、スイッチ支持部材3上には、第1FPC(フレキシブルプリント基板)5が配設され、この第1FPC5を介してスイッチ手段4上には、スイッチ手段4を押圧操作可能なスイッチ操作手段6が配設されている。
【0018】
前記スイッチ操作手段6は、操作キー7とスライダ8とを有し、操作キー7は、図6に示すように、円柱状で操作者が押圧操作可能な操作部7aと、この操作部7aの図示下部寄りの位置から図示左右方向に延出する鍔部7bとが一体形成されている。前記鍔部7bには、後述する第1駆動手段10が挿通可能な孔7cが貫通形成されている。
また、操作キー7の下端部には、後述するスライダ8を介してスイッチ手段4を押圧操作可能な第1突出部7dと、この第1突出部7dより突出高さの低い第2突出部7eとが形成されている。
また、第1突出部7dと第2突出部7eとの間には、所定寸法の幅と深さの溝7fが形成され、この溝7fの深さは、鍔部7bの下面と同一面になるように形成されている。
【0019】
また、スライダ8は、図7に示すように、所定厚さで略円弧状に形成された第1受け部8aと、この第1受け部8aより厚さが厚く生成された第2受け部8bとを有している。前記第2受け部8bの下部には、後述する弾性部材18を取付可能な取付ピン8cを有する第1取付部8dと、後述する第2駆動手段19を取付可能な第2取付部8eとが所定深さで掘り込み形成されている。
また、操作キー7の溝7fには、板状のキー支持部材9が接着剤等で固着され、このキー支持部材9は、図2に示すように、左右両端部が操作キー7の孔7cの一部を塞ぐ長さに形成されている。
【0020】
また、キー支持部材9の左右両端部には、線材をコイル状に形成した形状記憶合金からなる第1駆動手段10がそれぞれ取り付けられている。前記第1駆動手段10は、無通電時に所定長さの初期状態(伸長状態)となって、操作キー7が矢印A方向に降下した降下状態となるようになっている。また、第1駆動手段10は、通電時に発熱して無通電時の初期状態より短い収縮状態となって、操作キー7が矢印B方向に上昇した上昇状態となるようになっている。
この上昇状態となった操作キー7と第1FPC5との間にできた隙間に、後述する第2駆動手段19によりスライダ8がスライドして侵入可能になっている。
【0021】
前記キー支持部材9の両端部に取り付けられたそれぞれの第1駆動手段10は、鍔部7bに形成した孔7cを挿通して図示上部側の一端部がキー用電極11に半田付け等で電気的に接続されている。
また、操作キー7は、所定厚さの第1キー保持部材12に形成した保持孔12aに挿通保持されて昇降可能になっている。前記キー用電極11は、第1キー保持部材12上に配設した第2FPC13の回路パターン(図示せず)に半田付け等で固着されている。
即ち、第1駆動手段10は、一端部が第1キー保持部材12上の第2FPC13に固着したキー用電極11に接続されて支持されると共に、他端部がキー保持部材9を介して操作キー7に支持されている。
そのために、操作キー7は、キー用電極11に第1駆動手段10を介して宙吊り状に支持されて、第1駆動手段10に対して通電、無通電とすることで昇降可能になっている。
【0022】
また、第2FPC13上には、キー用電極11を覆うように所定厚さの第2キー保持部材14が配設され、この第2キー保持部材14上に保護シート15を介してフィルム状で可撓性のあるシート部材16が配設されている。
そして、操作キー7の操作部7aは、第2キー保持部材14及び保護シート15を挿通して、上面がシート部材16で覆われている。
そのために、図3に示すように、操作キー7が矢印B方向に上昇した上昇状態となると、操作部7aによりシート部材16が押し上げられて所定高さの膨出部16aが形成される。また、図1に示すように、操作キー7が矢印A方向に降下した降下状態となると、膨出部16aは、シート部材16の復元力により平坦状に戻るようになっている。
【0023】
また、スライダ8は、所定厚さのスライダ保持部材17のスライダ保持部17aに保持されて、図2に示すように、矢印C、D方向にスライド可能になっている。前記スライダ8の第1取付部8dの取付ピン8cには、図2に示すように、圧縮コイルバネからなる弾性部材18が取り付けられている。
また、スライダ8の第2取付部8eには、形状記憶合金からなるコイル状の第2駆動手段19が取り付けられており、この第2駆動手段19の端部にスライダー用電極20が固着されている。
前記第2駆動手段19は、第1駆動手段10と同様に、無通電時は第2駆動手段19が所定長さの初期状態(伸長状態)になり、スライダ8が矢印C方向にスライド可能になると共に、通電時は第2駆動手段19が初期状態より短い収縮状態となり、スライダ8が矢印D方向にスライド可能になっている。
【0024】
また、複数のスイッチ手段4を備えたスイッチユニット1は、図8に示すように、スイッチ支持部材3に複数のスイッチ手段4が整列して配設され、この複数のスイッチ手段4上に第1FPC5を介して、それぞれスイッチ操作手段6が配設されている。
そして、操作キー7が上昇状態となった部分のシート部材16には、所定高さの膨出部16aが形成され、この膨出部16aを操作者の指等で押圧操作可能となっている。また、操作キー7が降下状態となっている部分のシート部材16は平坦状になっている。
そのために、降下状態の操作キー7の部分(シート部材16が平坦状になっている部分)を操作者が誤って押圧操作したとしても、操作キー7を押圧操作できないようになっている。
【0025】
このような本発明のスイッチユニット1の操作を説明すると、まず、所望の位置のスイッチ手段4を押圧して入力操作可能とするには、所望の位置のスイッチ手段4に対応するスイッチ操作手段6の第1駆動手段10に、所定の電圧を通電すると第1駆動手段10は、図3に示すような収縮状態となる。
このことで、第1駆動手段10に宙吊り状に支持された操作キー7が矢印B方向に上昇して、シート部材16が操作部7aによって押し上げられて膨出部16aが形成される。
前記操作キー7が上昇状態となって、操作キー7の下端部である第1突出部7dと、第1FPC5との間に所定寸法の隙間が形成される。
【0026】
前記操作キー7が上昇状態にある時に、第2駆動手段19を無通電とすることで、第2駆動手段19の収縮力が解除されて第2駆動手段19が初期状態に復帰すると共に、弾性部材18の付勢力により、スライダ8が矢印C方向にスライドする。このことにより、操作キー7と第1FPC5との間の隙間にスライダ8が侵入して位置する。
その後、第1駆動手段10への通電を遮断して無通電とすることで、第1駆動手段10の収縮力が解除される。このことにより、図5に示すように、操作キー7の第1突出部7dが第1受け部8a上に位置すると共に、第2突出部7eが第2受け部8b上に位置する。
【0027】
そして、操作キー7は、上昇状態となり、シート部材16に形成された所定高さの膨出部16aを操作者の指等で押圧操作すると、操作キー7が所定量降下して、スライダ8を介してスイッチ手段4が押圧されて入力される。
前記スライダ8上に操作キー7を位置させることで、膨出部16aの膨出高さのバラツキを無くすることができ、操作性を向上することができる。
また、シート部材16が平坦状になって、操作キー7が降下状態となっている部分を、操作者が誤って押圧操作したとしても、操作キー7を押し下げることができず、所望のスイッチ手段4以外のスイッチ手段4が入力される誤入力を防止できる。
【0028】
また、上昇状態にある操作キー7を矢印A方向に降下させて、シート部材16を平坦状にするには、図3に示すように、操作キー7が上昇状態にある時で、無通電状態となっている第1駆動手段10に通電することで、第1駆動手段10が若干収縮して、操作キー7が若干上昇する。
すると、スライダ8の第1、第2受け部8a、8b上に位置していた操作キー7の第1、第2突出部7d、7eが若干上昇して離間する。
この時、第2駆動手段19に通電すると、弾性部材18の付勢力に抗して第2駆動手段19が収縮し、スライダ8が操作キー7と第1FPC5との間から抜け出す方向(矢印D方向)にスライドする。
【0029】
その後、第1駆動手段10への通電を解除して無通電とすることで、第1駆動手段10の収縮が解除されて初期状態に復帰すると共に、シート部材16の復元力により膨出部16aが平坦状に戻る。
前記平坦状に戻るシート部材16により、図4に示すように、操作キー7が下方に押されて降下状態となる。
前記操作キー7が降下状態となって、前記シート部材16が平坦状になった部分を、操作者が誤って押圧操作しても、スイッチ手段4が入力するほど、操作キー7を押し下げることができない。そのために、スイッチ手段4の誤入力を防止できる。
【0030】
尚、本発明の実施の形態では、スイッチ手段4上に第1FPC5を配設したもので説明したが、スイッチ手段4上に第1FPC5が無いものでも良い。
即ち、上昇状態の操作キー7とスイッチ手段4との間に隙間が形成されるものでも良い。
また、本発明の実施の形態では、スイッチ手段4をタクトスイッチで説明したが、図9に示すような、メンブレンスイッチからなるスイッチ手段27でも良い。
前記メンブレンスイッチからなるスイッチ手段27は、可動接点27aと固定接点27bとが形成され、可動接点27aが押圧されて固定接点27bに接することで所定の入力が行われるようになっている。
また、本発明の実施の形態では、第1、第2駆動手段10、19に通電することで収縮状態となり、無通電とすることで所定長さの初期状態に復帰することで説明したが、通電することで初期状態になり、無通電とすることで収縮状態となるようにしたものでも良い。
【0031】
また、本発明のその他の実施の形態のスイッチユニット25として、図9に示すように、シート部材16の下部には、図1に示す保護シート15に換えて、静電容量式の座標入力装置26を配設したものでも良い。
このようなスイッチユニット25は、、操作キー7が上昇状態にある時に、シート部材16の膨出部16aに操作者がタッチすると、座標入力装置26の静電容量が変化して所望の座標入力が行われると共に、膨出部16aを押圧して操作キー7を押圧操作すると、スライダ8を介してメンブレンスイッチからなるスイッチ手段27が押圧されて、可動接点27aが固定接点27bに接して入力されるようにしたものでも良い。
このような本発明のその他の実施の形態のスイッチユニット25は、1つのスイッチ操作手段6により、座標入力装置26とスイッチ手段27の異なった入力ができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のスイッチユニットの要部斜視図である。
【図2】本発明に係わる操作キーの動作を説明する要部断面図である。
【図3】本発明に係わる操作キーの動作を説明する要部断面図である。
【図4】本発明に係わる操作キーとスライダとの動作を説明する概略図である。
【図5】本発明に係わる操作キーとスライダとの動作を説明する概略図である。
【図6】本発明に係わる操作キーの側面図と正面図である。
【図7】本発明に係わるスライダの斜視図と側面図である。
【図8】本発明のスイッチ装置の使用例を説明する分解斜視図である。
【図9】本発明のその他の実施の形態を説明する概略図である。
【図10】従来のスイッチユニットを説明する要部断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 本発明のスイッチユニット
2 基板
3 スイッチ支持部材
3a スイッチ支持部
4 スイッチ手段
5 第1FPC
6 スイッチ操作手段
7 操作キー
7a 操作部
7b 鍔部
7c 孔
7d 第1突出部
7e 第2突出部
7f 溝
8 スライダ
8a 第1受け部
8b 第2受け部
8c 取付ピン
8d 第1取付部
8e 第2取付部
9 キー支持部材
10 第1駆動手段
11 キー用電極
12 第1キー保持部材
12a 保持孔
13 第2FPC
14 第2キー保持部材
15 保護シート
16 シート部材
17 スライダ保持部材
18 弾性部材
19 第2駆動手段
20 スライダ用電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配設されたスイッチ手段と、このスイッチ手段の上部に配設されて前記スイッチ手段を押圧操作可能なスイッチ操作手段とを備え、
前記スイッチ操作手段は、昇降可能な操作キーと、この操作キーの昇降方向と直交する方向にスライド移動可能なスライダとを有し、前記操作キーには、通電及び無通電により伸縮可能な第1駆動手段が取り付けられ、前記スライダには、通電及び無通電により伸縮可能な第2駆動手段が取り付けられ、
前記第1駆動手段により上昇状態となった前記操作キーと前記スイッチ手段との間にできた隙間に、前記第2駆動手段により前記スライダがスライドして侵入可能になっており、前記隙間に前記スライダが侵入した状態で、前記上昇状態にある前記操作キーを押圧操作すると、前記スライダを介し前記スイッチ手段が押圧されて入力可能となることを特徴とするスイッチユニット。
【請求項2】
前記第1、第2駆動手段は、形状記憶合金からなり、無通電時は所定長さの初期状態となっており、通電時は発熱して前記初期状態より短い収縮状態となることを特徴とする請求項1記載のスイッチユニット。
【請求項3】
前記操作キーは、前記通電時に前記第1駆動手段が前記収縮状態となることで前記上昇状態となり、前記無通電時に前記第1駆動手段が前記初期状態に復帰することで前記操作キーが降下して降下状態となることを特徴とする請求項2記載のスイッチユニット。
【請求項4】
前記隙間に前記スライダが侵入した状態で、前記第2駆動手段に通電して前記収縮状態となると、前記スライダが前記隙間から抜け出て、前記上昇状態にある前記操作キーが前記降下状態となり前記隙間が無くなることを特徴とする請求項2、または3記載のスイッチユニット。
【請求項5】
前記スライダには、弾性部材が取り付けられ、前記第2駆動手段が前記通電時に前記収縮状態となると、前記スライダは、前記弾性部材の付勢力に抗して前記隙間から抜け出す方向にスライド可能となり、前記第2駆動手段が前記無通電時に前記初期状態になると、前記弾性部材の付勢力で前記隙間に侵入する方向にスライド可能になっていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のスイッチユニット。
【請求項6】
前記操作キーの下端部には、前記スライダを介して前記スイッチ手段を押圧操作可能な第1突出部と、この第1突出部より突出高さの低い第2突出部とが形成され、前記スライダには、所定厚さの第1受け部と、この第1受け部より厚さが厚い第2受け部とが形成され、前記操作キーが前記上昇状態の時に前記隙間に前記スライダが侵入すると、前記第1受け部上に前記第1突出部が位置すると共に、前記第2受け部上に前記第2突出部が位置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスイッチユニット。
【請求項7】
前記降下状態の時の前記操作キーは、前記第1突出部が前記スイッチ手段上に位置すると共に、前記第2突出部が前記スライダの前記第1受け部上に位置することを特徴とする請求項6記載のスイッチユニット。
【請求項8】
前記第1駆動手段は、一端部がキー用電極に固着されて接続されると共に、他端部が前記操作キーを宙吊り状に支持して、前記操作キーが前記昇降可能になっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスイッチユニット。
【請求項9】
前記操作キーには、押圧操作可能な操作部が形成され、前記操作部上にシート部材が配設され、前記操作キーが前記上昇状態となると、前記シート部材が前記操作部により上方に押し上げられて所定高さの膨出部が形成され、前記操作キーが前記降下状態となると、前記シート部材が平坦状になることを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載のスイッチユニット。
【請求項10】
前記シート部材の下部には、静電容量式の座標入力装置が配設され、前記操作キーが前記上昇状態にある時に、前記シート部材に操作者がタッチすると、静電容量が変化して前記座標入力装置が入力されると共に、前記操作キーを押圧操作すると前記スイッチ手段が入力されることを特徴とする請求項8、または9記載のスイッチユニット。
【請求項11】
前記基板上には、複数の前記スイッチ手段が配設され、前記スイッチ手段上に前記スイッチ操作手段がそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスイッチユニット。
【請求項12】
前記スイッチ手段は、タクトスイッチからなることを特徴とする請求項1乃至11記載のスイッチユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−122921(P2007−122921A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310129(P2005−310129)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】