説明

スイッチングガス偏向要素を装備した接点ギャップを有する高電圧回路遮断器

接点ギャップ(6)を備えるスイッチングデバイスアセンブリは、絶縁材料から作られたノズル(7)を備える。絶縁材料から作られたノズル(7)は、熱ガス室(10)で終わるノズルチャネル(8)を備える。偏向チャネル(15a,15b)内部で支持される偏向要素(14a,14b)が熱ガス室(10)内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に絶縁ノズルによって囲まれる、接点ギャップを有するスイッチングデバイス装置に関連し、そのノズルチャネルは、偏向要素が配置された熱ガス室に開口している。
【背景技術】
【0002】
このようなスイッチングデバイス装置は、例えば特許文献1によって知られている。前記文献においては、接点ギャップが絶縁ノズルによって囲まれている。絶縁ノズルのノズルチャネルは、熱ガス室に開口している。スイッチング動作中、膨張したスイッチングガスは、ノズルチャネルを介して熱ガス室へ誘導される。さらに偏向要素が熱ガス室内に配置され、前記偏向要素により熱ガス室は特定の方法でスイッチングガスによって洗い流される。
【0003】
バルブ開口部は、熱ガス室内の端側に配置される。このようなバルブ開口部は、移動可能な要素であるため、移動不能なアセンブリより故障の確率が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−086023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、スイッチングガスによる熱ガス室の十分な洗い流しを確実にする、故障確率の低いスイッチングデバイス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると目的は、最初に述べられたタイプのスイッチングデバイス装置に、偏向要素が偏向チャネルを有し、かつ偏向チャネル内に支持されることによって達成される。
【0007】
偏向要素の偏向チャネル内での支持または保持により、側面および端側において偏向要素は任意の所望の構成または形を設けることができる。したがって偏向要素のさまざまな構成が可能となり、その結果偏向要素および熱ガス室の形の組み合わせによりスイッチングガスおよび熱ガス室に貯蔵された冷たい絶縁ガスのより的を絞った混合が可能となる。
【0008】
スイッチング動作中、接点ギャップにスイッチングアークが発生することができる。スイッチングアークはスイッチングガスを膨張させ、かつ加熱する。スイッチングガスは例えば加熱された六フッ化硫黄のような絶縁ガスとすることができ、またはプラスチックから放出されるハードガス(hard gas)を使用することもできる。このスイッチングガスはまた熱いスイッチングアークからノズルチャネルを介して通り抜け、かつ熱ガス室に導入されおよびそこでバッファ貯蔵される。いったんスイッチングアークが静まると、またはアークプラズマの接点ギャップを冷やし、かつクリアにするために熱ガス室にバッファ貯蔵されたガスが接点ギャップに再び放出される。
【0009】
熱いスイッチングガスが導入される前は、熱ガス室は、スイッチングアークにさらされていない冷たい絶縁ガスで満たされている。偏向要素の適した配置および形により、熱いスイッチングガスおよび冷たい絶縁ガスの熱ガス室内での混合が促進、または抑圧される。スイッチングデバイス装置により達成されるスイッチングタスクにより、冷たいガスおよび加熱ガスが熱ガス室内で十分に混合および配合されることができる。しかし、また熱ガス室内には好ましく実質的に渦巻きのない階層構造のガスがある場合があり、結果として、バッファ貯蔵されたガスが熱ガス室から放出される場合、相対的に冷たいおよび相対的に熱いガスの並びが存在する。
【0010】
偏向チャネルに導入されるスイッチングガスは概してスイッチングアークにより高い圧力を有し、かつ流速が増加して熱ガス室へ流れる。偏向チャネル内に配置された保持要素または支持体は、高流速の熱いスイッチングガスにより十分な流れがあるので無視できる程度に熱いスイッチングガスの流速を減少させ、したがってスイッチングガスの単純な偏向および誘導がなおも可能である。
【0011】
偏向要素は、電気的に絶縁または電気的に導電の材料を有することができる。
【0012】
さらに、好都合に支持体は半径方向に整列された支柱を有することができる。
【0013】
半径方向に整列された支柱は、流れに好都合な方法にて偏向チャネル内に配置されることができる。この場合、偏向チャネル内にガスを導くために支柱の間に十分な断面が残る。この場合、支柱は流れに好都合に適した形となるように設計されうる。したがって例えば支柱を個別の開口部を有するリングとして環状の外形に形成することが可能である。支柱は、開口部を区切る。したがって、例えばリング内に円形の切欠きを配置することができ、偏向要素を配置するために残りのリングの材料は、半径方向に整列された支柱を形成する。したがって保持力は、偏向チャネル内の偏向要素に吸収される。外周リングの円形切欠きの使用に加えて、円弧状の切欠き、楕円切欠きまたは支柱の間に配置された貫通開口部に適する他の断面の形もまた使用することができる。
【0014】
偏向要素の反対側に突出する自由端部ができるように、好都合に、偏向チャネルの中央部分内に偏向要素のための支持体を提供することができる。
【0015】
偏向チャネルの中央部分が偏向要素を支えるために使用される場合、偏向要素の端側部分は、保持および支持デバイスがない状態にすることができる。したがって熱ガス室内で偏向要素を柔軟に幅広い多様な形に配置することができる。例えば偏向要素の一方の端部をさらなる構成部品と同一平面で当接させることができるため、必要に応じて、熱ガス室内の位置および状態を比較的容易に変えることができる。さらに偏向要素を中心に保持することにより、偏向要素の形を変えることができ、偏向チャネルに単独で保持要素が配置される場合に流れ特性に関して形を最適化することができる。
【0016】
環状のチャネルの形でノズルチャネルが熱ガス室に開口するように、および熱ガス室に向かうノズルチャネルの吹き込み方向が偏向チャネルに開くように、さらに好都合の構成を提供することができる。
【0017】
絶縁ノズルのノズルチャネルは、様々な形を有することができる。したがって、ノズルチャネルは回転対称な形を有することができ、例えばノズルチャネルはその長さにわたって異なる断面の様々な部分を備えることができる。したがって例えば熱ガス室に開口する範囲に環の形のノズルチャネルを形成することができ、この結果、ノズルチャネルはこの範囲では環状チャネルの形に構成される。環状チャネルは接点ギャップから通過し熱ガス室に吹き込まれる熱いスイッチングガスを許容するのに適している。ノズルチャネルの熱ガス室への吹き込み方向は、この場合偏向チャネルに開口するように向けられる。これはスイッチングガスがノズルチャネルから出て熱ガス室に入り、かつ好都合に偏向チャネル内を通過し、およびそこから通り過ぎることを確実にする。したがって熱ガス室内の特定の流れ方向があらかじめ定められている。環状チャネルの開口部および偏向チャネルのガス入口開口部が互いに離間している場合これは好都合であり、その結果過剰な圧力が発生する場合、過剰なガスがノズルチャネルの開口部および偏向チャネルのガス入口開口部の間の範囲から流れ出ることができるためノズルチャネルまたは偏向チャネルの破壊が妨げられる。
【0018】
さらに好都合な構成は、偏向チャネルに少なくとも部分的に突出するノズルチャネルを区切る壁を提供することができる。
【0019】
絶縁ノズルのノズルチャネルは壁によって区切られている。壁は、例えば絶縁ノズルの一部または例えば補助ノズル、スイッチング接点部品または同様なもののようなさらなるアセンブリである。ノズルチャネルを区切る壁は、ノズルチャネルの開口部を越えて熱ガス室内に拡張され、この壁は、偏向チャネル内に好都合に突出することができる。これはノズルチャネルから出て偏向チャネルに入る熱いスイッチングガスの通路を補助する。ノズルチャネルを区切る壁は、少なくとも表面上に絶縁材料を有することができる。例えばスイッチング接点部品は絶縁材料からなる被覆を有することができる。例えばポリテトラフルオロエチレンを使用することは好都合であることが証明されている。このポリテトラフルオロエチレンをノズルチャネルを区切るために使用することができる。偏向チャネルに突出する壁は、少なくともノズルチャネルの一部を区切る。環状チャネルとしての開口部領域にてノズルチャネルを区切る壁を使用することは好都合である。
【0020】
好都合に、偏向要素は偏向チャネルに突出する壁に支持されることができる。
【0021】
偏向要素を偏向チャネルに突出する壁で支えることにより、偏向チャネルおよびノズルチャネルの間の固定角度での接続を形成することができる。したがって、ノズルチャネルおよび偏向要素の間の空間および幾何学的配置は固定される。互いに対する偏向チャネルおよびノズルチャネルの位置は、互いに対して移動可能なさらなる構成部品に関係なくほぼ同じである。したがって熱ガス室内を流れるスイッチングガスの確実かつおよび持続的な誘導および方向づけが提供される。
【0022】
偏向チャネル内に突出する壁は、例えば中空円筒とすることができ、かつ例えば接点部品、特にアーク接点部品は絶縁材料によって囲まれることが可能である。このアーク接点部品は、例えば偏向チャネルを貫通することができ、かつ例えば環状チャネルの形のこの偏向チャネルを狭窄することができる。偏向チャネル内に突出する壁を例えば絶縁壁とすることができる。しかし、また偏向チャネル内に突出する接点部品自体がノズルチャネルに、熱ガス室の開口部領域に環状チャネルを形成する構造を設けることができる。この接点部品は、例えば移動可能な形、または例えば管形状の不動のアーク接点部品とすることができる。チューリップ形または管状のアーク接点部品および偏向チャネルに突出する壁を形成する側面を覆う電気的絶縁層の組み合わせがまた考えられる。偏向要素は、金属材料から作られることができる。固定するために、偏向要素はねじ留め、接着接合、締め付けなどが可能である。
【0023】
さらに好都合な構成ではノズルチャネルを区切る壁と一体に形成された偏向要素を設けることができる。
【0024】
偏向要素およびノズルチャネルを区切る壁の一体構成により、電気的スイッチングデバイス内に一体型の複合物が形成される。これにより設置中にノズルチャネルを区切る壁と共に偏向要素を電気的スイッチングデバイス内に位置決めすることができる。
【0025】
さらに一体製造により、スイッチングデバイス装置の一連の製造においても寸法の持続的な安定性が提供される。
【0026】
環状の偏向チャネルが形成されるように、好都合にノズルチャネルを区切る壁は偏向要素に突出することができる。
【0027】
環状部分を有する偏向チャネルの構成により、特に熱ガス室内のノズルチャネルの環状の開口部の場合に、ノズルチャネルから出て偏向チャネルへ入るスイッチングガスの良好な通路を提供することができる。スイッチングガスの流れはこの場合層状に方向づけられ、その結果熱ガス室に入る場合可能な限り均一なスイッチングガスの環状のカーテンが提供される。
【0028】
さらに好都合な構成では半径方向に整列された開口部を、偏向チャネルを区切る壁に配置することができる。
【0029】
好都合に半径方向に整列された開口部を有する偏向チャネルの壁は、偏向要素の外側面に配置される。これにより、いったん熱いスイッチングガスが偏向チャネルに入ると、熱いスイッチングガスが半径方向に整列された開口部内に偏向されることが可能である。したがって、少なくともいくらかの消弧ガスの流れは開口部を通じて半径方向に流され、さらに偏向チャネルの軸方向に流される。この目的のため、例えば、スイッチングガスを半径方向および軸方向に分けるために偏向チャネル内部に配置された支持体を使用することができる。
【0030】
偏向要素の外側面における既定の適した開口部の位置決めにより、熱ガス室に熱いスイッチングガスは分割して広がる。例えば外縁の周りに環状および半径方向に位置合わせされるように、開口部各グループを偏向要素の外側の壁に配置することができる。個々の環の間の空間、および場合によっては開口部の形または開口部の位置の変化によって、熱ガス室に位置する熱いスイッチングガスおよび冷えた絶縁ガスの混合が多かれ少なかれ起こる。
【0031】
さらに好都合な構成では、偏向要素は電気的に絶縁効果を有することができる。
【0032】
特に偏向要素がノズルチャネルを区切る壁と一体構成の場合、偏向要素を完全に絶縁材料から製造することが好都合である。したがって偏向要素を少なくとも部分的にノズルチャネルを区切る壁とともに形成するために、例えば安価なプラスチック射出成型法を使用することが可能である。しかしまた偏向要素の基礎本体は電気的に導電材料から成り、例えば偏向要素の部分に電気的に絶縁のコーティングを適用することができる。
【0033】
さらに好都合な構成では、偏向要素を軸に対して回転対称の形状とすることができる。
【0034】
回転対称な装置は、誘電的に有利な形であり、かつこれによりスイッチングガスが比較的渦を巻くことなく前記装置の表面に沿って流れることができる。特に本発明によるスイッチングデバイス装置を中電圧、高電圧および超高電圧の範囲、すなわち1万ボルトから数10万ボルトの電圧で使用する場合、スイッチングデバイス装置のアセンブリの誘電的に有利な形は好都合である。
【0035】
この場合、好都合に偏向要素を実質的に中空円筒の形とすることができる。
【0036】
中空円筒の装置は、中空円筒の内部に偏向チャネルを形成すること、またはさらなる壁を円断面を有する中空円筒の内部に導入することにより対応する環状チャネルを区切ることに適している。この場合、中空円筒はその長さに渡って実質的に均一な輪郭を有する。この場合、支持体または同様なものを形成するために、容易に個別の突起、縁、キャスティング等を中空円筒の基本的な構造に設けることができる。
【0037】
さらに好都合な構成では、偏向要素は実質的に中空錐台の形を有することができる。
【0038】
中空錐台の形の偏向要素の構成により、その側面にわたって偏向チャネルの断面を拡大または先細にさせることができる。これは、偏向チャネル内部の流れに有益な影響を及ぼす可能性がある。特に熱いスイッチングガスが偏向要素の偏向チャネルに流れる方向に連続的に膨張する場合、偏向チャネルの長さにわたって、可能な限り早く熱いスイッチングガスを遠くに誘導させ続けるために、熱い消弧ガスの流速がさらなる程度まで減少するように偏向チャネルのチャネル断面積を拡張することは好都合である。
【0039】
好都合にさらに偏向チャネルは、非連続的に変化する断面を有することができる。
【0040】
中に流れる熱いスイッチングガスを好ましい方向に方向づけおよび誘導するために、偏向要素の基本的な形に関係なく、突起、周辺の肩部、くびれ、または同様のものを偏向チャネル内に導入することが好都合である。この場合、断面の非連続的な変化はまた、例えば偏向チャネル内部に配置される支持体によってもたらされる。
【0041】
さらに好都合な構成では、偏向チャネルが常設のガス入口開口部および常設のガス出口開口部を有することができる。
【0042】
偏向チャネルのガス入口およびガス出口開口部は、互いに異なる断面積領域を有することができる。ガス入口チャネルの形および輪郭に応じて、偏向チャネル内の熱いスイッチングガスのより的を絞った方向づけおよび制御を行うことができる。常設のガス入口およびガス出口開口部により、スイッチングデバイス装置のスイッチング状態に関係なくガスが常に偏向チャネルに入り、および前記偏向チャネルから出ることができる。したがってスイッチングガスの流れおよび方向づけは、偏向チャネルの形に影響される。例えばバルブまたは同様のもの等の移動可能な装置なしで済ますことができる。ガス入口およびガス出口開口部は、例えば軸方向に一方が他方の後ろに形成されることができる。
【0043】
さらに、好都合に熱ガス室は、同軸上に整列された回転対称の2つの接点部品の間に配置されることがある。
【0044】
同軸上に互いに整列された回転対称な2つの接点部品の間に熱ガス室を配置することにより、熱ガス室の基本的な構造は中空円筒に一致する結果となる。接点部品は、例えば同電位を導く回路遮断器のアーキングおよび定格電流接点部品とすることができる。互いに対して移動可能な接点部品の間の接点ギャップを回路遮断器に形成することができる。電気的に導電の電流経路は、DC接点閉路によって作られ、かつこの電流経路は、分離されたスイッチング接点部品間のDC接続によって遮られる。電流経路を生成、または遮るために、スイッチング接点部品は、互いに対して移動することが可能である。改善された方法にてプロセス内で作られたスイッチングアークによるスイッチオンまたはスイッチオフ動作における腐食の制御を可能にするために、スイッチングデバイス装置は、好ましくアーク接点部品および定格電流接点部品のセットを有する。この場合、互いに関連するアーキングおよび定格電流接点部品に同電位が持続的に加えられる。スイッチオン動作の場合に、アーク接点部品間に第1の接触が起こり、その結果前記アーク接点部品にスイッチオンアークが生じる。その後、事実上アークなしで定格電流接点部品間に接触が起こる。これは、アーク接点部品の腐食に対抗するための材料の選定に関して最適化することができ、かつ導電性に関して定格電流接点部品を最適化することができる。スイッチオフ動作の場合に、逆の流れが起こる。まず、定格電流接点部品のDC絶縁が行われ、すぐにアーク接点部品がオープンになり、かつスイッチオフアークが前記アーク接点部品の間に通常発生する。
【0045】
熱エネルギーによりこのようなスイッチオンまたはスイッチオフアークは、接点ギャップの領域に位置する絶縁ガスまたはハードガスを膨張および加熱することが可能である。この加熱されたスイッチングガスは、接点ギャップへの吹き付けに、その結果電気的に導電のアークプラズマの接点ギャップをクリアにすることに使用することができる。この目的のために、スイッチングガスは、熱ガス室にバッファ貯蔵されている。
【0046】
さらに好都合な構成では、ノズルチャネルを接点部品間の端側にて熱ガス室に開口させることが可能である。
【0047】
実質的に中空円筒の断面を有するノズルチャネルを熱ガス室内の端側にて開口させることにより、熱ガス室の側面領域を比較的任意の所望の設計にすることができる。さらに、接点部品の軸に対して回転対称的に整列されたチャネルは、スイッチングデバイス装置の誘電的に有利な構成に整合する。
【0048】
本発明は例示的な実施形態を参照して下記の図面に図式的に示され、および下記により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1変形実施形態における偏向要素を有するスイッチングデバイス装置の断面図を示す。
【図2】第2および第3の変形実施形態における偏向要素を有するスイッチングデバイス装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
まず、図1を参照してスイッチングデバイス装置の基本的な設計が示される。スイッチングデバイス装置の基本設計はまた図2に図示される変形の実施形態に適用される。
【0051】
図1および2に図示されるスイッチングデバイス装置は、第1アーク接点部品1および第2アーク接点部品2を有する。第1アーク接点部品1および第2アーク接点部品2は、軸3に関して同軸上に位置合わせされるように互いに対向して配置される。軸3はスイッチングデバイス装置の長軸を示し、スイッチングデバイス装置は、実質的に前記長軸に関して同軸上に位置合わせされる。2つのアーク接点部品1,2は、互いに離間して配置され、かつ軸3に沿って互いに対して移動可能である。第1定格電流接点部品4は、第1アーク接点部品1に関して同軸上に位置合わせされる。第2定格電流接点部品5は、第2アーク接点部品2に関して同軸上に位置合わせされる。2つの定格電流接点部品4,5は、管状構成を有する。接点ギャップ6は、互いに面するアーク接点部品1,2の端部の間に形成される。2つのアーク接点部品1,2は、2つの定格電流接点部品4,5と同じ方法にて軸3に沿って互いに対して移動が可能であり、結果として前記アーク接点部品が互いにDC接触できるようになる。この場合スイッチオン動作が起こると、2つのアーク接点部品1,2の間に第1のDC接触が起こり、それから2つの定格電流接点部品4,5の間にDC接触が起こる。スイッチオフ動作が起こると、まず2つの定格電流接点部品4,5が開き、それから2つのアーク接点部品1,2が開く。これはスイッチング動作中に起こるスイッチングアークが接点ギャップ6内に好ましく誘導されることを確実にする。
【0052】
接点ギャップ6は、絶縁ノズル7によって囲まれる。絶縁ノズル7は、例えば焼結法を使用して作られ、かつポリテトラフルオロエチレンからなる本体である。絶縁ノズル7は、ノズルチャネル8を有する。ノズルチャネル8は、異なる断面を有する複数の部分を有する。絶縁ノズル7は、第1定格電流接点部品4に固定される。この目的のために、環状に突出した肩部が第1定格電流接点部品4上に設けられ、絶縁ノズル7の縁が前記肩部に対して押しつけられる。環状構成を有するネジ式接続9を用いて、絶縁ノズル7は第1定格電流接点部品に一定の角度にて接続される。
【0053】
中空円筒の熱ガス室10が、実質的に管状の第1定格電流接点部品4と、第1アーク接点部品1との間に形成される。中空円筒の熱ガス室10は、実質的に円形の断面を有し、かつ軸3に関して同軸上に位置合わせされる。ノズルチャネル8は、熱ガス室10の端部の一方の端側にて熱ガス室に開口し、前記端部は接点ギャップ6に面している。
【0054】
第1アーク接点部品1は、一定の角度にて接続要素11を介して第1定格電流接点部品4に接続される。接続要素11は、接点ギャップ6から離れて面する熱ガス室の端部にて境界壁を形成する。接続要素11の境界壁に切欠きが設けられ、必要であれば切欠きを閉じることができる。
【0055】
両方の第1アーク接点部品1および第2アーク接点部品2、並びに第1定格電流接点部品4および第2定格電流接点部品5は複数の構成部品を備えることができる。第1アーク接点部品1に関連した第1定格電流接点部品4および第2定格電流接点部品5に関連した第2アーク接点部品2は、スイッチングデバイスのスイッチング状態に関係なくそれぞれ同電位である。第1アーク接点部品1および第1定格電流接点部品4は、接続要素11を介して互いに電気的に導電的に接続される。
【0056】
第1アーク接点部品1は、接点ギャップ6に面する端部にブッシュ形状の開口部を有する。第2アーク接点部品2は、鏡で反転させたボルト状構造を有し、接触がおこるように第2アーク接点部品2は第1アーク接点部品1内のソケット形状の開口部内に移動できるようになっている。接点ギャップ6から離れたところの外形においては、第1アーク接点部品1は実質的に管状設計を有する。これにより第1アーク接点部品1の内部が例えば絶縁気体、スイッチング気体等の流体媒体が通るのに使用されることを可能にする。
【0057】
第1アーク接点部品1は、絶縁ノズル7のノズルチャネル8に部分的に突出し、この結果絶縁ノズル7および第1アーク接点部品1が同軸に整列するので、熱ガス室10内にノズルチャネル8の環状開口部12が形成される。第1アーク接点部品1により、ノズルチャネル8は、ノズルチャネル8および第1アーク接点部品1の間の重なった領域に環状チャネルの形に形成される。さらに第1アーク接点部品1は、いわゆる補助ノズル13によって囲まれる。補助ノズル13は電気的に絶縁効果を有する第1アーク接点部品1の外側面は、補助ノズル13によって囲まれる。ノズルチャネル8は、補助ノズル13の外側面およびノズルチャネル8の間を区切り、補助ノズル13はそれに対応して突出する。補助ノズル13の壁は、接点ギャップ6からノズルチャネル8の環状開口部12を越えて突出するように拡張し、かつ熱ガス室10の領域の横側で少なくとも部分的に第1アーク接点部品1を囲む。
【0058】
図1に示すように、偏向要素14aの第1の変形実施形態が熱ガス室10内に配置されている。偏向要素14aは、中空円筒の回転対称の構造を有し、軸3に関して同軸上に位置合わせされている。第1アーク接点部品1および補助ノズル13の拡張壁は両方、偏向要素14aの全長にわたって貫通する。結果として、実質的に中空円筒の偏向チャネル15aが形成される。開口部16が偏向要素14aの横の側壁に設けられている。開口部16はそれぞれ軸3に対して半径方向に位置合わせされ、および外側面で偏向チャネル15aを区切る壁を貫通している。この場合開口部16はそれぞれ環状の周囲経路上に均一に分布されるよう配置され、軸方向にオフセットされた複数の経路が軸3に沿って偏向要素14a上に配置される。偏向要素14aは軸3の軸方向に自由端部を有し、必要であれば前記自由端部を対応する形にさせることができる。自由端部は、熱ガス室10の面を区切る端側から離間されている。
【0059】
支持体17が、偏向チャネル15a内に配置される。支持体17は、外周リングの形をしており、軸3の軸の方向の個々の切欠きによって貫通されている。この場合切欠きは、異なる断面を有することができ、リングの切欠きの間に腹板が形成され、これらの腹板によって偏向要素14aは、ノズルチャネル8の環状開口部12を介して長く続く壁に接続される。この場合、偏向要素14aの形状に関係なく、偏向要素14aは、またノズルチャネル8を区切る壁に一体になることができ、または偏向要素14aをこのような壁に載置することができ、かつ例えば圧入、すきま嵌めなどを提供することが可能である。
【0060】
今回の場合、またノズルチャネル8を区切る壁は、完全に偏向チャネル15aを貫通する。図1に示す例においては、偏向チャネル15aは中空円筒の偏向要素14aの内側面およびノズルチャネル8を区切る壁の間に形成される。今回の例においては、偏向要素14aは、補助ノズル13に一体に接続され、したがってまたノズルチャネル8を区切る壁に一体に接続される。この場合、補助ノズル13は、偏向要素14aに加えてプラスチック、好ましくはポリテトラフルオロエチレンから形成することができる。
【0061】
2つのアーク接点部品1,2の間でスイッチングアークが発生すると、この範囲に位置する絶縁ガスが加熱され、かつ膨張し、その結果熱いスイッチングガスが作られる。適切な場合、絶縁ノズル7の絶縁材料もまたガス化される。膨張および加熱された少なくともいくらかのスイッチングガスは、ノズルチャネル8を通過し、接点ギャップ6内の絶縁ノズル7内部にて燃焼するスイッチングアークによって環状開口部12を介して熱ガス室10内へ追いやられる。熱いスイッチングガスは、ノズルチャネル8から偏向要素14aの偏向チャネル15a内へ排出方向に流れ出す。偏向要素14a内にてスイッチングガスのいくらかは半径方向に開口部16の中へ偏向され、かつスイッチングガスのいくらかは、完全に偏向チャネル15aを通過し、かつガス出口開口部を介して軸3の軸方向に前記偏向チャネルから出ていく。熱ガス室10内に位置する冷たい絶縁ガスはしたがって層をなす方法にて好ましく通過し、接点ギャップ内のスイッチングアークが弱まる場合、熱ガス室10内にバッファ貯蔵されたガスは、再び接点ギャップ6の方向にノズルチャネル8を介して流れ出る結果となる。熱ガス室10からガスが流れ戻る場合、前記ガスは好ましくノズルチャネル8の開口部12および偏向チャネル15aのガス入口開口部の間の区画に、半径方向からノズルチャネル8の中へ入る。
【0062】
図2は、図1と同様な断面図による電気的スイッチングデバイスの基本的な構造を示す。図1に示す偏向要素の形は別として、構成は機能的に同じであり、配置、動作モード、材料等に関して図1に対してなされた説明は、また図2に示す装置に適用することができる。したがって、図1に使用されたものと同じ参照符号は、図2の機能的に同じアセンブリに使用される。
【0063】
偏向要素14bの第2および第3変形構成の配置には、図2に示される補助ノズル13が設けられる。この場合、第2の変形構成は軸3の上に図示され、かつ第3の変形構成は、軸3の下に図示される。偏向要素14bの1つの構成においては、2つの変形例のうちの1つの対応する変形例が軸3の周りを完全に囲む状態で使用される。
【0064】
偏向要素14bの第2の変形例は、実質的に中空錐台の形の構造を有する。中空錐台の回転軸は、軸3に対して同軸上に位置合わせされている。偏向要素14bの第2の変形例は、またノズルチャネル8を区切る補助ノズル13の壁に載置される。この目的のためにこの壁は、ノズルチャネル8の環状開口部12を越えて延在し、この壁が偏向要素14bの第2の変形例を完全に貫通する結果となる。支持体17が偏向要素14bの中央部に設けられ、数多くの支柱を有するこのような支持体は、軸3周りに半径方向に位置合わせされ、この結果として偏向要素14bの第2の変形例がノズルチャネル8を区切る壁に対して補助ノズル13によって支持される。今度は、一体型の構成を提供することができる。しかし、偏向要素14bの第2の変形例は、補助のノズル13に単に載置されるようにすることもできる。図2に示すように、完全にプラスチックの実施形態の第2変形例の偏向要素14bが提供され、この実施形態は補助ノズル13と一体に形成される。今度は、半径方向に整列された開口部16が側面に設けられ、前記開口部は、複数のリングとして軸3周りを通るような方法にて偏向要素14bの第2の変形例の壁の外側面を貫通し、それらは互いに軸方向に離間している。
【0065】
偏向要素14bの第2の変形構成が軸3の上に図示される。ここでは、偏向チャネル15aの長さにわたってほぼ一定の厚みの壁が形成される。偏向要素14bの第3の変形構成が軸3の下に図示され、支持体17の支柱が配置される中央部の範囲にステップ状の構造が設けられ、この結果として偏向要素14bの第3の変形例の壁は、ステップ状の段を有する。これは中空錐台の外側面が、一方が他方の後ろに軸方向に配置された偏向チャネル15aの2つの(中空)円筒部分の間の内側にステップ状の構造を有する結果となる。偏向チャネル15aの第1の(中空)円筒部分は、偏向チャネル15aの第2の中空円筒部分と比較して小さい外径を有する。第1部分から第2部分への段が中央部分に設けられ、支持体17の支柱がまた配置される。これは図1に関して述べられたが、ノズルチャネル8の開口部12から現れる流れの熱いスイッチングガスの方向付けおよび誘導にまた適用される。この場合も、流出スイッチングガスが偏向チャネル15bへ直接導入されるように、ノズルチャネル8の排出方向は、熱ガス室10の方向に向けられる。この偏向チャネル15bにおいて、半径方向への偏向が部分的に起こり、かつ熱いスイッチングガスの部分的な流れが開口部16から出てくる。しかし、いくらかのスイッチングガスはまた偏向チャネル15bのガス入口開口部と反対に配置されたガス出口開口部から軸3の軸の方向に出る。
【0066】
ノズルチャネル8内の圧力が落ちる場合、熱ガス室10内にバッファ貯蔵された高い圧力を有するガスの戻り流が起こる。この場合、バッファ貯蔵されたガスはまた開口部12および偏向チャネル15bのガス入口開口部の間のギャップ領域へ半径方向に流れ出、かつノズルチャネル8を通り接点ギャップ6の方向へ流れ去る。
【0067】
変形構成および図1および図2に示す個々のアセンブリの形に加えて、異なる構造の構成を提供することがまた可能である。特に偏向要素14a,14bおよび偏向チャネル15a,15bの構成および実施形態に関してさらなる形をまた提供することができる。図に示された偏向要素14a,14bの基本的な動作モードは同じである。
【符号の説明】
【0068】
1 第1アーク接点部品
2 第2アーク接点部品
3 軸
4 第1定格電流接点部品
5 第2定格電流接点部品
6 接点ギャップ
7 絶縁ノズル
8 ノズルチャネル
9 ネジ式接続
10 熱ガス室
11 接続要素
12 環状開口部
13 補助ノズル
14a 偏向要素
14b 偏向要素
15a 偏向チャネル
15b 偏向チャネル
16 開口部
17 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点ギャップ(6)を有するスイッチングデバイス装置であって、該接点ギャップは絶縁ノズル(7)によって少なくとも部分的に囲まれ、ノズルチャネル(8)は熱ガス室(10)に開口し、該熱ガス室内に偏向要素(14a,14b)が配置され、
前記偏向要素(14a,14b)は偏向チャネル(15a,15b)を有し、かつ前記偏向チャネル(15a,15b)内に支持されることを特徴とするスイッチングデバイス装置。
【請求項2】
支持体(17)が半径方向に整列された支柱を有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項3】
前記偏向要素(14a,14b)の両側に突出する自由端部を与えるように、前記偏向要素(14a,14b)の支持体(17)が前記偏向チャネル(15a,15b)の中央部分に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項4】
前記ノズルチャネル(8)が環状チャネル(12)の形で前記熱ガス室に(10)開口し、かつ前記熱ガス室(10)に向く前記ノズルチャネル(8)の吹き出し方向が前記偏向チャネル(15a,15b)に開くことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項5】
前記ノズルチャネル(8)を区切る壁(13,1)が前記偏向チャネル(15a,15b)に少なくとも部分的に突出することを特徴とする請求項1〜4に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項6】
前記偏向要素(14a,14b)が前記偏向チャネル(15a,15b)に突出する前記壁(13,1)に支持されることを特徴とする請求項5に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項7】
前記偏向要素(14a,14b)が、前記ノズルチャネル(8)を区切る壁(13)と一体に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項8】
環状の偏向チャネル(15a,15b)が形成されるように、前記ノズルチャネル(8)を区切る前記壁(13)が前記偏向要素(14a,14b)に突出していることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項9】
半径方向に整列された開口部(16)が前記偏向チャネル(15a,15b)を区切る壁に配置されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項10】
前記偏向要素(14a,14b)が電気的に絶縁の効果を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項11】
軸に対して回転対称になるように前記偏向要素(14a,14b)が形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項12】
前記偏向要素(14a)が実質的に中空円筒の形を有することを特徴とする請求項11に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項13】
前記偏向要素(14b)が実質的に中空錐台の形を有することを特徴とする請求項11に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項14】
前記偏向チャネル(15a,15b)が非連続的に変化する断面を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項15】
前記偏向チャネル(15a,15b)が常設のガス入口開口部および常設のガス出口開口部を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の前記スイッチングデバイス装置。
【請求項16】
前記熱ガス室(10)が同軸上に整列された2つの回転対称な接点部品(1,4)の間に配置されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス装置。
【請求項17】
前記ノズルチャネル(8)が前記接点部品(1,4)の間で前記端側にて前記熱ガス室(10)に開口していることを特徴とする請求項16に記載のスイッチングデバイス装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−518245(P2012−518245A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549502(P2011−549502)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050731
【国際公開番号】WO2010/091933
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(508008865)シーメンス アクティエンゲゼルシャフト (99)
【Fターム(参考)】