説明

スイッチングモジュール、回路構成体、電気接続箱

【課題】小型化を図ることが可能なスイッチングモジュール、回路構成体及び電気接続箱を提供する。
【解決手段】電力回路基板15に実装されるスイッチングモジュール20であって、電力回路基板15に流れる電流の通電又は断電を実行する半導体スイッチ40と、半導体スイッチ40が実装され、半導体スイッチ40の駆動を制御する制御回路基板30と、を備え、半導体スイッチ40の一端部には、制御回路基板30に接続された制御端子41が設けられるとともに、半導体スイッチ40の一端部とは反対側の端部には、電力回路基板15に接続可能なドレイン端子42が設けられ、制御端子41とドレイン端子42とは、制御回路基板30の板面30Dに対して実質的に垂直となる方向に沿って設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングモジュール、回路構成体、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に搭載される電気接続箱としては、ケース内に回路構成体を収容してなるものが知られている(下記特許文献1)。このような回路構成体は、複数のスイッチング素子(リレーや半導体スイッチなど)と、各スイッチング素子の駆動を制御するための制御回路基板とから構成されたスイッチングモジュールを備えており、電源から負荷(車載電装品)へ流れる電流の通電又は断電を実行可能となっている。
【0003】
特許文献1に記載の電気接続箱においては、複数のスイッチング素子が、電源と負荷とを電気的に接続する電力回路基板(電流分配用回路板)に実装されている。そして、制御回路基板(プリント基板)及び電力回路基板とは積層した状態で配されており、両回路基板同士は、接続部材(接続ピン)によって電気的に接続されている。これにより、制御回路基板から、接続部材を介して、電力回路基板上のスイッチング素子を制御可能な構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−87938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電気接続箱の小型化が求められている。しかしながら、上述の構成では、両回路基板において接続部材の実装スペースを確保する必要があるので、回路基板の小型化が困難となる。このため、スイッチングモジュールひいては、これを備えた回路構成体及び電気接続箱の小型化を図ることが困難となっていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化を図ることが可能なスイッチングモジュール、回路構成体及び電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のスイッチングモジュールは、電力回路基板に実装されるスイッチングモジュールであって、前記電力回路基板に流れる電流の通電又は断電を実行する半導体スイッチと、前記半導体スイッチが実装され、前記半導体スイッチの駆動を制御する制御回路基板と、を備え、前記半導体スイッチの一端部には、前記制御回路基板に接続された制御端子が設けられるとともに、前記半導体スイッチの前記一端部とは反対側の端部には、前記電力回路基板に接続可能な電力端子が設けられ、前記制御端子と前記電力端子とは、前記制御回路基板の板面に対して実質的に垂直となる方向に沿って設けられていることに特徴を有する。
【0008】
本発明においては、半導体スイッチにおける一端部に制御端子を設け、これを制御回路基板に接続し、半導体スイッチにおける一端部とは反対側の端部に電力端子を設ける構成とした。これにより、電力端子を電力回路基板に接続することで、電力回路基板に流れる電流の通電又は断電を実行可能となる。
【0009】
従来の構成(半導体スイッチを電力回路基板に実装した構成)においては、制御回路基板から半導体スイッチを制御するために、制御回路基板と半導体スイッチとを電気的に接続する接続部材(接続ピンなど)が必要であった。この点、本発明の構成では、このような接続部材を備えることなく、制御回路基板による半導体スイッチの駆動制御が可能となる。これにより、従来の構成と比較して、接続部材を実装するためのスペースを削減できる結果、制御回路基板の面積を小さくでき、スイッチングモジュールを小型化できる。
【0010】
さらに、本発明においては、制御端子と電力端子とは、制御回路基板の板面に対して実質的に垂直となる方向に沿って設けられている構成とした。このようにすれば、制御端子と電力端子とが、例えば、制御回路基板の板面に対して平行となる方向に沿って設けられている構成と比較して、制御回路基板における板面上(半導体スイッチの実装面側)のスペースを有効に利用できる。この結果、制御回路基板の面積を一層小さくすることが可能となる。なお、ここでいう「実質的に垂直」とは、垂直及び実質的に垂直と認めうる形態も含む。
【0011】
上記構成において、前記制御回路基板における前記制御端子が接続された面と反対側の面には、前記半導体スイッチの駆動を制御する制御部が実装されているものとすることができる。このような構成とすれば、制御回路基板の片面に制御部及び制御端子を設ける構成と比べて、制御回路基板の面積を小さくすることができ、スイッチングモジュールを一層小型化できる。
【0012】
また、前記制御回路基板には、複数の前記半導体スイッチが実装されているものとすることができる。このような構成とすれば、電力回路基板上の複数の電流経路における電流の通電又は断電を実行可能となる。さらに、本発明においては、制御端子と電力端子とが、制御回路基板の板面に対して実質的に垂直となる方向に設けられているから、制御回路基板の板面に対して平行に配されている構成と比較して、各半導体スイッチ同士をより接近させて配列することができる。
【0013】
また、従来の構成(半導体スイッチを電力回路基板に実装した構成)において、半導体スイッチが複数個実装されている場合は、制御回路基板と各半導体スイッチとを電気的に接続するために、複数(少なくとも半導体スイッチと同数)の接続部材が必要となる。また、複数の接続部材を備えている場合は、各接続部材同士の接触を防止するために、各接続部材の間隔を確保する必要がある。このため、接続部材を実装するためのスペースがより多く必要となる。この点、本発明においては、接続部材自体を廃止できるため、複数の半導体スイッチを備えた構成において、より多くの実装スペースを削減できる。
【0014】
また、前記複数の前記半導体スイッチが、前記制御回路基板上において列をなして実装されているものとすることができる。このようにすれば、複数の半導体スイッチの実装密度を高くすることができ、制御回路基板の面積を一層小さくすることができる。
【0015】
また、前記半導体スイッチは、バスバー上に配列された複数の半導体ベアチップを合成樹脂によりモールドしてなるものとすることができる。複数の半導体ベアチップを備えることで複数の電流経路の電流の通電又は断電を実行できる。また、複数の半導体ベアチップを合成樹脂によりモールドする構成とすれば、一つの半導体ベアチップを合成樹脂によりモールドしてなる半導体スイッチを複数個備えた構成と比べて、各半導体ベアチップをより接近させて配することができ、半導体スイッチ自体を小型化することが容易となる。
【0016】
次に、上記課題を解決するために、本発明の回路構成体は、上述したスイッチングモジュールと、前記スイッチングモジュールが実装された前記電力回路基板と、を備え、前記制御回路基板と前記電力回路基板とが対向状に配されていることを特徴とする。上述のスイッチングモジュールを備えることで、回路構成体を小型化することが容易となる。
【0017】
また、従来の構成(半導体スイッチを電力回路基板に実装した構成)では、電力回路基板上に、接続部材(制御回路基板と電力回路基板とを接続)と半導体スイッチとを電気的に接続するための導電路を形成する必要があった。本発明では、このような導電路を形成する必要がないから、電力回路基板の面積を小さくでき、回路構成体をより一層小型できる。
【0018】
次に、上記課題を解決するために、本発明の電気接続箱は、上述した回路構成体をケースに収容してなることを特徴とする。上述の回路構成体を備えることで、電気接続箱を小型化することが容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、小型化を図ることが可能なスイッチングモジュール、回路構成体及び電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1に係る電気接続箱を示す側断面図。
【図2】スイッチングモジュールを示す斜視図。
【図3】スイッチングモジュールを示す正面図。
【図4】本発明の実施形態2に係る電気接続箱を示す側断面図。
【図5】回路構成体を示す斜視図。
【図6】スイッチングモジュールを示す断面図(図4のA−A断面線で切断した図)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図3を参照しつつ説明する。本実施形態に係る車載用の電気接続箱10は、電源(図示せず)と、ランプ、モータ等の車載電装品(図示せず)との間に配設されて、車載電装品へのスイッチングを実行する。本実施形態に係る電気接続箱10は、合成樹脂製のケース11と、ケース11内に収容された回路構成体14と、を備える。以下の説明では、上下方向については図1及び図3を基準とする。
【0022】
(ケース11)
ケース11は、下側に位置するロアケース12と、ロアケース12に上方から組み付けられるアッパーケース13と、を備える。
【0023】
(回路構成体14)
回路構成体14は、電力回路基板15と、電力回路基板15に実装された各種電子部品(コネクタ16、機械式リレー17、スイッチングモジュール20、ヒューズブロック18)とを備えている。電力回路基板15の表裏両面には、プリント配線技術により導電路が形成されており、この導電路に各種電子部品が電気的に接続されている。なお、導電路は、電力回路基板15において、いずれか一方の面のみに形成されていてもよい。
【0024】
(コネクタ16)
コネクタ16は合成樹脂製であって、電力回路基板15における一端側(図1において紙面貫通方向奥側)に複数個(本実施形態では2個)実装されている。各コネクタ16は、ケース11の側壁に形成された開口部(図示せず)内に配設されている。コネクタ16には、金属板材、又は金属棒材からなる複数のコネクタ端子16Aが配設されている。
【0025】
コネクタ端子16Aの一端部は、コネクタ16内に配設されて、図示しない相手側コネクタと嵌合可能になっている。コネクタ端子16Aの他端部は、コネクタ16を貫通してケース11内に突出しており、電力回路基板15側に直角に曲げ加工されて、電力回路基板15を貫通した状態で電力回路基板15と接続されている。
【0026】
(機械式リレー17)
機械式リレー17は、電力回路基板15に複数個実装されている。機械式リレー17の下面からはリード端子17Aが下方に突出されている。このリード端子17Aは電力回路基板15を上下方向に貫通した状態で導電路と電気的に接続されている。
【0027】
(ヒューズブロック18)
ヒューズブロック18は、合成樹脂製であって、ケース11の側壁11A(図1において左側)に形成された開口部11B内に装着されている。ヒューズブロック18には、図1における左方に開口されたヒューズ装着部18Aが複数箇所形成されている。ヒューズ装着部18Aには、ヒューズ(図示せず)が装着可能となっている。
【0028】
各ヒューズ装着部18Aの奥壁には、バスバー18Bが貫通される形で配されている。バスバー18Bは、ケース11内側に突出しており、電力回路基板15側に直角に曲げ加工されて、電力回路基板15を貫通した状態で電力回路基板15と接続されている。
【0029】
(スイッチングモジュール20)
図2ないし図3に示すように、スイッチングモジュール20は、制御回路基板30と、制御回路基板30上に実装された複数の半導体スイッチ40と、を備えている。制御回路基板30は、平板状をなし、その表裏両面には、プリント配線技術により導電路がそれぞれ形成されている。また、図1に示すように、電力回路基板15にスイッチングモジュール20を実装した状態では、制御回路基板30と電力回路基板15とが対向状に配される。
【0030】
図3における制御回路基板30の表面30A(制御回路基板における制御端子が接続された面と反対側の面、図3における上面)には、半導体スイッチ40の駆動(オン/オフ)を制御する制御部22が実装されている。本実施形態においては、制御部22はマイコンとされる。なお、制御部22はマイコンに限定されず、制御回路基板30に形成された回路によって構成されてもよい。
【0031】
半導体スイッチ40は、主に電力回路基板15に流れる電流の通電又は断電を実行するもので、図2に示すように、複数の半導体スイッチ40が、制御回路基板30上に列状をなして実装されている。各半導体スイッチ40は、制御回路基板30に固定されたスイッチホルダー21によって保持されている。なお、半導体スイッチ40の個数や配列の仕方は適宜変更可能であり、例えば、半導体スイッチ40を一つのみ実装している構成であってもよい。
【0032】
図3に示すように、半導体スイッチ40は、例えば、パワーMOSFETなどを含む半導体ベアチップ(図示せず)と、複数(本実施形態では3本)の制御端子41と、半導体ベアチップと接続されるドレイン端子42(電力端子)及びソース端子43(電力端子)とが、合成樹脂材(直方体形状をなすハウジング45)でモールドされたものである。また、半導体スイッチ40は、図示しない過電流検知回路及び過温度検知回路を備えている。
【0033】
3本の制御端子41のうち、1本は半導体ベアチップと電気的に接続されるゲート端子とされ、残りの2本は、センサ(図示せず)と接続される検知用端子とされる。このような検知用端子としては、過電流検知回路と電気的に接続される過電流検知用端子や、過温度検知回路と電気的に接続される過温度検知用端子などを例示することができる。
【0034】
各制御端子41は、ハウジング45の上面45A(半導体スイッチ40の一端部)から、制御回路基板30側(図3の上方)へ突出する形で設けられている。各制御端子41の先端部は、制御回路基板30の板面30D(延設面、ひいては裏面30B)に沿う形で直角に曲げられており、制御回路基板30の裏面30B(図3における下面)上の導電路に、リフローハンダ付け等の公知の手法により接続されている。これにより、各制御端子41と制御部22とが電気的に接続される構成となっている。
【0035】
ドレイン端子42及びソース端子43は、ハウジング45の下面45B(半導体スイッチの一端部とは反対側の端部)から、電力回路基板15側(図3の下方)へ突出する形で設けられており、電力回路基板15を貫通した状態で電力回路基板15と接続されている。そして、制御端子41と電力端子(ドレイン端子42又はソース端子43)とは、制御回路基板30の板面30D(つまり、表面30A又は裏面30B)に対して垂直となる方向(直交する方向、図3の上下方向)に沿って、それぞれ設けられている。なお、制御端子41と電力端子(ドレイン端子42又はソース端子43)とは、制御回路基板30の板面30Dに対して、垂直でなくてもよく、実質的に垂直となる方向に沿っていてもよい。
【0036】
また、図3に示すように、制御端子41は、図3の上方に突出する形状をなし、電力端子(ドレイン端子42又はソース端子43)は、図3の下方に突出する形状をなしている。言い換えると、制御端子41と電力端子(ドレイン端子42又はソース端子43)とは、突出方向が互いに反対側を向いており、各突出方向がそれぞれ制御回路基板30の板面30Dに対して垂直となる形で配されている。
【0037】
図3に示すように、半導体スイッチ40のハウジング45は、図3の上下方向に長い形状をなしている。言い換えると、半導体スイッチ40は、縦置き状態(図3の左右方向の寸法よりも上下方向の寸法が長い状態)で制御回路基板30に実装されている。これにより、横置き状態(ハウジング45が左右方向に長い形状をなす場合)で実装する構成と比較して、制御回路基板30における板面上(半導体スイッチの実装面側)のスペースを有効に利用できる。その結果、制御回路基板30の面積を小さくすることが可能となる。
【0038】
制御回路基板30における一方の周端部には、電力回路基板15側に延びる接続ピン23が複数本設けられている。接続ピン23の一端部は、制御回路基板30を貫通した状態で制御回路基板30と接続されている。また、接続ピン23は、スイッチホルダー21を貫通しており、スイッチホルダー21によって保持されている。接続ピン23の他端部は、電力回路基板15を貫通した状態で電力回路基板15と接続されている。これにより、接続ピン23を介して、電力回路基板15の導電路と制御回路基板30の導電路が電気的に接続される構成となっている。なお、このような接続ピン23は、例えば、電気接続箱10に接続される外部制御装置(図示せず)から、電力回路基板15の導電路を介して、制御回路基板30(ひいては制御部22)に、半導体スイッチ40を制御する信号を送信可能とするためのものである。
【0039】
(製造工程)
続いて、本実施形態に係る電気接続箱10の製造工程の一例について説明する。まず、制御回路基板30において、表面30Aに制御部22を実装し、裏面30Bに半導体スイッチ40の各制御端子41を接続する。また、接続ピン23を制御回路基板30に貫通させた状態で制御回路基板30に接続する。次に、スイッチホルダー21を制御回路基板30にネジ(不図示)などで取り付け、半導体スイッチ40及び接続ピン23を保持する。これにより、本実施形態のスイッチングモジュール20が完成する(図2の状態)。
【0040】
なお、スイッチングモジュール20の製造工程は、上述した手順に限定されず適宜変更可能である。例えば、以下のような手順でスイッチングモジュール20を製造してもよい。
【0041】
まず、制御回路基板30に取り付けられる前の状態のスイッチホルダー21において、スイッチホルダー21に形成された挿入孔(不図示)に各半導体スイッチ40及び接続ピン23をそれぞれ挿入する。
【0042】
次に、スイッチホルダー21を制御回路基板30にネジなどで取り付ける(位置決めを行う)。その後、半導体スイッチ40の各制御端子41及び、接続ピン23を、リフロー半田付けなどによって、制御回路基板30に接続する。このような手順によっても、本実施形態のスイッチングモジュール20を製造することができる。
【0043】
次に、電力回路基板15に対して、スイッチングモジュール20、コネクタ16、機械式リレー17、ヒューズブロック18を実装する。これにより、本実施形態の回路構成体14が完成する。スイッチングモジュール20の実装について、詳しく説明すると、各半導体スイッチ40の電力端子(ドレイン端子42、ソース端子43)及び接続ピン23を電力回路基板15に貫通させた状態で電力回路基板15の導電路に接続する。これにより、制御回路基板30が電力回路基板15と対向した状態でスイッチングモジュール20が電力回路基板15に実装される。
【0044】
続いて、回路構成体14に対して、下方からロアケース12を組み付ける。続いて、上方からアッパーケース13を組み付ける。これにより、ケース11が形成されると同時に、ケース11内に回路構成体14を収容された状態となり、電気接続箱10が完成する。なお、電気接続箱10の製造工程は、上述した手順に限定されず適宜変更可能である。
【0045】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態のスイッチングモジュール20においては、半導体スイッチ40の一端部には、制御回路基板30に接続された制御端子41が設けられるとともに、半導体スイッチ40の一端部とは反対側の端部には、電力回路基板15に接続可能な電力端子(ドレイン端子42又はソース端子43)が設けられている。
【0046】
これにより、電力端子を電力回路基板15に接続することで、電力回路基板15に流れる電流の通電又は断電を実行可能となる。このような構成とすれば、制御回路基板30と半導体スイッチ40とを電気的に接続する接続部材(接続ピンなど)を備えることなく、制御回路基板30による半導体スイッチ40の駆動制御が可能となる。これにより、接続部材を実装するためのスペースを削減できる結果、制御回路基板30の面積を小さくでき、スイッチングモジュール20、ひいてはスイッチングモジュール20を備えた回路構成体14及び電気接続箱10を小型化できる。
【0047】
また、半導体スイッチ40を電力回路基板15に実装した構成では、電力回路基板15上に、接続部材(制御回路基板30と電力回路基板15とを接続)と半導体スイッチ40とを電気的に接続するための導電路を形成する必要があった。本実施形態では、このような導電路を形成する必要がないから、電力回路基板15の面積を小さくでき、回路構成体14をより一層小型できる。
【0048】
さらに、本実施形態においては、制御端子41と電力端子(ドレイン端子42又はソース端子43)とは、制御回路基板30の板面30Dに対して実質的に垂直となる方向に沿って設けられている構成とした。このようにすれば、制御端子41と電力端子とが、例えば、制御回路基板30の板面に対して平行となる方向(図3の左右方向)に沿って設けられている構成と比較して、制御回路基板30における板面上(半導体スイッチ40の実装面側)のスペースを有効に利用できる。その結果、制御回路基板30の面積を一層小さくすることが可能となる。
【0049】
また、制御回路基板30における表面30A(制御端子41が接続された面と反対側の面)には、半導体スイッチ40の駆動を制御する制御部22が実装されている。このような構成とすれば、制御回路基板30の片面に制御部22及び制御端子41を設ける構成と比べて、制御回路基板30の面積を小さくすることができ、スイッチングモジュール20を一層小型化できる。
【0050】
また、制御回路基板30には、複数の半導体スイッチ40が実装されている。このような構成とすれば、電力回路基板15上における複数の電流経路の電流の通電又は断電を実行可能となる。さらに、本実施形態においては、上述したように制御端子41と電力端子とが、制御回路基板30の板面30Dに対して実質的に垂直となる方向に設けられているから、制御回路基板30の板面30Dに対して平行に配されている構成と比較して、各半導体スイッチ40同士をより接近させて配列することができる。
【0051】
また、従来の構成(半導体スイッチを電力回路基板に実装した構成)において、半導体スイッチ40が複数個実装されている場合は、制御回路基板30と各半導体スイッチ40とを電気的に接続するため、複数(少なくとも半導体スイッチ40と同数)の接続部材が必要となる。さらに、複数の接続部材を備えている場合は、各接続部材の接触を防止するために、各接続部材の間隔を確保する必要がある。このため、接続部材を実装するためのスペースをより多く確保する必要がある。この点、本実施形態においては、半導体スイッチ40と制御回路基板30とを接続する接続部材自体を廃止できるため、複数の半導体スイッチを備えた構成において、より多くの実装スペースを削減できる。
【0052】
また、複数の半導体スイッチ40が、制御回路基板30上において列をなして実装されている。このようにすれば、各半導体スイッチ40をより接近させて配置でき、実装密度を高くできるため、制御回路基板30の面積を一層小さくすることができる。
【0053】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図4ないし図6によって説明する。本実施形態の電気接続箱110は、上記実施形態と同様にロアケース112と、ロアケース12に上方から組み付けられるアッパーケース113から構成されるケース111内に回路構成体114が収容されてなる。本実施形態においては、回路構成体114の構成、特にスイッチングモジュール120の構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同様の構造、作用及び効果については重複する説明は省略する。
【0054】
回路構成体114は、図5に示すように、電力回路基板115と、電力回路基板115に実装された各種電子部品(コネクタ16、機械式リレー17、スイッチングモジュール120、ヒューズブロック(図示せず))とを備えている。
【0055】
図5に示すように、スイッチングモジュール120においては、制御回路基板130に2個の半導体スイッチ140が各々対向する形で実装されている(図6も参照)。半導体スイッチ140は、図4に示すように、バスバー118上に配列された複数(本実施形態では5個)の半導体ベアチップ146を合成樹脂材(ハウジング145)によりモールド成形したものである。また、2つの半導体スイッチ140は、バスバー119によって電気的に接続されている。なお、図4においては、手前側の半導体スイッチ140を図示省略してある。
【0056】
バスバー118は、制御回路基板130の板面130Dと平行をなす方向に長い板状をなしている。また、半導体スイッチ140のうち、一方の半導体スイッチ140において、バスバー118の一端部は、コネクタ116を貫通する形でコネクタ116内に配されており、入力端子118Aとされる。
【0057】
各半導体ベアチップ146はバスバー118の延設方向(図4では左右方向)に沿って配列されている。また、各半導体ベアチップ146の底面は、バスバー118に対してダイボンドされている。
【0058】
図4及び図6に示すように、ハウジング145の上面145A(半導体スイッチ140の一端部)からは、3本の制御端子141(例えばゲート端子、過電流検知用端子、過温度検知用端子の3本)が、制御回路基板130側へ突出する形で設けられている。各制御端子141は、制御回路基板130の裏面130B(図4における下面)上の導電路に、リフローハンダ付け等の公知の手法により接続されている。また、半導体ベアチップ146と各制御端子141とは、それぞれワイヤーボンディング147により接続されている。
【0059】
ハウジング145の下面145B(半導体スイッチの一端部とは反対側の端部)からは、板状をなす出力端子142(電力端子)が電力回路基板115側へ突出する形で設けられている。出力端子142は、電力回路基板115に形成されたスルーホール115Aを貫通した状態で電力回路基板115と接続されている。半導体ベアチップ146と出力端子142とは、それぞれ2本のワイヤーボンディング147により接続されている。これにより、比較的に大きな出力電流が通電された場合でも、半導体ベアチップ146と出力端子142との間の電気抵抗を低減させることができる。
【0060】
そして、各制御端子141と出力端子142とは、制御回路基板130の板面130D(延設面、言い換えると表面又は裏面)に対して実質的に垂直となる方向(図5の上下方向)に沿って設けられている。このようにすれば、上記実施形態と同様、制御端子141と出力端子142とが、例えば、制御回路基板130の板面に対して平行となる方向(図4の左右方向)に沿って設けられている構成と比較して、制御回路基板130における板面上(半導体スイッチ140の実装面側)のスペースを有効に利用できる。その結果、制御回路基板130の面積を一層小さくすることが可能となる。
【0061】
本実施形態においては、複数の半導体ベアチップ146を備えることで、電力回路基板115上に形成された複数の電流経路における電流の通電又は断電を実行できる。また、複数の半導体ベアチップ146を合成樹脂によりモールドする構成とすれば、一つの半導体ベアチップ146を合成樹脂によりモールドしてなる半導体スイッチを複数個備えた構成と比べて、各半導体ベアチップ146をより接近させて配することができ、半導体スイッチ140自体を小型化することが容易となる。
【0062】
また、複数の半導体ベアチップ146をモールドして半導体スイッチ140を形成すれば、上記実施形態1の半導体スイッチ40と比較して、電力回路基板115に接続される端子(出力端子142)の数が多くなる結果、実装時の安定性が高くなる。これにより、半導体スイッチ140を保持するための専用部材(スイッチホルダーなど)を廃止することもでき、部品に係るコストを低減することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0064】
(1)上記実施形態のように、半導体スイッチに電力端子及び制御端子が複数本設けられている構成の場合は、複数本の電力端子及び制御端子のうち、少なくとも一本の電力端子と一本の制御端子とが、制御回路基板の板面に対して実質的に垂直となる方向に沿って設けられていればよい。
【0065】
(2)上記実施形態1では、半導体スイッチ40に3本の制御端子41が設けられている構成を例示したが、これに限定されない。例えば、半導体スイッチ40に制御端子41が一本のみ(例えばゲート端子のみ)設けられていてもよい。
【0066】
(3)上記実施形態2では、5個の半導体ベアチップ146をモールドすることで、半導体スイッチ140を形成したが、これに限定されない。半導体ベアチップ146の個数は適宜変更可能である。
【0067】
(4)上記実施形態においては、制御部22と半導体スイッチ40とは制御回路基板30における異なる面に、それぞれ組み付けられる構成としたが、これに限定されず、制御部22と半導体スイッチ40とが制御回路基板30の同一の面に組み付けられる構成としてもよい。
【0068】
(5)上記実施形態においては、制御端子41と電力端子(ドレイン端子42又はソース端子43)とは、それぞれ図3の上方又は下方に突出する形状をなす構成としたが、この形状に限定されない。制御端子41と電力端子とは、制御回路基板30の板面30Dに対して垂直となる方向に沿って設けられていればよく、形状及び突出方向は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
10,110…電気接続箱
11,111…ケース
14,114…回路構成体
15,115…電力回路基板
20,120…スイッチングモジュール
22…制御部
30,130…制御回路基板
30A…制御回路基板の表面(制御回路基板における制御端子が接続された面と反対側の面)
30D,130D…制御回路基板の板面
40,140…半導体スイッチ
41,141…制御端子
42…ドレイン端子(電力端子)
43…ソース端子(電力端子)
45A,145A…ハウジングの上面(半導体スイッチの一端部)
45B,145B…ハウジングの下面(半導体スイッチの一端部とは反対側の端部)
118…バスバー
142…出力端子(電力端子)
146…半導体ベアチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力回路基板に実装されるスイッチングモジュールであって、
前記電力回路基板に流れる電流の通電又は断電を実行する半導体スイッチと、
前記半導体スイッチが実装され、前記半導体スイッチの駆動を制御する制御回路基板と、を備え、
前記半導体スイッチの一端部には、前記制御回路基板に接続された制御端子が設けられるとともに、前記半導体スイッチの前記一端部とは反対側の端部には、前記電力回路基板に接続可能な電力端子が設けられ、
前記制御端子と前記電力端子とは、前記制御回路基板の板面に対して実質的に垂直となる方向に沿って設けられていることを特徴とするスイッチングモジュール。
【請求項2】
前記制御回路基板における前記制御端子が接続された面と反対側の面には、前記半導体スイッチの駆動を制御する制御部が実装されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチングモジュール。
【請求項3】
前記制御回路基板には、複数の前記半導体スイッチが実装されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチングモジュール。
【請求項4】
前記複数の前記半導体スイッチが、前記制御回路基板上において列をなして実装されていることを特徴とする請求項3に記載のスイッチングモジュール。
【請求項5】
前記半導体スイッチは、バスバー上に配列された複数の半導体ベアチップを合成樹脂によりモールドしてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のスイッチングモジュール。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のスイッチングモジュールと、
前記スイッチングモジュールが実装された前記電力回路基板と、を備え、
前記制御回路基板と前記電力回路基板とが対向状に配されていることを特徴とする回路構成体。
【請求項7】
請求項6に記載の回路構成体をケースに収容してなることを特徴とする電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−27286(P2013−27286A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163270(P2011−163270)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】