説明

スイッチング電源、およびスイッチング電源におけるAC波形生成方法

【課題】トランスなどの直流遮断素子を使用せず交流電圧の極性判定と電圧検出とができる、PFCスイッチング電源を実現する。
【解決手段】入力部に入力された交流電圧を整流し、負荷に直流出力を出力するとともに力率の改善を行う力率改善部と、入力部の正極電圧および負極電圧に対応して正極検出電圧および負極電圧を出力する入力電圧検出部と、正極および負極検出電圧に基づいて力率改善部の動作を制御するスイッチング制御部とを備え、スイッチング制御部のAC波形生成部は、正極および負極検出電圧極に基づいてAC波形を生成し、スイッチング制御部は、AC波形情報に応じて周期およびデューティ比が変化する駆動パルスを生成し、力率改善部が有する1または複数のスイッチ素子を駆動して、力率改善部の直流出力を所定の直流出力に維持するとともに、力率の改善を行うこととした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は力率改善機能を有するスイッチング電源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源において、力率を改善するためには、交流入力電流の高調波の発生を抑制し、また交流入力電流と交流入力電圧との位相差を少なくする必要がある。こうしたスイッチング電源として、PWM(パルス幅変調)された駆動信号で交流電圧をスイッチングするスイッチング電源が開発された(特許文献1、2および非特許文献1)。
【0003】
力率改善機能(power factor correction)を有するスイッチング電源(PFCスイッチング電源)は、例えば交流電圧の正の半周期(正の半サイクル)および負の半周期(負の半サイクル)を、それぞれ交流周波数よりも充分高い周波数のPWM駆動信号で駆動されたスイッチ素子で適切にスイッチングすることで、所望の直流電圧を得るとともに、交流入力に生じる高調波の発生を抑制し、また交流入力電流と交流入力電圧との位相差を少なくすることで力率を改善している。なお、交流電圧の正の半周期とは、交流電圧のN極(ニュートラル極)を基準としてL極(ライブ極)側が正電圧となる半周期であり、交流電圧の負の半周期とは、L極側が負電圧となる半周期である。
【0004】
ブリッジレス力率改善回路の構成として、例えば、図15(a)〜(f)に示す6タイプなどが知られている(なお図15の各回路におけるコンデンサは、平滑コンデンサであり、力率改善に寄与する回路部分はコイル、スイッチ素子、および整流素子などである。)。
【0005】
こうしたPFCスイッチング電源は、交流電圧の正の半周期および負の半周期を判定して、その判定結果に基づいて、力率改善部のスイッチ素子を駆動する機能を有している(なお図15に例示した各回路は、ブーストコンバータ部分であり、正負の半周期判定機能部分は記載されていない。)。
【0006】
しかし交流電圧のN極およびL極と、力率改善部の基準電位(典型的には力率改善部の接地電位であり、直流出力側の基準電位である)との間には、回路素子が介在するため、電圧差が生じる。この電圧差が交流電圧の極性を判定するときの阻害要因となる。そこで、この電圧差の影響を除去するため、交流電圧のN極およびL極と、力率改善部の基準電位点との間を直流的に絶縁する回路素子、例えばトランスやフォトカプラが用いられる(特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−238452号公報
【特許文献2】特開2001−045763号公報
【0008】
【非特許文献1】Liu XueChao、Wang ZhiHao 「UCC28070によるブリッジレス電力係数補正(PFC)プリレギュレータ設計の実装」 Texas Instruments Application Report JAJA214 http://focus.tij.co.jp/jp/lit/an/jaja214/jaja214.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、交流入力側と直流出力側とを直流的に絶縁する素子を使用すると、交流電圧の極性判定を行う回路の規模が大きくなってしまう。またトランスを使用する場合には、商用交流電源周波数が低いので(例えば50ヘルツまたは60ヘルツ)、トランスの小型化が難しく、PFCスイッチング電源の大型化、重量増加、さらにはコスト上昇を招来するという問題が生じる。さらに異なる交流電圧や交流電源周波数に対応するときには、設計仕様が異なる複数の種類のトランスが必要となるなどの問題も生じ得る。
【0010】
また種々の回路構成を有する力率改善部に対応するためには、回路構成毎に、異なるハードウェアが必要になり、その開発設計コスト、製造コストさらにはメンテナンス部品などの増加を招来するという問題が生じる。
【0011】
そこで、上記問題を解決するため、本発明は、トランスやフォトカプラのような直流遮断素子を使用することなく、交流電圧の極性判定と電圧の検出とを行うことができ、好ましくは交流電圧の極性判定に係るハードウェアの共通化をはかることができる、PFCスイッチング電源の実現を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明にかかるスイッチング電源(以下、PFCスイッチング電源を、単にスイッチング電源と表記することがある)は、交流電源に接続される入力部と、入力部に入力された交流電圧を、その周期(例えば正の半周期または負の半周期)に応じたスイッチングによって整流して、負荷に直流を出力するとともに力率の改善を行う力率改善部と、入力部の正極電圧(L極)に対応した正極検出電圧、および入力部の負極(N極)電圧に対応した負極検出電圧を出力する入力電圧検出部と、正極検出電圧および負極検出電圧に基づいて力率改善部の動作を制御するスイッチング制御部とを備えている。
【0013】
ここで入力部の正極および負極の入力端は、力率改善部における基準点(典型的には力率改善部の接地)に対し電気的フローティング状態となっている。そのため、入力部の正極と力率改善部における基準点との間の電圧波形に対応する正極検出電圧、および入力部の負極と力率改善部における基準点との間の電圧波形に対応する負極検出電圧は、いずれも直流オフセット成分を含んでいる(力率改善部の回路構成によっては、交流電圧成分も含まれる)。
【0014】
そこでスイッチング制御部が有するAC波形生成部は、正極検出電圧および負極検出電圧に基づいて、AC波形情報を出力する。
【0015】
このAC波形情報に応じて、スイッチング制御部は、交流電圧の周波数よりも充分高い周波数(可聴周波数帯域より高い、例えば20kHz〜数百kHz程度の周波数)でかつAC波形情報に応じてデューティ比が変化する駆動パルスを生成して、力率改善部が有する1または複数のスイッチ素子を駆動する。
【0016】
こうして、該スイッチング電源は、力率改善部の直流出力を所定の直流出力に維持するとともに、力率の改善を行うことができる(請求項1および6)。
【0017】
AC波形生成部は、例えば、正極検出電圧と負極検出電圧との大小を比較判定し、比較結果に基づいて交流電圧の正の半周期と負の半周期を確定し、確定した半周期に応じて、正極検出電圧と負極検出電圧とから電圧波形を生成し、この電圧波形に基づいて生成したAC波形をAC波形情報として出力する(請求項2および6)。
【0018】
電圧波形生成は、例えば以下のように行われる。正極検出電圧と負極検出電圧との大小を比較した結果、正極検出電圧が負極検出電圧より大きい場合には、交流電圧の周期が正または負の半周期の一方の半周期(例えば正の半周期)と確定され、この一方の半周期における正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する第1電圧波形が生成される。第1電圧波形は、交流電圧一方の半周期の電圧波形に対応している。
【0019】
負極検出電圧が正極検出電圧より大きい場合には、交流電圧の周期が正または負の半周期の他方の半周期(例えば負の半周期)と確定され、この他方の半周期における正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する第2電圧波形が生成される。第2電圧波形は、交流電圧他方の半周期の電圧波形に対応している。これら第1電圧波形および第2電圧波形に基づいて電圧波形(交流波形)が生成される(請求項3および7)。
【0020】
ここで、負極検出電圧が正極検出電圧より大きい場合(他方の半周期の場合)、第2電圧波形の生成を次のようにしてもよい。他方の半周期における負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧から正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する極性反転第2電圧波形を生成する。極性反転第2電圧波形は、交流電圧波形の他方の半周期を極性反転したものに対応している。従って第1電圧波形と極性反転第2電圧波形とで脈流電圧波形(例えば正極性の脈流波形)を生成することができる。他方の半周期に替えて、一方の半周期において同様の処理を行えば、極性反転第1電圧波形と第2電圧波形とで脈流電圧波形(例えば負極性の脈流波形)を生成することができる(請求項5および9)。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかるPFCスイッチング電源、およびPFCスイッチング電源におけるAC波形生成方法によれば、トランスやフォトカプラのような直流遮断素子を使用することなく、交流電圧の極性判定と電圧検出とを行うことができ、また交流電圧の極性判定に係るハードウェアの共通化をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかるスイッチング電源の一実施例における要部回路構成を示す図である。
【図2】図1に示すスイッチング電源の動作を説明するための波形図である。
【図3】図1に示すスイッチング電源が有するスイッチング制御部の概略構成を示す図である。
【図4】本発明にかかるスイッチング電源におけるAC波形生成方法の一実施例におけるフローチャートである。
【図5】本発明にかかるスイッチング電源の変形例(変形例1)における要部回路構成を示す図である。
【図6】図5に示すスイッチング電源(変形例1)の動作を説明するための波形図である。
【図7】本発明にかかるスイッチング電源の変形例(変形例2)における要部回路構成を示す図である。
【図8】図7に示すスイッチング電源(変形例2)の動作を説明するための波形図である。
【図9】本発明にかかるスイッチング電源の変形例(変形例3)における要部回路構成を示す図である。
【図10】図9に示すスイッチング電源(変形例3)の動作を説明するための波形図である。
【図11】本発明にかかるスイッチング電源の変形例(変形例4)における要部回路構成を示す図である。
【図12】図11に示すスイッチング電源(変形例4)の動作を説明するための波形図である。
【図13】本発明にかかるスイッチング電源の他の実施例(変形例5)における要部回路構成を示す図である。
【図14】図13に示すスイッチング電源(変形例5)の動作を説明するための波形図である。
【図15】ブリッジレス力率改善回路の要部構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明にかかる力率改善機能を有するスイッチング電源、および力率改善のためのAC波形生成方法について説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明にかかる力率改善機能を有するスイッチング電源の一実施例における要部回路構成図である。
【0025】
本発明にかかるスイッチング電源は、交流電圧の正の半周期および負の半周期を判定するためのAC波形生成に特徴を有するものであり、この特徴を説明するため、スイッチング電源の構成および力率改善部の動作の概要を説明したのち、AC波形生成について説明する。
【0026】
<スイッチング電源の構成>
図1に示すスイッチング電源1は、交流電力の供給を受けて負荷回路3に直流電力を供給する。負荷回路3は、例えば各種電子機器、電力機器などであり、これら電子機器などがDC/DCコンバータ回路などを含む場合もある。スイッチング電源1は、入力部11、力率改善部2、平滑コンデンサC1、スイッチング制御部5、入力電流検出部7、出力電圧検出部8、および入力電圧検出部9を有している。
【0027】
入力部11の交流正極入力端11a(力率改善部2の正極入力端21aに接続されている)は、交流電圧Vacの例えばL極(ライブ電圧側)に接続される。また入力部11の交流負極入力端11b(力率改善部2の負極入力端21bに接続されている)は、交流電圧Vacの例えばN極(ニュートラル電圧側)に接続される。
【0028】
力率改善部2は、第1スイッチ素子Q1、第2スイッチ素子Q2、第3ダイオードD3、第4ダイオードD4、および昇圧を行うための第1リアクトルL1を有している(以下、スイッチ素子については、NチャネルMOS−FETで例示し、PチャネルMOS−FETで例示するときには、その旨表記する。)。ここでは、第1スイッチ素子Q1と第3ダイオードD3とが直列接続され、また第2スイッチ素子Q2と第4ダイオードD4とが直列接続されている(いずれの直列回路も、FETのドレインとダイオードのアノードとが接続されている)。
【0029】
さらに、第3ダイオードD3および第4ダイオードD4の各カソードが力率改善部2の正極出力端22aに接続され、また第1スイッチ素子Q1および第2スイッチ素子Q2の各ソースが力率改善部2の負極出力端22bに接続されている。正極出力端22aと負極出力端22bとの間には、平滑コンデンサC1が並列接続されている。
【0030】
正極入力端21aは、第1リアクトルL1を介して、第1スイッチ素子Q1と第3ダイオードD3との接続点に接続されており、負極入力端21bは、第2スイッチ素子Q2と第4ダイオードD4との接続点に直接接続されている。各スイッチ素子、各ダイオードおよび第1リアクトルL1は、昇圧コンバータを構成している。入力電流検出部7は、正極入力端21aに流入した電流、および負極入力端21bから流出する電流を検出する。
【0031】
また、入力電圧検出部9の一端9aは、正極入力端21aに接続され、正極検出電圧VSLを検出する。一方、入力電圧検出部9の他端9bは、負極入力端21bに接続され、負極検出電圧VSNを検出する(正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNは、いずれもスイッチング電源1の接地GNDに対する電圧である。)。
【0032】
なお、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2は、それぞれ第1スイッチ素子Q1および第2スイッチ素子Q2の寄生ダイオードである。これら寄生ダイオードは、スイッチ素子(FET)が遮断しているとき、ダイオードとして機能する(寄生ダイオードに依らず、FETのソース・ドレイン間にダイオードを並列接続してもよい。)。
【0033】
<力率改善部の動作の概要>
次に図1、図2(a)および(b)に基づき力率改善部2の動作の概要について説明する。図2は、力率改善部2および後述するAC波形生成部24などにおける電圧波形を示す波形図であり、横軸が時間軸で、縦軸が電圧軸である。図2(a)は、交流電圧Vacの波形(サイン波)を示す。交流電圧Vacの正の半周期は、時刻T0からT1、時刻T2からT3などであり、負の半周期は、時刻T1からT2、時刻T3からT4などである。
【0034】
図2(b)に示す駆動パルスG1は第1スイッチ素子Q1を駆動する駆動パルスであり、駆動パルスG2は第2スイッチ素子Q2を駆動する駆動パルスである。これら駆動パルスは、交流電圧Vacの周波数よりも充分高い周波数(可聴周波数帯域より高い、例えば20kHz〜数百kHz程度の周波数)であり、各スイッチ素子は、駆動パルスが正電圧のときに導通し、ゼロボルトのときに遮断する。
【0035】
正の半周期では、第1スイッチ素子Q1が昇圧コンバータの主スイッチ素子となり、第1リアクトルL1が昇圧リアクトルとなる。そして第1スイッチ素子Q1の導通時に、交流電圧VacのL極から第1リアクトルL1に流入した電流が磁気エネルギーとして蓄えられる。第1スイッチ素子Q1を通過した電流は第2スイッチ素子Q2を経て交流電圧VacのN極に戻る。
【0036】
第1スイッチ素子Q1が遮断すると、第1リアクトルL1に蓄えられた磁気エネルギーが電流となって第3ダイオードD3を経由して負荷回路3へと流れる。負荷回路3から戻った電流は、第2スイッチ素子Q2を経て交流電圧VacのN極へと戻る。平滑コンデンサC1は、第1リアクトルL1から電流が供給されるときに電荷を蓄え、第1リアクトルL1に磁気エネルギーが蓄えられているときに電荷を放出し、出力電圧Vdoに生じるリップルを低減する。
【0037】
第1リアクトルL1に蓄えられる磁気エネルギーは、第1スイッチ素子Q1のオンデューティに依存するから、オンデューティを制御することで、力率改善部2の出力電圧Vdoを制御することができる(第1スイッチ素子Q1のオンデューティは、正の半周期における駆動パルスG1の周期をTとし、駆動パルスG1の幅をDとすると、D/Tである。)。具体的には、出力電圧検出部8が検出する出力電圧Vdoが所定の電圧となるように、スイッチング制御部5において、駆動パルスG1がパルス幅変調される(図2(b)は、駆動パルスG1の波形を簡便に示しているが、駆動パルスG1はパルス幅変調されたものである。後述するすべての駆動パルスも同様である。)。
【0038】
負の半周期では、第2スイッチ素子Q2が昇圧コンバータの主スイッチ素子となり、第2スイッチ素子Q2の駆動パルスG2が、駆動パルスG1と同様にパルス幅変調されて、力率改善部2の出力電圧Vdoが制御される。具体的には、第2スイッチ素子Q2が導通したときには、交流電圧VacのN極(正電圧)から、第2スイッチ素子Q2、第1スイッチ素子Q1、第1リアクトルL1、そして交流電圧VacのL極へと電流が流れる(第1リアクトルL1に磁気エネルギーを蓄える。)。第2スイッチ素子Q2が遮断すると、第1リアクトルL1が磁気エネルギー電流として放出し、交流電圧VacのL極、N極、第4ダイオードD4、負荷回路3、第1スイッチ素子Q1、第1リアクトルL1へと電流が流れる。
【0039】
正の半周期では、第1スイッチ素子Q1はオン・オフを繰り返すスイッチング動作を行うとともに第2スイッチ素子Q2はオンの状態を維持し、負の半周期では、第2スイッチ素子はオン・オフを繰り返すスイッチング動作を行うとともに第1スイッチ素子Q1はオンの状態を維持するように制御される(図2(b))。
【0040】
スイッチング制御部5(図3)は、交流電圧Vacの正の半周期および負の半周期を判定して、力率改善部2の出力電圧Vdoを所定の電圧に維持するために、スイッチ素子制御回路10、第1ドライブ回路29および第2ドライブ回路30を有している。ここでスイッチ素子制御回路10は、第1AD変換部22、第2AD変換部23、AC波形生成部24、AC極性判定部25、デューティ生成部26、周波数生成部27およびPFC用PWM制御部28を有している。PFC用PWM制御部28の出力の1つは、第1ドライブ回路29を経て駆動パルスG1となり、他の出力は第2ドライブ回路30を経て駆動パルスG2となる。
【0041】
周波数生成部27およびデューティ生成部26は、入力電流検出部7が検出した電流、および出力電圧検出部8が検出した電圧(力率改善部2の出力電圧Vdo)に基づいて、PFC用PWM出力制御部28を制御して、駆動パルスG1およびG2のデューティ比(パルス幅)および周波数を制御する。
【0042】
入力電圧検出部9で検出した正極検出電圧VSLは、第1AD変換部22に入力されて、正極検出電圧VSLに対応したデジタル信号に変換される。同様に入力電圧検出部9が検出した負極検出電圧VSNは、第2AD変換部23に入力されて、負極検出電圧VSNに対応したデジタル信号へと変換される。もちろん第1AD変換部22および第2AD変換部23は、交流電圧Vacの周期よりも十分短い周期でアナログ・デジタル変換を行う。なお入力電圧検出部9と第1AD変換部22および第2AD変換部23との間に電圧分圧回路を介在させてもよい。
【0043】
<正極検出電圧VSL、負極検出電圧VSNなどの波形>
各スイッチ素子の駆動パルスおよび正極検出電圧VSLなどの波形(図2(a)〜(e))について説明する。交流電圧Vacの正の半周期では、接地GNDに対する負極検出電圧VSNは略ゼロボルトである(図2(d))。負の半周期では、負極検出電圧VSNは出力電圧Vdoに対応した直流オフセットVSNOとなる(図2(d))。なお図2(d)に示す矩形波のエンベロープは、昇圧コンバータのスイッチングノイズ成分が重畳し波形に振幅方向の幅を持っている(後述する正極検出電圧VSLも同様である。)。
【0044】
接地GNDに対する正極入力端21aの電圧は、負極入力端21bの電圧に交流電圧Vacを加えた電圧である。従って、正極検出電圧VSLの波形は、図2(c)に示すように、正の半周期では直流成分を有しない正のサイン波(正電圧)で、負の半周期では直流オフセットVSLO(直流オフセットVSNOに対応している)を有する負のサイン波(負電圧)となる。
【0045】
AC波形生成部24は、こうして得られた正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNから、次のようにしてAC波形VSac(図2(e))を生成する(AC波形VSacは、交流電圧Vacの波形と対応関係を有しており、AC波形情報ということができる。)。
【0046】
<AC波形生成>
AC波形生成部24は、デジタル信号に変換された正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNに所定の演算処理を施して、交流電圧Vacと周波数および位相が同期したAC波形VSacを生成する。このAC波形VSacの生成は、例えば、以下の演算処理によって行われる(演算式では、単に各電圧の符号のみを示す。また各電圧は瞬時値である。)。
【0047】
VSac=a×VSL−b×VSN・・・(式1)
ここでa=1、b=1とすれば、
VSac=VSL−VSN・・・(式2)となって、交流電圧Vacに対応したAC波形VSac(図2(e))を生成することができる。ここでAC波形VSacが交流電圧Vacに対応することは、正極入力端21aと負極入力端21bとの間に交流電圧Vacが加えられることから明らかである。
【0048】
<AC極性判定>
AC極性判定部25は、交流電圧Vacの正の半周期と負の半周期を判定する(判定方法については、AC波形生成方法において説明する。)。AC極性判定部25は、判定結果を、PFC用PWM出力制御部28へと出力する。スイッチング制御部5は、AC極性判定部25の判定結果に基づいて、正の半周期における昇圧コンバータ、および負の半周期における昇圧コンバータの動作を制御することで、出力電圧Vdoを所定の電圧に維持する。
【0049】
<AC波形生成方法>
次に、本発明にかかるスイッチング電源におけるAC波形生成方法の一実施例(実施例1)について説明する(図4参照)。スイッチング制御部5は、マイクロコンピュータなどの演算装置で構成されるスイッチ素子制御回路10を有しており、所定のステップを実行することで(プログラム制御によって)、AC波形VSacを生成する。スイッチング制御部5は、交流電圧Vacの周波数よりも、十分短い周期の制御基準周期(クロック)に基づいて、第1AD変換部22などを制御し、また各ステップを実行する。
【0050】
以下、AC波形生成方法を図4に基づき説明する。該AC波形生成方法の制御は、スイッチング電源1が起動されるとスタートする。
【0051】
<ステップS101>
スイッチング電源1の起動時には、正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNが取得されておらず、交流電圧Vacの極性(正の半周期なのか負の半周期なのか)も未だ特定されていない。そこでスイッチング制御部5は、PFC用PWM出力制御部28の制御条件を定めるため、AC極性判定を仮に設定(初期設定)する。以下、正の半周期に初期設定した例で説明する(負の半周期に初期設定してもよい。)。
【0052】
<ステップS102>
ステップS101ののち、スイッチング制御部5は、入力部11における正極検出電圧VSLと負極検出電圧VSNとを検出し(入力部電圧取得)、第1AD変換部22および第2AD変換部23において変換されたデジタルデータの取得が完了しているかを確認する(ステップS102)。スイッチング制御部5は、デジタルデータの取得が完了していない場合(No)には、デジタルデータ取得を継続し、取得が完了した場合(Yes)には、ステップS103へと進む。なおステップS102は入力部電圧取得ステップである。
【0053】
上記処理が必要な理由は、正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNは、第1AD変換部22および第2AD変換部23によってデジタルデータに変換されるものであり、起動直後は、両AD変換部によるデジタルデータへの変換が完了しておらず、少なくとも1周期分のデジタルデータの取得が完了した後でないと、AC極性判定のステップに進めないからである。
【0054】
<ステップS103>
スイッチング制御部5は、デジタルデータとして取得した正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNを記憶手段(図示せず)に保存したのち、ステップS104へと進む。なお起動直後のステップS103で保存される正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNは、初期設定に基づいて取得したデータである。
【0055】
<ステップS104>
スイッチング制御部5は、制御基準周期ごとにステップS103で保存した正極検出電圧VSLと負極検出電圧VSNとの大小関係を判定する。ここで正極検出電圧VSLが負極検出電圧VSNより大きい場合(Yes)には、スイッチング制御部5は、ステップS105へと進み、正極検出電圧VSLが負極検出電圧VSNより大きくない場合(No)には、ステップS110へと進む。判定結果がYesの場合には、交流電圧Vacが正の半周期であり、Noの場合には、交流電圧Vacが負の半周期である(図2(c)および(d)参照)。
【0056】
<ステップS105>
スイッチング制御部5は、交流電圧Vacが正の半周期であることを確定し、これを記憶手段(図示せず)へ保存したのち、ステップS106へと進む。
【0057】
<ステップS110>
スイッチング制御部5は、交流電圧Vacが負の半周期であることを確定し、これを記憶手段(図示せず)へ保存したのち、ステップS111へと進む。
【0058】
なおステップS105およびS110は、正または負の半周期を確定する周期確定ステップである。
【0059】
<ステップS106>
スイッチング制御部5は、デジタルデータとして記憶手段(図示せず)に保存した正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNから、制御基準周期ごとに、AC波形VSacの正の半周期電圧VSac1(第1電圧波形)を演算し(式106)、これを記憶手段(図示せず)に保存したのち、ステップS107へと進む。
VSac1=a×VSL−b×VSN・・・(式106)
ここでa=1、b=1であれば(式106)は前述(式1)から、
VSac1=VSL−VSN・・・(式106’)となる。
【0060】
<ステップS111>
スイッチング制御部5は、ステップS106と同様に、AC波形VSacの負の半周期電圧VSac2(第2電圧波形)を演算し(式111)、これを記憶手段(図示せず)に保存したのち、ステップS107へと進む。
VSac2=a×VSL−b×VSN・・・(式111)
ここでa=1、b=1であれば(式111)は前述(式1)から、
VSac2=VSL−VSN・・・(式111’)となる。
【0061】
<ステップS107>
ステップS106で保存した正の半周期電圧VSac1と、ステップS111とで保存した負の半周期電圧VSacとが、半周期ごとにAC波形生成部24に入力され、正負の半周期からなる1周期の交流信号が生成される。さらに移動平均処理などによって正の半周期電圧VSac1および負の半周期電圧VSac2に含まれていたノイズ成分が除去される(AC波形Vascが生成される。)。
【0062】
なお(式106)と(式111)とは、同じ演算式であるから、連続する半周期を同一極性の脈流波形信号として生成することもできる。この場合においても、交流電圧Vacの正負の半周期の判定は、ステップS104において既に行われており、脈流波形として生成してもスイッチング制御部5の動作にとって影響はない。
【0063】
なおステップS106、S107およびS111は電圧波形演算ステップである。
【0064】
<ステップS108>
AC波形生成部24は、ステップS107で波形整形されて生成されたAC波形VascをPFC用PWM制御部28へ入力する波形として確定したのち、ステップS109へと進む。なおステップS108はAC波形確定ステップである。
【0065】
<ステップS109>
AC波形Vascが確定したのち、スイッチング制御部5は、AC波形Vasc生成に用いるためにデジタルデータとして保存した正の半周期電圧VSac1と負の半周期電圧VSac2のうち、以降のAC波形Vascに不要となるデジタルデータを消去して、ステップS102へと戻る(例えば、正の半周期と確定されてステップS106〜ステップS108の処理が行われたときには、直後の負の半周期の処理のために、直前の負の半周期のデジタルデータが消去される。)。
【0066】
なお、記憶手段(図示せず)は、マイクロコンピュータなどの演算装置の記憶領域を用いても良いし、また、これとは別に電源装置1内に設けられていても良い。
【0067】
次にスイッチング電源1の変形例について説明する。
【0068】
<変形例1>
図5は、スイッチング電源1の変形例(変形例1)における要部回路構成図である。実施例1と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0069】
<スイッチング電源の構成>
図5に示すスイッチング電源1aの力率改善部2aは、第1スイッチ素子Q1、第3スイッチ素子Q3、第2ダイオードD2、第4ダイオードD4および第1リアクトルL1を有している。
【0070】
力率改善部2aでは、第1スイッチ素子Q1のドレインが第3スイッチ素子Q3のソースに接続されて直列接続され、また第2ダイオードD2のカソードが第4ダイオードD4のアノードに接続されて直列接続されている。ここで、第4ダイオードD4のカソードと第3スイッチ素子のドレインとが接続され、正極出力端22aに接続されており、また第1スイッチ素子Q1のソースと第2ダイオードD2のアノードとが接続され、負極出力端22bに接続されている。
【0071】
正極入力端21aは、第1リアクトルL1を介して、第1スイッチ素子Q1と第3スイッチ素子Q3との接続点に接続されており、負極入力端21bは、第2ダイオードD2と第4ダイオードD4との接続点に直接接続されている。
【0072】
<力率改善部の動作の概要>
図6(b)のG1は第1スイッチ素子Q1を駆動する駆動パルスであり、G3は、第3スイッチ素子Q3を駆動する駆動パルスである。第1スイッチ素子Q1および第3スイッチ素子Q3は、正負いずれの半周期でも、一方が導通している時は、他方が遮断する。
【0073】
正の半周期では、第1スイッチ素子Q1が昇圧コンバータの主スイッチ素子となる。そして第3スイッチ素子Q3(寄生ダイオードD3を含む)が力率改善部2の第3ダイオードD3に代わって機能し、第2ダイオードD2が力率改善部2の第2スイッチ素子Q2(寄生ダイオードD2を含む)に代わって機能する。
【0074】
負の半周期では、第3スイッチ素子Q3が昇圧コンバータの主スイッチ素子となる。第3スイッチ素子Q3は、導通時には、第4ダイオードD4から流入した電流を第1リアクトルL1に磁気エネルギーとして蓄える。第3スイッチ素子Q3が遮断時には、第1リアクトルL1の磁気エネルギーが電流となって、交流電源VacのL極、交流電源VacのN極、そして第4ダイオードD4を経て負荷回路3へと流れる。負荷回路3から戻った電流は、第1スイッチ素子Q1を経て第1リアクトルL1に戻る。
【0075】
<正極検出電圧VSL、負極検出電圧VSNなどの波形>
各スイッチ素子の駆動パルスおよび正極検出電圧VSLなどの波形を図6(a)〜(e)に基づいて説明する。なお図6(a)〜(e)は、図2(a)〜(e)の各波形と対応した測定点における波形である。
【0076】
接地GNDに対する正極入力端21aの電圧、すなわち正極検出電圧VSLは、正負いずれの半周期においても、直流オフセットVSLOとなる(図6(c))。負極入力端21bの電圧、すなわち負極検出電圧VSNは、正極入力端21aの直流電圧から交流電圧Vacを減じた電圧である。従って、負極検出電圧VSNの波形は、直流オフセットVSNO(=VSLO)から交流電圧Vacに対応する電圧を減じた波形となる(図6(d))。
【0077】
<AC波形生成およびAC波形生成方法>
AC波形生成部24は、正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNから、スイッチング電源1と同様に、図4に示すAC波形生成方法に基づいてAC波形VSacを生成することができる(図6(e))。
【0078】
<変形例2>
図7は、スイッチング電源1の変形例(変形例2)における要部回路構成図である。実施例1と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0079】
<スイッチング電源の構成>
図7に示すスイッチング電源1bの力率改善部2bは、各スイッチ素子、各ダイオードおよび第1リアクトルL1の接続において力率改善部2と共通する。しかし力率改善部2bは、負極入力端21bが第2リアクトルL2を介して、第2スイッチ素子Q2と第4ダイオードD4との接続点に接続されている点において力率改善部2と相違する。
【0080】
<力率改善部の動作の概要>
駆動パルスG1および駆動パルスG2の波形(図8(b))は、力率改善部2と同様である(図2(b))。正の半周期では、第1スイッチ素子Q1と第1リアクトルL1が昇圧コンバータとなり、第1リアクトルL1に蓄えられた磁気エネルギーが電流となって第3ダイオードD3を経由して負荷回路3に供給される。第2リアクトルL2に流れる電流は、第1スイッチ素子Q1が導通時には、第1スイッチ素子Q1から接地GNDを経て第2スイッチ素子Q2に流れた電流であり、第1スイッチ素子Q1が遮断時には、負荷回路3から接地GNDを経て第2スイッチ素子Q2に流れた電流である。いずれの場合でも、第2リアクトルL2に流れる電流は、力率改善部2bから交流電圧VacのN極に向けて流れる電流である。
【0081】
負の半周期では、第2スイッチ素子Q2と第2リアクトルL2が昇圧コンバータとなり、第2スイッチ素子Q2が導通時に第2リアクトルL2に蓄えられた磁気エネルギーが、第2スイッチ素子Q2が遮断した時に電流となって第4ダイオードD4を経由して負荷回路3に供給される。いずれの場合でも、第2リアクトルL2に流れる電流は、交流電圧VacのN極から力率改善部2bに向けて流出した電流である。
【0082】
<正極検出電圧VSL、負極検出電圧VSNなどの波形>
負極検出電圧VSNは、正の半周期では(若干の交流成分が残留しているものの)略直流オフセットVSNOであり、負の半周期では交流電圧源Vacに対応した電圧波形となる(図8(d))。正極検出電圧VSLの電圧波形は負極検出電圧VSNに交流電圧Vacを加えた電圧であり、正の半周期では交流電圧Vacに対応した電圧波形となり、負の半周期では(若干の交流成分が残留しているものの)略直流オフセットVSLOとなる(図8(c))。
【0083】
<AC波形生成およびAC波形生成方法>
AC波形生成部24は、正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNから、スイッチング電源1と同様に、図4に示すAC波形生成方法に基づいてAC波形VSacを生成することができる(図8(e))。
【0084】
<変形例3>
図9は、スイッチング電源1の変形例(変形例3)における要部回路構成図である。実施例1と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0085】
<スイッチング電源の構成>
図9に示すスイッチング電源1cが有する力率改善部2cは、第1スイッチ素子Q1、第2ダイオードD2、第3ダイオードD3、第4スイッチ素子Q4、第5ダイオードD5、第6ダイオードD6、第1リアクトルL1および第3リアクトルL3を有しており、第1スイッチ素子Q1、第3ダイオードD3および第1リアクトルL1の接続において力率改善部2と共通する。
【0086】
しかし力率改善部2cは、第2ダイオードD2のアノードが負極出力端22bに接続され、第2ダイオードD2のカノードが第4スイッチ素子Q4のソースに接続され、第4スイッチ素子Q4のドレインが正極出力端22aに接続されている点において、力率改善部2と相違する。
【0087】
また力率改善部2cは、第3リアクトルL3を有する点において力率改善部2と相違する。具体的には、正極入力端子21aが、第3リアクトルL3を介して、第2ダイオードD2と第4スイッチ素子Q4との接続点に接続されている点において、力率改善部2と相違する。
【0088】
さらに力率改善部2cは、直列接続された第5ダイオードと第6ダイオードを有する点において力率改善部2と相違する。具体的には、第5ダイオードD5が負極出力端22bから交流負極入力端11bへと電流経路を形成するように接続され、第6ダイオードD6が負極入力端21bから正極出力端22aへと電流経路を形成するように接続されている点において、力率改善部2と相違する。
【0089】
<力率改善部の動作の概要>
正の半周期では、第1スイッチ素子Q1が昇圧コンバータの主スイッチ素子となり、第1リアクトルL1が昇圧リアクトルとなる。また第1スイッチ素子Q1および第1リアクトルL1は、力率改善部2と同様に機能する。ただし第1スイッチ素子Q1を流れた電流、および負荷回路3から戻った電流は、第5ダイオードD5を経由して交流電圧VacのN極に戻る。
【0090】
負の半周期では、第4スイッチ素子Q4が昇圧コンバータの主スイッチ素子となり、第3リアクトルL3が昇圧リアクトルとなる。第4スイッチ素子Q4が導通時には、交流電圧VacのN極から、第6ダイオードD6、第4スイッチ素子Q4、第3リアクトルL3へと流れた電流が交流電圧VacのL極へと戻る。第4スイッチ素子Q4が遮断時には、第3リアクトルL3から交流電圧Vacを経て第6ダイオードD6、負荷回路3、第2ダイオードD2へと流れた電流が第3リアクトルL3へと戻る。
【0091】
<正極検出電圧VSL、負極検出電圧VSNなどの波形>
各スイッチ素子の駆動パルスおよび負極検出電圧VSNなどの波形を図10(a)〜(e)に基づいて説明する。なお図10(a)〜(e)は、図2(a)〜(e)の各波形と対応した測定点における波形であり、説明を省略するものがある。
【0092】
正負いずれの半周期においても、正極検出電圧VSLは、図10(c)に示す直流オフセットVSLOの直流電圧となる。なお直流オフセットVSLOには、スイッチングノイズの波形が重畳されている。力率改善部2cの負極入力端21bの電圧は、正極入力端21aの電圧から交流電圧Vacを減じた電圧だから、負極検出電圧VSNの波形は、図10(d)に示すように、直流オフセットVSLN(=VSLO)を有した、交流電圧Vacと逆極性の交流電圧波形となる。
【0093】
<AC波形生成およびAC波形生成方法>
AC波形生成部24は、正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNから、スイッチング電源1と同様に、図4に示すAC波形生成方法に基づいてAC波形VSacを生成することができる(図10(e))。
【0094】
<変形例4>
図11は、スイッチング電源1の変形例(変形例4)における要部回路構成図である。実施例1と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0095】
<スイッチング電源の構成>
図11に示すスイッチング電源1dの力率改善部2dは、昇圧コンバータの構成がスイッチング電源1bと共通するが、第7ダイオードD7および第8ダイオードD8を有する点においてスイッチング電源1bと相違する。ここで、第7ダイオードD7は、負極出力端22bから負極入力端21bへと電流経路を形成するように接続され、第8ダイオードD8は、負極出力端22bから正極入力端21aへと電流経路を形成するように接続されている。
【0096】
<力率改善部の動作の概要>
力率改善部2dの第1スイッチ素子Q1を駆動する駆動パルスG1、および第2スイッチ素子Q2を駆動する駆動パルスG2の波形(図12(b))は、力率改善部2cと同様である(図10(b)参照)。正の半周期においては、第1スイッチ素子Q1が昇圧コンバータの主スイッチ素子となり、また第1リアクトルL1が昇圧リアクトルとなる。ただし導通時の第1スイッチ素子Q1を流れた電流、および負荷回路3から戻った電流は、第7ダイオードD7を経て力率改善部2dの負極入力端21bに戻る。
【0097】
負の半周期においては、第2スイッチ素子Q2が昇圧コンバータの主スイッチ素子となり、また第2リアクトルL2が昇圧リアクトルとなる。ただし導通時の第2スイッチ素子Q2を流れた電流、および負荷回路3から戻った電流は、第8ダイオードD8を経て正極入力端21aに戻る。
【0098】
<正極検出電圧VSL、負極検出電圧VSNなどの波形>
スイッチング電源1bと同様に、負極検出電圧VSNは、正の半周期では(若干の交流成分が残留しているものの)略直流オフセットVSNOであり、負の半周期では交流電圧Vacに対応した電圧波形となる(図12(d)。正極検出電圧VSLの電圧波形は負極検出電圧VSNに交流電圧Vacを加えた電圧であり、正の半周期では交流電圧Vacに対応した電圧波形となり、負の半周期では(若干の交流成分が残留しているものの)略直流オフセットVSLOとなる(図12(c))。
【0099】
<AC波形生成およびAC波形生成方法>
AC波形生成部24は、正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNから、スイッチング電源1と同様に、図4に示すAC波形生成方法に基づいてAC波形VSacを生成することができる(図2(e))。
<変形例5>
【0100】
図13は、スイッチング電源1の変形例(変形例5)における要部回路構成図である。実施例1と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0101】
<スイッチング電源の構成>
図13に示すスイッチング電源1eは、力率改善部2eにおける昇圧コンバータの構成が他のスイッチング電源と相違しており、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第3ダイオードD3、および第4ダイオードD4がブリッジ接続されている。詳細には第3ダイオードD3および第4ダイオードD4のカソードが正極出力端22aに接続され、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2のアソードが負極出力端22bに接続されている。また正極入力端21aは、第1リアクトルL1を介して第1ダイオードD1と第3ダイオードD3の接続点に接続され、負極入力端21bは、第2ダイオードD2と第4ダイオードD4の接続点に直接接続されている。
【0102】
また第2ダイオードD2および第4ダイオードD4の接続点と、第1ダイオードD1および第3ダイオードD3の接続点との間には、第9スイッチ素子Q9(PチャネルMOS−FET)と第10スイッチ素子Q10とが直列接続されている(ここで両スイッチ素子は、それぞれのソースが接続されている。)。
【0103】
<力率改善部の動作の概要>
次に力率改善部2eの動作の概要について説明する。
【0104】
第9スイッチ素子Q9を駆動する駆動パルスG9、および第10スイッチ素子Q10を駆動する駆動パルスG10の波形は、同位相であり、第9スイッチ素子Q9および第10スイッチ素子Q10は、正負いずれの半周期においても、同時に導通し、また同時に遮断するように制御される(図14(b)参照)。
【0105】
正の半周期において、駆動パルスG9が正電圧のとき駆動パルスG10も正電圧となるため、第9スイッチ素子Q9と第10スイッチ素子Q10とは同時に導通し、このとき第1リアクトルL1に磁気エネルギーが蓄えられる。駆動パルスG9がゼロボルトのとき駆動パルスG10もゼロボルトとなるため、第9スイッチ素子Q9と第10スイッチ素子Q10とは同時に遮断する。このとき、第1リアクトルL1が昇圧リアクトルとして機能する(第1リアクトルL1に蓄えられた磁気エネルギーが電流となって第3ダイオードD3を経由して負荷回路3に供給される。)。
【0106】
負の半周期において、駆動パルスG9が正電圧のとき駆動パルスG10も正電圧となるため、第9スイッチ素子Q9と第10スイッチ素子Q10とは同時に導通し、このとき第1リアクトルL1に磁気エネルギーが蓄えられる。駆動パルスG9がゼロボルトのとき駆動パルスG10もゼロボルトとなるため、第9スイッチ素子Q9と第10スイッチ素子Q10とは同時に遮断する。このとき、第1リアクトルL1が昇圧リアクトルとして機能する。(第1リアクトルL1に蓄えられた磁気エネルギーが電流となって第4ダイオードD4を経由して負荷回路3に供給される。)。
【0107】
<正極検出電圧VSL、負極検出電圧VSNなどの波形>
各スイッチ素子の駆動パルスおよび正極検出電圧VSLなどの波形を図14(a)〜(e)に基づいて説明する。なお図14(a)〜(e)は、図2(a)〜(e)の各波形と対応した測定点における波形であり、説明を省略するものがある。
【0108】
力率制御回路2eの正極入力端21aおよび負極入力端21bにおける平均電圧(直流オフセット成分)は、出力直流電圧Vdoに対応した直流オフセットVSNL、VSNOとなる(図14(c)(d))。また、正極入力端21aと負極入力端21bとの間には、交流電圧Vacが加えられている。
【0109】
正極検出電圧VSLの電圧波形は、直流オフセットVSLOに交流電圧Vacに対応した電圧を加えた電圧波形となり(図14(c))。負極検出電圧VSNの電圧波形は、直流オフセットVSNOから交流電圧Vacに対応する電圧を減じた電圧波形となる(図14(d))。
【0110】
<AC波形生成およびAC波形生成方法>
AC波形生成部24は、正極検出電圧VSLおよび負極検出電圧VSNから、スイッチング電源1と同様に、図4に示すAC波形生成方法に基づいてAC波形VSacを生成することができる(図12(e))。
【0111】
ここで、上述した実施例及び変形例に係るAC波形生成方法において、仮に直流オフセット成分が残留していても、例えばステップS108のAC波形確定ステップにおいて、プログラム処理によって除去することができるため、AC波形Vsacのみを確実に取り出すことができる。
【0112】
また係数aおよびbの設定変更は、AC波形生成方法を実行するプログラム上で、パラメータの選択または変更などとして容易かつ任意に行うことがでる。
【0113】
さらにAC波形VSacの直流オフセット成分がゼロになるようにaおよびbをプログラム制御によって自動設定することもできる。こうした自動設定は、スイッチング電源の起動時から、例えばスイッチング電源が定常動作状態になるまでの所定期間のみ行えばよく、また自動設定結果を記憶手段に保存しておけば、次回の起動時の参照することもできる。
【実施例2】
【0114】
次に本発明にかかるスイッチング電源におけるAC波形生成方法他の実施例(実施例2)について説明する。
【0115】
AC波形生成方法他の実施例(実施例2)は、AC波形生成方法他の実施例(実施例1)における、AC波形VSacの負の半周期電圧VSac2(第2電圧波形)を演算する(式111)において、右辺の第1項のVSLと第2項のVSNとを入れ換える。すなわち、
VSac2=a×VSN−b×VSL・・・(式4―1)とする。
【0116】
ここでa=1、b=1ならば、VSac2=VSN−VSLとなって、
VSac2=−(VSL−VSN)=・・・(式4―2)となる。
【0117】
(式4―2)の波形は、前述VSac2=VSL−VSN(式111’)の波形を極性反転したものである。従って、実施例2における負の半周期電圧VSac2(第2電圧波形)は、正電圧の半周期電圧波形となる。
【0118】
つまり、実施例2におけるAC波形VSacは、正負いずれの半周期においても、正電圧のサイン波形となる脈流波形である(例えば、図2(e)において、時刻T1〜T2の負の半周期、および時刻T3〜T4の負の半周期におけるAC波形VSacが、正電圧のサイン波形となる。)。
【0119】
AC波形VSacは、力率改善部の各スイッチ素子の導通・遮断を行う駆動パルスを周波数変調する際に必要となるもので、脈流であることが回路構成上都合のよい場合もある。一方、交流電圧Vacの正負の半周期は、いずれもステップS105およびS110において確定されるから、AC波形VSacが脈流であっても、力率改善回路を適切に制御することができる。
【0120】
また、AC波形VSacの正の半周期電圧VSac1(第1電圧波形)を演算する(式106)において、右辺の第1項のVSLと第2項のVSNをを入れ換えてもよい。この場合は、正の半周期電圧VSac1(第1電圧波形)が負電圧の半周期電圧波形となって、AC波形VSacは、正の半周期および負の半周期が、いずれも負電圧の脈流波形となる。
【0121】
すなわち、本発明においては、波形をフーリェ展開した場合に、直流成分を含んでいても、入力交流波形の電圧などのレベルを時間軸上の電圧などの波形レベルとして識別できる波形(例えば、直流オフセットを有する交流波形、または脈流波形)であれば、AC波形に含まれる。
【0122】
なお、本発明にかかるPFCスイッチング電源、およびPFCスイッチング電源におけるAC波形生成方法は、上述した各実施例の限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することができる。
【0123】
例えば、正極検出電圧および負極検出電圧からAC波形Vacを演算する演算式は、各実施例以外の回路構成を有する力率改善部であっても、共通して、あるいはパラメータの設定によって対応することができる。
【0124】
また、各実施例においては、スイッチング制御部によるプログラム制御を例として説明したが、スイッチング制御部の構成要素をアナログ回路とするなどして、ハードウェアによって実現することもできる。例えばAC波形生成部は、アナログ加算回路などで構成でき、AC極性判定部はコンパレータ回路などで構成できる。こうした構成でも、回路構成を変更することなく、前述パラメータ設定に相当する、一部回路定数の設定によって(例えばAC波形を生成する演算回路の係数を設定することによって)、各種のブリッジレス・ブーストコンバータに対応することができ、トランスやフォトカプラのような直流遮断素子を使用することなく、交流電圧の極性判定を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明にかかる力率改善機能を有するスイッチング電源は、その製造、販売および各種電気機器および電子機器などの電源としての使用することができるから、また本発明にかかるスイッチング電源におけるAC波形生成方法は、各種電気機器および電子機器などにおける力率改善機能を有するスイッチング電源において使用することができるから、いずれも本発明は産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0126】
1、1a〜1e スイッチング電源
2、2a〜2e 力率改善部
3 負荷回路(負荷)
5 スイッチング制御部
9 入力電圧検出部
11 入力部
11a 交流正極入力端
11b 交流負極入力端
G1、G2、G3、G4、G9、G10 駆動パルス
Q1、Q2、Q3,Q4、Q9、Q10 スイッチ素子
Vac 交流電圧
VSac AC波形
VSL 正極検出電圧
VSN 負極検出電圧


【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続される入力部と、
該入力部に入力された交流電圧を整流し、負荷に直流出力を出力するとともに、力率の改善を行う力率改善部と、
前記入力部の正極電圧に対応した正極検出電圧、および前記入力部の負極電圧に対応した負極検出電圧を出力する入力電圧検出部と、
前記正極検出電圧および前記負極検出電圧に基づいて前記力率改善部の動作を制御するスイッチング制御部とを備え、
該スイッチング制御部が有するAC波形生成部は、前記正極検出電圧および負極検出電圧極に基づいてAC波形を生成し、AC波形情報として出力し、
前記スイッチング制御部は、前記AC波形情報に応じて周期およびデューティ比が変化する駆動パルスを生成し、前記力率改善部が有する1または複数のスイッチ素子を駆動することによって、前記力率改善部の直流出力を所定の直流出力に維持するとともに、前記力率の改善を行うことを特徴とするスイッチング電源。
【請求項2】
前記AC波形生成部は、
前記正極検出電圧と前記負極検出電圧との大小を比較し、
前記比較した結果に基づいて前記交流電圧の正の半周期と負の半周期を確定し、
前記確定に基づいて、前記正極検出電圧と前記負極検出電圧とから電圧波形を生成し、
前記電圧波形に基づいて生成したAC波形を前記AC波形情報として出力することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記正極検出電圧と前記負極検出電圧との大小を比較した結果、
前記正極検出電圧が前記負極検出電圧より大きい場合には、
前記交流電圧の周期が正または負の半周期の一方の半周期と確定され、
前記一方の半周期における前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から、前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する第1電圧波形が生成され、
前記負極検出電圧が前記正極検出電圧より大きい場合には、
前記交流電圧の周期が正または負の半周期の他方の半周期と確定され、
前記他方の半周期における前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から、前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する第2電圧波形が生成され、
これら第1電圧波形および第2電圧波形に基づいて前記電圧波形が生成されることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源。
【請求項4】
前記正極検出電圧と前記負極検出電圧との大小を比較した結果、
前記正極検出電圧が前記負極検出電圧より大きい場合には、前記交流電圧の周期が正または負の半周期の一方の半周期と確定され、前記一方の半周期における前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から、前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する第1電圧波形が生成され、または、前記一方の半周期における前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧から、前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する極性反転第1電圧波形が生成され、
前記負極検出電圧が前記正極検出電圧より大きい場合には、前記交流電圧の周期が正または負の半周期の他方の半周期と確定され、前記他方の半周期における前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧から、前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する極性反転第2電圧波形が生成され、または、前記他方の半周期における前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から、前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた波形に対応する第2電圧波形が生成され、
極性反転第1電圧波形および第2電圧波形に基づいて、または第1電圧波形および極性反転第2電圧波形に基づいて前記電圧波形が生成されることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源。
【請求項5】
交流電源に接続される入力部と、
前記入力部に入力された交流電圧を整流し、負荷に直流出力を出力するとともに、力率の改善を行う力率改善部と、
前記入力部の正極電圧に対応した正極検出電圧、および前記入力部の負極電圧に対応した負極検出電圧を出力する入力電圧検出部と、
前記正極検出電圧および前記負極検出電圧に基づいて前記力率改善部の動作を制御するスイッチング制御部とを備えたスイッチング電源のAC波形生成方法であって、
該AC波形生成方法は、
前記正極検出電圧と前記負極検出電圧とを取得する入力部電圧取得ステップと、
前記正極検出電圧と前記負極検出電圧との大きさを比較して前記交流電圧の周期を、正の半周期または負の半周期のいずれかに確定する周期確定ステップと、
前記正の半周期および前記負の半周期のそれぞれに応じて予め設定された演算式を用いて、前記正極検出電圧と前記負極検出電圧とから、前記正の半周期および前記負のそれぞれの電圧波形を導出する電圧波形演算ステップと、
前記正負半周期毎に導出された前記それぞれの電圧波形を合成してAC波形として確定する、AC波形確定ステップと、
を有することを特徴とするスイッチング電源におけるAC波形生成方法。
【請求項6】
前記周期確定ステップにおいて、
前記正極検出電圧が前記負極検出電圧より大きいと判定された場合には、前記交流電圧の周期を、前記正の半周期および前記負の半周期の一方の半周期と確定し、
一方、前記負極検出電圧が前記正極検出電圧より大きいと判定された場合には、前記交流電圧の周期を、前記正の半周期および前記負の半周期の他方の半周期と確定し、
前記一方の半周期と確定された場合には、前記一方の半周期における前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から、前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた値に対応する第1電圧波形を生成し、
前記他方の半周期と確定された場合には、前記他方の半周期における前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から、前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた値に対応する第2電圧波形を生成し、
前記AC波形確定ステップにおいて、これら第1電圧波形および第2電圧波形に基づいて前記AC波形を確定することを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源におけるAC波形生成方法。
【請求項7】
前記周期確定ステップにおいて、
前記正極検出電圧が前記負極検出電圧より大きいと判定された場合には、前記交流電圧の周期を、前記正の半周期および前記負の半周期の一方の半周期と確定し、
一方、前記負極検出電圧が前記正極検出電圧より大きいと判定された場合には、前記交流電圧の周期を、前記正の半周期および前記負の半周期の他方の半周期と確定し、
前記一方の半周期と確定された場合には、前記一方の半周期における前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から、前記負極検出電圧を加えた電圧に所定の第2の係数を乗じた値に対応する第1電圧波形を生成し、または、前記一方の半周期における前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧から、前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧を減じた値に対応する極性反転第1電圧波形を生成し、
前記他方の半周期と確定された場合には、前記他方の半周期における前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧から、前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧を減じた値に対応する第2電圧波形を生成し、または、前記他方の半周期における前記負極検出電圧に所定の第2の係数を乗じた電圧から、前記正極検出電圧に所定の第1の係数を乗じた電圧を減じた値に対応する極性反転第2電圧波形を生成し、
前記AC波形確定ステップにおいて、極性反転第1電圧波形および第2電圧波形に基づいて、または第1電圧波形および極性反転第2電圧波形に基づいて、前記AC波形を確定することを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源におけるAC波形生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−74667(P2013−74667A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210549(P2011−210549)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】