説明

スイッチング電源回路

【課題】低コストを実現することができるスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】 本発明の1形態のスイッチング電源回路は、スイッチ31と、エネルギー伝達要素であるコイル5と、コイル5から伝達されるエネルギーを電圧として出力する出力生成回路である容量6と、出力電圧に応じた検出信号を生成する出力電圧検出回路8と、検出信号の値に応じた伝達信号を出力する伝達回路であるPNPトランジスタ9と、伝達信号に応じてスイッチ31を制御するコントローラ32と、伝達回路(PNPトランジスタ9)とコントローラ32との間に接続された整流要素であるダイオード10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流出力電圧を安定化するための非絶縁型電源回路として、3端子型スイッチングレギュレータを用いて出力電圧を安定化するスイッチング電源回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば電子機器組み込み用の電源回路で直流出力電圧を安定化するための非絶縁型電源回路として、3端子型スイッチングレギュレータを用いて出力電圧を安定化するスイッチング電源回路が、広く利用されている。
【0003】
従来のスイッチング電源回路(例えば、特許文献1の図6を参照)では、出力電圧に応じた信号をスイッチング動作を制御するコントローラへ伝達する伝達回路として、フォトカプラのような入力側と出力側が絶縁された伝達回路を用いて出力電圧をフィードバックしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6294903号明細書(図5、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のスイッチング電源回路では、入力側と出力側とが非絶縁である電源回路でありながら、フォトカプラ等の入力側と出力側が絶縁された素子が必要な回路構成となっている。そのため、フォトカプラ等の絶縁タイプの素子によりコストが上がり、低コスト化の妨げとなっている。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、3端子型スイッチングレギュレータを用いた非絶縁型電源回路として、伝達手段に非絶縁タイプの素子を使用することで、低コストに実現することができるスイッチング電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明の1形態におけるスイッチング電源回路は、入力電圧が入力される2つの入力端子の一方に接続されたスイッチと、前記スイッチによりスイッチングされた入力電圧をエネルギーとして伝達するエネルギー伝達要素と、前記エネルギー伝達要素から伝達されるエネルギーを平滑化しつつ電圧として2つの出力端子間に出力する出力生成回路と、前記出力生成回路の出力電圧を検出し、前記出力電圧に応じた検出信号を生成する出力電圧検出回路と、前記2つの出力端子の一方に接続され、前記出力電圧検出回路で生成された前記検出信号の値に応じた伝達信号を出力する伝達回路と、前記スイッチと前記エネルギー伝達要素の接続点の電位を動作基準電圧とし、前記伝達信号に応じて前記スイッチのスイッチングを制御する駆動信号を生成する制御回路と、前記伝達回路と前記制御回路との間に接続され、前記伝達回路から前記制御回路の方向へのみ前記伝達信号を流す整流要素とを備える。
【0008】
この構成によれば、3端子型スイッチングレギュレータを用いた非絶縁型電源回路として、フォトカプラではなく非絶縁タイプの整流要素を使用している。これにより、低コストに実現することができる。
【0009】
ここで、前記整流要素の耐圧は、前記入力電圧と前記整流要素の順方向降下電圧との和以上であってもよい。
【0010】
ここで、前記スイッチング電源回路は、さらに、前記整流要素と前記制御回路との間に挿入された変換回路を備え、前記変換回路は、前記伝達信号を定電圧化してもよい。
【0011】
ここで、前記変換回路は、前記整流要素と前記制御回路との接続点と、前記スイッチと前記エネルギー伝達要素との接続点との間に挿入された容量により構成されてもよい。
【0012】
ここで、前記伝達回路がバイポーラトランジスタであってもよい。
【0013】
ここで、前記伝達回路がMOSトランジスタであってもよい。
【0014】
ここで、前記出力電圧検出回路は、前記2つの出力端子間に直列に挿入された第1の抵抗器および第2の抵抗器と、前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器との接続点の分割電圧値に応じた電流信号を前記検出信号として前記伝達回路に出力する電流信号出力回路とを有していてもよい。
【0015】
ここで、前記電流信号出力回路は、前記分割電圧値をリファレンス電圧とするリファレンス端子と、前記伝達回路に接続されたカソードと、前記2つの出力端子の他方に接続されたアノードとを有するシャントレギュレータを備えても良い。
【0016】
ここで、前記出力電圧検出回路は、前記2つの出力端子間に直列に挿入された第3の抵抗器およびツェナーダイオードと、前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器の接続点にベースが接続され、前記伝達回路にコレクタが接続され、前記第3の抵抗器と前記ツェナーダイオードの接続点にエミッタが接続されたトランジスタとを有していてもよい。
【0017】
ここで、前記出力電圧検出回路は、前記2つの出力端子間に直列に挿入された第3の抵抗器とツェナーダイオードを有し、前記ツェナーダイオードのカソードが第3の抵抗器と接続され、上記ツェナーダイオードのアノードが前記2つ出力端子の他方に接続され、上記ツェナーダイオードのカソードへ流入する電流信号に応じた前記検出信号を前記伝達回路に出力してもよい。
【0018】
ここで、前記制御回路は、前記伝達信号の値に応じて、前記出力電圧検出回路で検出される出力電圧が一定となるように、前記スイッチのオン時間を制御するための前記駆動信号を生成してもよい。
【0019】
ここで、前記制御回路は、前記伝達信号の値に応じて、前記出力電圧検出回路で検出される出力電圧が一定となるように、前記スイッチのオン期間に前記スイッチから前記エネルギー伝達要素に流入する電流のピーク値を制御するための前記駆動信号を生成しても良い。
【0020】
ここで、前記制御回路は、前記伝達信号の値に応じて、前記出力電圧検出回路で検出される出力電圧が一定となるように、前記スイッチのスイッチング周波数を制御するための前記駆動信号を生成してもよい。
【0021】
ここで、前記制御回路は、前記伝達信号の値に応じて、前記出力電圧検出回路で検出される出力電圧が一定となるように、前記スイッチのスイッチング動作期間とスイッチング停止期間を制御するための前記駆動信号を生成してもよい。
【0022】
ここで、前記スイッチは前記入力電圧の正電圧側の入力端子に接続され、前記入力電圧の負電圧側の入力端子は、前記2つの出力端子のうちの負電圧側の出力端子に接続される正電圧出力型であってもよい。
【0023】
ここで、前記入力電圧の正電圧側を前記スイッチに接続し、前記入力電圧の負電圧側を前記2つの出力端子のうちの正電圧側の出力端子に接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、3端子型スイッチングレギュレータを用いた非絶縁型電源回路として、出力電圧の安定化を、入力側と出力側が非絶縁である伝達手段で出力部の電圧変動をフィードバックすることにより、制御することができる。
【0025】
そのため、3端子型スイッチングレギュレータを用いた非絶縁型電源回路を、伝達手段を高価な入力側と出力側が絶縁された素子から安価な非絶縁の素子へ変更することで、低コストに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1のスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図
【図2】同実施の形態1のスイッチング電源回路の動作を示す波形図
【図3】本発明の実施の形態2のスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図
【図4】本発明の実施の形態3のスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図
【図5】本発明の実施の形態4のスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図
【図6】同実施の形態4のスイッチング電源回路の動作を示す波形図
【図7】比較参照例としてのスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図
【図8】比較参照例としてのスイッチング電源回路の動作を示す波形図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を示すスイッチング電源回路について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うため、再度の説明を省略する場合がある。また、添付の図面は、本発明の一実施例として詳細に図示したものであり、本発明は添付の図面に限定するものではない。
【0028】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1のスイッチング電源回路を説明する。
【0029】
図1は本実施の形態1のスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図である。本実施の形態1のスイッチング電源回路は、図1に示すように、入力部1、出力部2、3端子型スイッチングレギュレータ3、変換回路である容量4、エネルギー伝達要素であるコイル5、出力生成回路である容量6、ダイオード7、出力電圧検出回路8、伝達回路であるPNPトランジスタ9、整流要素であるダイオード10を備える。
【0030】
入力部1は、正電圧端子11と負電圧端子12とを有し、入力電圧VINが入力される。
【0031】
出力部2は、正電圧端子21と負電圧端子22とを有し、この2つの端子間に電圧を出力する。
【0032】
3端子型スイッチングレギュレータ3は、入力部1の正電圧端子11から入力電圧VINが印加され、入力電圧VINをスイッチングした電圧をコイル5に出力する。
【0033】
容量4は、3端子型スイッチングレギュレータ3の電源電圧を供給する。また容量4は、ダイオード10からの伝達信号を定電流化、定電圧化する変換回路でもある。
【0034】
コイル5は、3端子型スイッチングレギュレータ3と出力部2の間に挿入したエネルギー伝達要素である。
【0035】
容量6は、コイル5から出力部2へ出力される電圧を平滑化する出力生成回路である。
【0036】
ダイオード7は、3端子型スイッチングレギュレータ3とコイル5の接続点にカソードを接続し、出力部2の負電圧端子22にアノードを接続している。
【0037】
出力電圧検出回路8は、出力部2の出力電圧VOを検出する。
【0038】
PNPトランジスタ9は、出力電圧検出回路8で検出された出力電圧に対応する信号を3端子型スイッチングレギュレータ3にフィードバックする伝達回路である。
【0039】
ダイオード10は、PNPトランジスタ9のコレクタと3端子型スイッチングレギュレータ3の間に挿入された整流要素である。
【0040】
出力電圧検出回路8は、出力部2の正電圧端子21と負電圧端子22との間に直列接続されて挿入された第1の抵抗器81および第2の抵抗器82と、基準電圧検知用端子を第1の抵抗器81と第2の抵抗器82の接続点に接続し、カソードをPNPトランジスタ9のベースに接続し、アノードを出力部2の負電圧端子22に接続したシャントレギュレータ83とにより構成される。
【0041】
以上のように構成されたスイッチング電源回路の動作を以下に説明する。
【0042】
図2は本実施の形態1のスイッチング電源回路の動作を示す波形図である。ここでは、後述する比較参照例(図7、図8)と異なる伝達回路(PNPトランジスタ9)と整流回路(ダイオード10)と容量4の動作についてのみ説明し、比較参照例と同様の構成である部分の動作についての説明は省略する。また、3端子型スイッチングレギュレータ3とコイル5の動作は比較参照例と同様であるため、図2の波形(1)で示すコイルを流れる電流ILと波形(2)で示すコイルに生じる電位差VLは、図8の比較参照例の波形(1)で示すコイルを流れる電流ILと波形(2)で示すコイルに生じる電位差VLと同様の動作波形になる。
【0043】
図2において、波形(1)ILはコイル5に流れる電流、波形(2)VLはコイル5に生じる電位差、波形(3)VAはPNPトランジスタ9のベースの電圧(図1のA点)、波形(4)VA’はPNPトランジスタ9のコレクタの電圧(図1のA’点、)、波形(5)はコントロール端子電圧VCのイメージ図である。
【0044】
図2中のTONはスイッチ31のオン期間、TOFFはスイッチ31のオフ期間、VSはソース端子34の電圧、VCはコントロール端子35の電圧、VCSはソース端子34の電位に対するコントロール端子35の電圧であり、波形(3)VAと波形(4)VA’と波形(5)VCは電源の基準電圧GNDを基準とした場合の動作波形である。また、図2の動作波形は、図1のコイル5の電流ILに対する矢印の方向を順方向とする。
【0045】
出力電圧検出回路8の第1の抵抗器81と第2の抵抗器82は、出力部2の出力電圧VOが電源仕様の出力電圧と一致したとき、その第1の抵抗器81と第2の抵抗器82との接続点Cの電圧が、シャントレギュレータ83に予め設定された基準電圧と一致するように、各抵抗値が設定される。
【0046】
ここで、出力電圧VOが増減すると、その増減と同様に第1の抵抗器81と第2の抵抗器82との接続点Cの電圧も増減し、接続点Cの電圧がシャントレギュレータ83の基準電圧検知用端子に印加される。接続点Cの電圧とシャントレギュレータ83の基準電圧との誤差に合わせて、シャントレギュレータ83のカソードからアノードに流れる電流量が変化する。
【0047】
シャントレギュレータ83に電流が流れると、シャントレギュレータ83のカソードと出力部2の正電圧端子21の間に挿入された第3の抵抗器91に電流が流れ、第3の抵抗器91の電圧降下により、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間電圧が生じ、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間にも電流が流れる。ここで、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間の電流の変動は、シャントレギュレータ83のカソードからアノードへ流れる電流の変動と一致する。PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間に電流が流れると、そのエミッタ−ベース間の電流に応じた電流が、エミッタ−コレクタ間に流れる。上記の一連の動作により、出力電圧VOの誤差の電流信号がPNPトランジスタ9のエミッタ−コレクタ間に流れ、ダイオード10のアノードへ流入する。
【0048】
ここで、PNPトランジスタ9のベースの電圧(図1のA点)は、出力部2の正電圧端子21の電位よりPNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間電圧だけ低い電位となり、GNDに対して出力部2の正電圧端子21の電位が出力電圧VOで一定であるため、図2の波形(3)に示すように、GNDに対して一定の動作波形となる。
【0049】
同様に、定常動作時は常に出力電圧のフィードバックが行われ、PNPトランジスタ9は常にエミッタ−ベース間に電流が流れており、エミッタ−コレクタ間は導通している。そのため、電源の基準電圧GNDを基準に考えると、図2の波形(4)のように、PNPトランジスタ9のコレクタ電圧VA’は出力部2の正電圧端子21の電圧VOよりもPNPトランジスタ9のエミッタ−コレクタ間の電圧だけ低い電圧で一定の動作波形となる。
【0050】
ダイオード10のアノードの電圧(もしくはPNPトランジスタ9のコレクタの電圧、図1のA’点)がダイオード10のカソードの電圧(もしくはコントロール端子電圧VC)よりも高いときのみ、ダイオード10のアノードへ流入した電流は、カソードから流出し、3端子型スイッチングレギュレータ3のコントロール端子35へと流入する。
【0051】
スイッチ31のオフ期間TOFFでは、図2の波形(4)および波形(5)に示すように、PNPトランジスタ9のコレクタの電圧VA’はコントロール端子電圧VCよりも高くなるため、ダイオード10に電流が流れる。このとき、PNPトランジスタ9のコレクタの電圧VA’は、コントロール端子電圧VCよりもダイオード10の順方向降下電圧VF分よりも高くなる値である必要がある。
【0052】
スイッチ31のオン期間TONでは、図2の波形(4)および波形(5)に示すように、出力部2の正電圧端子21の電圧VOがコントロール端子電圧VCより低くなるため、ダイオード10のアノードの電圧よりもカソードの電圧が高くなり、ダイオード10には電流が流れない。
【0053】
その結果、スイッチ31のオフ期間TOFFのみ、ダイオード10はPNPトランジスタ9からコントローラ32の方向へ電流伝達信号を流し、出力電圧検出回路8からの電流信号に応じたパルス状の電流伝達信号が、変換回路でもある容量4により一定の電流・電圧の帰還信号に変換されてコントロール端子35へ流入する。定常的に出力電圧VOの変動に応じた電流・電圧帰還信号をコントローラ32にフィードバックすることと、コントローラ32の電源電圧を供給することが同時に可能となり、上記の電源制御を実現することができる。
【0054】
コントローラ32は、コントロール端子35に流入する電流量に応じて、スイッチ31のスイッチングを制御するため、出力電圧VOの誤差が小さくなるようにスイッチ31のオンデューティが変化し、それにより出力電圧VOは一定に保たれる。
【0055】
ここで、PNPトランジスタ9のコレクタの電圧(図2の波形(4))とコントロール端子35の電圧(図2の波形(5))の電圧差は、スイッチ31のスイッチングに併せて変動している。その電圧差は、コントロール端子電圧VCの変動幅よりも大きくなることはないため、PNPトランジスタ9のコレクタとコントロール端子35の間に挿入されるダイオード10はコントロール端子電圧VCの変動幅以上の耐圧を確保する必要がある。ここで、コントロール端子電圧VCの変動幅は、図2の波形(5)より、(VIN+VCS)−(−VF+VCS)=(VIN+VF)となり、ダイオード10は(VIN+VF)以上の耐圧が必要となる。
【0056】
さらに、図2の波形(3)と波形(4)のように、伝達手段であるPNPトランジスタ9の入力側であるベースの電圧(図2の波形(3))と出力側であるコレクタの電圧(図2の波形(4))は、ともにGNDに対して常に一定であり、またその電圧差はPNPトランジスタ9のエミッタ−コレクタ間電圧特性により決定するため、PNPトランジスタの耐圧を超えることはない。そのため、伝達手段の入力側と出力側は絶縁されている必要がない。
【0057】
以上のように、本実施の形態1によれば、伝達手段とコントローラ32の間に十分な耐圧を持った整流要素であるダイオード10を挿入することにより、伝達回路は絶縁でもなく高耐圧でもないトランジスタで回路で構成されることができる。従来では伝達回路に入力側と出力側が絶縁されたフォトカプラ等の素子が必要であったが、本実施の形態では、入力側と出力側が絶縁されたフォトカプラ等の素子が不要となり入力側と出力側が非絶縁のPNPトランジスタ等の伝達回路で構成できるため、低コスト化を実現することができる。
【0058】
なお、本実施の形態1によれば、ダイオード10に高耐圧のダイオードを使用することにより、入力電圧VINが大きい高入力電圧の電源回路にも使用することができる。
【0059】
なお、本実施の形態1によれば、3端子型スイッチングレギュレータ3のコントローラ32はコントロール端子35へ流入する電流信号に応じて、スイッチ31の駆動信号を制御しているが、それに限定するものではない。3端子型スイッチングレギュレータ3のコントローラ32はコントロール端子35のソース端子34に対する電圧変動に応じて、スイッチ31の駆動信号を制御する制御方法でも、上記の電源制御を実現することができる。
【0060】
なお、本実施の形態1によれば、ダイオード10からコントロール端子35の方向への電流がスイッチ31のスイッチングに併せてパルス状に流れているため、一定の電流・電圧化する変換回路としてダイオード10とコントロール端子35の間に挿入した容量4を使用しているが、それに限定するものではない。パルス状の電流信号を一定の電流・電圧信号に変換する回路であれば、電流・電圧の平均化やピークホールドなど、その変換方法は問わない。
【0061】
また、本実施の形態1によれば、コントローラ32によるスイッチ31の制御方法は、デューティを変化させるPWM制御方式で説明しているが、それに限定するものではない。ドレイン端子33−ソース端子34間に流れる電流ピークを変化させる電流モードPWM制御方式や、発振周波数を変化させるPFM制御方式や、発振期間と発振停止期間とを繰り返す間欠制御方式などでも実現可能であり、その制御方法は問わない。
【0062】
また、本実施の形態1によれば、出力電圧検出回路8は抵抗器81、82とシャントレギュレータ83により構成されているが、それに限定するものではない。出力部2の出力電圧VOの誤差を検知し、その誤差を電流信号に変換し、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間にその電流を流すことができる回路であれば、その構成は問わない。
【0063】
また、本実施の形態1によれば、PNPトランジスタ9はPNPバイポーラ型のトランジスタにより構成されているが、それに限定するものではない。出力電圧検出回路8からの電流信号に応じた信号を整流要素であるダイオード10に流入することができる回路であれば、その構成は問わない。
【0064】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2のスイッチング電源回路を説明する。
【0065】
図3は本実施の形態2のスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図である。上記の実施の形態1において、出力部2の出力電圧VOの誤差を検知し、その誤差を電流信号に変換し、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間にその電流を流すことができる回路として、例えば、図3のように、第1の抵抗器81と第2の抵抗器82とツェナーダイオード84とPNPトランジスタ85とによる構成でも可能である。
【0066】
図3の出力電圧検出回路8では、出力部2の出力電圧VOの変動に応じて、第1の抵抗器81と第2の抵抗器82の接続点Cの電圧が変動し、その接続点Cの電圧がPNPトランジスタ85のベースに印加される。そのベースに印加される電圧の変動に応じてPNPトランジスタ85のコレクタ−エミッタ間に電流が流れ、その電流はPNPトランジスタ9のベースから流出するため、出力部2の出力電圧VOの誤差に応じて、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間に電流が流れる。
【0067】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3のスイッチング電源回路を説明する。
【0068】
図4は本実施の形態3のスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図である。上記の実施の形態1において、出力部2の出力電圧VOの誤差を検知し、その誤差を電流信号に変換し、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間にその電流を流すことができる回路として、例えば、図4のように、ツェナーダイオード86を使用した構成でも可能である。
【0069】
図4の出力電圧検出回路8では、出力部2の出力電圧VOの変動に応じて、ツェナーダイオード86にツェナー降伏による電流が流れ、その電流に応じた電流がPNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間に流れるため、出力部2の出力電圧VOの誤差に応じてPNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間に電流が流れる。
【0070】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4のスイッチング電源回路を説明する。
【0071】
図5は本実施の形態4のスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図である。上記の実施の形態1では、入力部1の正電圧端子11を3端子型スイッチングレギュレータ3に接続し、入力部1の負電圧端子12を出力部2の負電圧端子22と接続した降圧型の非絶縁型電源回路であるが、例えば、図5のように、入力部1の正電圧端子11を3端子型スイッチングレギュレータ3に接続し、入力部1の負電圧端子12を出力部2の正電圧端子21と接続した極性反転型の非絶縁型電源回路とした構成でも可能である。
【0072】
以上のように構成されたスイッチング電源回路の動作を以下に説明する。
【0073】
図6は本実施の形態4のスイッチング電源回路の動作を示す波形図である。図6において、波形(1)ILはコイル5を流れる電流、波形(2)VLはコイル5に生じる電位差、波形(3)VDはPNPトランジスタ9のベースの電圧(図5のD点)、波形(4)VD’はPNPトランジスタ9のコレクタの電圧(図5のD’点、)、波形(5)はコントロール端子電圧VCのイメージ図である。
【0074】
図6中のTONはスイッチ31のオン期間、TOFFはスイッチ31のオフ期間、VSはソース端子34の電圧、VCはコントロール端子35の電圧であり、VCSはソース端子34の電位に対するコントロール端子35の電圧であり、波形(3)VDと波形(4)VD’と波形(5)VCは電源の基準電圧GNDを基準とした場合の動作波形である。なお、図6の動作波形は図5のコイル5の電流ILに対する矢印の方向を順方向とする。
【0075】
ここで、入力電圧VINが入力部1に印加されると、3端子型スイッチングレギュレータ3のドレイン端子33に入力電圧VINが印加される。コイル5のインダクタンスをLとすると、コイル5に流れる電流ILの時間変化の傾きはVL/Lに比例するので、図6の波形(2)のように、スイッチ31のオン期間TONでは、ドレイン端子33−ソース端子34間が導通して入力電圧VINがコイル5のソース端子34側に印加されるため、コイル5にソース端子34側から出力部2側への電位差VINが生じ、順方向の電流ILの値が増加し、コイル5にエネルギーが充電される。
【0076】
スイッチ31のオフ期間TOFFには、ドレイン端子33−ソース端子34間の導通が切断されてダイオード7に電流が流れるため、ソース端子34の電位VSは、出力部2の負電圧端子22の電圧−VOからダイオード7の順方向降下電圧VF分低くなった電位(−VO−VF)となり、出力部2の正電圧端子21の電位GNDがソース端子34の電位VSより高くなるので、コイル5に流れる電流ILの値は減少し、コイル5に充電されていたエネルギーは出力部2へ出力される。出力生成回路である容量6はこの電流ILを平滑化して、出力電圧−VOを生成し、出力電流IOは電流ILの平均値となる。
【0077】
定常発振時は、以上のオン期間TONとオフ期間TOFFを繰り返し、エネルギーが出力部2へ供給される。
【0078】
出力電圧検出回路8の第1の抵抗器81と第2の抵抗器82は、出力部2の出力電圧VOが電源仕様の出力電圧と一致したとき、その第1の抵抗器81と第2の抵抗器82との接続点Cの電圧が、シャントレギュレータ83に予め設定された基準電圧と一致するように、各抵抗値が設定される。
【0079】
ここで、出力電圧VOが増減すると、その増減と同様に第1の抵抗器81と第2の抵抗器82との接続点Cの電圧も増減し、接続点Cの電圧がシャントレギュレータ83の基準電圧検知用端子に印加される。接続点Cの電圧とシャントレギュレータ83の基準電圧との誤差に合わせて、シャントレギュレータ83のカソードからアノードに流れる電流量が変化する。
【0080】
シャントレギュレータ83に電流が流れると、シャントレギュレータ83のカソードと出力部2の正電圧端子21の間に挿入された第3の抵抗器91に電流が流れ、第3の抵抗器91の電圧降下により、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間電圧が生じ、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間にも電流が流れる。ここで、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間の電流の変動は、シャントレギュレータ83のカソードからアノードへ流れる電流の変動と一致する。PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間に電流が流れると、そのエミッタ−ベース間の電流に応じた電流が、エミッタ−コレクタ間に流れる。上記の一連の動作により、出力電圧−VOの誤差の電流信号がPNPトランジスタ9のエミッタ−コレクタ間に流れ、ダイオード10のアノードへ流入する。
【0081】
ここで、PNPトランジスタ9のベースの電圧(図5のD点)は、出力部2の正電圧端子21の電圧GNDよりPNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間電圧だけ低い電位となり、図6の波形(3)に示すように、GNDに対して一定の動作波形となる。
【0082】
同様に、定常動作時は常に出力電圧のフィードバックが行われ、PNPトランジスタ9は常にエミッタ−ベース間に電流が流れており、エミッタ−コレクタ間は導通している。そのため、図6の波形(4)のように、PNPトランジスタ9のコレクタ電圧VD’は出力部2の正電圧端子21の電圧GNDよりもPNPトランジスタ9のエミッタ−コレクタ間の電圧だけ低い電圧で一定の動作波形となる。
【0083】
ダイオード10のアノードの電圧(もしくはPNPトランジスタ9のコレクタの電圧、図5のD’点)がダイオード10のカソードの電圧(もしくはコントロール端子電圧VC)よりも高いときのみ、ダイオード10のアノードへ流入した電流は、カソードから流出し、3端子型スイッチングレギュレータ3のコントロール端子35へと流入する。
【0084】
スイッチ31のオフ期間TOFFでは、図6の波形(4)および波形(5)に示すように、PNPトランジスタ9のコレクタの電圧VD’はコントロール端子電圧VCよりも高くなるため、ダイオード10に電流が流れる。このとき、PNPトランジスタ9のコレクタの電圧VD’は、コントロール端子電圧VCはよりもダイオード10の順方向降下電圧VF分よりも高くなる値である必要がある。
【0085】
スイッチ31のオン期間TONでは、図6の波形(4)および波形(5)に示すように、出力部2の正電圧端子21の電圧GNDがコントロール端子電圧VCより低くなるため、ダイオード10のアノードの電圧よりもカソードの電圧が高くなり、ダイオード10には電流が流れない。
【0086】
その結果、スイッチ31のオフ期間TOFFのみ、ダイオード10はPNPトランジスタ9からコントローラ32の方向へ電流伝達信号を流し、出力電圧検出回路8からの電流信号に応じたパルス状の電流伝達信号が、変換回路でもある容量4により一定の電流・電圧の帰還信号に変換されてコントロール端子35へ流入する。定常的に出力電圧VOの誤差に応じた電流・電圧帰還信号をコントローラ32にフィードバックすることと、コントローラ32の電源電圧を供給することが同時に可能となり、上記の電源制御を実現することができる。
【0087】
コントローラ32は、コントロール端子35に流入する電流量に応じて、スイッチ31のスイッチングを制御するため、出力電圧VOの誤差が小さくなるようにスイッチ31のオンデューティが変化し、それにより出力電圧VOは一定に保たれる。
【0088】
ここで、PNPトランジスタ9のコレクタの電圧(図6の波形(4))とコントロール端子35の電圧(図6の波形(5))の電圧差は、スイッチ31のスイッチングに併せて変動している。その電圧差は、コントロール端子電圧VCの変動幅よりも大きくなることはないため、PNPトランジスタ9のコレクタとコントロール端子35の間に挿入されるダイオード10はコントロール端子電圧VCの変動幅以上の耐圧を確保する必要がある。ここで、コントロール端子電圧VCの変動幅は、図6の波形(5)より、(VIN+VCS)−(−VO−VF+VCS)=(VIN+VO+VF)となり、ダイオード10は(VIN+VO+VF)以上の耐圧が必要となる。
【0089】
さらに、図6の波形(3)と波形(4)のように、伝達手段であるPNPトランジスタ9の入力側であるベースの電圧(図6の波形(3))と出力側であるコレクタの電圧(図6の(4))は、ともにGNDに対して常に一定であり、またその電圧差はPNPトランジスタ9のエミッタ−コレクタ間電圧特性により決定するため、PNPトランジスタ9の耐圧を超えることはない。そのため、伝達回路の入力側と出力側は絶縁されている必要がない。
【0090】
このように、本実施の形態4によれば、極性反転型の非絶縁型電源回路でも、伝達回路を非絶縁でもなく高耐圧でもないトランジスタで回路を構成されることができる。
【0091】
なお、図5の極性反転型の非絶縁型電源回路によれば、出力電圧検出回路8は抵抗器81、82とシャントレギュレータ83により構成されているが、それに限定するものではない。出力部2の出力電圧VOの誤差を検知し、その誤差を電流信号に変換し、PNPトランジスタ9のエミッタ−ベース間にその電流を流すことができる回路であれば、その構成は問わない。
【0092】
例えば、図3の出力電圧検出回路8のように、第1の抵抗器81と第2の抵抗器82とツェナーダイオード84とトランジスタ85の構成や、図4の出力電圧検出回路8のように、ツェナーダイオード86を使用した構成でも可能であることは明らかである。
【0093】
以上説明してきた実施の形態におけるスイッチング電源回路に対する、比較参照例として、フォトカプラを用いたスイッチング電源回路について説明する。図7は、図1に対する比較参照例としてのスイッチング電源回路の構成を示す概略回路図である。図7の比較参照例のスイッチング電源回路は、図1と比較して、伝達回路(PNPトランジスタ9)および整流回路(ダイオード10)の代わりにフォトカプラを備える点が異なっている。
【0094】
まず、3端子型スイッチングレギュレータ3について説明する。
【0095】
3端子型スイッチングレギュレータ3は、その内部にスイッチ31と制御回路であるコントローラ32とで構成され、3つの端子33、34、35を有している。スイッチ31は例えばパワーMOS−FETトランジスタで構成され、スイッチ31の発振(スイッチング)はコントローラ32により制御される。3端子型スイッチングレギュレータ3の各端子は、それぞれ、入力部1に接続される端子がドレイン端子33、コイル5に接続される端子がソース端子34、フォトカプラ110に接続される端子がコントロール端子35と呼ばれ、この3端子型スイッチングレギュレータ3は、フォトトランジスタ112からコントロール端子35に流れ込む電流量に応じて、スイッチ31のオンデューティを変化させるPWM制御を行う。また、コントロール端子35には電流が流入することで、コントローラ32の電力が供給され、コントローラ32の電源電圧となるコントロール端子電圧VCはコントローラ32の基準電圧であるソース端子電圧VSに対して常に一定に保たれた端子でもある。
【0096】
次に、フォトカプラ110内のフォトトランジスタ112に対して電源供給する補助電源回路12について説明する。
【0097】
この補助電源回路120は、出力部2の正電圧端子21からフォトトランジスタ112のコレクタへのみ電流を流す整流素子121と、3端子型スイッチングレギュレータ3のソース端子34とコイル5との接続点と整流素子121とフォトトランジスタ112のコレクタとの接続点との間に挿入された容量122とにより構成される。
【0098】
以上のように構成された従来のスイッチング電源回路について、その動作を以下に説明する。
【0099】
図8は図7の比較参照例のスイッチング電源回路の動作を示す各部の波形図である。図8において、波形(1)ILはコイル5に流れる電流、波形(2)VLはコイル5に生じる電位差を示す。波形(3)VBはフォトカプラ110のフォトダイオード111のカソードの電圧(図7のB点)を示す。波形(4)VB’はフォトトランジスタ112のエミッタの電圧(もしくはコントロール端子電圧)(図7のB’点)を示す。
【0100】
図8中のTONはスイッチ31のオン期間、TOFFはスイッチ31のオフ期間を示す。VSはソース端子34の電圧、VCはコントロール端子35の電圧を示す。VCSはソース端子34の電位に対するコントロール端子35の電圧であり、常に一定である。また、波形(3)VBと波形(4)VB’は電源の基準電圧GNDを基準とした場合の動作波形である。また、図8の動作波形は、図7のコイル5の電流ILに対する矢印の方向を順方向とする。
【0101】
ここで、入力電圧VINが入力部1に印加されると、3端子型スイッチングレギュレータ3のドレイン端子33に入力電圧VINが印加される。コイル5のインダクタンスをLとすると、コイル5に流れる電流ILの時間変化の傾きはVL/Lに比例するので、図8の波形(2)のように、スイッチ31のオン期間TONでは、ドレイン端子33−ソース端子34間が導通し入力電圧VINがコイル5のソース端子34側に印加される。そのため、オン期間TONにおいて、コイル5にソース端子34側から出力部2側への電位差(VIN−VO)が生じ、順方向の電流ILの値が増加し、コイル5にエネルギーが充電される。この間、ソース端子電圧VSは入力電圧VINと等しくなるため、(4)VB’に示すように、コントロール端子電圧VCはGNDに対して(VIN+VCS)の電位になる。
【0102】
スイッチ31のオフ期間TOFFには、ドレイン端子33−ソース端子34間の導通が切断されてダイオード7に電流が流れるため、ソース端子34の電位はGNDからダイオード7の順方向降下電圧VF分低くなった電位となり、コイル5にソース端子34側から出力部2側への電位差(−VF−VO)が生じ、出力部2の正電圧端子21の電位がソース端子34側の電位より高くなるので、コイル5に流れる電流ILの値は減少し、コイル5に充電されていたエネルギーは出力部2へ出力される。容量6は、この出力エネルギーを平滑化して、出力電圧VOを生成し、出力電流IOはコイル5に流れる電流ILの平均値となる。この間、ソース端子電圧VSはGNDに対して−VFとなるため、(4)VB’に示すように、コントロール端子電圧VCはGNDに対して(−VF+VCS)の電位になる。
【0103】
定常発振時は、以上のオン期間TONとオフ期間TOFFを繰り返し、エネルギーが出力部2に接続された負荷(図示せず)へ供給される。
【0104】
出力電圧検出回路8は、出力部2の出力電圧VOを検出し、その出力電圧VOと電源仕様で設定された出力電圧との誤差を電流信号に変換してフォトカプラ110のフォトダイオード111に流入する。ここでフォトダイオード111のカソードの電圧は、(3)VBに示すように、出力電圧VOよりもフォトダイオード111の順方向電圧分だけ低い電圧で、GNDに対してはほぼ一定となる。
【0105】
このようにフォトダイオード111に電流が流れると、フォトカプラ110のフォトトランジスタ112が導通し、出力電圧VOの誤差に応じた電流をコントロール端子35に流入する。コントローラ32は、コントロール端子35に流入する電流量に応じてスイッチ31のスイッチングを制御するため、出力電圧VOの誤差が小さくなるようにスイッチ31のオンデューティを変化させることにより、出力電圧VOは一定に保たれる。
【0106】
また、フォトトランジスタ112に流れた電流はコントロール端子35とソース端子34との間の容量4を充電し、コントロール端子35とソース端子34との間の電位差を確保してコントローラ32の電源電圧を形成する役割もある。
【0107】
ここで、フォトカプラ110のフォトトランジスタ112を導通(ON)するためには、フォトトランジスタ112のコレクタ−エミッタ間電圧を保ち、フォトトランジスタ112に流れる電流を供給する補助電源回路120が必要となる。
【0108】
補助電源回路120において、スイッチ31のオフ期間TOFFでは、図8の波形(4)に示すように、出力部2の正電圧端子21の電圧VOはコントロール端子電圧VC(VB’)よりも高くなるため、ダイオード121に電流が流れる。このとき、ダイオード121のカソード側の電圧は、出力電圧VOよりもダイオード121の順方向降下電圧VFO分低い電位になる。ここで出力電圧VOは、ダイオード121のカソード側の電圧がコントロール端子電圧VCよりも高くなる値である必要がある。
【0109】
スイッチ31のオン期間TONでは出力部2の正電圧端子21の電圧VOがコントロール端子電圧VCより低くなるためダイオード121には電流が流れないが、フォトトランジスタ112のコレクタの電位はコントロール端子電圧VCよりも低くなることがないように、容量122により保たれる。その結果、フォトトランジスタ112のコレクタ電圧が常にコントロール端子電圧VCよりも高くなり、フォトトランジスタ112のコレクタ−エミッタ間電圧が確保される。
【0110】
図7の比較参照例のスイッチング電源回路では、出力電圧に出力電圧に応じた信号をコントローラ32へ伝達する伝達回路の入力側がGNDに対して一定であるのに対し、伝達回路の出力側のコントロール端子電圧VCが変動しているため、伝達回路の入力側(図8の波形(3))と出力側(図8の波形(4))の間に電圧差が生じることとなる。その電圧差は、コントロール端子電圧VCの変動幅よりも大きくなることはないため、伝達回路は入力側と出力側の間がコントロール端子電圧VCの変動幅以上の耐圧を確保する必要がある。ここで、コントロール端子電圧VCの変動幅は、図8の波形(4)より、(VIN+VSC)−(−VF+VCS)=(VIN+VF)となり、伝達回路は入力側と出力側の間が(VIN+VF)以上の耐圧を確保する必要がある。そのため、フォトカプラのような入力側と出力側が絶縁された伝達回路を用いて出力電圧VOのフィードバックしている。
【0111】
これに対して、図1のスイッチング電源回路によれば、伝達手段とコントローラ32の間に十分な耐圧を持った整流要素であるダイオード10を挿入することにより、伝達回路は絶縁でもなく高耐圧でもないトランジスタで構成されることができる。図7の比較参照例では伝達回路に入力側と出力側が絶縁されたフォトカプラ等の素子が必要であったが、図1等の本実施の形態では、入力側と出力側が絶縁されたフォトカプラ等の素子が不要となり入力側と出力側が非絶縁のPNPトランジスタ等の伝達回路で構成できるため、低コスト化を実現することができる。また、上記の各実施の形態によれば、非絶縁型電源回路のエネルギー伝達要素にコイル5を用いて構成した例を示しているが、それに限定するものではない。3端子型スイッチングレギュレータ3から出力部2へのエネルギー伝達要素はインダクタ成分をもつものであればその手段は問わない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明のスイッチング電源回路は、3端子型スイッチングレギュレータを用いた非絶縁型電源回路として、従来では伝達回路として出力電圧制御フィードバックに用いていたフォトカプラを、トランジスタ等の非絶縁の部品に置き換えることができ、より低コストに実現することができるもので、非絶縁型電源回路の低コスト化技術等に適用する場合に有用である。
【符号の説明】
【0113】
1 入力部
11 正電圧端子
12 負電圧端子
2 出力部
21 正電圧端子
22 負電圧端子
3 3端子型スイッチングレギュレータ
31 スイッチ
32 コントローラ
33 ドレイン端子
34 ソース端子
35 コントロール端子
4 容量
5 コイル
6 容量
7 ダイオード
8 出力電圧検出回路
81 第1の抵抗器
82 第2の抵抗器
83 シャントレギュレータ
84 ツェナーダイオード
85 トランジスタ
86 ツェナーダイオード
9 PNPトランジスタ
91 第3の抵抗器
110 フォトカプラ
111 フォトダイオード
112 フォトトランジスタ
120 補助電源回路
121 ダイオード
122 容量
10 ダイオード
VS ソース端子電圧
VC コントロール端子電圧
VO 出力電圧
VIN 入力電圧
VF 順方向降下電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧が入力される2つの入力端子の一方に接続されたスイッチと、
前記スイッチによりスイッチングされた入力電圧をエネルギーとして伝達するエネルギー伝達要素と、
前記エネルギー伝達要素から伝達されるエネルギーを平滑化しつつ電圧として2つの出力端子間に出力する出力生成回路と、
前記出力生成回路の出力電圧を検出し、前記出力電圧に応じた検出信号を生成する出力電圧検出回路と、
前記2つの出力端子の一方に接続され、前記出力電圧検出回路で生成された前記検出信号の値に応じた伝達信号を出力する伝達回路と、
前記スイッチと前記エネルギー伝達要素の接続点の電位を動作基準電圧とし、前記伝達信号に応じて前記スイッチのスイッチングを制御する駆動信号を生成する制御回路と、
前記伝達回路と前記制御回路との間に接続され、前記伝達回路から前記制御回路の方向へのみ前記伝達信号を流す整流要素と
を備えるスイッチング電源回路。
【請求項2】
前記整流要素の耐圧は、前記入力電圧と前記整流要素の順方向降下電圧との和以上である
請求項1に記載のスイッチング電源回路。
【請求項3】
前記スイッチング電源回路は、さらに、
前記整流要素と前記制御回路との間に挿入された変換回路を備え、
前記変換回路は、前記伝達信号を定電圧化する
請求項1または2に記載のスイッチング電源回路。
【請求項4】
前記変換回路は、
前記整流要素と前記制御回路との接続点と、前記スイッチと前記エネルギー伝達要素との接続点との間に挿入された容量により構成される
請求項3に記載のスイッチング電源回路。
【請求項5】
前記伝達回路がバイポーラトランジスタである
請求項1から請求項4のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項6】
前記伝達回路がMOSトランジスタである
請求項1から請求項4のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項7】
前記出力電圧検出回路は、
前記2つの出力端子間に直列に挿入された第1の抵抗器および第2の抵抗器と、
前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器との接続点の分割電圧値に応じた電流信号を前記検出信号として前記伝達回路に出力する電流信号出力回路とを有する
請求項1から請求項3のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項8】
前記電流信号出力回路は、前記分割電圧値をリファレンス電圧とするリファレンス端子と、前記伝達回路に接続されたカソードと、前記2つの出力端子の他方に接続されたアノードとを有するシャントレギュレータを備える請求項7に記載のスイッチング電源回路。
【請求項9】
前記出力電圧検出回路は、
前記2つの出力端子間に直列に挿入された第3の抵抗器およびツェナーダイオードと、
前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器の接続点にベースが接続され、前記伝達回路にコレクタが接続され、前記第3の抵抗器と前記ツェナーダイオードの接続点にエミッタが接続されたトランジスタとを有する
請求項7に記載のスイッチング電源回路。
【請求項10】
前記出力電圧検出回路は、
前記2つの出力端子間に直列に挿入された第3の抵抗器とツェナーダイオードを有し、
前記ツェナーダイオードのカソードが第3の抵抗器と接続され、上記ツェナーダイオードのアノードが前記2つの出力端子の他方に接続され、
上記ツェナーダイオードのカソードへ流入する電流信号に応じた前記検出信号を前記伝達回路に出力する
請求項1から請求項4のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項11】
前記制御回路は、
前記伝達信号の値に応じて、前記出力電圧検出回路で検出される出力電圧が一定となるように、前記スイッチのオン時間を制御するための前記駆動信号を生成する
請求項1から請求項10のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項12】
前記制御回路は、
前記伝達信号の値に応じて、前記出力電圧検出回路で検出される出力電圧が一定となるように、前記スイッチのオン期間に前記スイッチから前記エネルギー伝達要素に流入する電流のピーク値を制御するための前記駆動信号を生成する
請求項1から請求項10のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項13】
前記制御回路は、
前記伝達信号の値に応じて、前記出力電圧検出回路で検出される出力電圧が一定となるように、前記スイッチのスイッチング周波数を制御するための前記駆動信号を生成する
請求項1から請求項10のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項14】
前記制御回路は、
前記伝達信号の値に応じて、前記出力電圧検出回路で検出される出力電圧が一定となるように、前記スイッチのスイッチング動作期間とスイッチング停止期間を制御するための前記駆動信号を生成する
請求項1から請求項10のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項15】
前記スイッチは前記入力電圧の正電圧側の入力端子に接続され、
前記入力電圧の負電圧側の入力端子は、前記2つの出力端子のうちの負電圧側の出力端子に接続される
正電圧出力型である請求項1から請求項10のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項16】
前記入力電圧の正電圧側を前記スイッチに接続し、
前記入力電圧の負電圧側を前記2つの出力端子のうちの正電圧側の出力端子に接続される
負電圧出力型である請求項1から請求項10のいずれかに記載のスイッチング電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−75037(P2010−75037A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133809(P2009−133809)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】