説明

スイッチ構造

【課題】操作ボタン3に静電気が帯電した場合、その静電気がプリント配線板5に流れると、プリント配線板5上の電子部品が破損するおそれがある。従来は操作ボタン3に帯電した静電気をシャーシなどに流したり、静電気を流すためのパターンをマイクロスイッチ6の近傍に設けていた。しかし、シャーシを備えていない場合には適用できず、また、別途パターンを設ける場合にはパターン設計が煩雑になるという不具合が生じる。
【解決手段】中央に貫通孔71が形成されたパネル部材7を取り付け、静電気の通路をパネル部材の上面7aおよび7bに迂回させることにより沿面距離を延長させ、たとえ操作ボタン3に静電気が帯電してもプリント基板5に静電気が流れにくくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロスイッチを押し操作するためのスイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のスイッチ構造としては、マイクロスイッチを表面に取り付けたプリント配線板をケーシング内に収納し、外部に露出する進退自在の操作ボタンを備えている。
【0003】
このような構造のスイッチ構造では、操作ボタンに静電気が帯電した場合、その高圧の静電気がプリント配線板に流れると、プリント配線板上に取り付けられた電子部品が破損するおそれが生じる。そこで、操作ボタンに静電気が帯電すると、その静電気を金属製の筐体やシャーシに逃がし、あるいはプリント配線板上にマイクロスイッチに近接させてアース用のパターンを設け、そのアース用のパターンに静電気を逃がすように構成されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−323295号公報(図1)
【特許文献2】特開2006−156031号公報(図1)
【特許文献3】特開平11−195343号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の静電気対策のうち、金属製の筐体やシャーシに静電気を逃がすものでは、筐体が金属製でないものやシャーシを備えていないものへは適用できないという不具合が生じる。
【0005】
また、マイクロスイッチの近傍にアース用のパターンを設けるものでは、アース用のパターンのスペースが必要となり、またアース用のパターンを設けるためにパターン設計が煩雑になるという不具合も生じる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、静電気を逃がす場所がなくてもプリント配線板を静電気から守ることのできるスイッチ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるスイッチ構造は、プリント配線板上に取り付けられたマイクロスイッチを押し操作する操作ボタンを備え、マイクロスイッチと操作ボタンとの間に、マイクロスイッチを外部に対して隔絶する可撓性を備えた隔絶膜が設けられたスイッチ構造において、上記隔絶膜とプリント配線板との間に、中央に貫通孔を備えた絶縁性の沿面距離延長部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
従来のものでは、操作スイッチに静電気が帯電した場合には、その静電気をアースや筐体に流すことにより除電し、静電気がプリント配線板に流れないようにしていた。しかし、操作ボタンに静電気が帯電した場合に、その帯電した静電気をプリント配線板に流さないためには、操作ボタンとプリント配線板との距離を長くしてやればよい。すなわち、静電気は絶縁部材の表面を流れるので、操作ボタンからプリント配線板までの静電気の通路となる沿面距離を長くしてやればよい。
【0009】
本発明では、沿面距離延長部材を設けたので、静電気の通路は沿面距離延長部材の上面外周側から貫通孔に向かい、貫通孔を通って沿面距離延長部材の下面に沿うことになる。そのため、沿面距離延長部材の上面および下面の外側部分から貫通孔までの距離が沿面曲利として延長されることになる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、沿面距離延長部材を追加することにより操作ボタンからプリント配線板までの静電気の通路となる沿面距離を延長できるので、金属製の筐体やシャーシがない場合でもプリント配線板へ静電気が流れることを防止することができ、かつマイクロスイッチの周辺に放電用のパターン等を設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
1は本発明によるスイッチ構造である。本スイッチ構造1は外カバー2に取り付けられた操作ボタン3を備えている。この操作ボタン3は樹脂による差出成型により形成されており、操作ボタン3に一体に形成された可撓性の腕部31を介して外カバー2の下面に固定されている。また操作ボタン3には下方に延出された脚部32が設けられており、操作ボタン3の上面を押すと、この脚部32がマイクロスイッチ6を押し操作してマイクロスイッチ6をオンさせる。
【0012】
マイクロスイッチ6はプリント配線板5の上面に取り付けられており、ケーシング4内に格納されている。このケーシング4にはマイクロスイッチが中央に位置するように形成された円形の窓穴41が設けられており。そして、この窓穴41はケーシング4の上面に被着された樹脂製の隔絶膜42によって閉鎖されている。したがって、操作ボタン3を押し操作すると脚部32は隔絶膜42を押し下げながらマイクロスイッチ6をオンさせることになる。
【0013】
本発明では、隔絶膜42とプリント配線板5との間に位置するように、ケーシングの下面に沿面距離延長部材であるパネル部材7を取り付けた。このパネル部材7は絶縁性の樹脂板で形成されている。
【0014】
このパネル部材7にはマイクロスイッチ6を囲繞するように貫通孔71が形成されている。仮にこのパネル部材7が取り付けられていないとするなら、操作ボタン3が帯電した場合、静電気は隔絶膜42の下面から窓穴41を通ってそのままプリント配線板5に流れる経路をとるが、パネル部材7が取り付けられていると、窓穴41まで流れてきた静電気は、パネル部材7の上面7aに流れる。そしてその静電気は貫通孔71を通ってパネル部材7の下面7bに回り込み、更に下面7bを伝ったあと、プリント配線板5へと流れることになる。
【0015】
したがって、図に波線で示すように、静電気の経路である前面距離が長くなり、操作ボタン3にたとえ静電気が帯電しても、プリント配線板5に静電気が流れにくくなる。
【0016】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【符号の説明】
【0018】
1 スイッチ構造
2 外カバー
3 操作ボタン
4 ケーシング
5 プリント配線板
6 マイクロスイッチ
7 パネル部材
7a 上面
7b 下面
41 窓穴
42 隔絶膜
71 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板上に取り付けられたマイクロスイッチを押し操作する操作ボタンを備え、マイクロスイッチと操作ボタンとの間に、マイクロスイッチを外部に対して隔絶する可撓性を備えた隔絶膜が設けられたスイッチ構造において、上記隔絶膜とプリント配線板との間に、中央に貫通孔を備えた絶縁性の沿面距離延長部材を設けたことを特徴とするスイッチ構造。

【図1】
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【公開番号】特開2008−135257(P2008−135257A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319777(P2006−319777)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】