説明

スイッチ装置システム、スイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器、制御プログラムおよび記録媒体

【課題】スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の初期状態にて、スイッチ操作のOFF状態を検知した場合は、スイッチのAC接点はON状態である異常状態であるので、この異常状態を認識するとともに正常状態に復帰させること。
【解決手段】上記課題に示す異常状態の場合を検知して、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用者に知らせたり、正常状態に復帰させるために、スイッチ操作のON指示を出すような構成とした。あるいは、スイッチ操作のONが実施されるまでは、何も実行しないで、待機しているような構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号を通電/遮断したり、電源を通電/遮断するスイッチ装置を備えたスイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器に関する技術である。更に詳細には、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器は、スイッチのON操作に対しては同時にスイッチ接点が閉じてON状態になるが、スイッチのOFF操作に対しては同時にスイッチ接点が開いてOFF状態にならないと共に、スイッチのON/OFFの操作状態を認識でき、スイッチ外部のユニットに情報伝達可能である。そして、スイッチ接点のOFFは、スイッチのON/OFFの操作状態を認識したスイッチ外のユニットから接点のOFFに対する準備が完了した信号を受けた後にスイッチ接点が開いてOFF状態となる。また、更にスイッチの操作状態およびスイッチ接点がON状態の場合に、スイッチ外のユニットからの信号によって、スイッチの操作状態およびスイッチ接点を同時にOFF状態に変更可能である。このようなスイッチ装置のスイッチ接点のOFFは、スイッチ外部からの制御が必要である。通常のスイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用時には、スイッチ外部のユニットにもしかるべき電源やエネルギーが供給されているので、正常なスイッチ装置のスイッチ接点のOFFが可能である。このようなスイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器は、スイッチのOFF操作後の状態ではスイッチ接点がOFFとなるのが正常である。もしも、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の不適切な使用をした場合やなんらかの異常がある場合には、スイッチがOFF操作されているにもかかわらず、スイッチ接点がONのままとなる異常状態が考えられる。このようなスイッチ接点の異常状態となった場合でも、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器を正常状態に復帰させることを可能とする技術である。
【背景技術】
【0002】
AC電源の通電/遮断を行う従来技術として、例えば、以下のような技術が挙げられる。第1の従来技術は、電源スイッチのON/OFF操作によって、AC接点が閉/開されてAC電源の通電/遮断を行うものである。第2の従来技術は、例えば、プロジェクタ装置等において、メインスイッチを備えず、押しボタンスイッチで機器を立上げたり、押しボタンスイッチで使用後の機器のOFF準備をするものであり、OFF準備完了後にACプラグをコンセントから抜く。
【0003】
一般的には、これら第1の従来技術や第2の従来技術が主流であるが、例えば、第1の従来技術では、突然電源スイッチをON→OFF操作した場合、HDD動作中やDC電源の冷却中や加熱部の冷却中等で、機器のOFF準備ができていないタイミングでAC電源供給が停止すると、機器を破壊してしまうという問題がある。
【0004】
また、第2の従来技術では、第1の従来技術と同様に、機器のOFF準備は確実にできるが、ACプラグがコンセントにささっている限り、押しボタンスイッチ検知用の電力消費を始めON準備のためのAC電力を常に消費することとなり、省エネルギー化を図れず、また使用者にとって使いにくいという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するため、第3の従来技術では、トイレの換気扇スイッチの動作をAC電源の通電/遮断に採用し、同時に別スイッチや検知手段で、スイッチ操作のON/OFF状態を検知して、OFF検知した場合は、速やかに機器のOFF準備処理を実行して、その後に換気扇スイッチのゼンマイ仕掛けのタイマーによるAC電源の遮断に備える。
【0006】
この第3の従来技術では、AC電源の遮断に対しては確実に機器のOFF準備処理が完了できる点や無駄な電力を消費しない点は優れているが、機械的構造が多少複雑であることや製造コストが高くなるという問題がある。さらには、機器のOFF準備が短時間で完了した場合でもAC電源の遮断までは所定の時間を要するため、若干の無駄な電力消費が生じる場合がある。
【0007】
このような問題を解決するため、第4の従来技術では、電源スイッチのAC接点と並列にリレー接点を設け、スイッチユニットとして、スイッチとリレーとを組み合わせて、電子的なタイマ手段を備えた方式である。この第4の従来技術によれば、第3の従来技術の問題は改善できるが、スイッチユニットが現状の電源スイッチの数倍の大きさになってしまう点やAC接点回路が2倍必要な点や、電源スイッチON中はリレーの励磁電流を常に流すと共にタイマ動作用の無駄な電力消費も常に生じるという問題がある。また、機器のOFF準備が短時間で完了した場合でもAC電源の遮断までは所定の時間がかかるので、若干の無駄な電力消費が生じる問題は依然解決されない。
【0008】
このため、第5の従来技術では、上記第4の従来技術におけるスイッチとリレーを別個に分離して、スイッチ部に更にスイッチ操作のON/OFF状態を検知できる別スイッチや検知手段)を備え、また、タイマを搭載せず、OFF検知した後に機器のOFF準備処理を完了してから、リレーの励磁電源をOFF制御する方式を採用している。
【0009】
この第5の従来技術では、スイッチ操作のOFF状態を検知した場合、機器のOFF準備処理を確実に実行、完了して、完了直後にAC電源の遮断を実行できるという確実性がある点で優れている。しかしながら、この第5の従来技術では、AC接点回路が2倍必要な点や、電源スイッチのON中はリレーの励磁電流を常に流して無駄な電力消費が生じるという問題は解決できていない。また、別スイッチや検知手段によるスペースが増加するという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、(1)電源スイッチの突然のOFFに対しても機器を安全に停止させることができ、(2)機器を使用しない時は電源スイッチによってAC電源の遮断が可能であり、(3)機器の動作中の無駄電力が少なく、(4)機器のOFFモード中の無駄電力が少なく、(5)スイッチや必要部品の所要スペースを極力小さくすることができ、(6)さらなる低コストで製造することができ、(7)スイッチがOFF操作されているにもかかわらず、スイッチ接点がONのままとなる異常状態を正常状態に復帰させることができるスイッチ装置システム、スイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器、制御プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、スイッチ装置を備えるスイッチ装置システムであって、前記スイッチ装置は、ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備え、制御開始時に、前記第1の電気接点がON状態であること、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した場合は、異常状態であることを使用者に通知する第1の手段を備えること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明は、スイッチ装置を備えるスイッチ装置システムであって、前記スイッチ装置は、ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備え、制御開始時に、前記第1の電気接点がON状態であること、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した場合、異常状態であることを使用者に通知せずに使用者が前記スイッチ操作部をON側に操作するまで待機する第1の手段を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源スイッチの突然のOFFに対しても機器を安全に停止させることができ、機器を使用しない時は電源スイッチによってAC電源の遮断が可能であり、機器の動作中の無駄な電力が少なく、機器のOFFモード中の無駄電力が少なく、スイッチや必要部品の所要スペースを極力小さくすることができ、さらなる低コストで製造することができ、スイッチがOFF操作されているにもかかわらず、スイッチ接点がONのままとなる異常状態を正常状態に復帰させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施の形態1のスイッチ装置のスイッチ本体部の機械的構造を示す模式図である。
【図2】図2は、実施の形態1のスイッチ装置において第1の電気接点を閉状態(接点ON)から開状態(接点OFF)にする機構の構造を示す模式図である。
【図3】図3は、実施の形態1のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【図4】図4は、実施の形態1のコントローラによる制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施の形態2のコントローラによる制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態3のコントローラによる制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるスイッチ装置システムおよびスイッチ装置システムを備えた機器の実施の形態を詳細に説明する。なお、言うまでも無いが、以下の実施の形態は本発明の一例を説明するものであって、本発明の範囲を逸脱しないで当業者が各種の変更や変形や改善を加えることは可能であり、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のスイッチ装置のスイッチ本体部10の機械的構造を示す模式図である。図1では、スイッチ操作部1がONとなった状態を示している。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態のスイッチ本体部10は、スイッチ操作部1と、第1のスイッチ接点レバ21、22と、第2のスイッチ接点レバ3とを主に備えている。また、本実施の形態のスイッチ本体部10は、第1の電気接点として、第1のスイッチ接点レバ21に対応した第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d、および第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)をスイッチ操作部1の下部1bの下方に備えている。
【0018】
また、本実施の形態のスイッチ本体部10は、第2の電気接点として、第2のスイッチ接点レバ3に対応した第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)をスイッチ操作部1の下部1bの下方に備えている。
【0019】
実施の形態1のスイッチ装置は、第1の電気接点が、スイッチ操作部1がON状態の場合では、常に閉状態(接点ON)となるが、スイッチ操作部1のON→OFF操作では、第1の電気接点が閉→開状態(接点OFF)せず、第2の電気接点は、スイッチ操作部1がON状態の場合では、常に閉状態(接点ON)となるとともに、スイッチ操作部1がOFF状態の場合では、常に第2の電気接点が開状態(接点OFF)となるものである。ここで、第2の電気接点は、一般的なスイッチ装置(スイッチ操作部のON/OFF操作に同期して電気接点の閉状態(接点ON)/開状態(接点OFF)が変化する機構)と同様である。
【0020】
スイッチ操作部1は、その下部1bと一体型の構造となっており、ON/OFFの動作を、支点1aを中心軸として利用者に押下されることにより回動可能となっている。
【0021】
スイッチ操作部1の下部1bは、図1に示すように、第1のスイッチの接点レバ側接点21cと反対側の部分において、第1のスイッチ接点レバ21、22に対向する部分を切り欠いている。このため、スイッチ操作部1の下部1bの下面は第1のスイッチ接点レバ21、22の上面に当接不能となっている。一方、スイッチ操作部1の下部1bは、図1に示すように、第2のスイッチの接点レバ側接点と反対側の部分で第2のスイッチ接点レバ3に対向する部分はこのような切り欠き部を備えていない。このため、スイッチ操作部1の下部1bの下面は第2のスイッチ接点レバ3の上面に当接可能であり、後述するように、スイッチ操作部1をOFFに押下した状態で、スイッチ操作部1の下部1bの下面は、第2のスイッチ接点レバ3のみを押下し、第1のスイッチ接点レバ21、22を押下しない構造となっている。
【0022】
スイッチ操作部1がON側の状態では、スイッチ操作部1の下部1b全体は、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22と第2のスイッチ接点レバ3と接していて、このON状態で、第1のスイッチ接点レバ21に対応した第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d同士、および、第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)同士、さらに、第2のスイッチ接点レバ3に対応した第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)同士が接触状態を維持する。これにより、3つの第1のスイッチ接点レバ21、22、および第2のスイッチ接点レバ3のそれぞれに対応した3つの電気接点が閉状態(接点ON状態)となり、回路電流が流れる。
【0023】
第1のスイッチ接点レバ21に対応したスイッチ接点回路について具体的に説明すると、第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体側の端子21eと、第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体21bと、第1のスイッチの接点レバ導体21aと、第1のスイッチの接点レバ側接点21cと、第1のスイッチの端子側接点21dと、第1のスイッチのON−OFF接点側の端子21fが電気的に導通することにより、回路電流が流れる。第1のスイッチ接点レバ22、および第2のスイッチ接点レバ3に対応した2つのスイッチ接点回路についても同様(図示省略)である。
【0024】
一方、スイッチ操作部1がON側→OFF側に押下されると、スイッチ操作部1の下部1bは奥側の第2のスイッチ接点レバ3の全面とは接しているので、スイッチ操作部1のONからOFFへの操作とともに、第2のスイッチ接点レバ3も回動して、第2のスイッチ接点レバ3に対応した第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)同士の接触状態を解除され、開状態(接点OFF)となる。
【0025】
また、スイッチ操作部1の下部1bの第1のスイッチ接点レバ21および第1のスイッチ接点レバ22側は切り欠き部を有しているので、スイッチ操作部1をOFF状態に押下されても、スイッチ操作部1の下部1bは、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22とに接することはなく、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22は押し下げられない。このため、この状態では、第1のスイッチ接点レバ21に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d同士、および第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)同士は接触状態、すなわち閉状態(接点ON)を維持する。
【0026】
このようなスイッチ機構とすることで、第2のスイッチ接点レバ3に対応した第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)同士の接触状態をスイッチ内部あるいはスイッチ外部で検知すれば、スイッチ操作部1がON側かOFF側のどちらに操作されているか検知することができる。
【0027】
また、本実施の形態では、スイッチ操作部1がON側かOFF側のどちらに操作されているか検知する手段として、第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)同士の接触状態の検知としているが、これに限定されるものではない。例えば、スイッチ操作部1と連動して稼働するフォトインタラプタの受光状態を変化させる遮光板を設けて検知するように構成することができる。
【0028】
また、第2のスイッチの接点レバ側接点と第2のスイッチの端子側接点からなる第2の電気接点は、スイッチ操作部1のON/OFF操作に同期して電気接点が開(OFF)/閉(ON)するように構成し、第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21dからなる第1の電気接点を、スイッチ操作部1のONからOFF操作に同期せずに電気接点が閉状態に維持するように構成してもよい。
【0029】
次に、スイッチ操作部1がONからOFFに操作された際に、第1の電気接点を閉状態(接点ON)から開状態(接点OFF)にする機構について説明する。
【0030】
図2は、実施の形態1のスイッチ装置において第1の電気接点を閉状態(接点ON)から開状態(接点OFF)にする機構の構造を示す模式図である。図2では、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22の下方部分のみを示している。また、図2では、スイッチ操作部1をOFF操作した場合で、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流していない状態を示している。
【0031】
スイッチ操作部1がONからOFFに操作された場合は、上述したとおり、第2の電気接点(第2のスイッチの接点レバ側接点と第2のスイッチの端子側接点)は開状態となるが、第1の電気接点(第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d、および第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略))は、接触状態を維持し、閉状態(接点ON)となっている。
【0032】
図1で示したスイッチ本体部10には、図2に示すように、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄板(磁性体)29が、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22の下部に接合されている。これにより、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22は連動して動作する。
【0033】
また、図2に示すように、図1で示したスイッチ本体部10には、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心4aがスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bを巻回した状態で、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄板(磁性体)29と対峙して配置されている。ここで、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心4aとスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bとは電磁石を構成し、後述する回路構成によって電流をスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに流すと、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心4aが磁化する。従って、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流すことによって、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心4aとスイッチ接点レバON→OFF可動用鉄板(磁性体)29の間に電磁吸引力が作用し、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22の図2における右側部分を引き下げる。これにより、第1の電気接点、すなわち、第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d、および第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)の接触状態は解除されて開状態(接点OFF)となる。ここで、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに流す電流は、直流、交流のいずれでも良い。
【0034】
なお、上記の説明では、スイッチ操作部1がOFF側に操作されている場合について説明したが、スイッチ操作部1がON側に操作されている場合については、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流した場合は、第1の電気接点の接触状態が解除されると共に、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22の図2における左側部分を引き上げる力でスイッチ操作部1をON側からOFF側に変更できるようにしても良い。
【0035】
また、上記のスイッチ構造として、第1のスイッチ接点レバ21がON側やOFF側のどちらに可動しても第1のスイッチの接点レバ導体21aと第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体21bは常に接触している。第1のスイッチ接点レバ22や第2のスイッチ接点レバ3についても同様である。
【0036】
このようなスイッチ構成とすれば、いつスイッチ操作部1がON→OFFされてもスイッチ内部の第1のスイッチ接点はONのままであるので、第1の電気接点が突然遮断されることが無い。従って、スイッチのOFF状態を検知してから、機械を安全に停止させたり、途中の動作を完了することができる。また、従来技術のように、リレー接点を励磁電流でONに維持することも必要ないので、無駄な電力消費も生じない。このため、機械の動作中やOFFモード中でも第1のスイッチ接点回路維持のエネルギーは不要である。なぜなら、接点のONは、スイッチ操作部1のOFF→ONの操作で、第1の電気接点の接触維持が完了しているからである。
【0037】
第1の電気接点の接点OFFは、第2の電気接点で、スイッチ操作部1のON→OFFを検知したら、シャットダウン前処理を実行した後に第1の電気接点を電磁石(後述する実施の形態2ではバイメタル等)でOFFにすることができる。シャットダウン前処理とは、各種機器でAC入力電圧供給を遮断される前に各種機器を安全停止させるための処理である。従って、機器を使用しない場合は、第1の電気接点を接点OFFにして無駄な消費電力を低減するとともに電源遮断が可能である。
【0038】
また、従来技術のように、スイッチと並列なリレー回路は不要である。第1の電気接点そのものがスイッチ機能と従来技術のリレーの機能を同時に担っている。従って、小型化やコスト的に有利なスイッチ装置や該スイッチ装置を備えた機器が実現できる。
【0039】
次に、電磁石に通電して第1の電気接点を開状態にするための回路構成について説明する。図3は、実施の形態1のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【0040】
本実施の形態のスイッチ装置システムは、図3に示すように、5VE電源301と、コントローラ302と複合メインスイッチ303(スイッチ装置)とを主に備えた回路構成となっている。
【0041】
5VE電源301は、DC低圧の制御用電源であり、制御部が動作している時は常にDC5V等の出力電圧を供給することが求められる電源である。複合メインスイッチ303は、ACSD(ACシャットダウン)スイッチ304と電磁石と信号スイッチ(4)とを備えている。図3において、電磁石はスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bのみを図示している。
【0042】
信号スイッチ(4)は、第2の電気接点としての第2のスイッチの接点レバ側接点と第2のスイッチの端子側接点(ともに図示省略)に相当する。従って、信号スイッチ(4)は、上述したとおり、スイッチ操作部1のON操作に対して連動して閉状態(接点ON)になるとともに、スイッチ操作部1のOFF操作に対して連動して開状態(接点OFF)となる。コントローラ302は、この信号スイッチ(4)のON/OFF状態を検知することにより、スイッチ操作部1がON側かOFF側のどちらに操作されているかを検知することができる。また、コントローラ302は制御部であるので動作中は常にDC5V等の出力電圧を供給することが求められる。
【0043】
ACSDスイッチ304は、スイッチ回路(1)、(2)を備えている。ここで、スイッチ回路(1)、(2)は、それぞれ第1の電気接点としての第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d、および図1に示される第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)に相当する。
【0044】
スイッチ操作部1がON操作されるとこのスイッチ回路(1)、(2)がON状態、すなわち閉状態となり、これにより商用電源のAC入力306からAC電力が5VE電源(DC低圧の制御用電源)301に供給される。一方、スイッチ操作部1がOFF操作された場合には、突然のAC電力遮断を回避するため、上述した機構により、第1の電気接点としてのスイッチ回路(1)、(2)の接点は直ちに開状態とならない。
【0045】
図3において、2点鎖線矢印は、スイッチ操作部1の動作に対して電気接点が連動して動作するON/OFF状態を示す。従って、スイッチ回路(1)、(2)は、同回路らが開状態(接点OFF)でのスイッチ操作部1のONに対してのみ連動して閉状態(接点ON)となる。(一度閉状態(接点ON)となったスイッチ回路(1)、(2)はその後のスイッチ操作部1のON/OFF操作に対して、接点状態は閉状態(接点ON)を維持する。)スイッチ回路(1)、(2)を開状態(接点OFF)とするには、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流すこと(説明後術)で可能である。
【0046】
図3における点線の矢印は、一瞬の電磁石の力によるスイッチ接点をONからOFFにすることができることを示している。スイッチ回路(1)、(2)の接点が相当する。すなわち、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bが通電されると、スイッチ回路(1)、(2)が開状態となる。
【0047】
コントローラ302は、5VE電源301に接続されている。コントローラ302は、信号スイッチ(4)の開/閉状態を検知している。コントローラ302は、信号スイッチ(4)の開状態を検知した場合、速やかにシャットダウン前処理を実行する。ここで、シャットダウン前処理としては、画像形成装置では、ハードディスクドライブ装置(HDD)の途中処理の完了や読み書き停止や画像形成作業の完了や冷却ファンの一定時間回転や各種可動物のホームポジション停止などが該当する。また、電気機器や工作機械や医療機器や自動車や輸送機器等の場合には、シャットダウン前処理としては、データの記録処理や仕掛かりジョブの完了や安全停止処理等が該当する。
【0048】
コントローラ302は、シャットダウン前処理の実行を完了したら、電磁石に対して電磁石ON信号を出力して、電磁石のスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流して電磁石をONにする。これにより、第1の電気接点としてのスイッチ回路(1)、(2)の接点が開状態となり、接点OFFとなる。
【0049】
ここで、電磁石ON信号は、電磁石を通電してONにすることにより第1の電気接点を開状態(接点OFF)にするための電気信号であり、電磁石に通電する通電電流そのものを電磁石ON信号として用いる他、電磁石の電流をOFF→ONに切り替えるための制御信号を電磁石ON信号として構成することができるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
ここで、コントローラ302の電磁石のON制御は、例えば0.1秒等の一瞬で十分である。このため、電磁石のON制御の動作で消費されるエネルギーは極めて微小で済む。ここで、コントローラ302による電磁石のON制御を短時間にすることは好ましいが、本実施の形態の場合、電磁石のON制御を継続しても、スイッチ回路(1)、(2)の接点を開状態にすると、AC入力306から5VE電源301への電力供給が停止するので、コントローラ302による電磁石に対する通電のエネルギーも自動的に消滅する。どちらの構成の場合でも、コントローラ302は、スイッチ操作部1がOFF操作されたことを検知して、シャットダウン(ACスイッチ接点開放)のシーケンスを決定することができる。
【0051】
次に、スイッチ操作部1がON側からOFF側に操作された場合において、このようなコントローラ302による第1の電気接点の接点ON(閉状態)から接点OFF(開状態)への制御について詳細に説明する。図4は、実施の形態1のコントローラ302による制御処理の手順を示すフローチャートである。ここで、図4に示す制御処理は、コントローラ制御のメインルーチンの中で毎回実行されるように構成する他、例えば20ms毎等の一定時間毎に実行するように構成することができる。後に説明する図5や図6についても同様である。
【0052】
まず、コントローラ302は、第2の電気接点、すなわち信号スイッチ(4)の開閉状態を検知することにより、スイッチ操作部1がON側/OFF側のいずれの位置にあるかを検知する(ステップS11)。ここで、コントローラ302側でGND以外の電圧に入力信号を抵抗を介してプルアップやプルダウンすることにより信号スイッチ(4)の開閉検知を行うことができる。具体的には、コントローラ302は、信号スイッチ(4)が閉状態であることを検知した場合には、スイッチ操作部1はON側に位置していると検知し、信号スイッチ(4)が開状態であることを検知した場合には、スイッチ操作部1はOFF側に位置していることを検知する。
【0053】
そして、スイッチ操作部1がON側に位置している場合は(ステップS11:ON)、コントローラ302は次回の処理まで待機する。一方、スイッチ操作部1がOFF側に位置している場合は(ステップS11:OFF)、コントローラ302は、シャットダウン前処理が完了しているか否か、あるいはシャットダウン前処理が不要か否かを判断する(ステップS12)。
【0054】
そして、シャットダウン前処理が完了していないあるいはシャットダウン前処理が必要と判断した場合(ステップS12:No)、コントローラ302はシャットダウン前処理を開始済みか否かを判断する(ステップS13)。そして、コントローラ302は、シャットダウン前処理を開始済みである場合には(ステップS13:Yes)、シャットダウン前処理を継続し(ステップS14)、次回の処理まで待機する。一方、コントローラ302は、シャットダウン前処理を開始済みでない場合には(ステップS13:No)、シャットダウン前処理を開始し(ステップS15)、次回の処理まで待機する。このような処理を行うのは、直ちに、第1の電気接点を開状態にすると突然のAC電力遮断となって問題になるためである。
【0055】
ステップS12において、コントローラ302は、シャットダウン前処理が完了している、あるいはシャットダウン前処理が不要と判断した場合には(ステップS12:Yes)、直ちに第1の電気接点を開状態にしても問題にならないため、第1の電気接点であるスイッチ回路(1)、(2)を開状態するための電磁石ON信号を出力済みか否か判断する(ステップS16)。そして、コントローラ302は、電磁石ON信号を出力済みでない場合には(ステップS16:No)、電磁石ON信号(電磁石に通電する通電電流や、電磁石の電流をOFF→ONに切り替えるための制御信号等)を出力し(ステップS17)、次回の処理まで待機する。これにより、電磁石のスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流が流れ、電磁石がONになる。
【0056】
ステップS16において、コントローラ302は、電磁石ON信号を出力済みの場合(ステップS16:Yes)、ステップS17における電磁石ON信号の出力から一定時間が経過したかどうかを確認する(ステップS18)。そして、一定時間の経過が確認できない場合には(ステップS18:No)、次回の処理まで待機する。一方、ステップS18において、一定時間の経過が確認できた場合は(ステップS18:Yes)、電磁力によって、第1の電気接点であるスイッチ回路(1)、(2)が開状態となり、接点OFFとなっているので、電磁石OFF信号を出力して(ステップS19)、次回の処理まで待機する。ここで、電磁石OFF信号とは、電磁石の通電をやめて電磁石をOFFするための信号であり、通電電流を停止する他、電磁石の電流をON→OFFに切り替えるための制御信号等を電磁石OFF信号として用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
なお、本実施の形態では、電磁石ON信号の出力から一定時間経過したら電磁石OFF信号を出力しているが(ステップS18、S19)、電磁石ON信号を出力済みである場合(ステップS16:Yes)、これらのステップS18、S19を行わずに、次回の処理まで待機するように構成してもよい。この後の第1の電気接点(スイッチ回路(1)、(2))の接点OFFによって、AC入力306から5VE電源301への電力供給が停止するので、コントローラ302による電磁石に対する通電のエネルギーも自動的に消滅するからである。図4のフローチャートでは、点線四角領域を実線円領域に変更可能である。
【0058】
また、スイッチ操作部1がON側の位置にある場合でも、コントローラ302の判断によって、コントローラ302からシャットダウン実行信号を入力した場合に、電磁石(スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4b)をON制御して、これにより強制的に第1の電気接点をONからOFFに変更するとともに、スイッチ操作部1をON側からOFF側へ変更するように構成してもよい。
【0059】
実施の形態1のようなスイッチ装置では、第1の電気接点のONからOFFへの変更は、スイッチ外部からの電気信号によるOFF→ON→OFFの制御が必要である。もしも、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の不適切な使用をした場合や何らかの異常がある場合には、スイッチがOFF操作されているにもかかわらず、スイッチ接点がONのままとなる異常状態が考えられる。このようなスイッチ接点の異常状態となった場合でも、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器を正常状態に復帰させる手段が必要である。
【0060】
スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の不適切な使用をした場合についての具体的な例としては、以下の場合等が考えられる。
・電源プラグをコンセントに接続していない状態で、スイッチをON操作して、その後に電源未接続に気づいてスイッチをOFF操作した場合は、スイッチのAC接点はON状態のままであるので、異常状態となる。
・スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器のスイッチがON操作されていて、動作状態の時に突然停電となった場合、および、電源プラグをコンセントから突然抜かれてしまった場合(電源コードを足で引っ掛けてしまった場合や通電スイッチ付のテーブルタップでシステムや機器のOFF操作をした場合も同様である)に、その後にスイッチをOFF操作してもスイッチのAC接点はON状態のままであるので、異常状態となる。
【0061】
このような状態は、スイッチ操作部がOFF側にあるにもかかわらず、スイッチのAC接点がON状態となっていることが異常である。したがって、しかる後にAC商用電源がスイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器に供給された場合は、AC接点はON状態となっているので、AC商用電源が供給されるやいなや、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の動作は再開されて、実施の形態1の図4のステップS11でOFF判断となるので、その後シャットダウン処理が実行されて、スイッチのAC接点はOFFにされる。この状態となれば、スイッチ操作部がOFF側で、スイッチのAC接点もOFF状態となっているので、異常状態から正常状態に復帰することができる。
【0062】
このように本実施の形態では、スイッチ操作部1がON側からOFF側に操作された場合でも直ちに第1の電気接点を開状態とせずに接点ONを維持し、シャットダウン前処理を完了してから電磁石を通電して第1の電気接点を開状態にして接点OFFとしているので、スイッチ操作部1の突然のOFF操作に対してもスイッチ装置を搭載した機器を安全に停止させることができる。また、機器を使用しない時には、スイッチ装置によってAC電源の遮断を行うことができる。また、機器の動作中および電源OFF時の無駄な電力消費が少ないので、電力消費を削減することができる。また、スイッチや必要部品の所要スペースが極力小さいため、スイッチ装置の省スペース化を図ることができる。また、従来技術と比較して、製造コストをさらに低減したスイッチ装置を提供することができる。さらに、スイッチがOFF操作されているにもかかわらず、スイッチ接点がONのままとなる異常状態を正常状態に復帰させることができる。
【0063】
すなわち、実施の形態1では、上述の(1)〜(7)の課題を解決できる。さらに、(7)の課題については、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用者の利便性を向上できる別の解決方法について、以下の各実施の形態で説明する。
【0064】
(実施の形態2)
実施の形態1のようなスイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器では、前述した異常状態から正常状態に復帰する際に、AC商用電源が供給されるやいなや、動作を再開した後に自動的にシャットダウン処理が実行されて、スイッチのAC接点がOFFにされる。したがって、AC商用電源が供給されてからの一連の動作は、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用者から見たら特異な現象であり、なぜこのような動作が実行されているのか理解ができないので問題となる。また、動作自体は短時間で気にならない場合でも、スイッチのAC接点がOFFにされる際に発生する音については、使用者に違和感を与えるものである。
【0065】
そこで、このような問題を解決するために、実施の形態2は、図4に示したフローチャートを図5の実施の形態2のコントローラ302による制御処理の手順を示すフローチャートに変形したものである。
【0066】
まず、コントローラ302に記憶されているプログラムがスタートして図5のフローチャートが実行されるには、コントローラ302への電源供給が必要である。すなわち、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器にAC商用電源が供給されていると共に、スイッチのAC接点がONしていることが必要である。この状態となった時点で、図5のフローチャートはスタートする。最初に、コントローラ302は、現在の状態が、この初期状態(プログラムスタート時の状態)であるか否かを確認する(ステップS01)。初期状態であると確認した場合(ステップS01:Yes)は、コントローラ302は、信号スイッチ(4)の開閉状態を検知する(ステップS02)。この初期状態での信号スイッチ(4)の開閉状態を確認することによって、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器のスイッチが異常状態か否かを確かめる。
【0067】
信号スイッチ(4)が開(OFF)状態であると検知した場合は(ステップS02:OFF)、初期状態にてスイッチ接点がONであるにもかかわらずスイッチがOFF操作されている状態であるので異常状態である。この場合は、コントローラ302は、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器のスイッチが異常状態であることを認識する(ステップS03)。次に、コントローラ302は、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用者に異常状態を通知する処理を開始する(ステップS04)。
【0068】
さらに、コントローラ302は、同使用者にスイッチをON操作する指示を出す処理を開始する(ステップS05)。これらの処理を実行したら、初期状態の確認処理は終了するので、コントローラ302は、コントローラ302での初期状態の認識を解除して処理を終了する(ステップS06)。言うまでも無いが、コントローラ302のプログラムスタート時には、コントローラ302は、初期状態と認識している。
【0069】
コントローラ302は、例えば、異常状態であること示す情報を表示装置(図示せず)に表示することにより、異常状態であることを使用者に通知する。また、コントローラ302は、スイッチをON操作する指示を表すメッセージなどの情報を表示装置に表示することにより、スイッチのON操作を使用者に指示する。通知方法はこれに限られるものではなく、使用者に異常状態であること、および、スイッチをON操作することを通知できる方法であればあらゆる方法を適用できる。例えばスピーカ(図示せず)等の音声出力装置に音を出力することにより通知してもよい。
【0070】
一方、ステップS02で信号スイッチ(4)が閉(ON)状態であると検知した場合は(ステップS02:ON)、初期状態にてスイッチ接点がONであってスイッチもON操作されている状態であるので正常状態である。このことを認識したら、コントローラ302は、コントローラ302での初期状態の認識を解除して処理を終了する(ステップS06)。
【0071】
以上の処理を実行した後に、次回の本フローチャートの処理を実行する場合は、ステップS06にて、コントローラ302での初期状態の認識が解除されているので、初期状態であるか否かの確認(ステップS01)では今後、初期状態でないと判断して、これ以降は、図4で示したステップS11以降の処理(ステップS11〜ステップS18)を実行する。
【0072】
このように本実施の形態では、実施の形態1で示した効果に加えて、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器のスイッチが異常状態である場合に、確実に使用者に異常であることを知らせて、スイッチのON操作指示を出して正常状態に復帰させることができる。
【0073】
(実施の形態3)
実施の形態1のようなスイッチ装置では、前述した異常状態から正常状態に復帰する際に、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器では、AC商用電源が供給されるやいなや、動作を再開した後に自動的にシャットダウン処理が実行されて、スイッチのAC接点がOFFにされる。したがって、AC商用電源が供給されてからの一連の動作は、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用者から見たら特異な現象であり、なぜこのような動作が実行されているのか理解ができないので問題となる。また、動作自体は短時間で気にならない場合でも、スイッチのAC接点がOFFにされる際に発生する音については、使用者に違和感を与えるものである。
【0074】
また、実施の形態2では、このような問題を解決する方法を示し、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器のスイッチが異常状態である場合に、確実に使用者に異常であることを知らせて、スイッチのON操作指示を出して正常状態に復帰させることができることを示した。
【0075】
しかしながら、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用者が同システムや機器のそばに居ない場合は異常状態をすぐに知らせることができないし、使用者が確認するまでの間、無駄な電力や動作を必要としてしまう。
【0076】
そこで、これら問題を解決するために、実施の形態3は、図4に示したフローチャートを図6の実施の形態3のコントローラ302による制御処理の手順を示すフローチャートに変形したものである。
【0077】
まず、コントローラ302に記憶されているプログラムがスタートして図6のフローチャートが実行されるには、コントローラ302への電源供給が必要である。すなわち、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器にAC商用電源が供給されていると共に、スイッチのAC接点がONしていることが必要である。この状態となった時点で、図6のフローチャートはスタートする。最初に、コントローラ302は、現在の状態が、この初期状態(プログラムスタート時の状態)であるか否かを確認する(ステップS01)。初期状態であると確認した場合(ステップS01:Yes)は、コントローラ302は、信号スイッチ(4)の開閉状態を検知する(ステップS02)。この初期状態での信号スイッチ(4)の開閉状態を確認することによって、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器のスイッチが異常状態か否かを確かめる。信号スイッチ(4)が開(OFF)状態であると検知した場合は(ステップS02:OFF)、初期状態にてスイッチ接点がONであるにもかかわらずスイッチがOFF操作されている状態であるので異常状態である。この場合は何も実行しないで、処理を終了する。
【0078】
この処理の後に、次回の本フローチャートの処理を実行する場合は、まだコントローラ302での初期状態の認識が解除されていないので、最初にコントローラ302で初期状態であるか否かを確認するステップS01の処理を再度実行する。
【0079】
一方、ステップS02で信号スイッチ(4)が閉(ON)状態であると検知した場合は(ステップS02:ON)、初期状態にてスイッチ接点がONであってスイッチもON操作されている状態であるので正常状態である。このことを認識したら、コントローラ302は、コントローラ302での初期状態の認識を解除して処理を終了する(ステップS07)。この処理の後に、次回の本フローチャートの処理を実行する場合は、ステップS07にて、コントローラ302での初期状態の認識が解除されているので、初期状態であるか否かの確認(ステップS01)では今後、初期状態でないと判断して、これ以降は、図4で示したステップS11以降の処理(ステップS11〜ステップS18)を実行する。
【0080】
このように、本実施の形態では、スイッチがON操作されるまでは、異常状態として何も実行しないで待機状態として待ち続ける。この時、無駄な動作や表示等は実施しない。この間は、初期状態の認識を解除しないで、スイッチがON操作されるまでこの状態を持続する。
【0081】
このように本実施の形態では、実施の形態1で示した効果に加えて、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器のスイッチが異常状態である場合は無駄な動作や表示を行わずに無駄電力の消費も防止できて、スイッチのON操作がされたことを検知した後に正常状態に復帰させることができる。
【0082】
以上、各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
【0083】
なお、図1および2で示された各構成部品の位置関係や方向や大きさ等についても種々の変形が可能である。また、各実施の形態で示した図は本発明の本質を説明するためのものであって、本発明の範囲外のスイッチの詳細部分等の図示や説明は省略してある。例えば、スイッチ接点の接触状態を確実なものにするために、スイッチ操作部1の下部とスイッチ接点レバ21や22や3との間にバネを設ける等の構成がスイッチとして必要なことはいうまでも無い。
【0084】
また、上記実施の形態では、第1の電気接点としては、AC入力306のON/OFFを例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態1〜6のスイッチ装置、スイッチ装置と外部ユニット(5VE電源301、コントローラ302など)とからなるスイッチ装置システムを、バッテリ搭載機器の自動車や輸送機器、画像形成装置、電気機器、工作機械、医療機器等へ適用することも可能である。また、スイッチ内部でのAC/DCや使用電圧の差によって、安全上や機能上必要な空間距離や沿面距離を確保することが必要になる。
【0085】
なお、上記本実施の形態のスイッチ装置システムで実行される制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0086】
本実施の形態のスイッチ装置システムで実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供するように構成してもよい。
【0087】
さらに、本実施の形態のスイッチ装置システムで実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のスイッチ装置システムで実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0088】
本実施の形態のスイッチ装置システムで実行される制御プログラムは、上述した制御部(コントローラ)の機能を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから制御プログラムを読み出して実行することにより上記制御部が主記憶装置上にロードされ、制御部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0089】
(構成例1)
スイッチ装置を備えるスイッチ装置システムであって、
前記スイッチ装置は、
ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、
前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、
前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備え、
制御開始時に、前記第1の電気接点がON状態であること、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した場合は、異常状態であることを使用者に通知する第1の手段を備えること、
を特徴とするスイッチ装置システム。
(構成例2)
前記第1の手段は、異常状態であること示す音を出力することにより、異常状態であることを使用者に通知すること、
を特徴とする構成例1に記載のスイッチ装置システム。
(構成例3)
前記スイッチ操作部をON側にして正常状態に戻す指示を使用者に通知する第2の手段をさらに備えること、
を特徴とする構成例1に記載のスイッチ装置システム。
【符号の説明】
【0090】
1 スイッチ操作部
1a 支点
1b 下部
21、22 第1のスイッチ接点レバ
21a、22a 第1のスイッチの接点レバ導体
21b、22b 第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体
21c 第1のスイッチの接点レバ側接点
21d、22d 第1のスイッチの端子側接点
21e、22e 第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体側の端子
21f、22f 第1のスイッチのON−OFF接点側の端子
3 第2のスイッチ接点レバ
3e 第2のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体側の端子
3f 第2のスイッチのON−OFF接点側の端子
4a スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心
4b スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル
10 スイッチ本体部
29 スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄板
301 5VE電源
302 コントローラ
303 複合メインスイッチ
304 ACSDスイッチ
306 AC入力
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開2002−8490号公報
【特許文献2】特開2002−159143号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ装置を備えるスイッチ装置システムであって、
前記スイッチ装置は、
ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、
前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、
前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備え、
制御開始時に、前記第1の電気接点がON状態であること、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した場合は、異常状態であることを使用者に通知する第1の手段を備えること、
を特徴とするスイッチ装置システム。
【請求項2】
前記スイッチ操作部がON側に位置し、かつ前記第1の電気接点がON状態の場合に、前記スイッチ装置に入力される電気信号のOFF→ON→OFFによって、前記第1の電気接点をONからOFFに変更するとともに、前記スイッチ操作部をON側からOFF側へ変更する第3機構をさらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置システム。
【請求項3】
前記第1の手段は、異常状態であること示す情報を表示装置に表示することにより、異常状態であることを使用者に通知すること、
を特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置システム。
【請求項4】
前記スイッチ操作部をON側にして正常状態に戻す指示を表す情報を表示装置に表示することにより、前記スイッチ操作部をON側にして正常状態に戻す指示を使用者に通知する第2の手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のスイッチ装置システム。
【請求項5】
スイッチ装置を備えるスイッチ装置システムであって、
前記スイッチ装置は、
ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、
前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、
前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備え、
制御開始時に、前記第1の電気接点がON状態であること、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した場合、異常状態であることを使用者に通知せずに使用者が前記スイッチ操作部をON側に操作するまで待機する第1の手段を備えること、
を特徴とするスイッチ装置システム。
【請求項6】
前記スイッチ操作部がON側に位置し、かつ前記第1の電気接点がON状態の場合に、前記スイッチ装置に入力される電気信号のOFF→ON→OFFによって、前記第1の電気接点をONからOFFに変更するとともに、前記スイッチ操作部をON側からOFF側へ変更する第3機構をさらに備えること、
を特徴とする請求項5に記載のスイッチ装置システム。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載のスイッチ装置システムを備えた、画像形成装置、電気機器、医療機器、工作機械、自動車、輸送機器、および、スイッチ装置機器のいずれかである機器。
【請求項8】
ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、
前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、
前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備えるスイッチ装置を備えるスイッチ装置システムを、
前記第1の電気接点がON状態であること、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した場合は、異常状態であることを使用者に通知する第1の手段
として機能させるための制御プログラム。
【請求項9】
ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、
前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、
前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備えるスイッチ装置を備えるスイッチ装置システムを、
前記第1の電気接点がON状態であること、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した場合、異常状態であることを使用者に通知せずに使用者が前記スイッチ操作部をON側に操作するまで待機する第1の手段
として機能させるための制御プログラム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の制御プログラムを記憶した、コンピュータが読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−234723(P2012−234723A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102856(P2011−102856)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】