説明

スイッチ装置

【課題】
硬質樹脂製のキートップ6とスイッチ部を有する回路基板4とが当接する際に打撃音が発生する。車の中や音楽鑑賞の場のような静かな使用環境下、動画の撮影時では、この打撃音が気になることから、改善が望まれていた。
【解決手段】
押釦スイッチのキートップ6が押圧される際にキートップの突起部6Cがゴムスイッチ2に当接することになる。よって、このゴムスイッチ2が緩衝材として作用し結果としてキートップ6が基板を叩く打撃音を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の押釦スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、携帯電話等の電子機器には様々な機能が含まれていることから、それを操作するために多くの押釦スイッチを要する。例えば図3に示したような押釦スイッチがある。電子機器の機能を切り替える操作信号を送るために、キートップ106の操作面を押圧し、回路状態を切り替える。
【0003】
一般的に用いられている図3のような押釦スイッチの具体的な仕組みを以下に示す。
【0004】
押圧操作により、突起部106Cを支点としてキートップ106は中立位置から傾き、ゴムスイッチ102を押圧する。ゴムスイッチ102は変形して、下面に設けられた可動接点107が固定接点103に接触する。固定接点103に可動接点107が接触したことはクリック感により確認できる。操作面から指を離し押圧力を解除すると、ゴムスイッチ102の弾性復元力の作用によりキートップ106が初期の位置へ戻る。このように可動接点107が固定接点103に接触することで、固定接点103に対応した回路が開閉するようにしたものが広く用いられている。例として、特許文献1がある。
【0005】
スイッチを押圧するために、キートップ106を外部に突出させる。そのため、押釦スイッチは開口部を有する機器ケース105と、キートップ106の外側に位置する押圧操作部106Aと、その内側に位置する水平方向に張り出した鍔部106Bとを有する。鍔部106Bは機器ケース105からキートップ106が脱落しないようにするものである。また、機器ケース105の開口部とキートップ106には製造の精度の問題で大きさに違いが生じる。これによる変位を阻止するために、機器ケース105とゴムスイッチ102による初期圧力(プリテンション)によって、キートップ106を押さえ込むことが一般的である。
【0006】
キートップ106の材質は、指に触れる感触が良好であることから一般にABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の硬質樹脂が好まれて使用される。スイッチ部を有する回路基板104はガラスエポキシ樹脂が含まれているものが多く、またポリイミドと銅箔からなるフレキシブル基板であったときは強度上の問題からステンレスやアルミ合金等の金属板で出来た基板固定部108が使用される。
【特許文献1】特開2005−166406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゴムスイッチ2によりキートップ6を上方に付勢して鍔部6Bを外装部材5の下面に当接させてキートップ6の位置決めを行うために、突起部106C先端とスイッチ部を有する回路基板104の間には隙間が生じる。押圧操作の際、キートップ106の突起部106Cが回路基板104に当接する事になる。そのため、硬質樹脂製である、キートップ106と基板104とが衝突するので打撃音が発生する。特許文献1の様に回路基板に4方向スイッチを実装する構成であっても4方向スイッチと操作部材先端の隙間により、打撃音が発生する。車の中や音楽鑑賞の場のような静かな使用環境下及び動画の撮影では、この打撃音が気になることから、改善が望まれている。さらに、特許文献1の4方向スイッチの様な構成からなる十字キーは、押圧されることによってキートップが斜めに傾くため、十字キーの外壁と機器ケース105との間に隙間が必要である。その隙間のために、十字キーを操作しない時にもキートップに変位が発生する。
【0008】
本発明は、スイッチの操作部材操作時に発生する打撃音を低減しつつ、操作部材の変位を阻止することを可能としたスイッチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面としてのスイッチ装置は、スイッチ部を有する基板と、操作面及び該操作面とは反対側に設けられた突起部とを有する。また、操作面が押されることにより基板によって支えられた突起部を支点として中立位置から傾いてスイッチ部の状態を切り換える操作部材と、操作部材を中立位置に向けて付勢する弾性部材とを有する。該弾性部材は、操作面が押されたときに、基板上において突起部の当接を受ける受け部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スイッチを押す際の打撃音を低減でき、さらに不使用時の外装部材と操作部材の変位を阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図4は本発明の実施例であるスイッチ装置を組み込んだ撮像装置の斜視図である。
【0013】
撮像装置1において、9は撮像レンズ、10は光学ファインダである。撮像スイッチ12が操作されると、撮像レンズ9により形成された被写体像が、不図示の撮像素子によって光電変換され、画像が生成される。11は、生成された画像や、撮像装置1の機能やモードを選択したり各種設定を行ったりするためのメニュー画面等が表示されるモニタディスプレイである。6はメニュー画面上で項目を選択したり決定したりするために操作されるスイッチ装置のキートップである。撮像装置1の外面は、外装部材5によって覆われている。
【0014】
図1及び図2は、本発明の実施例であるスイッチ装置の要部縦断面図、分解斜視図である。
【0015】
スイッチ装置は、4つの固定接点3を有する回路基板4と、固定接点3を取り囲む円錐台形状の複数(本実施例では4つ)の付勢部2Aを有するゴムスイッチ2と、操作部材としてのキートップ6とで構成されている。なお、以下の説明において図1の上下をスイッチ装置の上下という。
【0016】
付勢部2Aの上部下面には下方に延びる円柱形状の押圧突出部2Bが形成されており、押圧突出部2Bの先端(下端)には導電性樹脂をシルクスクリーン印刷等の手法により可動接点7が設けられている。回路基板4上において、各固定接点3は、各可動接点7に対向するように設置され、固定接点3と可動接点7とによりスイッチ部が構成される。
【0017】
図1では、円錐台形状の付勢部2Aを有するゴムスイッチ2は軟質のシリコーンゴム等で一体成型されている。付勢部2Aの傾斜した外周壁は可撓性を有する薄肉部であり、この薄肉部が弾性変形することによって上方への付勢力が発生する。
【0018】
弾性部2Aの天面部2Cは回路基板4に水平な平坦面として形成されており、天面部2Cにキートップ6の下面が当接している。
【0019】
キートップ6は外装部材5に形成された開口部からの外側に突出した操作面6A、操作面6Aとは反対側の中央部に設けられて下方に延びる突起部6C、及び外装部材5からの脱落を防ぐために水平方向に張り出した鍔部6Bとを有する。
【0020】
ゴムスイッチ2によりキートップ6を上方に付勢して鍔部6Bを外装部材5の下面に当接させてキートップ6の位置決めを行うために、突起部6Cと回路基板4の間には隙間が形成されている。なお、キートップ6が、鍔部6Bと外装部材5との当接により水平に保持された状態、すなわち未操作状態をキートップ6の中立状態といい、その状態でのキートップ6の位置を中立状態という。キートップ6は、操作面6Aが押されると、後述する突起受け部2Dに当接することで回路基板4によって支えられる突起部6Cを支点として中立位置から傾いて、ゴムスイッチ2の付勢部2Aを押圧し、スイッチ部の状態を切り換える。
【0021】
ゴムスイッチ2には、その中央部に突起受け部2Dが一体成型されている。突起受け部2Dの下面は、固定基板4の上面に当接している。さらに、中立状態では、突起部6Cの先端は突起受け部2Dの底面(上面)に当接しない。
【0022】
キートップ6の外周と開口部5aの内周との間には、キートップ6がスムーズに傾くことができるように、隙間Xが設けられている。
【0023】
次に、スイッチ接点の押圧時の動作について説明する。
【0024】
キートップ6に外力が作用していない中立状態では、図1に示したように、キートップ6の操作面6Aが外装部材5の開口部5aから外部に突出している。そこで、撮像装置の使用者が操作面6Aの周辺部を指で回路基板4の方向に向かって押すことにより、キートップ6は下動する。これにより突起部6Cが突起受け部2Dに当接し、その当接箇所を支点としてキートップ6が押されている側へ中立位置から傾く。キートップ6が傾くと、その傾いた側に設けられた付勢部2Aの下方に弾性変形するため、押圧突出部2Bの先端の可動接点7が固定接点3に接触する。これにより、スイッチ部の状態がOFFからONに切り替わる。キートップ6から指が離されると、付勢部2Aの弾性復元力により、キートップ6が中立位置へ戻る。
【0025】
上記の一連の動作において、突起受け部2Dはゴムスイッチ2に一体成型された弾性部材であるため、突起部6Cが基板4上で突起受け部2Dに当接しても打撃音はほとんど生じない。
【0026】
また、突起受け部2Dをゴムスイッチ2の一部とした(一体成型した)ことにより、従来に比べて部品点数を増やすことなく打撃音の低減装置を達成する事ができる。
【0027】
さらに、キートップ6が突起部6Cと突起受け部2Dの当接部を支点として、中立位置から傾くには、キートップ6と機器ケース5との間には隙間Xを設ける必要がある。しかし、隙間Xによってキートップ6には、押圧時及び押圧解除時に、水平方向の変位が生じる。そこで、ゴムスイッチ2の突起受け部2Dには、突起部6Cの先端部の外周面に対向するように(囲むように)壁部2Eが形成されている。この壁部2Eと突起部6Cとの間の隙間Y(突起部6Cが受け部6Dの中央に対向して位置するときの隙間)は隙間Xより小さく構成されている。
【0028】
これにより、キートップ6の水平方向の変位を隙間Yの範囲に抑える事ができ、押圧時や押圧解除時におけるキートップ6の変位の少ない高品位のスイッチ装置を実現できる。
【0029】
実施例では、スイッチ部を可動接点と固定接点により構成される場合を示したが、スイッチ部の種類は問わず、感圧スイッチ、タクトスイッチ等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例であるスイッチ機構の断面図。
【図2】本発明の実施例であるスイッチ機構の分解斜視図。
【図3】従来のスイッチ機構の構成を説明する図。
【図4】本発明の実施例であるカメラの斜視図。
【符号の説明】
【0031】
1 ‥‥撮像装置
2、102 ‥‥ゴムスイッチ
2A、102A‥‥付勢部
2B、102B‥‥押圧突出部
2C、102C‥‥天面部
2D、102D‥‥突起受け部
2E、102E‥‥壁部
3、103 ‥‥固定接点
4、104 ‥‥回路基板
5、105 ‥‥外装部材
5a、105a‥‥開口部
6、106 ‥‥キートップ
6A、106A‥‥操作面
6B、106B‥‥鍔部
6C、106C‥‥突起部
7、107 ‥‥可動接点
8、108 ‥‥基板固定部
9 ‥‥レンズ
10 ‥‥ファインダ
11 ‥‥モニタディスプレイ
12 ‥‥シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ部を有する基板と、
操作面及び該操作面とは反対側に設けられた突起部を有し、前記操作面が押されることにより前記基板によって支えられた前記突起部を支点として中立位置から傾いて前記スイッチ部の状態を切り換える操作部材と、
前記操作部材を前記中立位置に向けて付勢する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、前記操作面が押されたときに、前記基板上において前記突起部の当接を受ける受け部を有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記受け部は、前記突起部の外周面に対向するように形成された壁部を有し、
該壁部と前記突起部の外周面との当接によって、該当接の方向における前記操作部材の変位を阻止することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチ装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2に記載のスイッチ装置と、
前記操作部材を外部に突出させるための開口部を有する外装部材とを有し、
前記開口部と前記操作部材との間の隙間に対して、前記突起部と前記壁部との間の隙間が小さいことを特徴とする電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−277018(P2008−277018A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116705(P2007−116705)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】