スイッチ装置
【課題】誤操作を抑制できるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両用ドア10に設けられたプルハンドル21の内部に設置されるスイッチ装置30であって、プルハンドル21を構成する壁部のうち、車両用ドア10と対向する対向壁部21Aに取り付けられるスイッチ本体部40と、スイッチ本体部40に対して情報検出方向へ移動させる操作が可能な形で取り付けられ、情報検出方向への移動に基づいた操作情報を検出可能とされるスイッチ操作部60と、スイッチ操作部60が、スイッチ本体部40に対して、情報検出方向と交差する方向に操作された際に、スイッチ本体部40に対するスイッチ操作部60の移動を規制するロック機構と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】車両用ドア10に設けられたプルハンドル21の内部に設置されるスイッチ装置30であって、プルハンドル21を構成する壁部のうち、車両用ドア10と対向する対向壁部21Aに取り付けられるスイッチ本体部40と、スイッチ本体部40に対して情報検出方向へ移動させる操作が可能な形で取り付けられ、情報検出方向への移動に基づいた操作情報を検出可能とされるスイッチ操作部60と、スイッチ操作部60が、スイッチ本体部40に対して、情報検出方向と交差する方向に操作された際に、スイッチ本体部40に対するスイッチ操作部60の移動を規制するロック機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車内に設けられた機器を操作するためのスイッチ装置として、車両用ドアの車室内側に設置されたものが知られている(例えば、下記特許文献1)。特許文献1に記載のスイッチ装置は、例えば、ウインドウガラスの開閉操作を行うためのスイッチ操作部(ここではローラー式の操作子)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−67779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなスイッチ操作部の操作性を向上させるためには、乗員の手が届きやすい個所に設けることが好ましい。上記特許文献1のものでは、スイッチ操作部は、着座した乗員の手が届きやすいアームレスト部に設置されている。しかしながら、乗員の手が届きやすい個所にスイッチ操作部を設置した場合、操作性は向上するものの、乗員が意図しない状況でスイッチ操作部に手が触れてしまう可能性も高くなり、スイッチ操作部(ひいては操作対象となる機器)の誤操作が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、誤操作を抑制できるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のスイッチ装置は、車両用ドアに設けられたプルハンドルの内部に設置されるスイッチ装置であって、前記プルハンドルを構成する壁部のうち、前記車両用ドアと対向する対向壁部に取り付けられるスイッチ本体部と、前記スイッチ本体部に対して情報検出方向へ移動させる操作が可能な形で取り付けられ、前記情報検出方向への移動に基づいた操作情報を検出可能とされるスイッチ操作部と、前記スイッチ操作部が、前記スイッチ本体部に対して、前記情報検出方向と交差する方向に操作された際に、前記スイッチ本体部に対する前記スイッチ操作部の移動を規制するロック機構と、を備えることに特徴を有する。
【0007】
本発明のスイッチ装置は、スイッチ操作部がスイッチ本体部に対する情報検出方向と交差する方向に操作された際に、スイッチ本体部に対するスイッチ操作部の移動を規制するロック機構を備えている。これにより、例えば、乗員がプルハンドルの使用時にスイッチ操作部に触れるなどして、スイッチ操作部が情報検出方向と交差する方向に操作された場合において、スイッチ操作部の移動を規制できる。つまり、スイッチ操作部の操作性を向上させるために、スイッチ装置をプルハンドル内部(車両内において手が届きやすい個所)に設置した場合において、プルハンドル内部に設置したことで懸念されるプルハンドル使用時におけるスイッチ操作部の誤操作を抑制できる。
【0008】
上記構成において、前記ロック機構は、前記スイッチ本体部又は前記スイッチ操作部のうち、いずれか一方に設けられた突部と、他方に設けられ前記突部が嵌合可能な凹部と、を備え、前記スイッチ操作部が前記情報検出方向と交差する方向であって、前記スイッチ本体部側に近づく方向に操作された際に、前記突部が前記凹部に嵌合することで、前記スイッチ本体部に対する前記スイッチ操作部の移動を規制する構成であるものとすることができる。
【0009】
また、前記スイッチ本体部に対して回動可能に取り付けられた軸部材を備え、前記スイッチ操作部は、前記軸部材に対して、前記軸部材の延設方向と交差する平面上を面内移動可能に取り付けられることで、前記スイッチ本体部に対して、回動可能及び面内移動可能に取り付けられているものとすることができる。このような構成とすれば、スイッチ操作部の回動及び面内移動に基づいて操作情報を検出可能とすることができる。つまり、回動及び面内移動の操作によって、スイッチ装置に接続される機器の操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誤操作を抑制できるスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置が取り付けられた車両用ドアを示す斜視図。
【図2】図1のスイッチ装置を車両前方側から見た断面図(図1のA−A線で切断した図)。
【図3】図2のスイッチ装置において、突部が凹部に嵌合した状態を示す断面図。
【図4】図1のスイッチ装置を示す分解斜視図。
【図5】図1のスイッチ装置を示す平面図。
【図6】平面視において図1のスイッチ装置の内部構造を示す断面図。
【図7】側面視においてスイッチ操作部の内部構造を示す断面図(図5のB−B線で切断した図)。
【図8】図7において、スイッチ操作部側の接点形成箇所を拡大して示す拡大図。
【図9】図8において、スイッチ操作部を上方に操作した状態を示す拡大図。
【図10】スイッチ操作部内の回動伝達部材を示す断面図(図11のD−D線で切断した図)。
【図11】スイッチ装置の内部構造を示す断面図(図5のE−E線で切断した図)。
【図12】スイッチ本体部の内部構造を示す断面図(図5のF−F線で切断した図)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図1ないし図12によって説明する。各図面の一部にはX軸、Y軸、Z軸が図示されており、X軸方向が車両前後方向、Y軸方向が車室内側及び車室外側、Z軸方向が高さ方向にそれぞれ対応している。なお、図2における左側が車室外側、右側が車室内側である。また、図5における左側が車両前側、右側が車両後側に対応している。本実施形態のスイッチ装置30は、車両用ドア10を構成するドアトリム11に設置されるもので、車内に設置された各種機器(例えば車両シート、オーディオ機器、照明装置、エアコンなど)の操作を行うためのものである。
【0013】
ドアトリム11は、ドアインナパネル(図示せず)の車室内側に例えばクリップ(図示せず)などを介して、取り付けられている。ドアトリム11は、合成樹脂材料、あるいは、合成樹脂材料に天然繊維(ケナフなど)を混合した材料等によって形成されている。
【0014】
ドアトリム11は、トリムボード12と、トリムボード12に装着されたオーナメント14とを備えている。トリムボード12及びオーナメント14における車室内側面の一部(または全面)には、例えば、牛革等の獣皮(本革)で形成された表皮材12Aが被覆されている。なお、表皮材12Aとしては、合成樹脂製のシート、織布、不織布などを用いることも可能である。
【0015】
ドアトリム11には、図1に示すように、スピーカ16、ドアポケット18、アームレスト20などが設けられている。アームレスト20は合成樹脂等によって形成され、トリムボード12の車室内側に張り出す形で配されている。アームレスト20の上面は、その一部が上方に開口されており、その開口部分にはプルハンドル21が装着されている。
【0016】
本実施形態のスイッチ装置30は、プルハンドル21の内部に設置されている。スイッチ装置30は、図4に示すように、スイッチ本体部40と、スイッチ操作部60と、スイッチ本体部40及びスイッチ操作部60を連結する軸部材80とを備えている。スイッチ本体部40は、図4に示すように車両前後方向(X軸方向)に長い箱形状をなしている。
【0017】
スイッチ本体部40は、プルハンドル21を構成する壁部のうち、トリムボード12(車両用ドア10)と対向する対向壁部21Aに、図示しない取付手段(例えばビス止めなど)によって取り付けられている。なお、プルハンドル21は、アームレスト20と一体部品で構成されていてもよい(この場合、図2で示すアームレスト20の上壁部20Aがプルハンドル21の一部を構成することとなる)。つまり、ここで言う「プルハンドル」とは、アームレスト20の上面に形成された開口部分のことである。なお、スイッチ本体部40の取付箇所については、対向壁部21Aに限定されず、プルハンドル21を構成する壁部のうち、車両用ドア10と対向する壁部であればよい。例えば、スイッチ本体部40を、図2で示すアームレスト20の上壁部20Aに取り付ける構成としてもよい。
【0018】
スイッチ操作部60は、乗員がこれを把持して、スイッチ本体部40に対して移動させる操作をすることで、車室内に配された機器の操作を行うものである(詳しくは後述)。スイッチ操作部60は、図4又は図5に示すように、長手状をなしており、その長手方向が車両前後方向(X軸方向、図5の左右方向)に一致する形でスイッチ本体部40に取り付けられている。
【0019】
スイッチ操作部60の形状について詳しく説明すると、スイッチ操作部60は、図7に示すように車両前側(図7の左側)に向かうにつれて、上下方向(Z軸方向)の長さが小さくなる形状をなしている。スイッチ操作部60は、図6に示すように、スイッチ本体部40側に開口された外周壁部60Eと、当該外周壁部60Eの開口部分をスイッチ本体部40側から覆う形で配された側壁部60Aとを備えている。なお、側壁部60Aは、例えば、ねじ60Fなどの締結手段によって、外周壁部60Eに取り付けられている(図4参照)。
【0020】
スイッチ操作部60の外周壁部60Eにおいて、車両前方の部分には、図7に示すように、前方に突き出す先端部61が設けられている。その先端部61の表面は、断面視において、連続する略三角波形状(ギザギザの形状)をなしており、操作者(乗員)が把持しやすい形状となっている。
【0021】
スイッチ操作部60は、図4及び図6に示すように、軸部材80を介してスイッチ本体部40に取り付けられている。軸部材80は、Y軸方向に延びる円柱形状をなしており、スイッチ本体部40に対してY軸周りに回動可能に取り付けられている(詳しくは後述)。また、スイッチ操作部60は、軸部材80に対して、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動可能(軸部材80の延設方向(Y軸方向)と交差するXZ平面上を面内移動可能)に取り付けられている。つまり、スイッチ操作部60は、スイッチ本体部40に対して、XZ平面上を面内移動可能かつ、軸部材80を回転中心としてY軸周りに回動可能に取り付けられている。
【0022】
次に、スイッチ本体部40、軸部材80、スイッチ操作部60の取付構造について詳しく説明する。図6に示すように、スイッチ本体部40において、スイッチ操作部60と対向する側壁部40Aには、貫通孔40Bが形成されている。また、スイッチ操作部60において、スイッチ本体部40と対向する側壁部60Aには貫通孔60Bが形成されている。そして、軸部材80の延設方向(Y軸方向)における一端側はスイッチ本体部40の貫通孔40Bに挿入され、他端側がスイッチ操作部60の貫通孔60Bに挿入されている。
【0023】
図6に示すように、軸部材80は、Y軸方向における中央部付近で支持部材41を介して、スイッチ本体部40に取り付けられている。この支持部材41は、軸部材80の全周を囲む形で形成されている。この支持部材41によって、軸部材80は、Y軸(軸部材80の軸方向)を中心として回動可能かつ、Y軸方向(スイッチ本体部40に対して接近及び離間する方向)に移動可能に取り付けられており、さらには、XZ平面上の移動が規制された状態で取り付けられている。このような支持部材41としては、例えば、ベアリングなどを例示できる。なお、支持部材41は、軸部材80をY軸を中心として回動可能かつ、Y軸方向に移動可能に取り付けることができるものであればよく、ベアリング以外のものを用いてもよい。
【0024】
また、軸部材80におけるスイッチ本体部40側の端部には、軸部材80の径方向外側に突出する形で嵌合リブ81が形成されている。嵌合リブ81は、周方向における2箇所に形成されており、2つの嵌合リブ81は、軸部材80の軸中心に対して180度対称となる位置に配されている(図12参照)。
【0025】
スイッチ本体部40内には、図6及び図12に示すように、X軸方向に長い形状をなす本体部側接点部材42が配されている。本体部側接点部材42のX軸方向における中央部分には、Y軸方向に貫通する形で挿通孔42Aが形成されている。挿通孔42Aは、両嵌合リブ81及び軸部材80が挿通されるもので、軸部材80の両嵌合リブ81が嵌合可能な形状をなしている。これにより、軸部材80がZ軸を中心として回動すると、本体部側接点部材42は、軸部材80の回動軸と同軸で回動する構成となっている。
【0026】
図12に示すように、本体部側接点部材42の下面において、X軸方向における両端部には、それぞれ可動側接点42Bが形成されている。一方、スイッチ本体部40内において、車両前後方向に延びる支持板43上には、各支持台45が設置されており、各支持台45の上面部には各可動側接点42Bと向かい合う形で固定側接点45Bがそれぞれ形成されている。
【0027】
スイッチ操作部60が操作されていない初期状態(図7、図12の状態)では、本体部側接点部材42は水平な状態(X軸に沿った状態)となっており、各可動側接点42Bと各固定側接点45Bとが非接触となっている。また、本体部側接点部材42の上面において、X軸方向における両端部(可動側接点42Bの形成箇所の上方)は、それぞれ、各端部に向かうにつれて下降傾斜する下降傾斜面42Dとされる。各下降傾斜面42Dと、スイッチ本体部40の上壁部40Dとの間には、ばね部材46がそれぞれ配されている。
【0028】
各ばね部材46は、本体部側接点部材42が水平な状態において、長さが自然長よりも短くなる状態(又は自然長と同じ長さでもよい)で配されている。また、スイッチ本体部40の上壁部40D及び本体部側接点部材42の下降傾斜面42Dにおいては、各ばね部材46の周囲を囲む形で、位置決めリブ46Aが形成されている。各位置決めリブ46A内に各ばね部材46が配されることで、各ばね部材46の水平方向(XY方向)における位置決めがされる構成となっている。
【0029】
両ばね部材46の自然長及びばね定数は、例えば、同じ値で設定されている。また、各ばね部材46のX軸方向における軸部材80からの距離は、それぞれ同じ距離で設定されている。これにより、スイッチ操作部60に力が作用していない状態(初期状態)においては、両ばね部材46から本体部側接点部材42へ作用する下方への押圧力が等しくなる。その結果、各ばね部材46から本体部側接点部材42に作用する軸部材80周りの回転モーメントが等しくなり、本体部側接点部材42が水平な状態で保持される構成となっている。つまり、両ばね部材46は、本体部側接点部材42を水平な状態で保持させる機能を担っている。
【0030】
以上の構成によって、本体部側接点部材42が水平な状態から、乗員によって、スイッチ操作部60(ひいては軸部材80)が、図12における時計周り(図12のR1で示す方向)に回動された場合は、本体部側接点部材42は、右側が低い状態となる形で回動し、この結果、右側の可動側接点42Bと固定側接点45Bとが接触する(電気的に接続される)構成となっている。
【0031】
これと同時に左側のばね部材46が縮み、右側のばね部材46は自然長より伸びる(なお、右側のばね部材46が水平状態において自然長で配されている場合は、自然長のままとなる)。そして、乗員がスイッチ操作部60から手を離すと、左側のばね部材46が弾性復帰する結果、本体部側接点部材42が水平な状態に復帰する(可動側接点42Bと固定側接点45Bとが非接触な状態)。
【0032】
また、本体部側接点部材42が水平な状態から、軸部材80(ひいてはスイッチ操作部60)が図12における反時計周り(図12のR2で示す方向)に回動した場合は、左側の可動側接点42Bと固定側接点45Bとが接触し、乗員がスイッチ操作部60から手を離すと、本体部側接点部材42が水平な状態に復帰する構成となっている。
【0033】
次に、軸部材80と、スイッチ操作部60との取付構造について説明をする。図6及び図11に示すように、軸部材80においてスイッチ操作部60側の端部には、軸側接点形成部材83が外挿されている。軸側接点形成部材83は、図7及び図8に示すように、側面視において、略十字状をなしており、具体的には、円形状をなす本体部83Aと、本体部83Aの周端から、図8の上下左右の4方向(X軸及びZ軸方向)に向かって、それぞれ突出する突出部83Bとを有する。そして、各突出部83Bの突出端からは、軸側接点83Dが突き出す形でそれぞれ形成されている。なお、軸側接点83Dは、先端部が半球状をなしている。
【0034】
スイッチ操作部60の内部において、スイッチ操作部60における側壁部60A(スイッチ本体部40と対向する側壁部)には、図7に示すように、断面視方形状をなす操作部側接点形成部材62が取り付けられている。操作部側接点形成部材62には、側面視において、貫通孔60Bと重なる位置を貫通する形で、貫通孔62Aが形成されている。貫通孔62Aは、図7に示すように、軸側接点形成部材83をその内部に収容可能な略円形状をなしている。
【0035】
そして、貫通孔62Aを構成する内周壁には、図8の上下左右方向にそれぞれ凹ませる形で溝部62Bがそれぞれ形成されている。各軸側接点83Dは各溝部62B内にそれぞれ配されている。そして各溝部62Bの奥壁には、操作部側接点62Dがそれぞれ形成されている。
【0036】
各軸側接点83Dには、ばね部材83Eがそれぞれ外挿されている。各ばね部材83Eは、一端側で突出部83Bの突出端に、他端側で溝部62Bの奥壁に当接している。これにより、乗員(操作者)が上下左右方向に固定されている軸部材80に対して、スイッチ操作部60を上下左右のいずれかに操作すると、図9に示すように、各ばね部材83Eのうち、スイッチ操作部60の操作方向と反対側のばね部材83Eを縮ませつつ、軸側接点83Dが対応する操作部側接点62Dに接触する構成となっている。例えば、図9に示すように、軸部材80に対して、スイッチ操作部60を上方に操作すると、下側のばね部材83Eを縮ませつつ、下側の軸側接点83Dが対向する操作部側接点62Dに接触する構成となっている。
【0037】
そして、乗員がスイッチ操作部60から手を離すなどして、スイッチ操作部60への操作力が解除されると、縮んだばね部材83Eが弾性復帰し、軸側接点形成部材83が初期位置(言い換えると、各軸側接点83Dと各操作部側接点62Dとがいずれも非接触となる位置)に復帰する構成となっている。つまり、各ばね部材83Eは、スイッチ操作部60を初期位置(貫通孔62Aの中心と軸部材80の中心とが側面視において重なる位置)側へ付勢する付勢手段である。
【0038】
図6に示すように、軸部材80において、軸側接点形成部材83よりもスイッチ本体部40側となる位置には、回動伝達部材84が外挿されている。回動伝達部材84は、図10に示すように、側面視において、略十字状をなしており、具体的には、円形状をなす本体部84Aと、本体部84Aの周端から、図7の上下左右の4方向にそれぞれ突出する突出部84Bとを備えている。
【0039】
図10に示すように、スイッチ操作部60において、側面視における回動伝達部材84の周囲には、側壁部60Aに取り付けられた壁部60Dが配されている。この壁部60Dには、回動伝達部材84の形状に対応した伝達部材嵌合孔63が、軸部材80の軸方向(Y軸方向)に貫通する形で形成されている。
【0040】
伝達部材嵌合孔63は、円形状をなす本体部63Aと、本体部63Aの内周面を、図10の上下左右の4方向にそれぞれ凹ませる形で形成された凹部63Bとから構成されている。各突出部84Bは、各凹部63Bにそれぞれ嵌合する形で配されている。このような構成とすることで、軸部材80に対してスイッチ操作部60(ひいては壁部60D)が回動した際には、各凹部63Bの内面が各突出部84Bの外面に当接し、軸部材80を軸方向に回動させる構成となっている。つまり、回動伝達部材84は、スイッチ操作部60が回動された際に、その回動を軸部材80に伝達する機能を担っている。
【0041】
これにより、乗員がスイッチ操作部60を回動することで、回動伝達部材84を介して、軸部材80が回動する。そして軸部材80が回動することで、上述したように本体部側接点部材42が回動し、回動方向に対応した可動側接点42Bと固定側接点45Bとが接触する構成となっている。
【0042】
なお、伝達部材嵌合孔63の本体部63Aの径は、図10に示すように、回動伝達部材84の本体部84Aの径よりも大きく設定されており、本体部84Aは本体部63Aの内周面との間に隙間を有している。また、突出部84Bは凹部63Bとの間に隙間を有している。これらの隙間の分だけ、軸部材80に対するスイッチ操作部60の上下左右方向(軸部材80の延設方向と交差する平面上)の移動が許容される構成となっている。なお、軸部材80、軸側接点形成部材83、回動伝達部材84は一体部品として形成されていてもよい。
【0043】
図7に示すように、スイッチ操作部60の外周壁部60Eにおける上部において、車両前方側の箇所には、円柱状の操作部67が回動軸67Aを介して回動可能に取り付けられている。操作部67は、図5に示すように、外周面の一部が外周壁部60Eの外部に露出する形で取り付けられており、操作者が回動させることが可能となっている。スイッチ操作部60は、3本の検出ピン68Aを有するセンサ部68を備えており、例えば、各検出ピン68Aが操作部67と電気的に接触することで、操作部67の回転量及び回転方向を検出する構成となっている。
【0044】
次に、本実施形態のスイッチ装置30における電気的構成について説明する。スイッチ本体部40内には、図示しない制御回路基板が収容されている。スイッチ操作部60の各操作部側接点62Dは、制御回路基板と電気的に接続されている。これにより、スイッチ操作部60の各操作部側接点62Dが対応する各軸側接点83Dに接触することで、各操作部側接点62Dに対応した電気信号が制御回路基板に伝達される構成となっている。つまり、各操作部側接点62D及び各軸側接点83Dによって、スイッチ操作部60がX軸方向又はZ軸方向(図7の上下左右方向)へ操作されたという操作情報(スイッチ操作部60の移動に基づいた操作情報)を検出可能となっており、X軸方向及びZ軸方向はスイッチ装置30における情報検出方向の一例である。
【0045】
例えば、図9で示すように、スイッチ操作部60が軸部材80(ひいては、スイッチ本体部40)に対して、上方に移動操作された場合は、下側の軸側接点83Dと、下側の操作部側接点62Dとが接触し、これに対応した電気信号が制御回路基板に伝達される。これにより、スイッチ操作部60が上方へ操作されたという操作情報を検出可能となっている。
【0046】
スイッチ本体部40の固定側接点45Bは、制御回路基板と電気的に接続されており、各固定側接点45Bに各可動側接点42Bが接触した場合に、これに対応した電気信号が制御回路基板に伝達される構成となっている。これにより、スイッチ操作部60がY軸周りに回動操作されたという操作情報(スイッチ操作部60の移動に基づいた操作情報)を検出可能となっている。つまり、Y軸周りの各回動方向(図12において矢印R1又はR2で示す)は、スイッチ装置30における情報検出方向の一例である。
【0047】
また、スイッチ操作部60のセンサ部68は、制御回路基板と電気的に接続されており、操作部67の回動方向及び回動量などの操作情報に基づいた電気信号が、スイッチ本体部40内の制御回路基板に伝達される構成となっている。
【0048】
そして、制御回路基板は、車内に設置された各種機器(図示せず)と電気的に接続されており、スイッチ操作部60の操作情報に基づいて、各種機器を操作可能な構成となっている。本実施形態では、図7に示す初期状態を基準として、スイッチ操作部60の先端部61が上方を向く方向にスイッチ操作部60を回動させることで、例えば、ウインドウガラス(図示せず)を上昇させることができ、先端部61が下方を向く方向にスイッチ操作部60を回動させることで、ウインドウガラスを下降させることができる。
【0049】
また、スイッチ操作部60の操作部67の回動操作及び、スイッチ操作部60のZ軸方向及びX軸方向への操作によって、車両シートの後面などに設置されたモニタ(図示せず)に表示される表示情報(メニュー画面)を参照しつつ、各種機器を操作することができる。各種機器の操作の一例としては、車両シートの位置及び角度の調整や、オーディオ機器や照明装置、エアコンなどの操作などを例示することができる。なお、スイッチ操作部60の操作によって操作される各種機器は上記のものに限定されない。
【0050】
具体的に説明すると、操作部67を回動操作することで、どの機器を操作するかの選択を行うことができる。また、スイッチ操作部60を、X軸方向(左右方向)に操作することで、各機器に設定された操作項目(例えば車両シートであれば、シートの位置調整やシートの角度調整などの各項目)の選択を行うことができる。
【0051】
そして、各項目を選択後、スイッチ操作部60をZ軸方向(図7の上下方向)に操作することで、選択された操作項目におけるパラメータ(例えば、シートの角度調整であればシートの傾斜角度)の調整などを行うことができる。なお、ここで例示したスイッチ操作部60による各種機器の操作は一例であって、スイッチ操作部60の各方向への操作をどの機器の操作に割り当てるかは、適宜変更可能である。
【0052】
次に、本実施形態のスイッチ装置30において、誤操作を抑制するために設けられたロック機構の構成及び作用について説明を行う。ロック機構は、図4に示すように、スイッチ操作部60の側壁部60Aに形成された突部65と、スイッチ本体部40の側壁部40A(側壁部60Aと対向する壁部)に形成された凹部47とを主体に構成されている。
【0053】
突部65は、スイッチ本体部40の側壁部40A側に突出し、車両前後方向に延びる長手状をなしている。凹部47は、突部65と対向する箇所に形成された車両前後方向に延びる長手状をなし、突部65と嵌合可能な構成となっている。図5に示すように、スイッチ本体部40とスイッチ操作部60とは、初期状態においては、Y軸方向において隙間を空けて配されており、突部65が凹部47から離脱した状態で配されている。
【0054】
上述したように軸部材80は、スイッチ本体部40に対して接近及び離間する方向(図11の左右方向)に移動可能に取り付けられている。図6及び図11に示すように、軸部材80において、スイッチ本体部40側の端部には、ばね部材82が外挿されている。ばね部材82は、その一端部が、軸部材80の両嵌合リブ81に当接し、他端部が側壁部40E(側壁部40Aとは反対側の側壁部)の内面に当接する形で配されている。なお、側壁部40Eには、ばね部材82の周囲を囲む形で、位置決めリブ48が形成されている。位置決めリブ48内にばね部材46が配されることで、ばね部材46のZX平面における移動が規制(位置決め)される構成となっている。
【0055】
次に、本実施形態のスイッチ装置30において、ロック機構の作用及び効果について説明する。ここでは、乗員が車両用ドア10を閉じる動作を行う場合に起こり得る作用を例示する。乗員が車両内側からプルハンドル21内に手を差し入れ、車両用ドア10を車室内側に引っ張る際には、乗員の手がスイッチ操作部60に触れ、スイッチ操作部60がスイッチ本体部40側(Y軸方向においてスイッチ本体部40に近づく方向、情報検出方向と交差する方向)に押圧(操作)される場合がある。
【0056】
スイッチ操作部60がスイッチ本体部40側に押圧されると、図6に示す初期状態から、スイッチ操作部60及び軸部材80がスイッチ本体部40側に移動する。すると、突部65が凹部47に嵌合する(図3の状態)。なお、この時、ばね部材82は軸部材80及び側壁部40Eに押圧されることで自然長よりも縮んだ状態となる。
【0057】
突部65が凹部47に嵌合することで、スイッチ本体部40に対するスイッチ操作部60の回動及び上下左右方向の移動(XZ平面上の面内移動)が規制される。以上のことから、乗員がプルハンドル21の使用時にスイッチ操作部60に触れるなどして、スイッチ操作部60が情報検出方向と交差する方向に操作された場合において、スイッチ操作部の移動を規制できる。
【0058】
そして、乗員がスイッチ操作部60から手を離し、スイッチ操作部60の押圧が解除されると、縮んでいたばね部材82が弾性復帰することで、スイッチ操作部60は初期位置(図2、図6、図11の位置)に復帰する。つまり、ばね部材82は、スイッチ操作部60を初期位置(突部65が凹部47に嵌合していない位置)側へ付勢する付勢手段である。
【0059】
また、スイッチ操作部60はスイッチ本体部40に対して、回動及び面内移動可能に取り付けられている。このようにすれば、スイッチ操作部60の回動及び面内移動に基づいて操作情報を検出可能とすることができる。つまり、回動及び面内移動の操作によって、スイッチ装置30に接続される車内機器の操作を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態において、突部65及び凹部47は共に長手状(X軸方向に延びる形状)をなしている。このような形状とすれば、両部材が嵌合した際には、突部65の外面と凹部47の内面とが、少なくとも2箇所以上で互いに当接する。これにより、スイッチ操作部60の回動及び面内移動可能をより確実に規制できる。仮に突部65が円柱状などの場合、凹部47に嵌合した突部65を軸として、スイッチ操作部60が回動するおそれがあるが、本実施形態のように長手状とすれば、このような事態を抑制できる。
【0061】
また、本実施形態のスイッチ装置30は、プルハンドル21の内部に設置されている。このため、着座した状態の乗員においては、スイッチ操作部60に手を伸ばしやすく、操作性が良好なものとなる。その反面、手を伸ばしやすいプルハンドル21内部に設置したことで、乗員がスイッチ操作部60に触れてしまう事態が懸念される。この点、本実施形態においては、上述したロック機構を備えているので、誤操作を抑制でき、効果的である。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記実施形態においては、スイッチ操作部60の情報検出方向として、上下左右方向及び回動方向を例示したが、これらの方向に限定されない。
【0064】
(2)上記実施形態においては、情報検出方向と交差する方向として、Y軸方向を例示したが、これに限定されない。
【0065】
(3)上記実施形態においては、ロック機構として、突部65と凹部47とが嵌合する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ロック機構は、スイッチ操作部60がスイッチ本体部40に対して情報検出方向と交差する方向に操作されたことを検出するセンサ(例えば、静電センサや変位センサなど)と、このセンサからの検出信号を受けて、軸部材80の回動を規制する規制手段(例えば電磁ブレーキなど)を備えた構成としてもよい。
【0066】
(4)上記実施形態において、ばね部材46,82,83Eの代わりにゴムなどの弾性部材を用いることも可能である。
【0067】
(5)突部65をスイッチ本体部40に形成し、凹部47をスイッチ操作部60に形成する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…車両用ドア、21…プルハンドル、21A…対向壁部、30…スイッチ装置、40…スイッチ本体部、47…凹部(ロック機構)、60…スイッチ操作部、65…突部(ロック機構)、80…軸部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車内に設けられた機器を操作するためのスイッチ装置として、車両用ドアの車室内側に設置されたものが知られている(例えば、下記特許文献1)。特許文献1に記載のスイッチ装置は、例えば、ウインドウガラスの開閉操作を行うためのスイッチ操作部(ここではローラー式の操作子)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−67779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなスイッチ操作部の操作性を向上させるためには、乗員の手が届きやすい個所に設けることが好ましい。上記特許文献1のものでは、スイッチ操作部は、着座した乗員の手が届きやすいアームレスト部に設置されている。しかしながら、乗員の手が届きやすい個所にスイッチ操作部を設置した場合、操作性は向上するものの、乗員が意図しない状況でスイッチ操作部に手が触れてしまう可能性も高くなり、スイッチ操作部(ひいては操作対象となる機器)の誤操作が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、誤操作を抑制できるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のスイッチ装置は、車両用ドアに設けられたプルハンドルの内部に設置されるスイッチ装置であって、前記プルハンドルを構成する壁部のうち、前記車両用ドアと対向する対向壁部に取り付けられるスイッチ本体部と、前記スイッチ本体部に対して情報検出方向へ移動させる操作が可能な形で取り付けられ、前記情報検出方向への移動に基づいた操作情報を検出可能とされるスイッチ操作部と、前記スイッチ操作部が、前記スイッチ本体部に対して、前記情報検出方向と交差する方向に操作された際に、前記スイッチ本体部に対する前記スイッチ操作部の移動を規制するロック機構と、を備えることに特徴を有する。
【0007】
本発明のスイッチ装置は、スイッチ操作部がスイッチ本体部に対する情報検出方向と交差する方向に操作された際に、スイッチ本体部に対するスイッチ操作部の移動を規制するロック機構を備えている。これにより、例えば、乗員がプルハンドルの使用時にスイッチ操作部に触れるなどして、スイッチ操作部が情報検出方向と交差する方向に操作された場合において、スイッチ操作部の移動を規制できる。つまり、スイッチ操作部の操作性を向上させるために、スイッチ装置をプルハンドル内部(車両内において手が届きやすい個所)に設置した場合において、プルハンドル内部に設置したことで懸念されるプルハンドル使用時におけるスイッチ操作部の誤操作を抑制できる。
【0008】
上記構成において、前記ロック機構は、前記スイッチ本体部又は前記スイッチ操作部のうち、いずれか一方に設けられた突部と、他方に設けられ前記突部が嵌合可能な凹部と、を備え、前記スイッチ操作部が前記情報検出方向と交差する方向であって、前記スイッチ本体部側に近づく方向に操作された際に、前記突部が前記凹部に嵌合することで、前記スイッチ本体部に対する前記スイッチ操作部の移動を規制する構成であるものとすることができる。
【0009】
また、前記スイッチ本体部に対して回動可能に取り付けられた軸部材を備え、前記スイッチ操作部は、前記軸部材に対して、前記軸部材の延設方向と交差する平面上を面内移動可能に取り付けられることで、前記スイッチ本体部に対して、回動可能及び面内移動可能に取り付けられているものとすることができる。このような構成とすれば、スイッチ操作部の回動及び面内移動に基づいて操作情報を検出可能とすることができる。つまり、回動及び面内移動の操作によって、スイッチ装置に接続される機器の操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誤操作を抑制できるスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置が取り付けられた車両用ドアを示す斜視図。
【図2】図1のスイッチ装置を車両前方側から見た断面図(図1のA−A線で切断した図)。
【図3】図2のスイッチ装置において、突部が凹部に嵌合した状態を示す断面図。
【図4】図1のスイッチ装置を示す分解斜視図。
【図5】図1のスイッチ装置を示す平面図。
【図6】平面視において図1のスイッチ装置の内部構造を示す断面図。
【図7】側面視においてスイッチ操作部の内部構造を示す断面図(図5のB−B線で切断した図)。
【図8】図7において、スイッチ操作部側の接点形成箇所を拡大して示す拡大図。
【図9】図8において、スイッチ操作部を上方に操作した状態を示す拡大図。
【図10】スイッチ操作部内の回動伝達部材を示す断面図(図11のD−D線で切断した図)。
【図11】スイッチ装置の内部構造を示す断面図(図5のE−E線で切断した図)。
【図12】スイッチ本体部の内部構造を示す断面図(図5のF−F線で切断した図)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図1ないし図12によって説明する。各図面の一部にはX軸、Y軸、Z軸が図示されており、X軸方向が車両前後方向、Y軸方向が車室内側及び車室外側、Z軸方向が高さ方向にそれぞれ対応している。なお、図2における左側が車室外側、右側が車室内側である。また、図5における左側が車両前側、右側が車両後側に対応している。本実施形態のスイッチ装置30は、車両用ドア10を構成するドアトリム11に設置されるもので、車内に設置された各種機器(例えば車両シート、オーディオ機器、照明装置、エアコンなど)の操作を行うためのものである。
【0013】
ドアトリム11は、ドアインナパネル(図示せず)の車室内側に例えばクリップ(図示せず)などを介して、取り付けられている。ドアトリム11は、合成樹脂材料、あるいは、合成樹脂材料に天然繊維(ケナフなど)を混合した材料等によって形成されている。
【0014】
ドアトリム11は、トリムボード12と、トリムボード12に装着されたオーナメント14とを備えている。トリムボード12及びオーナメント14における車室内側面の一部(または全面)には、例えば、牛革等の獣皮(本革)で形成された表皮材12Aが被覆されている。なお、表皮材12Aとしては、合成樹脂製のシート、織布、不織布などを用いることも可能である。
【0015】
ドアトリム11には、図1に示すように、スピーカ16、ドアポケット18、アームレスト20などが設けられている。アームレスト20は合成樹脂等によって形成され、トリムボード12の車室内側に張り出す形で配されている。アームレスト20の上面は、その一部が上方に開口されており、その開口部分にはプルハンドル21が装着されている。
【0016】
本実施形態のスイッチ装置30は、プルハンドル21の内部に設置されている。スイッチ装置30は、図4に示すように、スイッチ本体部40と、スイッチ操作部60と、スイッチ本体部40及びスイッチ操作部60を連結する軸部材80とを備えている。スイッチ本体部40は、図4に示すように車両前後方向(X軸方向)に長い箱形状をなしている。
【0017】
スイッチ本体部40は、プルハンドル21を構成する壁部のうち、トリムボード12(車両用ドア10)と対向する対向壁部21Aに、図示しない取付手段(例えばビス止めなど)によって取り付けられている。なお、プルハンドル21は、アームレスト20と一体部品で構成されていてもよい(この場合、図2で示すアームレスト20の上壁部20Aがプルハンドル21の一部を構成することとなる)。つまり、ここで言う「プルハンドル」とは、アームレスト20の上面に形成された開口部分のことである。なお、スイッチ本体部40の取付箇所については、対向壁部21Aに限定されず、プルハンドル21を構成する壁部のうち、車両用ドア10と対向する壁部であればよい。例えば、スイッチ本体部40を、図2で示すアームレスト20の上壁部20Aに取り付ける構成としてもよい。
【0018】
スイッチ操作部60は、乗員がこれを把持して、スイッチ本体部40に対して移動させる操作をすることで、車室内に配された機器の操作を行うものである(詳しくは後述)。スイッチ操作部60は、図4又は図5に示すように、長手状をなしており、その長手方向が車両前後方向(X軸方向、図5の左右方向)に一致する形でスイッチ本体部40に取り付けられている。
【0019】
スイッチ操作部60の形状について詳しく説明すると、スイッチ操作部60は、図7に示すように車両前側(図7の左側)に向かうにつれて、上下方向(Z軸方向)の長さが小さくなる形状をなしている。スイッチ操作部60は、図6に示すように、スイッチ本体部40側に開口された外周壁部60Eと、当該外周壁部60Eの開口部分をスイッチ本体部40側から覆う形で配された側壁部60Aとを備えている。なお、側壁部60Aは、例えば、ねじ60Fなどの締結手段によって、外周壁部60Eに取り付けられている(図4参照)。
【0020】
スイッチ操作部60の外周壁部60Eにおいて、車両前方の部分には、図7に示すように、前方に突き出す先端部61が設けられている。その先端部61の表面は、断面視において、連続する略三角波形状(ギザギザの形状)をなしており、操作者(乗員)が把持しやすい形状となっている。
【0021】
スイッチ操作部60は、図4及び図6に示すように、軸部材80を介してスイッチ本体部40に取り付けられている。軸部材80は、Y軸方向に延びる円柱形状をなしており、スイッチ本体部40に対してY軸周りに回動可能に取り付けられている(詳しくは後述)。また、スイッチ操作部60は、軸部材80に対して、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動可能(軸部材80の延設方向(Y軸方向)と交差するXZ平面上を面内移動可能)に取り付けられている。つまり、スイッチ操作部60は、スイッチ本体部40に対して、XZ平面上を面内移動可能かつ、軸部材80を回転中心としてY軸周りに回動可能に取り付けられている。
【0022】
次に、スイッチ本体部40、軸部材80、スイッチ操作部60の取付構造について詳しく説明する。図6に示すように、スイッチ本体部40において、スイッチ操作部60と対向する側壁部40Aには、貫通孔40Bが形成されている。また、スイッチ操作部60において、スイッチ本体部40と対向する側壁部60Aには貫通孔60Bが形成されている。そして、軸部材80の延設方向(Y軸方向)における一端側はスイッチ本体部40の貫通孔40Bに挿入され、他端側がスイッチ操作部60の貫通孔60Bに挿入されている。
【0023】
図6に示すように、軸部材80は、Y軸方向における中央部付近で支持部材41を介して、スイッチ本体部40に取り付けられている。この支持部材41は、軸部材80の全周を囲む形で形成されている。この支持部材41によって、軸部材80は、Y軸(軸部材80の軸方向)を中心として回動可能かつ、Y軸方向(スイッチ本体部40に対して接近及び離間する方向)に移動可能に取り付けられており、さらには、XZ平面上の移動が規制された状態で取り付けられている。このような支持部材41としては、例えば、ベアリングなどを例示できる。なお、支持部材41は、軸部材80をY軸を中心として回動可能かつ、Y軸方向に移動可能に取り付けることができるものであればよく、ベアリング以外のものを用いてもよい。
【0024】
また、軸部材80におけるスイッチ本体部40側の端部には、軸部材80の径方向外側に突出する形で嵌合リブ81が形成されている。嵌合リブ81は、周方向における2箇所に形成されており、2つの嵌合リブ81は、軸部材80の軸中心に対して180度対称となる位置に配されている(図12参照)。
【0025】
スイッチ本体部40内には、図6及び図12に示すように、X軸方向に長い形状をなす本体部側接点部材42が配されている。本体部側接点部材42のX軸方向における中央部分には、Y軸方向に貫通する形で挿通孔42Aが形成されている。挿通孔42Aは、両嵌合リブ81及び軸部材80が挿通されるもので、軸部材80の両嵌合リブ81が嵌合可能な形状をなしている。これにより、軸部材80がZ軸を中心として回動すると、本体部側接点部材42は、軸部材80の回動軸と同軸で回動する構成となっている。
【0026】
図12に示すように、本体部側接点部材42の下面において、X軸方向における両端部には、それぞれ可動側接点42Bが形成されている。一方、スイッチ本体部40内において、車両前後方向に延びる支持板43上には、各支持台45が設置されており、各支持台45の上面部には各可動側接点42Bと向かい合う形で固定側接点45Bがそれぞれ形成されている。
【0027】
スイッチ操作部60が操作されていない初期状態(図7、図12の状態)では、本体部側接点部材42は水平な状態(X軸に沿った状態)となっており、各可動側接点42Bと各固定側接点45Bとが非接触となっている。また、本体部側接点部材42の上面において、X軸方向における両端部(可動側接点42Bの形成箇所の上方)は、それぞれ、各端部に向かうにつれて下降傾斜する下降傾斜面42Dとされる。各下降傾斜面42Dと、スイッチ本体部40の上壁部40Dとの間には、ばね部材46がそれぞれ配されている。
【0028】
各ばね部材46は、本体部側接点部材42が水平な状態において、長さが自然長よりも短くなる状態(又は自然長と同じ長さでもよい)で配されている。また、スイッチ本体部40の上壁部40D及び本体部側接点部材42の下降傾斜面42Dにおいては、各ばね部材46の周囲を囲む形で、位置決めリブ46Aが形成されている。各位置決めリブ46A内に各ばね部材46が配されることで、各ばね部材46の水平方向(XY方向)における位置決めがされる構成となっている。
【0029】
両ばね部材46の自然長及びばね定数は、例えば、同じ値で設定されている。また、各ばね部材46のX軸方向における軸部材80からの距離は、それぞれ同じ距離で設定されている。これにより、スイッチ操作部60に力が作用していない状態(初期状態)においては、両ばね部材46から本体部側接点部材42へ作用する下方への押圧力が等しくなる。その結果、各ばね部材46から本体部側接点部材42に作用する軸部材80周りの回転モーメントが等しくなり、本体部側接点部材42が水平な状態で保持される構成となっている。つまり、両ばね部材46は、本体部側接点部材42を水平な状態で保持させる機能を担っている。
【0030】
以上の構成によって、本体部側接点部材42が水平な状態から、乗員によって、スイッチ操作部60(ひいては軸部材80)が、図12における時計周り(図12のR1で示す方向)に回動された場合は、本体部側接点部材42は、右側が低い状態となる形で回動し、この結果、右側の可動側接点42Bと固定側接点45Bとが接触する(電気的に接続される)構成となっている。
【0031】
これと同時に左側のばね部材46が縮み、右側のばね部材46は自然長より伸びる(なお、右側のばね部材46が水平状態において自然長で配されている場合は、自然長のままとなる)。そして、乗員がスイッチ操作部60から手を離すと、左側のばね部材46が弾性復帰する結果、本体部側接点部材42が水平な状態に復帰する(可動側接点42Bと固定側接点45Bとが非接触な状態)。
【0032】
また、本体部側接点部材42が水平な状態から、軸部材80(ひいてはスイッチ操作部60)が図12における反時計周り(図12のR2で示す方向)に回動した場合は、左側の可動側接点42Bと固定側接点45Bとが接触し、乗員がスイッチ操作部60から手を離すと、本体部側接点部材42が水平な状態に復帰する構成となっている。
【0033】
次に、軸部材80と、スイッチ操作部60との取付構造について説明をする。図6及び図11に示すように、軸部材80においてスイッチ操作部60側の端部には、軸側接点形成部材83が外挿されている。軸側接点形成部材83は、図7及び図8に示すように、側面視において、略十字状をなしており、具体的には、円形状をなす本体部83Aと、本体部83Aの周端から、図8の上下左右の4方向(X軸及びZ軸方向)に向かって、それぞれ突出する突出部83Bとを有する。そして、各突出部83Bの突出端からは、軸側接点83Dが突き出す形でそれぞれ形成されている。なお、軸側接点83Dは、先端部が半球状をなしている。
【0034】
スイッチ操作部60の内部において、スイッチ操作部60における側壁部60A(スイッチ本体部40と対向する側壁部)には、図7に示すように、断面視方形状をなす操作部側接点形成部材62が取り付けられている。操作部側接点形成部材62には、側面視において、貫通孔60Bと重なる位置を貫通する形で、貫通孔62Aが形成されている。貫通孔62Aは、図7に示すように、軸側接点形成部材83をその内部に収容可能な略円形状をなしている。
【0035】
そして、貫通孔62Aを構成する内周壁には、図8の上下左右方向にそれぞれ凹ませる形で溝部62Bがそれぞれ形成されている。各軸側接点83Dは各溝部62B内にそれぞれ配されている。そして各溝部62Bの奥壁には、操作部側接点62Dがそれぞれ形成されている。
【0036】
各軸側接点83Dには、ばね部材83Eがそれぞれ外挿されている。各ばね部材83Eは、一端側で突出部83Bの突出端に、他端側で溝部62Bの奥壁に当接している。これにより、乗員(操作者)が上下左右方向に固定されている軸部材80に対して、スイッチ操作部60を上下左右のいずれかに操作すると、図9に示すように、各ばね部材83Eのうち、スイッチ操作部60の操作方向と反対側のばね部材83Eを縮ませつつ、軸側接点83Dが対応する操作部側接点62Dに接触する構成となっている。例えば、図9に示すように、軸部材80に対して、スイッチ操作部60を上方に操作すると、下側のばね部材83Eを縮ませつつ、下側の軸側接点83Dが対向する操作部側接点62Dに接触する構成となっている。
【0037】
そして、乗員がスイッチ操作部60から手を離すなどして、スイッチ操作部60への操作力が解除されると、縮んだばね部材83Eが弾性復帰し、軸側接点形成部材83が初期位置(言い換えると、各軸側接点83Dと各操作部側接点62Dとがいずれも非接触となる位置)に復帰する構成となっている。つまり、各ばね部材83Eは、スイッチ操作部60を初期位置(貫通孔62Aの中心と軸部材80の中心とが側面視において重なる位置)側へ付勢する付勢手段である。
【0038】
図6に示すように、軸部材80において、軸側接点形成部材83よりもスイッチ本体部40側となる位置には、回動伝達部材84が外挿されている。回動伝達部材84は、図10に示すように、側面視において、略十字状をなしており、具体的には、円形状をなす本体部84Aと、本体部84Aの周端から、図7の上下左右の4方向にそれぞれ突出する突出部84Bとを備えている。
【0039】
図10に示すように、スイッチ操作部60において、側面視における回動伝達部材84の周囲には、側壁部60Aに取り付けられた壁部60Dが配されている。この壁部60Dには、回動伝達部材84の形状に対応した伝達部材嵌合孔63が、軸部材80の軸方向(Y軸方向)に貫通する形で形成されている。
【0040】
伝達部材嵌合孔63は、円形状をなす本体部63Aと、本体部63Aの内周面を、図10の上下左右の4方向にそれぞれ凹ませる形で形成された凹部63Bとから構成されている。各突出部84Bは、各凹部63Bにそれぞれ嵌合する形で配されている。このような構成とすることで、軸部材80に対してスイッチ操作部60(ひいては壁部60D)が回動した際には、各凹部63Bの内面が各突出部84Bの外面に当接し、軸部材80を軸方向に回動させる構成となっている。つまり、回動伝達部材84は、スイッチ操作部60が回動された際に、その回動を軸部材80に伝達する機能を担っている。
【0041】
これにより、乗員がスイッチ操作部60を回動することで、回動伝達部材84を介して、軸部材80が回動する。そして軸部材80が回動することで、上述したように本体部側接点部材42が回動し、回動方向に対応した可動側接点42Bと固定側接点45Bとが接触する構成となっている。
【0042】
なお、伝達部材嵌合孔63の本体部63Aの径は、図10に示すように、回動伝達部材84の本体部84Aの径よりも大きく設定されており、本体部84Aは本体部63Aの内周面との間に隙間を有している。また、突出部84Bは凹部63Bとの間に隙間を有している。これらの隙間の分だけ、軸部材80に対するスイッチ操作部60の上下左右方向(軸部材80の延設方向と交差する平面上)の移動が許容される構成となっている。なお、軸部材80、軸側接点形成部材83、回動伝達部材84は一体部品として形成されていてもよい。
【0043】
図7に示すように、スイッチ操作部60の外周壁部60Eにおける上部において、車両前方側の箇所には、円柱状の操作部67が回動軸67Aを介して回動可能に取り付けられている。操作部67は、図5に示すように、外周面の一部が外周壁部60Eの外部に露出する形で取り付けられており、操作者が回動させることが可能となっている。スイッチ操作部60は、3本の検出ピン68Aを有するセンサ部68を備えており、例えば、各検出ピン68Aが操作部67と電気的に接触することで、操作部67の回転量及び回転方向を検出する構成となっている。
【0044】
次に、本実施形態のスイッチ装置30における電気的構成について説明する。スイッチ本体部40内には、図示しない制御回路基板が収容されている。スイッチ操作部60の各操作部側接点62Dは、制御回路基板と電気的に接続されている。これにより、スイッチ操作部60の各操作部側接点62Dが対応する各軸側接点83Dに接触することで、各操作部側接点62Dに対応した電気信号が制御回路基板に伝達される構成となっている。つまり、各操作部側接点62D及び各軸側接点83Dによって、スイッチ操作部60がX軸方向又はZ軸方向(図7の上下左右方向)へ操作されたという操作情報(スイッチ操作部60の移動に基づいた操作情報)を検出可能となっており、X軸方向及びZ軸方向はスイッチ装置30における情報検出方向の一例である。
【0045】
例えば、図9で示すように、スイッチ操作部60が軸部材80(ひいては、スイッチ本体部40)に対して、上方に移動操作された場合は、下側の軸側接点83Dと、下側の操作部側接点62Dとが接触し、これに対応した電気信号が制御回路基板に伝達される。これにより、スイッチ操作部60が上方へ操作されたという操作情報を検出可能となっている。
【0046】
スイッチ本体部40の固定側接点45Bは、制御回路基板と電気的に接続されており、各固定側接点45Bに各可動側接点42Bが接触した場合に、これに対応した電気信号が制御回路基板に伝達される構成となっている。これにより、スイッチ操作部60がY軸周りに回動操作されたという操作情報(スイッチ操作部60の移動に基づいた操作情報)を検出可能となっている。つまり、Y軸周りの各回動方向(図12において矢印R1又はR2で示す)は、スイッチ装置30における情報検出方向の一例である。
【0047】
また、スイッチ操作部60のセンサ部68は、制御回路基板と電気的に接続されており、操作部67の回動方向及び回動量などの操作情報に基づいた電気信号が、スイッチ本体部40内の制御回路基板に伝達される構成となっている。
【0048】
そして、制御回路基板は、車内に設置された各種機器(図示せず)と電気的に接続されており、スイッチ操作部60の操作情報に基づいて、各種機器を操作可能な構成となっている。本実施形態では、図7に示す初期状態を基準として、スイッチ操作部60の先端部61が上方を向く方向にスイッチ操作部60を回動させることで、例えば、ウインドウガラス(図示せず)を上昇させることができ、先端部61が下方を向く方向にスイッチ操作部60を回動させることで、ウインドウガラスを下降させることができる。
【0049】
また、スイッチ操作部60の操作部67の回動操作及び、スイッチ操作部60のZ軸方向及びX軸方向への操作によって、車両シートの後面などに設置されたモニタ(図示せず)に表示される表示情報(メニュー画面)を参照しつつ、各種機器を操作することができる。各種機器の操作の一例としては、車両シートの位置及び角度の調整や、オーディオ機器や照明装置、エアコンなどの操作などを例示することができる。なお、スイッチ操作部60の操作によって操作される各種機器は上記のものに限定されない。
【0050】
具体的に説明すると、操作部67を回動操作することで、どの機器を操作するかの選択を行うことができる。また、スイッチ操作部60を、X軸方向(左右方向)に操作することで、各機器に設定された操作項目(例えば車両シートであれば、シートの位置調整やシートの角度調整などの各項目)の選択を行うことができる。
【0051】
そして、各項目を選択後、スイッチ操作部60をZ軸方向(図7の上下方向)に操作することで、選択された操作項目におけるパラメータ(例えば、シートの角度調整であればシートの傾斜角度)の調整などを行うことができる。なお、ここで例示したスイッチ操作部60による各種機器の操作は一例であって、スイッチ操作部60の各方向への操作をどの機器の操作に割り当てるかは、適宜変更可能である。
【0052】
次に、本実施形態のスイッチ装置30において、誤操作を抑制するために設けられたロック機構の構成及び作用について説明を行う。ロック機構は、図4に示すように、スイッチ操作部60の側壁部60Aに形成された突部65と、スイッチ本体部40の側壁部40A(側壁部60Aと対向する壁部)に形成された凹部47とを主体に構成されている。
【0053】
突部65は、スイッチ本体部40の側壁部40A側に突出し、車両前後方向に延びる長手状をなしている。凹部47は、突部65と対向する箇所に形成された車両前後方向に延びる長手状をなし、突部65と嵌合可能な構成となっている。図5に示すように、スイッチ本体部40とスイッチ操作部60とは、初期状態においては、Y軸方向において隙間を空けて配されており、突部65が凹部47から離脱した状態で配されている。
【0054】
上述したように軸部材80は、スイッチ本体部40に対して接近及び離間する方向(図11の左右方向)に移動可能に取り付けられている。図6及び図11に示すように、軸部材80において、スイッチ本体部40側の端部には、ばね部材82が外挿されている。ばね部材82は、その一端部が、軸部材80の両嵌合リブ81に当接し、他端部が側壁部40E(側壁部40Aとは反対側の側壁部)の内面に当接する形で配されている。なお、側壁部40Eには、ばね部材82の周囲を囲む形で、位置決めリブ48が形成されている。位置決めリブ48内にばね部材46が配されることで、ばね部材46のZX平面における移動が規制(位置決め)される構成となっている。
【0055】
次に、本実施形態のスイッチ装置30において、ロック機構の作用及び効果について説明する。ここでは、乗員が車両用ドア10を閉じる動作を行う場合に起こり得る作用を例示する。乗員が車両内側からプルハンドル21内に手を差し入れ、車両用ドア10を車室内側に引っ張る際には、乗員の手がスイッチ操作部60に触れ、スイッチ操作部60がスイッチ本体部40側(Y軸方向においてスイッチ本体部40に近づく方向、情報検出方向と交差する方向)に押圧(操作)される場合がある。
【0056】
スイッチ操作部60がスイッチ本体部40側に押圧されると、図6に示す初期状態から、スイッチ操作部60及び軸部材80がスイッチ本体部40側に移動する。すると、突部65が凹部47に嵌合する(図3の状態)。なお、この時、ばね部材82は軸部材80及び側壁部40Eに押圧されることで自然長よりも縮んだ状態となる。
【0057】
突部65が凹部47に嵌合することで、スイッチ本体部40に対するスイッチ操作部60の回動及び上下左右方向の移動(XZ平面上の面内移動)が規制される。以上のことから、乗員がプルハンドル21の使用時にスイッチ操作部60に触れるなどして、スイッチ操作部60が情報検出方向と交差する方向に操作された場合において、スイッチ操作部の移動を規制できる。
【0058】
そして、乗員がスイッチ操作部60から手を離し、スイッチ操作部60の押圧が解除されると、縮んでいたばね部材82が弾性復帰することで、スイッチ操作部60は初期位置(図2、図6、図11の位置)に復帰する。つまり、ばね部材82は、スイッチ操作部60を初期位置(突部65が凹部47に嵌合していない位置)側へ付勢する付勢手段である。
【0059】
また、スイッチ操作部60はスイッチ本体部40に対して、回動及び面内移動可能に取り付けられている。このようにすれば、スイッチ操作部60の回動及び面内移動に基づいて操作情報を検出可能とすることができる。つまり、回動及び面内移動の操作によって、スイッチ装置30に接続される車内機器の操作を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態において、突部65及び凹部47は共に長手状(X軸方向に延びる形状)をなしている。このような形状とすれば、両部材が嵌合した際には、突部65の外面と凹部47の内面とが、少なくとも2箇所以上で互いに当接する。これにより、スイッチ操作部60の回動及び面内移動可能をより確実に規制できる。仮に突部65が円柱状などの場合、凹部47に嵌合した突部65を軸として、スイッチ操作部60が回動するおそれがあるが、本実施形態のように長手状とすれば、このような事態を抑制できる。
【0061】
また、本実施形態のスイッチ装置30は、プルハンドル21の内部に設置されている。このため、着座した状態の乗員においては、スイッチ操作部60に手を伸ばしやすく、操作性が良好なものとなる。その反面、手を伸ばしやすいプルハンドル21内部に設置したことで、乗員がスイッチ操作部60に触れてしまう事態が懸念される。この点、本実施形態においては、上述したロック機構を備えているので、誤操作を抑制でき、効果的である。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記実施形態においては、スイッチ操作部60の情報検出方向として、上下左右方向及び回動方向を例示したが、これらの方向に限定されない。
【0064】
(2)上記実施形態においては、情報検出方向と交差する方向として、Y軸方向を例示したが、これに限定されない。
【0065】
(3)上記実施形態においては、ロック機構として、突部65と凹部47とが嵌合する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ロック機構は、スイッチ操作部60がスイッチ本体部40に対して情報検出方向と交差する方向に操作されたことを検出するセンサ(例えば、静電センサや変位センサなど)と、このセンサからの検出信号を受けて、軸部材80の回動を規制する規制手段(例えば電磁ブレーキなど)を備えた構成としてもよい。
【0066】
(4)上記実施形態において、ばね部材46,82,83Eの代わりにゴムなどの弾性部材を用いることも可能である。
【0067】
(5)突部65をスイッチ本体部40に形成し、凹部47をスイッチ操作部60に形成する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…車両用ドア、21…プルハンドル、21A…対向壁部、30…スイッチ装置、40…スイッチ本体部、47…凹部(ロック機構)、60…スイッチ操作部、65…突部(ロック機構)、80…軸部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアに設けられたプルハンドルの内部に設置されるスイッチ装置であって、
前記プルハンドルを構成する壁部のうち、前記車両用ドアと対向する対向壁部に取り付けられるスイッチ本体部と、
前記スイッチ本体部に対して情報検出方向へ移動させる操作が可能な形で取り付けられ、前記情報検出方向への移動に基づいた操作情報を検出可能とされるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部が、前記スイッチ本体部に対して、前記情報検出方向と交差する方向に操作された際に、前記スイッチ本体部に対する前記スイッチ操作部の移動を規制するロック機構と、を備えることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記スイッチ本体部又は前記スイッチ操作部のうち、いずれか一方に設けられた突部と、他方に設けられ前記突部が嵌合可能な凹部と、を備え、
前記スイッチ操作部が前記情報検出方向と交差する方向であって、前記スイッチ本体部側に近づく方向に操作された際に、前記突部が前記凹部に嵌合することで、前記スイッチ本体部に対する前記スイッチ操作部の移動を規制する構成であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記スイッチ本体部に対して回動可能に取り付けられた軸部材を備え、
前記スイッチ操作部は、前記軸部材に対して、前記軸部材の延設方向と交差する平面上を面内移動可能に取り付けられることで、前記スイッチ本体部に対して、回動可能及び面内移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項1】
車両用ドアに設けられたプルハンドルの内部に設置されるスイッチ装置であって、
前記プルハンドルを構成する壁部のうち、前記車両用ドアと対向する対向壁部に取り付けられるスイッチ本体部と、
前記スイッチ本体部に対して情報検出方向へ移動させる操作が可能な形で取り付けられ、前記情報検出方向への移動に基づいた操作情報を検出可能とされるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部が、前記スイッチ本体部に対して、前記情報検出方向と交差する方向に操作された際に、前記スイッチ本体部に対する前記スイッチ操作部の移動を規制するロック機構と、を備えることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記スイッチ本体部又は前記スイッチ操作部のうち、いずれか一方に設けられた突部と、他方に設けられ前記突部が嵌合可能な凹部と、を備え、
前記スイッチ操作部が前記情報検出方向と交差する方向であって、前記スイッチ本体部側に近づく方向に操作された際に、前記突部が前記凹部に嵌合することで、前記スイッチ本体部に対する前記スイッチ操作部の移動を規制する構成であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記スイッチ本体部に対して回動可能に取り付けられた軸部材を備え、
前記スイッチ操作部は、前記軸部材に対して、前記軸部材の延設方向と交差する平面上を面内移動可能に取り付けられることで、前記スイッチ本体部に対して、回動可能及び面内移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−233350(P2011−233350A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102349(P2010−102349)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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