説明

スイッチ装置

【課題】良好な操作感を得られるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置は、基板45に配置されたタクトスイッチ46と、押圧操作可能に収容部に取り付けられた操作ボタン10との間に、タクトスイッチ46が対応する箇所が開放された蓋部43が介在され、蓋部43の表面に弾性部材44が取り付けられ、操作ボタン10を弾性部材44ごと押圧操作することによりタクトスイッチ46がオン操作され、押圧操作が解消されると、弾性部材44の反力により操作ボタン10が操作前の初期位置に復帰してタクトスイッチ46がオフ操作される。スイッチ装置は、弾性部材44の表面には、裏面に蓋部43が存在する部分に、操作ボタン10を支持する突起部48を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、押圧操作によってスイッチ部材がオン操作するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアロック等を操作するリモコンキーやその他制御対象を操作する機器には、押圧操作によりスイッチ接点の状態を切り換えるスイッチ装置が設けられている。特に、リモコンキーのような電子キーには、ボタンを押圧操作することで接点をオンするプッシュスイッチタイプのスイッチ装置が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。なお、スイッチは、押圧操作を検出できるものであればよく、例えばタクトスイッチや特許文献1のような固定接点と可動接点とによるものでよい。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のスイッチ装置は、図14に示されるように、基板53上に搭載されたスイッチ部材54(スイッチ接点)が設けられている。スイッチ部材54の上方には、例えばゴム製の操作部55が設けられている。また、ケース50の開口部51には、ボタン52が押圧操作可能に取り付けられている。このスイッチ装置では、ボタン52が操作部55に対して1箇所でのみ支持された1点支持構造をとっている。
【0004】
このスイッチ装置では、ボタン52に操作部55側(下方)へ突出した押子56と呼ばれる突出部(接触部)が形成されている。なお、操作部にボタン側(上方)へ突出した突出部(接触部)を形成して、押子と同様に一部で接触するようにしてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−181791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のスイッチ装置では、ボタン(操作体)を押圧操作した際に、操作体が接触部を中心にして左右へぐらつくことがあり、押圧時の操作感が悪くなるおそれがあった。また、操作体を押圧する際に、始めのうちは押圧力に対して操作反力の増加が少ないため、最初の操作力が直ぐに操作体の動きに連動せず、ある程度押圧力が増加して操作反力の増加が大きくなると、ようやく操作部が下方に移動する動きをとる。このため、押圧時の操作感が一定ではなく、操作感が悪くなるおそれがあった。なお、操作体に押子がなく、操作体が樹脂部材の一部で支持されたスイッチ装置においても同様の課題があった。そこで、良好な操作感を得られるスイッチ装置が求められていた。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な操作感を得ることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、基板に配置されたスイッチ部材と、押圧操作可能にケースに取り付けられた操作体との間に、前記スイッチ部材が対応する箇所が開放された非可動部材が介在され、当該非可動部材の表面に弾性部材が取り付けられ、前記操作体を前記弾性部材ごと押圧操作することにより前記スイッチ部材がオン操作され、当該押圧操作が解消されると、前記弾性部材の反力により前記操作体が操作前の初期位置に復帰して前記スイッチ部材がオフ操作されるスイッチ装置において、前記弾性部材の表面には、裏面に前記非可動部材が存在する部分に、前記操作体を支持する突起部を形成したことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、弾性部材に突起部を形成したので、操作体が突起部に支持されることで1点支持でなくなりなり、操作体を押圧操作する際に操作体がぐらつくことを抑制することが可能となる。また、操作体の押圧操作時に弾性部材からの反力を常に得ることが可能となるので、操作感を従来よりも向上させることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記突起部は、前記スイッチ部材に対して少なくとも一対形成されていることをその要旨としている。
同構成によれば、突起部がスイッチ部材に対して少なくとも一対形成されるので、操作体を支持する部位が多くなり、操作体を押圧操作した際に操作体がぐらつくことを一層抑制することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスイッチ装置において、前記突起部は、前記操作体が押圧操作されていないとき、当該操作体に当接しつつ、圧縮した状態で取り付けられていることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、操作体が押圧されていない状態において突起部が操作体に当接して圧縮されているので、操作体を押圧操作した際に始めから十分な反力を得ることが可能となる。よって、操作感をより安定させることが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、前記弾性部材において前記スイッチ部材に対向する位置には、前記操作体側へ突出するドーム状の膨出部が形成されることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、スイッチ部材に対向する位置の弾性部材にドーム形状の膨出部を形成したので、操作体が押圧操作された際に操作体が膨出部に沈み込む。よって、操作荷重が吸収されるので、操作感覚を向上させることが可能となる。また、操作体が膨出部を凹ませると、膨出部によって上方への反力が発生するので、操作体を効果的に押し上げ支持することが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、前記突起部は、前記操作体の縁に対向する位置に形成したことをその要旨としている。
同構成によれば、操作体の縁に対向する位置に突起部が形成される。ところで、操作体を支持する箇所は離れた場所に位置するほうが安定するので、操作体を弾性部材によって、より安定して支持することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、前記非可動部材として硬質樹脂からなる支持部材が設けられ、前記支持部材における前記スイッチ部材の上方には、孔状の開口部が形成され、前記弾性部材は、前記開口部を覆うように配置されていることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、硬質樹脂からなる支持部材が弾性部材を支持するとともに、スイッチ部材の上方を弾性部材が覆うので、操作体の押圧操作による操作荷重がスイッチ部材や基板に印加されることを防止することが可能となる。また、操作体への押圧操作は弾性部材が受けるので、操作感覚は向上しながら、弾性部材を確実に支持することが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、前記突起部は、前記操作体の押圧方向に広がるテーパ状に形成され、前記突起部の根元には、前記押圧方向に広がるフィレットが形成されていることをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、突起部はテーパ状に形成されるとともに根元にフィレットが形成されているので、突起部が操作体の押圧操作によって折れ曲がることが抑制され、操作体の押圧操作によって好適に圧縮して、反力を発生させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スイッチ装置において、良好な操作感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電子キーシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】リモコンキーの操作部を示す正面図。
【図3】リモコンキーの操作部の分解斜視図。
【図4】送信モジュールの構成部品を示す分解斜視図。
【図5】送信モジュールを示す正面図。
【図6】(a)送信モジュールのD−D断面図、(b)送信モジュールのE−E断面図。
【図7】(a)操作部のA−A断面図、(b)操作部のB−B断面図。
【図8】送信モジュールのF−F断面図。
【図9】操作部のC−C断面図。
【図10】ボタン操作時を示す操作部のA−A断面図。
【図11】操作移動量と操作荷重との関係を示す図。
【図12】ボタン操作時を示す操作部のB−B断面図。
【図13】ボタン操作時を示す操作部のC−C断面図。
【図14】従来の操作部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を車両の電子キーシステムに用いるワイヤレスリモコンキーに具体化した一実施形態について図1〜図13を参照して説明する。
図1に示されるように、車両2には、リモコンキー1のボタン操作で車両2に無線で操作信号Ssaを発信してドアロックの解錠又は施錠等が実行されるワイヤレスキーシステム3が設けられている。本実施形態のリモコンキー1は、メカニカルキーの把持部に複数の操作ボタン10が設けられている。リモコンキー1は、ドアロックの施解錠操作以外にトランクの解錠操作や強盗に襲われた際に音と光とで威嚇する威嚇操作が可能である。
【0023】
ワイヤレスキーシステム3に用いるリモコンキー1には、コントロールユニットとして通信制御部11が設けられている。通信制御部11には、リモコンキー1が持つ固有のキーコードとしてIDコードが登録されたメモリ11aが設けられている。通信制御部11には、通信制御部11の指令に従いUHF(Ultra High Frequency)帯の電波(約312MHz)を送信可能なUHF送信部12が接続されている。
【0024】
リモコンキー1には、押しボタン式の車両2のドアロックを施錠させる施錠ボタン13と、車両2のドアロックを解錠させる解錠ボタン14と、車両2のトランクを解錠させるとトランクボタン15と、強盗等から身を守るために音と光とによって威嚇するパニックボタン16とが設けられている。施錠ボタン13、解錠ボタン14、トランクボタン15、及びパニックボタン16は、通信制御部11に接続されている。UHF送信部12は、通信制御部11から得た通信データを変調し、リモコンキー1が持つ固有のIDコードと、操作情報との含まれたUHF帯の操作信号Ssaを送信する。
【0025】
一方、車両2には、ワイヤレスキーシステム3の制御を行う制御装置21が設けられている。制御装置21には、車体等に埋設されてUHF帯の無線信号を受信可能なUHF受信機22が接続されている。制御装置21には、ドアロックの施解錠を行うドアロック装置23と、トランクの施解錠を行うトランクロック装置24と、警告音を発するホーン25と、ハザードランプ26とが接続されている。制御装置21は、リモコンキー1から送信された無線信号を受信して、自身のメモリ21aに登録されたIDコードを照らし合わせてID照合を行う。なお、ハザードランプ26は、左右のターンランプのことであり、全てのターンランプを同時に点滅させて使用する。
【0026】
通信制御部11は、施錠ボタン13が単押操作された際には、UHF送信部12からドアロック施錠情報を含む操作信号Ssaを送信する。制御装置21は、UHF受信機22でドアロック施錠情報を含む操作信号Ssaを受信すると、自身のメモリ21aに登録されたIDコードとリモコンキー1のIDコードとを照らし合わせてID照合を行う。そして、制御装置21は、ID照合成立を確認すると、ドアロック装置23にドアロックの施錠指令を出力し、ドアロックを施錠させる。
【0027】
また、通信制御部11は、解錠ボタン14が単押操作された際にはドアロック解錠情報を含む操作信号Ssaを送信し、トランクボタン15が長押操作された際にはトランクロック解錠情報を含む操作信号Ssaを送信し、パニックボタンが長押操作された際にはパニック情報を含む操作信号Ssaを送信する。そして、制御装置21は、ID照合が成立すると、操作信号Ssaに含まれる操作情報に基づいてドアロック装置23やトランクロック装置24、ホーン25、ハザードランプ26等を制御する。
【0028】
次に、リモコンキー1の構造について図2〜図5を参照して説明する。
図2に示されるように、リモコンキー1には、機械的に車両2のドアロックを解錠する際に使用するキープレート(メカニカルキー)17が設けられている。リモコンキー1には、同リモコンキー1の把持部として操作部30が設けられている。操作部30には、車両2を操作する際に操作する操作ボタン10として施錠ボタン13、解錠ボタン14、トランクボタン15、及びパニックボタン16が設けられている。操作部30には、丸みを帯びた略直方体形状の筐体31が設けられている。なお、施錠ボタン13、解錠ボタン14、トランクボタン15、及びパニックボタン16が操作体に相当する。
【0029】
施錠ボタン13、解錠ボタン14、トランクボタン15、及びパニックボタン16は、筐体31に露出して設けられ、押圧操作することでスイッチをオン操作可能である。各操作ボタン10は、キープレート17側から遠ざかる方向へ施錠ボタン13、解錠ボタン14の順で並んで、トランクボタン15とパニックボタン16とが幅方向へ並んで搭載されている。各操作ボタン10の表面には、操作によって制御可能な制御対象を表すマークが形成されている。なお、筐体31がケースに相当する。
【0030】
図3に示されるように、筐体31は、下方が開口した上側ケース32と、上方が開口した下側ケース33との2分割構造をとる。上側ケース32には、施錠ボタン13、解錠ボタン14、トランクボタン15、及びパニックボタン16の各操作ボタン10を外部へ露出させる開口部34が形成されている。各操作ボタン10は、上側ケース32の内側から設置されている。また、各操作ボタン10の外形が開口部34よりも大きく形成されているので、各操作ボタン10は、開口部34から抜け落ちないようになっている。
【0031】
また、操作部30内には、施錠ボタン13、解錠ボタン14、トランクボタン15、及びパニックボタン16への操作を検出して、操作信号Ssaを送信する送信モジュール40が収容されている。送信モジュール40は、防水加工が施されたモジュールであって、図示しない裏側の電池蓋のみ着脱可能となっている。本実施例のスイッチ装置は、施錠ボタン13、解錠ボタン14、トランクボタン15、及びパニックボタン16の各操作ボタン10と、送信モジュール40の各操作ボタン10を支持する支持部分と各操作ボタン10への操作を検出する検出部分とから構成されている。
【0032】
図4及び図5に示されるように、送信モジュール40は、電子部品を収容する箱状の硬質樹脂からなる収容部41と、同収容部41の開口部43aを閉蓋する平面状の弾性部材44とから構成されている。収容部41は、上下2分割構造であって、片側有底状の本体部42と、本体部42を閉蓋する蓋部43とからなる。蓋部43には、弾性部材44が配置される位置に開口部43aが形成されている。また、収容部41が硬質樹脂により形成されているため、蓋部43自体も硬質樹脂からなる。
【0033】
弾性部材44は、各操作ボタン10を支持するとともに、各操作ボタン10の押圧操作を伝達する。収容部41の蓋部43と弾性部材44とは、二色成形によって形成されている。なお、二色成形とは、異なる材質(材料)同士を組み合わせて一体に成形することである。すなわち、二色成形は、一次側となる部分を成形してから同一金型内で二次側となる部分を一次側と一体で成形させる成形方法である。収容部41は、本体部42と蓋部43とがレーザ溶着によって密着されている。よって、送信モジュール40は、二色成形とレーザ溶着によって構成部材が密着されているので内部に水等が浸入しない防水構造となっている。なお、蓋部43が非可動部材として機能する。
【0034】
続いて、各操作ボタン10のスイッチ装置の構造について図6〜図9を参照して説明する。
まず、施錠ボタン13及び解錠ボタン14の各スイッチ装置について説明する。図6(a)及び図6(b)に示されるように、硬質樹脂で形成された収容部41内には、基板45が設置されている。同基板45の上面には、施錠ボタン13(解錠ボタン14)への押圧操作を検出するスイッチ部材としてのタクトスイッチ46が搭載されている。そして、このタクトスイッチ46の上方には、タクトスイッチ46を覆うように収容部41と一体に成形された弾性部材44が配置されている。弾性部材44は、収容部41に支持されている。
【0035】
弾性部材44のタクトスイッチ46と対向する部分には、上方へ膨らんだドーム状の膨出部47が形成されている。膨出部47は、施錠ボタン13(解錠ボタン14)が押圧操作された際に、反力を発生させるばねとして機能する。膨出部47の左右両側の裏面に収容部41の蓋部43が存在する位置には、上方へ突出した一対の突起部48が形成されている。突起部48は、膨出部47の先端よりも上に突出して形成されている。
【0036】
図4に示されるように、突起部48は、施錠ボタン13(解錠ボタン14)の押圧方向である下方に広がるテーパ状に形成されている。また、突起部48の根元48aには、施錠ボタン13(解錠ボタン14)の押圧方向である下方ほどさらに広がるフィレットが形成されている。
【0037】
図7(a)及び図7(b)に示されるように、施錠ボタン13(解錠ボタン14)の下面中央には、円柱状の突起部である押子18が形成されている。この押子18は、弾性部材44の膨出部47に当接して筐体31内に設置される。上側ケース32の開口部34に施錠ボタン13(解錠ボタン14)を内側から設置して、上側ケース32と下側ケース33との間に送信モジュール40を挟むことで、送信モジュール40が筐体31内に収容される。筐体31内に送信モジュール40が収容されると、施錠ボタン13(解錠ボタン14)の押子18と弾性部材44の膨出部47とが当接するとともに、弾性部材44の突起部48と施錠ボタン13(解錠ボタン14)の下面13a(14a)とが当接する。そして、操作ボタン10の押子18によって弾性部材44の膨出部47がタクトスイッチ46側へ押圧されるとともに、施錠ボタン13(解錠ボタン14)の下面13a(14a)によって弾性部材44の突起部48が圧縮されている。このとき、弾性部材44の膨出部47は、タクトスイッチ46に接触していない。
【0038】
続いて、トランクボタン15及びパニックボタン16の各スイッチ装置について説明する。図8に示されるように、施錠ボタン13及び解錠ボタン14の各スイッチ装置と同様に、収容部41内に設置された基板45の上面にトランクボタン15(パニックボタン16)への押圧操作を検出するタクトスイッチ46が搭載されている。そして、このタクトスイッチ46の上方には、タクトスイッチ46を覆うように収容部41と一体に成形された弾性部材44が配置されている。弾性部材44は、収容部41に支持されている。
【0039】
弾性部材44のタクトスイッチ46と対向する部分には、上方へ膨らんだドーム状の膨出部47が形成されている。膨出部47は、トランクボタン15(パニックボタン16)が押圧操作された際に、反力を発生させるばねとして機能する。トランクボタン15のスイッチ装置とパニックボタン16のスイッチ装置とには、裏面に収容部41の蓋部43が存在する位置に上方へ突出した突起部49がそれぞれ1個形成されている。突起部49は、トランクボタン15の膨出部47とパニックボタン16の膨出部47との間に2個並んで形成されるとともに、膨出部47の先端よりも上に突出して形成されている。突起部49は、トランクボタン15(パニックボタン16)の縁に対向する位置に形成されている。
【0040】
図4に示されるように、突起部49は、トランクボタン15(パニックボタン16)の押圧方向である下方に広がるテーパ状に形成されている。また、突起部49の根元49aには、トランクボタン15(パニックボタン16)の押圧方向である下方ほどさらに広がるフィレットが形成されている。
【0041】
図9に示されるように、トランクボタン15(パニックボタン16)の下面中央に形成された押子18は、弾性部材44の膨出部47に当接して筐体31内に設置される。施錠ボタン13及び解錠ボタン14と同様に、筐体31内に送信モジュール40が収容されると、操作ボタン10の押子18と弾性部材44の膨出部47とが当接するとともに、弾性部材44の突起部49とトランクボタン15(パニックボタン16)の下面15a(16a)とが当接する。そして、トランクボタン15(パニックボタン16)の押子18によって弾性部材44の膨出部47がタクトスイッチ46側へ押圧されるとともに、トランクボタン15(パニックボタン16)の下面15a(16a)によって弾性部材44の突起部49が圧縮されている。このとき、弾性部材44の膨出部47は、タクトスイッチ46に接触していない。トランクボタン15(パニックボタン16)は、弾性部材44の膨出部47と突起部49との2点で支持されることになるので、膨出部47による1点支持と比較して安定する。
【0042】
さて、本実施例のリモコンキー1のスイッチ装置は、操作ボタン10が押圧操作されると、以下のように動作する。
図10に示されるように、施錠ボタン13は、突起部48,48に支持されることで1点支持でなくなるので、ぐらつきの少ない状態で筐体31に支持される。よって、施錠ボタン13に指を乗せたときにボタンが左右に動いてしまうことがなくなるので、操作感の向上に効果が高くなる。
【0043】
施錠ボタン13が押圧操作されると、施錠ボタン13がタクトスイッチ46側へ移動し、施錠ボタン13の移動に伴って膨出部47が押子18によって凹まされるとともに、一対の突起部48が圧縮状態からさらに圧縮される。このため、押し始めの段階から弾性部材44の膨出部47と突起部48とによって反力が得られ、操作荷重を増加させていくと、操作荷重の増加に伴って施錠ボタン13がその分移動する。すなわち、図11に示されるように、施錠ボタン13の操作移動量と操作荷重との関係は、操作荷重に対して操作移動量がほぼ比例して増加することとなり、空走ストロークが少なく押さえられることが分かる。よって、押圧操作の押し始めから、時間あたりの操作荷重の増加がほぼ一定となる。従って、操作荷重が安定するので、良好な操作感を得ることができる。
【0044】
施錠ボタン13が単押操作されると、タクトスイッチ46がオン操作されて、施錠の入力信号が通信制御部11に出力される。通信制御部11は、UHF送信部12からドアロック施錠情報を含む操作信号Ssaを送信する。制御装置21は、UHF受信機22で操作信号Ssaを受信すると、ID照合を行い、ID照合成立を確認すると、ドアロック装置23にドアロックの施錠指令を出力し、ドアロックを施錠させる。
【0045】
また、図12に示されるように、解錠ボタン14が押圧操作されると、施錠ボタン13と同様に動作し、良好な操作感を得ることができる。解錠ボタン14が単押操作されると、タクトスイッチ46がオン操作されて、解錠の入力信号が通信制御部11に出力される。通信制御部11は、UHF送信部12からドアロック解錠情報を含む操作信号Ssaを送信する。制御装置21は、UHF受信機22で操作信号Ssaを受信すると、ID照合を行い、ID照合成立を確認すると、ドアロック装置23にドアロックの解錠指令を出力し、ドアロックを解錠させる。
【0046】
図13に示されるように、トランクボタン15(パニックボタン16)が押圧操作されると、施錠ボタン13と同様に、トランクボタン15の移動に伴って膨出部47が押子18によって凹まされるとともに、突起部49が圧縮状態からさらに圧縮される。このため、押し始めに弾性部材44の膨出部47と突起部49とによって反力が得られ、操作荷重を一定の割合で増加させれば、操作荷重の増加に伴って施錠ボタン13が移動することとなる。よって、突起部49が1個であるが、膨出部47のみと比較して操作荷重に対して反力を得ることができ、押圧操作の押し始めにおいて、時間あたりの操作荷重の増加がほぼ一定となり、操作荷重が安定するので、良好な操作感を得ることができる。
【0047】
トランクボタン15が長押操作されると、タクトスイッチ46がオン操作されて、トランクロックの入力信号が通信制御部11に出力される。通信制御部11は、トランクロック解錠情報を含む操作信号Ssaを送信する。制御装置21は、UHF受信機22で操作信号Ssaを受信すると、ID照合を行い、ID照合成立を確認すると、トランクロック装置24にトランクロックの解錠指令を出力し、トランクロックを解錠させる。
【0048】
また、パニックボタンが長押操作されると、タクトスイッチ46がオン操作されて、パニックの入力信号が通信制御部11に出力される。通信制御部11は、パニック情報を含む操作信号Ssaを送信する。制御装置21は、UHF受信機22で操作信号Ssaを受信すると、ID照合を行い、ID照合成立を確認すると、ホーン25やハザードランプ26に動作指令を出力し、ホーン25を吹鳴させたり、ハザードランプ26を点滅させたりする。
【0049】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)操作ボタン10が弾性部材44に形成された突起部48,49に支持されることで1点支持でなくなりなり、操作ボタン10を押圧操作する際に操作ボタン10がぐらつくことを抑制することができる。また、操作ボタン10の押圧操作時に弾性部材44からの反力を常に得ることができるので、従来よりも良好な操作感を得ることができる。
【0050】
(2)突起部48がタクトスイッチ46に対して一対形成されたので、操作ボタン10を支持する部位が多くなり、操作ボタン10を押圧操作した際に操作ボタン10がぐらつくことを一層抑制することができる。
【0051】
(3)操作ボタン10が押圧されていない状態において突起部48が操作ボタン10に当接して圧縮されているので、操作ボタン10を押圧操作した際に始めから十分な反力を得ることができる。よって、操作感をより安定させることができる。
【0052】
(4)タクトスイッチ46に対向する位置の弾性部材44にドーム形状の膨出部47を形成したので、操作ボタン10が押圧操作された際に操作ボタン10が膨出部47に沈み込む。よって、操作荷重が吸収されるので、操作感覚を向上させることができる。また、操作ボタン10が膨出部47を凹ませると、膨出部47によって上方への反力が発生するので、操作ボタン10を効果的に押し上げ支持することができる。
【0053】
(5)トランクボタン15(パニックボタン16)の縁に対向する位置に突起部49が形成され、支持する箇所が膨出部47と突起部49とが離れているので、トランクボタン15(パニックボタン16)を弾性部材44がより安定して保持することができる。
【0054】
(6)硬質樹脂からなる収容部41が弾性部材44を支持するとともに、タクトスイッチ46の上方を弾性部材44が覆うので、操作ボタン10の押圧操作による操作荷重がタクトスイッチ46や基板45に印加されることを防止することができる。また、操作ボタン10への押圧操作は弾性部材44が受けるので、操作感覚は向上しながら、弾性部材44を確実に支持することができる。
【0055】
(7)突起部48,49はテーパ状に形成されるとともに根元48a,49aにフィレットが形成されているので、突起部48,49が操作ボタン10の押圧操作によって折れ曲がることが抑制され、操作ボタン10の押圧操作によって好適に圧縮して、反力を発生させることができる。
【0056】
(8)弾性部材44と収容部41とが二色成形されているので、弾性部材44に押圧操作が印加されることで、収容部41に対して弾性部材44がずれることがなく、耐久性を高めることができる。
【0057】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態において、ボタンとスイッチ部材とを連通する箇所は、孔に限定されず、開口部位であれば何でもよい。
【0058】
・上記実施形態において、非可動部材(支持部材)は、硬質樹脂からなることに限定されず、弾性部材44を支持できるものであれば、材質は特に限定されない。
・上記実施形態では、トランクボタン15及びパニックボタン16のスイッチ装置の突起部49をトランクボタン15及びパニックボタン16の縁に対向する位置に形成したが、縁ではない位置に形成してもよい。
【0059】
・上記実施形態では、操作ボタン10に押子18を形成したが、操作ボタン10の下面が弾性部材44と接触しているならば、押子18を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、各操作ボタン10に対向する位置にドーム状の膨出部47を設けたが、平面としてもよい。この場合、操作ボタン10の下面が弾性部材44と接触していることが望ましい。
【0060】
・上記実施形態では、操作ボタン10を操作部30に組み付けた際に、弾性部材44の膨出部47に操作ボタン10が当接して凹ませるとともに、突起部48,49に操作ボタン10が当接して圧縮させたが、いずれか一方のみとしてもよく。また、膨出部47と突起部48,49が操作ボタン10に接触するだけにしてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、施錠ボタン13及び解錠ボタン14に一対の突起部48を形成したが、施錠ボタン13及び解錠ボタン14にそれぞれ1個のみ突起部48を形成してもよい。また、施錠ボタン13及び解錠ボタン14にそれぞれ3個以上の突起部48を形成してもよい。
【0062】
・上記実施形態では、トランクボタン15及びパニックボタン16にそれぞれ1個の突起部49を形成したが、トランクボタン15及びパニックボタン16に一対の突起部49を形成してもよい。また、トランクボタン15及びパニックボタン16にそれぞれ3個以上の突起部49を形成してもよい。
【0063】
・上記実施形態では、突起部48,49をテーパ状に形成したが、操作ボタン10の圧縮操作に対して強度が十分であれば、突起部48,49の均一の太さとしてもよい。
・上記実施形態では、突起部48,49の根元にフィレットを形成したが、操作ボタン10の圧縮操作に対して強度が十分であれば、フィレットを省略してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、リモコンキー1の操作ボタン10として施錠ボタン13、解錠ボタン14、トランクボタン15、及びパニックボタン16を設けたが、ユーザの用途に合わせて、任意の操作ボタンを選択してもよい。また、車両2にスライドドアが設けられている際には、スライドドアの開閉操作を行うスライドドアボタンを設けてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、収容部41と弾性部材44とを二色成形によって一体に成形したが、接着剤等で密着させてもよい。
・上記実施形態において、ワイヤレスキーシステム3の周波数は、312MHzとしたが、仕様や法規等に合わせて任意に変更可能である。
【0066】
・上記実施形態において、ワイヤレスキーシステム3の周波数は、UHFに限定されず、例えばLF(Low Frequency)やHF(High Frequency)等を使用してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、リモコンキー1にキープレート17を設けたが省略した構成を採用してもよい。
・上記構成において、リモコンキー1にLF帯の電波を受信可能なLF受信機を設けるとともに、車両2にLF帯の電波を車外に送信可能なLF発信機を設けてもよい。そして、制御装置21は、ワイヤレスキーシステム3によってドアロックの施解錠が完了したことを確認すると、ドアロック施解錠完了通知信号をLF帯の電波によりリモコンキー1に送信して、ドアロック施解錠完了をリモコンキー1にアンサーバックしてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、本発明をワイヤレスキーシステム3に用いるリモコンキー1のスイッチ装置に適用したが、スイッチ装置を備える機器であれば何でもよい。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
【0069】
(イ)請求項6に記載のスイッチ装置において、前記弾性部材と前記支持部材とは二色成形によって一体成形されていることを特徴とするスイッチ装置。
同構成によれば、弾性部材と支持部材とが二色成形されているので、弾性部材に押圧操作が印加されることで、支持部材に対して弾性部材がずれることがなく、耐久性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1…リモコンキー、2…車両、3…ワイヤレスキーシステム、10…操作ボタン、11…通信制御部、12…UHF送信部、13…施錠ボタン、14…解錠ボタン、15…とランクボタン、16…パニックボタン、13a,14a,15a,16a…下面、17…キープレート、18…押子、21…制御装置、22…UHF受信機、23…ドアロック装置、24…トランクロック装置、25…ホーン、26…ハザードランプ、30…操作部、31…筐体、32…上側ケース、33…下側ケース、34…開口部、40…送信モジュール、41…収容部、42…本体部、43…蓋部、43a…開口部、44…弾性部材、45…基板、46…タクトスイッチ、47…膨出部、48,49…突起部、48a,49a…根元。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に配置されたスイッチ部材と、押圧操作可能にケースに取り付けられた操作体との間に、前記スイッチ部材が対応する箇所が開放された非可動部材が介在され、当該非可動部材の表面に弾性部材が取り付けられ、前記操作体を前記弾性部材ごと押圧操作することにより前記スイッチ部材がオン操作され、当該押圧操作が解消されると、前記弾性部材の反力により前記操作体が操作前の初期位置に復帰して前記スイッチ部材がオフ操作されるスイッチ装置において、
前記弾性部材の表面には、裏面に前記非可動部材が存在する部分に、前記操作体を支持する突起部を形成した
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記突起部は、前記スイッチ部材に対して少なくとも一対形成されている
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチ装置において、
前記突起部は、前記操作体が押圧操作されていないとき、当該操作体に当接しつつ、圧縮した状態で取り付けられている
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、
前記弾性部材において前記スイッチ部材に対向する位置には、前記操作体側へ突出するドーム状の膨出部が形成される
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、
前記突起部は、前記操作体の縁に対向する位置に形成した
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、
前記非可動部材として硬質樹脂からなる支持部材が設けられ、
前記支持部材における前記スイッチ部材の上方には、孔状の開口部が形成され、
前記弾性部材は、前記開口部を覆うように配置されている
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、
前記突起部は、前記操作体の押圧方向に広がるテーパ状に形成され、
前記突起部の根元には、前記押圧方向に広がるフィレットが形成されている
ことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate