説明

スイッチ装置

【課題】部品点数の削減及び組み付け工数の削減によるコストの低減と、固定接点と可動接点の接触信頼性の向上を図る。
【解決手段】スイッチノブの操作に伴いスライドするバネ性を有した可動接点としてのアームバネ42と、アームバネ42が弾性接触しながら摺動する可動接点摺動部14と、可動接点摺動部14に形成された谷部14aと、バスバー20の端縁で構成された固定接点22と、を備え、固定接点22が設けられた谷部14aと、この谷部14aに隣り合う谷部14aとの間に溝部23が設けられており、溝部23の位置にあるアームバネ42に当接してアームバネ42を谷部14aへの係合方向とは逆向きに押圧するリブ15cを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用室内照明装置などに使用されるスイッチ装置に係り、特に配線用のバスバーを固定接点として用いたスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の用途に用いられるスイッチ装置として、例えば、特許文献1に示されるように、シーソー式のスイッチ装置がある。図18は、特許文献1に記載のシーソー式のスイッチ装置の例を示している。
【0003】
このスイッチ装置は、光源であるバルブ及びバルブに電力を入断するスイッチレバー101を有する機能部102と、機能部102を覆うカバーレンズ103及びスイッチレバー101を操作するためのスイッチノブ104を有する意匠部105と、を備えている。そして、スイッチレバー101が揺動可能に機能部102に取り付けられており、スイッチノブ104が揺動可能に意匠部105に取り付けられている。機能部102と意匠部105とが組み付けられるとスイッチレバー101の揺動軸である軸部106とスイッチノブ104の揺動軸である軸部107とが一致して一体化する。これにより、スイッチノブ104の揺動でスイッチレバー101が揺動しバルブへの電力の入断が可能となる。このようなシーソー式のスイッチ装置においては、スプリング及び係止球を用いて、スイッチノブの操作に節度感(切替フィーリング)を持たせるようになっている。
【0004】
また、スライド型のスイッチ装置において片持ち構造の摺動接片をプリント基板上で摺動させてプリント基板上の導電パターンに接触させるものがある(特許文献2,3参照)。さらに、スライド型のスイッチ装置において一枚のバネ金属板を相反する方向に折り曲げて、間隔をあけて並列配置された山型の端子上をスライドさせるものもある(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−329884号公報
【特許文献2】実開昭57−101430号公報
【特許文献3】実開昭62−144017号公報
【特許文献4】実開昭58−74725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に例示したシーソー式のスイッチ装置においては、スプリング及び係止球等を用いて、スイッチノブの操作に節度感(切替フィーリング)を持たせるのが一般的である。このため、部品点数が多くなると共に組み付け工数が多くなり、コスト高になりやすかった。
【0007】
また、特許文献2,3に記載のスイッチ装置では、板面で構成される固定接点に可動接点の板面が接触するようになっているので、固定接点と可動接点との接触信頼性を高くする上で限界を生じやすかった。
【0008】
また、特許文献4に記載のスイッチ装置では、複数の個別の固定接点が並列に配置されているため、部品点数が多くなると共に組み付け工数が多くなり、コスト高になりやすかった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数の削減及び組み付け工数の削減によるコストの低減と、固定接点と可動接点の接触信頼性の向上を図ることのできるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係るスイッチ装置は、下記(1)から(3)のいずれかを特徴としている。
(1) 絶縁材料製のハウジング及び導電材料製のバスバーを備えた本体と、
該本体にスイッチ操作可能に設けられたスイッチノブと、
該スイッチノブのスイッチ操作に伴いスライドするバネ性を有した可動接点と、
前記本体に設けられ、前記可動接点が弾性接触しながら摺動する可動接点摺動部と、
該可動接点摺動部に形成され、前記可動接点が選択的に係合可能な複数の谷部及び谷部間の山部と、
前記バスバーの端縁で構成され、少なくとも1つの前記谷部に設けられた固定接点と、
を備え、
前記可動接点がスライドして、該可動接点の係合箇所が前記複数の谷部の中の一の谷部から他の谷部に切り替えられることで、前記可動接点と前記固定接点の接続関係が切り替えられるスイッチ装置であって、
前記固定接点が設けられた谷部と、当該谷部に隣り合う谷部との間に溝部が設けられており、
該溝部の位置にある前記可動接点に当接して該可動接点を前記谷部への係合方向とは逆向きに押圧するリブを備えたこと。
(2) 上記(1)の構成のスイッチ装置において、前記可動接点は片持ち状であり、前記リブが前記溝部から前記可動接点の開放側に突出していること。
(3) 上記(1)の構成のスイッチ装置において、対向配置された前記固定接点間の中心方向に前記リブが突出していること。
【0011】
上記(1)の構成のスイッチ装置によれば、バスバーの一部の端縁を固定接点として使用し、その端縁に可動接点が当たるようにしているので、固定接点と可動接点の間に埃や異物が介在しにくくなり、固定接点と可動接点の接触信頼性を高めることができる。また、本体の可動接点摺動部に谷部と山部を設け、その谷部と山部を有する可動接点摺動部にバネ性を持つ可動接点を摺動させるようにしているので、スプリングや係止球などを用いずに、簡単な構成で、スイッチノブの操作に節度感(切替フィーリング)を持たせることができる。従って、部品点数の削減と組み付け工数の削減により、コスト低減を図ることができる。加えて、固定接点が設けられた谷部と、この谷部に隣り合う谷部との間に溝部が設けられている場合に、リブが、この溝部の位置にある可動接点に当接してこの可動接点を谷部への係合方向とは逆向きに押圧する。このため、可動接点が溝部に引っ掛かることを防止できる。よって、切替フィーリングをさらに良好にできると共に、切替ミスの発生を抑制することができる。
上記(2)の構成のスイッチ装置によれば、溝部からリブが、片持ち状の可動接点の開放側に突出しているため、可動接点のより開放側にリブを接触させることができる。よって、可動接点がリブを越えるために必要な力、つまりスイッチノブのスイッチ操作に必要な力を低減できる。また、可動接点に大きな負荷がかからないため、可動接点の変形を防止できる。
上記(3)の構成のスイッチ装置によれば、対向配置された固定接点間の中心方向にリブが突出しているため、大型化することなく、可動接点が溝部に引っ掛かることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、固定接点と可動接点の接触信頼性を高めることができると共に、簡単な構成で、スイッチノブの操作に節度感を持たせることができ、部品点数の削減と組み付け工数の削減により、コスト低減を図ることができる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のスイッチ装置を含む車両天井用室内照明装置の分解斜視図である。
【図2】同スイッチ装置の要部であるスイッチノブと接点部材の関係を示す斜視図で、(a)はスイッチノブと接点部材を組み付ける前の状態を示す図、(b)は組み付けた後の状態を示す図である。
【図3】前記車両天井用室内照明装置のハウジングとバスバーの関係を示す斜視図で、(a)はハウジングの裏面にバスバーを組み付ける前の状態を示す図、(b)は組み付けた後の状態を示す図である。
【図4】バスバーを裏面に組み付けたハウジングに表面側から、接点部材付きのスイッチノブを組み付けようとしている状態を示す斜視図である。
【図5】接点部材付きのスイッチノブを組み付け後のハウジングに、バルブを装着しようとしている状態を示す斜視図である。
【図6】バルブを組み付けた後のハウジングにレンズ付きカバーを取り付けようとしている状態を示す斜視図である。
【図7】レンズ付きカバーを取り付け後のハウジングに金属クリップを取り付けようとしている状態を示す斜視図である。
【図8】組み立てが完了した車両天井用室内照明装置の構成図で、(a)は表面側から見た斜視図、(b)は裏面側から見た斜視図である。
【図9】実施形態のスイッチ装置の要部である固定接点側の構成を示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のIXb−IXb矢視断面図である。
【図10】図9の固定接点側の構成に接点部材側のアームバネを追加した状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のXb−Xb矢視断面図である。
【図11】前記車両天井用室内照明装置を示す図であって、(a)は裏面図、(b)は(a)のXIb−XIb矢視断面図である。
【図12】図11(b)の部分拡大断面図である。
【図13】実施形態のスイッチ装置の要部である固定接点側の構成を示す斜視図である。
【図14】実施形態のスイッチ装置の要部である固定接点側の構成を示す図で、(a)は部分拡大平面図、(b)は(a)のXIVb部拡大平面図である。
【図15】図10で示す部分の平面図である。
【図16】図13で示す部分の斜視図である。
【図17】前記車両天井用室内照明装置の電気回路図である。
【図18】従来のスイッチ装置の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態のスイッチ装置を含む車両天井用室内照明装置について説明する。
図1は車両天井用室内照明装置の分解斜視図である。
【0016】
図1に示すように、この車両天井用室内照明装置は、機能部としての本体1と、意匠部としてのレンズ付きカバー60とを有する。本体1とレンズ付きカバー60は、図1に示す上下方向を保って車両天井部に取り付けられるので、この図の方向に従って本明細書では上下方向を規定する。本体1は、絶縁樹脂製のハウジング10と金属板製(導電材料製)のバスバー20とを備えており、ハウジング10にスイッチノブ30及びバルブ50が装着され、スイッチノブ30に接点部材40が装着されている。また、ハウジング10の側部に、車両天井用室内照明装置を車両の天井板に固定するための金属クリップ70が取り付けられている。
【0017】
図2は実施形態のスイッチ装置の要部であるスイッチノブと接点部材の関係を示す斜視図で、(a)はスイッチノブと接点部材を組み付ける前の状態を示す図、(b)は組み付けた後の状態を示す図である。
【0018】
このスイッチノブ30は、シーソースイッチノブであり、長方形板状の操作部31と、操作部31の裏面に突設された一対の支柱32と、支柱32間の突片に設けられた軸孔33と、支柱32の対向内側面に設けられた装着溝35とを有する。接点部材40は、1枚の金属板をプレス加工したもので、平板状の基板部41と、基板部41から突出する2本の片持ち状のアームバネ42とを有する。2本のアームバネ42は、基板部41の長手方向(後述する接点部材40のスライド方向)に位置がずれたものであるが、図2(a)中矢印A方向から見た場合、基板部41を基点にしてV字状に延出しており、各アームバネ42の先端が内側にくの字状に折れ曲がっている。これら2本のアームバネ42は、可動接点として機能するもので、後述する谷部14aに係合できるように外側面が凸になった山形断面のバー状に形成されている。そして、接点部材40は、基板部41の両側縁をスイッチノブ30の支柱32の装着溝35に圧入することで、スイッチノブ30の裏面側に一体に取り付けられている。
【0019】
図3は車両天井用室内照明装置のハウジング10とバスバー20の関係を示す斜視図で、(a)はハウジング10の裏面にバスバー20を組み付ける前の状態を示す図、(b)は組み付けた後の状態を示す図である。また、図4〜図7は車両天井用室内照明装置の組み立て手順を示す図、図8は車両天井用室内照明装置の完成図である。また、図9はスイッチ装置の要部である固定接点側の構成を示す図、図10は固定接点側の構成に接点部材側のアームバネを追加した状態を示す図、図11は車両天井用室内照明装置を示す図であって、(a)は裏面図、(b)は(a)のXIb−XIb矢視断面図、図12は図11(b)の部分拡大断面図、図13は実施形態のスイッチ装置の要部である固定接点側の構成を示す斜視図、図14は実施形態のスイッチ装置の要部である固定接点側の構成を示す図で、(a)は部分拡大平面図、(b)は(a)のXIVb部拡大平面図、図15は図10で示す部分の平面図、図16は図13で示す部分の斜視図である。
【0020】
ハウジング10の基板11の裏面側(車両への取り付け時に上側となる面側)には、スイッチ装置Sを構成するための矩形状の筒部12が必要個数(本例では3個)設けられている。また、基板11の裏面側には、これら筒部12を含めて、バスバー20を支持するためのバスバー支持部15が設けられている。バスバー20は、複数系統分だけ用意されており、互いに接触しないようにバスバー支持部15の上面に載置され、バスバー20の固定孔21に通したハウジング10側のピン16を熱溶着することで、ハウジング10に固定されている。
【0021】
ハウジング10の筒部12の対向内側面には、可動接点としてのアームバネ42が弾性接触しながら摺動する可動接点摺動部14が設けられている。2本のアームバネ42は、対向配置された可動接点摺動部14の間のスライド空間17に挿入されることで、各可動接点摺動部14に対して摺動可能に設けられている。アームバネ42は、スイッチノブ30のスイッチ操作に伴い可動接点摺動部14に沿ってスライドするようになっている。厳密には揺動支点(軸孔33)を中心にした円弧に沿ってスライドする。
【0022】
図9に示すように、可動接点摺動部14は、スライド空間17を挟んで対向配置されている。対向配置された各可動接点摺動部14には、可動接点であるアームバネ42が選択的に係合可能な複数の谷部14aが設けられており、隣り合う谷部14aと谷部14aの間には山部14bが設けられている。また、対向する各可動接点摺動部14の少なくとも1つ、具体的には隣り合う2つの谷部14aには、バスバーの端縁で構成された固定接点22がそれぞれ配置されている。これらの固定接点22を構成するバスバー20の端縁も可動接点摺動部14に相当する部分であり、このバスバー20側の可動接点摺動部14にも、ハウジング10側の谷部14aと山部14bに対応する谷部14aと山部14bとが形成されている。尚、隣り合う固定接点22同士を分断するためにバスバー20にはこれらの間に溝部23が形成されている。言い換えれば、固定接点22が設けられた谷部14aと、これと隣り合う固定接点22が設けられた谷部14aとの間に溝部23が設けられている。そして、このスイッチ装置Sでは、アームバネ42がスライドして、アームバネ42の係合箇所が複数の谷部14aの中の一の谷部14aから他の谷部14aに切り替えられることで、可動接点であるアームバネ42と固定接点22の接続関係が切り替えられるようになっている。
【0023】
また、図9(b)に示すように、バスバー支持部15の上面15aの角部には、固定接点22となるバスバー20の端縁をバスバー支持部15より外側に突き出させる切欠15bが設けられている。図10に示すように、可動接点としてのアームバネ42は、バスバー20の板面と垂直な方向に延在すると共に、外側面を固定接点22の上側エッジ22aに当てるように傾斜させて配されている。
【0024】
図11(a)に示すように、隣り合う固定接点22間の溝部23は、可動接点摺動部14の凹み方向つまりアームバネ42の係合方向に沿って延在している。ハウジング10には、図11(b)、図12及び図13に示すように、溝部23の位置にリブ15cが立設されている。このリブ15cも、可動接点摺動部14の凹み方向つまりアームバネ42の係合方向に沿って延在している。リブ15cは、バスバー20からその板厚方向において、片持ち状のアームバネ42の開放端側に突出している。リブ15cは、その突出先端側且つアームバネ42側が案内部15dとなっており、この案内部15dでアームバネ42に点接触し点接触の位置をずらしながらアームバネ42の摺動を案内する。リブ15cのアームバネ42側は、リブ15cの突出方向における基端側ほど、溝部23の延在方向においてアームバネ42側に位置するように若干傾斜している。
【0025】
図14(a)に示すように、リブ15cの案内部15dは、その一側が、溝部23で分断された一方の谷部14aに連続してこれと同一のラインL1上でアームバネ42を移動させるように案内する。また、案内部15dは、その逆側が、溝部23で分断された他方の谷部14aに連続してこれと同一のラインL2上でアームバネ42を移動させるように案内する。
【0026】
図14(b)に示すように、ハウジング10にはバスバー20の溝部23の位置に溝部15eが形成されている。具体的には、ハウジング10のバスバー20との境界となる両側位置に溝部15eが形成されている。これに対して、上記リブ15cの案内部15dが、図13及び図14(b)に示すように、バスバー20の溝部23及び溝部15eの位置にあるアームバネ42に当接してこのアームバネ42を谷部14aへの係合方向とは逆向きに押圧する。これにより、リブ15cは、アームバネ42がバスバー20の溝部23及びこの溝部23内のハウジング10の溝部15eに入り込むことを規制する。
【0027】
この車両天井用室内照明装置を組み立てる場合は、まず、図2に示すように、スイッチノブ30の裏面の支柱32の装着溝35に接点部材40の基板部41の両側縁を圧入することで、スイッチノブ30に接点部材40を取り付ける。次に、図3に示すように、バスバー20をハウジング10のバスバー支持部15の上面15a(図9参照)に載置し、ピン16を熱溶着することでバスバー20をハウジング10に固定する。
【0028】
次に、図4及び図5に示すように、ハウジング10の筒部12内にスイッチノブ30を装着し、軸孔33を筒部12の内側面に突設した軸凸部(図示略)に嵌め込むことで、スイッチノブ30を揺動自在に組み付ける。このように組み付けることで、図10に示すように、接点部材40の2本のアームバネ42が、対向する可動接点摺動部14の間のスライド空間17に挿入され、アームバネ42の外側面が可動接点摺動部14に摺動自在に当接する。この際、図15及び図16に示すように、アームバネ42は、自身のバネ反力Pにより可動接点摺動部14に押圧接触する。このようにスイッチノブ30を組み付けることでスイッチ装置Sが完成し、操作部31を押して揺動させることにより、スイッチ切替操作ができるようになる。
【0029】
次に、図5に示すように、ハウジング10のバルブ装着部19にバルブ50を装着し、その後で図6に示すように、ハウジング10にレンズ付きカバー60を装着することで、レンズ部61をバルブ50の正面に位置させる。また、スイッチ開口部62をスイッチノブ30に合わせ、スイッチノブ30の操作部31を外に露出させる。次いで、図7に示すように、ハウジング10の側部に金属クリップ70を取り付け、車両天井用室内照明装置を完成させる。
【0030】
図17は、このようにして構成した車両天井用室内照明装置の電器回路図である。
両端のスイッチ装置Sは固定接点が2つのタイプ、中央のスイッチ装置Sは固定接点が3つのタイプである。
【0031】
次に、この車両天井用室内照明装置の作用を説明する。
スイッチ装置Sのスイッチノブ30は、アームバネ42が可動接点摺動部14の谷部14aに弾性係合することによって、所定の位置に位置決めされる。ある谷部14aの位置にアームバネ42が位置決めされた状態で、スイッチノブ30を別の位置に切替操作すると、アームバネ42が山部14bを乗り越えることで、隣りの谷部14aに弾性係合する。そして、アームバネ42の係合位置が切り替わることによって、バスバー20の接続状態が切り替わる。
【0032】
この際、可動接点摺動部14に谷部14aと山部14bを設け、その谷部14aと山部14bを有する可動接点摺動部14にバネ性を持つアームバネ42を摺動させるようにしているので、従来例のようにスプリングや係止球などを用いずに、簡単な構成で、スイッチノブ30の操作に節度感(切替フィーリング)を持たせることができる。つまり、アームバネ42が、図15及び図16中に点線矢印Nで示すような山形の軌跡でスライドすることによって、良好な節度感を作り出すことができる。従って、部品点数の削減と組み付け工数の削減により、コスト低減を図ることができる。
【0033】
また、図10に示すように、バスバー20の一部の端縁を固定接点22として使用し、その端縁に可動接点であるアームバネ42が当たるようにしているので、固定接点22とアームバネ(可動接点)42の間に埃や異物が介在しにくくなり、固定接点22とアームバネ(可動接点)42の接触信頼性を高めることができる。
【0034】
また、図13に示すように、固定接点22を構成する隣り合う2箇所の谷部14a間をアームバネ42が行き来する際に、固定接点22間の溝部23を通過する時点では、溝部23に設けられたリブ15cが、バスバー20の溝部23の位置にあるアームバネ42に当接してこのアームバネ42を可動接点摺動部14への係合方向とは逆向きに押圧する。これにより、リブ15cは、アームバネ42がバスバー20の溝部23及び図14(b)に示すハウジング10の溝部15eに入り込むことを規制する。このため、アームバネ42が溝部23及び溝部15eに引っ掛かることを防止できる。よって、切替フィーリングをさらに良好にできると共に、切替ミスの発生を抑制することができる。
【0035】
このスイッチ装置Sでは、図12に示すように、バスバー20の溝部23からリブ15cが、片持ち状のアームバネ42の支点とは反対の開放側に突出しているため、アームバネ42のより開放側にリブ15cを接触させることができる。よって、アームバネ42がリブ15cを越えるために必要な力、つまりスイッチノブ30のスイッチ操作に必要な力を低減できる。また、アームバネ42に大きな負荷がかからないため、アームバネ42の変形を防止できる。ここで、リブ15cはアームバネ42を、溝部23及び溝部15eに引っ掛かることなく、溝部23の両側の谷部14aに沿う軌跡で移動させることができれば良い。よって、図12に示す基準ラインBL上でアームバネ42に接すれば良いことになる。例えば、図12に破線で示すリブ15c’のように、対向配置された固定接点22間の中心方向に突出させて、このリブ15c’の上端の案内部15d’でアームバネ42を案内しても良い。この場合、大型化することなく、アームバネ42が溝部23及び溝部15eに引っ掛かることを防止できる。
【0036】
また、このスイッチ装置Sでは、ハウジング10のバスバー支持部15の上面15a角部に切欠15bを設けることで、固定接点22となるバスバー20の端縁をバスバー支持部15より外側に突き出させている上、山形断面を有したバー状のアームバネ42の外側面が固定接点22の上側エッジ22aに当たるように、アームバネ42をバスバー20に対して傾斜させて設けているので、ハウジング10とバスバー20と接点部材40の組み付け誤差やそれら各部品の加工誤差が多少ある場合であっても、図10(b)中のQ部に示すように、アームバネ42と固定接点22を確実に接触させることができて、導通不良を回避することができる。
【0037】
また、上記構成のスイッチ装置Sでは、接点部材40に可動接点としての2本のアームバネ42をV字状に設け、それらアームバネ42を、アームバネ42のスライド空間37を挟んで対向する可動接点摺動部14に摺動させるようにしているので、一方の可動接点摺動部14側に配置した固定接点22と他方の可動接点摺動部14側に配置した固定接点22とを接続部材40を介して導通させることができる。つまり、2つのバスバー20間を、簡単な構成で、接続したり接続を解除したりすることができる。
【0038】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0039】
1 本体
10 ハウジング
14 可動接点摺動部
14a 谷部
14b 山部
15c リブ
15e 溝部
20 バスバー
22 固定接点
23 溝部
30 スイッチノブ
40 接点部材
42 アームバネ(可動接点)
S スイッチ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料製のハウジング及び導電材料製のバスバーを備えた本体と、
該本体にスイッチ操作可能に設けられたスイッチノブと、
該スイッチノブのスイッチ操作に伴いスライドするバネ性を有した可動接点と、
前記本体に設けられ、前記可動接点が弾性接触しながら摺動する可動接点摺動部と、
該可動接点摺動部に形成され、前記可動接点が選択的に係合可能な複数の谷部及び谷部間の山部と、
前記バスバーの端縁で構成され、少なくとも1つの前記谷部に設けられた固定接点と、
を備え、
前記可動接点がスライドして、該可動接点の係合箇所が前記複数の谷部の中の一の谷部から他の谷部に切り替えられることで、前記可動接点と前記固定接点の接続関係が切り替えられるスイッチ装置であって、
前記固定接点が設けられた谷部と、当該谷部に隣り合う谷部との間に溝部が設けられており、
該溝部の位置にある前記可動接点に当接して該可動接点を前記谷部への係合方向とは逆向きに押圧するリブを備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記可動接点は片持ち状であり、前記リブが前記溝部から前記可動接点の開放側に突出していることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
対向配置された前記固定接点間の中心方向に前記リブが突出していることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−142229(P2012−142229A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−692(P2011−692)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】