説明

スイッチ装置

【課題】防水性に優れ、且つ、外殻の組成精度が高いスイッチ装置を提供する。
【解決手段】ボディ12の係合凹部15とインシュレータ13の係合爪18との係合時に、ボディ12のひれ部16の縁部16aにインシュレータ13の押圧部19が面部19aで線接触状態に接して該ひれ部16を圧し、この圧された状態での復元力によって、ひれ部16が縁部16aで押圧部19に密接することにより、優れた防水性が得られる。又、ひれ部16が係合凹部15と係合した係合爪18をひれ部16の復元方向に付勢してそれらの係合を強めることにより、外殻11の組成精度を高く得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外殻をボディとインシュレータとにより組成するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車等の車両のインストルメントパネルに装着されるスイッチ装置においては、図7に示すように、外殻1が、ボディ2とインシュレータ3とにより組成されたものが供されている。
【0003】
このものの場合、ボディ2は、図で右側の側面部と奥方の後面部とが開口する直方体状のボックスであり、手前側の前面部に操作ボタン4を有していて、内部に、図示しないが、操作ボタン4により押圧移動されるコンタクトホルダと、コンタクトホルダに取り付けた可動コンタクト、コンタクトホルダに復帰力を付与する復帰スプリング、コンタクトホルダを移動前の位置と移動後の位置に保持するいわゆるハートカム機構等の保持機構等が配設されるようになっている。
又、ボディ2の、この場合、上下の両側部には、係合孔5が複数(図示例は2つ)ずつ形成されている。
【0004】
これに対して、インシュレータ3は矩形のプレートであり、ボディ2側に、これも図示しないが、固定コンタクトを有し、奥方の後側には接続端子6を複数有している。又、このインシュレータ3の、この場合、上下の両側部には、係合爪7が上記係合孔5と同数ずつ形成されている。
【0005】
この構成で、図8に示すように、インシュレータ3がボディ2の図で右側の側面部に押し込まれ、係合爪7を係合孔5に係合させてインシュレータ3がボディ2に結合されることにより、外殻1が組成されている。
【0006】
そして、その組成状態で、操作ボタン4を前方より押圧操作すると、コンタクトホルダが復帰スプリングの付勢力に抗し奥方へ移動されて、可動コンタクトを固定コンタクトに接触させる。又、そのときには、保持機構がコンタクトホルダを移動後の位置に保持し、それに伴って、操作ボタン4も押圧後の位置に、可動コンタクトは固定コンタクトに接触した位置にそれぞれ保持される。
【0007】
次いで、操作ボタン4を再度押圧操作すると、保持機構がコンタクトホルダの保持を解除することにより、コンタクトホルダが復帰移動し、それに伴って、可動コンタクトは固定コンタクトから離間する位置に、操作ボタン4は当初の押圧前の位置にそれぞれ復帰する。
なお、以上の従来構成は一般的なものであり、それを表した先行技術文献を見つけることはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のものの場合、外殻1の組成状態で、ボディ2の上下の両側部の縁部とインシュレータ3の上下の両側部との間には、ボディ2に対するインシュレータ3の組み込みのための隙間が不可避的に残る。このため、それらの外殻1の上方より水がかかると、その隙間から外殻1の内部に水が浸入し、固定コンタクトの水による導通など、不具合を惹起するおそれがあった。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、防水性に優れ、併せて外殻の組成精度も高く得ることのできるスイッチ装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、外殻をボディとインシュレータとにより組成するものにおいて、前記ボディの側部に係合部を形成すると共に、該ボディの側部の縁部にひれ部を形成し、前記インシュレータには、前記係合部と係合する被係合部を形成すると共に、それらの係合時に前記ひれ部の縁部に面部で線接触状態に接して該ひれ部を圧する押圧部を形成し、前記ひれ部が、前記押圧部により圧された状態での復元力により前記縁部で該押圧部に密接すると共に、前記係合部と係合した被係合部をひれ部の復元方向に付勢してそれらの係合を強めることを特徴とする(請求項1の発明)。
【発明の効果】
【0011】
上記手段によれば、ボディの係合部とインシュレータの被係合部との係合時に、ボディのひれ部の縁部にインシュレータの押圧部が面部で線接触状態に接して該ひれ部を圧し、この圧された状態での復元力によってひれ部が縁部で押圧部に密接することにより、優れた防水性が得られ、そして、上記ひれ部が係合部と係合した被係合部をひれ部の復元方向に付勢してそれらの係合を強めることにより、外殻の組成精度を高く得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例を示す、図4のI−I線に沿う断面図
【図2】主要部分の拡大断面図
【図3】全体の外観斜視図
【図4】全体の側面図
【図5】全体の分解斜視図
【図6】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図7】従来例を示す図5相当図
【図8】図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図5を参照して説明する。
まず、図3ないし図5には、スイッチ装置の全体構成を示しており、外殻11を、ボディ12とインシュレータ13とにより組成している。このうち、ボディ12は、ABS樹脂などプラスチックにより作製したもので、図で右側の側面部と奥方の後面部とが開口する直方体状のボックスであり、手前側の前面部に操作ボタン14を有している。ボディ12の内部には、図示しないが、操作ボタン14により押圧移動されるコンタクトホルダと、コンタクトホルダに取り付けた可動コンタクト、コンタクトホルダに復帰力を付与する復帰スプリング、コンタクトホルダを移動前の位置と移動後の位置に保持するいわゆるハートカム機構等の保持機構等を配設するようにしている。
【0014】
又、ボディ12の、この場合、上下の両側部には、係合部として係合凹部15を複数(図示例は2つ)ずつ形成している。この係合凹部15は、スライドコアを使用して型成形することにより、ボディ12の上下の両側部の内側に形成したもので、図1及び図2に示すように、外方へ開口しない形態に形成している。
【0015】
更に、ボディ12の、この場合、上下の両側部のインシュレータ13側の縁部には、それぞれその全長にわたり、ひれ部16を形成している。このひれ部16は、詳細には常態を図2に二点鎖線で示すように、ボディ12の上下の両側部のインシュレータ13側の縁部の内側から直状に後方へ延びて、更にその先端から斜め外方へ延びるものであり、その肉厚はボディ12の上下の両側部より小さくしている。
【0016】
これに対して、インシュレータ13は矩形のプレートであり、ボディ2側に、これも図示しないが、固定コンタクトを有し、奥方の後側には接続端子17を複数有している。又、このインシュレータ13の、この場合、上下の両側部には、ボディ2側に、被係合部として係合爪18を上記係合凹部15と同数ずつ形成している。
【0017】
又、インシュレータ13の、この場合、上下の両側部には、それぞれその全長にわたり、外縁部(ボディ2側とは反対の側)に押圧部19を形成している。この押圧部19は、インシュレータ13の上下の両側部の外縁部からそれぞれ上下の両側方へ直状に張り出したものであり、ボディ2側に平坦な面部19aを有している。
【0018】
この構成で、図1に示すように、インシュレータ13をボディ12の図で右側の側面部の開口部に押し込み、係合爪18を係合凹部15に係合させてインシュレータ13をボディ12に結合している。このとき、インシュレータ13の押圧部19は、ボディ12のひれ部16の縁部16aに面部19aで線接触状態に接して該ひれ部16を圧するものであり、圧せられたひれ部16は図2に二点鎖線で示した状態から実線で示す状態にたわみ変形し、その状態からの復元力により上記縁部16aで押圧部19の面部19aに密接すると共に、前記係合凹部15と係合した係合爪18をひれ部16の復元方向(この場合、外側方)に付勢してそれらの係合を強めるように働く。
【0019】
かくして、外殻11を組成するものであり、その組成状態では、上述のインシュレータ13の押圧部19により圧せられたひれ部16が、復元力により縁部16aで押圧部19の面部19aに線接触状態で密接することにより、優れた防水性が得られる。よって、
外殻11の上方より水がかかっても、外殻11の内部に水が浸入することはなく、固定コンタクトの水による導通など、不具合を惹起するおそれをなくすことができる。
【0020】
しかも、この場合、上記ひれ部16が係合凹部15と係合した係合爪18をひれ部16の復元方向に付勢してそれらの係合を強めるように働くことにより、それらの係合部分でのがたつきをなくし得て、外殻11の組成精度を高く得ることができ、製品品質を向上させることができる。
【0021】
加えて、上記構成では、ボディ12の係合凹部15を外方へ開口しない形態に形成しており、これによって、外殻11の内部への水への水の浸入をより確実になくすことができる。
【0022】
なお、外殻11の組成状態では、接続端子17は先端部がボディ11の後面部の開口に臨み、図示しないコネクタの接続を受けるようになっている。
又、外殻11の組成状態で、操作ボタン14を前方より押圧操作すると、ボディ11内のコンタクトホルダが復帰スプリングの付勢力に抗し奥方へ移動されて、可動コンタクトを固定コンタクトに接触させる。又、そのときには、保持機構がコンタクトホルダを移動後の位置に保持し、それに伴って、操作ボタン14も押圧後の位置に、可動コンタクトは固定コンタクトに接触した位置にそれぞれ保持される。
【0023】
次いで、操作ボタン14を再度押圧操作すると、保持機構がコンタクトホルダの保持を解除することにより、コンタクトホルダが復帰移動し、それに伴って、可動コンタクトは固定コンタクトから離間する位置に、操作ボタン14は当初の押圧前の位置にそれぞれ復帰する。
【0024】
以上に対して、図6は本発明の第2実施例(第2の実施形態)を示すもので、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
このものの場合、ボディ12には前記係合凹部15に代えて係合爪21を形成し、インシュレータ13には前記係合爪18に代えて係合凹部22を形成している。従って、ボディ12が有する係合部は係合凹部15と係合爪21のいずれであっても良く、インシュレータ13が有する被係合部は係合爪18と係合凹部22のいずれであっても良い。
【0025】
又、このものの場合、ボディ12が有するひれ部23は、前記ひれ部16とは反対に、先端側を斜め内方へ延ばしたものとしており、この構成で、インシュレータ13の押圧部19により圧せられて、その復元力により、縁部16aを押圧部19の面部19aに密接させている。
【0026】
このようにしても、第1実施例同様の作用効果を得ることができる。
更に、図示しないが、ボディ12のひれ部16,23と、インシュレータ13の押圧部19は、ボディ12及びインシュレータ13のそれぞれ上下の両側部だけでなく、前後の両側部にも形成するようにしても良い。
そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0027】
図面中、11は外殻、12はボディ、13はインシュレータ、15は係合凹部(係合部)、16はひれ部、16aは縁部、18は係合爪(被係合部)、19は押圧部、19aは面部、21は係合爪(係合部)、22は係合凹部(被係合部)、23はひれ部、23aは縁部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻をボディとインシュレータとにより組成するものにおいて、
前記ボディの側部に係合部を形成すると共に、該ボディの側部の縁部にひれ部を形成し、
前記インシュレータには、前記係合部と係合する被係合部を形成すると共に、それらの係合時に前記ひれ部の縁部に面部で線接触状態に接して該ひれ部を圧する押圧部を形成し、
前記ひれ部が、前記押圧部により圧された状態での復元力により前記縁部で該押圧部に密接すると共に、前記係合部と係合した被係合部をひれ部の復元方向に付勢してそれらの係合を強めることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
ボディの係合部が外方へ開口しない形態に形成されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−9250(P2012−9250A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143643(P2010−143643)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】