説明

スイッチ

【課題】室内の美観を損ねることなく暗所における視認性を高めて操作性を向上させることのできるスイッチを提供する。
【解決手段】壁面等の施工面に埋込配設される略直方体状の器体1と、器体1の前面に設けられて押操作に応じて揺動する操作部であるハンドル2と、ハンドル2の押操作に応じて揺動する反転ハンドル10を有し、反転ハンドル10の揺動に応じて電源から負荷への給電をオン/オフするスイッチ機構部と、蓄光材料から成る蓄光部材3とを備え、蓄光部材3は、略矩形状の枠体に形成され、ハンドル2の主部20の前面を除いた全ての側面を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗所での位置表示手段を備えたスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電源から照明器具等の機器への給電をオン/オフするスイッチが提供されている。このようなスイッチとしては、オン/オフを切り替えるためのハンドルに表示窓を形成するとともに、該表示窓に透光性の樹脂材料から成るレンズを嵌め込み、ハンドルの内側に給電がオフ状態の時に点灯するネオンランプを設けたものが知られている。このスイッチを用いると、例えば夜間の室内等の暗所における照明器具のスイッチの位置を、表示窓のレンズごしに点灯するネオンランプの光によって視認することができるので、暗所においてスイッチの位置を探し易くなる。しかしながら、上記のようなスイッチでは、照明器具への給電をオフにしている間は常にネオンランプを点灯させるための待機電力が消費されるため、不経済であるという問題があった。また、ネオンランプ及びその点灯回路を設けなければならないことから、部品点数が増大し、製造コストが高くなるという問題があった。
【0003】
上記の問題を解決するものとして、ハンドルの表示窓にネオンランプを配設する代わりに、蓄光顔料を有する蓄光部材を配設したスイッチが特許文献1に開示されている。ここで、蓄光顔料とは、太陽光や蛍光灯の光の刺激を受けてエネルギーを吸収し、吸収したエネルギーを可視光に変換して刺激停止後も光を徐々に放出しながら、一定時間発光し続ける特性を有するものである。而して、暗所において蓄光部材が発光することでスイッチの位置を視認することができ、また、蓄光顔料の発光が電力を必要としないものであることから、ネオンランプのように待機電力を消費することもない。更に、ネオンランプ及びその点灯回路を設ける必要も無いことから、部品点数を削減して製造コストを低減することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−67968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では、ハンドルの表示窓に蓄光部材を配設しているので、ハンドル前面の一部のみが発光するために暗所における視認性を十分に確保することができず、ハンドルの外形も認識し難いことから暗所においてスイッチを操作し難くなる虞があった。一方、上記従来例では、上記構成とは別にハンドルの前面を覆うネームカバーを蓄光顔料を有する部材で構成することで、ハンドルの前面全体を発光させる構成が開示されている。この構成では、暗所における視認性を十分に確保することができ、ハンドルの外形も認識することができるものの、ハンドルの前面全体が発光するために目立ち過ぎてしまい、室内の美観を損ねる虞があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、室内の美観を損ねることなく暗所における視認性を高めて操作性を向上させることのできるスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、施工面に配設される器体と、器体の前面に設けられて押操作に応じて揺動する操作部と、操作部の揺動に応じて電源から負荷への給電をオン/オフするスイッチ機構部と、蓄光材料から成る蓄光部材とを備え、蓄光部材は、操作部の前面を除いた側面のうち少なくとも何れか1つの側面の一面に亘って設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、操作部の前面の押操作される位置には、蓄光材料から成る位置表示部が設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、蓄光部材は、操作部の前面を除いた側面全体に亘って設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、操作部は、一端部が器体に支持されて他端部が揺動自在に押操作されるピアノハンドルから成り、蓄光部材は、操作部の他端部の側面に設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項の発明において、器体には、その前面側に取り付けられるとともに操作部の周縁を覆う開口部が貫設された化粧プレートが設けられ、蓄光部材は、少なくともその一部が操作部と化粧プレートとの間から外部に露出するように配設されたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項の発明において、化粧プレートの開口部周縁には、操作部の周縁を覆う蓄光材料から成る枠体が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、操作部の前面全体を蓄光部材で覆う場合と比較して暗所において操作部が目立ち過ぎることがなく、また、操作部の前面の一部のみに蓄光部材を配設した場合と比較して暗所において操作部の外形を認識し易くなる。したがって、室内の美観を損なうことなく暗所における視認性を高めて操作性を向上させることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、位置表示部が発光することで操作部を押操作する位置を容易に視認することができるので、暗所における視認性をより高めて操作性を向上させることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、操作部の側面全てが発光するために操作部の輪郭を視認することができ、暗所における視認性を高めて操作性を向上させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、ピアノハンドルの揺動する側の側面に蓄光部材が設けられているので、蓄光部材が常に操作部の前面側に露出して光を確実に取り込むことができる。したがって、暗所において確実に蓄光部材を発光させることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、操作部の揺動に依らず蓄光部材の少なくとも一部が常に操作部の前面側に露出するので、蓄光部材が光を確実に取り込むことができる。したがって、暗所において確実に蓄光部材を発光させることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、操作部の外形を覆うように枠部材が発光するために暗所において操作部の輪郭を視認することができ、暗所における視認性を高めて操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るスイッチの実施形態1を示す分解斜視図である。
【図2】同上の全体斜視図である。
【図3】同上の蓄光部材の配置を示す図で、(a)は蓄光部材の前部を外部に臨ませた場合の要部断面図で、(b)は蓄光部材の前部がハンドルに覆われた場合の要部断面図である。
【図4】同上の化粧プレートに蓄光部材を配設した場合を示す分解斜視図である。
【図5】本発明に係るスイッチの実施形態2を示す図で、(a)は取付枠及び化粧プレートを除いた全体斜視図で、(b)はハンドル及び蓄光部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
以下、本発明に係るスイッチの実施形態1について図面を用いて説明する。但し、以下の説明では図1における上下を前後方向と定めるものとする。本実施形態は、図1に示すように、壁面等の施工面に埋込配設される略直方体状の器体1と、器体1の前面に設けられて押操作に応じて揺動する操作部であるハンドル2と、ハンドル2の押操作に応じて揺動する反転ハンドル10を有し、反転ハンドル10の揺動に応じて電源から負荷への給電をオン/オフするスイッチ機構部(図示せず)と、蓄光材料から成る蓄光部材3とを備えた波動型のスイッチである。
【0021】
器体1は、規格化された埋込型の配線器具の1個モジュール単位に合成樹脂成形品から形成され、器体1の前面側には反転ハンドル10が配設されている。反転ハンドル10は、ハンドル2の押操作毎に接点を交互に反転させるものであり、反転ハンドル10の両端部が交互に押操作されることにより押操作された端部の反対側の端部が起き上がるように起伏動作する。そして、スイッチ機構部は、反転ハンドル10の起伏動作に応じて1個ずつ備えた固定接点と可動接点とを接離させる単極スイッチの構成をとる。尚、スイッチ機構部については従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。器体1は、略矩形状の開口窓40を有し開口窓40の長手方向に沿った部位に2組の取付部41を有する埋込配線器具に用いる規定の取付枠4に取り付けられる。器体1を取付枠4に取り付ける際には、器体1の長手方向における両端部の端面にそれぞれ突設された1対の取付爪11を取付部41に嵌合する。尚、取付枠4の前面部は、後述する化粧プレート5によって開口部40を除いた全体が覆われる。
【0022】
ハンドル2は、合成樹脂成形品から成り、後面を開口した扁平な箱状に形成された主部20と、主部20の前端部と一体に形成されるとともに外方向に拡開したフランジ部21とから成る。ハンドル2前面の一方の長辺側の端部の略中央部には、略矩形状の細長い切り欠き22が前後方向に貫設されている。また、主部20の長辺に沿った両側面には、それぞれ後述する蓄光部材3の嵌合爪30が嵌合する略矩形状の嵌合孔20aが1対ずつ設けられている。
【0023】
蓄光部材3は、例えばアルミン酸ストロンチウムを母結晶とする蓄光蛍光体を含む樹脂成形品から成り、主部20の前面を除いた全ての側面を覆う略矩形状の枠体に形成されている。蓄光部材3におけるハンドル2の切り欠き22と対向する部位には、前方に突出する略矩形状の細長いリブ31が一体に形成されている。このリブ31が特許請求の範囲における位置表示部に相当する。また、蓄光部材3の長辺に沿った両側面の内側には、それぞれハンドル2の嵌合孔20aに嵌合する嵌合爪30が1対ずつ設けられている。而して、蓄光部材3のリブ31をハンドル2の切り欠き22に挿通させ、嵌合爪30を嵌合孔20aに嵌合させることで蓄光部材3がハンドル2に取り付けられるようになっている。
【0024】
ここで、蓄光部材3をハンドル2に取り付けると、リブ31が切り欠き22を介してハンドル2の前面よりも前方に突出するようになっている。而して、ハンドル2を押操作する際に、リブ31が蓄光部材3と一体に形成されていることから、リブ31が発光してハンドル2を押操作する位置を容易に視認することができ、暗所における視認性をより高めて操作性を向上させることができる。また、本実施形態ではリブ31がハンドル2の前面よりも前方に突出していることから、リブ31に触れることでハンドル2を押操作する位置を更に容易に確認することができる。
【0025】
化粧プレート5は、合成樹脂材料から後面を開口した扁平な箱状に形成され、その前面の略中央部にはハンドル2を外部に臨ませるための略矩形状の開口部50が貫設されている。開口部50は、その外形寸法がハンドル2の外形寸法よりも僅かに大きくなるように設けられており、後述するように開口部50の内周縁とハンドル2の外周縁との間から蓄光部材3の前端部が外部に臨むようになっている。
【0026】
ところで、蓄光部材3をその前端部がハンドル2のフランジ部21で覆われるように配設した場合、ハンドル2が前方に変位している側の端部では蓄光部材3が外部に露出しているが(図2参照)、後方に変位している側の端部では蓄光部材3へと向かう光がハンドル2のフランジ部21及び化粧プレート5によって遮られるため、蓄光部材3に光が入射せずに光エネルギーを吸収することができない(図3(b)参照)。
【0027】
そこで、本実施形態の蓄光部材3の前端部は、その全周に亘って後方から前方に向かって先細った形状に形成されており、当該先細りの部位が上述のようにハンドル2の外周縁と化粧プレート5の開口部50の内周縁との間から外部に露出するようになっている。このため、図3(a)に示すように、ハンドル2が後方に変位している側の端部においてもハンドル2の外周縁と化粧プレート5の開口部50の内周縁との間から蓄光部材3に光が入射するので、蓄光部材3は光エネルギーを吸収することができる。而して、ハンドル2の揺動に依らず蓄光部材3の少なくとも一部が常にハンドル2の前面側に露出するので、蓄光部材3が光を確実に取り込むことができ、暗所において確実に蓄光部材3を発光させることができる。
【0028】
上述のように、ハンドル2の主部20の前面を除いた全ての側面を覆うように蓄光部材3を配設したので、ハンドル2の前面全体を蓄光部材3で覆う場合と比較して暗所においてハンドル2が目立ち過ぎることがなく、また、ハンドル2の前面の一部のみに蓄光部材3を配設した場合と比較して暗所においてハンドル2の外形を認識し易くなる。したがって、室内の美観を損なうことなく暗所における視認性を高めて操作性を向上させることができる。
【0029】
尚、本実施形態では、ハンドル2の主部20の前面を除いた全ての側面を覆うように蓄光部材3を形成しているが、主部20の前面の除いた側面のうち少なくとも何れか1つの側面を覆うように蓄光部材3を形成しても構わない。この場合でも、従来例と比較して暗所においてハンドル2の外形を認識し易くすることができる。
【0030】
また、本実施形態では、ハンドル2に蓄光部材3を取り付ける構成であるが、図4に示すように、化粧プレート5の前面よりも後方に窪んだ段差部50aを化粧プレート5の開口部50の内周縁に形成し、蓄光部材3と同様の材料で形成された略形状の枠体から成る枠部材6を当該段差部50aに配設しても構わない。この場合でも、ハンドル2の外形を覆うように枠部材6が発光するため、暗所においてハンドル2の輪郭を視認することができ、暗所における視認性を高めて操作性を向上させることができる。
【0031】
(実施形態2)
以下、本発明に係るスイッチの実施形態2について図面を用いて説明する。但し、以下の説明では、図5(a)における上下を前後方向と定めるものとする。本実施形態は、図5(a)に示すように、操作部が、一端部が器体1に支持されて他端部が揺動自在に押操作されるピアノハンドル7から成る所謂ピアノハンドル式スイッチであって、その他端部の側面に蓄光部材3が設けられている。
【0032】
ピアノハンドル7は、図5(b)に示すように合成樹脂成形品から成り、扁平な矩形平板状の主部70と、主部70の長手方向に沿った側端部に設けられて主部70よりも長手方向の長さ寸法の大きい側部71とが一体に構成されている。そして、主部70の側面には、略コ字状に形成された蓄光部材3が配設される。尚、本実施形態の蓄光部材3は、実施形態1の蓄光部材3と同じ材料から形成されている。
【0033】
ピアノハンドル7の側部71背面の長手方向における略中央部には、器体1の前面に設けられた軸部(図示せず)が嵌め込まれる軸受部(図示せず)が設けられており、当該軸受部で軸部を回動自在に支持することにより、ピアノハンドル7が器体1の前面に揺動自在に取り付けられる。尚、主部70の長手方向に沿った側端部には、後方に向けて1対の抜止片70aが突設されており、これら1対の抜止片70aが器体1の前面に設けられた略矩形状の挿通孔1aに挿入されることによって、ピアノハンドル7が揺動しても抜止片70aの先端部が挿通孔1aの周縁に係止して抜けないようになっている。
【0034】
このようにして器体1に取り付けられたピアノハンドル7の主部70を押操作すると、軸受部に支持された軸部を支点としてピアノハンドル7が揺動し、主部70の背面に突設された突起(図示せず)で器体1に収納されたスイッチ機構部(図示せず)の操作スイッチ(図示せず)を押操作することができる。そして、スイッチ機構部は、操作スイッチの押操作に応じて接点を交互に反転させる。尚、本実施形態のピアノハンドル式スイッチのスイッチ機構部は従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0035】
ここで、器体1前面の長手方向両端部には、後端が器体1に連結されて支持されるとともに先端が前方へ突出する弾性を有するばね片(図示せず)が器体1と一体に設けられている。而して、ピアノハンドル7の主部70を押操作するとばね片が主部70に押圧されて器体1側に撓み、ピアノハンドル7の主部70の押操作を止めると、ばね片の付勢力によってピアノハンドル7が前方へと復帰するようになっている。
【0036】
上述のように、ピアノハンドル7の揺動する(押操作する)側の側面に蓄光部材3が設けられているので、蓄光部材3が常にピアノハンドル7の前面側に露出して光を確実に取り込むことができる。したがって、暗所において確実に蓄光部材を発光させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 器体
2 ハンドル(操作部)
3 蓄光部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工面に配設される器体と、器体の前面に設けられて押操作に応じて揺動する操作部と、操作部の揺動に応じて電源から負荷への給電をオン/オフするスイッチ機構部と、蓄光材料から成る蓄光部材とを備え、蓄光部材は、操作部の前面を除いた側面のうち少なくとも何れか1つの側面の一面に亘って設けられたことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記操作部の前面の押操作される位置には、蓄光材料から成る位置表示部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のスイッチ。
【請求項3】
前記蓄光部材は、操作部の前面を除いた側面全体に亘って設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ。
【請求項4】
前記操作部は、一端部が器体に支持されて他端部が揺動自在に押操作されるピアノハンドルから成り、蓄光部材は、操作部の他端部の側面に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ。
【請求項5】
前記器体には、その前面側に取り付けられるとともに操作部の周縁を覆う開口部が貫設された化粧プレートが設けられ、蓄光部材は、少なくともその一部が操作部と化粧プレートとの間から外部に露出するように配設されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のスイッチ。
【請求項6】
前記化粧プレートの開口部周縁には、操作部の周縁を覆う蓄光材料から成る枠部材が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−225455(P2010−225455A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72384(P2009−72384)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】