説明

スイッチ

【課題】釦間桟を無くし押し釦の面積を広くすることを可能としたスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】接点部11を押下する複数の押下部21を有するとともにこの複数の押下部21間を接続する接続桟22とを備えたヒンジ20と、枠状部31の内周面にありスイッチ基板10側へ突出した抜け防止爪32とを備えたケース30と、押圧面部41を有するとともにケース30の抜け防止爪32と係合する係合爪42とを備える複数の釦カバー40とを備え、ヒンジ20の接続桟22は釦カバー40の押圧面部41からスイッチ基板10へ向かう方向へ押圧面部41を投影した面である釦カバー投影方向上、かつ、ケース30の抜け防止爪32は釦カバー投影方向上、かつ、釦カバーの係合爪42は釦カバー投影方向上で押圧面部41からスイッチ基板10のある方向へ突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車内で使用されるナビゲーション装置などの電子装置、または、家庭内で使用されるオーディオ装置などの電子装置に用いるスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチとしては、1本の支持条により、連結片を介して複数の押し釦が列状に配置した状態で支持されたものがある。押し釦ごとに脚部を形成してこの脚部と支持条とで各押し釦を二点支持する。そして、各押し釦が押されると、この脚部が接点部を電気的通電させてスイッチがオンされるものであった。なお、先行技術文献としては、例えば、特許文献1が知られている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−273494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスイッチは、操作者が直接押下するための押し釦が、支持条により連結片されるものであった。この従来のスイッチを電子装置に用いる場合、支持条および連結片を隠すために操作面側にケースを形成する必要がある。
【0005】
すなわち、操作者の側から電子装置を視認すると、押し釦の周囲に押し釦ではないケース部分(以下、「釦間桟」と称する)が形成されることになる。
【0006】
特に、自動車内で使用されるナビゲーション装置など近年の電子装置は表示画面の大型化により操作者側に向かう操作面のうち押し釦に使用できる面積が減少している。操作性の向上のために、この限られた面積の中でできるだけ押し釦の占める面積を広くしたいが、従来のスイッチの場合、釦間桟を形成する必要があり押し釦の面積を広くすることができないという課題があった。
【0007】
本発明は従来の課題を解決するものであり、釦間桟を無くし押し釦の面積を広くすることを可能としたスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、ヒンジの接続桟は釦カバーの押圧面部からスイッチ基板へ向かう方向へ押圧面部を投影した面である釦カバー投影方向上、かつ、ケースの抜け防止爪は釦カバー投影方向上、かつ、釦カバーの係合爪は釦カバー投影方向上で押圧面部からスイッチ基板のある方向へ突出するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、押し釦の部分を釦カバーとヒンジとの別体で構成するとともに、ヒンジが有する接続桟、ケースが有する抜け防止の爪、および、釦カバーが有する係合爪を釦カバー投影方向上に構成した。このように釦カバー投影方向上に接続桟、係合のための構成(抜け防止の爪および係合爪)を納めるので釦間桟を形成する必要がなく、押し釦の面積を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスイッチを操作者側からみた組立斜視図
【図2】同組立斜視図
【図3】同要部であるスイッチ基板を説明する図
【図4】同要部であるヒンジを説明する図
【図5】同要部であるケースを説明する図
【図6】同要部である釦カバーを説明する図
【図7】同要部であるスイッチを組立後の斜視図
【図8】同要部であるスイッチの押下前における各構成の位置関係を説明する図
【図9】同要部であるスイッチの押下時における各構成の位置関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態におけるスイッチについて図1〜図6を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるスイッチを操作者側からみた組立斜視図であり、図2は図1とは反対方向からみた組立斜視図である。また、図3はスイッチ基板10を、図4はヒンジ20を、図5はケース30を、図6は釦カバー40を説明するための図である。
【0012】
以下、本発明のスイッチ1は、スイッチの機能のオン・オフを素子が配置されたスイッチ基板10と、この上に配設されるヒンジ20と、スイッチ1の筐体となるケース30と、スイッチ1が用の操作者が押下してスイッチの機能をオンさせるための押圧面部41を有する釦カバー40とで構成される。釦カバー40は、ヒンジ20のスイッチ基板10のある側と反対の側に配置される。
【0013】
なお、以後、釦カバー40の押圧面部41からスイッチ基板10のある方向へこの押圧面部41を投影した方向を釦カバー投影方向(図1の面Lの集合)という。また、スイッチ1の操作者が操作の際に視認できる面を以下、操作面と呼ぶ。
【0014】
スイッチ基板10は図3に示すように、少なくとも一方の面に複数の接点部11を設けたもので、接点部11の向かい合う両側に発光素子12が配置される。
【0015】
接点部11は、例えば、プッシュスイッチである。この接点部11は、その押圧される面がヒンジ20の配設される側を向くようにスイッチ基板10の上に配置される。
【0016】
この接点部11はその内部に図示しない2つの電極間を有する。この2つの電極間は通常は互いに離間されて電気的導通がなされていない状態に保持されている。この状態は、スイッチの機能としてはオフされた状態である。接点部11が押圧されることで2つの電極間が接触して通電する。この状態がスイッチの機能としてオンされた状態となる。
【0017】
発光素子12は、スイッチ基板10の上に配置され、少なくともスイッチ基板10からからヒンジ20の方向へ光を発する素子であり、例えば、発光ダイオードである。
【0018】
発光素子12から発光された光はヒンジ20に導かれ、さらに、透光性をもつ釦カバー40を介して操作者に視認される。発光素子12は主に夜間に釦カバー40の所在を知らせるために点灯をする。
【0019】
ヒンジ20は、釦カバー40にかかる押圧力をスイッチ基板10の接点部11へ伝達するためのものである。より詳細には図4に示すように、スイッチ基板10の接点部11を押下するための複数の押下部21(押下部21a〜押下部21d)と、この複数の押下部21間を接続する接続桟22(接続桟22a〜接続桟22d)とを有する。
【0020】
押下部21はブロック状に配列されている。釦カバー40の押圧面部41とスイッチ基板10の接点部11との間に押下部21が位置する。
【0021】
接続桟22は隣り合う押下部21間を接続するものである。ヒンジ20は、押圧面部41からのスイッチ基板10のある方向への押圧力に対して、この接続桟22の支持による弾性にて変形復帰が可能となっている。押圧面部41の押下時に接点部11がオンされたあと、押圧面部41の押下が終了すると、この接続桟22の弾性により押下部21が押下前の位置に戻り接点部11がオフされる。
【0022】
この接続桟22は、釦カバー40の押圧面部41からスイッチ基板10のある方向へ押圧面部41を投影した方向である釦カバー投影方向上に位置する。
【0023】
ヒンジ20の押下部21および接続桟22は光を導光する導光構造を有する。スイッチ基板10が有する発光素子12が発する光を釦カバー40の押圧面部41へ導光する。
【0024】
スイッチ1の組立の際、ヒンジ20は、スイッチ基板10の上に配置された後、ケース30の操作面と反対側から挿入される。
【0025】
ヒンジ20は押下部21および接続桟22ともに一体形成される。ヒンジ20は、例えば、ポリカーボネート樹脂で形成される。ポリカーボネート樹脂は高い透明性があり導光が可能で、かつ、高い耐衝撃性をもつため有用である。
【0026】
ポリカーボネート樹脂、または、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)などの樹脂からなるケース30は、ヒンジ20を囲む枠状部31と、この枠状部31の内周面にスイッチ基板10の側へ突出した抜け防止爪32とを有する。ケース30はスイッチ1の筐体となる。
【0027】
抜け防止爪32は、後述する釦カバー40が有する係合爪42と係合して、釦カバー40をケース30に固定するための爪である。
【0028】
抜け防止爪31は、釦カバー40の押圧面部41からスイッチ基板10のある方向へこの押圧面部41を投影した方向である釦カバー投影方向上に位置する。また、抜け防止爪31は押圧面部41からスイッチ基板10のある方向へ向いて突出している。
【0029】
透明のポリカーボネート樹脂、または、透明のポリメタクリル酸メチル樹脂からなる釦カバー40は、スイッチ1が用の操作者が押下してスイッチの機能をオンさせるための押圧面部41と、ケース30の抜け防止爪32と係合するための係合爪42を有する。スイッチ1には釦カバー40が複数備えられる。
【0030】
押圧面部41は、ヒンジ20の押下部21がスイッチ基板10の接点部11と接する面と対抗する面にて押下部21と接する。押圧面部41の操作面の側にはスイッチの機能を表す文字が印字されている。
【0031】
押圧面部41は透光性を有している。スイッチ基板10が有する発光素子12が発する光は、ヒンジ20にて導光され、押圧面部41を経由してスイッチ1の操作者に視認される。
【0032】
押圧面部41は略四角形であり、係合爪42はこの押圧面部41の対抗する辺を1組として、少なくとも1組有している。
【0033】
係合爪42は、釦カバー40の押圧面部41からスイッチ基板10のある方向へこの押圧面部41を投影した方向である釦カバー投影方向上にあり、かつ、押圧面部41からスイッチ基板10のある方向へ向いて突出している。
【0034】
係合爪42は凸部を有するとともに、抜け防止爪32はこの凸部と係合する凹部を有する。抜け防止爪32と係合爪42とは所定の遊び間隙をもって係合する。これは、例えば、係合爪42は凸部の突起の大きさに対して抜け防止爪32の有する凹部のくぼみの大きさを若干大きくすることで実現できる。
【0035】
係合爪42は上述のとおり釦カバー投影方向上、すなわち、係合爪42は押圧面部41の操作面の反対側に位置する。このため、スイッチ1の組立において、釦カバー40は、操作面からスイッチ基板10へ向かう方向に挿入される。係合爪42の位置が押圧面部41の裏面であるために最後に取付けが必要である。このスイッチ1の組立を具体的に説明すると、まず、釦カバー40をケース30の操作面側から挿入し、その後、ヒンジ20をケース30に操作面と反対側から挿入する。最後にスイッチ基板10を、ケース30に操作面と反対側から組み込んで完成となる。
【0036】
次に、図7〜図9を用いてスイッチ1が押下される前後の各部の位置関係について説明する。図7は本発明の一実施の形態におけるスイッチを組立後の斜視図である。図8、図9は図7の鎖線A−Aの断面図である。図8はスイッチ1の押下前における各構成の位置を説明する図であり、図9はスイッチ1の押下時における各構成の位置を説明する図である。
【0037】
スイッチ1の押下前は図8に示すように、ヒンジ20の持つ弾力により接点部11の2つの電極間は通常は互いに離間されて電気的導通がなされていない状態に保持されている(スイッチがオフ)。
【0038】
このとき、係合爪42の凸部は、抜け防止爪32は凹部の中で押圧面部41の方向に位置する。係合爪42の凸部と抜け防止爪32は凹部との間にはスイッチ基板10側に隙間ができこれが遊び間隙Hとなる。
【0039】
スイッチ1の押下されたときは、押圧面部41にかかる押圧がヒンジ20の押下部21を押し下げることで接点部11の2つの電極間が接触して通電する(スイッチがオン)。
【0040】
このとき、係合爪42の凸部は抜け防止爪32は凹部の中でスイッチ基板10の方向に位置する。係合爪42の凸部と抜け防止爪32は凹部との間には押圧面部41側に隙間ができる。この隙間は、上述の遊び間隙Hと同じ幅である。
【0041】
以上のように本実施の形態におけるスイッチは、押し釦の部分を釦カバー40とヒンジ20との別体で構成するとともに、ヒンジ20が有する接続桟22、ケース30が有する抜け防止爪32、および、釦カバー40が有する係合爪42を釦カバー投影方向上に構成した。
【0042】
このように釦カバー投影方向上に、接続桟22、および、釦カバー40をケース30に固定するための抜け防止爪3、係合爪42を納めるように構成することにより、釦間桟を形成する必要がなく、押圧面部41の面積を広くすることができるという効果を奏する。
【0043】
さらに、釦間桟を形成する必要がなくなるため、デザイン的制約も無くなり、釦間に凹凸が無いフラットな操作面を形成することが可能となるという効果も奏する。
【0044】
押圧面部41は略四角形であり、係合爪42はこの押圧面部41の対抗する辺を1組として、少なくとも1組有している。このようにすることにより、釦カバー40をケース30に安定して取り付けることができる。
【0045】
本実施の形態におけるスイッチは、スイッチ基板10に発光素子12を有し、ヒンジ20は導光構造を有するものであり、釦カバー40は透光性を有するものである。このようにすることにより、あらたな部品を追加することなく押圧面部41を光らせることができ、押圧面部41の位置を操作者に認識させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、この発明は、自動車内で使用されるナビゲーション装置などの電子装置、または、家庭内で使用されるオーディオ装置などの電子装置のスイッチとして有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 スイッチ
10 スイッチ基板
11 接点部
12 発光素子
20 ヒンジ
21 押下部
22 接続桟
30 ケース
31 枠状部
32 抜け防止爪
40 釦カバー
41 押圧面部
42 係合爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に複数の接点部を設けたスイッチ基板と、
このスイッチ基板の接点部を押下する複数の押下部を有するとともにこの複数の押下部間を接続する接続桟とを備えた前記スイッチ基板の接点部を設けた面側に配設するヒンジと、
このヒンジを囲む枠状部を有するとともにこの枠状部の内周面にあり前記スイッチ基板側へ突出した抜け防止爪とを備えたケースと、
前記ヒンジの押下部が前記スイッチ基板の接点部と接する面と対抗する面に設けた押圧面部を有するとともに前記ケースの抜け防止爪と係合する係合爪とを備える複数の釦カバーとを備え、
前記ヒンジの接続桟は前記釦カバーの押圧面部から前記スイッチ基板へ向かう方向へ押圧面部を投影した面である釦カバー投影方向上、かつ、前記ケースの抜け防止爪は前記釦カバー投影方向上、かつ、前記釦カバーの係合爪は前記釦カバー投影方向上で押圧面部から前記スイッチ基板のある方向へ突出することを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記釦カバーが有する押圧面部は略四角形であり、前記釦カバーが有する係合爪はこの押圧面部の対抗する辺を1組として、少なくとも1組有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記ケースが有する抜け防止爪と前記釦カバーが有する係合爪とは所定の遊び間隙をもって係合し、
前記ヒンジは前記釦カバーの押圧面部から前記スイッチ基板のある方向への圧力に対して、接続桟の支持による弾性にて変形復帰が可能な構造を有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記スイッチ基板に少なくともこのスイッチ基板から前記ヒンジの方向へ光を発する発光素子をさらに有し、
前記ヒンジは前記スイッチ基板が有する発光素子が発する光を導光する導光構造を有するものであり、
前記釦カバーは透光性を有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−210607(P2011−210607A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78409(P2010−78409)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】